JP7351430B1 - インクジェットインク及び錠剤印刷物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、低湿度環境下(20%RH程度)で保存し使用した場合は勿論のこと、常湿環境下(50%RH程度)で保存し使用した場合であっても印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、耐光性を維持することができるインクジェットインク及び当該インクジェットインクで印刷した印刷部を備える錠剤(錠剤印刷物)を提供することを目的とする。【解決手段】本実施形態に係るインクジェットインクは、食用染料として青1号をインクジェットインク全体の質量に対して0.1質量%以上2.5質量%以下の範囲内で含み、固着剤として還元イソマルツロースを青1号の質量に対して5.7倍以上16.2倍以下の範囲内で含んでいる。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットインク及び錠剤印刷物に関する。
インクジェット印刷用インク(以下、単に「インクジェットインク」とも称する。)には、例えばタール系色素等の食用染料を色材とすることにより可食性を有するものがある。
従来、インクジェットインクには、色材の劣化により、印刷した文字や画像等において色材の色味(色調)が変化する変色や、色材の彩度低下等による褪色が発生するものがある。例えばインクジェットインクにおいて耐光性が不足している場合、光の作用により色材が分解(光分解)されることによって変褪色(光変褪色)が生じ得る。このような変褪色は、印刷した文字や画像等(以下、「印刷画像」と総称する)における視認性の低下として認識される。
こうした印刷画像の変褪色を抑制するために技術の開発が進められており、変褪色抑制のための種々の方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、錠剤等へ文字や画像を印字する際に、視認性を高めるため発色性のある食用染料を含んだインクジェットインク等を使用する場合がある。そして、そのインク等に含まれる食用染料には、光による変色・褪色が大きいものがある。
インクジェットインク等に含まれる食用染料のうち青1号については、還元イソマルツロースをインク内に含めることで耐光性が改善される場合がある。
しかしながら、青1号と還元イソマルツロースとを含んだインクジェットインク等には、そのインク等の使用環境やその保存環境の影響(特に湿度の影響)を受けやすいものがある。例えば、青1号と還元イソマルツロースとを含んだインクジェットインク等には、そのインク等を常湿度から高湿度の環境下で保存した場合や、そのインク等を常湿度から高湿度の環境下で使用した場合には耐光性が低下するものがある。
そのため、青1号と還元イソマルツロースとを含んだインクジェットインク等については、低湿度環境下で保存しなければ、あるいは低湿度環境下で使用しなければ、十分な耐光性を維持することが困難なものがある。
特許第6389506号公報
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、常温低湿度環境下(25℃/20%RH程度)で保存し使用した場合は勿論のこと、常温常湿環境下(25℃/50%RH程度)で保存し使用した場合であっても印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、耐光性を維持することができるインクジェットインク及び当該インクジェットインクで印刷した印刷部を備える錠剤(錠剤印刷物)を提供することを目的とする。以降、温度について記載の無い湿度表記は、常温25℃時の相対湿度として記載している。つまり、後述する「低湿度環境下(20%RH程度)」は、常温低湿度環境下(25℃/20%RH程度)を意味し、「常湿環境下(50%RH程度)」は、常温常湿環境下(25℃/50%RH程度)を意味する。
このように、本願は、従来はそれほど考慮されていなかった湿度による影響にも対応させたインクジェットインク及び当該インクジェットインクで印刷した印刷部を備える錠剤(錠剤印刷物)を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るインクジェットインクは、食用染料として青1号をインクジェットインク全体の質量に対して0.1質量%以上2.5質量%以下の範囲内で含み、固着剤として還元イソマルツロースを前記青1号の質量に対して5.7倍以上16.2倍以下の範囲内で含むことを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る錠剤(錠剤印刷物)は、上記インクジェットインクを用いて印刷した印刷部を備えることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、低湿度環境下(20%RH程度)で保存し使用した場合は勿論のこと、常湿環境下(50%RH程度)で保存し使用した場合であっても印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、インクジェットインクの耐光性を維持することができる。つまり、本発明の一態様によれば、従来はそれほど考慮されていなかった湿度による影響にも対応させたインクジェットインク及び当該インクジェットインクで印刷した印刷部を備える錠剤(錠剤印刷物)を提供することができる。
本発明の実施形態におけるインクジェットインクの浸透性および耐光性について説明する概念図である。 本発明の実施形態に係る錠剤(素錠)の一例を示す概略断面図である。 本発明の実施形態に係る錠剤(フィルムコーティング錠)の一例を示す概略断面図である。 本発明の実施形態に係る錠剤(素錠)の印刷画像の一例である。 本発明の実施形態に係る錠剤(フィルムコーティング錠)の印刷画像の一例である。
本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という)に係るインクジェットインクは、低湿度環境下(20%RH程度)で保存し使用した場合は勿論のこと、常湿環境下(50%RH程度)で保存し使用した場合であっても、例えば、医療用錠剤の表面にインクジェット印刷法で施される印刷画像等の光変褪色を十分に抑制し、耐光性を維持することができるインクジェットインクに関するものである。以下、本発明の実施形態に係るインクジェットインク及びそのインクジェットインクで印刷した印刷部を備える錠剤(錠剤印刷物)の構成について、詳細に説明する。
〔インクジェットインクの構成〕
本実施形態に係るインクジェットインクは、可食性を有するインクジェットインクであって食用染料(食用色素)として、食用青色1号(以下、単に「青1号」と記載する)を含んでいる。また、本実施形態に係るインクジェットインクは、被印刷物(例えば固体製剤)の表面にインクを固着させるための固着剤として、還元イソマルツロースを含んでいる。また、本実施形態に係るインクジェットインクは、青1号をインクジェットインク全体の質量に対して0.1質量%以上2.5質量%以下の範囲内で含んでいる。また、本実施形態に係るインクジェットインクは、還元イソマルツロースを青1号の質量に対して5.7倍以上16.2倍以下の範囲内で含んでいる。このような構成によれば、常湿環境下(50%RH程度)で保存し使用した場合であっても、印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、インクジェットインクの耐光性を維持することができる。以下、この点について、図1を参照しつつ説明する。
図1は、被印刷物(固体製剤)の表面におけるインクの固着と耐光性との関係を説明するための概念図である。ここで固体製剤として、例えば空隙が少ないフィルムコート部を備えた錠剤、即ちフィルムコート(FC)錠を用いるとする。なお、本発明はこれに限られず、素錠やカプセル錠を被印刷物としてもよい。
図1(a)から図1(c)は、それぞれ組成の異なるインクジェットインクA~Cを錠剤(ここでは、フィルムコート錠)に印字し、一定時間経過させた状態における錠剤の厚さ方向の断面模式図である。本例において、インクジェットインクAは、色材として特定染料4を用い、溶媒として水を用いたインクである。特定染料4には、青1号が例示できる。
また、インクジェットインクBは、インクジェットインクAに所定の糖類を添加したインクである。ここで、インクジェットインクBに添加した糖類は、水への溶解度が相対的に高く本実施形態における固着剤に該当しない糖類(例えば、マルトース)である。また、インクジェットインクCは、インクジェットインクAに上記固着剤に該当する還元イソマルツロースを添加したインクである。
具体的には、図1(a)は、色材として特定染料4を含有し、溶媒として水を含有するインクジェットインクAを錠剤の基材1の表面1Sに印字し、一定時間(例えば140時間)経過させた状態における錠剤の厚さ方向の断面模式図である。また、図1(b)は、インクジェットインクBを、錠剤の基材1の表面1Sに印字し、一定時間(例えば140時間)経過させた状態における錠剤の厚さ方向の断面模式図である。また、図1(c)は、インクジェットインクCを、錠剤の基材1の表面1Sに印字し、一定時間(例えば140時間)経過させた状態における錠剤の厚さ方向の断面模式図である。
まず、インクジェットインクにおける糖類の添加の有無と、染料の浸透性についてインクジェットインクA,Bを例にとって説明する。
インクジェットインクに用いられる種々の色材のうち例えば食用染料として用いるタール系色素では、固体製剤などの表面に印刷した文字や画像等において変褪色が発生し得る。例えばタール系色素のうち青1号は、時間経過に伴う固体製剤への浸透や、光分解によって印刷画像の変褪色が発生していた。これに対し、インクジェットインクに糖類を添加することで、染料が固体製剤に浸透することを抑制し、印刷画像の変褪色を抑制する方法が知られている。
図1(a)に示すように、糖類を含まないインクジェットインクAを印字した場合、印字から一定時間が経過すると特定染料4が錠剤の基材1の内部に浸透する。ここで、当該一定時間経過後のインクジェットインクAにおける特定染料4の浸透の深さを浸透深さX(μm)とする。これに対し、図1(b)に示すように、糖類を含むインクジェットインクBを印字した場合、印字から一定時間経過後において、インクジェットインクBの浸透深さY(μm)は、インクジェットインクAの浸透深さXよりも小さくなる(X>Y)。
インクジェットインクBでは、所定の糖類の添加によってインクの粘度の上昇等が生じ、特定染料4の錠剤の基材1の内部への浸透が抑制される。このため、インクジェットインクBを印字した場合、印字から一定時間経過後においても、錠剤の基材1内において特定染料4が表面1Sの近傍に残留することとなる。つまり、所定の糖類を含むインクジェットインクは、糖類が添加されない場合と比べて、染料(即ち、青1号)の浸透による印刷画像の変褪色を抑制することができる。一方で、所定の糖類を添加したインクジェットインクBでは、光照射による印刷画像の変褪色(光変褪色)を十分に抑制できていない。
これに対し、本実施形態に係るインクジェットインクは、添加する固着剤および溶媒の種類や配合量を選択することにより、インクを被印刷物の表面に固着させて、印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、耐光性を向上するものである。本発明者らは、印刷画像の光変褪色を抑制するには、被印刷物(例えば錠剤)の表面上にインクを固着させることが有効であることを見出した。本例では、錠剤の表面1S上にインクが固着することにより、特定染料4が表面1S上に固着され、結果として、表面1S上に高濃度で特定染料4を残存させることができる。
錠剤の基材1の表面1S上において特定染料4の濃度が高い場合、例えば表面1S上の特定染料4のうち光分解による光変褪色が生じる色材の割合が低減される。つまり、特定染料4の一部に光変褪色が生じても影響は限定的となり、印刷画像の視認性(可読性)の低下が抑制される。これにより、印刷画像全体としての視認性が維持され、結果として印刷画像の光変褪色を十分に抑制することができる。したがって、インクジェットインクの耐光性を向上することができる。そして本発明者らは、低湿度環境下(20%RH程度)で保存し使用した場合は勿論のこと、常湿環境下(50%RH程度)で保存し使用した場合であっても、還元イソマルツロースが、色材として青1号を含むインクを被印刷物の表面に固着する固着剤として機能することを発見した。
具体的には、本実施形態に係るインクジェットインクは、色材である食用染料として青1号を含み、固着剤として還元イソマルツロースを含んでいる。このような構成によれば、常湿環境下(50%RH程度)で保存し使用した場合であっても、被印刷物の表面に色材として用いる特定のタール系色素(本例では、青1号)を含むインクを固着させ、当該表面に上記特定のタール系色素を高濃度で残存させることができる。これにより、本実施形態に係るインクジェットインクは、印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、耐光性を向上することができる。
図1(c)に示すように、本実施形態に係るインクジェットインクに相当するインクジェットインクCを錠剤の基材1の表面1Sに印字すると、インク中の特定染料4(ここでは、青1号)が表面1Sに固着される。具体的には、インクジェットインクCを印字した場合、印字から一定時間経過後の特定染料4の浸透深さZ(μm)は、所定の糖類を含むインクジェットインクBにおける特定染料4の浸透深さYよりもさらに低減されている(Y>Z)。例えば、インクジェットインクCでの特定染料4の浸透深さZは、インクジェットインクBでの特定染料4の浸透深さYの50%程度まで低減される。つまり、インクジェットインクCは、特定染料4の浸透をさらに抑制することができる。このため、当該表面1S上には特定染料4が高濃度で残存し、上述のように印刷画像の視認性の低下が抑制される。これにより、インクジェットインクCを常湿環境下(50%RH程度)で保存し使用した場合であっても、印刷画像の光変褪色が十分に抑制され、インクジェットインクCは、耐光性を向上することができる。
一方、インクジェットインクBは、錠剤の基材1内部において表面1Sの近傍に特定染料4を残存させることはできるものの、特定染料4の浸透の抑制が十分でなく、表面1S上にインクを固着することはできない。つまり、インクジェットインクBでは、表面1S上に残存する特定染料4の濃度が低いため、印刷画像の光変褪色を十分に抑制できず、耐光性が向上(改善)されていない。
このように、本実施形態に係るインクジェットインクは、固着剤として還元イソマルツロースを添加することで、常湿環境下(50%RH程度)で保存し使用した場合であっても、特定のタール系色素(青1号)の被印刷物内部への浸透を大幅に抑制してインクを被印刷物の表面に固着させる。これにより、本実施形態に係るインクジェットインクは、印刷画像の光変褪色を抑制して耐光性を向上することができ、さらに、被印刷物内部への上記特定のタール系色素の浸透による印刷画像の変褪色をも抑制することができる。
また、図1(c)に示すように、錠剤の基材1の表面1S上には、インクジェットインクCが若干盛り上がるようにして固着され得る。これにより、例えばインクジェットインクCを印字した場合、表面1S上において印字が濃く浮き出ているように認識される。このため、例えばインクジェットインクA,Bに比べて、インクジェットインクCでは、印刷画像の印刷時における視認性を向上することができる。つまり、本実施形態に係るインクジェットインクでは、印刷画像の光変褪色による視認性の低下を低減することに加え、印刷時点において印刷画像に良好な視認性を付与することができる。
以下、本実施形態に係るインクジェットインクにおける耐光性の詳細について説明する。
本実施形態に係るインクジェットインクは、耐光試験前後でJIS Z 8781における色差△Eが20以下であればよい。ここで、耐光試験とは、例えば、本実施形態に係るインクジェットインクを用いて印刷された印刷画像について、可視光の照射前後における色度及び光学色濃度の変化量を示す色差ΔE(JIS Z 8781に準拠するもの)を比較する試験である。具体的には、当該印刷画像に累積120万ルクスの可視光を照射する前後で色差ΔEを測定し、その値を比較する。可視光の照射には、例えばキセノンウェザーメーター(東洋精機製作所 Ci4000)を用いる。また、耐光試験における印刷画像は、例えば印刷対象物である錠剤(例えばフィルムコーティング錠)にベタ印刷されたものである。
医療用錠剤等への印刷画像の形成上必要十分な耐光性とは、120万ルクスの可視光を照射する耐光試験において、可視光の照射前後の印刷画像の色差ΔEが20以下を指す場合が多い。色差ΔEが20以下であることを十分な耐光性の判定基準とすることは、発明者らが各医療関係者も交えて実施したオピニオンテストの結果、導き出したものであり、色差ΔEが20を超えると印刷画像の視認性(例えば、印字の可読性)が低下していると認識されはじめる。つまり、可視光照射前後の色差ΔEが20以下であれば、光変褪色が十分に抑制され、耐光性に優れたインクジェットインクであるといえる。なお、一般的な商業印刷物での色差ΔEの目安である3~6よりは大きめな数字であるが、通常、曝光前後の錠剤を比較するようなことは無く、錠剤表面の印刷画像は自然と褪色することを想定しているため、この数字を得ることが出来た。
本実施形態に係るインクジェットインクにおいて、還元イソマルツロースを固着剤として用いる理由は、還元イソマルツロース以外の固着剤(例えば、マルトース)を添加した場合は、錠剤表面における青1号が被印刷物表面に十分に固着されず、ベタ印刷画像について上記耐光試験を行うと色差ΔEが20を超えるためである。還元イソマルツロースを固着剤として添加することで、錠剤表面における青1号を被印刷物表面に十分に固着させることで、耐光試験前後で色差ΔEは20を下回るようになり、インクジェットインクに優れた耐光性が付与される。
以下、本実施形態に係るインクジェットインクを構成する各成分について、説明する。(色材)
上記のように、本実施形態によるインクジェットインクは、食用染料として少なくとも青1号を含んでいる。青1号は、食用タール系色素であって、ブリリアントブルーFCFとも称される。本実施形態に係るインクジェットインクにおいて、青1号の配合割合、すなわち青1号の含有量は、インク全体の質量に対して0.1質量%以上2.5質量%以下の範囲内である。このような構成であれば、印刷画像に良好な視認性を付与するとともに、高い間欠再開性(即ち、優れた印刷性)を付与することができる。また、青1号の含有量が上記範囲内であれば、固着剤である還元イソマルツロースの添加により確実に印刷物の表面に青1号を高濃度で残存させて、印刷画像における光変褪色を抑制し、本実施形態に係るインクジェットインクの耐光性を向上することができる。
これに対し、青1号の含有量が0.1質量%未満であると、印刷色全体が薄くなり印刷画像の視認性が低下する傾向がある。さらに、青1号の含有量が0.1質量%未満であると、常湿環境下(50%RH程度)で保存し使用した場合に耐光性が低下する、あるいは耐光性を発揮しない場合がある。
また、青1号の含有量が2.5質量%を超えると、色材の溶解安定性の悪化によりインク中の色素が固体として析出したり、沈殿したりすることで、印刷時におけるインクジェットヘッドのノズル詰まりの原因となり、所謂、印刷再開性(間欠再開性)が低下し得る。
また、青1号の含有量は、インク全体の質量に対して0.1質量%以上2.5質量%以下の範囲内であれば好ましく、0.2質量%以上1.4質量%以下の範囲内であればより好ましい。
なお、本実施形態によるインクジェットインクには、青1号以外の色素(色材)が含まれてもよい。青1号以外の色素は可食性のものであれば特に制限はない。本実施形態によるインクジェットインクに添加可能な色素は、例えば、従来公知の合成食用色素、天然食用色素から適宜選択して添加することができる。
合成食用色素としては、例えば、タール系色素、天然色素誘導体、天然系合成色素等が挙げられる。タール系色素としては、例えば、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用青色2号、食用赤色2号アルミニウムレーキ、食用赤色3号アルミニウムレーキ、食用赤色40号アルミニウムレーキ、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用5号アルミニウムレーキ、食用青色1号アルミニウムレーキ、食用青色2号アルミニウムレーキ等が挙げられる。天然色素誘導体としては、例えば、ノルビキシンカリウム等が挙げられる。天然系合成色素としては、例えば、β-カロテン、リボフラビン等が挙げられる。
また、天然食用色素としては、例えば、アントシアニン系色素、カロチノイド系色素、キノン系色素、クロロフィル系色素、フラボノイド系色素、ベタイン系色素、モナスカス色素、その他の天然物を起源とする色素が挙げられる。アントシアニン系色素としては、例えば、赤ダイコン色素、赤キャベツ色素、赤米色素、エルダーベリー色素、カウベリー色素、グーズベリー色素、クランベリー色素、サーモンベリー色素、シソ色素、スィムブルーベリー色素、ストロベリー色素、ダークスィートチェリー色素、チェリー色素、ハイビスカス色素、ハクルベリー色素、ブドウ果汁色素、ブドウ果皮色素、ブラックカーラント色素、ブラックベリー色素、ブルーベリー色素、プラム色素、ホワートルベリー色素、ボイセンベリー色素、マルベリー色素、ムラサキイモ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ムラサキヤマイモ色素、ラズベリー色素、レッドカーラント色素、ローガンベリー色素、その他のアントシアニン系色素が挙げられる。カロチノイド系色素としては、例えば、アナトー色素、クチナシ黄色素、その他のカロチノイド系色素が挙げられる。キノン系色素としては、例えば、コチニール色素、シコン色素、ラック色素、その他のキノン系色素が挙げられる。フラボノイド系色素としては、例えば、ベニバナ黄色素、コウリャン色素、タマネギ色素、その他のフラボノイド系色素が挙げられる。ベタイン系色素としては、例えば、ビートレッド色素が挙げられる。モナスカス色素としては、例えば、ベニコウジ色素、ベニコウジ黄色素が挙げられる。その他の天然物を起源とする色素としては、例えば、ウコン色素、クサギ色素、クチナシ赤色素、スピルリナ青色素などが挙げられる。
(固着剤)
本実施形態に係るインクジェットインクは、上述のとおり、被印刷物の表面に青1号を含むインクを固着させるための固着剤を含んでいる。具体的には、本実施形態に係るインクジェットインクに含まれる固着剤は、還元イソマルツロースである。固着剤が還元イソマルツロースであれば、後述する成分構成の溶媒とともにインクジェットインクに添加することで、青1号を含むインクを被印刷物の表面に固着させることができる。これにより、本実施形態によるインクジェットインクは、印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、耐光性を向上することができる。また、本実施形態において固着剤として用いられる還元イソマルツロースは、インクジェットインクの光照射による分解(光分解)を抑制する機能も有する。このため、光変褪色の発生自体を抑制することもできる。
本実施形態に係るインクジェットインクにおける固着剤である還元イソマルツロースの配合割合、すなわち還元イソマルツロースの含有量(質量)は、インクジェットインクに含まれる青1号の質量に対して5.7倍以上16.2倍以下の範囲内である。つまり、本実施形態に係るインクジェットインクにおける還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)は、5.7以上16.2以下の範囲内である。このような構成であれば、還元イソマルツロースによるインクの固着効果がより確実に発揮され、インクジェットインクの耐光性を確実に向上することができる。また、本実施形態に係るインクジェットインクに高い間欠再開性を付与することができる。
これに対し、還元イソマルツロースの配合割合が青1号の質量に対して5.7倍未満であると、インクの固着効果が低減し得る。また、還元イソマルツロースの配合割合が青1号の質量に対して5.7倍未満であると、常湿環境下(50%RH程度)で保存し使用した場合に耐光性が低下する、あるいは耐光性を発揮しない場合がある。
また、還元イソマルツロースの配合割合が青1号の質量に対して16.2倍を超えると、インク粘度の上昇や、還元イソマルツロースの溶解安定性の悪化によりインク中の還元イソマルツロースが固体として析出したり、沈殿したりすることで、印刷時におけるインクジェットヘッドのノズル詰まりの原因となり、間欠再開性が低下し得る。
なお、還元イソマルツロースの配合割合は、青1号の質量に対して5.7倍以上16.2倍以下の範囲内であれば好ましく、7.3倍以上16.2倍以下の範囲内であればより好ましい。
また、還元イソマルツロースの配合割合は、インク全体の質量に対して4.0質量%以上15.0質量%以下の範囲内であれば好ましく、5.1質量%以上10質量%以下の範囲内であればより好ましい。
還元イソマルツロースの配合割合がインク全体の質量に対して4.0質量%未満であると、インクの固着効果が低減し得る。また、還元イソマルツロースの配合割合がインク全体の質量に対して4.0質量%未満であると、常湿環境下(50%RH程度)で保存し使用した場合に耐光性が低下する、あるいは耐光性を発揮しない場合がある。
また、還元イソマルツロースの配合割合がインク全体の質量に対して15.0質量%を超えると、インク粘度の上昇や、還元イソマルツロースの溶解安定性の悪化によりインク中の還元イソマルツロースが固体として析出したり、沈殿したりすることで、印刷時におけるインクジェットヘッドのノズル詰まりの原因となり、間欠再開性が低下し得る。
(溶媒)
本実施形態に係るインクジェットインクは、青1号および還元イソマルツロースに加え、青1号および還元イソマルツロースを溶解(分散)させるために溶媒(分散媒)を含有している。本実施形態に係るインクジェットインクには、溶媒として、水(例えば精製水)と、プロピレングリコールまたはエタノールのうち少なくとも一方とが含まれていれば好ましい。つまり、本実施形態における溶媒は、水とプロピレングリコールとを含んでいてもよいし、水とエタノールとを含んでもよいし、水、プロピレングリコールおよびエタノールを含んでもよい。
一般に、還元イソマルツロースはアルコール類に溶解しづらい性質を有する。このため、本実施形態において、溶媒にプロピレングリコール、エタノールが含まれることにより、固着剤として用いられる還元イソマルツロースの溶媒に対する溶解度が低下する。したがって、本実施形態において固着剤としての還元イソマルツロースとともに上記アルコール類(プロピレングリコール、エタノール)を含む溶媒をインクジェットインクに添加することで、インクの固着効果が確実に発揮され、インクに含まれる青1号を被印刷物(例えば錠剤)の表面により高濃度で残存させることができる。これにより、本実施形態によるインクジェットインクは、印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、耐光性を向上することができる。
また、プロピレングリコールは、湿潤剤として機能し、インクジェットノズルでのインクの乾燥を防止して、インクに十分な間欠再開性を付与することができる。また、エタノールは揮発性が高いことから、インクジェットインクの耐転写性(乾燥性)を向上することができる。
また、本実施形態に係るインクジェットインクにおいて上記溶媒の各成分の配合割合は限定するものではないが、溶媒にプロピレングリコールが含まれる場合、当該プロピレングリコールの配合割合、即ちプロピレングリコールの添加量は、インク全体の質量に対して、2質量%以下の範囲内であることが好ましい。このような構成であれば、インクの乾燥性を損なうことなく印刷することができ、青1号を含むインクの固着効果がさらに向上する。このため、インクジェットインクにより優れた耐光性を付与することができる。
一方、プロピレングリコールの添加量が2質量%を超えると、錠剤表面における印字表面の乾燥の遅れが増して、印刷した錠剤同士が接触したときに未乾燥のインクがもう一方の錠剤に付着して汚れとなるといった不具合(転写不良)の原因となることがある。
また、溶媒にエタノールが含まれる場合、当該エタノールの配合割合、即ちエタノールの添加量は、インク全体の質量に対して、30質量%以上60質量%以下の範囲内であることが好ましい。このような構成であれば、溶媒に対する還元イソマルツロースの溶解度が確実に低下し、青1号を含むインクの固着効果がさらに向上する。このため、インクジェットインクにより優れた耐光性を付与することができる。
一方、エタノールの添加量が30質量%未満であると、溶媒に対する還元イソマルツロースの溶解度の低減効果が低下し得る。一方、エタノールの添加量が60質量%を超えると、インクジェットノズルでのインクの乾燥が生じて印刷時におけるインクジェットヘッドのノズル詰まりの原因となり、間欠再開性が低下し得る。
また、本実施形態に係るインクジェットインクは、溶媒として、グリセリンまたはイソプロピルアルコールのうち少なくとも一方をさらに含んでもよい。具体的には、上記溶媒において、グリセリンまたはイソプロピルアルコールのうちいずれか一方をさらに含んでもよいし、グリセリンおよびイソプロピルアルコールの両方をさらに含んでもよい。グリセリンは、上述のプロピレングリコールと同様に湿潤剤として機能する。また、イソプロピルアルコールは、上述のエタノールと同様に揮発性が高いことから、インクジェットインクの耐転写性(乾燥性)を向上することができる。
(内添樹脂)
本実施形態に係るインクジェットインクは、上述の色素や溶媒以外に、内添樹脂を含有してもよい。本実施形態に係るインクジェットインクに添加可能な内添樹脂は、可食性を有し、且つ水溶性粉末、ペースト、フレーク状の樹脂様物質であって、印字後の乾燥により錠剤表面に皮膜を形成可能な物質であればよい。上記内添樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール4000/ポリエチレングリコール1540等の高分子量ポリエチレングリコール(PEG)、セラック樹脂、メタクリル酸コポリマー(製品名:オイドラギットS100)、マルトデキストリン、エリスリトール等が挙げられる。
(レベリング剤)
本実施形態に係るインクジェットインクは、上述の色素や溶媒、或いは内添樹脂以外に、レベリング剤を含有してもよい。本実施形態に係るインクジェットインクに添加可能なレベリング剤は、可食性を有し、且つ水溶性の界面活性剤であればよい。上記レベリング剤としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例:太陽化学社製ジステアリン酸デカグリセリンQ-182S、同社製モノラウリン酸デカグリセリンQ-12S)、ソルビタン脂肪酸エステル(例:日光ケミカルズ社NIKKOLSL-10)、ショ糖脂肪酸エステル(例:第一工業製薬社製 DKエステルF-110)、ポリソルベート(花王社製 エマゾールS-120シリーズ)等が挙げられる。
〔印刷方法〕
本実施形態に係るインクジェットインクは、印刷方法について特に限定されず、市販のインクジェットプリンタ等のインクジェット装置を用いた印刷が可能である。このため、本実施形態に係るインクジェットインクは、応用範囲が広く、非常に有用である。例えば、本実施形態に係るインクジェットインクは、ピエゾ素子(圧電セラミックス)をアクチュエータとする、所謂ドロップオンデマンド方式のインクジェット装置で印刷し得るし、他の方式のインクジェット装置でも印刷し得る。
ドロップオンデマンド方式のインクジェット装置としては、例えば、微小発熱素子を瞬間的に高温(200~300℃)にすることで発生する水蒸気圧力でインクジェットインクを吐出するサーマルインクジェット方式を採用した装置や、アクチュエータを静電気振動させることでインクジェットインクを吐出する静電タイプの装置、超音波のキャビテーション現象を利用する超音波方式を採用した装置等が挙げられる。また、本実施形態に係るインクジェットインクが荷電性能を備えていれば、連続噴射式(コンティニュアス方式)を採用した装置を利用することも可能である。
〔錠剤〕
本実施形態では、本実施形態に係るインクジェットインクを、上述の印刷方法を用いて、例えば錠剤の表面に印字、印画してもよい。つまり、本実施形態に係る錠剤は、本実施形態に係るインクジェットインク用いて印刷した印刷部、すなわち印刷画像を備えていればよい。本実施形態に係るインクジェットインクであれば、例えば、医療用錠剤の表面にインクジェット印刷法を用いて施された印刷画像の耐光性を向上させることができる。以下、実施形態に係るインクジェットインクで印刷した印刷画像を備える錠剤の構成について説明する。
本実施形態に係る錠剤は、例えば、医療用錠剤である。ここで、「医療用錠剤」とは、例えば、素錠(裸錠)、糖衣錠、腸溶錠、口腔内崩壊錠などのほか、錠剤の最表面に水溶性表面層が形成されているフィルムコーティング錠などを含むものである。
図2は、印刷(印字、印画)がなされた医療用錠剤(素錠)の一例を示す概略断面図である。図2には、断面視で、錠剤の基材1の上面に文字などの印刷画像3が印刷された素錠印刷物5が示されている。
図3は、印刷(印字、印画)がなされた医療用錠剤(フィルムコーティング錠)の一例を示す概略断面図である。図3には、断面視で、表面にフィルムコート層7が形成された錠剤の基材1の上面に文字などの印刷画像3が印刷されたフィルムコート錠印刷物9が示されている。
なお、本実施形態では、図4に示すように、素錠印刷画像11としてベタ画像を印刷してもよく、図5に示すように、フィルムコート錠印刷画像13として二次元バーコードを印刷してもよい。
医療用錠剤中に含有される活性成分は特に限定されない。例えば、種々の疾患の予防・治療に有効な物質(例えば、睡眠誘発作用、トランキライザー活性、抗菌活性、降圧作用、抗アンギナ活性、鎮痛作用、抗炎症活性、精神安定作用、糖尿病治療活性、利尿作用、抗コリン活性、抗胃酸過多作用、抗てんかん作用、ACE阻害活性、β-レセプターアンタゴニストまたはアゴニスト活性、麻酔作用、食欲抑制作用、抗不整脈作用、抗うつ作用、抗血液凝固活性、抗下痢症作用、抗ヒスタミン活性、抗マラリア作用、抗腫瘍活性、免疫抑制活性、抗パーキンソン病作用、抗精神病作用、抗血小板活性、抗高脂血症作用等を有する物質など)、洗浄作用を有する物質、香料、消臭作用を有する物質等を含むが、それらに限定されない。
本実施形態に係る錠剤は、必要に応じて、活性成分とともにその用途上許容される担体を配合することができる。例えば、医療用錠剤であれば、医薬上許容される担体を配合することができる。医薬上許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、例えば、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、増粘剤等が適宜適量配合される。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物を用いることもできる。
本実施形態では、錠剤として医療用錠剤を例に挙げて説明したが、本発明のこれに限定されるものではない。本実施形態に係るインクジェットインクの印刷対象は特に制限されず、例えば、ヒト以外の動物(ペット、家畜、家禽等)に投与する錠剤、飼料、肥料、洗浄剤、ラムネ菓子などの錠菓やサプリメント等の食品といった各種錠剤の表面に印刷してもよい。また、本実施形態に係るインクジェットインクは、印刷対象のサイズについても特に制限されず、種々のサイズの錠剤について適用可能である。
(本実施形態の効果)
(1)本実施形態に係るインクジェットインクは、食用染料として青1号をインクジェットインク全体の質量に対して0.1質量%以上2.5質量%以下の範囲内で含み、固着剤として還元イソマルツロースを青1号の質量に対して5.7倍以上16.2倍以下の範囲内で含んでいる。
このような構成であれば、インクジェットインクを常湿環境下(50%RH程度)で保存し使用した場合に、従来技術と比較して、印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、インクジェットインクに優れた耐光性を付与することができる。
(2)本実施形態に係るインクジェットインクは、還元イソマルツロースの配合割合がインクジェットインク全体の質量に対して4.0質量%以上15.0質量%以下の範囲内であってもよい。
このような構成であれば、インクジェットインクを常湿環境下(50%RH程度)で保存し使用した場合に、従来技術と比較して、印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、インクジェットインクに優れた耐光性を付与することができる。
(3)また、本実施形態に係るインクジェットインクは、溶媒として、水、および、PGまたはエタノールを含んでいてもよい。
このような構成であれば、インクジェットインクを常湿環境下(50%RH程度)で保存し使用した場合に、従来技術と比較して、インクジェットインクに優れた耐光性を付与しつつ、溶媒の各成分に応じた性能(間欠再開性の向上や、錠剤の乾燥性の向上)をインクに付与することができる。
(4)本実施形態に係る錠剤は、上述したインクジェットインクで印刷した印刷画像(印刷部の一例)3を備えている。
このような構成であれば、インクジェットインクを常湿環境下(50%RH程度)で保存し使用した場合に、従来技術と比較して、錠剤の表面等に直接印刷した印刷画像3等における光変褪色を十分に抑制し、印刷画像3の耐光性を十分に向上することができる。さらに、錠剤の表面に印刷された印刷画像部分に対しても可食性を付与することができる。
[実施例]
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、実施例により何ら限定されるものではない。
<実施例1>
以下、実施例1によるインクジェットインクの調製手順を説明する。
(インクジェットインクの製造)
まず、印刷用インクを調製した。インクジェットインクは、色素(色材)、溶媒、固着剤(還元イソマルツロース)の各成分を含んでいる。調製の順序としては、まず、溶媒に固着剤である還元イソマルツロースを添加して透明ベース液を得た。次いで、その透明ベース液に、食用染料を添加した。こうして、本実施例に係るインクを調製した。以下、具体的に各種成分について説明する。
実施例1~26及び比較例1~6では、溶媒には精製水(イオン交換水)、プロピレングリコールおよびエタノールおよびイソプロピルアルコール(IPA:2-プロパノール)を必要に応じてそれぞれ用いた。
本実施例では、精製水にプロピレングリコールおよびエタノールおよびイソプロピルアルコールを添加し、よく撹拌して溶媒(混合溶媒)を得た。また前述の溶媒に固着剤として還元イソマルツロースを添加し、1時間程度撹拌して透明ベース液を得た。前述の透明ベース液に、色材として食用染料である青1号及び黄色4号及び赤102号を添加して実施例1のインクジェットインクを得た。実施例1のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を0.7質量%とし、黄色4号の配合割合を1.0質量%とし、赤102号の配合割合を0.9質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を63.3質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を30.0質量%とし、さらに固着剤である還元イソマルツロースの配合割合を4.0質量%とした。
こうして、実施例1のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を5.7に調整した。
<実施例2>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.7質量%とし、黄色4号の配合割合を1.0質量%とし、赤102号の配合割合を0.9質量%とし、精製水の配合割合を62.5質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を30.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を4.8質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例2のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例2のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を6.9に調整した。
<実施例3>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.7質量%とし、黄色4号の配合割合を1.0質量%とし、赤102号の配合割合を0.9質量%とし、精製水の配合割合を62.2質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を30.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を5.1質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例3のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例3のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を7.3に調整した。
<実施例4>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.7質量%とし、黄色4号の配合割合を1.0質量%とし、赤102号の配合割合を0.9質量%とし、精製水の配合割合を61.7質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を30.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を5.6質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例4のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例4のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を8.0に調整した。
<実施例5>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を1.1質量%とし、黄色4号の配合割合を1.6質量%とし、赤102号の配合割合を1.5質量%とし、精製水の配合割合を55.7質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を30.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を10.0質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例5のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例5のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を9.1に調整した。
<実施例6>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.7質量%とし、黄色4号の配合割合を1.0質量%とし、赤102号の配合割合を0.9質量%とし、精製水の配合割合を60.9質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を30.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を6.4質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例6のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例6のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を9.1に調整した。
<実施例7>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.5質量%とし、黄色4号の配合割合を0.3質量%とし、赤102号の配合割合を1.0質量%とし、精製水の配合割合を50.2質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を40.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を7.9質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例7のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例7のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を15.8に調整した。
<実施例8>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.5質量%とし、黄色4号の配合割合を0.3質量%とし、赤102号の配合割合を1.0質量%とし、精製水の配合割合を50.0質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を40.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を8.1質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例8のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例8のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を16.2に調整した。
<実施例9>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.7質量%とし、黄色4号の配合割合を1.0質量%とし、赤102号の配合割合を0.9質量%とし、精製水の配合割合を60.9質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、イソプロピルアルコール(IPA)の配合割合を30.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を6.4質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例9のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例9のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を9.1に調整した。
<実施例10>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.7質量%とし、黄色4号の配合割合を1.0質量%とし、赤102号の配合割合を0.9質量%とし、精製水の配合割合を30.9質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、イソプロピルアルコールの配合割合を60.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を6.4質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例10のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例10のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を9.1に調整した。
<実施例11>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.7質量%とし、黄色4号の配合割合を1.0質量%とし、赤102号の配合割合を0.9質量%とし、精製水の配合割合を61.0質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0質量%とし(つまり、プロピレングリコールを含まず)、イソプロピルアルコールの配合割合を30.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を6.4質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例11のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例11のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を9.1に調整した。
<実施例12>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.1質量%とし、黄色4号の配合割合を0.3質量%とし、赤102号の配合割合を1.0質量%とし、精製水の配合割合を56.9質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を40.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を1.6質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例12のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例12のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を16.0に調整した。
<実施例13>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.2質量%とし、黄色4号の配合割合を0.3質量%とし、赤102号の配合割合を1.0質量%とし、精製水の配合割合を55.3質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を40.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を3.1質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例13のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例13のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を15.5に調整した。
<実施例14>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.3質量%とし、黄色4号の配合割合を0.3質量%とし、赤102号の配合割合を1.0質量%とし、精製水の配合割合を53.6質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を40.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を4.7質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例14のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例14のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を15.7に調整した。
<実施例15>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.6質量%とし、黄色4号の配合割合を0.8質量%とし、赤102号の配合割合を0.7質量%とし、精製水の配合割合を43.8質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を50.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を4.0質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例15のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例15のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を6.7に調整した。
<実施例16>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を1.4質量%とし、黄色4号の配合割合を1.6質量%とし、赤102号の配合割合を1.5質量%とし、精製水の配合割合を53.4質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を30.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を12.0質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例16のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例16のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を8.6に調整した。
<実施例17>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を1.5質量%とし、黄色4号の配合割合を0質量%とし(つまり、黄色4号を含まず)、赤102号の配合割合を0質量%とし(つまり、赤102号を含まず)、精製水の配合割合を45.4質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を40.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を13.0質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例17のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例17のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を8.7に調整した。
<実施例18>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を2.1質量%とし、黄色4号の配合割合を0.3質量%とし、赤102号の配合割合を1.0質量%とし、精製水の配合割合を41.5質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を40.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を15.0質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例18のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例18のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を7.1に調整した。
<実施例19>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を2.5質量%とし、黄色4号の配合割合を0.3質量%とし、赤102号の配合割合を1.0質量%とし、精製水の配合割合を41.1質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を40.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を15.0質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例19のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例19のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を6.0に調整した。
<実施例20>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.7質量%とし、黄色4号の配合割合を1.0質量%とし、赤102号の配合割合を0.9質量%とし、精製水の配合割合を51.7質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を40.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を5.6質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例20のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例20のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を8.0に調整した。
<実施例21>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.6質量%とし、黄色4号の配合割合を0.8質量%とし、赤102号の配合割合を0.7質量%とし、精製水の配合割合を33.8質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を60.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を4.0質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例21のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例21のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を6.7に調整した。
<実施例22>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.7質量%とし、黄色4号の配合割合を1.0質量%とし、赤102号の配合割合を0.9質量%とし、精製水の配合割合を61.8質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0質量%とし(つまり、プロピレングリコールを含まず)、エタノールの配合割合を30.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を5.6質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例22のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例22のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を8.0に調整した。
<実施例23>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.7質量%とし、黄色4号の配合割合を1.0質量%とし、赤102号の配合割合を0.9質量%とし、精製水の配合割合を61.3質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.5量%とし、エタノールの配合割合を30.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を5.6質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例23のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例23のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を8.0に調整した。
<実施例24>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.7質量%とし、黄色4号の配合割合を1.0質量%とし、赤102号の配合割合を0.9質量%とし、精製水の配合割合を60.8質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を1.0量%とし、エタノールの配合割合を30.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を5.6質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例24のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例24のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を8.0に調整した。
<実施例25>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.7質量%とし、黄色4号の配合割合を1.0質量%とし、赤102号の配合割合を0.9質量%とし、精製水の配合割合を60.3質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を1.5量%とし、エタノールの配合割合を30.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を5.6質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例25のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例25のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を8.0に調整した。
<実施例26>
本実施例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.7質量%とし、黄色4号の配合割合を1.0質量%とし、赤102号の配合割合を0.9質量%とし、精製水の配合割合を59.8質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を2.0量%とし、エタノールの配合割合を30.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を5.6質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして実施例26のインクジェットインクを得た。
こうして、実施例26のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を8.0に調整した。
<比較例1>
本比較例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を1.1質量%とし、黄色4号の配合割合を1.6%とし、赤102号の配合割合を1.5質量%とし、精製水の配合割合を41.7質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を50.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を4.0質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして比較例1のインクジェットインクを得た。
こうして、比較例1のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を3.6に調整した。
<比較例2>
本比較例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を1.1質量%とし、黄色4号の配合割合を1.6質量%とし、赤102号の配合割合を1.5質量%とし、精製水の配合割合を60.9質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を30.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を4.8質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして比較例2のインクジェットインクを得た。
こうして、比較例2のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を4.4に調整した。
<比較例3>
本比較例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0.7質量%とし、黄色4号の配合割合を0.3質量%とし、赤102号の配合割合を1.0質量%とし、精製水の配合割合を42.4質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を40.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を15.5質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして比較例3のインクジェットインクを得た。
こうして、比較例3のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を22.1に調整した。
<比較例4>
本比較例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を0質量%とし(つまり、青1号を含まず)、黄色4号の配合割合を0質量%とし(つまり、黄色4号を含まず)、赤102号の配合割合を0.7質量%とし、精製水の配合割合を45.2質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を50.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を4.0質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして比較例4のインクジェットインクを得た。
こうして、比較例4のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を解なし(計算不可)に調整した。
<比較例5>
本比較例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を3.0質量%とし、黄色4号の配合割合を0.3質量%とし、赤102号の配合割合を1.0質量%とし、精製水の配合割合を37.6質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を40.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を18.0質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして比較例5のインクジェットインクを得た。
こうして、比較例5のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を6.0に調整した。
<比較例6>
本比較例では、インクジェットインク全体に対して、青1号の配合割合を1.1質量%とし、黄色4号の配合割合を1.5質量%とし、赤102号の配合割合を1.4質量%とし、精製水の配合割合を57.3質量%とし、プロピレングリコールの配合割合を0.1質量%とし、エタノールの配合割合を35.0質量%とし、さらに還元イソマルツロースの配合割合を3.6質量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして比較例6のインクジェットインクを得た。
こうして、比較例6のインクジェットインクにおける、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を3.3に調整した。
前述の実施例1~26及び比較例1~6の各インクを、それぞれメンブレンフィルターを通過させることによって液中の固体異物を除去した。具体的には、口径5.0μmのメンブレンフィルター(酢酸セルロース膜)を1回透過させ、続いて口径0.8μmのメンブレンフィルター(酢酸セルロース膜)を1回透過させることで精製インクをそれぞれ得た。
<評価>
上記各実施例及び各比較例のインクによる上記精製インクについて、以下の方法で耐光性、及び間欠再開性(印刷性)を評価した。評価結果を上記各実施例及び各比較例のインク組成と併せて後述の表1~5に示す。
(耐光試験)
印刷解像度が主走査方向600dpi、副走査方向(錠剤等記録媒体の搬送方向)600dpi、トータルノズル数2,656の圧電セラミック駆動のドロップオンデマンド型インクジェットヘッドを用い、上記実施例1~26および比較例1~6の精製インクを1ドロップ6plの印刷ドロップ量にて画像を、下記錠剤にそれぞれ印刷した。なお、上記実施例1~26および比較例1~6の精製インクは、60%RHで印刷し、常湿環境下(50%RH)で耐光試験を行った。
印刷対象の錠剤は、テスト用フィルムコーティング錠(基剤:調整澱粉、コーティング剤:ヒドロキシプロピルメチルセルロース70%・酸化チタン30%の混合、直径:6.5mm)とした。また、印刷画像は、円形のベタ画像(直径4.0mm)とした。これによりフィルムコーティング錠印刷物を得た。
色度及び光学色濃度を測定した各実施例および各比較例の上記フィルムコーティング錠印刷物に対して、キセノンウェザーメーター(東洋精機製作所 Ci4000)を用いて累積120万ルクスの可視光を照射した。耐光性試験期間中、試験室内の湿度を60%RHに調整し、試験機内の湿度が常湿環境下(50%RH)になるように管理した。可視光を照射したフィルムコーティング錠印刷物に対し分光光度計にて色度及び光学色濃度を測定し、可視光の照射前後における色度及び光学色濃度の変化量を示す色差ΔE(JIS Z 8781に準拠するもの)を比較した。比較した結果を表1~5に示した。上述のように、可視光の照射前後の色味の変化について、上述のように、発明者らは、JIS Z 8781における色差ΔEが20以下(ΔE≦20)であれば、光変褪色が十分に抑制され、優れた耐光性を持つことを導き出した。そこで、ΔE≦20であれば、インクジェットインクが優れた耐光性を有しているとして、本評価においては合格とし、ΔE≦12であれば、インクジェットインクが非常に優れた耐光性を有しているとして、本評価においてより優れたものと見なした。また、色差ΔEの測定ができなかったサンプルについては「-」を付した。
なお、以下表1~5では、色差ΔEの値に基づいて可読性も評価をした。可読性の評価基準は以下の通りである。
◎:ΔE≦12
〇:12<ΔE≦20
×:20<ΔE
(間欠再開性試験:印刷性試験)
印刷解像度が主走査方向600dpi、副走査方向(錠剤等記録媒体の搬送方向)600dpi、トータルノズル数2,656の圧電セラミック駆動のドロップオンデマンド型インクジェットヘッドを用い、規定時間(30分間)フラッシング無く放置した後、1ドロップ6plの印刷ドロップ量にて、テストパターンを印刷し、全ノズルから不吐出量なく吐出できていることを確認した。なお、以下表1~5では、間欠再開性の評価結果として、インクの吐出が可能な放置時間を測定した。評価基準は以下の通りである。なお、上記実施例1~26および比較例1~6の精製インクは、60%RHで印刷し、常湿環境下(50%RH)で耐光試験を行った。
〇:30分間以上
×:30分間未満
各実施例及び各比較例のインクジェットインクの組成および評価結果を表1~5に示す。なお、表1~5中で「-」の部分は、評価不可を示す。
表1は、還元イソマルツロースと青1号との質量比(還元イソマルツロースの質量/青1号の質量)を変化させた場合における耐光性及び印刷性の各評価結果の変化を示す。
表2は、青1号の配合割合を変化させた場合における耐光性及び印刷性の各評価結果の変化を示す。
表3は、還元イソマルツロースの含有率を変化させた場合における耐光性及び印刷性の各評価結果の変化を示す。
表4は、エタノールの配合割合を変化させた場合における耐光性及び印刷性の各評価結果の変化を示す。
表5は、プロピレングリコールの配合割合を変化させた場合における耐光性及び印刷性の各評価結果の変化を示す。
なお、各表には、配合割合や含有率を変化させた場合における各評価結果の変化を示すために重複した実施例や比較例の記載がある。
Figure 0007351430000001
Figure 0007351430000002
Figure 0007351430000003
Figure 0007351430000004
Figure 0007351430000005
表1~5に示すように、実施例1~26のフィルムコーティング錠印刷物においては、耐光試験の結果として、可視光の照射前後の色差△Eはいずれも20以下(ΔE≦20)となった。具体的には、実施例1~26のフィルムコーティング錠印刷物において、可視光の照射前後の色差△Eは7.2~19.6の範囲内であり、いずれも20未満となった。つまり、実施例1~26のインクジェットインクは、常湿環境下(50%RH)の場合であっても印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、優れた耐光性が付与されていることが分かった。これに対し、表1~5に示すように比較例1~6のフィルムコーティング錠印刷物においては、耐光試験の結果として、可視光の照射前後の色差△Eはいずれも20を超える値(ΔE>20)となった。つまり、比較例1~6のインクジェットインクは、常湿環境下(50%RH)で保存し使用した場合、印刷画像の光変褪色が十分に抑制できず、耐光性が不足していることが分かった。
上記耐光試験の結果から、食用染料として青1号をインクジェットインク全体の質量に対して0.1質量%以上2.5質量%以下の範囲内で含み、固着剤として還元イソマルツロースを青1号の質量に対して5.7倍以上16.2倍以下の範囲内で含むインクジェットインクであれば、常湿環境下(50%RH)で保存し使用した場合であっても印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、優れた耐光性が付与されることがわかった。
さらに、表1~5に示すように、実施例1~26のインクジェットインクでは、常湿環境下(50%RH)で保存し使用した場合であっても間欠再開性の評価結果が何れも「〇」であり、優れた耐光性とともに十分な間欠再開性を有することが分かった。
また、例えば、本発明は以下のような構成を取ることができる。
(1)
食用染料として青1号をインクジェットインク全体の質量に対して0.1質量%以上2.5質量%以下の範囲内で含み、
固着剤として還元イソマルツロースを前記青1号の質量に対して5.7倍以上16.2倍以下の範囲内で含むことを特徴とするインクジェットインク。
(2)
前記還元イソマルツロースの配合割合がインクジェットインク全体の質量に対して4.0質量%以上15.0質量%以下の範囲内であることを特徴とする上記(1)に記載のインクジェットインク。
(3)
溶媒として、水、および、PGまたはエタノールを含むことを特徴とする上記(1)または(2)に記載のインクジェットインク。
(4)
上記(1)から(3)のいずれか1項に記載のインクジェットインクを使用して印刷した印刷部を備えたことを特徴とする錠剤印刷物。
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
1 錠剤の基材
3 印刷画像
5 素錠印刷物
7 フィルムコート層
9 フィルムコート錠印刷物
11 素錠印刷画像(ベタ画像)
13 フィルムコート錠印刷画像(二次元バーコード)

Claims (3)

  1. 食用染料として青1号をインクジェットインク全体の質量に対して0.1質量%以上2.5質量%以下の範囲内で含み、
    固着剤として還元イソマルツロースを前記青1号の質量に対して5.7倍以上16.2倍以下の範囲内で含み、
    溶媒として、水、および、PG(プロピレングリコール)またはエタノールを含むことを特徴とするインクジェットインク。
  2. 前記還元イソマルツロースの配合割合がインクジェットインク全体の質量に対して4.0質量%以上15.0質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットインク。
  3. 請求項1または請求項2に記載のインクジェットインクを使用して印刷した印刷部を備えたことを特徴とする錠剤印刷物。
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