JP3832367B2 - トロイダル型無段変速機の変速制御機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トロイダル型無段変速機の変速制御機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トロイダル型無段変速機は通常、入出力ディスクを同軸に対向配置して具え、これら入出力ディスク間に一対のパワーローラを相互に対向させて介在させ、これらパワーローラを介し入出力ディスク間で動力の受け渡しが可能な構成にする。
【0003】
変速に当たっては、両パワーローラを個々に回転自在に支持したトラニオンをトラニオン軸線方向へ相互逆向きにストロークさせることで両パワーローラを、それぞれの回転軸線が入出力ディスクの回転軸線と交差する中立位置からオフセットさせる。
この時パワーローラが、回転時の分力を受けてそれぞれのトラニオンと共にトラニオン軸線の周りで傾転され、入出力ディスクに対する接触軌跡円径を変化されることで無段変速を行うことができ、変速比が目標値になった時トラニオンの復帰ストロークによりパワーローラを上記の中立位置に戻すことで目標変速比を維持することができる。
【0004】
上記の変速に鑑み明らかなように、パワーローラに作用するトラニオン軸線方向の抗力はパワーローラ間で差が発生しないよう均等である必要があり、従来はかかる要求から例えば特開平2−163567号公報に記載のごとく、各トラニオンに個々にサーボピストンを設け、これら全てのサーボピストンに同様な油圧を作用させる構成を採用するのが普通であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のように各トラニオンに個々にサーボピストンを設けることが必須である従来の構成では、サーボピストンの設置個数が多くなり、トラニオンに対するサーボピストンの取り付け位置が限定されることもあって、レイアウトの自由度が低いと共にトロイダル型無段変速機の小型化が妨げられるという問題を生ずる。
【0006】
本発明は、各パワーローラのトラニオン軸線方向抗力を均等にするに際し、従来のように油圧バランスに頼るのではなく、機構上の工夫により当該抗力の均等を実現し得るようになし、これにより、トラニオンが複数個であってもトラニオンのストロークを司るアクチュエータが1個のみで足りるようにして上記の問題を解消したトロイダル型無段変速機の変速制御機構を提案することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的のため、本発明によるトロイダル型無段変速機の変速制御機構は、請求項1に記載のごとくに構成する。
つまり、上記した型式のトロイダル型無段変速機におけるトラニオンの隣り合う一端部にそれぞれ変速リンク部材を、トラニオン軸線周りに回転自在にし、且つ、トラニオン軸線方向に変位不能に係着して揺動自在に設ける。
そして、これら変速リンク部材を、前記両トラニオン軸線を通る面内において相互に接近する方向へ延在させ、それぞれの先端同士を両トラニオン間で上記揺動に呼応した回動が可能となるよう連節し、各変速リンク部材を当該連節部と、対応するトラニオンとの間において枢支する。
【0008】
【発明の効果】
かかる本発明の構成によれば、両パワーローラに作用するトラニオン軸線方向の抗力が、これらパワーローラに係わるトラニオンにそれぞれ上記のごとく設けた変速リンク部材を介して相互に影響し合うため、両パワーローラのトラニオン軸線方向抗力を同じにすることができる。
従って、トラニオンが複数個であってもトラニオンのストロークを司るアクチュエータが1個のみで足りることとなり、従来のように各トラニオンに個々にサーボピストンを設ける場合に生じていたレイアウトの自由度に関する問題およびトロイダル型無段変速機の大型化に関する問題を解消することができる。
【0009】
パワーローラの変速用のオフセットを生じさせるようにするためには、請求項2に記載のごとく、両変速リンク部材の前記枢支点を固定とし、両変速リンク部材の回動可能に連節した先端同士を相互に回動方向へ接近または離反させることにより上記オフセットを生じさせるアクチュエータを設けるのが良い。
この場合アクチュエータを、モータのような電動機とその回転駆動により上記接近または離反を行うネジ構造との組み合わせとすることができ、変速制御機構の設計の自由度が飛躍的に高くなる。
またアクチュエータを油圧式に構成するにしても、位置制御のみでよく力の制御が不要であるから、制御油圧を低く設定することが可能となってポンプ駆動負荷の低減により伝動効率を高めることができる。
【0010】
パワーローラの変速用のオフセットを生じさせるようにするためには、上記に代えて請求項3に記載のごとく、一方の変速リンク部材の前記枢支点を固定とし、他方の変速リンク部材の前記枢支点をトラニオン軸線方向にストロークさせることにより上記オフセットを生じさせるアクチュエータを設けるのが良い。
この場合、請求項2に記載の構成によると同じ上記作用効果が得られるほか、上記他方の変速リンク部材に係わる枢支点のストローク位置を、固定部に対する相対位置として位置制御することになるため、変速制御が高精度になると共に変速制御がし易くなるという作用効果が得られる。
【0011】
なお、上記のように変速制御機構を構成する場合においては請求項2に記載のごとく、各変速リンク部材のトラニオンに対する揺動自在部、先端間連節部、中間枢支部のうち、2箇所を変速リンク部材の長手方向へ変位可能にするのが良い。
この場合、変速リンク部材が両パワーローラのトラニオン軸線方向抗力を同じにするよう動作する時のこじりを無くして上記の作用効果を一層確実なものにすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態になる変速制御機構を具えたロイダル型無段変速機を示し、このトロイダル型無段変速機は、入力ディスク1と、これに同軸に対向配置した出力ディスク(図面の手前側に配置されているため見えていない)と、これら入出力ディスク間における一対のパワーローラ2,3とを主たる要素とする。
パワーローラ2,3は、入出力ディスク(入力ディスク1のみを示す)間で油膜の剪断により動力伝達を行うようこれら入出力ディスク間に介在させ、これら入出力ディスクの回転軸線O1を挟んでその両側に対向配置する。
【0013】
そしてパワーローラ2,3は個々のトラニオン4,5に回転自在に支持し、これらトラニオン4,5は、相互に隣り合う上端同士を板状アッパーリンク6の両端に連節し、相互に隣り合う可下端同士を板状ロアリンク7の両端に連節する。これらの連節に当たっては、外側の球面継手と内側の回転軸受とで構成される複合継手8によりトラニオン4,5の上端および下端を板状リンク6,7に対し回転自在に且つ交角変化可能に連節する。
ここで板状リンク6,7は、パワーローラ2,3が入出力ディスク間からの挟圧力によっても、これら入出力ディスク間から追い出されることのないよう機能する。
【0014】
アッパーリンク6は、トラニオン4,5の上端間において変速機ケース(図示せず)に球面継手9により揺動可能に支持し、ロアリンク7は、トラニオン4,5の下端間において変速機ケースに球面継手10により揺動可能に支持する。
【0015】
ここで、上記トロイダル型無段変速機の伝動作用を説明するに、入力ディスク1への回転入力は図示せざるローディングカムを介して行われる。
このローディングカムは入力トルクに応じたスラストを発生して、入力ディスク1を図示せざる出力ディスクに向け付勢し、これによりパワーローラ2,3を伝達トルクに応じたスラストで入出力ディスク間に挟圧する。
よってパワーローラ2,3はそれぞれ、入出力ディスク間での動力伝達を行うことができる。
つまり、入力ディスク1の回転は、これに油膜の剪断を介して係合するパワーローラ2,3に伝達され、パワーローラ2,3を軸線O2の周りに回転させ、パワーローラ2,3は、これらに油膜の剪断を介して係合する出力ディスクに回転を伝達し、この出力ディスクから動力を取り出すことができる。
【0016】
上記の伝動中にトラニオン4,5を、パワーローラ回転軸線O2と直交するトラニオン軸線O3の方向へ、同位相で(同じ変速方向:相互に逆の方向に)同期してストロークさせることにより以下の変速作用を行うものとする。
つまり、トラニオン4,5の上記ストロークによりパワーローラ2,3は、パワーローラ回転軸線O2がディスク回転軸線O1と交差した、図1に示す中立(非変速)位置からトラニオン軸線O3の方向へ変位され、パワーローラ回転軸線O2がディスク回転軸線O1から対応方向へずれたオフセット位置になる。
【0017】
かかるオフセットによりパワーローラ2,3は上記の回転伝動中に、トラニオン軸線O3の周りの回転分力を入出力ディスクから受けるようになり、トラニオン軸線O3の周りに同期して同位相で傾転される。
これにより入出力ディスクに対するパワーローラ2,3の接触軌跡円径が連続的に変化し、入出力ディスク間の伝動比(変速比)を無段階に変化させることができる。
なお、変速比が所定値になったところで、パワーローラ2,3をオフセット0の中立位置に戻すことにより、当該所定変速比を維持することができる。
【0018】
ところで本実施の形態においては、上記変速のための変速制御機構を特に以下の構成とする。
つまり、ロアリンク7から下方に突出するトラニオン4,5の下端にそれぞれ変速リンク部材11,12を設ける。
これら変速リンク部材11,12は、それぞれの基端をトラニオン4,5の下端に対しトラニオン軸線O3の周りに回転自在とするが、トラニオン軸線O3の方向に変位不能に係着して揺動自在に取り付ける。
【0019】
これがため図2(a),(b)に示すごとく、トラニオン4,5の下端に円盤13を回転自在に嵌合し、この円盤13を、その両側に位置するようトラニオン4,5に固設した対向フランジ14,15間に挟んでトラニオン軸線O3の方向に変位不能に係着する。
なお、円盤13とフランジ14,15との間には転がり素子16を介装して円盤13がトラニオン4,5に対して容易に相対回転し得るようにする。
【0020】
円盤13の外周には、直径方向に対向する2箇所において径方向外方へ突出するピン13aを設け、変速リンク部材11,12の基端を図2(b)に明示するごとく二股形状として、それぞれの脚部端面に開口するよう切り欠き溝11a,12aを形成し、円盤13の2個のピン13aをこれら切り欠き溝11a,12a内に滑入させることにより変速リンク部材11,12をピン13aの周りで揺動可能とする。
【0021】
上記のようにしてトラニオン4,5の下端に対しトラニオン軸線O3の周りに回転自在に、しかし、トラニオン軸線O3の方向に変位不能に係着して揺動自在に取り付けた変速リンク部材11,12は図1に示すごとく、相互に接近する方向に延在させて、これら変速リンク部材11,12の先端同士をトラニオン4,5間の、好ましくは中間位置で変速リンク部材11,12の前記揺動に呼応した回動が可能となるよう連節する。
【0022】
これがため図1に示すように、変速リンク部材11,12の先端にそれぞれ球面継手17,18を摺動自在に嵌合し、これら球面継手17,18間をコネクティングロッド19により連結する。
球面継手17はコネクティングロッド19の先端ネジ部に螺合させ、球面継手18はコネクティングロッド19に対しロッド軸線方向に位置決めして回転自在に取着する。
【0023】
コネクティングロッド19の下端は、変速アクチュエータである変速制御モータ20のモータ駆動軸21に図3(a),(b)のごとく駆動結合する。
すなわち、モータ駆動軸21を中空としてその内部にコネクティングロッド19の下端19aを挿入するが、この下端19aを円板形状として、モータ駆動軸21の中空孔内周面に形成した軸線方向溝21a内に滑動可能に回転係合させる。
かくてコネクティングロッド19は、モータ駆動軸21からの回転力を入力され得るが、モータ駆動軸21に対し軸線方向には自由に相対変位可能であり、また、円板形状とした下端19aの平面内で図3(a)の矢αのごとく自由に相対傾動可能である。
【0024】
コネクティングロッド19は更に、円板形状とした下端19aの平面に直角な平面内でも矢βのごとく傾動可能にするため、コネクティングロッド19を球面継手18および下端19a間において軸線方向に分割すると共にこれら分割した部分間をピン22により相互に傾動可能に連結する。
【0025】
各変速リンク部材11,12は更に図1のごとく、両者の先端間連節部(球面継手17,18)と、対応するトラニオン4,5との間、好ましくは中間位置においてピン23,24により枢支する。
これら枢支ピン23,24は固定ブロック25,26に挿通することで位置を固定し、これらピン23,24により提供される変速リンク部材11,12の枢支点を固定とする。
ただし変速リンク部材11,12の、トラニオン4,5に対する揺動取り付け部および変速リンク部材11,12の先端間連節部は、これら部分がそれぞれ図2および図3につき前述した構造であるため、位置を固定されることがなくて変速リンク部材11,12の長手方向に変位可能である。
【0026】
上記本実施の形態になる変速制御機構の作用を次に説明する。
先ず、パワーローラ2,3に作用するトラニオン軸線方向の抗力が常に均等になる作用を説明するに、トルク伝達に伴って例えば図1にFで示すトラクション力がパワーローラ2に加わると、トラニオン4を介し変速リンク部材11にはピン23を中心とする時計方向回動力が伝わってコネクティングロッド19に図1の下向きの力が働く。
【0027】
この時コネクティングロッド19が同方向に変位し得るから、これから変速リンク部材12に、ピン24を中心とする反時計方向回動力が作用し、その結果としてパワーローラ3にもトラニオン5を介しパワーローラ2と同じ上向きの力が働く。
ここで前記した好適例のごとく、変速リンク部材11,12の先端間連節部(球面継手17,18)を、トラニオン4,5に対する変速リンク部材11,12の揺動取り付け部間の中間位置に位置させ、変速リンク部材11,12の固定枢支部(ピン23,24)を変速リンク部材11,12の長手方向中間位置に位置させれば、パワーローラ2,3に働く上向きの力が同じ値となる。
【0028】
これによりパワーローラ3に、Fと同じ大きさの下向きの力を働かせるようなトラクション力が加わり、パワーローラ2,3(トラニオン2,3)間を連絡する部材に働く力が釣り合って、パワーローラ2,3に常時同じトラクション力を発生させることができる。
なお、パワーローラ2,3に働く上向きの力が同じ値となるようにするには、上記の好適例に限らず、変速リンク部材11に係わるレバー比と変速リンク部材12に係わるレバー比との他の組み合わせでも同様の目的を達成することができることは言うまでもない。
【0029】
次に変速作用を説明するに、或る方向への変速に当たっては、図1に示すごとくパワーローラ回転軸線O2が入出力ディスク回転軸線O1と交差した中立(非変速)状態から、変速モータ20によりモータ駆動軸19を回転させてネジ作用により球面継手17を図4に矢印で示すごとく球面継手18から離反する上方へ変位させる。
この時、自己の軸線方向へ変位可能なコネクティングロッド19は、パワーローラ2,3への抗力を均等にする前記の作用に起因して球面継手18に反力を作用させ、この球面継手18を球面継手17と同じ距離だけ図4に矢印で示すごとく下方へ変位させる。
【0030】
球面継手17,18の変位はそれぞれ変速リンク部材11,12を反時計方向に回動させ、その結果トラニオン4,5がトラニオン軸線O3の方向へ相互逆向きに変位されてパワーローラ2,3をδ1で示すように入出力ディスク回転軸線O1からオフセットさせる。
パワーローラ2,3はかかるオフセットにより入出力ディスクからトラニオン軸線O3の周りの回転分力を受けるようになり、当該トラニオン軸線O3の周りに傾転されて所定の変速を行う。
【0031】
そしてこの間も、コネクティングロッド19の軸線方向変位を介して得られるパワーローラ2,3への抗力を均等にする作用により、パワーローラ2,3の伝達トルクは同じに保たれ、1個の変速制御モータ20のみでもパワーローラ2,3の伝達トルクを等しく保ちつつ上記の変速を行わせることができる。
この変速により変速比が目標変速比になった時、モータ20の戻し回転により球面継手17,18の相対位置を図1の中立位置に復帰させることで、当該目標変速比を維持することができる。
【0032】
逆方向への変速に当たっては、図1に示す中立(非変速)状態から、変速モータ20によりモータ駆動軸19を逆方向に回転させてネジ作用により球面継手17を図5に矢印で示すごとく球面継手18に接近する下方へ変位させる。
この時、自己の軸線方向へ変位可能なコネクティングロッド19は、パワーローラ2,3への抗力を均等にする前記の作用に起因して球面継手18に反力を作用させ、この球面継手18を球面継手17と同じ距離だけ図5に矢印で示すごとく上方へ変位させる。
【0033】
球面継手17,18の変位はそれぞれ変速リンク部材11,12を時計方向に回動させ、その結果トラニオン4,5がトラニオン軸線O3の方向へ上記したとは逆の方向へ変位されてパワーローラ2,3をδ2で示すように入出力ディスク回転軸線O1から前記したとは逆方向へオフセットさせる。
パワーローラ2,3はかかるオフセットにより入出力ディスクからトラニオン軸線O3の周りの逆向き回転分力を受けるようになり、当該トラニオン軸線O3の周りで前記とは逆の方向へ傾転されて所定の変速を行う。
【0034】
そしてこの時も、コネクティングロッド19の軸線方向変位を介して得られるパワーローラ2,3への抗力を均等にする作用により、パワーローラ2,3の伝達トルクは同じに保たれ、1個の変速制御モータ20のみでもパワーローラ2,3の伝達トルクを等しく保ちつつ上記の変速を行わせることができる。
この変速により変速比が目標変速比になった時、モータ20の戻し回転により球面継手17,18の相対位置を図1の中立位置に復帰させることで、当該目標変速比を維持することができる。
【0035】
ところで本実施の形態においては、両パワーローラ2,3に作用するトラニオン軸線方向の抗力が、これらパワーローラ2,3に係わるトラニオン4,5にそれぞれ前記のごとく設けた変速リンク部材11,12を介して互に同じになる構成にしたため、
トラニオン4,5が2個であってもトラニオンのストロークを司る変速用のアクチュエータ20が1個のみで足りることとなり、従来のように各トラニオンに個々にサーボピストンを設ける場合に生じていたレイアウトの自由度に関する問題や、トロイダル型無段変速機の大型化に関する問題を解消することができる。
【0036】
また本実施の形態においては、パワーローラ2,3の変速用のオフセットδ1,δ2を生じさせるに際し、両変速リンク部材11,12の枢支点23,24を固定とし、両変速リンク部材11,12の回動可能に連節した先端同士(球面継手17,18)を相互に回動方向へ接近(図5参照)または離反(図4参照)させることにより上記変速用のオフセットδ1,δ2を生じさせるアクチュエータ20を設けることとしたため、
当該アクチュエータ20を、モータのような電動機とその回転駆動により上記接近または離反を行うネジ構造との組み合わせとすることができ、変速制御機構の設計の自由度が飛躍的に高くなる。
また当該アクチュエータを油圧式に構成するにしても、両変速リンク部材11,12の回動可能に連節した先端同士(球面継手17,18)間における位置制御のみでよく力の制御が不要であるから、制御油圧を低く設定することが可能となってポンプ駆動負荷の低減により伝動効率を高めることができる。
【0037】
図6は本発明の他の実施の形態を示し、本実施の形態においては変速リンク部材11,12の相互に接近する方向に延在する先端同士をトラニオン軸線O3の方向に位置ずれさせず、トラニオン軸線O3の方向の同じ位置に重合させ、この重合部において変速リンク部材11,12の先端同士を入出力ディスク回転軸線O1の方向へ延在するピン31で回動可能に連節する。
なおピン31は、変速リンク部材11に対し固設するが、変速リンク部材12に対しては長孔12bにより変速リンク部材12の長手方向へ遊びを持たせて相対変位可能とする。
【0038】
そして変速リンク部材12の枢支ピン24は、前記した実施の形態におけると同様に固定とするが、変速リンク部材11の枢支ピン23を、トラニオン軸線O3の方向に変位可能にして当該変位により変速制御を行い得るようになす。
これがためピン23は、トラニオン軸線O3の方向にストローク可能な油圧ピストン32のピストンロッド33に設け、ピストン32の位置をその両側におけるシリンダ室34,35への油圧により制御する。
【0039】
本実施の形態においても、前記した実施の形態におけると同様の原理により、パワーローラ2,3に作用するトラニオン軸線方向の抗力を常に均等にすることができる。
変速に当たっても、図6に示す中立(非変速)状態から、ピストン32を介し変速リンク部材11の枢支ピン23を図の上方または下方へ変位させることで、パワーローラ2,3が前記したと同様なオフセットを生じて所定の変速を行わせることができる。
【0040】
ところで、両パワーローラ2,3に作用するトラニオン軸線方向の抗力が変速リンク部材11,12を介して互に同じになるような構成のため、トラニオン4,5が2個であってもトラニオンのストロークを司る変速用のアクチュエータが1個の油圧ピストン21のみで足りることとなり、従来のように各トラニオンに個々にサーボピストンを設ける必要がなく、各トラニオンに個々にサーボピストンを設ける場合に生じていたレイアウトの自由度に関する問題や、トロイダル型無段変速機の大型化に関する問題を解消することができる。
【0041】
また本実施の形態においては、パワーローラ2,3の変速用のオフセットを生じさせるに際し、一方の変速リンク部材12の枢支ピン24を固定とし、他方の変速リンク部材11の枢支ピン23をトラニオン軸線方向にストロークさせることにより上記変速用のオフセットを生じさせるようにしたから、前記した実施の形態によると同様な作用効果を奏し得るほかに以下の作用効果をも達成し得る。
つまり本実施の形態では、上記他方の変速リンク部材11に係わる枢支ピン23のストローク位置を、固定部に対する相対位置として位置制御することになるため、変速制御が高精度になると共に変速制御がし易くなるという別の作用効果も得られる。
【0042】
なお何れの実施の形態においても、各変速リンク部材11,12のトラニオン4,5に対する揺動自在部を図2に示すように構成して、また変速リンク部材11,12の先端間連節部を図3および図6に示すように構成して、変速リンク部材11,12の長手方向へ変位可能にしたから、変速リンク部材11,12が両パワーローラ2,3のトラニオン軸線方向抗力を同じにするよう動作する時や、変速制御のために揺動する時のこじりを無くして、前記の作用効果を一層確実なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態になる変速制御機構を具えたトロイダル型無段変速機を示す要部縦断側面図である。
【図2】 同変速制御機構における変速リンク部材のトラニオンに対する取り付け構造を示し、
(a)は、その縦断側面、
(b)は、その底面図である。
【図3】 同変速制御機構における変速リンク部材の先端間連節構造を示し、
(a)は、その縦断側面、
(b)は、その底面図である。
【図4】 同変速制御機構の一方向変速時における変速動作説明図である。
【図5】 同変速制御機構の他方向変速時における変速動作説明図である。
【図6】 本発明の他の実施の形態になる変速制御機構を具えたトロイダル型無段変速機を示す要部縦断側面図である。
【符号の説明】
1 入力ディスク
2 パワーローラ
3 パワーローラ
4 トラニオン
5 トラニオン
6 アッパーリンク
7 ロアリンク
8 複合継手
9 球面継手
10 球面継手
11 変速リンク部材
11a 切り欠き溝
12 変速リンク部材
12a 切り欠き溝
12b 長孔
13 円盤
13a ピン
14 フランジ
15 フランジ
16 ころがり素子
17 球面継手
18 球面継手
19 コネクティングロッド
20 変速制御モータ(変速制御アクチュエータ)
21 モータ駆動軸
22 ピン
23 枢支ピン
24 枢支ピン
25 固定ブロック
26 固定ブロック
31 ピン
32 油圧ピストン
33 ピストンロッド
34 シリンダ室
35 シリンダ室
Claims (4)
- 同軸に対向配置した入出力ディスク間に、これらディスク間で動力の受け渡しを行うよう一対の相互に対向するパワーローラを挟圧して具え、両パワーローラを個々に回転自在に支持したトラニオンをトラニオン軸線方向へ相互逆向きにストロークさせることで両パワーローラを、それぞれの回転軸線が入出力ディスクの回転軸線と交差する中立位置からオフセットさせる時、パワーローラがそれぞれのトラニオンと共にトラニオン軸線の周りに傾転される変速作用が生起されるようにしたトロイダル型無段変速機において、
前記トラニオンの隣り合う一端部にそれぞれ変速リンク部材を、トラニオン軸線周りに回転自在にし、且つ、トラニオン軸線方向に変位不能に係着して揺動自在に設け、
これら変速リンク部材を、前記両トラニオン軸線を通る面内において相互に接近する方向へ延在させると共に、これら変速リンク部材の先端同士を両トラニオン間で前記揺動に呼応した回動が可能となるよう連節し、
各変速リンク部材を該連節部と、対応するトラニオンとの間において枢支したことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御機構。 - 同軸に対向配置した入出力ディスク間に、これらディスク間で動力の受け渡しを行うよう一対の相互に対向するパワーローラを挟圧して具え、両パワーローラを個々に回転自在に支持したトラニオンをトラニオン軸線方向へ相互逆向きにストロークさせることで両パワーローラを、それぞれの回転軸線が入出力ディスクの回転軸線と交差する中立位置からオフセットさせる時、パワーローラがそれぞれのトラニオンと共にトラニオン軸線の周りに傾転される変速作用が生起されるようにしたトロイダル型無段変速機において、
前記トラニオンの隣り合う一端部にそれぞれ変速リンク部材を、トラニオン軸線周りに回転自在にし、且つ、トラニオン軸線方向に変位不能に係着して揺動自在に設け、
これら変速リンク部材を相互に接近する方向に延在させて、これら変速リンク部材の先端同士を両トラニオン間で前記揺動に呼応した回動が可能となるよう連節し、
各変速リンク部材を該連節部と、対応するトラニオンとの間において枢支し、
両変速リンク部材の前記枢支点を固定とし、両変速リンク部材の回動可能に連節した先端同士を相互に回動方向へ接近または離反させることにより前記オフセットを生じさせるアクチュエータを設けたことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御機構。 - 同軸に対向配置した入出力ディスク間に、これらディスク間で動力の受け渡しを行うよう一対の相互に対向するパワーローラを挟圧して具え、両パワーローラを個々に回転自在に支持したトラニオンをトラニオン軸線方向へ相互逆向きにストロークさせることで両パワーローラを、それぞれの回転軸線が入出力ディスクの回転軸線と交差する中立位置からオフセットさせる時、パワーローラがそれぞれのトラニオンと共にトラニオン軸線の周りに傾転される変速作用が生起されるようにしたトロイダル型無段変速機において、
前記トラニオンの隣り合う一端部にそれぞれ変速リンク部材を、トラニオン軸線周りに回転自在にし、且つ、トラニオン軸線方向に変位不能に係着して揺動自在に設け、
これら変速リンク部材を相互に接近する方向に延在させて、これら変速リンク部材の先端同士を両トラニオン間で前記揺動に呼応した回動が可能となるよう連節し、
各変速リンク部材を該連節部と、対応するトラニオンとの間において枢支し、
一方の変速リンク部材の前記枢支点を固定とし、他方の変速リンク部材の前記枢支点をトラニオン軸線方向にストロークさせることにより前記オフセットを生じさせるアクチュエータを設けたことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御機構。 - 請求項1〜3のいずれか 1 項に記載の変速制御機構において、
前記各変速リンク部材のトラニオンに対する揺動自在部、先端間連節部、中間枢支部のうち、2箇所を変速リンク部材の長手方向へ変位可能にしたことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御機構。
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