JPH0516444Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はトロイダル型無段変速機の変速制御装
置に関するものである。

（従来の技術） トロイダル型無段変速機は一般に第２図の如
く、同軸配置した入力コーンデイスク１及び出力
コーンデイスク２を具え、夫々の対向コーン面１
ａ，２ａにパワーローラ３（図示例では２個）を
摩擦係合させて構成する。入力軸４からの動力は
ドライブプレート５及びローデイングカム６を介
して入力コーンデイスク１に至り、その後パワー
ローラ３の軸線３ａ周りにおける回転を介して出
力コーンデイスク２に伝達されて出力軸７より取
出すことができる。この動力伝達中ローデイング
カム６は伝達トルクに応じたスラストを発生して
コーンデイスク１，２に対するパワーローラ３の
摩擦係合を可能にし、上記の動力伝達を可能なら
しめる。

変速に当つては、パワーローラ３を回転軸線３
ａと直交する図面直角方向の首振り軸線３ｂの周
りに回動させ、これにより両コーンデイスク１，
２のパワーローラ接触軌跡円径を連続的に変化さ
せて無段変速を行なう。

ところで、パワーローラ３は回転軸線３ａが入
出力コーンデイスク１，２の回転軸線Ｉと交わる
中立位置において軸線３ｂ周りの首振り位置を自
己保持するも、この中立位置から首振り軸線３ｂ
方向へオフセツトさせると、オフセツト方向に応
じた首振り分力をコーンデイスク１，２から受け
て自分で首振りする。

このことからトロイダル型無段変速機の変速制
御装置は特開昭59−155656号公報及び特開昭58−
160663号公報に示されているように、パワーロー
ラをトラニオンに回転自在に支持し、該トラニオ
ンを、両端に夫々連節した回動ロツドによる案内
下で、油圧ピストンによつてストロークさせるこ
とにより、パワーローラを首振り軸線方向にオフ
セツト制御して無段変速を行なうよう構成するの
が普通である。

（考案が解決しようとする課題） しかして従来の変速制御装置では、トラニオン
のストローク方向毎に専用に設けた２個の単動ピ
ストンにより上記の変速制御を行なうため、各パ
ワーローラ３に２個づつのピストンが必要とな
り、その作動回路を含めて制御系が複雑であると
共に、ピストン設置スペースの確保上無段変速機
が大型になるのを避けられず、コスト的にも又サ
イズ的にも不利であつた。

（課題を解決するための手段） 本考案は基本的には、トラニオンのストローク
を両ストローク方向に兼用可能な単一復動ピスト
ンにより行なう構成にして上述の問題を解決しよ
うとするものである。ところで、かかる構成を採
用する場合、ピストンとトラニオンとを両ストロ
ーク方向に連結する必要があるも、かと言つて剛
結合すると、パワーローラに加わる入出力コーン
デイスクからの挟圧反力で生ずるトラニオンの変
形や、回動ロツドによる案内でなされるトラニオ
ンのストローク中におけるパワーローラ首振り軸
線とピストン軸線とのオフセツトが、ピストン軸
線を傾斜させるよう作用してピストンの摺動面に
こじれを生じさせるため、耐久性の低下を否めな
いばかりか、変速精度が悪化する。本考案はそこ
で、この問題をも併せて解消するため、ピストン
とトラニオンとを、トラニオンストローク方向定
位置に弾支して、又トラニオンストローク方向を
横切る方向に隙間を持たせて連結する。

（作用） 入力コーンデイスクへの動力はパワーローラを
介して出力コーンデイスクに伝わり、これから取
出すことができる。この動力伝達中、トラニオン
を、両端に連節した回動ロツドによる案内下で、
復動ピストンによつてストロークさせることによ
り、パワーローラをその回転軸線が入出力コーン
デイスクの回転軸線と交わる中立位置からオフセ
ツトさせると、パワーローラはオフセツト方向に
応じた方向へ首振り回動され、両コーンデイスク
のパワーローラ接触軌跡円径を変化させて無段変
速を行なうことができる。

ところでトラニオンのストローク、つまりパワ
ーローラのオフセツトを復動ピストンより行なう
から、これを両オフセツト方向に兼用することが
でき、１個のピストンで足りる。これがためピス
トンの作動回路を含めて制御系を簡単にし得ると
共に、無段変速機の小型化が可能となり、コスト
的にもサイズ的にも有利である。

加えて、トラニオン及びピストン間の連結が、
上記の弾支及び隙間を持つてなされるため、トラ
ニオンの変形や、パワーローラ首振り軸線とピス
トン軸線との間のずれを、これら弾支や隙間によ
つて確実に吸収することができ、ピストンの摺動
面にこじりを生じて、耐久性が低下したり変速精
度が低下するという問題を解消することができ
る。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づき詳細に説
明する。

第１図は本考案一実施の態様で、図中１〜３は
夫々第２図におけると同様、入出力コーンデイス
ク及びパワーローラを示す。パワーローラ３はト
ラニオン８に回転自在に取付け、このトラニオン
を首振り軸線３ｂに沿つて延在させる。トラニオ
ン８の両端を夫々ボールジヨイント９，１０によ
り回動ロツド１１，１２の一端に連節し、これら
のロツドの中央をボールジヨイント１３，１４に
より変速機ケース１５及びこれに取付けたアツパ
バルブボデー１６に回動自在に支持する。なお図
示しなかつたが、ロツド１１，１２の他端は同様
にして、他方のパワーローラを回転自在に取付け
たトラニオンの両端に連節し、これにより両パワ
ーローラのオフセツトを同期させる。

トラニオン８の第１図中下端面にボルト１７を
螺合し、そのねじ込み位置をボルト１７に嵌合し
たスリーブ１８により規定する。スリーブ１８上
に隙間１９を持つて復動ピストン２０を遊嵌する
が、該ピストンの軸方向位置をワツシヤ２１及び
皿ばね２２により決定する。かくて、トラニオン
８とピストン２０とは、皿ばね２２によりトラニ
オンストローク方向定位置に弾支して、又トラニ
オンストローク方向を横切る方向に隙間１９を持
たせて連結される。

ピストン２０の両端にボス部２０ａ，２０ｂを
同軸一体に突設し、ピストン２０及びボス部２０
ａをアツパバルブボデー１６に摺動自在に、又ボ
ス部２０ｂをロアバルブボデー２３に摺動自在に
嵌合して、圧力室２４，２５を画成する。

バルブボデー１６，２３はセパレートプレート
２６を挟んで合体させ、変速制御油圧回路を有す
るもので、これらを変速機ケース１５に取着す
る。そして、バルブボデー１６，２３及びセパレ
ートプレート２６に圧力室２４への作動油路２７
及び圧力室２５への作動油路２８を形成する。

上記実施例の作用を次に説明する。

第１図はパワーローラ３が中立位置にある状態
を示し、この場合パワーローラ３はコーンデイス
ク１，２から首振り分力を受けず、今の首振り位
置、つまり変速比を保つ。

ここで圧力室２４，２５の一方を加圧、他方を
減圧すると、ピストン２０は対応方向へトラニオ
ン８をともなつてストロークする。この時両パワ
ーローラ３はロツド１１，１２による同期下で首
振り軸線３ｂ方向へオフセツトされ、首振り軸線
３ｂの周りで対応する方向へ自己回動する。この
首振りによりパワーローラ３はコーンデイスク
１，２のパワーローラ接触軌跡円径を連続変化さ
せ、無段変速を行なうことができる。

希望の変速比になつたところで、圧力室２４，
２５の加圧、減圧を逆にし、ピストン２０及びト
ラニオン８を介し、パワーローラ３を中立位置に
戻すと、当該変速比を保つことができる。

なお、上記変速中ロツド１１，１２の回動によ
り首振り軸線３ｂがピストン２０の軸線からずれ
るが、このずれは隙間１９によつて吸収すること
ができる。又、入出力コーンデイスク１，２から
パワーローラ３への挟圧反力でトラニオン８はロ
ツド１１，１２間で変形され、トラニオン下端
面、ボルト１７及びスリーブ１８をピストン２０
に対し図示状態から傾斜させるが、この傾斜は皿
ばね２２及び隙間１９において吸収される。よつ
てピストン２０の摺動面、特にボス部２０ａとア
ツバーバルブボデイ１６との摺動面のこじりの発
生を防止でき、復動ピストン２０の採用によつて
も、耐久性や変速精度が低下するようなことはな
い。

（考案の効果） かくして本考案変速制御装置は上述の如く、パ
ワーローラ３のオフセツトを復動ピストン２０に
より行なう構成としたから、このピストンを両オ
フセツト方向に兼用することができ、ピストンが
１個のみで足りる。従つて、ピストンの作動回路
を含めた制御系を簡単にし得ると共に、無段変速
機の小型化が可能となり、コスト的にもサイズ的
にも有利である。

更に、復動ピストン２０を用いると雖も、これ
とトラニオン８との連結を、前記の弾支及び隙間
をもつて行わせるから、復動ピストン２０の摺動
面にこじりを生ずることがなく、耐久性や変速精
度が損なわれるのを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案変速制御装置の一実施例を示す
断面図、第２図はトロイダル型無段変速機の模式
図である。 １……入力コーンデイスク、２……出力コーン
デイスク、３……パワーローラ、８……トラニオ
ン、１１，１２……回動ロツド、１５……変速機
ケース、１６……アツパバルブボデー、１７……
ボルト、１８……スリーブ、１９……隙間、２０
……復動ピストン、２２……弾支用皿ばね、２３
……ロアバルブボデー、２４，２５……圧力室、
２６……セパレートプレート。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 入出力コーンデイスクの対向コーン面に摩擦係
   合するパワーローラを、トラニオンに回転自在に
   支持して具え、該トラニオンを、両端に夫々連節
   した回動ロツドによる案内下でストロークさせる
   ことにより、パワーローラをその回転軸線が入出
   力コーンデイスクの回転軸線と交わる中立位置か
   らオフセツトさせて変速を行なうようにしたトロ
   イダル型無段変速機において、 前記トラニオンの両方向ストロークを単一復動
   ピストンにより行なうよう構成し、 該ピストンとトラニオンとを、トラニオンスト
   ローク方向定位置に弾支して、又トラニオンスト
   ローク方向を横切る方向に隙間を持たせて連結し
   たことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変
   速制御装置。