JP3831553B2 - 無機質硬化性組成物及び無機質硬化体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築材料等に用いられる無機質硬化体の製造に用いられる無機質硬化性組成物及び無機質硬化体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、セメントと水、又は、SiO2 ―Al2 O3 系無機質粉体とアルカリ金属珪酸塩水溶液のような、無機質粉体とこの粉体に反応する液体とを混合した無機質硬化性組成物を硬化させて無機質硬化体を得る方法が一般に知られている。
たとえば、無定形の二酸化珪素と酸化アルミニウムとを含有する無機質粉体とアルカリ金属珪酸塩水溶液とを混合した無機質硬化性組成物を加熱硬化させることにより、無機質硬化体を製造する方法が、特公平4−45471号公報に開示されている。
【0003】
しかしながら、これらの無機質硬化性組成物はその温度により粘度等の性状が異なる。また、無機質硬化性組成物の温度が異なると、無機質硬化性組成物を硬化し無機質硬化体を製造するための硬化温度や硬化時間等の条件が異なる。このため、気温変動等により温度が変化すると、同じ混合条件をとっても無機質硬化性組成物の流動性等の性状が異なり、成形型への充填や加熱硬化等の後工程の製造条件が一定でないため、各工程毎の製造条件の細かな調整を必要としていた。例えば、無機質硬化性組成物の温度が低く粘度が高い場合には、無機質硬化性組成物の流動性が悪く、成形型への充填が困難になったり、巻き込んだ気泡が抜けにくかったりするため、成形型を振動させながら無機質硬化性組成物を充填する必要があり、無機質硬化性組成物の粘度により必要な振動の強さや時間が異なる。
また、無機質硬化性組成物の温度が低いと、硬化を促進するために加熱した場合、加熱時間を長くしないと硬化が不十分になり、強度が十分に発現しない等の問題が生ずることがあった。
また、無機質硬化性組成物の温度が高いと、成形型に充填する前に硬化反応が進んで粘度が高くなるという不具合が生ずることがあった。
【0004】
これらの不都合が生じないようにするためには、気温が変化すると細かな各工程毎の製造条件の調整が必要となり、生産性を高めることが困難であった。また、製造工場全体を温度調節する方法もあるが、そのために多大な設備投資が必要であり、また温度調節のためにも多大な費用を必要とするという問題があった。それらの問題を解決するために、スランプ法等により無機質硬化性組成物の流動性を測定し、流動性が同等になるように混合条件を調整する方法がある。しかし、この場合でも、混合毎に測定が必要なため生産性を高めることが困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであって、流動性等の性状が安定している無機質硬化性組成物を製造する方法を提供することを目的としている。また、外観品質や強度等の性能に優れた生産性の高い無機質硬化体の製造方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明は、SiO2−Al2O3系無機質粉体(A)と、アルカリ金属珪酸塩水溶液(B)とを混合して流動性に優れた無機質硬化性組成物を製造する方法において、予め無機質粉体(A)をアルカリ金属珪酸塩水溶液(B)よりも低い一定温度に温度調節しておき、次いで、無機質粉体(A)とアルカリ金属珪酸塩水溶液(B)との比熱(熱容量)から、両成分の混合により得られる無機質硬化性組成物の温度が10〜50℃となるように、アルカリ金属珪酸塩水溶液(B)の温度を計算し、その温度にアルカリ金属珪酸塩水溶液(B)の温度を設定した後に、両成分を混合することにより、無機質硬化性組成物の温度を10〜50℃に制御することを特徴とする無機質硬化性組成物の製造方法である。
【0007】
液体の温度制御方法は、特に限定されないが、熱交換できるタンク内で液体を攪拌しながら温度制御したり、高温の液体と低温の液体を準備しておき、この混合比率で温度制御したり、液体を輸送する配管に熱交換器を備えておき、その熱交換器に温水や冷水を循環させることにより温度制御したりする等の方法が採用できる。
また、無機質硬化性組成物の温度を厳密に制御するために、予め無機質粉体(A)を一定温度で保管する等の方法で温度調節しておき、無機質粉体(A)と液体(B)の比熱(熱容量)より、目的の無機質硬化性組成物の温度を得ることのできる液体(B)の温度を計算し、設定してもよい。
また、無機質硬化性組成物の温度の計算においては、混合エネルギーによる温度上昇や反応熱を考慮に入れることも有効である。
【0008】
粉体(A)と液体(B)との反応性が高い場合は、予め液体(B)と反応性の低い粉体(充填材等)を混合し、液体(B)の温度が下がってから、反応性の高い粉体を投入することにより、高温の液体(B)と反応性の高い粉体が急激な反応を起こすこと避けることが可能である。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、請求項1において、アルカリ金属珪酸塩水溶液(B)は、SiO2−Al2O3系無機質粉体(A)100重量部に対して、アルカリ金属珪酸塩0.2〜450重量部、及び水35〜1500重量部からなることを特徴とする無機質硬化性組成物の製造方法である。
【0011】
本発明で使用される水は、上記アルカリ金属珪酸塩水溶液として添加されてよいし、独立して添加されてもよい。水の量が少なすぎると無機質硬化性組成物の混合が困難となり、十分に硬化しない。水の量が多すぎると無機質硬化体の強度が低下するので上記無機質粉体(A)100重量部に対して水の量は35〜1500重量部に限定され、好ましくは45〜1000重量部、さらに好ましくは50〜500重量部である。
【0012】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の無機質硬化性組成物を成形型に充填して無機質硬化体を形成することを特徴とする無機質硬化体の製造方法である。
【0013】
本発明で使用される成形型は、特に限定されないが、無機質硬化性組成物が接する表面が合成ゴム製や合成樹脂製であると、無機質硬化体の表面に凹凸模様を転写するための模様の加工が容易にできるので好ましい。また、アルミニウム等金属の鋳物の成形型も同様に使用することができる。
【0014】
また、請求項4記載の発明は、請求項3において、前記成形型の温度が前記無機質硬化性組成物の温度より高いことを特徴とする無機質硬化体の製造方法である。
【0017】
本発明に使用される無機質粉体(A)としては、SiO2 5〜85重量%とAl2 O3 90〜10重量%のものが好適に使用される。このような粉体としては、フライアッシュ、メタカオリン、カオリン、ムライト、コランダム、アルミナ系研磨材を製造する際のダスト、粉砕焼成ボーキサイト等が使用できるが組成と粒度が適当であればこれらに限定されるものではない。尚、容易に入手できるののは、不純物を含有するため、SiO2 とAl2 O3 との合計が100重量%となっていないが、合成により合計が100重量%となるようにしてもよい。また、これらの粉体をそのまま用いてもよいが、活性化させるために、溶射処理、粉砕分級、機械的エネルギーの作用等の方法を用いてもよい。
【0018】
溶射処理する方法としては、セラミックコーティングに適用される溶射技術が応用される。その溶射技術は、好ましくは材料粉末が2000〜16000℃の温度で溶融され、30〜800m/秒の速度で噴霧されるものであり、プラズマ溶射法、高エネルギーガス溶射法、アーク溶射法等が可能である。得られた粉体の比表面積は、0.1〜100m2 /gが好ましい。
【0019】
粉砕分級する方法としては公知の任意の方法が採用できる。つまり、粉砕の方法としてはジェットミル、ロールミル、ボールミル等による方法があげられる。また、分級の方法としては篩、比重、風力、湿式沈降等の方法があげられる。これらの手段は併用されてもよい。
【0020】
機械的エネルギーを作用させる方法としては、ボール媒体ミル、媒体撹拌型ミル、ローラミル等が使用され、作用させる機械的エネルギーは0.5kwh/kg〜30kwh/kgが好ましい。機械的エネルギーが小さいと粉体を活性化しにくく、大きいと装置への負荷が大きい。
【0021】
フライアッシュは、必要に応じて、焼成されたものでもよい。焼成温度が低すぎるとフライアッシュの黒色が残り、顔料等による着色が困難となり、高すぎるとアルカリ金属珪酸塩との反応性が低くなるので、400℃〜1000℃であることが好ましい。
【0022】
本発明に使用されるアルカリ金属珪酸塩水溶液〔液体(B)〕のアルカリ金属珪酸塩とは、M2 O・nSiO2 (M=K,Na,Liから選ばれる1種以上の金属)で表される塩であって、nの値は小さすぎると緻密な無機硬化体が得られず、大きすぎると水溶液の粘度が上昇し混合が困難になるので0.05〜8が好ましく、さらに好ましくは0.5〜2.5である。
【0023】
本発明において、無機質硬化体を発泡体とするために、必要に応じて発泡剤が添加されてもよい。発泡剤としては過酸化物(過酸化水素、過酸化ソーダ、過酸化カリ、過ほう酸ソーダ等)、金属粉末(Mg,Ca、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Si、フェロシリコン)等が用いられる。発泡剤が多すぎると発泡ガスが過剰となり破泡して良好な発泡体が得られず、少なすぎると発泡倍率が小さすぎて発泡体の意味を失うので0.01〜10重量部であることが好ましい。過酸化水素を発泡剤として用いるときは、安全性の面や安定した発泡のために水溶液として用いるのが好ましい。金属粉末を用いる場合は、安定した発泡を得るために、粒径が200μm 以下であることが好ましい。
【0024】
本発明において、発泡を均一にするために、必要に応じて発泡助剤が添加されてもよい。発泡助剤は発泡を均一に生じさせるものなら特に限定されず、たとえばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、アルミナ粉末等の多孔質粉体などがあげられる。これらは単独で使用されてもよいし、2種類以上のものが併用されてもよい。
発泡助剤の量は多すぎると組成物の粘度が上昇して良好な発泡が得られないので、上記無機質粉体(A)100重量部に対して10重量部以下が好ましい。
【0025】
本発明において、無機質硬化体の強度等を改良するために、必要に応じて無機質充填材が添加されてもよい。無機質充填材は、水に溶解せず、アルカリ金属珪酸塩と反応しないものであれば特に限定されず、例えば珪砂、川砂、ジルコンサンド、結晶質アルミナ、岩石粉末、火山灰、シリカフラワー、シリカヒューム、ベントナイト、高炉スラグ等の混合セメント用混合材、セピオライト、ワラストナイト、マイカ等の天然鉱物、炭酸カルシウム、珪藻土等があげられる。これらは単独で添加されてもよいし、2種類以上併用されてもよい。
上記無機質充填材は、平均粒径が小さすぎると組成物の粘度が上昇して無機質硬化性組成物の成形性が悪くなり、大きすぎると均一な無機質硬化体が得られないので0.01〜1000μmが好ましい。無機質充填材の量は多すぎると得られる無機質硬化体の強度が低下するので上記無機質粉体(A)100重量部に対して700重量部以下が好ましい。
【0026】
本発明において、無機質硬化体を補強するために、必要に応じて補強繊維が添加されてもよい。補強繊維は、無機質硬化体に付与したい性能に応じ任意のものが使用できる。例えば、ビニロン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、鋼繊維などが使用できる。
【0027】
上記補強繊維の繊維径は、細すぎると混合時に再凝集し、交絡によりファイバーボールが形成されやすくなり、最終的に得られる無機質硬化体の強度は向上しない。また、太すぎたり短かすぎたりすると引張強度向上などの補強効果が小さい。また、長すぎると繊維の分散性及び配向性が低下して無機質硬化体の強度が改善されない。そのため、繊維径1〜500μm、繊維長1〜15mmが好ましい。上記補強繊維の添加量は多くなると繊維の分散性が低下するので、上記無機質粉体(A)100重量部に対して、10重量部以下が好ましい。
【0028】
さらに硬化体の軽量化を図る目的でシリカバルーン、パーライト、フライアッシュバルーン、シラスバルーン、ガラスバルーン、発泡焼成粘土等の無機質発泡体、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン等の合成樹脂の発泡体、ポリ塩化ビニリデンバルーン、ポリアクリルバルーンなどが添加されてもよい。
これらは単独で添加されてもよいし、2種類以上併用されてもよい。
さらに必要に応じて、アルミナセメント、γ−アルミナ、溶射されたアルミナ、アルミン酸アルカリ金属塩又は水酸化アルミニウムを加えても良い。
【0029】
【作用】
請求項1記載の発明の無機質硬化性組成物の製造方法は、液体(B)の温度を制御することによって無機質硬化性組成物の温度を制御する。従って、温度制御の容易な液体の温度を制御するだけで、一定性状の無機質硬化性組成物を製造することができる。
【0030】
また、粉体(A)と粉体(A)より温度の高い液体(B)とを混合して無機質硬化性組成物の温度を制御する。つまり、温度を高くすることにより液体(B)の粘度を低くして、粉体(A)と液体(B)とを混合するので、上記作用効果に加えて、無機質硬化性組成物の流動性が向上し、短い時間で効率的に一定性状の無機質硬化性組成物を製造することができる。また、無機質硬化性組成物を成形型へ充填するのが容易になる。
また、上記の方法で混合することにより、無機質粉体(A)やその他必要に応じて加えられた材料の分散性が高められるため、得られる無機質硬化体が均一になり、強度が向上する。また、無機質硬化性組成物の流動性が向上するので、混合機の動力を低減することができる。
【0031】
また、粉体(A)はSiO2−Al2O3系無機質粉体であり、液体(B)はアルカリ金属珪酸塩水溶液である。従って、温度制御の容易なアルカリ金属珪酸塩水溶液の温度を制御することで一定性状の無機質硬化性組成物を製造することができる。また、アルカリ金属珪酸塩水溶液は温度を上げることにより粘度を著しく下げることができるので、材料の分散性が特に高められ、得られる無機質硬化体が均一になり、強度が向上する。また、無機質硬化性組成物の流動性が著しく向上するので、混合機の動力を大幅に低減することができる。
【0032】
また、請求項2記載の発明の無機質硬化性組成物の製造方法は、無機質硬化性組成物がSiO2−Al2O3系無機質粉体100重量部に対して、アルカリ金属珪酸塩0.2〜450重量部、水35〜1500重量部を含むものである。従って、無機質硬化性組成物を一定性状で適度な粘度とすることができ、成形性の良好なものとすることができる。また、得られる無機質硬化体の外観品質や強度等の性能を優れたものとすることができる。
【0033】
また、請求項3記載の発明の無機質硬化体の製造方法は、請求項1又は2記載の無機質
硬化性組成物を成形型に充填して無機質硬化体を形成する。従って、一定性状で均一な無機質硬化性組成物を成形型に充填できるので、外観品質や強度等の性能の優れた無機質硬化体を一定の後工程で製造できる。
【0034】
また、請求項4記載の発明の無機質硬化体の製造方法は、成形型の温度が前記無機質硬化性組成物の温度より高いので、成形型の表面に触れた無機質硬化性組成物の粘度が小さくなり、成形型の表面形状に沿って正確に充填することができる。
【0035】
また、請求項1記載の発明の無機質硬化性組成物の製造方法は、無機質硬化性組成物の温度を10〜50℃に制御する。従って、適度な粘度で性状の一定な無機質硬化性組成物を成形型に充填できるので、外観品質や強度等の性能の優れた無機質硬化体を製造できる。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明を実施例をもってさらに詳しく説明する。
まず、表1に示す無機質硬化性組成物の配合による実施例1〜4と比較例1,2とを説明する。図1は実施例1の無機質硬化性組成物の製造方法を示すブロック図である。
【0038】
【表1】
【0039】
表1において、無機質粉体(A)として、SiO2 −Al2 O3 系無機質粉体であるメタカオリンを使用した。このメタカオリンは、エンゲルハード社製の商品名SatintoneSP−33を三菱重工業社製ウルトラファインミル(ジルコニアボール直径10mm使用、ボール充填率85%、粉砕助剤としてトリエタノールアミン25%、エタノール75%の混合液をメタカオリンの0.6%添加)にて、3.3KW/kgのエネルギーで、3時間処理したものである。
その他の粉体として無機質充填材と補強繊維とを加えた。
無機質充填材は、珪石粉とワラストナイトとを使用した。珪石粉は、住友セメント社製、ブレーン値5000cm2 /gのものであり、ワラストナイトは、土屋カオリン社製の商品名ケモリットA−60を使用した。
補強繊維は、ビニロン繊維であり、クラレ社製の商品名RM182×3を使用した。
液体(B)は、珪酸カリウム水溶液であり、SiO2 /K2 O=1.4で濃度45重量%のものを使用した。
【0040】
無機質硬化性組成物の製造は以下の方法で行った。
(実施例1)
図1に示すように、60℃に温度調節した珪酸カリウム水溶液1aと5℃に温度調節した珪酸カリウム水溶液1bとを38:17の重量比でオムニミキサーに投入して1分間混合し、43℃の珪酸カリウム水溶液1が得られた。これに5℃の全ての粉体(メタカオリン2とその他の粉体3)を投入し15分間混合し、34℃の無機質硬化性組成物(スラリー)4を得た。
(実施例2)
50℃に温度調節した珪酸カリウム水溶液と5℃のその他の粉体とをオムニミキサーで10分混合し、41℃の組成物を得た。さらに5℃のメタカオリンを投入し、5分間混合し、39℃の無機質硬化性組成物を得た。
(実施例3)
35℃に温度調節した珪酸カリウム水溶液と20℃の全ての粉体とを同時にオムニミキサーに投入し、15分間混合して34℃の無機質硬化性組成物を得た。
(実施例4)
メタカオリンは5℃、その他の粉体は20℃、珪酸カリウム水溶液を50℃に温度調節し、それらを同時にオムニミキサーに投入し、15分間混合し35℃の無機質硬化性組成物を得た。
【0041】
(比較例1)
30℃に温度調節した珪酸カリウム水溶液と30℃の全ての粉体とを同時にオムニミキサーに投入し、15分間混合して30℃の無機質硬化性組成物を得た。
(比較例2)
35℃に温度調節した珪酸カリウム水溶液と35℃の全ての粉体とを同時にオムニミキサーに投入し、15分間混合して35℃の無機質硬化性組成物を得た。
【0042】
実施例1〜4と比較例1、2の無機質硬化性組成物を構成する粉体温度、液体(B)温度とスラリー(無機質硬化性組成物)の温度、スラリーのスランプ値とそれぞれの条件で製造した無機質硬化性組成物を硬化した無機質硬化体の曲げ強度を表2に示す。ただし、実施例4の粉体温度はその他の粉体の温度を示す。
【0043】
以上の実施例1〜4と比較例1,2とは、同一の成形条件で無機質硬化体を得て、曲げ強度を測定した。無機硬化体の成形条件は以下の通りである。
実施例1〜4及び比較例1,2に記載の方法で製造したスラリーの温度、スランプ値を測定後、900×900×50(mm)の成形型に注型し、周波数15Hz、振幅5mmの振動を60秒加えた後、密封して、85℃で10時間硬化させ、脱型後50℃で10時間乾燥させて無機質硬化体を得た。
なお、スランプ値は、筑波丸東社製の試験器で測定した。
【0044】
【表2】
【0045】
実施例1〜4と比較例1,2とを比較すると全て実施例のほうがスランプ値が大きい。つまり、無機質硬化性組成物の粘度が小さく流動性がよいことが確認できた。また、曲げ強度は全て実施例の方が比較例より大きいことが確認できた。つまり、メタカオリンより温度の高い珪酸カリウム水溶液で無機質硬化性組成物の温度を制御すると、成形型への充填が容易になる。また、粉体の分散性がよくなる結果、得られる無機質硬化体の強度が向上する。また、混合機の動力を低減することができる。
【0046】
次に、実施例5と比較例3の説明をする。使用原料は実施例1と同じで、配合を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
無機質硬化性組成物の製造は以下の方法で行った。
(実施例5)
54℃に温度調節した珪酸カリウム水溶液と5℃の全ての粉体とを同時にオムニミキサーに投入し、15分間混合して40℃のスラリー(無機質硬化性組成物)を得た。
【0049】
(比較例3)
35℃に温度調節した珪酸カリウム水溶液と35℃の全ての粉体とを同時にオムニミキサーに投入し、15分間混合して35℃のスラリーを得た。
【0050】
実施例5と比較例3の無機質硬化性組成物を構成する粉体温度、液体(B)温度とスラリー(無機質硬化性組成物)の温度、スラリーのスランプ値とそれぞれの条件で製造した無機質硬化性組成物を硬化した無機質硬化体の曲げ強度を表4に示す。無機硬化体の製造は実施例1と同様とした。
【0051】
【表4】
【0052】
実施例5と比較例3とを比較すると、実施例のほうがスランプ値が大きい。つまり、無機質硬化性組成物の粘度が小さく流動性がよいことが確認できた。また、曲げ強度は実施例5の方が比較例3より大きいことが確認できた。
【0053】
次に、SiO2 −Al2 O3 系無機粉体としてフライアッシュを使用し、アルカリ金属珪酸塩水溶液として珪酸ナトリウム水溶液を使用した例を実施例6,7と比較例4とで説明する。配合は表5に示す。
【0054】
【表5】
【0055】
フライアッシュは、関電化工社製の平均粒径20μmでJIS−A−6201に準ずるものを分級機(日清エンジニアリング社製、型式;TC−15)により分級し、粒径が10μm以下の粉末を100重量%含有するものを用いた。
珪酸ナトリウムは、SiO2 /Na2 O=1.5で濃度42重量%のものを使用した。
その他の粉体は、実施例1と同一のものを使用した。
【0056】
無機質硬化性組成物の製造は以下の方法で行った。
(実施例6)
45℃に温度調節した珪酸カリウム水溶液と5℃の全ての粉体とを同時にオムニミキサーに投入し、15分間混合して35℃のスラリー(無機質硬化性組成物)を得た。
(実施例7)
36℃に温度調節した珪酸カリウム水溶液と20℃の全ての粉体とを同時にオムニミキサーに投入し、15分間混合して34℃のスラリーを得た。
【0057】
(比較例4)
30℃に温度調節した珪酸カリウム水溶液と30℃の全ての粉体とを同時にオムニミキサーに投入し、15分間混合して30℃のスラリーを得た。
【0058】
実施例6,7と比較例4の無機質硬化性組成物を構成する粉体温度、液体(B)温度とスラリー(無機質硬化性組成物)の温度、スラリーのスランプ値とそれぞれの条件で製造した無機質硬化性組成物を硬化した無機質硬化体の曲げ強度を表6に示す。無機硬化体の製造は実施例1と同様とした。
【0059】
【表6】
【0060】
表6に示すように、実施例6,7と比較例4とを比較すると、全て実施例のほうがスランプ値が大きい。つまり、無機質硬化性組成物の粘度が小さく流動性がよいことが確認できた。また、曲げ強度は全て実施例の方が比較例より大きいことが確認できた。
【0061】
次に、無機質硬化性組成物の温度を広い範囲で変えたものを実施例8〜11と比較例5,6とで説明する。配合は表7に示す。
【0062】
【表7】
【0063】
使用した原料は実施例1と同一である。全ての原料を表8に示したスラリー(無機質硬化性組成物)温度になるように調整し、同時にオムニミキサーに投入し、15分間混合した
実施例8〜11と比較例5,6の無機質硬化体の成形条件は振動時間を除いて実施例1と同一とした。振動時間は長いほど外観は改善されるが、60秒から180秒まで変化させて評価した。
外観の良否を◎(非常に良好),○(良好),×(不可)で評価して表8に示す。
【0064】
【表8】
【0065】
表8に示すように、スラリー(無機質硬化性組成物)の温度が10℃〜50℃であれば、良好な外観品質が得られることが確認できた。特に、スラリー温度を32℃に調整したものの外観品質が優れていた。
無機質硬化性組成物の温度が10℃より低かったり、50℃より高かったりすると、長時間の振動を加えても外観品質は改善されない。
【0066】
次に、実施例12として、比較例5において、成形型の温度を30℃にして8℃のスラリーを充填して硬化した無機質硬化体の外観を評価したところ、外観は良好(○)に改善された。つまり、成形型の温度を無機質硬化性組成物の温度より高くして成形することにより、無機質硬化体の外観品質を改善できる。
【0067】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の無機質硬化性組成物の製造方法においては、温度を制御された、流動性等の性状が安定している無機質硬化性組成物の製造することができる。成形型への充填や加熱硬化等の後工程の製造条件が一定となり、無機質硬化体の生産性を高めることができる。
【0068】
また、短い時間で効率的に均一な無機質硬化性組成物を製造することができる。従って、無機質硬化体の生産性を向上することができる。また、強度等の性能の優れた無機質硬化体を製造することができる。
【0069】
また、アルカリ金属珪酸塩水溶液は温度を上げることにより粘度を著しく下げることができるので、材料の分散性が特に高められ、得られる硬化体の強度が向上する。また、無機質硬化性組成物の流動性大きく向上するので、混合機の動力を大幅に低減することができる。
【0070】
また、請求項2記載の発明の無機質硬化性組成物の製造方法においては、無機質硬化性組成物を一定性状で適度な粘度とすることができ、成形性の良好なものとすることができる。また、得られる無機質硬化体の外観品質や強度等の性能を優れたものとすることができる。
【0071】
また、請求項3記載の発明の無機質硬化体の製造方法においては、一定性状で均一な無機質硬化性組成物を成形型に充填できるので、外観品質や強度等の性能の優れた無機質硬化体を一定の後工程で製造できる。
【0072】
また、請求項4記載の発明の無機質硬化体の製造方法においては、成形型の表面に触れた無機質硬化性組成物の粘度が小さくなり、成形型の表面形状に沿って正確に充填することができる。つまり、外観の優れた無機質硬化体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無機質硬化性組成物の製造方法を説明するブロック図である。
【符号の説明】
1,1a,1b 珪酸カリウム水溶液〔液体(B)〕
2 メタカオリン〔粉体(A)〕
3 その他の粉体
4 無機質硬化性組成物(スラリー)
Claims (4)
- SiO2−Al2O3系無機質粉体(A)と、アルカリ金属珪酸塩水溶液(B)とを混合して流動性に優れた無機質硬化性組成物を製造する方法において、
予め無機質粉体(A)をアルカリ金属珪酸塩水溶液(B)よりも低い一定温度に温度調節しておき、次いで、無機質粉体(A)とアルカリ金属珪酸塩水溶液(B)との比熱(熱容量)から、両成分の混合により得られる無機質硬化性組成物の温度が10〜50℃となるように、アルカリ金属珪酸塩水溶液(B)の温度を計算し、その温度にアルカリ金属珪酸塩水溶液(B)の温度を設定した後に、両成分を混合することにより、無機質硬化性組成物の温度を10〜50℃に制御することを特徴とする無機質硬化性組成物の製造方法。 - アルカリ金属珪酸塩水溶液(B)は、SiO2−Al2O3系無機質粉体(A)100重量部に対して、アルカリ金属珪酸塩0.2〜450重量部、及び水35〜1500重量部からなることを特徴とする請求項1記載の無機質硬化性組成物の製造方法。
- 請求項1又は2記載の無機質硬化性組成物を成形型に充填して無機質硬化体を形成することを特徴とする無機質硬化体の製造方法。
- 前記成形型の温度が前記無機質硬化性組成物の温度より高いことを特徴とする請求項3記載の無機質硬化体の製造方法。
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