JP3831529B2 - 空気調和装置の氷蓄熱ユニット - Google Patents

空気調和装置の氷蓄熱ユニット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和装置の氷蓄熱ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、図5に示すように、圧縮機1、熱源側熱交換器2、四方弁3及び電動膨張弁4を備えた熱源側ユニット5と、氷蓄熱槽6内にコイル7が水没状態で配設されてコイル7外周に氷48が形成可能な氷蓄熱ユニット8と、利用側熱交換器9を備えた利用側ユニット10とを有し、製氷運転、放冷冷房運転、通常冷房運転を実施可能とする空気調和装置11が知られている。
【0003】
製氷運転は、圧縮機1からのガス冷媒が熱源側熱交換器2を経て液冷媒となり、その後に電動膨張弁4を通り、氷蓄熱槽6内のコイル7に流入して蒸発し、この氷蓄熱槽6内で製氷動作が実施された後、ガス冷媒が圧縮機1へ戻されて実施される。氷蓄熱槽6内では、コイル7の外周に付着して氷が形成される。
放冷冷房運転は、熱源側ユニット5の圧縮機1を停止させ、氷蓄熱ユニット8に設置されて冷媒を圧送する液ポンプ又はガスポンプなどの循環ポンプ12(図3では液冷媒を圧送する液ポンプ)を稼働させることによりなされている。つまり、循環ポンプ12の稼働により、氷蓄熱ユニット8における氷蓄熱槽6のコイル7内で、氷48に蓄熱された冷熱を吸収して凝縮した液冷媒が利用側熱交換器9へ圧送され、この利用側熱交換器9において液冷媒が蒸発して、この蒸発潜熱と氷48の冷熱の放熱とにより放冷冷房運転が実施される。
【0004】
通常冷房運転は、圧縮機1から熱源側熱交換器2へ導かれて液冷媒となった冷媒を、氷蓄熱槽6のコイル7内へ流すことなく、利用側熱交換器9へ供給して液冷媒を蒸発し、この蒸発潜熱により実施される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の空気調和装置11では、図6に示すように、放冷冷房運転時に氷蓄熱ユニット8のコイル7内を流れる冷媒13へ、コイル7の外周に形成された氷14から冷熱が伝熱されて、冷媒13が凝縮され冷却される。この時、コイル7外周の氷14が溶けて、コイル7と氷14との間に水柱15が形成される。この水柱15の水は4℃〜6℃であり、温度変化が小さいので対流が発生しにくく停滞してしまう。このため、氷14からの冷熱は、水柱15の水を介しコイル7内の冷媒13へ熱伝導によって伝熱されることになり、氷蓄熱槽6におけるコイル7内の冷媒13と氷14との伝熱性能が低下してしまう。
【0006】
この状態では、氷蓄熱槽6内における氷14の外側の水を強制的に対流させても、氷蓄熱ユニット8におけるコイル7内の冷媒13と氷14との伝熱性能を向上させることができない。
【0007】
そこで、ポンプ及び熱交換器を用い、氷蓄熱ユニット8へ流入し又は氷蓄熱ユニット8から流出した冷媒と、氷蓄熱槽6内の水47とを熱交換して、氷蓄熱槽6内の氷14の冷熱を冷媒13へ伝熱させるものが採用されている。しかし、この場合にはコストが上昇してしまう。
【0008】
本発明の課題は、上述の事情を考慮してなされたものであり、低コストにて伝熱性能を向上させることができる空気調和装置の氷蓄熱ユニットを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、内部に冷媒が流動可能で縦方向に蛇行したコイルが氷蓄熱槽内に水没状態で配設されて、この流動する冷媒によって上記コイル外周に氷が形成可能な空気調和装置の氷蓄熱ユニットにおいて、上記氷蓄熱槽内に略水平に配設されこのコイルに交差しつつこのコイルとは隙間を保つための穴が設けられ前記氷蓄熱槽を複数の室に区画する仕切板と、この仕切板によって区画された各室に配置されつつ夫々上記コイルに交差し且つ当該コイル近傍に配設され、当該コイル外周の氷の冷熱が当該コイル内の冷媒に伝熱されて上記氷が溶け、当該コイルと上記氷との間に水柱が形成された際、上記氷を溶かして、当該氷外周から上記水柱へ貫通する融氷孔を形成可能とする融氷手段と、上記氷蓄熱槽の上記室のいずれか一方から上記融氷孔並びに前記仕切板の穴を経て上記水柱内へ流体を供給し、当該水柱の水を前記コイルに沿って運動可能とする運動手段とを有することを特徴とするものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記融氷手段は、氷蓄熱槽内のコイルに流入する前の冷媒を導く融氷パイプであることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、上記運動手段は、流体としての水47を氷蓄熱槽の一方の室から他方の室へ圧送するポンプであり、上記他方の室から融氷孔を経て水柱内へ水47を供給し、上記水柱の水47をコイルに沿って流動可能とするものであることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、上記運動手段は、流体としての気泡を氷蓄熱槽の一方の室から融氷孔を経て水柱内へ供給し、当該水柱の水47を攪拌可能とするものであることを特徴とするものである。
【0013】
請求項1又は3に記載の発明には、次の作用がある。
【0014】
コイル外周に形成された氷48からの冷熱がコイル内を流れる冷媒に伝熱されて氷48が溶け、コイルと氷48との間に水柱が形成された際、運動手段が、融氷手段により氷48に形成された融氷孔並びに仕切板の穴を経て、氷蓄熱槽のいずれか一方の室から水柱内へ流体を供給し、この水柱の水を運動させることから、この運動する水により、コイル内の冷媒と氷48との間における伝熱性能を向上させることができる。
【0015】
また、コイルが配設された氷蓄熱槽に、この氷蓄熱槽を区画する仕切板と、コイル近傍に交差して配設された融氷手段と、氷蓄熱槽のいずれか一方の室からコイルと氷48との間に形成された水柱内へ流体を供給して、水柱の水を運動させる運動手段とを装備して、本発明の氷蓄熱ユニットが構成されたことから、現状の氷蓄熱ユニットに簡単な部品を追加すれば足りるので、コストの上昇を抑制できる。
【0016】
請求項2に記載の発明には、次の作用がある。
【0017】
融氷手段が、氷蓄熱槽内のコイルへ流入する前の冷媒を導く融氷パイプであることから、氷を溶かして融氷孔を形成するために特別な加熱源を必要としないので、コストをより一層低減できる。
【0018】
請求項4に記載の発明には、次の作用がある。
【0019】
運動手段が、気泡を水柱内へ供給して、この水柱の水を攪拌可能とするものであることから、氷蓄熱槽の一方の室に気泡発生部を備えれば足りるので、コストをより一層低減できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
[A]第一の実施の形態
図1は、本発明に係る空気調和装置の氷蓄熱ユニットにおける第一の実施の形態が適用された空気調和装置を示す管路図である。
【0022】
この図1に示す空気調和装置20は、熱源側ユニット21、氷蓄熱ユニット22及び利用側ユニット23を有して構成される。熱源側ユニット21の冷媒配管24が、氷蓄熱ユニット22の冷媒配管25、26を介して利用側ユニット23の冷媒配管27に接続される。
【0023】
熱源側ユニット21は、冷媒配管24に圧縮機28、四方弁29、熱源側熱交換器30及び電動膨張弁31が順次接続されて構成される。また、利用側ユニット23は、冷媒配管27に利用側熱交換器32及び電動膨張弁33が配設されて構成され、この電動膨張弁33は、空調負荷に応じて開度が調整される。
【0024】
氷蓄熱ユニット22は、コイル34を収容した氷蓄熱槽35を備えると共に、冷媒配管25に第1開閉弁36が、冷媒配管26に第2開閉弁37がそれぞれ配設される。更に、冷媒配管25には、第1開閉弁36の配設位置よりも利用側ユニット23側に、接続配管38を介してコイル34の一端が接続され、この接続配管38に電動膨張弁39が配設される。また、コイル34の他端は、第3開閉弁40を備えた接続配管41を介して、冷媒配管26における第2開閉弁37配設位置の利用側ユニット23側に接続される。
【0025】
氷蓄熱槽35には水47が充満され、コイル34はこの氷蓄熱槽35内に水没状態で配設される。このコイル34内には、空気調和装置20の製氷運転時に熱源側熱交換器30から液冷媒が流入して蒸発し、これにより、コイル34の外周に氷48(図2)が付着して形成される。
【0026】
上記接続配管38には、電動膨張弁39とコイル34との間に、二股に分岐する分岐配管42を介して2個のサージタンク43A及び43Bが並列状態で接続される。これらのサージタンク43A、43Bが合流配管44を介して、冷媒配管25における第1開閉弁36配設位置と接続配管38接続位置との間に接続される。これにより、サージタンク43A及び43Bは、氷蓄熱槽35内のコイル34と利用側熱交換器32との間に配設されて、氷蓄熱槽35内の氷48に蓄熱された冷熱により凝縮された液冷媒が貯溜可能に設けられる。
【0027】
分岐配管42には、サージタンク43A、43Bの流入側に流入側逆止弁45A、45Bが、また、合流配管44には、サージタンク43A、43Bの流出側に流出側逆止弁46A、46Bがそれぞれ配設されている。これらの流入側逆止弁45A、45Bは、氷蓄熱槽35のコイル34からサージタンク43A、43Bへのみ流れる冷媒の流れを許容し、流出側逆止弁46A、46Bは、サージタンク43A、43Bから利用側熱交換器32側へのみ流れる冷媒の流れを許容する。
【0028】
サージタンク43A及び43Bは、第1配管51、第2配管52、第3配管53及び第4配管54を介して、四方弁55及び小容量圧縮機56に接続される。第1配管51、第2配管52、第3配管53及び第4配管54は、それぞれの一端が四方弁55の各ポートに接続されると共に、第1配管51、第2配管52の他端が小容量圧縮機56の吐出口と吸込口にそれぞれ接続される。また、第3配管53、第4配管54の他端がサージタンク43A、43Bにそれぞれ接続される。
【0029】
四方弁55の切り換え操作により、第1配管51及び第3配管53が連通し、且つ第2配管52及び第4配管54の連通するA側切換と、第1配管51及び第4配管54の連通し、且つ第2配管52及び第3配管53の連通するB側切換とが選択的に切り換えられる。また、小容量圧縮機56は、熱源側ユニット21における圧縮機28よりも小さな容量(1/10〜1/20)の圧縮機であり、空気調和装置20の放冷冷房運転時にのみ稼働される。この小容量圧縮機56から吐出される冷媒は、熱源側ユニット21の圧縮機28から吐出される冷媒と同一組成である。
【0030】
上記四方弁55のA側切換又はB側切換への操作により、小容量圧縮機56からの高圧ガス冷媒がサージタンク43A又は43B内へ交互に供給可能に構成される。これにより、サージタンク43A、43B内に貯溜された液冷媒が利用側熱交換器32へ圧送可能に構成される。
【0031】
さて、上記氷蓄熱ユニット22は、前述の如く、氷蓄熱槽35、コイル34、サージタンク43A及び43B、小容量圧縮機56並びに四方弁55を有すほか、仕切板61、融氷手段としての融氷パイプ62及び63、並びに運動手段としてのポンプ64(図2)を備える。
【0032】
上記仕切板61は、図2にも示すように、氷蓄熱槽35の下方に水平状態で配設されると共に、上下方向に蛇行するコイル34の下部に交差して、氷蓄熱槽35内を上室65と下室66とに区画する。具体的には、コイル34の下部は、仕切板61に形成された長穴を貫通して下室66内に至る。
【0033】
上記融氷パイプ62は、氷蓄熱槽35の上室65内に配設され、上下方向に蛇行するコイル34の上端部近傍で、このコイル34上端部に交差して配置される。また、上記融氷パイプ63は、下室66内に配設され、コイル34の下端部近傍で、このコイル34下端部に交差して配置される。
【0034】
これらの融氷パイプ62及び63は、図1に示すように、連結配管67にて連結される。更に、融氷パイプ62は、逆止弁68を備えた融氷接続管69を介して接続配管41に接続される。また、融氷パイプ63は、逆止弁70を備えた融氷接続管71を介して接続配管38に接続される。
【0035】
逆止弁68は、利用側熱交換器32側から第3開閉弁40を経て融氷パイプ62へ流れる冷媒の流れのみを許容する。また、逆止弁70は、融氷パイプ63から融氷接続管71を経て接続配管38及び分岐配管42側へ流れる冷媒の流れのみを許容する。従って、融氷パイプ62及び63には、空気調和装置20の放冷冷房運転時(後述)に、利用側熱交換器32にて蒸発されて氷蓄熱槽35のコイル34へ流れる前の冷媒の一部が導入される。なお、逆止弁68、逆止弁70はいずれか一方のみが配置されていてもよい。
【0036】
空気調和装置20の製氷運転時(後述)には、氷蓄熱槽35のコイル34外周に氷48が付着して形成される。空気調和装置20の放冷冷房運転時には、利用側熱交換器32からコイル34内を流れる冷媒に上記氷48の冷熱が伝熱され、この結果、氷48のコイル34外周側が溶けて、図2及び図3に示すように、コイル34と氷48との間に水柱49が形成される。上記融氷パイプ62と63は、空気調和装置20の放冷冷房運転時に、利用側熱交換器32からのガス冷媒が導入されることにより、周囲の氷48を溶かし、氷48外周から水柱49へ向かって貫通する上融氷孔72と下融氷孔73とをそれぞれ形成する。
【0037】
前記ポンプ64は、その一端が、氷蓄熱槽35の下室66に連結され、他端が上室65上方又は上室65内に位置する圧送配管74に配設される。ポンプ64は、空気調和装置20の放冷冷房運転時に駆動されて、氷蓄熱槽35の下室66内の水47を上室65内へ圧送する。氷蓄熱槽35内が仕切板61により区画されているので、ポンプ64の駆動により、上室65内の水47が氷48の上融氷孔72を経て水柱49内へ流入し、これにより、この水柱49の水47は、コイル34に沿って上方から下方へ流動し、氷48の下融氷孔73を経て下室66内へ流出する。
【0038】
このように、水柱49の水47を強制的に流動させることにより、氷蓄熱槽35におけるコイル34内の冷媒と氷48との間の熱伝達率が上昇し、空気調和装置20の放冷冷房運転時において、氷蓄熱槽35のコイル34を流れる冷媒の凝縮効率が向上する。
【0039】
次に、空気調和装置20の製氷運転、放冷冷房運転、通常冷房運転を説明する。
【0040】
[A]製氷運転
空気調和装置20の製氷運転は、例えば、夜間10時から翌朝8時までの電力料金の安い時間帯に、熱源側熱交換器30からの液冷媒を氷蓄熱槽35のコイルコイル34内へ供給し、氷蓄熱槽35内に氷を作る運転である。
【0041】
この場合には、電動膨張弁33が閉弁され、第1開閉弁36、第2開閉弁37、第3開閉弁40及び電動膨張弁39が開弁操作される。
【0042】
この状態で、熱源側ユニット21の圧縮機28が稼働されると、この圧縮機28から吐出されたガス冷媒は、熱源側熱交換器30にて凝縮され、電動膨張弁31及び39を経て減圧され、氷蓄熱槽35のコイル34内へ流入する。このコイル34内に流入した冷媒は蒸発して、コイル34の外周に氷を付着した状態で形成する。その後、コイル34内のガス冷媒は接続配管41及び冷媒配管26を経て四方弁29へ至り、圧縮機28に戻される。
【0043】
[B]放冷冷房運転
空気調和装置20の放冷冷房運転は、例えば、昼間気温が上昇する時間帯に、氷蓄熱槽35のコイル34内で氷の冷熱により液化されてサージタンク43A、43B内に貯溜された液冷媒を、このサージタンク43A、43Bから利用側熱交換器32へ圧送することにより実施される。
【0044】
この場合には、第1開閉弁36、第2開閉弁37及び電動膨張弁39が閉弁され、電動膨張弁33及び第3開閉弁40が開弁操作される。また、熱源側ユニット21の圧縮機28は、製氷運転終了後の停止状態にある。
【0045】
この状態で、小容量圧縮機56が稼働され、四方弁55がA側切換とB側切換に交互に切り換えられる。例えば、四方弁55がA側切換のときには、小容量圧縮機56から吐出された高圧ガス冷媒を、第1配管51及び第3配管53を経てサージタンク43A内へ導き、これにより、このサージタンク43A内の貯溜液冷媒が流出側逆止弁46A、合流配管44、冷媒配管25及び27を経て利用側熱交換器32内へ流入する。サージタンク43A内に貯溜した液冷媒は、氷蓄熱槽35のコイル34内を通り、氷蓄熱槽35内の氷に蓄熱された冷熱により凝縮された液冷媒であるため、利用側熱交換器32内で蒸発することにより、上記氷の冷熱の放熱(放冷)と蒸発潜熱とにより室内を効率的に冷却する。
【0046】
利用側熱交換器32にて蒸発したガス冷媒は、接続配管41及び第3開閉弁40を経て氷蓄熱槽35のコイル34内へ流入し、上述の如く、氷蓄熱槽35内の氷により凝縮して液冷媒となって、流入側逆止弁45Bを経てサージタンク43B内へ流入する。
【0047】
この時、サージタンク43A内が高圧であるため、氷蓄熱槽35のコイル34内の液冷媒は、サージタンク43A内へ流れることなくサージタンク43B内へ流れる。同様に、サージタンク43B内がサージタンク43Aに比べて低圧であるため、サージタンク43B内の貯溜冷媒が流出側逆止弁46Bを経て利用側熱交換器32側へ流出することもない。
【0048】
サージタンク43A内の貯溜液冷媒が空になる前後に、四方弁55がB側切換されて、小容量圧縮機56から吐出された高圧ガス冷媒を、第1配管51及び第4配管54を経てサージタンク43B内へ導く。すると、サージタンク43B内に貯溜された液冷媒が、流出側逆止弁46B、合流配管44、冷媒配管25、27及び電動膨張弁33を経て利用側熱交換器32へ流入し蒸発して、前述と同様に、放冷及び蒸発潜熱により室内を効率的に冷房する。この利用側熱交換器32からのガス冷媒は、接続配管41及び第3開閉弁40を経て氷蓄熱槽35のコイル34内で氷の冷熱により凝縮されて液冷媒となり、分岐配管42及び流入側逆止弁45Aを経てサージタンク43A内へ流入する。
【0049】
サージタンク43B内の貯溜液冷媒が空になる前後に、四方弁55をA側切換とし、サージタンク43A内の貯溜液冷媒が空になる前後に、四方弁をB側切換として、上述の動作を繰り返し、放冷冷房運転を継続させる。
【0050】
この放冷冷房運転中に、利用側熱交換器32にて蒸発されたガス冷媒の一部が、逆止弁68を経て融氷パイプ62及び63内へ導入されると共に、ポンプ64が駆動される。これにより、氷蓄熱槽35のコイル34外周に形成された氷48に上融氷孔72及び下融氷孔73が形成され、氷蓄熱槽35の上室65内の水47が上融氷孔72を経て、コイル34と氷48との間の水柱49内へ流入し、この水柱49内の水が下融氷孔73を経て氷蓄熱槽35の下室66内へ流出する。この結果、水柱49内で水が強制的に流動し、コイル34を流れる冷媒と氷48との間の熱伝達率が上昇して、氷48の冷熱がコイル34内の冷媒へ効率的に伝熱される。
【0051】
[C]通常冷房運転
空気調和装置20の通常冷房運転は、氷蓄熱槽35内の氷に蓄熱された冷熱を利用しないで実施される冷房運転であり、電動膨張弁39及び第3開閉弁40が閉弁され、第1開閉弁36、第2開閉弁37並びに電動膨張弁31及び33が開弁操作される。
【0052】
この状態で、圧縮機28が稼働されると、この圧縮機28から吐出されたガス冷媒は、熱源側熱交換器30にて凝縮され、電動膨張弁31、冷媒配管25及び電動膨張弁33を経て利用側熱交換器32へ流入し、この利用側熱交換器32にて蒸発して、蒸発潜熱により室内を冷房した後、冷媒配管26及び四方弁29を経て圧縮機28へ戻される。
【0053】
上記実施の形態の空気調和装置20は、上述のように構成されたことから、次の効果▲1▼〜▲3▼を奏する。
【0054】
▲1▼氷蓄熱槽35内のコイル34外周に形成された氷48からの冷熱がコイル34内を流れる冷媒に伝熱されて氷48が溶け、コイル34と氷48との間に水柱49が形成された際、ポンプ64が、融氷パイプ62及び63により氷48に形成された上融氷孔72及び下融氷孔73を経て、氷蓄熱槽35の上室65から水柱49内へ水47を供給し、この水柱49の水47を流動させることから、この流動する水47によって、コイル34内の冷媒と氷48との間における伝熱性能を向上させることができ、その結果、コイル34を流れる冷媒の凝縮効率を向上させることができる。
【0055】
▲2▼コイル34が配設された氷蓄熱槽35に、この氷蓄熱槽35を区画する仕切板61と、コイル34近傍に交差して配設された融氷パイプ62及び63と、氷蓄熱槽35の上室65から上融氷孔72を経て水柱49内へ水47を供給し、この水柱49の水を流動させるポンプ64とを装備して、氷蓄熱ユニット80におけるコイル34内の冷媒と氷48との伝熱性能を向上させたことから、現状の氷蓄熱ユニットに簡単な部品を追加すれば足りるので、コストの上昇を抑制できる。
【0056】
▲3▼融氷パイプ62及び63には利用側熱交換器32から氷蓄熱槽35内のコイル34へ流入する前の冷媒が導入されることから、氷48を溶かして上融氷孔72及び下融氷孔73を形成するために特別な加熱源を必要としないので、コストをより一層低減できる
[B]第二の実施の形態
図4は、本発明に係る空気調和装置の氷蓄熱ユニットの第二の実施の形態を示す縦断面図である。この第二の実施の形態において、前記第一の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0057】
この第二の実施の形態の氷蓄熱ユニット80における運動手段は、気泡発生パイプ81及びエア供給源82を有して構成される。気泡発生パイプ81は、氷蓄熱槽35の下室66内に配設され、気泡83を放出する多数の放出孔84を有する。また、エア供給源82は、空気調和装置20の放冷冷房運転時に駆動される。
【0058】
空気調和装置20の放冷冷房運転時に融氷パイプ62及び63に利用側熱交換器32からガス冷媒が導入され、且つエア供給源82が駆動されることにより、氷蓄熱槽35内の氷48に上融氷孔72及び下融氷孔73が形成され、気泡発生パイプ81の放出孔84から多数の気泡83が放出される。エア供給源82から放出され多数の気泡83は、氷蓄熱槽35の下室66から下融氷孔73を経て水柱49内へ流入し、この水柱49の水47を攪拌して上昇し、上融氷孔72を経て氷蓄熱槽35の上室65内へ流れ大気中へ放出される。水柱49の水47が多数の気泡83により攪拌されることによって、氷蓄熱槽35におけるコイル34内の冷媒と氷48との熱伝達率とが上昇し、水柱49を介して氷48からコイル34内の冷媒へ伝熱される冷熱の伝熱性能が向上する。
【0059】
従って、この第二の実施の形態においても、前記第一の実施の形態と同様な効果▲4▼乃至▲6▼を奏する。
【0060】
▲4▼氷蓄熱槽35のコイル34外周に形成された氷48からの冷熱がコイル34内を流れる冷媒に伝熱されて氷48が溶け、コイル34と氷48との間に水柱49が形成された際、エア供給源82及び気泡発生パイプ81が、融氷パイプ62により氷48に形成された下融氷孔73を経て、氷蓄熱槽35の下室66から水柱49内へ気泡83を供給し、この気泡83を融氷パイプ63にて形成された上融氷孔72を経て氷蓄熱槽35の上室65内へ流出させ、この結果水柱49の水47を攪拌させることから、この攪拌する水47により、コイル34内の冷媒と氷48との間における伝熱性能を向上させることができ、コイル34を流れる冷媒の凝縮効率を向上させることができる。
【0061】
▲5▼コイル34が配設された氷蓄熱槽35に、この氷蓄熱槽35を区画する仕切板61と、コイル34近傍に交差して配設された融氷パイプ62及び63と、氷蓄熱槽35の下室66からコイル34と氷48との間に形成された水柱49内へ気泡83を供給して、水柱49の水47を攪拌させるエア供給源82及び気泡発生パイプ81とを装備して、氷蓄熱槽35におけるコイル34内の冷媒と氷48との伝熱性能を向上させたことから、現状の氷蓄熱ユニットに簡単な部品を追加すれば足りるので、コストの上昇を抑制できる。
【0062】
▲6▼気泡発生パイプ81及びエア供給源82が、気泡83を水柱49内へ供給して、この水柱49の水47を攪拌可能とすることから、氷蓄熱槽35の下室66内に気泡発生パイプ81を配設し、エア供給源82を備えれば足りるので、前記実施の形態の氷蓄熱ユニット22に比べコストをより一層低減できる。
【0063】
以上、一実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0064】
例えば、上記両実施の形態では、仕切板61が1枚のものを述べたが、仕切板61が2枚以上配設されて、氷蓄熱槽35内が3以上の室に区画され、各室に融氷パイプが配設されてもよい。
【0065】
また、融氷パイプ62、63は、利用側熱交換器32からのガス冷媒を導くものを述べたが、温水を導くものでもよく、更に、この融氷パイプ62及び63をヒータ等の加熱手段に置き換えてもよい。
【0066】
更に、上記実施の形態では、氷蓄熱槽35内のコイル34が上下方向に蛇行するものを述べたが、左右方向に蛇行するものでもよく、この場合、仕切板61及び融氷パイプ62、63を鉛直方向に配置して第一実施例を適用してもよい。
【0067】
また、サージタンク43A、43B、小容量圧縮機56及び四方弁55が存在せず、製氷運転後に、四方弁29からの冷媒を熱源側熱交換器30により凝縮し、この凝縮された液冷媒を氷蓄熱槽35内のコイル34へ流して過冷却状態とし、この過冷却状態の液冷媒を利用側熱交換器32へ導いて利用側熱交換器32内を解氷冷房運転する空気調和装置に本発明を適用してもよい。
【0068】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る空気調和装置の氷蓄熱ユニットによれば、氷蓄熱槽内におけるコイルと氷との間に、氷が溶けて水柱が形成された際、運動手段が、融氷手段により氷に形成された融氷孔並びに仕切板の穴を経て氷蓄熱槽のいずれか一方の室から水柱内へ流体を供給し、この水柱の水を運動させることから、この運動する水により、コイル内の冷媒と氷との間における伝熱性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る空気調和装置の氷蓄熱ユニットにおける第一の実施の形態が適用された空気調和装置を示す管路図である。
【図2】図1の氷蓄熱ユニットの一部を示す縦断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】本発明に係る空気調和装置の氷蓄熱ユニットにおける第二の実施の形態を示す縦断面図である。
【図5】従来の空気調和装置を示す管路図である。
【図6】図5の氷蓄熱ユニットを示す縦断面図である。
【符号の説明】
20 空気調和装置
22 氷蓄熱ユニット
34 コイル
35 氷蓄熱槽
47 水
48 氷
49 水柱
61 仕切板
62 融氷パイプ
63 融氷パイプ
64 ポンプ
65 上室
66 下室
72 上融氷孔
73 下融氷孔
80 氷蓄熱ユニット
81 気泡発生パイプ
83 気泡

Claims (4)

  1. 内部に冷媒が流動可能で縦方向に蛇行したコイルが氷蓄熱槽内に水没状態で配設されて、この流動する冷媒によって上記コイル外周に氷が形成可能な空気調和装置の氷蓄熱ユニットにおいて、
    上記氷蓄熱槽内に略水平に配設されこのコイルに交差しつつこのコイルとは隙間を保つための穴が設けられ前記氷蓄熱槽を複数の室に区画する仕切板と、
    この仕切板によって区画された各室に配置されつつ夫々上記コイルに交差し且つ当該コイル近傍に配設され、当該コイル外周の氷の冷熱が当該コイル内の冷媒に伝熱されて上記氷が溶け、当該コイルと上記氷との間に水柱が形成された際、上記氷を溶かして、当該氷外周から上記水柱へ貫通する融氷孔を形成可能とする融氷手段と、
    上記氷蓄熱槽の上記室のいずれか一方から上記融氷孔並びに前記仕切板の穴を経て上記水柱内へ流体を供給し、当該水柱の水を前記コイルに沿って運動可能とする運動手段とを有することを特徴とする空気調和装置の氷蓄熱ユニット。
  2. 上記融氷手段は、氷蓄熱槽内のコイルに流入する前の冷媒を導く融氷パイプであることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置の氷蓄熱ユニット。
  3. 上記運動手段は、流体としての水を氷蓄熱槽の一方の室から他方の室へ圧送するポンプであり、上記他方の室から融氷孔を経て水柱内へ水を供給し、上記水柱の水をコイルに沿って流動可能とするものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気調和装置の氷蓄熱ユニット。
  4. 上記運動手段は、流体としての気泡を氷蓄熱槽の一方の室から融氷孔を経て水柱内へ供給し、当該水柱の水を攪拌可能とするものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気調和装置の氷蓄熱ユニット。
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