JP3831366B2 - Lpp信号検出方法および光ディスク装置 - Google Patents
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Description
DVDディスクは、記録層に相変化材料が用いられている。この記録層は保護層で挟みこまれて保護されており、また記録面側と反対側には反射層が設けられている。この記録層、保護層、反射層が透明基板であるポリカーボネートによって挟み込まれ、DVDディスクとして形成される。
DVDディスクの記録面にはレーザ光を案内するためのグルーブ5(溝)が形成されているが、グルーブ5とグルーブ5の間がランド7として記録面側に突出してレーザ光が照射されて相変化する部位となる。グルーブ5は所定の周期で蛇行(ウォブル)して形成されており、光ディスク装置側にこの周期を時間情報として提供できる。光ディスク装置ではグルーブ5のウォブルに基づいて得られたウォブル信号を検出してディスク回転制御時の時間情報等に用いている。
このプッシュプル信号は、図8に示したような波形となる。
つまり、プッシュプル信号aは、グルーブの蛇行(ウォブル)に沿った振幅と波長を有するウォブル成分bと、ランドプリピット(LPP)の位置に該当するように所定間隔おきに形成されるパルス状のLPP成分cとが重ね合された波形となる。
具体的には、正弦波に近い形状のウォブル成分bのピーク部分(最大振幅値または最小振幅値)において、更に突出するパルス状の波形がLPP成分cである。
すなわち、ウォブル成分の最大振幅値部分にLPP成分が存する場合においては、ある一定以上の電圧(スライス信号)より大きい値を有している部分のみがLPP成分であるとし、スライス信号と比較してスライス信号よりも大きい電圧値を有する部位のみをLPP成分として抽出し、これを2値化したLPP信号を検出するのである(例えば特許文献1参照)。
つまり、図9のAに示すように、ウォブル成分b自身にノイズが乗っている場合には、スライス信号のレベルをウォブル成分の最大振幅値に近づけすぎるとノイズまで拾ってしまうので正確なLPP成分を得ることができない。
一方、図9のBに示すように、スライス信号のレベルを上げすぎると、当該レベル位置ではLPP成分のピーク値を越えてしまうか、またはLPP成分のパルス幅が極めて狭くなってしまうことが考えられる。かかる場合には、拾うことができないLPP成分が存在し、LPP成分の漏れが生じてしまい、これも正確なLPP成分を得ることができない。
このため、スライス信号のレベルは、なるべくウォブル成分のピーク値付近であって、且つウォブル成分のノイズを拾わない位置に設定する必要性があるという課題があった。
この方法によると、スライス信号の電圧値を徐々にウォブル成分に近づけて行きながら、スライスされて検出された複数のLPP信号をチェックし、このLPP信号のパルス幅が急激にバラツキを生じるようになった場合には、スライス信号がウォブル成分に重なったか、またはウォブル成分に乗ったノイズに重なったと判断することができる。そこで、スライス信号の電圧値を、ウォブル成分に重なったかまたはノイズに重なった位置よりもウォブル成分から離れる方向に若干移動させることにより、スライス信号の設定を、なるべくウォブル成分のピーク値に近づけ、しかもウォブル成分に接触したりノイズを拾わないようにし、正確なLPP信号の検出が可能となる。
このように補正値を予めDVDディスクの種類毎に設定しておくことによって、各ディスク毎にバラツキがあるウォブル成分の振幅の大きさや、ノイズの乗りやすさ等を考慮して確実にLPP信号を検出可能なスライス信号のレベルを設定することができる。
前記スライス信号の電圧値を前記ウォブル成分に接近させながら、得られたLPP信号の各パルスのパルス幅を検出して、該LPP信号のパルス幅のバラツキを数値化したバラツキ度を算出し、該バラツキ度が予め設定された閾値よりも大きくなるまで、前記スライス信号の電圧値を前記ウォブル成分に接近させ、バラツキ度が閾値よりも大きくなったときのスライス信号の電圧値に、予め設定してある補正値を加算または減算した電圧値をスライス信号の電圧値として設定するように、前記各構成を制御する制御手段を具備することを特徴としている。
この構成を採用することによって、装着されたDVDディスクからLPP信号を検出する場合において、スライス信号を徐々にウォブル成分に近づけて行きながら、スライスされて検出されたLPP信号をチェックし、このLPP信号が急激にバラツキを生じるようになった場合には、スライス信号のレベルがウォブル成分に重なったか、またはウォブル成分に乗ったノイズに重なったと判断することができる。そこで、スライス信号のレベルを、ウォブル成分に重なったかまたはノイズに重なった位置よりもウォブル成分から離れる方向に若干移動させることにより、スライス信号の設定を、なるべくウォブル成分のピーク値に近づけ、しかもウォブル信号に接触したりノイズを拾わないようにし、正確なLPP信号の検出が可能となる。
このように補正値を予めDVDディスクの種類毎に設定しておくことによって、各ディスク毎にバラツキがあるウォブル成分の振幅の大きさや、ノイズの乗りやすさ等を考慮して確実にLPP信号を検出可能なスライス信号のレベルを設定することができる。
本装置はDVDとCDの両者をドライブ可能な装置であるので、DVDディスク装置とせずに、光ディスク装置とした。すなわち、光ディスク装置30は、CDおよびDVDの光ディスクを装着してデータ再生、データの書き込みを行うことができる。
光ディスク10は、スピンドルモータ12によって回転駆動され、光ディスク10の径方向に移動する光ピックアップ14によってデータ再生、およびデータの書き込みを行う。
フォトダイオード15は、複数個に分割された受光面を有しており、それぞれの受光面に受けた反射光強度の差分をとることで、反射光からプッシュプル信号aを読み出すことができる。フォトダイオード15は、プッシュプル信号aの他に、それぞれの受光面における反射光強度に基づいてトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号等の各信号を読み出すことができる。トラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号は、サーボ制御部17に入力され、トラッキングサーボ、フォーカスサーボ、スピンドルサーボ等のサーボ制御に使用される。
すなわち、LPP信号検出回路18には、光ピックアップ14で読み出されたプッシュプル信号aと、スライス信号dとが入力され、スライス信号dの電圧値(レベル)を基準としてプッシュプル信号aをスライス整形し、プッシュプル信号aに含まれているLPP成分cのみを抽出する。抽出されたLPP成分cは2値化され、デジタル信号として出力される。
制御部26では、LPP信号e中の複数のパルスのそれぞれのパルス幅のバラツキ度を演算する演算機能を有している。ここでいうバラツキ度の例としては、標準偏差あるいは分散等がある。分散とは各データと平均の差の 2 乗の平均値であり、標準偏差とは分散の平方根である。
つまり、制御部26は、LPP信号eのパルス幅のバラツキ度を参照しつつ、スライス信号dの電圧値をウォブル成分bのピーク値に接近させるようにスライス信号生成回路20を制御する。そして、制御部26は、LPP信号eが急激にバラツキを生じるようになった場合(閾値を越えた場合)には、スライス信号dのレベルがウォブル成分bに重なったか、またはウォブル成分bに乗ったノイズに重なったと判断する。そして、制御部26は、スライス信号dの電圧値を、ウォブル成分に重なったかまたはノイズに重なった位置よりもウォブル成分から所定の電圧値(補正値)分だけ離れる方向に若干移動させるようにスライス信号生成回路を制御し、スライス信号の電圧値の設定を行なう。
補正値は、DVDディスクの種類毎に、どの程度ウォブル成分から離間させる方向に電圧値を加算または減算させればよいかを予め実験的に算出しておくとよい。
図2に示す信号aがプッシュプル信号である。プッシュプル信号aは、上述したように光ピックアップ14が受光した反射光に基づいて生成される信号であり、具体的にはDVDディスク10から反射してきた反射光を複数個に分割された受光面を有する受光素子であるフォトディテクタ15が受光し、各受光面で受光した反射光強度の差を検出することで生成される。
すなわち、プッシュプル信号aは、ほぼ一定の振幅h、およびほぼ一定の波長λを有する正弦波に近いウォブル成分bのピーク部分にパルス状のLPP成分cが含まれたような波形を成している。
図3に示すように、本実施例におけるスライス信号dは、ウォブル成分bと同一振幅、同一波長で且つ位相をそろえた波形である。このようなウォブル成分bと同一の波形のスライス信号dは、プッシュプル信号aをスルーレート処理して生成することができる。
つまり、光ディスク装置30に光ディスク10が装着されると、まず光ディスクの種類を認識するイニシャライズが実行される。このとき、光ディスク10がDVDディスクであって、LPPを有する物で有る場合には、制御部26は、メーカ等の種類を識別しておき、制御部26内のメモリ領域等に記憶しておく。
そして、制御部26は、スライス信号dのレベルを初期値V0からウォブル成分bに徐々に近づけていく(図6の破線矢印(1)参照)ように制御する。
ウォブル成分bから多少離れた位置にスライス信号dがある場合、複数のパルス幅は、ほぼ一定であり、バラツキ度は0に近い極めて小さい値となる。
なお、このバラツキ度の数値がどの程度大きくなったら接触値であると判断するかは、予め設定しておいた閾値と比較して判断するとよい。閾値は、制御部26内のメモリ領域等に記憶しておくとよい。
そこで、制御部26は、装着されているDVDディスクの種類に適合する補正値Vcを記憶手段28から取り出す。
そして、図5に示すように、スライス信号dがウォブル成分bまたはウォブル成分bに乗っているノイズに接触したときの接触値Vmに、補正値Vcを加算し、最終的に設定すべき設定値Viを設定する(図6の点線矢印(2)参照)。
しかし、LPP成分cがウォブル成分bの最小振幅値から下方に向けて突出する波形であれば、補正値Vcは接触値Vmに加算するのではなく、接触値Vmから減算して設定値Viを設定するようにすることが必要となる(図示せず)。
12 スピンドルモータ
14 光ピックアップ
15 フォトダイオード
17 サーボ制御部
18 LPP信号検出回路
20 スライス信号生成回路
24 ドライブ制御部
26 制御部
28 記憶手段
30 光ディスク装置
V0 初期値
Vc 補正値
Vi 設定値
Vm 接触値
a プッシュプル信号
b ウォブル成分
c LPP成分
d スライス信号
e LPP信号
Claims (6)
- グルーブにランドプリピット(LPP)が形成されているDVDディスクから、ウォブル成分と、ウォブル成分のピーク部分に位置するLPP成分とを含むプッシュプル信号を読み取り、
読み取ったプッシュプル信号を所定のスライス信号でスライス整形して、LPP成分を2値化したLPP信号を検出するLPP信号検出方法において、
前記スライス信号の電圧値を設定する際に、
前記スライス信号の電圧値を前記ウォブル成分に接近させながら、得られたLPP信号の各パルスのパルス幅を検出して、該LPP信号のパルス幅のバラツキを数値化したバラツキ度を算出し、
該バラツキ度が予め設定された閾値よりも大きくなるまで、前記スライス信号の電圧値を前記ウォブル成分に接近させ、
バラツキ度が閾値よりも大きくなったときのスライス信号の電圧値に、予め設定してある補正値を加算または減算した電圧値をスライス信号の電圧値として設定することを特徴とするLPP信号検出方法。 - 前記スライス信号は、プッシュプル信号に含まれるウォブル成分と同一振幅で同一周期の波形を有するものであることを特徴とする請求項1記載のLPP信号検出方法。
- 前記補正値は、DVDディスクのメーカ等の種類毎に、予め異なる値として設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のLPP信号検出方法。
- グルーブにランドプリピット(LPP)が形成されているDVDディスクが装着された場合には、ウォブル成分と、該ウォブル成分のピーク部分に位置するLPP成分とを含むプッシュプル信号を、装着されたDVDディスクから読み出す光ピックアップと、
プッシュプル信号をスライス信号に基づいてスライス整形して、LPP成分を2値化したLPP信号を検出するLPP信号検出手段と、
前記スライス信号を生成するスライス信号生成手段とを具備する光ディスク装置において、
前記スライス信号の電圧値を前記ウォブル成分に接近させながら、得られたLPP信号の各パルスのパルス幅を検出して、該LPP信号のパルス幅のバラツキを数値化したバラツキ度を算出し、
該バラツキ度が予め設定された閾値よりも大きくなるまで、前記スライス信号の電圧値を前記ウォブル成分に接近させ、
バラツキ度が閾値よりも大きくなったときのスライス信号の電圧値に、予め設定してある補正値を加算または減算した電圧値をスライス信号の電圧値として設定するように、前記各構成を制御する制御手段を具備することを特徴とする光ディスク装置。 - 前記スライス信号生成手段は、
プッシュプル信号に含まれるウォブル成分と同一振幅で同一周期の波形を有するスライス信号を生成することを特徴とする請求項4記載の光ディスク装置。 - 前記補正値として、DVDディスクのメーカ等の種類毎に、予め異なる値が記憶された記憶手段を具備することを特徴とする請求項4または請求項5記載の光ディスク装置。
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