JP3830779B2 - 車両用交流発電機 - Google Patents
車両用交流発電機 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3830779B2 JP3830779B2 JP2001194407A JP2001194407A JP3830779B2 JP 3830779 B2 JP3830779 B2 JP 3830779B2 JP 2001194407 A JP2001194407 A JP 2001194407A JP 2001194407 A JP2001194407 A JP 2001194407A JP 3830779 B2 JP3830779 B2 JP 3830779B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- claw
- magnet
- magnetic pole
- shaped magnetic
- rotor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Motor Or Generator Cooling System (AREA)
- Synchronous Machinery (AREA)
- Permanent Magnet Type Synchronous Machine (AREA)
- Permanent Field Magnets Of Synchronous Machinery (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用交流発電機に係り、特に自動車用発電装置として用いるのに好適な車両用交流発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用交流発電機として、次のような公知例がある。まず、第一の公知例では回転子の冷却を促進するために、特開2000−125513号公報に記載されているように、界磁巻線の発熱を固定側に伝えやすいように固定側に凸部機構を配置したものが開示されている。
【0003】
第二の公知例では、爪磁極間に永久磁石を配置する場合に爪形磁極の内周側に磁石固定部を設けて、非磁性体の磁石保持器に永久磁石全体が覆われたものを爪磁極間に配置したものが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記、第一の従来技術においては、永久磁石を爪磁極間に配置するための磁石固定部分が永久磁石上部に必要なため、永久磁石が無い爪形状に比べ爪磁極の表面積が大きくなる問題点がある。その結果、爪磁極表面で発生する渦電流損失が大きくなる問題が発生する。また、固定子コイルに近いところに配置されるため、固定子からの銅損による熱を受けやすく、永久磁石にネオジム磁石を用いた場合には、熱減磁の可能性が発生する。また、磁石位置を単純に下げようとすると、磁石固定部の径方向厚みが大きくなり、極間部の対向面積が増加するために、漏れ磁束が大きくなる問題点が発生する。逆に、爪磁極の爪表面積を同じようにした場合には、磁石の磁化方向長さが長くなり着磁がし難い問題が発生してくる。また、磁石が大きくなる問題が発生しコストアップにつながる。また、第二の従来技術に於いては回転子の発熱を固定側に伝えても熱伝導で水路に熱を伝えるためには水路までの距離が長く、回転子から水路までの熱抵抗は余り良くないと考えられる。
【0005】
一方、液冷式車両用交流発電機は、冷却手段にファンを用いないことから機内を密閉構造にすることが可能である。この場合、回転子の発熱による冷却には空気を介して熱伝導によるものが主とした熱伝達経路となる。そのために、温度上昇を抑えるためには回転子部での発熱を低減する必要がある。回転子の熱源としては、界磁巻線の銅損と回転による機械損、爪磁極表面で発生する渦電流損がある。高速回転になると、この渦電流損失が大幅に増大する。そのために、渦電流損失の低減が重要となる。
【0006】
本発明の第一の目的は、永久磁石を爪磁極間に配置する場合、永久磁石の適切な固定方法及び永久磁石の磁束の利用率向上を図った車両用交流発電機を提供することにある。
【0007】
本発明の第二の目的は、液冷式車両用交流発電機において、高速回転における渦電流損失の増大を抑えることのできる車両用交流発電機を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第三の目的は、回転子の発熱を水路に効率良く伝えることのできる車両用交流発電機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第一、第二の目的を達成するために、固定子の爪形磁極の爪部間に固定された補助励磁用の永久磁石と、前記爪磁極の爪部端面から円周方向に延びるつば状の磁石固定部を有する車両用交流発電機において、前記磁石固定部を前記回転子の主ギャップ面よりも半径方向内側に離間した位置に設け、該磁石固定部の半径方向内側に前記永久磁石を配置し、該磁石固定部の半径方向外側に磁気的空隙部を形成したことを特徴とする。
【0010】
なお、磁石固定部は、主ギャップ面すなわち爪磁極表面よりもギャップ長の2〜3倍の距離離れて内径側に設けるのが望ましい。また、磁石固定部を部分的に設けることで、極間の漏れ磁束を低下させ、出力の向上を図ることができる。
【0011】
また、永久磁石の保持部材に、複合磁性材料を用いて永久磁石の磁化方向に接する面は磁性体、直角方向は非磁性体とすることで、永久磁石の利用効率向上を可能にしている。
【0012】
上記の第三の目的を達成するために、本発明では、固定子のプーリ側軸受け外側の回転子近傍に冷却水が循環する冷却促進部を設けたものである。これにより、回転子の発熱を冷却水に効率良く伝達させることが出来るものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例として冷却手段を完全液冷構造とした車両用交流発電機の1例を図1ないし図8により説明する。図1は車両用交流発電機の縦断面図であり、図2は水路の構造を示し、図3にエンジンを含めた駆動系及び冷却系統の全体構成を示す。まず、第1の実施例になる車両用交流発電機の構成について説明する。
【0014】
図1は冷却手段を完全液冷構造とした車両用交流発電機の1例を示したものである。エンジンの動力を受けるプーリ102はシャフト101に固定され、2個のベアリングで支持されている。その2つのベアリングの中心部には回転子1が配置され、プーリ102の回転に同期して回転するようにシャフト101に固定されている。
【0015】
回転子1には、爪形磁極108が設けられており、爪形磁極108の内周側には界磁巻線107が配置されている。また、回転子1の爪磁極間には高出力化を可能とする補助励磁用のネオジム永久磁石117が設けられている。先に述べた界磁巻線107には、回転子1に設けられたスリップリング110にブラシ111が摺動可能に取り付けられており、直流電流を通電できるように構成されている。永久磁石117の極性は界磁巻線107を励磁したときに作る磁極と同極が向かい合うように着磁されたものが配置される。
【0016】
固定子2には、固定子コア105に三相の固定子巻線106が巻かれており、固定子コア105の外周部には水路114を設けたハウジング115が配置されている。フロントブラケット103には、回転子1の軸方向から熱伝導し易いように、水路114を設けた冷却促進部118が設けられている。この冷却促進部118は回転子と僅かなギャップ長を介して配置されている。また、反プーリ側の水路114はハウジング115に水路となる溝を設けたものにリアプレート112で蓋をすることで密閉水路を構成するようになっている。全体の水路としては、ハウジング115及びフロントブラケット103、リアプレート112により成り立っており、直列流路を構成している。
【0017】
よって、ハウジング115内部で発生する磁気音、風音は外部には漏れ難い構造となっている。反プーリ側のリアブラケット104の内部には発電電圧を調整するための、ICレギュレータ113と整流素子が挿入されたダイオードマイナスフィン109−と、ダイオードプラスフィン109+が配置されている。このダイオードマイナスフィン109−は先に述べたリアプレート112の上に配置され、その上にダイオードプラスフィン109+が配置されている。ここの説明では整流素子には、ダイオードを用いた説明を行ったが、MOS-FETのブリッジを用いても同様の性能は得られる。
【0018】
先にも述べたが、ハウジング115の反プーリ側には整流素子を冷却するための水路114が設けられており、その水路114はリアプレート112によって水路が閉じられた構成となっている。先にも述べたように整流素子は、このリアプレート112に固定されている。リアブラケット104は整流素子の配置されたダイオードマイナスフィン109−及びダイオードプラスフィン109+及びICレギュレータ113を覆うようにハウジング115に固定されている。回転子1の冷却は、回転子1の軸方向端面とフロントブラケット103及びハウジング115の反プーリ側面との接する面に熱伝導が良好に行えるように冷却促進部118が配置されている。この冷却促進部118は回転子1に僅かなギャップで面対向するような形状を成している。また、先にも説明したように、その冷却促進部には水路114が設けられている。
【0019】
回転子1の爪磁極間には先にも述べたように補助励磁用の永久磁石117及び界磁巻線107が配置されているが、残りの空間には樹脂116が充填されている。また、固定子2に於いても固定子巻線106とハウジング115の隙間及び固定子コア105内の巻線間にも樹脂116が充填されている。どちらの樹脂116も巻線で発生した損失による発熱を水路114に伝えやすくするものである。回転子1の樹脂は爪磁極間に配置した永久磁石の防湿と割れた場合の飛散防止及び永久磁石の固定にも効果がある。回転子1の樹脂は高速回転に耐えられなければならないため、固定子2に用いる樹脂とは材質が異なっても良い。
【0020】
水路114はエンジン冷却水を分岐して循環する構成である。図2は、水路の構造を示したものであり、(A)はジャケット34の平面図、(B)はFブラケット10の正面を示している。ジャケット34には、冷却水に入口と出口が構成されており、入口側を吸水口223、出口側を排水口225で示している。冷却水は、吸水口223から入り矢印39のように直列流路に流れ排水口225から出ていく。
【0021】
Fブラケット10では水流が折り返せるように折り返し水路36が形成されている。また、このときFブラケット10の内径側にも水路が形成されており、冷却水は、環状の仕切り部38を越えてFブラケットの内径側まで通る構造になっている。
【0022】
次に、図3において、エンジン300を含めた駆動系及び冷却系統の全体構成を示す。車両用交流発電機100は、固定部110を介してエンジン300に固定されている。車両用交流発電機100の出力軸に固定されたプーリ1とエンジン300のクランクプーリ302がベルト303で接続されている。
【0023】
エンジン300の冷却水を冷却するためのラジエータ210に対して、車両用交流発電機100には並列に循環水路が構成されている。すなわち、ラジエータ210に並列に、エンジン300の冷却水循環水路と車両用交流発電機100の冷却水循環水路114とが、それぞれ最適の冷却能力を発揮するように独立して設けられている。この循環水路における水の循環は、エンジン300の回転に連動するウォータポンプ220によってなされる。循環水路は、ラジエータ210の出口211側に接続されたポンプ220と吸水ホース222、ラジエータ210の入口212側に接続された排水ホース224を含んでいる。
【0024】
次に、車両用交流発電機100の動作について説明する。まず、界磁巻線107がブラシ111とスリップリング110を介して直流励磁された状態で、プーリ102が回転するとプーリ102に取り付けられた回転子1の爪形磁極108が回転し、固定子巻線106に3相の電圧が発生する。この3相電圧を先に述べたダイオードマイナスフィン109−及びダイオードプラスフィン+に配置した整流素子ブリッジによって全波整流することで、直流電圧に変換することが可能となる。
【0025】
先に述べたハウジング115に配置した水路114は、固定子コア105の外周に配置されており、発電時に発生する固定子コア105の鉄損や固定子巻線106で発生する銅損による温度上昇を抑えるように熱の伝達手段として用いられている。この水路114は整流素子の冷却用水路114及びフロントブラケット103の冷却促進部118に設けた水路114と直列に接続されている。回転子1の界磁巻線107の銅損によって発生する発熱は先に説明した回転子1の軸方向端面に設けた冷却促進部118により熱交換を行いフロントブラケット103に設けた水路114に熱が伝わる構成である。よって水路114は回転子全体を覆うように配置されている。このように、回転子1の全体を覆うように水路114を配置することで回転子1の冷却を良好に行えるだけではなく、磁気音の遮音等にも効果がある。
【0026】
図4は、本発明の回転子1を軸方向から見た図を示したものである。手前の爪形磁極108をN極側、反対側をS極磁極として説明する。本発明の爪形磁極形状は、N極側爪形磁極108NとS極側爪形磁極108Sは全く同じ形状で構成されている。永久磁石117の飛び出しを防止するために、爪形磁極108の内周側には磁石固定部119が回転子の最外周面よりd1の距離だけ内周側に設けられている。また、磁石固定部の厚みはh1となっている。
【0027】
ここで、磁石固定部119を爪磁極表面に設けない理由は、爪磁極表面付近に磁気的空隙部を形成するためである。爪磁極表面では回転によりスロットリプルによる渦電流損失が発生しているこの渦電流損失は、磁束密度の変動の大きさや回転速度によって大きくなる。また、爪磁極表面積が大きい場合には損失が比例して大きくなる。そこで、磁石固定部を内径側に配置し、爪磁極表面付近に磁気的空隙部を形成することで、この渦電流損失を低減するために爪磁極表面積を狭められる効果がある。このとき、磁石固定部がスロットリプルの影響を受けにくいように、主ギャップ長に対して2〜3倍の距離離して配置している。このとき爪形磁極108の根元部分の磁極幅をWps、磁極間幅をWsとすると本発明の爪形磁極形状は、Wps>Wsの関係を成していることを特徴とする。
【0028】
また、このとき回転子の爪形磁極のスキューは1スロットピッチスキューを採用している。この、磁石固定部119の径方向の厚みh1は1.0〜2.5mm程度としており回転時に永久磁石が飛び出さないようにするだけではなく、界磁巻線107に励磁を加えない状態で永久磁石117から固定子巻線106に漏れる漏れ磁束を低下する効果が有る。この磁石固定部119の径方向厚みh1を今回1.0〜2.5mmとしたが、厚みをこれ以上大きくすると、爪形磁極間での漏れ磁束が大きくなり有効磁束が減少する。また、極間に配置できる永久磁石の厚みが薄くなり有効磁束が減少する。
【0029】
図5は、爪形磁極間及び爪形磁極根元部に永久磁石を配置する場合について示したものである。今までの説明では、爪形磁極間に配置する永久磁石117は略長方形の形状であったが、根元部分に配置する永久磁石123は爪形磁極間根元部と同じ形状で構成され、爪形磁極内周側に磁石固定部124を設け、この部分で飛び出しを防止している。この扇形形状の永久磁石123の磁化方向は径方向であり、N極側の爪形磁極間に配置する場合にはS極が外周側で内周側はN極となる。また、爪形磁極の根元部形状は配置する永久磁石123と接する面が大きくなるように角形形状とし、配置する永久磁石123の上面端部が磁石固定部124に接する構造である。
【0030】
以上の説明は、永久磁石123の上面にはカバー等の説明は省略したが外周側に非磁性体のカバーを配置しても良い。また、爪形磁極108と永久磁石123の接する面は防食処理を行うことで耐久性を向上出きる効果がある。ここで説明した、爪磁極端部に永久磁石123を配置した場合の特徴は、以下の通りである。(1)界磁巻線の減磁界を受けにくい。(2)固定子の発熱部から遠く、回転子の端部に配置されるため雰囲気温度が低い。(3)爪磁極の起き上がりが無く磁石の固定に安定している。(4)発電時の電機子反作用による減磁界を受けにくい。(5)渦電流が流れにくい場所にあり損失を発生しにくい。等である。
【0031】
図6は、爪形磁極間に永久磁石117を配置した図を示したものである。N極側の爪形磁極を108N、S極側の爪形磁極を108Sとし、その内周側であって、内径側に永久磁石117の飛び出しを防止するための磁石固定部119を配置したものである。ここで、磁石固定部119を爪磁極の最外周に設けた場合には、回転中のスロットリプルによる渦電流が発生しやすくなるために、渦電流による損失が発生し、爪形磁極の温度上昇となり極間に配置した永久磁石が減磁する問題が発生する可能性がある。また、極間に配置される永久磁石が固定子に設けられた固定子コイルで発生する銅損による温度上昇で温度的に高い場所に近いところに置かれるため、同様に熱減磁の問題が発生しやすくなると考えられる。
【0032】
本発明では、爪磁極表面で発生する渦電流損失を低減できるように、磁石固定部119を回転子の最外周面に配置するのではなく、爪磁極表面付近に磁気的空隙部を形成してスロットリプルの磁束変動を受けにくいように主ギャップ面より内径側に設けたものである。また、磁石固定部119は図からも分かるように爪表面とはなだらかに繋がるのではなく、比較的階段状に近い形状としている。
【0033】
図7は、図6に示した爪形磁極間に永久磁石を配置した場合のA−A'断面について示したものである。N極側の爪形磁極108NとS極側の爪形磁極108Sの間には永久磁石117が配置されている。永久磁石の固定用に設けた磁石固定部119は爪形磁極の最外周面よりもd1離れて配置する。また、磁石固定部119の厚みは永久磁石117が最高回転数で回転子が回転した場合にも永久磁石117が外周側に飛び出さないような機械的強度を持たせた厚みh1となる。そこで、この厚みh1は1.0〜2.5mm程度で構成される。
【0034】
また、磁石固定部の幅t1についても厚みh1とほぼ同じ寸法である。先に説明した磁石固定部上面と回転子の最外周面との距離d1については、固定子のスロットリプルの影響を受けにくいように、主ギャップ長をg1とした場合g1の2〜3倍の距離離せば磁束変動の影響を受けにくくなるためこの近辺の値が望ましい。また、磁気音に関しては爪磁極表面には従来用いられているベベルを設けた方が良く、ベベルの外周側から階段状に1段落として磁石固定部119を配置するのが望ましい。また、爪磁極表面の形状において上面側w1を下面側w2よりも狭くして、渦電流の流れる面積を低減することで、渦電流損失低減を図ることも可能である。
【0035】
図8は今までに説明してきた回転子の外観を示したもので、磁石固定部が爪磁極表面ではなく、内径側に配置されている様子がよく分かる。詳細な説明は省略する。
【0036】
図9は、図8に示した磁石固定部119を爪形磁極の両側に連続して設けるのではなく、部分的に2ヶ所に分けて設けたものである。図9の例ではN極側の爪形磁極108Nの左側磁石固定部119N−L1、119N−L2、S極側爪形磁極108Sの右側磁石固定部119S−R1、119S−R2、左側磁石固定部119S−L1、119S−L2である。この、爪形磁極108の内周側で内径側に設けた磁石固定部119に補助励磁用の永久磁石117(図示せず)は固定される。
【0037】
図示しないが、爪形磁極の左右に設ける磁石固定部119の数が異なった場合についても、同様の効果があることは言うまでもなく、千鳥状に取り付けた場合には、対向する磁石固定部からの距離を広げ、固定子巻線のインダクタンスを低下させるようにできる。爪形磁極の先端部と根元部分は省略することが出来ないため、分割した場合には、先端部と根元部の最低2個は必要である。
【0038】
以上、磁石固定部分を分割した内容について説明したが、この分割の目的は漏れ磁束の低減と固定子巻線のq軸インダクタンスの低減を狙ったもので、結果的には出力電流の向上効果がある。また、図8〜図9では爪形磁極根元部に配置する永久磁石123の固定部については図を省略したが、磁石固定部を設けて永久磁石123を配置しても良い。
【0039】
次に、図10を用いて爪形磁極間に配置する永久磁石117の外周部に複合磁性材料からなる磁石保持部材について説明する。図10は、爪形磁極間に永久磁石117を配置した場合の軸中心部での断面図を示したものである。本発明の複合磁性材料は、磁性体の性質と非磁性体の性質を同じ金属上に形成できるもので、例えば13Cr−Feや17Cr−Fe等のものがある。これらは、本来磁性体の性質を持つもので、局部的に熱を加えて温度が1、100℃程度になると非磁性体の性質を示すものである。また、材料によっては逆の性質を示すものもある。本発明では、磁性体と非磁性体の異なった性質を同一の板で現れれば良い。本実施例では、永久磁石117の底面を除く全ての面を先に説明した複合磁性材料で覆い、永久磁石の上面のみ熱処理により非磁性体とする。
【0040】
また、永久磁石の磁化方向の面は磁性体であり、磁石保持部材120は永久磁石にほぼ完全に接するような形状である。このように、永久磁石117の磁化方向面を磁性体とすることで磁石の磁束は、磁性面を介して爪形磁極に接するため、磁石保持部材が無い場合と比べると有効磁束は増加する。また、永久磁石117の上面は非磁性体としているため永久磁石の上面部での漏れ磁束は増加しない。
【0041】
また、図10の下側に示した図は、爪形磁極の中心近辺で爪形磁極と磁石保持部材120に囲まれた永久磁石の断面を示したものであり、爪形磁極の下面に隙間が空いているものを示している。爪形磁極の根元に近い部分で有ればどちらか一方の爪形磁極の下面には隙間は空かないが、反対側の爪形磁極の下面は大きく空いてしまう。図示しないが、この爪形磁極の下面に出来る隙間に樹脂を充填してもよい。爪形磁極の下面に相当する部分は爪形磁極が外周部にあるため、飛び出すことはない。
【0042】
また、磁石保持部材120を連結しないで個々の永久磁石に一対一で対応した保持部材を用いても、磁石の磁化方向面に相当する複合磁性材料の磁気特性は磁性体の性質とし、磁化方向と直角面は非磁性体の性質を示すようにしている。このように単体で、永久磁石117と磁石保持部材120を形成しても、先に説明したように爪磁極間に樹脂116を充填して、界磁巻線107での発熱を樹脂116を介して爪形磁極に伝えやすくしている。
【0043】
図10で説明した磁石保持部材の形状は永久磁石の形状に合わせた場合について説明したが、爪形磁極の下部に当たる部分に空間が空かないように構成したものを図11に示す。図10及び図11に示した磁石保持部材120の爪形磁極との接する部分は磁性体で構成される。図11の場合も、磁石保持部材120と界磁巻線107との間には熱伝導性の良い樹脂等を挿入しても良い。
【0044】
以上説明したように、回転子の冷却を促進できるように冷却促進部118に水路114を設けることで、出力向上の効果がある。また、回転子の爪磁極間に永久磁石を固定する磁石固定部を爪磁極表面から離して配置することで、爪磁極表面で発生する渦電流損失を低減できる。また、回転子の内径側を樹脂モールドすることで、軸方向面に界磁巻線の熱が伝えやすくなり出力の向上効果及び、磁気音の低減が可能となる。また、永久磁石固定部を分割して設けることで漏れ磁束の低減効果、及びq軸インダクタンスの低減が図れ出力の向上効果がある。また、永久磁石の固定位置を回転子の外周面から主ギャップ長の2〜3倍の距離離すことで、無励磁時の固定子への漏れ磁束を低減できバッテリーの加充電を防止することが出来る。また、永久磁石の保持部材を磁性体と非磁性体の2つの性質を持つ複合磁性材料とすることで、漏れ磁束低減により出力向上効果がある。
【0045】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば爪磁極内周側に設ける補助励磁用の永久磁石の固定部分を、爪磁極の外周面から、渦電流の影響を受けにくい位置に設けると共に、永久磁石の位置を固定子から離せることで固定子の発熱による熱を受けにくく出来る。また、爪磁極表面形状を狭くすることも可能となり高速回転時の渦電流損失を低減でき高速時の出力向上効果がある。また、回転子の内径側を樹脂モールドすることで、騒音低減の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例になる車両用交流発電機の縦断面図である。
【図2】本発明の両用交流発電機における冷却水路の構造を示す図である。
【図3】本発明の実施例における、エンジンを含めた駆動系及び冷却系統の全体構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例における回転子に設けた爪形磁極を軸方向から見た図である。
【図5】本発明の実施例における永久磁石固定部の説明図である。
【図6】本発明の実施例における永久磁石の配置の説明図である。
【図7】図6のA−A'断面を示したものである。
【図8】本発明の実施例における回転子の外観を示した図である。
【図9】図8の回転子に対する、変形例を示す図である。
【図10】本発明の他の実施例における永久磁石磁石保持部材について説明する図である。
【図11】本発明の他の実施例における永久磁石磁石保持部材について説明する図である。
【符号の説明】
1…回転子、2…固定子、101…シャフト、102…プーリ、103…Fブラケット、104…リアブラケット、105…固定子コア、106…固定子巻線、107…界磁巻線、108…爪形磁極、109+…ダイオードプラスフィン、109−…ダイオードマイナスフィン、110…スリップリング、111…ブラシ、112…リアプレート、113…ICレギュレータ、114…水路、115…ハウジング、116…モールド樹脂、117…永久磁石、118…冷却促進部、119…磁石固定部、120…磁石保持部材、121…非磁性部、122…磁性部、123…永久磁石、124…磁石固定部。
Claims (9)
- 回転子と固定子と該固定子の発熱を冷却する液冷式冷却手段とを備え、前記回転子は、先端部分に複数個の爪部が形成され対向配置された1対の爪形磁極と、該爪形磁極を磁化させる界磁巻線と、前記爪形磁極の爪部間に固定された補助励磁用の永久磁石と、前記永久磁石を前記爪形磁極の爪部間に固定する磁石固定部を有し、前記固定子は、前記回転子と所定の間隔を隔てて配置され、前記爪形磁極の磁化により交流電圧を発生させる固定子巻線を有する車両用交流発電機において、
前記磁石固定部は前記爪形磁極の爪部端面から円周方向に延びるつば状に形成され、前記磁石固定部を前記回転子の主ギャップ面よりも半径方向内側に離間した位置に設け、該磁石固定部の半径方向内側に前記永久磁石を配置し、該磁石固定部の半径方向外側に磁気的空隙部を形成すると共に、前記爪形磁極表面の形状は前記磁石固定部の上面側幅と下面側幅をほぼ同等に形成したことを特徴とする車両用交流発電機。 - 請求項 1 に記載の車両用交流発電機において、前記固定子に前記回転子の全体を覆うように設けられ、前記固定子の発熱を冷却する液冷式冷却手段を備えたことを特徴とする車両用交流発電機。
- 回転子と固定子とを備え、前記回転子は、先端部分に複数個の爪部を形成した1対の対向配置された爪形磁極と、隣接する前記爪形磁極の間に配置された永久磁石と、前記永久磁石を前記爪形磁極の爪部間に固定配置する磁石固定部と、前記爪形磁極を磁化させる界磁巻線とから構成され、前記固定子は、前記回転子と所定の間隔を隔てて配置され、前記爪形磁極の磁化により交流電圧を発生させる固定子巻線有し、前記固定子の発熱を冷却する液冷式冷却手段を備えた車両用交流発電機において、
前記磁石固定部は前記爪形磁極の爪部端面から円周方向に延びるつば状に形成され、前記磁石固定部を前記回転子の主ギャップ面よりも半径方向内側に離間して設け、該磁石固定部の半径方向内側に前記永久磁石を配置し、該磁石固定部の半径方向外側に磁気的空隙部を形成すると共に、前記爪形磁極表面の形状は前記磁石固定部の上面側幅と下面側幅をほぼ同等に形成し、該永久磁石の外周面に、複合磁性材料からなる磁石保持部材を連続的に設け、前記永久磁石の最外周部分に相当する部分を非磁性体とし、該永久磁石の磁化方向面は磁性体の性質を有することを特徴とする車両用交流発電機。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の前記磁石固定部の最外周部は、主ギャップ面から主ギャップ長の2〜3倍の距離離れて、内周側に配置されることを特徴とする車両用交流発電機。
- 請求項4に記載の車両用交流発電機において、前記磁石固定部の最外周部は、前記爪磁極外周面と階段状に繋がっていることを特徴とする車両用交流発電機。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の前記磁石固定部は、一片の爪磁極端面に複数個に分けて配置されていることを特徴とする車両用交流発電機。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の回転子において、前記爪形磁極根元部分の形状は角形形状であり、その部分の内周側空間部に前記磁石固定部を設け磁極間とほぼ同形状の前記永久磁石を配置したことを特徴とする車両用交流発電機。
- 請求項1及び請求項3に記載の車両用交流発電機において、前記固定子に設けられた前記回転子の軸を支持する一対の軸受けと、前記回転子の軸の一方に固定されたプーリと、前記固定子の発熱を冷却する液冷方式の冷却手段とを設け、該冷却手段は、前記固定子のプーリ側軸受け外側の回転子近傍に冷却水が循環する冷却促進部を設けたことを特徴とする車両用交流発電機。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載の車両用交流発電機において、前記爪形磁極間で磁石に接する面に防食塗料を塗布した爪形磁極間に、前記永久磁石を配置したことを特徴とする車両用交流発電機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001194407A JP3830779B2 (ja) | 2001-06-27 | 2001-06-27 | 車両用交流発電機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001194407A JP3830779B2 (ja) | 2001-06-27 | 2001-06-27 | 車両用交流発電機 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003018808A JP2003018808A (ja) | 2003-01-17 |
JP3830779B2 true JP3830779B2 (ja) | 2006-10-11 |
Family
ID=19032548
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001194407A Expired - Fee Related JP3830779B2 (ja) | 2001-06-27 | 2001-06-27 | 車両用交流発電機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3830779B2 (ja) |
Families Citing this family (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4109639B2 (ja) * | 2004-02-17 | 2008-07-02 | 三菱電機株式会社 | 回転電機の回転子 |
WO2008020645A1 (fr) | 2006-08-14 | 2008-02-21 | Riken | Plante transformée à maturation précoce |
US7560851B2 (en) | 2007-06-20 | 2009-07-14 | Mitsubishi Electric Corporation | Dynamoelectric machine and manufacturing method therefor |
WO2009072676A1 (ja) | 2007-12-06 | 2009-06-11 | Riken | 成長が促進された形質転換植物 |
US20110265225A1 (en) | 2008-10-16 | 2011-10-27 | National Institute Of Agrobiological Sciences | Transgenic plant having increased seed size |
JP5427576B2 (ja) * | 2009-12-04 | 2014-02-26 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 車両用回転電機 |
WO2012059981A1 (ja) * | 2010-11-02 | 2012-05-10 | 株式会社 日立製作所 | 車両用交流発電機 |
US9306428B2 (en) * | 2012-09-19 | 2016-04-05 | Remy Technologies, Llc | Motor cooling system with potted end turns |
WO2014188505A1 (ja) * | 2013-05-21 | 2014-11-27 | 株式会社安川電機 | 回転電機 |
JP6597705B2 (ja) * | 2016-06-03 | 2019-10-30 | 株式会社デンソー | 回転電機 |
WO2017209246A1 (ja) * | 2016-06-03 | 2017-12-07 | 株式会社デンソー | 回転電機 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62213531A (ja) * | 1986-03-13 | 1987-09-19 | Mitsubishi Electric Corp | 車両用交流発電機 |
JP3237217B2 (ja) * | 1991-08-08 | 2001-12-10 | 株式会社デンソー | 車両用交流発電機の回転子 |
JPH08317618A (ja) * | 1995-05-17 | 1996-11-29 | Hitachi Ltd | 車両用交流発電機 |
JP3663958B2 (ja) * | 1998-03-05 | 2005-06-22 | 株式会社日立製作所 | 車両用交流発電機 |
JP3531544B2 (ja) * | 1998-08-12 | 2004-05-31 | 株式会社日立製作所 | 交流発電機 |
-
2001
- 2001-06-27 JP JP2001194407A patent/JP3830779B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003018808A (ja) | 2003-01-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7420314B2 (en) | Alternating-current dynamoelectric machine | |
US11025138B2 (en) | Electric machine | |
JP6579395B2 (ja) | 回転電機 | |
JP4389918B2 (ja) | 回転電機及び交流発電機 | |
JP3795830B2 (ja) | 車両用交流発電機 | |
JP2001103721A (ja) | 車両用交流発電機 | |
JP2008148397A (ja) | 回転電機 | |
JPH0956128A (ja) | 車両用交流発電機 | |
JP2007228677A (ja) | 発電装置及び回転電機 | |
JP3830779B2 (ja) | 車両用交流発電機 | |
WO2011121770A1 (ja) | 車両用交流発電機 | |
US20100295393A1 (en) | Polyphase stator for an internally ventilated rotating electrical machine, and rotating electrical machine comprising such a stator | |
JPH1198787A (ja) | 車両用交流発電機 | |
US20050006975A1 (en) | Twin coil claw pole rotor with dual internal fan configuration for electrical machine | |
US20190252931A1 (en) | Rotary electrical machine | |
JP4258909B2 (ja) | 車両用交流発電機 | |
JP2007336723A (ja) | 回転電機の回転子 | |
JPH0345141A (ja) | 電気機械 | |
JP2001086668A (ja) | 車両用交流発電機 | |
JP4450134B2 (ja) | ブラシレス交流発電機 | |
JP3237647B2 (ja) | 車両用交流発電機 | |
JP3531544B2 (ja) | 交流発電機 | |
KR20220117051A (ko) | 차량용 교류발전기의 고정자 방열 구조 | |
JP2010035251A (ja) | 車両用回転電機 | |
JP2009194983A (ja) | 回転電機 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060315 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060322 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060512 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060620 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060712 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090721 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100721 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100721 Year of fee payment: 4 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100721 Year of fee payment: 4 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110721 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110721 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120721 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130721 Year of fee payment: 7 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |