JP3830405B2 - チップ用フィルターおよびチップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体吸引装置、ピペット等に装着して使用するチップに装填するためのチップ用フィルター、及び該フィルターを用いたチップに関し、過吸引時のオーバーフローの防止に有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、試薬、体液(血液等)、尿等の試液を分注して検査する際には、液体吸引機器等の吸引ノズルの先端部分にチップを装着し、そこに所定量の吸引した試液を溜めて、液溜りから別の容器に分注する。この分注操作は手動と自動機のいずれの方法によっても行われる。特に、今日では検査医療の自動化、無人化が進むなかで、迅速かつ、確実な分注操作が要望されている。
【0003】
前記分注操作においては、吸引ノズルの先端部で試液によるコンタミの発生を防止し、また吸引飛沫(蒸気)の通過で吸引機器そのものが汚染されたり他の液に飛沫(蒸気)が逆入することを防止する目的で、前記チップにはフィルターを装着している。また、このフィルターには、間違って大量に吸入した場合に、液がフィルターをオーバーフローしないようにする目的もある。
【0004】
前記フィルターとしては、一般にポリプロピレン繊維束やポリエチレンテレフタレ−ト繊維束のフィルターや発泡ウレタンフィルターが用いられている。これらフィルターは、試液を吸引するための通気性を確保し、かつ吸引飛沫(蒸気)の通過を抑えるためその平均孔径が適宜に決定される。
【0005】
一方、前記のオーバーフローの場合を防止するための指標として耐水圧がある。液をストレス無く吸い上げるのに必要な通気度は、フラジールで0.5cc/cm2 ・sec以上が必要であるが、その通気度に相当するフィルターの平均孔径は15μm以上である。平均孔径15μの場合の耐水圧は、水柱高さにして160cm、圧力では約16KPaにすぎない。これではチップに液を吸い上げる時の吸引圧力には耐えられず、もし間違ってチップ設計以上の液を吸い上げた場合、オーバフローしてしまう。
【0006】
そして、一般に市販されている疎水性タイプの焼結体フィルターの耐水圧は、100cm以下、圧力では10KPaにすぎない。また、平均孔径15μm以下のフィルターにすると、耐水圧は向上するものの、通気性が悪く吸い込むのに非常に時間がかかり、自動機の動作に十分応答できず、計量ミスにつながる場合がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
つまり、フィルターの耐水圧を向上させてオーバフローを防止することと、通気性を高めて計量機能を良好にすることは、相反する要求であり、これらを両立させるための有効な方法は、現在まで存在しなかった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、通気性を十分維持しつつ、オーバフローの防止効果を向上させることができるチップ用フィルター、及びこれを装填したチップを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、次の如き本発明により達成することができる。
即ち、本発明のチップ用フィルターは、水分によってガスを発生するガス発生剤が保持されている多孔質体を有することを特徴とする。
【0010】
上記において、前記ガス発生剤が多孔質体の内部に保持されていることが好ましい。その際、前記ガス発生剤が粉末状であり、これを熱融着により多孔質体の内部に封入してあることが好ましい。
【0011】
一方、本発明のチップは、上記のいずれかに記載のチップ用フィルターをチップ本体に装填したことを特徴とする。
【0012】
〔作用効果〕
本発明のチップ用フィルターによると、水分によってガスを発生するガス発生剤が多孔質体に保持されているため、オーバーフローしてきた水溶液によってガスが発生するので、これにより吸引圧力が緩和され、それ以上液体が吸引されにくくなり、オーバーフローの防止効果を高めることができる。このオーバーフローの防止効果は、多孔質体の孔径とは直接関係ないため、通常使用時には通気性を十分維持することができ、自動機の動作に十分応答(レスポンス)できるようになる。
【0013】
前記ガス発生剤が多孔質体の内部に保持されている場合、液体の飛沫(ミスト)が生じた際にも、これが内部に浸入しにくいため、飛沫によりガス発生して誤動作する確率が低くなる。また、ガス発生剤の脱落による問題も生じにくくなる。
【0014】
前記ガス発生剤が粉末状であり、これを熱融着により多孔質体の内部に封入してある場合、粉末状のガス発生剤のため、多孔質体の孔の閉塞が生じにくく、通気性をより良好にすることができる。また、粉末状のガス発生剤を熱融着により多孔質体の内部に封入してあるため、簡易かつ短時間の工程で、ガス発生剤を多孔質体の内部に保持させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明のチップ用フィルターの装填状態の一例を示す断面図であり、図2は、本発明のチップ用フィルターの例を示す斜視図である。
【0016】
本発明のチップ用フィルターは、図1〜図2に示すように多孔質体を有するが、撥水性の多孔質層や小径化した多孔質層など、他の多孔質層が積層されていてもよい。チップ用フィルター2の形状は、チップ本体1の内周面の形状に応じた形状が採用されるが、略円柱状の形状が一般的である。多孔質体としては、多孔質焼結体、繊維集合体、多孔質シート積層体、連通気泡発泡体など何れでもよいが、多孔質焼結体を用いるのが好ましい。つまり、本発明は、ガス発生剤が保持されている多孔質体であれば、ガス発生剤による上記の作用効果が得られるため、多孔質体の種類は何れでもよい。
【0017】
本発明における多孔質体は、樹脂製であることが好ましく、加熱により熱融着させて多孔質体の内部にガス発生剤を封入できることから、熱可塑性樹脂がより好ましい。熱可塑性樹脂としては、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられるが、超高分子量ポリエチレンが好ましい。超高分子量ポリエチレンは、前述した理由に加えて、耐溶剤、耐酸、耐アルカリ、衛生性、無発塵性、耐放射線性、耐オートクレーブ性や剛性、通気性などが良好なため、本発明の焼結多孔質体として最も好適な材料である。超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量が50万〜1000万、さらには100万〜700万のものが好ましい。超高分子量ポリエチレンとしては、たとえば、商品名ハイゼックスミリオン(三井化学 (株)製)や商品名ホスタレンGUR(タイコナ社製)等の市販品などを入手可能である。
【0018】
樹脂製の焼結多孔質体は、チップ本体1にすき間なく圧入することができる圧縮弾性を有し、塵等を含有しない無塵性にも優れる利点を有している。かかる焼結多孔質体の圧縮弾性率は、通常980〜9800N/cm2 程度、好ましくは1960〜3920N/cm2 である。圧縮弾性率980N/cm2 以上は焼結多孔質体の普遍的な領域であり、また、9800N/cm2 を超えると、焼結多孔質体の弾性圧縮が困難となりチップ本体1内への装着作業が難しくなる傾向がある。
【0019】
焼結多孔質体の平均孔径は、通常は略同じであり、平均孔径10〜100μm程度が好ましく、平均孔径20〜40μmがより好ましい。平均孔径10μm未満では、上記分注時での吸引圧をかなり高くする必要があり吸引作業が困難になり、100μmを超えると試液等の完全な通過阻止が困難になる傾向がある。
【0020】
焼結多孔質体の通気性フラジールは、通常、0.5〜20cc/cm2 ・sec 程度、好ましくは1〜5cc/cm2 ・sec である。通気性フラジ−ルが0.5cc/cm2 ・sec 未満では、上記分注時での吸引圧をかなり高くする必要があり吸引作業が困難になり、20cc/cm2 ・sec を超えると試液等の完全な通過阻止が困難になる傾向がある。
【0021】
上記焼結多孔質体の製造法は特に制限されず、特許第2020026号公報などに記載の多孔質化方法のいずれの方法も適用することができる。たとえば、超高分子量ポリエチレン等を金型に充填し、この粉末を所定の圧力で加圧し、次いで超高分子量ポリエチレン等の融点以上の温度に維持された加熱炉で焼結した後、冷却して金型から取り出してブロック状多孔質体を得、このブロック状多孔質体をシ−ト状に切削し、このシ−トを所定形状に打ち抜いたり、所定形状に切削加工する方法を使用できる。また、超高分子量ポリエチレン等を金型に充填し、このポリエチレンの融点よりも低い温度で加熱した後、加圧することにより予備成形物を得、この予備成形物を減圧雰囲気中に置き該成形物内の空気を除去し、次いで前記ポリエチレンの融点以上に加熱された水蒸気中で焼結した後冷却することによりブロック状多孔質体を得、このブロック状多孔質体をシ−ト状に切削し、このシ−トを所定形状に打ち抜いたり、所定形状に切削加工することもできる。
【0022】
上記焼結多孔質体層の圧縮弾性率や平均孔径は、超高分子量ポリエチレン等の粉末の粒子径により制御できる。前記圧縮弾性率や平均孔径を得るために、超高分子量ポリエチレン粉末の粒子径は20〜170μmが好ましく、より好ましくは100〜170μmとされる。
【0023】
本発明のチップ用フィルターは、上記のような多孔質体に、水分によってガスを発生するガス発生剤が保持されていることを特徴とする。このガス発生剤は多孔質体の内部に保持されているのが好ましく、このガス発生剤が粉末状であり、これを熱融着により多孔質体の内部に封入してあることがより好ましい。
【0024】
ガス発生剤が保持された多孔質体の構造としては、図2(a)に示すように、焼結多孔体に発砲剤が混入された混入層2bがあり、その両側に上層2aと下層2cとを積層した3層構造のもの、図2(b)に示すように、焼結多孔体の上部に発砲剤が混入された混入層2dがあり、その上側に上層2aを積層した2層構造のもの、或いは図1に示すように、単層の焼結多孔体の上部に発砲剤が混入されたものなどが挙げられる。
【0025】
本発明におけるガス発生剤は、常温で固体(粘稠物を含む)であり、水分との接触(溶解、反応など)によってガスを発生するものが挙げられる。その際、当該水分は中性に限らず、酸性〜アルカリ性の何れでもよい。発生するガスとしては、二酸化炭素ガス、水素ガス、酸素ガス、窒素ガス、水蒸気など何れでもよいが、液体吸引装置、ピペット等が腐食、劣化などを起こすのを防止する上で、二酸化炭素ガス、水素ガス、酸素ガス、窒素ガス等を発生させるガス発生剤が好ましい。更に、中性の水分によってガスを発生するガス発生剤が好ましい。
【0026】
具体的なガス発生剤としては、中性の水分によってガスを発生するものとして、過酸化石灰製剤(CaO:ソーダニッカ(株)製などが使用可能)のようなアルカリ土類金属の酸化物、水素化硼素ナトリウム(塩化コバルト、塩化ニッケル等の反応促進剤を含むものでもよい)、水素化リチウム等の水素化金属化合物などが挙げられる。また、その他のガス発生剤としては、亜硝酸ソーダ、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム等が例示できる。これらのガス発生剤は、水の水素イオン濃度すなわちpHの値によっては、水と接触または溶解して効率よくガスを発生することができる。
【0027】
ガス発生剤を多孔質体に保持させる方法としては、ガス発生剤が粉末などの固体状態のままで行うのが好ましく、具体的には、多孔質体の孔内や窪みに粉末を配置しておき、多孔質体同士の熱融着や多孔質体との熱融着により多孔質体の内部に封入させる方法が好ましい。多孔質体の孔内に粉末を進入させる方法では、粉末の平均粒径が1μm〜30μmの粉末を用いることが好ましい。また、ガス発生剤は容易に脱落しないことが好ましいため、平均粒径が30μmを超えるガス発生剤を保持させたり、ガス発生剤を脱落させずに保持する保持層を別途形成し、これを多孔質体の上面などに接着、融着、付着などさせてもよい。
【0028】
特に、生産性の高い方法としては、多孔質シートの上面に、その孔内への進入が可能な粒径のガス発生剤を散布(スクイーズ、振動付与等を行ってもよい)した後、その面に別の多孔質シートを積層して積層体(2層構造)を製造し、これを所望の形状に打ち抜く方法が挙げられる。また、3層構造の場合も同様の方法が可能である。
【0029】
ガス発生剤を保持させる量としては、誤吸引される液体の体積(オーバーフロー相当分の体積)と同程度以上のガスが発生可能な量が好ましく、チップの使用条件(特に吸引条件)、ガス発生剤の発生能力等によって適宜決定可能である。上記により発生したガスで液体浸透が遮断され、多孔質体に侵入した液体を遮断できることができる。
【0030】
具体的には、例えば、ソーダニッカ(株)製の過酸化石灰製剤を使用して、後述の実施例の条件で誤吸引を行う場合、0.01g /cm2 以上であれば、オーバーフローを防止できる。これは、オーバーフロー相当分の体積(実施例では180μL)の1.6倍以上のガスが発生可能な量に該当する(1気圧換算)。
【0031】
一方、多孔質焼結体に積層される撥水性の多孔質層としては、フッ素系樹脂層が挙げられる。フッ素系樹脂層は、たとえば、フッ素系樹脂粉末のディスパージョンによりコート層を形成したり、フッ素系樹脂の多孔質膜を用いることにより行うことができる。フッ素系樹脂のコート層の形成法は特に制限されず、前記焼結多孔質体に、前記ディスパージョンを含浸させる方法、前記ディスパージョンを塗布する方法等を採用できる。前記ディスパージョンは乾燥させることにより、焼結多孔質体表面に固着して、フッ素系樹脂のコート層の形成する。また、ディスパージョンは焼成してもよい。フッ素系樹脂樹としては、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等があげられる。
【0032】
焼結多孔質体と上記の多孔質膜層の積層法は特に制限されないが、通常、その多孔質膜を焼結多孔質体層に熱溶着することにより貼合わせることができる。また多孔質膜の積層は接着剤による積層法を採用することもできる。
【0033】
本発明のチップ用フィルターの厚みは、チップの形態や被分注試液などに応じて適宜に決定することができる。一般には0.5〜5mm、特に2〜5mmの厚さが好ましいが、5mmを超える厚さとすることもできる。
【0034】
本発明のチップ用フィルターは、フィルターへの試液の浸透性をより悪くするために、例えば発水処理などの表面処理を施すことができる。さらに電子線照射により架橋密度を増大させてフィルターの耐熱性の向上を図ることもできる。
【0035】
一方、本発明のチップは、図1に示すように、以上のようなチップ用フィルター2をチップ本体1の内周壁1aに内接させ装填してある。チップ本体1は、テーパ状(スポイド状)又はテーパ状部と直管部からなる形状が一般的である。また、チップ本体1は、吸引装置のノズルに装着するための口管11に嵌着して使用される場合がある。チップ本体1は、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、衛生性、無発塵性、耐放射線性、耐オ−トクレ−ブ性、機械的強度等に優れた樹脂、例えばポリカ−ボネ−トの射出成形により製造できる。また、汎用のチップとして、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂なども使用できる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
【0037】
実施例1
多孔質体として厚さ1mm、粘度平均分子量が約400万の圧縮弾性率250Kg/cm2 、通気量フラジール1.5、気孔率30%、平均孔径35μmの超高分子量ポリエチレン製多孔質シートに、平均直径15μmφの過酸化石灰粉末を約0.01〜0.05g /cm2 をふりかけ、振動,タッピングによって多孔質シートの孔の内部に浸入させた。
【0038】
その両側に同じ多孔質シートを積層し、温度147℃、圧力30g/cm2 で1時間保持して3層構造に熱溶着して厚さ3mmとした。 それを4.1mmφの円筒状に打ち抜いてチップ用フィルターとした。それをPP製のチップ本体に装填し、チップを作製した。
【0039】
実施例2
多孔質体として厚さ1.5mm、粘度平均分子量が約400万の圧縮弾性率25Kg/cm2 、通気量フラジール1.5、気孔率30%、平均孔径35μmの超高分子量ポリエチレン製多孔質シート上に、平均直径15μmφの過酸化石灰粉末を約0.01〜0.05g/cm2 をふりかけ、振動,タッピングによって多孔質シートの孔の内部に浸入させた。
【0040】
その上に同じの多孔質シート(但し1.5mm厚み)を被せて積層し、温度147℃、圧力30g/cm2 で1時間保持して熱溶着して厚さ3mmの2層構造シートとした。そのシートを4.1mmφの円筒状に打ち抜いてチップ用フィルターとした。それをPP製のチップ本体に装填し、チップを作製した。
【0041】
実施例3
多孔質体として厚さ3.0mm、粘度平均分子量が約400万の圧縮弾性率25Kg/cm2 、通気量フラジール1.5、気孔率30%、平均孔径35μmの超高分子量ポリエチレン製多孔質シート上に、平均直径15μmφの過酸化石灰粉末を約0.01〜0.05g/cm2 をふりかけ、振動,タッピングによって多孔質シートの孔の内部に浸入させた。
【0042】
この多孔質シートを温度147℃、圧力30g/cm2 で1時間保持して厚さ3mmの単層構造シートとした。そのシートを4.1mmφの円筒状に打ち抜いてチップ用フィルターとした。それをPP製のチップ本体に装填し、チップを作製した。なお、このチップ用フィルターでは、過酸化石灰粉末を浸入させた面に水滴を滴下すると発泡が若干生じたが、この面が下面になるようにフィルターを装填してチップを作製した。
【0043】
比較例1
フィルターとして厚さ3mm、粘度平均分子量が約400万の圧縮弾性率350Kg/cm2 、通気量フラジール1.0、気孔率30%、平均孔径18μmの超高分子量ポリエチレン製多孔質シートを、4.1mmφに打ち抜きPP製チップに装着した。
【0044】
比較例2
フィルターとして厚さ3mm、ポリエチレン焼結多孔質構造を持つポーレックス社製フィルターを、PP製のチップ本体に装填し、チップを作製した。このフィルターは、ある一定の圧力差までのオーバーフローフリー(耐水圧が高い)が特徴である。
【0045】
比較例3
フィルターとして厚さ3mm、ポリエチレン焼結多孔質構造にセルロース系吸着膨張剤を含浸しているMBP(モレキュラーバイオプロダクト)社製チップを用いた。
【0046】
評価試験
実施例、比較例で得たチップは、本来最大100μl液を分注吸引できるものであるが、そこに吸引機で280μlを無理やり吸引して、オーバーフローが発生するかどうか調べた。また、ガス発生剤の脱落の有無を調べるため、タバイエスペック株式会社製の振動機を用いて100Hz、加速度5m/s2 で、その前後におけるチップの重量を測定して、脱落の有無を評価した。更に、チップ用フィルターとしての通気度(フラジール:cc/cm2 ・sec)を測定した。その結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0003830405
表1の結果が示すように、実施例のチップ用フィルターは、通気性を十分維持しつつ、オーバフローの防止効果も十分となり、しかもガス発生剤の脱落も生じにくい。これに対し、比較例のチップ用フィルターは、通気量が低く、耐水圧がある又は吸着膨張剤を含浸しているにも係わらず、十分なオーバフロー防止効果が得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のチップ用フィルターの装填状態の一例を示す断面図
【図2】本発明のチップ用フィルターの例を示す斜視図
【符号の説明】
1 チップ本体
2 チップ用フィルター(多孔質体)
2a 多孔質体の上層
2b ガス発生剤の混入層
2c 多孔質体の下層
2d ガス発生剤の混入層

Claims (4)

  1. 水分によってガスを発生するガス発生剤が保持されている多孔質体を有するチップ用フィルター。
  2. 前記ガス発生剤が多孔質体の内部に保持されている請求項1記載のチップ用フィルター。
  3. 前記ガス発生剤が粉末状であり、これを熱融着により多孔質体の内部に封入してある請求項2記載のチップ用フィルター。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のチップ用フィルターをチップ本体に装填したチップ。
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