JP3829068B2 - 放送用送信空中線系システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放送用送信空中線系システムに関するものであり、特に、空中線、給電線、共用装置などに故障が発生した場合に、速やかに冗長系経路を構成することにより実用上影響の少ない状態(約3デシベル程度の電界低下)で放送を継続することができる経路の切替装置を具える放送用送信空中線系システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の切替システムは、空中線および給電線を上下に分割して給電し、一方に故障が発生した場合に上下給電切替盤によって正常な方に切替え、実用上放送サービスにあまり影響を与えることなく放送を継続するシステムが一部の放送局で採用されている。
【0003】
しかしながら、従来の方式は空中線および給電線に重点が置かれており、共通系である共用装置や、上、下空中線の両方が故障した場合については、十分な配慮がなされていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
放送電波の重要性は、災害時の緊急報道は言うまでもなく、日常においても、各社が24時間放送を実施するなかで非常に重要なものとなっている。特に、空中線系については、故障が発生すると受信者に対する影響が大きく、これは特殊な高所設備でもあることから復旧にも時間がかかるため、場合によっては、長時間の停波事故になることもあり、社会に与える影響が大きい。
【0005】
このため、これまでもNHKを中心に空中線冗長系の改善が図られ、上下給電システムにより、空中線を給電線と共に上下に分割給電し、片方の系に故障が発生した場合には、正常な方に切り換えて放送を継続し、電界が多少低下しても実用上問題のない範囲で放送サービスを継続できるようになっている。
【0006】
しかしながら、共用装置などの共用部分については、故障時の救済方法はいまだ確立されておらず、まして、空中線が強風などの外的要因などにより上下段両系統とも故障した場合には従来技術では救済の手段がない。
【0007】
今後、地上放送のデジタル化が進む中で、放送事業者が親局を共同建設するケースが増え、同時に空中線系の一層の高信頼化が求められている。
本発明は、各社の空中線を相互に利用し合うことも視野に入れ、空中線、給電線などが上下共に故障した場合や、共用装置などの共用部分が故障した場合でも、簡単な切替操作を行うことにより、実用上問題のない範囲で放送を継続することができるようにするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の発明による放送用送信空中線系システムは、
複数の空中線、複数の給電線、共用装置、分配器の各要素からなる1つの空中線系を具える放送用送信空中線系システムにおいて、
自動、或いは、手動により、故障した1つまたは複数の前記要素と接続するリンクを切り離し、前記空中線系の要素の正常な要素のみにリンクを接続する切替手段、
を具えること特徴とするものである。
この場合の故障の判断に関しては、例えば、システムの操作員が、複数の空中線、複数の給電線、共用装置、分配器の各要素からの出力信号をディスプレイ上でモニタして故障を判断したり、或いは、設備保守担当員が、各要素の外観から切断、破損などの物理的な故障を判断したりする。後述するが、代わりに、故障検出装置などで各要素の故障を検出することも可能である。
本発明の構成によれば、空中線、給電線の上または下段、分配器、共用装置などが故障した場合、速やかに故障部分を切り離し、冗長系経路に接続するリンクを使用して冗長系経路を確保して、実用上影響が少ない状態で放送を継続することができる。
【0009】
本発明の第2の発明による放送用送信空中線系システムは、
複数の前記空中線系と、
前記複数の空中線系を相互に接続するリンクと、
自動、或いは、手動により、前記空中線系における故障した要素と接続するリンクを切り離し、この故障した空中線系以外の空中線系の要素へリンクを接続する切替手段と、
を具えることを特徴とするものである。
本発明の構成によれば、空中線または給電線が上下段両方とも故障した場合、他社の空中線系の上または下段と接続して冗長系経路を確保して、実用上影響が少ない状態で放送を継続することができる。
【0010】
更に、本発明の変形例として、以下の構成も考えられる。
本発明の第3の発明による放送用送信空中線系システムは、
少なくとも空中線、給電線、共用装置、分配器の各要素からの出力信号、および、これらの各要素に対して設定された所定の閾値に基づき、各要素が正常であるか否かを判断して、故障を検出する故障検出手段と、
前記故障検出手段においてある1つまたは複数の要素が正常でないと判断されたとき、自動、或いは、手動により、前記正常でないと判断された要素と接続するリンクを切り離し、前記空中線系の要素の正常な要素のみにリンクを接続する切替手段と、
を具えること特徴とするものである。
本構成によれば、故障時に速やかに自動的に故障した要素を検出して、正常な要素へ切替えることが可能となる。故障の検出は、閾値を設定しないで、各要素からの出力信号のみからも判断できる。
【0011】
本発明の第4の発明による放送用送信空中線系システムは、
複数の空中線系と、
前記複数の空中線系を相互に接続するリンクと、
前記故障検出手段において、前記空中線系における1つまたは複数の要素が正常でないと判断されたとき、自動、或いは、手動により、前記正常でないと判断された空中線系における故障した要素と接続するリンクを切り離し、前記正常でないと判断された空中線系以外の空中線系の要素へリンクを接続する切替手段、を具えることを特徴とするものである。
本構成によれば、故障時に速やかに自動的に故障した要素を検出して、正常な空中線系の要素へ切替えることが可能となる。
なお、解決手段は装置として説明したが、本発明にはこれらに相当する方法、或いはこれらの手段を実現するプログラム、およびそのプログラムを記録した記憶媒体なども含まれることを理解されたい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以降、本発明の実施態様を付属の図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明による放送用送信空中線系システムを適用した基本的な空中線システム系統図である。このシステム系統は、系統S1〜Snを具えるものであり、各系統S1〜Snのそれぞれは、上下給電された空中線1、空中線1に接続する上下段の給電線2を具え、各系統S1〜Snの空中線1の各々は、給電線2を介して高冗長度切替装置3に接続している。さらに、空中線1は、給電線2および高冗長度切替装置3を介して、チャンネルA,B,C,Dなどに接続する。
この高冗長度切替装置3は各系統S1〜Snで共用するものであり、入力されるチャンネルの数に応じて、適切な共用装置、切替装置、接続部材(即ち、リンク)、制御装置、分配器、故障検出装置などから構成されている。切替装置としては、Uリンクによる手動切替のほか、同軸切替器や無接点切替器などを使用し、電子制御系を用いて、自動または遠隔制御による切替なども応用範囲として含まれる。
なお、図1では、説明の便宜上、全チャンネルを総合的に一体化した形態となっているが、実際には、高冗長度空中線切替装置を共用する各放送会社が、各系統毎に切替架を構成し、それらを相互に接続してシステムを完成する。
【0013】
図2は、Uリンクを使用した場合の本発明による放送用送信空中線系システムの実施態様の一例を示す系統図である。これは、6波の放送波を3基の空中線で2波ずつ共用し、共同建設した場合の系統図である。この図は、正常状態におけるUリンク接続の状況を示している。図に示すように、この放送用送信空中線系システムは、系統S1〜S3を具えるものであり、各系統S1〜S3のそれぞれは、上段空中線11、下段空中線12、上段空中線11に接続する上段給電線21、下段空中線12に接続する下段給電線22を具えるものである。各系統S1〜S3の上段および下段空中線11、12の各々は、上段給電線21および下段給電線22を介して、高冗長度切替装置3内のUリンク40に接続している。Uリンク40は、分配器30に接続しており、分配器30は、さらにその他のUリンク40を介して共用装置50に接続している。そして、共用装置50は、さらに、別のUリンク40を介して各チャンネルに接続している。
【0014】
切替による経路変更によって発生する信号出力の変化を抑制するために、各Uリンクの長さを調節することが必要である。
例えば、Uリンク40の長さは、空中線S2について言えば、b2−b6=b5−b6=b4−b6=b7−b6、b3−b4=b4−b8、b1−b2=b2−b9、b3−b4=b4−b11とすることが好適であるが、各Uリンクの長さを全て同じとしても良い。空中線系S1,S3についても同様である。
空中線系S1,S2,S3を相互に接続するため、a8−b7,b8−c7,c8−a7間にUリンク座を設置し、予め相互に接続しておく。こうすることにより、後述するリンクの切替によって各空中線の機能を相互に補完することが可能となる。
【0015】
空中線系S2の上段空中線11、上段給電線21、または分配器30(即ちT分岐)が故障した場合の切替の手法を説明する。
空中線、給電線、共用装置、分配器の各要素のいずれかが故障であると判断した場合、この故障した当該要素を迂回させるために、正常な状態の経路を構成するUリンク40のb1−b2、b3−b4,b5−b6を切り離し、b4−b6間をUリンクで接続することにより、共用装置50の出力を下段空中線12に給電するような経路を構成させる。この場合の経路切替後の空中線システム系統図を図3に示す。図のように、C、Dチャンネルには、下段系の経路を利用して給電可能となる。
逆に、下段系が故障した場合は、同様の手法により、b2−b6間をUリンク(図示しない)で接続し、上段空中線11に給電するような経路を構成させる。なお、切替による経路変更によって発生する信号出力の変化を抑制するために、Uリンク40のb5−b6,b2−b6,b4−b6間の長さを同一にすることが好適である。
【0016】
次に、共用装置50が故障した場合を説明する。例えば、空中線系S2の共用装置50が故障した場合には、Uリンク40のb1−b2,b9−b10,b3−b4、b11−b12を切り離し、b2−b9、b4−b11間をそれぞれUリンクで接続することにより、別の経路を構成させる。共用装置50が故障した場合の経路切替後の空中線システム系統図を図4に示す。このようにリンクを切替えることにより、Cチャンネルからは上段系に給電することができ、また、Dチャンネルからは下段系に給電することができ、従って、放送を継続することができる。
【0017】
空中線系S2が外的要因などの原因で上下段ともに故障した場合には、Uリンク40のb5−b6を切り離し、b7−b6間をUリンクで接続し、空中線系S1のUリンク40のa3−a4を切り離し、a4−a8間をUリンクで接続すると共に、Uリンクa1−a2,a5−a6を切り離し、a2−a6間をUリンクで接続することにより、冗長な経路を構成させる。空中線系S2が上下段ともに故障した場合の経路切替後の空中線システム系統図を図5に示す。このようにして、AチャンネルおよびBチャンネルは空中線系S1の上段空中線11に、CチャンネルおよびDチャンネルは空中線系S1の下段空中線12に給電することができるようになる。従って、A,B,C,Dのいずれのチャンネルも実用上問題の少ない状態で放送を継続することができる。
なお、空中線系S1,S3が故障した場合にも、上述した手法を用いて、冗長な経路を構成させて実用上問題の少ない状態で放送を継続することができる。
【0018】
この実施態様では、2波を共用した3基の空中線系で構成されるシステムを例として挙げたが、これは例示にすぎないものであり、例えば、3波以上を共用する場合や、空中線の基数を増減した場合にも本発明を適用できることを理解されたい。
さらに、接続部材としてUリンクを挙げたが、これも例示にすぎないものであり、例えば、同軸切替器や無接点切替器など、切替機能を有する類似の装置で代替させることも可能であることを理解されたい。
【0019】
【発明の効果】
本発明による効果を以下にまとめる。
本発明によれば、共用装置を含む共用系の故障時に、当該チャンネルの電波確保が可能となる。
また、本発明によれば、空中線が上下段ともに故障した場合に、簡単な切替え操作で他社の空中線を利用することによって電波確保が可能となる。
さらに、従来は、空中線系が故障した場合に備えるためには、予備空中線を設置するか、他社の空中線と共用するためには、予備共用装置を用意しておく必要があったが、本発明を適用すれば、それらは不要となり経済的である。従って、本発明によれば、冗長度に優れた高信頼性を有する空中線系システムを低コストで実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による放送用送信空中線系システムを適用した基本的な空中線システム系統図である。
【図2】 Uリンクを使用した場合の本発明による放送用送信空中線系システムの実施態様の一例を示す系統図である。
【図3】 空中線系S2の上段空中線11、上段給電線21、または分配器30(即ちT分岐)が故障した場合の経路切替後の空中線システム系統図である。
【図4】 共用装置50が故障した場合の経路切替後の空中線システム系統図である。
【図5】 空中線系S2が上下段ともに故障した場合の経路切替後の空中線システム系統図である。
【符号の説明】
S1,S2,S3 空中線系
1 空中線
2 給電線
3 高冗長度切替装置
11 上段空中線
12 下段空中線
21 上段給電線
22 下段空中線
30 分配器
40 Uリンク
50 共用装置
Claims (2)
- 複数の空中線、複数の給電線、共用装置、分配器の各要素からなる1つの空中線系を具える放送用送信空中線系システムにおいて、
自動、或いは、手動により、故障した1つまたは複数の前記要素と接続するリンクを切り離し、前記空中線系の要素の正常な要素のみにリンクを接続する切替手段、
を具えること特徴とする放送用送信空中線系システム。 - 請求項1に記載のシステムにおいて、
複数の前記空中線系と、
前記複数の空中線系を相互に接続するリンクと、
自動、或いは、手動により、前記空中線系における故障した要素と接続するリンクを切り離し、この故障した空中線系以外の空中線系の要素へリンクを接続する切替手段と、
を具えることを特徴とするシステム。
Priority Applications (1)
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