JP3828736B2 - スピーカフレーム及びスピーカ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動板や磁気回路が取り付けられるスピーカフレーム、該スピーカフレームを用いたスピーカに関する。
【0002】
【従来の技術】
スピーカは、一般に、磁気ギャップを形成する磁気回路と、電気信号の供給により磁気ギャップ内を移動するボイスコイルと、ボイスコイルの移動に伴い振動する振動板と、振動板のエッジを支持するスピーカフレームとを備えて構成されている。
従来のスピーカフレームは、例えば、図7に示すように、振動板3のエッジが取り付けられるエッジ取付部51と、磁気回路2が取り付けられる磁気回路取付部52と、を備えている。そして、エッジ取付部51と磁気回路取付部52との間には、振動板3背部の空間を一部覆う状態で、板状の脚部53が複数架設されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のスピーカフレームでは、振動板3の背面に沿って板状の脚部53が複数配置されていたので、振動板3背部の開口率が悪かった。そのため、振動板3の振動時に振動板3の背面側に背圧がかかって、スピーカ自体の周波数特性に影響がでることがあった。
また、例えば、スピーカフレームを樹脂成形やダイカストにより構成する場合、上記のように板状の脚部53では、必要な強度を確保するのに十分な体積を要することとなり、その結果として、スピーカフレームの重量や材料コストが増大するという問題点があった。
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みなされたもので、フレームとしての強度を落とさずに、振動板背部の開口率を高めることが可能であると共に、軽量化やコスト低減が可能なスピーカフレーム及びスピーカを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、スピーカを構成する振動板のエッジが取り付けられるエッジ取付部と、前記振動板と接続されたボイスコイルを振動させるための磁気回路が取り付けられる磁気回路取付部と、前記エッジ取付部と前記磁気回路取付部との間に架設され、前記エッジ取付部と前記磁気回路取付部とを相互に結合する複数の脚部と、を備えるスピーカフレームであって、前記脚部は柱状に形成され、前記複数の脚部の中には、隣り合って対をなす複数組みの脚部が含まれ、該対をなす脚部は、それぞれの前記脚部及び前記磁気回路取付部から成る角のうち対向する2つの角が鋭角となるように配置されていることを特徴とする。
【0006】
請求項1記載の発明によれば、複数の脚部を備えるので、スピーカフレームとしての強度を高めることができる。
また、脚部を柱状に形成したので、振動板背部の開口率を高めることが可能となる。従って、振動板の振動時に振動板の背面にかかる背圧を減少させることができ、その背圧がスピーカ自体の周波数特性等に悪影響を与えることを極力防止できる。
また、脚部を柱状に形成するようにしたので、例えば、当該スピーカフレームを樹脂成形、アルミニウム合金、マグネシウム合金などにより構成する場合などに、所望の強度を有する脚部を少ない体積で実現することが可能となる。これにより、スピーカフレームの軽量化が可能となり、スピーカフレームの材料コストを低減することが可能となる。
ここで、柱状には、例えば、角柱状、円柱状などが含まれ、その断面形状は如何なる形状であってもよい。
【0007】
また、複数の脚部の中には、隣り合って対をなす複数組みの脚部が含まれ、該対をなす脚部は、それぞれの前記脚部及び前記磁気回路取付部から成る角のうち対向する2つの角が鋭角となるように配置されているので、対をなす脚部がそれぞれ異なる方向を向くこととなる。従って、外部の様々な方向から作用する衝撃等に対して、各脚部の相互作用により、十分な強度を発揮できる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のスピーカフレームにおいて、前記対をなす脚部は、前記磁気回路取付部から前記エッジ取付部に向かうにつれてお互いの間隔が狭まるように配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、対をなす脚部は前記磁気回路取付部から前記エッジ取付部に向かうにつれてお互いの間隔が狭まるように配置されているので、対をなす脚部がそれぞれ異なる方向を向くこととなる。従って、外部の様々な方向から作用する衝撃等に対して、各脚部の相互作用により、十分な強度を発揮できる。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のスピーカフレームにおいて、前記対をなす脚部は互いに交差するように配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、対をなす脚部は互いに交差するように配置されているので、対をなす脚部がそれぞれ異なる方向を向くこととなる。従って、外部の様々な方向から作用する衝撃等に対して、各脚部の相互作用により、十分な強度を発揮できる。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れかに記載のスピーカフレームであって、前記脚部の幅は、前記脚部の厚みと等しいか、又は前記脚部の厚みより小さく設定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、脚部の幅が、脚部の厚みと等しいか、又は脚部の厚みより小さく設定されているので、脚部の強度を落とさずに、振動板背部の開口率をさらに高めることが可能となる。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れかに記載のスピーカフレームであって、前記脚部と前記磁気回路取付部とが出会ってできる入隅部分と、前記脚部とエッジ取付部とが出会ってできる入隅部分の各々には、面取り加工が施されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、脚部と磁気回路取付部とが出会ってできる入隅部分と、脚部とエッジ取付部とが出会ってできる入隅部分の各々に、面取り加工を施したので、磁気回路取付部或いはエッジ取付部と脚部との結合を強固なものとすることができ、スピーカフレームとしての強度を向上させることができる。
【0016】
請求項6記載の発明は、スピーカであって、請求項1〜請求項5の何れかに記載のスピーカフレームを備え、該スピーカフレームの前記エッジ取付部に振動板のエッジを取り付ける一方、前記磁気回路取付部に磁気回路を取り付けたことを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、スピーカの軽量化が可能となり、スピーカの製造コストを低減することが可能となる。また、スピーカ自体の周波数特性を向上させることが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
〔第1の実施の形態〕
この実施の形態のスピーカフレーム1は、コーン型振動板を使用したスピーカに用いられるもので、合成樹脂、アルミニウム合金、マグネシウム合金などにより構成されている。
このスピーカフレーム1は、図1に示すように、振動板3(図7参照)のエッジが取り付けられるエッジ取付部4と、磁気回路2(図7参照)が取り付けられる磁気回路取付部5と、エッジ取付部4と磁気回路取付部5とを相互に結合する複数の脚部6と、を備えて構成されている。
【0024】
エッジ取付部4は、略円環状のプレートにより構成され、その前端面4aが振動板3のエッジを取り付ける取付面となっている。
磁気回路取付部5は、同様に略円環状のプレートにより構成され、エッジ取付部4の内径より小さい外径を有している。この磁気回路取付部5は、エッジ取付部4と軸線が一致する状態で、エッジ取付部4の後方に配置されている。この磁気回路取付部5の後端面5bは、磁気回路2を取り付ける取付面となっており、磁気回路取付部5の前端面5cは、ダンパーを取り付ける取付面となっている。また、磁気回路取付部5の中央部には、ボイスコイルを通すための開口5aが設けられ、磁気回路取付部5の周縁部には、その半径方向に突出する状態で、スピーカの端子を取り付けるための端子取付部7が設けられている。
【0025】
エッジ取付部4と磁気回路取付部5との間には、図1(a)に示すように、直線的で柱状の脚部6が複数(この例では、10本)架設されている。それら脚部6は、隣り合う脚部6a、6b同士で対をなし、該対をなす脚部6a、6bは、磁気回路取付部5からエッジ取付部4に向かうにつれてお互いの間隔が狭まるように配置されている。つまり、複数の脚部6が正面視で星形に配置されて、それぞれ異なる方向を向くように設定されている。
各脚部6は、その長さ方向に対して垂直な断面が、図2に示すように、矩形状となっている。また、脚部6としての強度を落とさずに、振動板3背部の開口率を高めるために、各脚部6の厚みYは、幅Xと等しいか、又は幅Xより大きく設定されている。さらに、図1に示すように、各脚部6が磁気回路取付部5やエッジ取付部4と出会ってできる入隅部分9の各々には、面取り加工が施されている。つまり、各脚部6の根本部分がR形状に形成されて他の部分よりも太くなっている。
【0026】
以上のように、この実施の形態のスピーカフレーム1によれば、脚部6を柱状に形成したので、振動板3背部の開口率を高めることが可能となる。従って、振動板3の振動時に振動板3の背面側にかかる背圧を減少させることができ、その背圧がスピーカ自体の周波数特性等に悪影響を与えることを極力防止できる。
また、脚部6は、隣り合う脚部6a、6b同士で対をなし、該対をなす脚部6a、6bは、磁気回路取付部5からエッジ取付部4に向かうにつれてお互いの間隔が狭まるように配置されている。つまり、複数の脚部6が正面視で星形に配置されて、それぞれ異なる方向を向くように設定されている。従って、例えば、脚部を板状に形成する場合などと比べて、所望の強度を有する脚部6を少ない体積で実現することが可能となる。これにより、スピーカフレーム1の軽量化が可能となり、スピーカフレーム1の材料コストを低減することが可能となる。
【0027】
また、脚部6の幅Xを、厚みYと等しいか、又は厚みYより小さく設定したので、脚部6の強度を落とさずに、振動板3背部の開口率をさらに高めることができる。
また、脚部6と磁気回路取付部5とが出会ってできる入隅部分9と、脚部6とエッジ取付部4とが出会ってできる入隅部分9の各々に、面取り加工を施したので、脚部9と各取付部4、5との結合を強固なものとすることができ、スピーカフレーム1としての強度を向上させることができる。
また、それぞれ異なる方向を向くように各脚部6を配置したので、外部の様々な方向から作用する衝撃等に対しても、各脚部6の相互作用により、十分な強度を発揮することができる。
【0028】
さらに、この実施の形態のスピーカフレーム1を用いたスピーカによれば、軽量化が可能となり、製造コストの低減が可能となる。また、スピーカ自体の周波数特性を向上させることもできる。
【0029】
なお、この第1の実施の形態では、脚部6の長さ方向に対して垂直な断面を矩形状としたが、これに限られるものではなく、例えば、図3に示すように、台形、三角形、楕円形などの形状であってもよい。それら何れの場合においても、振動板3背部の開口率を高めるために、脚部6の厚みYは、幅Xと等しいか、又は幅Xより大きく設定することが望ましく、さらに、台形や三角形の場合には、図3(a)及び図3(b)に示すように、前方に向けて幅Xが狭まるように配置することが望ましい。
【0030】
〔第2の実施の形態〕
この第2の実施の形態のスピーカフレーム10は、比較的径の小さいコーン型振動板を使用したスピーカに用いられるものである。このスピーカフレーム10は、磁気回路2を外部から遮蔽する状態で取付可能となっている。
即ち、この実施の形態の磁気回路取付部11は、図4(c)に示すように、磁気回路2を収容した状態で取付可能な磁気回路収容部11Aを備えている。この磁気回路収容部11Aは、前方が開口した略円錐台形状に形成されている。この磁気回路収容部11Aの前端部には、その開口部13に沿って略円環状のダンパー取付部11Bが設けられている。また、磁気回路取付部11の背面側には、図4(a)及び図4(b)に示すように、各脚部6と連続する状態でリブ12が突設されている。
この第2の実施の形態のスピーカフレーム10によれば、磁気回路2を外部から遮蔽した状態で取り付ける構成としたので、例えば、磁気回路2を遮蔽しない場合と比べて、スピーカ外部の磁場を弱めることができる。また、スピーカのデザイン的な自由度を高めることもできる。
【0031】
〔第3の実施の形態〕
この第3の実施の形態のスピーカフレーム20は、隣り合って対をなす複数組の脚部21a、21bを有し、該対をなす脚部21a、21bが、図5に示すように、エッジ取付部4から磁気回路取付部5に向かうにつれてお互いの間隔が狭まるように配置されている。つまり、複数の脚部21が正面視で放射状に配置されて、それぞれ異なる方向を向くように設定されている。
従って、外部の様々な方向から作用する衝撃等に十分に耐え得る強固なスピーカフレーム20を実現できる。
【0032】
〔第4の実施の形態〕
この第4の実施の形態のスピーカフレーム30は、対をなす複数組みの脚部31a、31bを有し、該対をなす脚部31a、31bが、図6に示すように、互いに交差するように配置されている。つまり、複数の脚部31が正面視でそれぞれ異なる方向を向くように配置されている。
従って、外部の様々な方向から作用する衝撃等に十分に耐え得る強固なスピーカフレーム30を実現できる。
【0033】
なお、以上の各実施の形態においては、合成樹脂、アルミニウム合金、マグネシウム合金などにより構成されたスピーカフレーム1、10、20、30を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、塑性加工等により構成されたスピーカフレームにも適用可能である。
また、脚部6、21、31の本数等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0034】
【発明の効果】
請求項1〜請求項3記載の発明によれば、スピーカフレームとしての強度を高めることができる。
また、振動板背部の開口率を高めることにより振動板の振動時に振動板の背面にかかる背圧を減少させることができ、その背圧がスピーカ自体の周波数特性等に悪影響を与えることを極力防止できる。
また、例えば、スピーカフレームを樹脂成形、アルミニウム合金、マグネシウム合金などにより構成する場合などに、所望の強度を有する脚部を少ない体積で実現することが可能となる。これにより、スピーカフレームの軽量化が可能となり、スピーカフレームの材料コストを低減することが可能となる。
また、対をなす脚部がそれぞれ異なる方向を向くことにより、外部の様々な方向から作用する衝撃等に対して、各脚部の相互作用により、十分な強度を発揮できる。
請求項4記載の発明によれば、脚部の強度を落とさずに、振動板背部の開口率をさらに高めることが可能となる。
請求項5記載の発明によれば、磁気回路取付部或いはエッジ取付部と脚部との結合を強固なものとすることができ、スピーカフレームとしての強度を向上させることができる。
【0035】
請求項6記載の発明によれば、スピーカの軽量化が可能となり、スピーカの製造コストを低減することが可能となる。また、スピーカ自体の周波数特性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の実施の形態のスピーカフレームの構成を示すもので、(a)は裏面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【図2】図1(a)のA−A矢視断面図である。
【図3】図2のその他の例を示す断面図である。
【図4】本発明を適用した第2の実施の形態のスピーカフレームの構成を示すもので、(a)は裏面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【図5】本発明を適用した第3の実施の形態のスピーカフレームの構成を示す裏面図である。
【図6】本発明を適用した第4の実施の形態のスピーカフレームの構成を示す裏面図である。
【図7】従来のスピーカフレームの構成を示すもので、(a)は裏面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
1、10、20、30 スピーカフレーム
2 磁気回路
3 振動板
4 エッジ取付部
5 磁気回路取付部
6、21、31 脚部
Claims (6)
- スピーカを構成する振動板のエッジが取り付けられるエッジ取付部と、
前記振動板と接続されたボイスコイルを振動させるための磁気回路が取り付けられる磁気回路取付部と、
前記エッジ取付部と前記磁気回路取付部との間に架設され、前記エッジ取付部と前記磁気回路取付部とを相互に結合する複数の脚部と、
を備えるスピーカフレームであって、
前記脚部は柱状に形成され、
前記複数の脚部の中には、隣り合って対をなす複数組みの脚部が含まれ、該対をなす脚部は、それぞれの前記脚部及び前記磁気回路取付部から成る角のうち対向する2つの角が鋭角となるように配置されていることを特徴とするスピーカフレーム。 - 前記対をなす脚部は、前記磁気回路取付部から前記エッジ取付部に向かうにつれてお互いの間隔が狭まるように配置されていることを特徴とする請求項1記載のスピーカフレーム。
- 前記対をなす脚部は互いに交差するように配置されていることを特徴とする請求項1記載のスピーカフレーム。
- 前記脚部の幅は、前記脚部の厚みと等しいか、又は前記脚部の厚みより小さく設定されていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のスピーカフレーム。
- 前記脚部と前記磁気回路取付部とが出会ってできる入隅部分と、前記脚部とエッジ取付部とが出会ってできる入隅部分の各々には、面取り加工が施されていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載のスピーカフレーム。
- 請求項1〜請求項5の何れかに記載のスピーカフレームを備え、該スピーカフレームの前記エッジ取付部に振動板のエッジを取り付ける一方、前記磁気回路取付部に磁気回路を取り付けたことを特徴とするスピーカ。
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