JP3828098B2 - アンカー構造体の止水構造 - Google Patents

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Description

この発明は、岩盤、法面等の地崩れ防止、ダム、橋脚等のコンクリート構造物の安定化を図るアンカー構造体の止水構造に関するものである。特に、緊張材とグラウトとの付着により形成される定着長部と、緊張材とグラウトとを付着させない自由長部との境界部における止水構造に関するものである。
従来のアンカー構造体として、図8に記載のものが知られている。このアンカー構造体は、削孔10に収納されるアンカーケーブル20と、アンカーケーブル20の一端側(削孔の開口側)を固定する定着具30を有し、削孔10とアンカーケーブル20との間にグラウト40が充填されている。アンカーケーブル20は、緊張材21となるPC鋼より線と、PC鋼より線の定着具側のみ間隔をあけて覆うシース22とで構成される。アンカーケーブルのシース22で覆われた箇所はグラウト40とPC鋼より線との付着を隔絶した自由長部200となり、シース22がなくPC鋼より線が露出した箇所はグラウト40に固着される定着長部300となる。PC鋼より線は、緊張された状態で、一端を定着具30により、他端側を削孔内のグラウト40により固定される。
このようなアンカー構造体において、自由長部200のシース内にグラウト40や水分が浸入しないように、各アンカーケーブルの自由長部200と定着長部300との境界部には止水部90が形成される。この止水部90は、シース22外周面からシース22端部を経てPC鋼より線の外周にかけての範囲を接着剤と熱収縮チューブとで覆った構造である(例えば特許文献1)。通常、予め内周に熱軟化性の接着剤が塗布された熱収縮チューブを自由長部と定着長部の境界箇所に被せてから加熱収縮させることで止水部90が形成される。複数本のPC鋼より線からなるアンカーケーブル20の場合、これらのPC鋼より線は削孔10内で束ねられ、各止水部90は自由長部200の長さを揃えるように定着具30からほぼ同一の位置に形成されている。
特開2001−241039号公報
しかし、上記のアンカー構造体では、各止水部の位置が同一であるため、複数のアンカーケーブルを束ねたとき、止水部の外径が大きくなり、施工上、種々の不都合を生じると言う問題がある。
止水部は、PC鋼より線が収納されたシースの上に熱収縮チューブを被せて形成するため、複数のアンカーケーブルを束ねた状態とした場合、止水部の箇所が最も太くなる。
一方、削孔内ヘアンカーケーブルを挿入施工する場合、削孔壁が崩壊しないようにケーシングで削孔壁を保持しながらケーシング内にアンカーケーブルを挿入する。このケーシングは、例えば長さが20m近くにもなるため、通常は複数のユニットを接続して使用する。その接続部の内径は一般にケーシングの接続部以外の内径より小さくなっている。つまり、ケーシング内部には、複数個の接続部が所定間隔で突出して存在することになる。
このようなケーシング内にアンカーケーブルを挿入する場合、止水部とケーシングにおける接続部内径とのクリアランスが小さいと、次のような支障が起こることがある。
(a)アンカーケーブルをケーシング内へ挿入するとき、ユニットの接続部で引っ掛かりが生じたり、挿入自体ができなかったりする。
(b)アンカーケーブルをケーシング内に挿入した後、ケーシングを回収するが、その際にアンカーケーブルを一緒に引きずって引き出してしまう。
(c)ケーシングの回収は回転させながら又は直接引抜くことによって行なうが、その際、止水部がケーシング内壁に擦られたり接続部に引っ掛かったりして損傷し、自由長部のシース内にグラウトが浸入するおそれがある。
他方、アンカー工事では削孔をあける工費が大きな比重を占めているため、削孔径を大きくし、径の大きいケーシングを用いることは採用しがたい。
従って、本発明の主目的は、複数の止水部を束ねた状態での外径をより小さくし、アンカー構造体の施工を容易にするアンカー構造体の止水構造を提供することにある。
本発明は、各アンカーケーブルに形成される止水部のうち、少なくとも一部の止水部の位置を他の止水部に対してずらすことで上記の目的を達成する。
本発明アンカー構造体の止水構造は、削孔に挿入される複数の緊張材と、各緊張材を削孔の一端側で固定する定着具と、削孔と緊張材との間に充填されるグラウトと、緊張材の一端側においてグラウトと緊張材とを隔絶した自由長部と、緊張材の他端側において緊張材をグラウトで定着した定着長部と、各緊張材の自由長部と定着長部との境界を止水する止水部とを有し、複数の緊張材の各々に形成した止水部の少なくとも一部が他の止水部に対して緊張材の長手方向にずれて設けられていることを特徴とする。
部分的に太くなる各止水部の位置を緊張材の長手方向にずらすことで、複数の止水部を束ねた場合の包絡径を小さくすることができる。これにより、ケーシングにアンカーケーブルを挿入する際、止水部がケーシング内面に引っ掛かったり、ケーシング回収時、ケーシングと共にアンカーケーブルが引き出されることを回避できる。特に、ケーシングと止水部との接触を抑制でき、この接触による止水部の損傷を防止することができる。
位置をずらす止水部は、複数ある止水部の一部であっても全てが順次ずれていてもいずれでも良い。各止水部を緊張材の長手方向にずらす具体的手段としては、次のものが挙げられる。
(A)複数の緊張材の各々に形成した止水部を、隣接する緊張材の止水部に対して緊張材の長手方向にずらして設ける。この構成によれば、隣接する緊張材の止水部同士がずれているため、部分的にしか止水部の位置が重複せず、止水部の包絡円径を小さくすることができる。
(B)複数の緊張材の各々に形成した止水部を、順次緊張材の長手方向にずらして設ける。この構成によれば、各止水部が順次長手方向にずれるため、同一位置に重なって設けられる止水部が存在せず、止水部の包絡円径を小さくすることに効果的である。
以下、本発明の構成をより詳しく説明する。
<緊張材>
アンカーケーブルを構成する緊張材としてはPC鋼より線が好適である。PC鋼より線は、例えば以下の構成のものが利用できる。
(1)複数の素線をより合わせた裸のPC鋼より線。
(2)各素線に樹脂被覆を形成して被覆素線とし、これらの被覆素線をより合せたPC鋼より線。
(3)複数の素線をより合わせてより線とし、このより線全体を覆ってより目が外表に現われる樹脂被覆を有し、かつ素線間の隙間には樹脂が充填されていないPC鋼より線。
(4)複数の素線をより合わせてより線とし、このより線全体を覆ってより目が外表に現われる樹脂被覆を有し、かつ素線間の隙間にも樹脂が充填されたPC鋼より線。
(5)上記(2)〜(4)の構成において、樹脂被覆に溝や凹部あるいは凸部などの粗面加工を施したPC鋼より線。
(6)上記(2)〜(4)の構成において、樹脂被覆に砂などの固形粒子を部分的に露出するように埋め込んだPC鋼より線。
上記の緊張材のうち、樹脂被覆を有するものは、樹脂被覆のないものに比べて防食性に優れている。特に、素線ごとに樹脂被覆を有するものや素線間の隙間にも樹脂が充填されたものは一層優れた防食性を有する。また、樹脂被覆表面に粗面加工を施したり、固形粒子を埋設したものは、定着長部におけるグラウトとの付着力あるいは止水部における熱収縮チューブとの接着力を向上することができる。ここでの樹脂被覆には、エポキシ樹脂やポリエチレン樹脂を用いることができる。
<シース>
アンカーケーブルの自由長部を構成するシースはプラスチック材料が好適である。一般にポリエチレンシースが利用される。このシースの切断長をアンカーケーブルによって変えることで、止水部の位置を緊張材の長手方向にずらすことが容易にできる。
<止水部>
止水部は、例えば自由長部と定着長部の境界部をまたぐ止水チューブと、止水チューブを前記境界部に固定する接着剤とで構成する。止水チューブには熱収縮チューブが好適に利用できる。熱収縮チューブの材質はポリエチレンが好ましい。熱収縮チューブと接着剤とで止水部を構成する具体的手段としては、接着剤を自由長部と定着長部の境界部に塗布してから熱収縮チューブを被せ、このチューブを加熱収縮させる方法と、予め内周に熱軟化性の接着剤が塗布された熱収縮チューブを被せてから加熱収縮させる方法とがある。接着剤は、上記PC鋼より線(1)、(2)を用いる場合、各素線(被覆素線)の隙間に充填されるようにすることが望ましい。
<円滑部材>
止水部の表面は円滑部材で覆うことが好ましい。一般に、熱収縮チューブは収縮時の加熱により表面が活性化されてグラウトと付着しやすく、グラウトと熱収縮チューブの付着力が熱収縮チューブと接着剤の付着力あるいは接着剤と緊張材との付着力よりも大きい場合がある。その状態で緊張材を緊張すると、接着剤での固定箇所が大きく変形したり、熱収縮チューブと緊張材との接着力が低下したりして止水機能が低下する。そこで、グラウトと付着しにくい円滑部材を止水部の表面に配することで、緊張材の緊張時に、緊張材と接着剤との接着および接着剤と熱収縮チューブとの接着が切れるよりも先に円滑部材と熱収縮チューブまたは円滑部材とグラウトとの付着が切れる。そのため、止水部とグラウトとの付着を抑制し、止水部の機能低下を防止することができる。円滑部材はグラウトと付着しにくい材料とする。例えば、ビニールテープ、油浸布、薄いポリエチレン被膜、紙などを熱収縮チューブの上に巻き付けることなどで円滑部材とする。
さらに、最も一端側に位置する止水部の先端から最も他端側に位置する止水部の先端までの間において露出する緊張材の表面に、グラウトと付着しにくい円滑部材を配することも好ましい。止水部の位置を長手方向にずらすには、緊張材を覆うシースの長さ、つまり自由長部の長さがアンカーケーブルによって変わり、それに伴ってシースから露出する緊張材の長さも異なることになる。一方、アンカー構造体の長期的な健全性の観点からは、各アンカーケーブルの自由長部の長さは等しい方が好ましい。そこで、最も一端側に位置する止水部の先端から最も他端側に位置する止水部の先端までの間に円滑部材を配することで、この範囲も実質的に自由長部として機能させることができ、止水部の位置を長手方向にずらしながらも自由長部の長さを実質的に揃えることができる。
<定着具>
定着具は、緊張した緊張材を保持できる構造であれば良い。例えば、分割式のウェッジでPC鋼より線を把持し、その状態でアンカーディスクのテーパー孔にウェッジをはめ込むことで緊張材を定着する構造が挙げられる。
<その他の付加要素>
本発明のアンカー構造体の止水構造においては、削孔内にグラウトを注入するグラウトホースが緊張材と併設されていることも望ましい。削孔内にアンカーケーブルを配置した後、削孔内にグラウトを注入する。その注入に用いるグラウトホースもアンカーケーブルと束ねて併設することにより、アンカーケーブルとグラウトホースの集合体の包絡外径、特に最も径の大きくなる止水部の包絡外径を小さくすることができる。
その他、アンカー構造体には、各緊張材の間隔を保持するスペーサや、アンカーケーブルの先端部を覆ってケーシング内への導入時に機械的保護を図る先端キャップを適宜用いることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
<実施例1>
図1に示すアンカー構造体と同様の構造体において、隣接するアンカーケーブルの止水部の位置を交互にずらした場合を例として本発明止水構造を説明する。
このアンカー構造体は、削孔10に収納される複数のアンカーケーブル20と、アンカーケーブル20の一端側(削孔の開口側)を固定する定着具30を有し、削孔10とアンカーケーブル20との間にグラウト40が充填されている。アンカーケーブル20は、緊張材21となるPC鋼より線と、PC鋼より線の定着具側のみ間隔をあけて覆うシース22とで構成される。アンカーケーブルのシース22で覆われた箇所はグラウト40とPC鋼より線との付着を隔絶した自由長部200となり、シース22がなくPC鋼より線が露出した箇所はグラウトに固着される定着長部300となる。
各アンカーケーブル20は全長にわたってグラウト注入ホース50と共に束ねられ、スペーサ60により各ケーブル20の間隔が保持される。そして、この集合体の中間部を結束帯70で保持し、先端部にキャップ80が装着される。
ここでは、緊張材21として、長さ20m(自由長部:約16m、定着長部:約4m)、直径15.2mmの裸のPC鋼より線にエポキシ樹脂を平均膜厚0.6mmに被覆した樹脂被覆PC鋼より線を6本用いる。各アンカーケーブル20は、グラウト注入ホース50を中心として、同ホース50の周囲に均等に配列して束ねられている。また、自由長部200を構成するシース22はポリエチレン製で、その外径は24.4mmである。
この自由長部200と定着長部300との境界部に止水部90を形成する。止水部90を形成するに際しては、シース22の切断長を隣接するアンカーケーブルにおいて交互に変える。ここでは、3本のアンカーケーブル20は端部から16mの位置でシース22を切断し、残りの3本は端部から15.9mの位置でシース22を切断した。この切断端部、つまり自由長部200と定着長部300との境界部に熱収縮チューブを被せ、加熱収縮させる。用いた熱収縮チューブは、架橋ポリオレフィン製で、収縮前の外径はφ30mm、長さは150mmである。この熱収縮チューブの内周には、ホットメルト系の接着剤が予め塗布されている。同チューブの加熱収縮は、100℃の熱風を吹き付けることで行なった。熱収縮チューブの収縮後において、シース22に熱収縮チューブが重なった部分の外径は28.6mm、樹脂被覆PC鋼より線に熱収縮チューブが重なった部分の外径は21.2mmである。これにより、図2(A)に示すように、緊張材21とシース22との境界に止水部90が形成され、ほぼ熱収縮チューブ91の被せられた長さに相当する分、アンカーケーブルの長手方向に止水部90の位置が交互にずれて形成される。そして、止水部90の断面は図2(B)に示すように、シース22に熱収縮チューブ91が被せられたアンカーケーブル20Aと、シース22に熱収縮チューブ91が被せられていないアンカーケーブル20Bが交互に並んだ状態となる。この全止水部90に外接する包絡円径は約79mmとなった。
このアンカーケーブルを形成する際、削孔10には孔壁の崩壊を抑制するため、ケーシング(図示せず)が挿入される。用いるケーシングは、複数のユニットを接続して構成され、外径がφ115mm、最も内径が小さい接続部の内径はφ86mmである。従って、止水部90の包絡円径が79mmとなったアンカーケーブル20は、十分に余裕をもってケーシング内に挿入できる。
アンカーケーブル20を挿入後、グラウト注入ホース50を介してアンカーケーブル20の先端側からグラウト40を注入する。その後、ケーシングを回転させながら回収する。その際にも、ケーシング内周と止水部90との間には十分なクリアランスがあるため、アンカーケーブル20とケーシングと共に引き出したり、止水部90をケーシング内に擦って損傷させることを抑制できる。
グラウト40が硬化すると、シース22によりグラウト40と縁が切られた箇所は自由長部200を構成し、シース22から被覆PC鋼より線が露出した箇所はグラウト40と一体化して定着長部300を構成する。
グラウト硬化後、図1に示すように、削孔10の開口から露出するアンカーケーブル後端にアンカープレート31、背面プレート32、アンカーディスク33を装着する。このアンカープレート31における削孔側には複数のアンカーケーブル20を収納するジョイント管34が設けられ、ジョイント管34とアンカーケーブル20との間には止水ゴム35を介在させて止水が行われている。続いて、PC鋼より線の末端部に分割式のウェッジを装着する。アンカーディスク33には各PC鋼より線が貫通されるテーパー孔が形成されおり、PC鋼より線を把持したウェッジ36はテーパー孔に挿入される。そして、PC鋼より線を図示しないジャッキで緊張し、PC鋼より線の後端部をウェッジ36でアンカーディスク33に定着する。
PC鋼より線の定着が完了したら、定着具30を覆う防錆キャップ37を装着し、同キャップ37内に防錆剤38を充填・硬化してアンカー構造体を完成させる。
<比較例1>
上記実施例1と同様の樹脂被覆PC鋼より線およびシースを用い、すべてのシースを端部から16mの位置で切断して、その切断端部を熱収縮チューブで覆って止水部を形成した。この止水部は、図3(A)に示すように、緊張材21とシース22との境界に設けられた全ての止水部90がアンカーケーブル端部から同一の位置に形成されている。そして、止水部90の断面は図3(B)に示すように、シース22に熱収縮チューブ91が被せられたアンカーケーブル20Aが並んだ状態となる。
得られたアンカーケーブルにおける全止水部の包絡円径は約85.8mmとなった。この包絡円径ではケーシング内径の86mmとわずかなクリアランスしかなく、施工時にケーシングと止水部との接触が予想される。
<実施例2>
次に、上記と同様のポリエチレンシース付きエポキシ樹脂被覆PC鋼より線9本を束ねた実施例について説明する。
この実施例2は、被覆PC鋼より線の本数や、施工時に用いるケーシングのサイズが相違する点を除いて実施例1に示したアンカー構造体と同様の構成である。実施例2においても、図4に示すように、隣接するアンカーケーブルの止水部90の位置を交互にずらして形成した。図4において、図2と同一箇所には同一符号を付している。
このアンカーケーブルの止水部90における包絡円径はφ約104mmとなった。そのため、外径φ135mm、最小内径φ106mmのケーシング内に上記アンカーケーブルを挿入することが可能である。
<比較例2>
実施例2における止水部を、その位置をずらすことなく形成した比較例を作製した。この比較例では、図5に示すように、全ての止水部90がアンカーケーブルの長手方向における同一位置に形成されている。図5において、図3と同一箇所には同一符号を付している。この場合、アンカーケーブル20における止水部90の包絡円径はφ112.4mmとなった。そのため、外径φ135mm、最小内径φ106mmのケーシング内にはアンカーケーブルを挿入できないことがわかる。
<実施例3>
次に、9本のアンカーケーブルを用いた場合で、全ての止水部をずらした実施例を作製した。この実施例では、図6(A)に示すように、各アンカーケーブルに設けた止水部90を順次段階的にずらしている。この構成によれば、図6(B)に示すように、止水部90の断面においては、熱収縮チューブ91がシース22に被せられたアンカーケーブル20Aが1本しか存在せず、他は全て熱収縮チューブ91のないアンカーケーブル20Bとなる。そのため、より一層止水部90の包絡円径を小さくすることができる。この包絡円径は約94mmであった。
<実施例4>
次に、止水部および止水部付近に円滑部材を設けた実施例を図7に基づいて説明する。本例では、実施例1の止水構造において、止水部90表面に円滑部材110を巻き付ける。ここでは円滑部材110としてビニールテープを用いた。前述したように、熱収縮チューブ91は収縮時の加熱により表面が活性化されてグラウトと付着しやすく、グラウトと熱収縮チューブの付着力が熱収縮チューブ91と接着剤の付着力あるいは接着剤とPC鋼より線との付着力よりも大きい場合がある。その状態でPC鋼より線を緊張すると、接着剤での固定箇所が大きく変形したり、熱収縮チューブとPC鋼より線との接着力が低下したりして止水機能が低下する。グラウトと付着し難い円滑部材110を止水部90の表面に配することで、PC鋼より線の緊張時に、PC鋼より線と接着剤との接着および接着剤と熱収縮チューブとの接着が切れるよりも先に円滑部材110と熱収縮チューブ91または円滑部材110とグラウトとの付着が切れる。そのため、止水部90とグラウトとの付着を抑制し、止水部90の機能低下を防止することができる。
さらに、止水部90の表面に加え、最も一端側(定着具側)に位置する止水部90Aの先端から最も他端側(定着具と反対側)に位置する止水部90Bの先端までの間(図7(A)の距離W)において、シース22に覆われずに露出するPC鋼より線の表面にも同じ円滑部材110を巻き付けた。止水部90の位置を長手方向にずらすことにより、PC鋼より線を覆うシース22の長さが変わり、それに伴ってシース22から露出するPC鋼より線の長さも異なることになる。アンカー構造体の長期的な健全性の観点からは、各アンカーケーブルの自由長部の長さは等しい方が好ましい。そこで、最も一端側に位置する止水部90Aの先端から最も他端側に位置する止水部90Bの先端までの間に円滑部材110を配することで、この範囲も実質的に自由長部として機能させることができ、止水部90の位置を長手方向にずらしながらも自由長部の長さを実質的に揃えることができる。
本発明によれば、各アンカーケーブルの止水部の位置を長手方向にずらすという簡単な構成で、複数の止水部の外接円径を小さくすることができ、ケーシングへのアンカーケーブルの挿入やケーシングの回収を容易に行なうことができる。従って、岩盤、法面等の地崩れ防止、ダム、橋脚等のコンクリート構造物の安定化を図るアンカー構造体の止水構造に有効利用できる。
本発明止水構造を用いたアンカー構造体の断面図である。 (A)は止水部を隣接するアンカーケーブルで交互にずらした本発明止水構造の模式斜視図、(B)は(A)図におけるB-B断面図である。 (A)は比較例1の止水構造を示す模式斜視図、(B)は(A)図におけるB-B断面図である。 (A)は止水部を隣接するアンカーケーブルで交互にずらした本発明止水構造の模式側面図、(B)は(A)図におけるB-B断面図である。 (A)は比較例2の止水構造を示す模式側面図、(B)は(A)図におけるB-B断面図である。 (A)は全ての止水部を順次段階的にずらした本発明止水構造の模式側面図、(B)は(A)図におけるB-B断面図である。 (A)は止水部を隣接するアンカーケーブルで交互にずらし、かつ円滑部材を用いた本発明止水構造の模式側面図、(B)は(A)図におけるB-B断面図である。 従来の止水構造を用いたアンカー構造体の断面図である。
符号の説明
10 削孔
20 アンカーケーブル
21 緊張材
22 シース
30 定着具
31 アンカープレート
32 背面プレート
33 アンカーディスク
34 ジョイント管
35 止水ゴム
36 ウェッジ
37 防錆キャップ
38 防錆剤
40 グラウト
50 グラウト注入ホース
60 スペーサ
70 結束帯
80 キャップ
90 止水部
90A 止水部
90B 止水部
91 熱収縮チューブ
110 円滑部材
200 自由長部
300 定着長部

Claims (6)

  1. 削孔に挿入される複数の緊張材と、
    各緊張材を削孔の一端側で固定する定着具と、
    削孔と緊張材との間に充填されるグラウトと、
    緊張材の一端側においてグラウトと緊張材とを隔絶した自由長部と、
    緊張材の他端側において緊張材をグラウトで定着した定着長部と、
    各緊張材の自由長部と定着長部との境界を止水する止水部とを有し、
    複数の緊張材の各々に形成した止水部の少なくとも一部が他の止水部に対して緊張材の長手方向にずれて設けられており、
    最も一端側に位置する止水部の先端から最も他端側に位置する止水部の先端までの間において露出する緊張材の表面に、グラウトと付着しにくい円滑部材を配していることを特徴とするアンカー構造体の止水構造。
  2. 複数の緊張材の各々に形成した止水部が、隣接する緊張材の止水部に対して緊張材の長手方向にずれて設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアンカー構造体の止水構造。
  3. 複数の緊張材の各々に形成した止水部が、順次緊張材の長手方向にずれて設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアンカー構造体の止水構造。
  4. 止水部の表面にグラウトと付着しにくい円滑部材が配されていることを特徴とする請求項1に記載のアンカー構造体の止水構造。
  5. 緊張材が樹脂被覆を有するPC鋼より線を備えることを特徴とする請求項1に記載のアンカー構造体の止水構造。
  6. 削孔内にグラウトを注入するグラウトホースが緊張材と併設されていることを特徴とする請求項1に記載のアンカー構造体の止水構造。
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