JP3828084B2 - 熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低変形時の応力を低減させてゴムらしい風合いを付与し、また低剪断時の溶融粘度を上昇させることによって加工性を改良した熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、透明性、機械強度、耐磨耗性、耐油性、耐屈曲性などに優れているところから、種々の用途で使用されている。とくに原料の種類や重合比率などを適宜選択することにより、幅広い品質設計が可能である点に魅力がある。
【0003】
しかしながら熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、他の柔軟な熱可塑性プラスチックに比べ、低変形時の応力が大きいため、ゴム的な風合いが発現しがたいという問題があった。このため熱可塑性ポリウレタンエラストマーをより柔軟にする目的で液状可塑剤を添加する方法が知られているが、時間の経過と共に成形品表面にブリードアウトし、べた付きや汚れの原因となるため広く使用するまでには至っていなかった。高分子可塑剤を用いることによってこのようなブリードアウトの問題を解決することは可能であるが、既知の処方によれば熱可塑性ポリウレタンエラストマーの特長である耐磨耗性、透明性、機械強度などが損なわれるため、未だ満足すべき改良品が得られていないのが現状であった。
【0004】
さらに熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、融点付近の温度領域において温度変化に対する粘度の変動が大きく、押出加工やカレンダー成形時において加工機から出た直後に樹脂の垂れや変形が発生し易く、満足な成形品を得るためには非常に狭い温度範囲で加工する必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような現状に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、熱可塑性ポリウレタンエラストマーの有する優れた諸物性を実質的に損なうことなく低変形時の応力を小さくし、さらに高剪断時は低粘度、低剪断時は高粘度に制御することにより加工性を改善する処方を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)100重量部に対し、(メタ)アクリル酸含量が5〜30重量%のエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)5〜30重量%とエチレン含量40〜80重量%、(メタ)アクリル酸エステル含量が15〜50重量%、一酸化炭素含量が3〜30重量%のエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)95〜70重量%とからなる組成物を過酸化物の存在下で動的に架橋することにより得られる樹脂組成物(B)を1〜50重量部の割合で配合してなる熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、ポリイソシアネート、高分子ポリオール及び鎖伸長剤の共重合により得ることができる。ポリイソシアネートとしては、例えば脂肪族、脂環族又は芳香族のジイソシアネートであり、とくに芳香族のジイソシアネートが好適である。より具体的にはヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートのような脂環族ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネートなどを例示することができる。これらの中では、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが最も好適である。
【0008】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーの原料となる高分子ポリオールとしては分子量が500〜8000、とくに600〜4000程度のポリエーテルポリオールあるいはポリエステルポリオールが好ましく用いられる。
【0009】
ポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコールなどを挙げることができるが、とくにポリオキシテトラメチレングリコールが好ましい。
【0010】
ポリエステルポリオールとしては、好ましくは脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとから誘導される脂肪族ポリエステルポリオールである。より具体的には両末端がジオール成分であるポリエチレンアジぺート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリテトラメチレンセバケート、ポリ(ヘキサメチレングリコール−1,6−カーボネート)などを例示することができる。
【0011】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーの製造に用いられる鎖伸長剤としては、分子量が400以下、好ましくは300以下のジオール類が好適である。具体的にはエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノールA、p−キシリレングリコールなどを例示することができる。
【0012】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーの製造に際しては、上記成分に加え、触媒、分子量調節剤等が必要に応じ適宜使用される。本発明においては、かくして得られる熱可塑性ポリウレタンエラストマーとして、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜50g/10分、とくに0.5〜40g/10分程度のものを使用するのが好ましく、またショアA硬度が80〜98程度のものを使用するのが好ましい。
【0013】
本発明においては前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーの低変形時の応力を低減させてゴムらしい風合いを付与し、また低剪断時の溶融粘度を上昇させることによって加工性を改善するために、(メタ)アクリル酸含量が5〜30重量%のエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)5〜30重量%と(メタ)アクリル酸エステル含量が15〜50重量%、一酸化炭素含量が3〜30重量%、好ましくは5〜20のエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)95〜70重量%とからなる組成物を過酸化物の存在下で動的に架橋して得られる樹脂組成物(B)を配合するものである。
【0014】
上記樹脂組成物(B)の調製に使用されるエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)は、(メタ)アクリル酸含量が5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%のエチレン共重合体であって、エチレンと(メタ)アクリル酸の2元共重合体のみならずさらに他の単量体が共重合された多元共重合体であってもよい。尚、本明細書において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味するものである。(メタ)アクリル酸含量が上記範囲を外れるような共重合体を使用した場合には、所望の改質効果を有する樹脂組成物(B)を得ることは難しい。共重合体(B−1)に共重合されていてもよい上記他の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステルなどを例示することができる。このような他の単量体は、例えば40重量%以下、好ましくは30重量%以下の割合で含有されていてもよい。
【0015】
エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)としてはまた、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)との動的架橋における加工性及び動的架橋物の物性を考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜500g/10分、とくに0.5〜100g/10分のものを使用するのが好ましい。
【0016】
本発明で使用されるエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)は、エチレン含量が40〜80重量%、好ましくは50〜70重量%、(メタ)アクリル酸エステル含量が15〜50重量%、好ましくは20〜40重量%、一酸化炭素が3〜30重量%、好ましくは5〜20重量%の共重合体である。このような重合組成の共重合体を使用することにより、熱可塑性ポリウレタンエラストマーに所望の改良効果をもたらす動的架橋物を形成することができる。上記共重合体における(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチルなどを例示することができる。
【0017】
エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)としてはまた、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜500g/10分、とくに0.5〜100g/10分のものを使用するのが好ましい。
【0018】
エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)及びエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)は、それぞれの原料モノマーを、ラジカル開始剤を用いて高温、高圧下で共重合することによって得ることができる。
【0019】
本発明においては、上記のようなエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)を5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%に対し、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)を95〜70重量%、好ましくは90〜75重量%となる割合で配合した組成物を過酸化物の存在下で動的に架橋したものが使用される。動的な架橋は、上記共重合体(A)及び(B)を、過酸化物とともに溶融状態で混練することによって行なわれる。
【0020】
上記目的に好適に使用される過酸化物は、有機過酸化物であって、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレラート、ジベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエートなどを代表例として挙げることができる。
【0021】
上記動的な架橋においては、共重合体(A)及び(B)の合計100重量部に対し、過酸化物を0.05〜2重量部程度、とくに0.1〜1.5重量部程度使用するのが好ましい。また動的架橋においては、過酸化物の分解温度によっても異なるが、100〜250℃、とくに120〜200℃の範囲で、0.5〜20分、とくに1〜10分程度混練を行うのが好ましい。動的架橋に使用される装置としては、一般の溶融混練装置であれば如何なるものでも使用することができるが、工業的には押出機を使用するのが有利である。
【0022】
このような動的架橋により共重合体(A)及び(B)が部分架橋された樹脂組成物(B)が得られる。この場合、架橋の程度が低すぎると、熱可塑性ポリウレタンエラストマーの機械強度や耐磨耗性等を損なう恐れがあり、また架橋が進みすぎると溶融流動性が損なわれて、熱可塑性ポリウレタンエラストマーと均一に混合させることが難しくなり、所望の効果を得ることが難しくなる。したがって部分架橋の程度として、メルトフローレート(190℃、2160g荷重で測定)の低下率が70%以上であることが好ましく、また同測定条件におけるメルトフローレートが、0.1〜50g/10分、とくに0.5〜40g/10分となるように調製することが好ましい。
【0023】
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)とエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)とエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)の動的架橋物である樹脂組成物(B)の配合割合は所望物性によっても異なるが、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)100重量部に対し、樹脂組成物(B)1〜50重量部、好ましくは5〜30重量部である。樹脂組成物(B)を適量配合することにより、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)の優れた特性、例えば透明性、機械強度、耐磨耗性、耐油性、耐屈曲性などをそれ程犠牲にすることなく、低変形時の応力を低下せしめ、また高剪断時は低粘度、低剪断時は高粘度に制御することにより加工性を改善することができる。
【0024】
本発明においては、このような基本配合をとる限りにおいて、種々の他の重合体や添加剤を使用目的に応じ任意の量で配合することができる。かかる他の重合体として例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ABS型樹脂、ポリオレフィン、ポリアセタール、ポリアミド、EPPMなどを例示することができる。また任意に配合可能な添加剤としては、ガラス繊維、酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カーボンブラックの如き無機充填剤、酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、可塑剤、抗菌剤、発泡剤などを例示することができる。
【0025】
本発明の熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物は、単軸押出機、二軸押出機、バンバリ−ミキサー、ロール、ニーダーなどを用いて熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)及びエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)とエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)の動的架橋物である樹脂組成物(B)及び必要により任意に配合される成分を溶融混練することによって調製することができる。このようにして得られる熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物は、透明性、機械強度、耐磨耗性、耐油性、耐屈曲性が優れ、低変形時の応力が小さくゴムらしい風合いがあり、また加工性に優れており、押出成形、射出成形、インサート成形、中空成形、プレス成形、真空成形などの各種成形方法によって、糸状物、フイルム、テープ、シート、チューブ、棒状物、管状物などの単純な形状の成形品から複雑な形状の成形品まで種々の形状の成形品を製造することができる。また各種成形品の被覆材として使用することができる。例えば衣料材料、産業資材、結束材料、医療材料、車両内装材、建築・土木資材、農業資材等の用途に好適に使用できる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。尚、実施例及び比較例において使用した原料、樹脂組成物及び物性評価方法は次の通りである。
【0027】
1.原料
(イ)熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)
TPU▲1▼:商品名:ミラクトランAX4F2011(日本ミラクトロン(株)製)
(ロ)エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)
酸共重合体▲1▼:エチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量20重量%、メルトフローレート60g/10分)
(ハ)エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)CO共重合体▲1▼:エチレン・アクリル酸nブチル・一酸化炭素共重合体(エチレン含量62重量%、アクリル酸nブチル含量30重量%、一酸化炭素含量8重量%、メルトフローレート8g/10分)
(ニ)その他ポリマー
EVA▲1▼:エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量46重量%、メルトフローレート2.5g/10分)
(ホ)過酸化物
過酸化物▲1▼:2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名:ルパゾール101、アトケム吉富(株)製)
【0028】
2.樹脂組成物
樹脂組成物▲1▼:L/D=35の二軸押出機(池貝(株)製)を用い、シリンダー温度120〜200℃、バレル温度200℃、スクリュー回転数150/分、押出量6kg/時、滞留時間90秒の条件で、酸共重合体▲1▼を20重量部、CO共重合体▲1▼を80重量部、過酸化物▲1▼を0.05重量部の割合で溶融混合して得たメルトフローレート1.6g/10分の樹脂組成物。
樹脂組成物▲2▼:CO共重合体▲1▼の代わりにEVA▲1▼を、また過酸化物▲1▼の使用量を0.2重量部に変えて樹脂組成物▲1▼と同様にして調製したメルトフローレート0.1g/10分の樹脂組成物。
樹脂組成物▲3▼:酸共重合体▲1▼20重量部とCO共重合体▲1▼80重量部の組成物
樹脂組成物▲4▼:酸共重合体▲1▼20重量部とEVA▲1▼80重量部の組成物
【0029】
3.物性評価方法
(イ)メルトフローレート(MFR):JIS K7210、190℃、2160g荷重にて測定した。
(ロ)硬度(ショアA):JIS K7215にしたがって測定した。
(ハ)引張試験:JIS K6301準拠
2mm厚3号ダンベル、引張速度500mm/分にて引張り、100%モジュラス、300%モジュラス、及び破断点伸び伸び破断点応力を測定した。
(ニ)キャピラリー粘度:キャピラリーレオメーター(東洋精機製作所(株)製、L/D=33.4、剪断速度15.8s−1〜5266s−1、温度180℃)を用いて溶融流動性を測定し、剪断速度5540s−1、277s−1、12.9s−1での見かけ溶融粘度を評価した。
(ホ)耐摩耗性:テーバー摩耗試験(CS−10摩耗輪、500g荷重、100回転)を行ない、プレスシート表面を目視で観察した。
○:全く傷が付かない。 ×:摩耗輪の跡がつく。
(ヘ)透明性:3mmのプレスシートを目視にて観察した。
透明:3mm厚シートを新聞紙上に置いたときに、文字を明確に判読することができる。
白濁:3mm厚シートを新聞紙上に置いたときに、文字を判読することができない。
【0030】
[実施例1]
TPU▲1▼90重量部及び樹脂組成物▲1▼重量部をタンブラーで予備ブレンドした後、上述の二軸押出機を用い、シリンダー温度120〜200℃、バレル温度200℃、スクリュー回転数150/分、押出量6kg/時、滞留時間90秒の条件で溶融押出しし、熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物を得、その評価を行なった。結果を表1に示す。
【0031】
[比較例1]
実施例1において、樹脂組成物▲1▼に代えて樹脂組成物▲2▼を使用した以外は実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物を得、その評価を行なった。結果を表1に示す。
【0032】
[比較例2]
実施例1において、樹脂組成物▲1▼に代えて樹脂組成物▲3▼を使用した以外は実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物を得、その評価を行なった。結果を表1に示す。
【0033】
[比較例3]
実施例1において、樹脂組成物▲1▼に代えて樹脂組成物▲4▼を使用した以外は実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物を得、その評価を行なった。結果を表1に示す。
【0034】
[比較例4]
TPU▲1▼の物性評価を行なった。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、熱可塑性ポリウレタンエラストマーの透明性や耐摩耗性を損なうことなく低変形時の応力を小さくし、また低剪断時の粘度を高めることが可能である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、低変形時の応力を低減させてゴムらしい風合いを付与し、また低剪断時の溶融粘度を上昇させることによって加工性を改良した熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、透明性、機械強度、耐磨耗性、耐油性、耐屈曲性などに優れているところから、種々の用途で使用されている。とくに原料の種類や重合比率などを適宜選択することにより、幅広い品質設計が可能である点に魅力がある。
【0003】
しかしながら熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、他の柔軟な熱可塑性プラスチックに比べ、低変形時の応力が大きいため、ゴム的な風合いが発現しがたいという問題があった。このため熱可塑性ポリウレタンエラストマーをより柔軟にする目的で液状可塑剤を添加する方法が知られているが、時間の経過と共に成形品表面にブリードアウトし、べた付きや汚れの原因となるため広く使用するまでには至っていなかった。高分子可塑剤を用いることによってこのようなブリードアウトの問題を解決することは可能であるが、既知の処方によれば熱可塑性ポリウレタンエラストマーの特長である耐磨耗性、透明性、機械強度などが損なわれるため、未だ満足すべき改良品が得られていないのが現状であった。
【0004】
さらに熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、融点付近の温度領域において温度変化に対する粘度の変動が大きく、押出加工やカレンダー成形時において加工機から出た直後に樹脂の垂れや変形が発生し易く、満足な成形品を得るためには非常に狭い温度範囲で加工する必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような現状に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、熱可塑性ポリウレタンエラストマーの有する優れた諸物性を実質的に損なうことなく低変形時の応力を小さくし、さらに高剪断時は低粘度、低剪断時は高粘度に制御することにより加工性を改善する処方を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)100重量部に対し、(メタ)アクリル酸含量が5〜30重量%のエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)5〜30重量%とエチレン含量40〜80重量%、(メタ)アクリル酸エステル含量が15〜50重量%、一酸化炭素含量が3〜30重量%のエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)95〜70重量%とからなる組成物を過酸化物の存在下で動的に架橋することにより得られる樹脂組成物(B)を1〜50重量部の割合で配合してなる熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、ポリイソシアネート、高分子ポリオール及び鎖伸長剤の共重合により得ることができる。ポリイソシアネートとしては、例えば脂肪族、脂環族又は芳香族のジイソシアネートであり、とくに芳香族のジイソシアネートが好適である。より具体的にはヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートのような脂環族ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネートなどを例示することができる。これらの中では、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが最も好適である。
【0008】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーの原料となる高分子ポリオールとしては分子量が500〜8000、とくに600〜4000程度のポリエーテルポリオールあるいはポリエステルポリオールが好ましく用いられる。
【0009】
ポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコールなどを挙げることができるが、とくにポリオキシテトラメチレングリコールが好ましい。
【0010】
ポリエステルポリオールとしては、好ましくは脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとから誘導される脂肪族ポリエステルポリオールである。より具体的には両末端がジオール成分であるポリエチレンアジぺート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリテトラメチレンセバケート、ポリ(ヘキサメチレングリコール−1,6−カーボネート)などを例示することができる。
【0011】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーの製造に用いられる鎖伸長剤としては、分子量が400以下、好ましくは300以下のジオール類が好適である。具体的にはエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノールA、p−キシリレングリコールなどを例示することができる。
【0012】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーの製造に際しては、上記成分に加え、触媒、分子量調節剤等が必要に応じ適宜使用される。本発明においては、かくして得られる熱可塑性ポリウレタンエラストマーとして、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜50g/10分、とくに0.5〜40g/10分程度のものを使用するのが好ましく、またショアA硬度が80〜98程度のものを使用するのが好ましい。
【0013】
本発明においては前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーの低変形時の応力を低減させてゴムらしい風合いを付与し、また低剪断時の溶融粘度を上昇させることによって加工性を改善するために、(メタ)アクリル酸含量が5〜30重量%のエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)5〜30重量%と(メタ)アクリル酸エステル含量が15〜50重量%、一酸化炭素含量が3〜30重量%、好ましくは5〜20のエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)95〜70重量%とからなる組成物を過酸化物の存在下で動的に架橋して得られる樹脂組成物(B)を配合するものである。
【0014】
上記樹脂組成物(B)の調製に使用されるエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)は、(メタ)アクリル酸含量が5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%のエチレン共重合体であって、エチレンと(メタ)アクリル酸の2元共重合体のみならずさらに他の単量体が共重合された多元共重合体であってもよい。尚、本明細書において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味するものである。(メタ)アクリル酸含量が上記範囲を外れるような共重合体を使用した場合には、所望の改質効果を有する樹脂組成物(B)を得ることは難しい。共重合体(B−1)に共重合されていてもよい上記他の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステルなどを例示することができる。このような他の単量体は、例えば40重量%以下、好ましくは30重量%以下の割合で含有されていてもよい。
【0015】
エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)としてはまた、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)との動的架橋における加工性及び動的架橋物の物性を考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜500g/10分、とくに0.5〜100g/10分のものを使用するのが好ましい。
【0016】
本発明で使用されるエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)は、エチレン含量が40〜80重量%、好ましくは50〜70重量%、(メタ)アクリル酸エステル含量が15〜50重量%、好ましくは20〜40重量%、一酸化炭素が3〜30重量%、好ましくは5〜20重量%の共重合体である。このような重合組成の共重合体を使用することにより、熱可塑性ポリウレタンエラストマーに所望の改良効果をもたらす動的架橋物を形成することができる。上記共重合体における(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチルなどを例示することができる。
【0017】
エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)としてはまた、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜500g/10分、とくに0.5〜100g/10分のものを使用するのが好ましい。
【0018】
エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)及びエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)は、それぞれの原料モノマーを、ラジカル開始剤を用いて高温、高圧下で共重合することによって得ることができる。
【0019】
本発明においては、上記のようなエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)を5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%に対し、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)を95〜70重量%、好ましくは90〜75重量%となる割合で配合した組成物を過酸化物の存在下で動的に架橋したものが使用される。動的な架橋は、上記共重合体(A)及び(B)を、過酸化物とともに溶融状態で混練することによって行なわれる。
【0020】
上記目的に好適に使用される過酸化物は、有機過酸化物であって、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレラート、ジベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエートなどを代表例として挙げることができる。
【0021】
上記動的な架橋においては、共重合体(A)及び(B)の合計100重量部に対し、過酸化物を0.05〜2重量部程度、とくに0.1〜1.5重量部程度使用するのが好ましい。また動的架橋においては、過酸化物の分解温度によっても異なるが、100〜250℃、とくに120〜200℃の範囲で、0.5〜20分、とくに1〜10分程度混練を行うのが好ましい。動的架橋に使用される装置としては、一般の溶融混練装置であれば如何なるものでも使用することができるが、工業的には押出機を使用するのが有利である。
【0022】
このような動的架橋により共重合体(A)及び(B)が部分架橋された樹脂組成物(B)が得られる。この場合、架橋の程度が低すぎると、熱可塑性ポリウレタンエラストマーの機械強度や耐磨耗性等を損なう恐れがあり、また架橋が進みすぎると溶融流動性が損なわれて、熱可塑性ポリウレタンエラストマーと均一に混合させることが難しくなり、所望の効果を得ることが難しくなる。したがって部分架橋の程度として、メルトフローレート(190℃、2160g荷重で測定)の低下率が70%以上であることが好ましく、また同測定条件におけるメルトフローレートが、0.1〜50g/10分、とくに0.5〜40g/10分となるように調製することが好ましい。
【0023】
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)とエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)とエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)の動的架橋物である樹脂組成物(B)の配合割合は所望物性によっても異なるが、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)100重量部に対し、樹脂組成物(B)1〜50重量部、好ましくは5〜30重量部である。樹脂組成物(B)を適量配合することにより、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)の優れた特性、例えば透明性、機械強度、耐磨耗性、耐油性、耐屈曲性などをそれ程犠牲にすることなく、低変形時の応力を低下せしめ、また高剪断時は低粘度、低剪断時は高粘度に制御することにより加工性を改善することができる。
【0024】
本発明においては、このような基本配合をとる限りにおいて、種々の他の重合体や添加剤を使用目的に応じ任意の量で配合することができる。かかる他の重合体として例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ABS型樹脂、ポリオレフィン、ポリアセタール、ポリアミド、EPPMなどを例示することができる。また任意に配合可能な添加剤としては、ガラス繊維、酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カーボンブラックの如き無機充填剤、酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、可塑剤、抗菌剤、発泡剤などを例示することができる。
【0025】
本発明の熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物は、単軸押出機、二軸押出機、バンバリ−ミキサー、ロール、ニーダーなどを用いて熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)及びエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)とエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)の動的架橋物である樹脂組成物(B)及び必要により任意に配合される成分を溶融混練することによって調製することができる。このようにして得られる熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物は、透明性、機械強度、耐磨耗性、耐油性、耐屈曲性が優れ、低変形時の応力が小さくゴムらしい風合いがあり、また加工性に優れており、押出成形、射出成形、インサート成形、中空成形、プレス成形、真空成形などの各種成形方法によって、糸状物、フイルム、テープ、シート、チューブ、棒状物、管状物などの単純な形状の成形品から複雑な形状の成形品まで種々の形状の成形品を製造することができる。また各種成形品の被覆材として使用することができる。例えば衣料材料、産業資材、結束材料、医療材料、車両内装材、建築・土木資材、農業資材等の用途に好適に使用できる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。尚、実施例及び比較例において使用した原料、樹脂組成物及び物性評価方法は次の通りである。
【0027】
1.原料
(イ)熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)
TPU▲1▼:商品名:ミラクトランAX4F2011(日本ミラクトロン(株)製)
(ロ)エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)
酸共重合体▲1▼:エチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量20重量%、メルトフローレート60g/10分)
(ハ)エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)CO共重合体▲1▼:エチレン・アクリル酸nブチル・一酸化炭素共重合体(エチレン含量62重量%、アクリル酸nブチル含量30重量%、一酸化炭素含量8重量%、メルトフローレート8g/10分)
(ニ)その他ポリマー
EVA▲1▼:エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量46重量%、メルトフローレート2.5g/10分)
(ホ)過酸化物
過酸化物▲1▼:2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名:ルパゾール101、アトケム吉富(株)製)
【0028】
2.樹脂組成物
樹脂組成物▲1▼:L/D=35の二軸押出機(池貝(株)製)を用い、シリンダー温度120〜200℃、バレル温度200℃、スクリュー回転数150/分、押出量6kg/時、滞留時間90秒の条件で、酸共重合体▲1▼を20重量部、CO共重合体▲1▼を80重量部、過酸化物▲1▼を0.05重量部の割合で溶融混合して得たメルトフローレート1.6g/10分の樹脂組成物。
樹脂組成物▲2▼:CO共重合体▲1▼の代わりにEVA▲1▼を、また過酸化物▲1▼の使用量を0.2重量部に変えて樹脂組成物▲1▼と同様にして調製したメルトフローレート0.1g/10分の樹脂組成物。
樹脂組成物▲3▼:酸共重合体▲1▼20重量部とCO共重合体▲1▼80重量部の組成物
樹脂組成物▲4▼:酸共重合体▲1▼20重量部とEVA▲1▼80重量部の組成物
【0029】
3.物性評価方法
(イ)メルトフローレート(MFR):JIS K7210、190℃、2160g荷重にて測定した。
(ロ)硬度(ショアA):JIS K7215にしたがって測定した。
(ハ)引張試験:JIS K6301準拠
2mm厚3号ダンベル、引張速度500mm/分にて引張り、100%モジュラス、300%モジュラス、及び破断点伸び伸び破断点応力を測定した。
(ニ)キャピラリー粘度:キャピラリーレオメーター(東洋精機製作所(株)製、L/D=33.4、剪断速度15.8s−1〜5266s−1、温度180℃)を用いて溶融流動性を測定し、剪断速度5540s−1、277s−1、12.9s−1での見かけ溶融粘度を評価した。
(ホ)耐摩耗性:テーバー摩耗試験(CS−10摩耗輪、500g荷重、100回転)を行ない、プレスシート表面を目視で観察した。
○:全く傷が付かない。 ×:摩耗輪の跡がつく。
(ヘ)透明性:3mmのプレスシートを目視にて観察した。
透明:3mm厚シートを新聞紙上に置いたときに、文字を明確に判読することができる。
白濁:3mm厚シートを新聞紙上に置いたときに、文字を判読することができない。
【0030】
[実施例1]
TPU▲1▼90重量部及び樹脂組成物▲1▼重量部をタンブラーで予備ブレンドした後、上述の二軸押出機を用い、シリンダー温度120〜200℃、バレル温度200℃、スクリュー回転数150/分、押出量6kg/時、滞留時間90秒の条件で溶融押出しし、熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物を得、その評価を行なった。結果を表1に示す。
【0031】
[比較例1]
実施例1において、樹脂組成物▲1▼に代えて樹脂組成物▲2▼を使用した以外は実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物を得、その評価を行なった。結果を表1に示す。
【0032】
[比較例2]
実施例1において、樹脂組成物▲1▼に代えて樹脂組成物▲3▼を使用した以外は実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物を得、その評価を行なった。結果を表1に示す。
【0033】
[比較例3]
実施例1において、樹脂組成物▲1▼に代えて樹脂組成物▲4▼を使用した以外は実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物を得、その評価を行なった。結果を表1に示す。
【0034】
[比較例4]
TPU▲1▼の物性評価を行なった。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、熱可塑性ポリウレタンエラストマーの透明性や耐摩耗性を損なうことなく低変形時の応力を小さくし、また低剪断時の粘度を高めることが可能である。
Claims (1)
- 熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)100重量部に対し、(メタ)アクリル酸含量が5〜30重量%のエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(B−1)5〜30重量%とエチレン含量40〜80重量%、(メタ)アクリル酸エステル含量が15〜50重量%、一酸化炭素含量が3〜30重量%のエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体(B−2)95〜70重量%とからなる組成物を過酸化物の存在下で動的に架橋して得られる樹脂組成物(B)を1〜50重量部の割合で配合してなる熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物。
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