JP3827989B2 - 消波式構造物の嵩上げ方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、岸壁、護岸、防波堤などの構造物の前壁部に、構造物内部の遊水室と連通する多数の開口部を備えている消波式構造物を嵩上げする消波式構造物の嵩上げ方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄筋コンクリート製の重力式岸壁が沈下した場合には、岸壁上にコンクリートを打設して岸壁を計画天端の高さまで嵩上げし、しかる後に、嵩上げ部分の後ろ側に裏埋め土砂を補充するなどの嵩上げ工法が採用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、岸壁の前壁部に、岸壁内部の遊水室と連通する多数の開口部を備えている消波式岸壁の場合は、消波機能を維持する必要があるために、開口部の高さや遊水室の高さも計画高さに嵩上げしなければならない。
【0004】
ところで、本発明者らは、先に、サヤ管ジョイント方式の嵩上げ方法を出願した。この嵩上げ方法は、図12に示すように、パネル状の頂版6を縁切り面8から切り離して取り外した後、頂版6の下面に設けられている前後2本の雄形ガイド材9に嵩上げ部15を取り付け、しかる後に、嵩上げ部15を装着した頂版6aを岸壁本体7に戻して消波式岸壁1の嵩上げを行う方法である。その際、頂版6aの雄形ガイド材9aは、スリット柱10に埋設されている鋼管11に挿入され、頂版6aの雄形ガイド材9bは、後壁面12を支えている角形鋼管製の鉛直梁13に挿入される。
【0005】
このサヤ管ジョイント方式は、嵩上げ時の施工が容易で、かつ、工期および 工費を低く抑えられるという点で優れているが、頂版6が岸壁本体7に結合されていないため、上向きの荷重に抵抗するのは、頂版6の自重のみであり、遊水室17内に作用する揚圧力が大きいと、抵抗することが困難になる。図中、16はスリット状の開口部を示している。
【0006】
揚圧力については、当初波高を0.5m程度に想定していたが、岸壁が完成するまでに来襲する波高さH1/3 は、1.8m(10年確率)であり、また、完成後でも、来襲する波高さH1/3 は、1.6(50年確率)であるため、当初想定していた値より遙に大きく、頂版6を岸壁本体7と結合する必要がある。
【0007】
本発明は、かかる観点からなされたものであり、その目的とするところは、波浪やけん引力などの外力に対して、より強固な嵩上げ方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は、次のように構成されている。
【0009】
すなわち、
(1) 遊水室を内蔵すると共に、遊水室に連通する多数の開口部を前壁部に有する構造物本体から該構造物本体上に装着されている頂版を取り外し、次に、構造物本体の縁切り面に突出している継手部を撤去し、そして、予め製作しておいた嵩上げユニットを構造物本体の縁切り面に継ぎ足し、しかる後に、嵩上げされた嵩上げユニット上に頂版を戻して嵩上げユニット側の継手部と頂版側の継手部とを締結具によって相互に結合することを特徴とする消波式構造物の嵩上げ方法。
【0010】
(2) 頂版上を覆っている舗装材の一部を剥がして継手部が埋まっている継手収容部の蓋を露出させ、しかる後に、蓋及び継手収容部内に充填されている砂を撤去する(1)記載の消波式構造物の嵩上げ方法。
【0011】
(3) 嵩上げユニットの補強材と、構造物本体内に立設されている補強材とを溶接やボルトなどの締結手段によって接合させる(1)記載の消波式構造物の嵩上げ方法。
【0012】
(4) 嵩上げユニットと構造物本体の接合部にモルタルなどの凝固材を注入する(1)記載の消波式構造物の嵩上げ方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の方法に従って消波式岸壁の嵩上げ工事を行っている様子を示す斜視図であるが、予め、図1を用いて消波式岸壁の構造について説明する。
【0015】
消波式岸壁1は、図示しない海岸線に沿って構築された重力式の細長い岸壁本体7の前壁部18に、岸壁本体内部の遊水室17と連通する多数の開口部(縦長のスリット状の通水部)16を備え、この開口部16と、隣接する2つの開口部16,16間にある細長い壁面部(以下、スリット柱と称する)10とによって波を分散させることで消波する構造になっている。
【0016】
遊水室17は、隔壁19によって所定の大きさに仕切られており、各遊水室17に対応する前壁部18には、同数(図の場合は、3個)の開口部16が設けられている。そして、岸壁本体7の上部には、所定の寸法及び形状に形成されたパネル状の頂版6が装着されている。
【0017】
図2に示すように、頂版6と岸壁本体7とは、頂版6側のヒンジ20と、岸壁本体7側のヒンジ21とを互いに噛み合わせ、一致した両方のピン孔にピン22を差し込むことで連結されている。頂版6側のヒンジ20は、頂版6に埋設されているH形鋼24aの両端に取り付けられ、岸壁本体7側のヒンジ21は、後壁部12に立設されているH形鋼24bの上端と、スリット柱10に立設されているH形鋼24cの上端とに、それぞれ、取り付けられている。
【0018】
頂版6は、図2及び図3に示すように、双方のヒンジ20,21を連結させる部分に継手収容部25を有している。継手収容部25は、その中に砂26を充填した後、蓋27で塞ぎ、最終的には、頂版6の上がアスファルトなどの舗装材28により舗装されている。符号29は、H形鋼24b,24cの根元に設けた嵌合部であり、モルタルによって形成されている。
【0019】
次に、この消波式岸壁の嵩上げ工事を工程順に説明する。
【0020】
先ず、図4に示すように、頂版6の上面を覆っている舗装材28の一部を剥がし(ハツり)、頂版6に装着されている蓋27を露出させる。そして、図5に示すように、頂版6の継手収容部25に装着されている蓋27と、継手収容部25内に充填されている砂26とを撤去する。
【0021】
次に、頂版6側のヒンジ20と岸壁本体7側のヒンジ21とを結合しているピン22を引き抜いて頂版6と岸壁本体7との結合を解除してから、図示しないクレーンを用いて、図6に示すように、頂版6を岸壁本体7から取り外す。
【0022】
それから、図7に示すように、岸壁本体7の後壁部12及びスリット柱10の縁切り面8より上方に突出しているヒンジ21を切断して撤去する。
【0023】
次に、図8に示すように、予め製作しておいた嵩上げユニット30aを、後壁部12のH形鋼24b及びスリット柱10のH形鋼24c上に建て込み、嵩上げユニット30aのH形鋼31bと後壁部12のH形鋼24bとを溶接又はボルトなどの締結手段により接合(結合)させ、更に、嵩上げユニット30aのH形鋼31cとスリット柱10のH形鋼24cとを溶接又はボルトなどの締結手段により接合(結合)させる。これと同様の方法でスリット柱10のH形鋼24c上に嵩上げユニット30cを建て、後壁部12のH形鋼24b上に嵩上げユニット30bを建てる。
【0024】
図1に示すように、隔壁19上に建て込む嵩上げユニット30aは、平面視I字形に形成され、スリット柱10上に建て込む嵩上げユニット30cは、スリット柱10と同じ断面形状に形成され、後壁部12上に建て込む嵩上げユニット30bは、隣接する嵩上げユニット30aの隙間を埋めるに足る長さを有している。
【0025】
次に、図9に示すように、嵩上げユニット30aと隔壁19の接合部に型枠32を建て、その中にノズル34からモルタル33を注入する。スリット柱10上に建てた嵩上げユニット30c及び後壁部12上に建てた嵩上げユニット30bの接合部についても同様にモルタル33を注入する。
【0026】
モルタル33の凝固後、図10に示すように、嵩上げユニット30上に頂版6を戻し、頂版6側のヒンジ20と、嵩上げユニット30側のヒンジ29とをピン22によって連結させる。そして、図11に示すように、頂版6の継手収容部25内に砂26を詰めて蓋27をし、最後に、除去した(ハツった)舗装箇所を舗装材28で再舗装する。
【0027】
以上の説明では、消波式岸壁を嵩上げする場合について説明したが、この発明は、護岸や防波堤などの消波式構造物の嵩上げに適用することができる。また、頂版側のヒンジと、岸壁本体側のヒンジとは、ピンの代わりにボルトなどの締結手段によって結合させてもよい。
【0028】
【発明の効果】
上記のように、本発明は、遊水室を内蔵すると共に、遊水室に連通する多数の開口部を前壁部に有する構造物本体から該構造物本体上に装着されている頂版を取り外し、次に、構造物本体の縁切り面に突出している継手部を撤去し、そして、予め製作しておいた嵩上げユニットを構造物本体の縁切り面に継ぎ足し、しかる後に、嵩上げされた嵩上げユニット上に頂版を戻して嵩上げユニット側の継手部と頂版側の継手部とを締結具によって相互に結合させたので、消波機能を維持しながら、構造物の嵩上げを容易に行うことが可能になった。
【0029】
また、本発明によれば、構造物本体と嵩上げユニットとが溶接又はボルトなどの締結手段によって接合(結合)され、更に、嵩上げユニットと頂版とがピンやボルトなどの締結手段によって結合されているので、波浪やけん引力などの外力に対して強固なものとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に従って消波式岸壁の嵩上げ工事を行っている様子を示す斜視図である。
【図2】消波式岸壁の横断面図である。
【図3】図2のA−A′矢視図である。
【図4】舗装材の一部を剥離した図である。
【図5】継手収容部から蓋及び砂を撤去した図である。
【図6】構造部から頂部を取り外した図である。
【図7】構造部本体のヒンジを撤去した図である。
【図8】構造部本体上に嵩上げユニットを建て込んだ図である。
【図9】構造部本体と嵩上げユニットの接合部にモルタルを注入する図である。
【図10】構造部本体側のヒンジと嵩上げユニット側のヒンジとを結合させた図である。
【図11】継手収容部に修復した図である。
【図12】従来の嵩上げ方法の説明図である。
【符号の説明】
6 頂版
7 構造物本体
8 構造物本体の縁切り面
16 開口部
17 遊水室
18 前壁部
20 頂版側の継手部
21 縁切り面に突出している継手部
22 締結具
29 嵩上げユニット側の継手部
30 嵩上げユニット
Claims (4)
- 遊水室を内蔵すると共に、遊水室に連通する多数の開口部を前壁部に有する構造物本体から該構造物本体上に装着されている頂版を取り外し、次に、構造物本体の縁切り面に突出している継手部を撤去し、そして、予め製作しておいた嵩上げユニットを構造物本体の縁切り面に継ぎ足し、しかる後に、嵩上げされた嵩上げユニット上に頂版を戻して嵩上げユニット側の継手部と頂版側の継手部とを締結具によって相互に結合することを特徴とする消波式構造物の嵩上げ方法。
- 頂版上を覆っている舗装材の一部を剥がして継手部が埋まっている継手収容部の蓋を露出させ、しかる後に、蓋及び継手収容部内に充填されている砂を撤去する請求項1記載の消波式構造物の嵩上げ方法。
- 嵩上げユニットの補強材と、構造物本体内に立設されている補強材とを溶接やボルトなどの締結手段によって接合させる請求項1記載の消波式構造物の嵩上げ方法。
- 嵩上げユニットと構造物本体の接合部にモルタルなどの凝固材を注入する請求項1記載の消波式構造物の嵩上げ方法。
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