JP3826532B2 - プラスチック熱分解装置の熱分解残渣抜出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は廃プラスチックを熱分解して油を回収する廃プラスチック油化システムにおいて用いるプラスチック熱分解装置の熱分解残渣抜出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
廃プラスチックの処理方法としては、従来では埋め立て処分という方法が採られていたが、近年、再資源化できるものは再利用できるようにするという方向にあり、かかる観点から、廃プラスチックのうち、フィルム状のものやビニール袋、トレー、ポリエチレン系のボトル等については、これらから油を回収して再利用するようにしている。
【0003】
上記廃プラスチックから油の回収を行う廃プラスチック油化システムでは、図2にその一例の概略を示す如きプラスチック熱分解装置1が用いられている。すなわち、燃焼炉2で発生させた燃焼ガス3が導かれるようにしてある加熱室4内に、熱分解槽5を設置し、且つ該熱分解槽5内の底部に、上蓋6上に設置したモータ7の駆動により回転させられるようにした撹拌羽根8を位置させた構成としてあり、破砕機9で破砕された後、供給機10により熱分解槽5内に供給された廃プラスチック11を、撹拌羽根8で撹拌しながら400〜430℃の温度で均一に加熱して溶融プラスチック11aとした後、更に熱分解してガス化し、この熱分解により発生した熱分解ガス11bをガス排出管12を通して油回収装置13に送り、該油回収装置13において冷却して、再利用できる油14として回収させるようにしてある。15は撹拌羽根8の回転軸を示す。
【0004】
上記プラスチック熱分解装置1において、熱分解槽5内には、廃プラスチック11の供給時に混入した異物やプラスチックがガス化せず残ったカーボンが熱分解残渣11cとして蓄積してくるので、該熱分解残渣11cを熱分解槽5内から取り除く必要がある。しかし、該熱分解槽5内で加熱されて溶融したプラスチック11aの中から熱分解残渣11cのみを取り出すことは困難である。
【0005】
そのため、従来では、上記熱分解槽5より熱分解残渣11cを定期的に取り除くために、たとえば、熱分解装置1を日中のみの運転を行うバッチ式として、熱分解槽5内の溶融プラスチック11aをすべてガス化させて熱分解ガス11bとして取り出した後、熱分解槽5内の底部に堆積するようにして残る熱分解残渣11cを撹拌羽根8で掻き取って粉末にし、これを上方から吸引除去するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、プラスチック熱分解装置1の運転をバッチ式として熱分解残渣11cの除去作業を行う方式では、熱分解槽5への廃プラスチック11の供給を連続的に行うことができないので、熱効率が低いものとなるという問題がある。
【0007】
因に、図3に示す如く、熱分解槽5の底部をホッパ状に形成して、その下端に排出口16を設けると共に、該排出口16にバルブ17を設けた構成として、熱分解残渣11cが蓄積してきた際には上記バルブ17を開いて排出口16より溶融プラスチック11aと共に熱分解残渣11cを抜き出すようにした型式もあるが、この型式の場合には、熱分解残渣11cと共に溶融プラスチック11aも排出されてしまうため、油14の回収率が低くなり、更に、熱分解ガス11bにエアが混入することを防ぐために排出口16をシールしているバルブ17に異物がかみこんで、該バルブ17のシール性が低下するという問題もある。
【0008】
そこで、本発明は、油の回収率を低下させることなく熱分解残渣の連続抜き出しを可能として、長時間の連続運転を行うことができるようなプラスチック熱分解装置の熱分解残渣抜出装置を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、加熱室内に配置した熱分解槽内に廃プラスチックを供給し、該廃プラスチックを溶融させた後、熱分解ガス化して取り出すようにしてある廃プラスチック熱分解装置の上記熱分解槽の底部に、熱分解残渣抜出口を設け、該熱分解残渣抜出口に、上記加熱室の底部を上下方向に貫通させるように配置した縦軸スクリューコンベヤの上端部を、該上端部にて越流堰が形成されるように連通接続し、且つ該縦軸スクリューコンベヤの下端に、水平に配した横軸スクリューコンベヤを連設し、更に、該横軸スクリューコンベヤの排出口よりも上流位置を、マテリアルシールを形成するためのテーパ部とした構成とする。
【0010】
熱分解槽内で熱分解残渣の量が一定レベルよりも高くなると、該熱分解残渣は溶融プラスチックが一部混在している状態のまま越流堰をオーバーフローして縦軸スクリューコンベヤ内に流入させられ、下方へ搬送されるが、この際、縦軸スクリューコンベヤは加熱室により加熱を受けているため、溶融プラスチックは熱分解されることによりガス化されて上方へ抜かれることになる。一方、縦軸スクリューコンベヤ内に残された熱分解残渣は、横軸スクリューコンベヤ内に移されて排出口から連続的に排出されるが、搬送される途中で、マテリアルシールが形成されるので、外部からのエアの侵入が防止される。
【0011】
又、横軸スクリューコンベヤを構成する円筒状ケーシングの排出口よりも更に下流位置に掻き取り羽根を設け、押し出された熱分解残渣を掻き取れるようにした構成とすることにより、排出口部に達した熱分解残渣に、強制排出力が与えられるので、排出口部での熱分解残渣の詰まりが防止される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1(イ)(ロ)は本発明の実施の一形態を示すもので、図2に示したと同様な構成としてあるプラスチック熱分解装置1において、撹拌羽根8の回転軸15の延長線上の位置となる熱分解槽5の底部中心位置に、熱分解残渣抜出口19を設け、上端を入口20とし下端を出口21として上下方向に配置した円筒状のケーシング22内に、回転軸23を縦軸としたスクリュー24を収納させてなる縦軸スクリューコンベヤ25を、加熱室4の底部を上下方向に貫通させて上記熱分解残渣抜出口19に、上端が熱分解槽5の内側へ所要高さ突出して越流堰26が形成されるように接続すると共に、該縦軸スクリューコンベヤ25の回転軸23の上端を、撹拌羽根8の回転軸15の下端に一体連結し、モータ7の駆動による撹拌羽根8の回転により縦軸スクリューコンベヤ25が駆動されるようにして、熱分解槽5内の溶融プラスチック11aを含む熱分解残渣11cが上記越流堰26をオーバーフローして縦軸スクリューコンベヤ25内に流入させられるようにする。なお、撹拌羽根8の下端部中心位置付近は、縦軸スクリューコンベヤ25の上端部の堰26と干渉しないように切り欠いてある。
【0014】
又、上記加熱室4の底部位置を所要量下げて、縦軸スクリューコンベヤ25の上半部が燃焼ガス3によって加熱されるようにして、縦軸スクリューコンベヤ25内で溶融プラスチック11aの熱分解が行われて、熱分解ガス11bが上方へ抜かれるようにする。
【0015】
更に、両端を閉塞して水平方向に配置した円筒状のケーシング27内に、外部のモータ28により駆動される回転軸29を横軸としたスクリュー30を収納させ、且つ上記ケーシング27の長手方向の一端部上側に導入口31を有すると共に他端部下側に排出口32を有してなる横軸スクリューコンベヤ33を、上記導入口31が縦軸スクリューコンベヤ25の出口21と連通するように縦軸スクリューコンベヤ25に直角に連設し、縦軸スクリューコンベヤ25内で熱分解ガス11bが抜けた後の熱分解残渣11cを横軸スクリューコンベヤ33内に導いて排出口32から排出させられるようにする。
【0016】
又、上記横軸スクリューコンベヤ33は、排出口32に近接する上流部位に、ケーシング27及びスクリュー30を排出口32側へ向けて細くなるようにしたテーパ部34を設けて、排出される熱分解残渣11cによるマテリアルシールが形成されるようにしてあり、更に、上記ケーシング27の排出口32よりも更に下流側位置に、掻き取り羽根35をスクリュー30と同軸上に取り付け、排出口32部に搬送されてきた熱分解残渣11cに強制排出力が与えられるようにしてある。
【0017】
18は横軸スクリューコンベヤ33の回転軸29を支承する軸受を示す。
【0018】
図1(イ)において図2と同一部分には同一符号が付してある。
【0019】
供給機10により熱分解槽5内に供給された廃プラスチック11は、撹拌羽根8で撹拌されながら該熱分解槽5内で加熱されることにより溶融プラスチック11aとなり、更に加熱されることにより次第に熱分解されてガス化され、残りが熱分解残渣11cとなる。
【0020】
上記の状態において、供給機10により熱分解槽5内に廃プラスチック11が連続的に供給されると、廃プラスチック11は溶融ガス化され、熱分解残渣11cの量が増えてくるので、その一部が溶融プラスチック11aを混入した状態で縦軸スクリューコンベヤ25上端部の越流堰26をオーバーフローして縦軸スクリューコンベヤ25内に流入させられる。溶融プラスチック11aが混在している状態の熱分解残渣11cは、モータ7の駆動により回転させられている撹拌羽根8と一体に回転駆動されるスクリュー24によりゆっくりと下方へ搬送される。この際、縦軸スクリューコンベヤ25の上半部は加熱室4の下部位置で燃焼ガス3による加熱を受けるので、溶融プラスチック11aは熱分解されてガス化されることにより上方に抜かれ、熱分解槽5内で発生した熱分解ガス11bと共にガス排出管12を通って下流の油回収装置13へと送られる。
【0021】
一方、熱分解ガス11bが抜かれた後に残る熱分解残渣11c、すなわち、溶融プラスチック11aと分離された熱分解残渣11cは、縦軸スクリューコンベヤ25の下端出口21から横軸スクリューコンベヤ33へと移送され、モータ28により回転駆動されるスクリュー30により排出口32へ向け搬送されて連続的に排出される。この際、図1(ロ)に示す如く、排出口32へ向けて搬送される熱分解残渣11cは、排出口32の手前の位置に形成されているテーパ部34を通過するときに圧縮力を受けるので、マテリアルシールを形成させることができ、したがって、外部のエアが侵入することがなくて熱分解ガス11bが発火するようなこともない。又、排出口32の更に下流側位置には、掻き取り羽根35があるため、強制排出力を与えることができることにより、排出口32部での熱分解残渣11cの詰まりを確実に防止することができる。
【0022】
このように、熱分解槽5に廃プラスチック11を連続して供給し、縦軸スクリューコンベヤ25の上部側で溶融プラスチック11aをガス化することにより熱分解残渣11cのみを抜き出すことができるので、プラスチック熱分解装置1を長時間にわたって連続運転することができて、熱効率を高いものとすることができる。
【0023】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明のプラスチック熱分解装置の熱分解残渣抜出装置によれば、次の如き優れた効果を発揮する。
(1) 加熱室内に配置した熱分解槽内に廃プラスチックを供給し、該廃プラスチックを溶融させた後、熱分解ガス化して取り出すようにしてある廃プラスチック熱分解装置の上記熱分解槽の底部に、熱分解残渣抜出口を設け、該熱分解残渣抜出口に、上記加熱室の底部を上下方向に貫通させるように配置した縦軸スクリューコンベヤの上端部を、該上端部にて越流堰が形成されるように連通接続し、且つ該縦軸スクリューコンベヤの下端に、水平に配した横軸スクリューコンベヤを連設し、更に、該横軸スクリューコンベヤの排出口よりも上流位置を、マテリアルシールを形成するためのテーパ部とした構成としてあるので、熱分解槽に供給されて溶融したプラスチックと共に熱分解残渣を縦軸スクリューコンベヤの中へとオーバーフローさせ、該縦軸スクリューコンベヤの上部側においてプラスチックをすべてガス化させることで連続的にプラスチックを熱分解ガスとして熱分解残渣と分離することができ、したがって、油の回収率を低下させることなく熱分解残渣を連続的に熱分解槽の中から抜き出すことができることにより、プラスチック熱分解装置を長時間連続して稼動させることができ、又、横軸スクリューコンベヤのテーパ部で熱分解残渣を圧縮してマテリアルシールを形成させることができることにより、排出口より熱分解槽側へのエアの侵入を防止することができる。
(2) 横軸スクリューコンベヤを構成する円筒状ケーシングの排出口よりも更に下流位置に掻き取り羽根を設けることにより、排出口部に達した熱分解残渣に強制排出力を与えることができるので、排出口部での熱分解残渣の詰まりを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラスチック熱分解装置の熱分解残渣抜出装置の実施の一形態を示すもので、(イ)は一部切断概略正面図、(ロ)は(イ)のA部の拡大断面図である。
【図2】従来の廃棄プラスチック油化システムで用いられているプラスチック熱分解装置の一例を示す概略図である。
【図3】従来の廃棄プラスチック油化システムのプラスチック熱分解装置の他の例を示す一部切断概略正面図である。
【符号の説明】
4 加熱室
5 熱分解槽
11 廃プラスチック
11a 溶融プラスチック
11b 熱分解ガス
11c 熱分解残渣
19 熱分解残渣抜出口
25 縦軸スクリューコンベヤ
27 ケーシング
30 スクリュー
32 排出口
33 横軸スクリューコンベヤ
34 テーパ部
35 掻き取り羽根
Claims (2)
- 加熱室内に配置した熱分解槽内に廃プラスチックを供給し、該廃プラスチックを溶融させた後、熱分解ガス化して取り出すようにしてある廃プラスチック熱分解装置の上記熱分解槽の底部に、熱分解残渣抜出口を設け、該熱分解残渣抜出口に、上記加熱室の底部を上下方向に貫通させるように配置した縦軸スクリューコンベヤの上端部を、該上端部にて越流堰が形成されるように連通接続し、且つ該縦軸スクリューコンベヤの下端に、水平に配した横軸スクリューコンベヤを連設し、更に、該横軸スクリューコンベヤの排出口よりも上流位置を、マテリアルシールを形成するためのテーパ部とした構成を有することを特徴とするプラスチック熱分解装置の熱分解残渣抜出装置。
- 横軸スクリューコンベヤを構成する円筒状ケーシングの排出口よりも更に下流位置に掻き取り羽根を設け、押し出された残渣を掻き取れるようにした請求項1記載のプラスチック熱分解装置の熱分解残渣抜出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36905297A JP3826532B2 (ja) | 1997-12-27 | 1997-12-27 | プラスチック熱分解装置の熱分解残渣抜出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP36905297A JP3826532B2 (ja) | 1997-12-27 | 1997-12-27 | プラスチック熱分解装置の熱分解残渣抜出装置 |
Publications (2)
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JPH11193384A JPH11193384A (ja) | 1999-07-21 |
JP3826532B2 true JP3826532B2 (ja) | 2006-09-27 |
Family
ID=18493442
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP36905297A Expired - Lifetime JP3826532B2 (ja) | 1997-12-27 | 1997-12-27 | プラスチック熱分解装置の熱分解残渣抜出装置 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7178680B1 (ja) * | 2022-05-16 | 2022-11-28 | 環境エネルギー株式会社 | 連続式有機物熱分解方法 |
-
1997
- 1997-12-27 JP JP36905297A patent/JP3826532B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH11193384A (ja) | 1999-07-21 |
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