JP3826221B2 - 真空太陽熱収集装置の製造方法及びその製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高真空に保持された平板式の真空太陽熱収集装置の製造方法及びその製造装置に関するもので、特に同じ真空炉内でベーキング処理と真空封止を行うようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、真空太陽熱収集装置としては、高真空に保たれたガラス二重管式のものと、平板式の構造で、筐体の内部にクリプトンのような熱伝導の悪いガスを充満させて、低真空でありながら高真空に近い性能を発揮させる形式のものとがあった。
【0003】
しかし、内部を1パスカル以下の高真空に長期に亙って保ち、金属筐体(以下筐体と言う)と窓ガラスを用いて構成した平板式の真空太陽熱収集装置は、高効率で、理論的性能が良いのにも拘わらず、製造コストが高いという理由で製造されていなかった。
このため、平板式の真空太陽熱収集装置が市場に存在しなったのであるが、勿論、それを安く大量に作る技術は開発されていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
高真空を長期に亙って維持する真空太陽熱収集装置を得るには、二つの技術を必要とする。
一つは真空封止をできるだけ完全にして、空気の漏れ量を極力少なくすることと、他の一つは装置の壁から放出される気体の量を極力少なくすることである。
真空太陽熱収集装置の大量生産において、上記した二つの技術をできるだけ低いコストで実現する手段を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、内部に太陽光の熱を受ける吸熱板を有する真空太陽熱収集装置の製造方法であって、ガラスより大きい線膨張係数を有する金属材料で形成された筐体と、周縁部に接着用金属を備え、筐体の縁辺部にはめ込まれる窓ガラスとを準備し、筐体及び窓ガラスを真空炉の中に収容し、加熱してベーキング処理を行い、ベーキング処理に連続して接着用金属の溶融温度より高い温度に加熱して接着用金属を溶融させ、その後、加熱を止めて冷却させ、接着用金属を凝固させると共に筐体の収縮力により筐体と窓ガラスとを真空封止するようにしたものである。
【0006】
真空封止する筐体と窓ガラスの吸蔵気体を減らすために、通常行われているように、筐体と窓ガラスを真空炉に入れ、その真空雰囲気中で高温で、長時間のベーキング処理を行う。この時、筐体と窓ガラスとを水平に支持し、且つ両者の間に数mm〜数cmの隙間があるようにして真空ポンプの吸引作用が筐体の内部にまで行き届くようにする。
真空炉内には、筐体と窓ガラスを収容するための手段を設ける。
筐体を収容し、筐体の上端より数mm〜数cm上の位置に窓ガラスを水平に支持し、筐体と窓ガラスとの間に隙間を作り、筐体内部の空気の吸引を容易にする。
【0007】
ベーキングのために、筐体の温度を上げるには、真空炉全体を外部から熱風或いは電熱等の熱源によって加熱し、高温になった炉壁からの放射によって筐体に熱を与えるか、他の手段として筐体に電熱を加えて温度を上げるかの二つの方法がある。
前者の方法は熱源に石油やガスを利用できる利点があるが、後者の方法は熱源に電気以外は使えない。しかし前者は筐体以外に真空炉全体を暖めなければならないのに対し、後者の方法は筐体と真空炉の炉壁との間は真空で断熱されているので、炉壁の内面の反射率を高くしておくことによって、炉壁の温度を殆ど上げることなく、筐体の温度を上げることができる。
【0008】
また真空炉の中は、通常0.01パスカル以下の真空にされているから、この中では、熱伝導は自由分子条件下での熱伝導になるので、いわゆる超絶縁現象を利用できる。
これを利用して、真空炉の炉壁と加熱器との間に金属の反射面を有する遮蔽板を数枚挿入することによって、熱せられた筐体から逃げる熱量を何分の一かに減らすことができる。これによって筐体を熱するためのエネルギーを節約でき、その結果、真空炉全体の温度を殆ど上げることなく、筐体の温度だけを上げることができる。
【0009】
真空炉の温度を上げなくても済むと言うことは、筐体の出し入れのための真空炉の蓋を真空封止しているガスケットに、高温では使えないゴムやバイトンのような使いやすいガスケットを用いることができるという大きな利点がある。
【0010】
大量生産のためには、一つの真空炉の中に多数の水平な熱伝導の良い、且つ放射率の高い材料で構成した棚を設けて、多数個の真空太陽熱収集装置を収納し、1回のベーキングで大量の真空太陽熱収集装置のベーキング処理を行う。
長時間のベーキングが終了したら、筐体の温度を更に上げて、窓ガラスを支えている金属の融点より温度を上げて溶融し、窓ガラスを筐体の縁辺部に落とし込む。この時、窓ガラスの周縁部と筐体の上縁部との間に数mmの隙間を設けておけば、その間に窓ガラスと共に接着用金属をその隙間に入れることができる。
【0011】
窓ガラスを支持している金属と接着用金属が異なる金属材料の場合は、その後、筐体の温度を、窓ガラスの周縁部に設けた接着用金属の溶融温度より更に高い温度にまで上げて接着用金属を溶融させる。その後、筐体の加熱を止めて冷却し、真空炉内の筐体の温度を常温にまで下げる。
【0012】
その温度低下の過程で溶融した接着用金属は凝固し、窓ガラスと筐体との間を隙間なく埋める。凝固した接着用金属に強い接着用圧力を掛けるために、筐体の線膨張係数をガラスの線膨張係数より大きく選んでおく。
そうすると接着用金属が凝固した後の温度低下に従って、筐体の方が窓ガラスより縮み代が大きいために、筐体がその収縮力によって、接着用金属を窓ガラスに強い力で圧着するようになり、筐体と窓ガラスの真空封止が完成する。
この作業は0.01パスカル以下位の真空中で行われるので、接着用金属が凝固するまでに、それが酸化することが防がれ、また窓ガラスや筐体の表面の汚染も防止され、接着用金属内部に空洞(ボイド)が形成されることも無く、接着が完全に行われる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施形態を示す図で、(a)は断面図、(b)は平面図である。
図1において、1は真空炉の本体、2は真空炉の蓋、3は真空炉内に設けられた支柱、4は電気による加熱器で例えば電熱器、5は真空太陽熱収集装置の筐体、6は筐体5の内部に収容された太陽光の熱を受ける吸熱板、7は窓ガラス、8は接着用金属、9は窓ガラス7を支える支持金属、10は支持金属9を支える支持棒、11は真空炉内部の気体を排気する吸引口、12は電熱器4への給電用の電線、13は電線12を真空炉内に入れるハーメチックシール端子、14は本体1と蓋2との間に置かれる真空保持用のガスケットである。
【0014】
真空炉の本体1は大気圧に耐えるために側壁は円筒状になっており、底板は平板状或いは谷状に形成されている。蓋2は平板状或いは山状に形成され、中央近辺に気体の吸引口11を持っている。本体1及び蓋2は例えばステンレス鋼で形成される。
真空太陽熱収集装置は、例えば円形の場合で直径を1m程にすると、真空炉の本体1はそれが入るだけの大きさ、例えば直径が約1.5mくらい必要である。
【0015】
支柱3は真空炉の本体1内に筐体5と窓ガラス7とを収容する手段で、支柱に限らず、棚などでも良い。
電熱器4はその上に筐体5が密着して直に載せられるように構成され、また電熱器4の代わりに赤外線や電磁誘導による加熱器等を使用することもできる。
【0016】
接着用金属8は筐体5と窓ガラス7を接着するためのもので、窓ガラス7の周縁部全体に巻きつけるように備えられ、その下部には窓ガラス7を支持する複数例えば4個の爪15が設けられている。
接着用金属8としては、高温度でのベーキングができるので、400℃を超える融点を持つ金属が適当であり、例えば融点420℃の亜鉛などが推奨される。
【0017】
支持金属9は接着用金属8の上部に接続され、支持棒10に引っかけたりして取り付けられることにより、窓ガラス7を吊り下げて支持し、筐体5の縁辺部16の上方数cmに窓ガラス7を配置する。
支持金属9としては、筐体5及び窓ガラス7のベーキング温度より溶融温度が高いことが必要で、接着用金属8と同じ材料でも別の材料でも良い。
また、電気抵抗が高い鉄線で形成し、この鉄線の電力を供給できるように構成しても良い。
【0018】
支持棒10は2本を十字状に形成し、本体1の側壁に設けた突起等に支持されている。窓ガラス7を吊り下げることができれば良いので、曲げ強度のある材料例えば鉄棒等で形成される。
なお、支持棒10を使用せずに、支持金属9を蓋2に結合しても良い。また量産するときには、積み重ねた上の棚3の下面に支持金属9を結合させても良い。
【0019】
真空太陽熱収集装置は、主として筐体5と、筐体5内に収容され、図示してない支柱等により筐体5に支持された平板の吸熱板6と、筐体5の上部に蓋をする窓ガラス7とで構成されている。
筐体5はガラスより大きい線膨張係数を有する金属材料から成る1枚の金属板を加工して扁平な円形状又は多角形状の皿型容器に形成されており、真空保持能力が非常に高くなるように構成されている。
筐体5の上部には、縁辺部16と上縁部17が形成されている。縁辺部16と上縁部17は窓ガラス7の受け部も構成するが、縁辺部16は筐体5の剛性を増す作用もある。
【0020】
また図示してないが、筐体5には、大気圧を支えるための手段、収集した太陽熱を取り出すための熱媒体を入れるパイプ、このパイプに熱媒体を送り込む入力パイプ、熱せられた熱媒体を外へ出す出力パイプ等が設けられている。
入力パイプ及び出力パイプは筐体5から外部に飛び出していることは勿論である。
【0021】
次に、本発明によって真空太陽熱収集装置を製造する工程について説明する。先ず、真空太陽熱収集装置を構成する内部に吸熱板6を有する筐体5と、周縁部に接着用金属を備え、筐体5の縁辺部16にはめ込まれる窓ガラス7とを準備する。
筐体5及び窓ガラス7を真空炉の本体1の内部に収容し、支持金属9を支持棒10に結合して窓ガラス7を筐体5の縁辺部16の上方に配置し、蓋2を閉める。
その後、吸引口11から図示してない真空ポンプによって真空炉内の空気は0.01パスカル以下になるまで排気される。一般にはそのまま0.01パスカル以下に保持される。この間真空炉内の温度は常温に保たれる。
【0022】
十分に真空炉内の真空度が上がると、その後に電線12を通して電熱器4に通電され、筐体5の温度を上昇させる。
真空度が上がってから、加熱するのは真空太陽熱収集装置に使用する金属の酸化を防ぐためである。また、加熱するのは、筐体5や窓ガラス7が吸蔵しているガスを追い出すためで、いわゆるベーキング処理のためである。
筐体5の温度が上昇すると、それから放射される放射熱或いは熱伝導によって窓ガラス7の温度も上昇する。周知のようにガラスは赤外線の吸収率が良いので、数100℃に達した筐体5から発せられる数ミクロンの赤外線をよく吸収する。
【0023】
真空炉内の真空度を上げるとき、筐体5と窓ガラス7との間には数cmの隙間を設けて置いて、筐体5内の空気がその隙間から抜け出して、吸引口11から外部に吸引され、筐体5内が真空になるようにする。
真空炉を高真空に保ち且つ高温度にすると効率良く吸蔵ガスが追い出される。ベーキング温度としては250℃〜400℃が推奨される。
【0024】
ベーキング処理が十分に、例えば24時間くらい行われた後に、窓ガラス7を筐体5の上部の縁辺部16に落とし込む。
この落とし込む作業のやり方には次に述べるように幾つかの方法がある。
その一つは図1に示したように、窓ガラス7の周縁部全体を接着用金属8で巻きつけるようにして支え、その接着用金属8に接続した支持金属9を支持棒10に結合して、間接的に窓ガラス7を支える。
【0025】
ベーキングが終わると、真空炉内の温度をベーキング温度より更に上げて、支持金属9の溶融温度以上にし、支持金属9を熔融して窓ガラス7を筐体5に落とし込む。この場合は、支持金属9の融点を接着用金属8の融点より低く、ベーキング温度より高く選んでおくと良い、。
支持金属9を溶融する他の方法として、支持金属9に電気抵抗の高い鉄線等を使用して鉄線に電力を通電して電熱によって溶融する方法もある。
【0026】
図1において破線で示したのは、窓ガラス7が筐体5の縁辺部16に落とし込まれた状況を示している。
この状態から接着用金属8が溶融する温度まで、真空炉内の温度を上げて、接着用金属8を熔かし、高真空の良好な雰囲気のなかで、窓ガラス7の周縁部と筐体5の上縁部17を接着させる。
【0027】
図2は本発明の第2の実施形態を示し、(a)は断面図、(b)平面図で、窓ガラスの他の落とし込みの方法を示す。
この方法は支持金属9を用いずに、接着用金属8と支持部を利用して落とし込み作業をする方法であって、第1の実施形態に較べて、支持金属9や支持棒10が不要で、その取り付けもなく、また温度制御も1段階で済む場合もあり、作業が簡易になる利点がある。
【0028】
図2に示したように、窓ガラス7の周縁部に巻きつけた接着用金属8の一部を加工して窓ガラス7の下部に潜り込ませるように支持部21を形成する。支持部21は複数例えば3〜4個形成され、窓ガラス7の周縁部の下側にほぼ均等に配置される。
支持部21の役目は、窓ガラス7を筐体5から浮かして支持し、筐体5からの気体の排気口を確保することであり、支持部21は筐体5の縁辺部16の上に置かれる。
この支持部21は巾数mm〜数cm程度の狭い巾にし、その厚みは5mm〜10mm程度にしておき、その外側の面は常温時にほぼ筐体5の縁辺部16の内壁に接するようにしておく。
【0029】
筐体5と窓ガラス7と接着用金属8は、ベーキングを行う前に、図2に示したような状態に組み合わせてから真空炉の中に入れる。
窓ガラス7は接着用金属8の支持部21の厚さだけ、筐体5の縁辺部16より上方に位置し、筐体5と窓ガラス7との間には、支持部21が存在しない部分で、筐体5内の気体を吸引するだけの隙間ができる。この隙間が排気口となる。
【0030】
この状態で真空炉内を真空にし、ベーキングを行う。この時ベーキング温度は接着用金属8の融点より低く選んでおく。
ベーキングが終了すると筐体5の温度をベーキング温度より上げて、接着用金属8を溶融すると、窓ガラス7の自重で窓ガラス7が縁辺部16の上に接するようになり、溶融した接着用金属8が筐体5と窓ガラス7との間の隙間を埋めるようになる。
【0031】
この状態から真空炉内の温度を下げて行くと接着用金属8が筐体5と窓ガラス7とに密着して凝固し、その後、温度が下がるにつれて、筐体5の収縮力によって接着用金属8は締め付けられ、筐体5と窓ガラス7とを真空封止し、真空太陽熱収集装置が完成する。
その後、真空炉の中を大気圧に戻して、真空炉の蓋2を開き、真空太陽熱収集装置を取り出す。
【0032】
図3は支持部の他の例を示す断面図である。
(a)は構造的には図2と同じであるが、支持部31を接着用金属8とは独立させたもの、(b)は同じく独立させた支持部32の外側の面を接着用金属8と同じ面にしたものである。
支持部31,32は接着用金属8と独立したものとしているが、接着用金属8と一体に形成しても良い。独立させた場合は、接着用金属8と同じ材料でも、別の金属材料で作っても良い。ただし、何れの場合も、支持部31,32の融点は接着用金属8の融点と同じか、それより低く、且つベーキング温度より高くなければならない。
また、溶けた接着用金属の分量が、筐体5と窓ガラス7の間の隙間を十分に埋め尽くすだけの量であるようにする。
【0033】
図3における破線は、窓ガラス7の周辺で支持部31,32が無いところでの接着用金属8の下限を示している。即ち、支持部31,32が無いところでは、この破線の位置より下には接着用金属8は存在しない。
接着用金属8が存在しない部分では、筐体5内の空気は吸い出され、排気される。矢印A,Bは筐体5内の空気が吸い出される通路を示している。
【0034】
上記した製造工程で重要なことは、ベーキング工程を終えた後、真空炉内の真空を保ったままで直ちに後工程の真空封止を行うと言うことである。
そのため、ベーキング直後の清浄な状態で接着用金属8を熔かして接着を行えるので、金属面とガラス面に酸化の恐れがなく、強固な接着を行うことができる。また、大気に触れることなく真空封止が行われるので、気体の再吸着という現象も避けることができるという長所が生ずる。
【0035】
なお、接着用金属8を筐体5によって締め付けるために、筐体5の材料にガラスより大きい線膨張係数を有する金属を選んでおく。適切な例としては、筐体5に18−8ステンレススチールを用いることが挙げられる。
そうすると窓ガラス7と筐体5の線膨張係数の差は5×10−5/℃程度となって、筐体5の収縮力により窓ガラス7に対して接着用金属8を強力に締め付けられるようになる。
【0036】
図4は本発明の第3の実施形態を示す図で、(a)は正断面図、(b)は側断面図である。
図4は真空太陽熱収集装置を大量生産するための装置を示しており、真空炉の温度をあまり上げずに、真空炉内の真空太陽熱収集装置の温度を上げる形式のものを示している。
【0037】
41は円筒形をした真空炉の本体、42は真空炉の蓋、43は台車、44は台車43の上に数段に亙って縦積みされた棚、45は棚44に取り付けられた電熱器、46は真空太陽熱収集装置、47は棚44に電源を供給し、且つ温度制御を行う温度制御装置、48は真空炉内の気体を排気する排気装置、49はガスケット、50は超絶縁用の遮蔽板である。
【0038】
真空炉の構成は上記した第1の実施形態と基本的には同じであり、サイズが大きくなって円筒型の真空炉を横向きに設置し、台車43に電熱器45を備えた複数の棚44が縦積みされ、真空太陽熱収集装置46が棚44に載せられて真空炉内に搬送されるように構成されている。
各棚44に設けられた電熱器45によって加熱されると、真空太陽熱収集装置46の温度が上げられ、それが吸蔵しているガスはベーキングによって排出される。
【0039】
この際、真空炉の炉壁のベーキングは問題ではないから、真空炉を暖めてもエネルギーの無駄使いになるので、放射損失を減らす手段を講ずる。
その手段として、真空炉の炉壁の放射率を下げる。換言すれば炉壁の反射率を上げる。同時に棚44の外に面している面の放射率を減らす。このためには、炉壁に反射率の良い金属処理を施し、棚44の外面に放射率を減らす処理を施すと良い。
これによって真空太陽熱収集装置46からの放射による熱損失を減らすことができる。
【0040】
更に、残存気体による熱伝導による損失と放射による損失の二つを同時に減らすために、真空炉本体41の内部が高真空に保たれており、残存気体の熱伝導は自由分子条件下の熱伝導になっていることを利用し、遮蔽板50を1枚以上、通常は数枚、図示したように真空炉本体41の炉壁と棚44との間に数mmの間隔をおいて設ける。
これによって熱の超絶縁作用が発揮され、熱損失が何分の一かに減殺される。
このような手段は、大量生産するときだけでなく、第1の実施形態などにも適用することができる。
【0041】
上記のような方法で高温になった真空太陽熱収集装置46からの熱が真空炉本体41に殆ど伝わらないので、本体41の温度はあまり上がらない。
それ故、ガスケット49には、ゴムやバイトンのような、低温でしか使えないが使い勝手が良い材質のガスケットを利用できてたいへん便利である。
なお、ベーキング処理に連続して筐体と窓ガラスの真空封止を行うこと等は第1の実施形態と同じである。完成した真空太陽熱収集装置46が台車43に載せられて搬出されることは言うまでもない。
【0042】
図5は本発明の第4の実施形態を示す図である。
図5は真空太陽熱収集装置を大量生産するための装置を示しており、51は真空炉全体を収容する炉、52は炉51内に熱風を送り込む加熱手段である。第3の実施形態とは、それ以外には、電熱器45と遮蔽板50が存在しないことが異なるだけで、他は同じである。
【0043】
炉51は耐火レンガ等の耐熱性の良い材料で築かれており、炉51の内部と真空炉本体41及び蓋42の間には、加熱手段52からの熱風が吹き込まれる。この熱風の熱により真空炉全体が外部から加熱される。この場合、真空炉全体が高温になるため、ガスケット49には金属ガスケットを使用することになる。
加熱手段52は熱源として石油、ガス、電気等を使用する。
【0044】
加熱手段52により熱せられて、温度の上がった真空炉全体からは、内部の棚44と真空太陽熱収集装置46に熱放射が行われ、高温になって、ベーキング処理が行われる。以下第3の実施形態と同様なので、説明は省略する。
【0045】
図6は棚の構造を示す断面図である。
61は柱で、図は棚44を2段に積み上げた例を示している。
棚44は真空炉の本体41内に縦積みされるもので、図のように棚44の積み上げが容易になるように構成された複数の柱61を有し、円板状の形態をしている。
【0046】
図4の第3の実施形態では、電熱器45が筐体5と棚44の間に密接して置かれているが、図5の第4の実施形態では、電熱器45が削除されている。図6は電熱器45を備えた例を示しているので、第3の実施形態には適当であるが、第4の実施形態に対しては電熱器45は不要である。
何れの場合も棚44の材質は、熱伝導の良い金属材料例えば銅などが適当である。複数個の棚44を設けた場合は、一番下の棚44の下面と一番上の棚44の上面ではその表面の放射率を下げるように加工をしておき、その他の表面は放射率を上げて、熱放射をよくするような処理を施しておくと良い。
上記のように数々の手段を講ずることによって、製造に必要なエネルギーを大幅に節約することができ、しかも高品質の真空太陽熱収集装置を得ることができる。
【0047】
【発明の効果】
上記したように、本発明によれば、真空炉内でベーキング処理と真空封止を連続して行うので、高品質、高効率の真空太陽熱収集装置を製造でき、また大量生産の場合には自動化が容易なので、真空太陽熱収集装置を安価に大量に提供することができ、経済面、環境面で多大な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す図
【図2】本発明の第2の実施形態を示す図
【図3】支持部の他の例を示す図
【図4】本発明の第3の実施形態を示す図
【図5】本発明の第4の実施形態を示す図
【図6】棚の構造を示す図
【符号の説明】
1,41 本体
2,42 蓋
3 支柱
4,45 電熱器
5 筐体
6 吸熱板
7 窓ガラス
8 接着用金属
9 支持金属
10 支持棒
11 吸引口
14,49 ガスケット
15 爪
16 縁辺部
17 上縁部
21,31,32 支持部
43 台車
44 棚
46 真空太陽熱収集装置
47 温度制御装置
48 排気装置
50 遮蔽板
51 炉
52 加熱手段
61 柱
Claims (17)
- 内部に太陽光の熱を受ける吸熱板を有する真空太陽熱収集装置の製造方法であって、
ガラスより大きい線膨張係数を有する金属材料で形成された筐体と、周縁部に接着用金属を備え、前記筐体の縁辺部にはめ込まれる窓ガラスとを準備する工程と、
前記筐体及び窓ガラスを真空炉の中に収容し、加熱してベーキング処理を行う工程と、
前記ベーキング処理に連続して、前記接着用金属の溶融温度より高い温度に加熱して前記接着用金属を溶融させ、その後、加熱を止めて冷却させ、前記接着用金属を凝固させると共に前記筐体の収縮力により前記筐体と窓ガラスとを真空封止する工程と
を備えたことを特徴とする真空太陽熱収集装置の製造方法。 - 前記接着用金属の上部に、前記接着用金属の溶融温度より低い溶融温度の支持金属を接続し、前記接着用金属の下部に前記窓ガラスを支持する複数の爪を設け、前記窓ガラスを前記支持金属で吊り下げて前記筐体の縁辺部に配置し、前記ベーキング処理を行った後、前記支持金属の溶融温度より高い温度まで加熱して前記支持金属を溶融させ、前記窓ガラスを前記筐体の縁辺部に落とし込むことを特徴とする請求項1記載の真空太陽熱収集装置の製造方法。
- 前記支持金属の溶融を加熱温度で制御することを特徴とする請求項1又は2記載の真空太陽熱収集装置の製造方法。
- 前記支持金属の溶融を前記支持金属に通電する電力で制御することを特徴とする請求項1又は2記載の真空太陽熱収集装置の製造方法。
- 前記接着用金属の下部に複数の支持部を設け、前記窓ガラスを前記支持部で支えて前記筐体の縁辺部に配置し、前記ベーキング処理を行った後、前記接着用金属の溶融温度より高い温度まで加熱して前記接着用金属を溶融させ、前記窓ガラスを前記筐体の縁辺部に落とし込むことを特徴とする請求項1記載の真空太陽熱収集装置の製造方法。
- 前記接着用金属の材料を亜鉛にしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の真空太陽熱収集装置の製造方法。
- 前記真空炉内に電気による加熱器を設けて前記筐体を加熱することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の真空太陽熱収集装置の製造方法。
- 前記真空炉を別の炉内に収容して高温に加熱することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の真空太陽熱収集装置の製造方法。
- 前記真空炉内に複数組の筐体と窓ガラスを縦積みにして収容し、前記複数組の筐体と窓ガラスのベーキング処理と真空封止を連続して行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の真空太陽熱収集装置の製造方法。
- 円筒状の側壁と平板状又は谷状の底板とから成る真空炉の本体と、
平板状又は山状に形成され、吸引口を有する真空炉の蓋と、
前記本体内に収容される真空太陽熱収集装置のガラスより大きい線膨張係数を有する金属材料で形成された筐体及び窓ガラスを加熱する電気による加熱器とを備え、
前記吸引口から気体を排気して真空にし、前記加熱器により前記筐体及び窓ガラスを加熱してベーキング処理を行い、更に前記加熱器により加熱し、その後、加熱を止めて前記筐体と窓ガラスの真空封止を行うことを特徴とする真空太陽熱収集装置の製造装置。 - 前記加熱器と真空炉の本体の炉壁との間に1枚以上の超絶縁用の遮蔽板を設けたことを特徴とする請求項10記載の真空太陽熱収集装置の製造装置。
- 前記本体に設けられ、前記筐体及び窓ガラスを収容する棚を積み上げるように複数個設け、各棚にそれぞれ筐体と窓ガラスを収容し、複数組の筐体と窓ガラスのベーキング処理と真空封止を連続して行うことを特徴とする請求項10記載の真空太陽熱収集装置の製造装置。
- 前記棚と真空炉の本体の炉壁との間に1枚以上の超絶縁用の遮蔽板を設けたことを特徴とする請求項12記載の真空太陽熱収集装置の製造装置。
- 円筒状の側壁と平板状又は谷状の底板とから成る真空炉の本体と、
平板状又は山状に形成され、吸引口を有する真空炉の蓋と、
前記本体内に真空太陽熱収集装置の筐体及び窓ガラスを収容する手段と、
前記真空炉全体を熱する加熱手段とを備え、
前記吸引口から気体を排気して真空にし、前記加熱手段により前記筐体を加熱してベーキング処理を行い、更に前記加熱手段により加熱し、その後、加熱を止めて前記筐体と窓ガラスの真空封止を行うことを特徴とする真空太陽熱収集装置の製造装置。 - 前記本体に設けられ、前記筐体及び窓ガラスを収容する手段として棚を積み上げるように複数個設け、各棚にそれぞれ筐体と窓ガラスを収容し、複数組の筐体と窓ガラスのベーキング処理と真空封止を連続して行うことを特徴とする請求項14記載の真空太陽熱収集装置の製造装置。
- 前記棚が複数の柱を持った円板状であることを特徴とする請求項12,13,15のいずれかに記載の真空太陽熱収集装置の製造装置。
- 前記本体と蓋をステンレス鋼で形成したことを特徴とする請求項10〜16のいずれかに記載の真空太陽熱収集装置の製造装置。
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