JP3825886B2 - 振動波モータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動波モータに係り、振動波モータを構成する接触体の接触バネ部の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
振動波モータは、振動エネルギーの発生体としての円環型、円板型或は棒状の振動体と、この振動体に加圧接触する接触体とを基本的な構成として有し、例えば前記振動体を構成する圧電素子に交番信号を印加して、前記振動体に位相の異なる2つの曲げ振動を発生させ、その合成により前記振動体に進行波を形成させる。そして、この進行波により振動体に加圧接触する接触体と、該振動体とが摩擦駆動し、両者が相対移動するようになっている。このような振動波モータ、例えば円環型あるいは棒状タイプのものは例えばレンズ鏡筒内に設けられ、フォーカスレンズ等を駆動するのに用いられる。
【0003】
図10は棒状タイプの従来の振動波モータの縦断面図を示し、振動体1は金属等からなる弾性体9および10と、弾性体9および10の間に挟圧保持された圧電素子群11とで構成されている。弾性体9はモータの骨格部材となるボルト状の支持棒5の大径のネジ部5aに螺着され、弾性体10は支持棒5の大径の頭部5bに押されることにより、弾性体9との間に圧電素子群11を挟圧保持している。
【0004】
2は弾性体9の先端面に対向して配置された接触体としてのロータであり、ロータ2は弾性体9と対向する一端部側にロータ接触バネ部2aが形成されている。すなわち、弾性体9に形成される振動波によりロータ2は軸方向に対する変位を受けることになり、その際、弾性体9に対するロータ2の接触部が硬いとロータ2が大きく跳ねて出力を取り出すことができず、一方該接触部が柔らか過ぎると弾性体9の駆動振動に対して追従できない。そこで、ロータ2が弾性体9に対して適度な弾性を有して接触し、駆動振動に対する良好な追従性を得るために、接触バネ部2aを設けている。
【0005】
接触バネ部2aの拡大図を図11に示す。
【0006】
接触バネ部2aは、図11の拡大図に示すように、ロータ2の本体の外周部から軸方向に延び、主に径方向にたわみ得る薄肉に形成されたバネ基部2bと、バネ基部2bの先端部から径方向内側に延びて内向きフランジ形状に形成されていて、軸方向にたわみ得る薄肉に形成されたフランジ部2cと、フランジ部2cの先端部に形成され、軸方向に突出する接触突起部2dとにより構成され、接触突起部2dが弾性体9の端面にリング状に凸設された凸部9bに接触するようになっている。
【0007】
ロータ2には、出力ギヤ4が嵌着固定されており、ギヤ4はベアリング3の外輪に嵌着されている。ベアリング3の内輪は、モータ取付用のフランジ6に嵌着固定され、フランジ6は支持棒5の先端部近傍の軸部5cに嵌着固定されている。ロータの内周部には、バネ受け7が嵌着固定され、バネ受け7の振動子側先端と出力ギヤ4の端部との間にはロータ2の接触バネ部2aを振動体1の弾性体9の先端面に圧接させるための加圧バネ8が配置されている。
【0008】
図12は振動体1を構成する圧電素子群11の配置と分極パターン等を示し、圧電素子群11は、90度の位置的位相差を有するA相圧電素子11aおよび11bとB相圧電素子11cおよび11dと、振動検出用のS相圧電素子11eとにより構成されている。各圧電素子11a〜11eは中心線を境に左右反転して分極されており、各圧電素子11a〜11eの間には不図示の電極板が挿入されている。
【0009】
この構成の振動波モータは、A相圧電素子だけに交番信号としての交流電圧を印加すると、圧電素子の厚み方向の伸縮により、振動体1には図10において紙面に水平な方向の1次曲げ振動が励起される。また、B相圧電素子に交番信号としての交流電圧を印加すると、紙面に垂直な方向のへ振動する。A相圧電素子によって励起される水平方向の振動と、B相圧電素子によって励起される垂直方向振動を時間的に90度の位相差を有して加えると、振動体1には長手軸方向に対して右又は左回りの円運動が発生する。弾性体9は変位拡大のための周溝9aを有するため、弾性体9の先端には、図10の矢印で示すような首振運動が生ずる。そしてこの振動は、振動体1の上面である接触面から見ると、1波の進行波に相当する。
【0010】
この振動子に上記したロータ2を加圧接触させると、ロータ2は波頭付近の1か所のみで弾性体9と接触し、逆方向に回転する。出力はロータ2とベアリング3の外輪に嵌着されたギヤ4により取り出される。
【0011】
また、棒状タイプの振動波モータでは、支持棒5の先端に取り付けられたフランジ6も一体の系として、振動子の固有モードをフランジ6の振動振幅が非常に小さくなるように設定している。さらに、ロータの本体(本環)部分は慣性質量が十分大きく、振動体1の加振によって振動が励起されないように設定されている。
【0012】
また、ロータ2の接触バネ部2aは、固有振動数が振動体1の駆動周波数よりも十分に高く、振動に追従できるようになっている。
【0013】
なお、振動体1の弾性体9は、表面にNi−Pメッキ、あるいはNi−P−SiCメッキを施したり、焼き入れしたステンレス綱で形成したりして、耐摩耗性の向上を図り、一方ロータ2もアルミにアルマイト処理を施したものを用いて耐摩耗性の向上を図るようにしている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記の振動波モータにおいて、ロータ2の接触バネ部2aの固有振動数は、振動体1の駆動振動によって共振しないように、振動体1の駆動周波数よりも十分高い値に設定されている。
【0015】
一方、図11に示すように、ロータ2と弾性体9との接触部は、弾性体9の凸部9bの平坦な上面に、ロータ2の接触突起部2dが当接しており、凸部9bの上面の幅は接触突起部2dの先端部の幅よりも小さくなっている。これは、ロータ2をアルマイトで表面処理する場合、接触突起部2dのエッジに対するアルマイトの付きが良くないことから、接触突起部2dの先端部の幅を広くし、接触突起部2dのエッジが弾性体9の凸部9bに当接しないようにしている。
【0016】
このため、接触突起部2dが大きくなり、接触バネ部2aの固有振動数がやや低くなることがあった。
【0017】
そこで、これを改善するために、図11に示すように、接触突起部2dは、内周面2d−1をテーパ形状とし、接触突起部2dの重量を減じて接触バネ部2aの固有振動数を高めるようにしていた。
【0018】
しかしながら、ロータ2を図11に示すような形状に形成することは、加工の複雑化を招き、コストアップの要因ともなるものであった。
【0019】
本出願に係る発明の目的は、良好な追従性を保持しつつ接触体の接触バネ部の固有振動数を簡単かつ確実に高めることができ、低コスト化を図ることができる振動波モータを提供しようとするものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本出願に係る発明の第の構成は、振動体と、前記振動体に接触する接触体とを有し、前記振動体に励起される駆動振動により、前記振動体と前記接触体とを相対移動させる振動波モータにおいて、前記接触体は、接触体本体と、前記接触体本体に嵌合固定されるバネ体とを有し、前記バネ体は、軸方向にバネ性を有して径方向に延びる第1のバネ部と、前記第1のバネ部から軸方向に延びて径方向にバネ性を有し、前記振動体と接触する第2のバネ部と、前記接触体本体に嵌合するように前記第1のバネ部より軸方向に延び径方向にバネ性を有する第3のバネ部と、前記第3のバネ部より径方向に延びて前記接触体本体の軸方向位置規制部に当接する当接部により構成されており、前記第2のバネ部の厚みを前記第1のバネ部の厚みより薄くし、かつ前記第3のバネ部の厚みを前記第1のバネ部の厚みと同厚または薄くしたものである。
【0025】
上記した前記振動体は、円環状に形成され、前記接触体は円環形状に形成されたものとすることができる。
【0026】
上記した前記振動体は、前記接触体との接触部に耐摩耗材を設けたものとすることができる。
【0027】
上記した前記振動体は、電気−機械エネルギー変換素子に位相の異なる複数の交番信号を印加することにより、複数の屈曲モードの振動を形成し、これらの屈曲モードの振動の合成で駆動振動を励起する形式とするものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
図1および図2は本発明の第1の実施の形態を示す。
【0029】
本実施の形態において、振動体1の構成は、図10に示す従来例と基本的には同構成で、同じ部材には同じ符号を付しその説明は省略するが、図10に示す従来例の振動体と異なる点は、弾性体9ロータとの接触面にアルミにアルマイト処理したリング9cを設けて耐摩耗性の向上を図るようにしている。この場合、接触する相手側のロータに対しては、例えばNi−Pメッキ、或はNi−P−SiCメッキを施したり、ステンレス鋼(場合によっては熱処理したもの)で形成することができる。
【0030】
一方、ロータ21は、図2に示すように、環状のロータ本体(以下本環と称す)22と、リングバネ23との2部材により構成され、リングバネ23と本環22とを接着あるいは溶接等で接合している。
【0031】
本環22には、径方向にバネ性を有し、軸方向に延びる基部22bが外周部に一体に形成されている。また、リングバネ23は、基部22bの外径と同径の軸方向にバネ性を有する円環状のバネ部(以下フランジ部)23cと、このフランジ部23cの内周部から一体的に形成されて軸方向に延びる接触突起部23dとにより形成されている。そして、リングバネ23のフランジ部23cが本環22の基部22bの先端に接着あるいは溶接等で接合され、このリングバネ23と基部22bとにより接触バネ部21aを構成し、接触突起部23dが振動体1の弾性体9に設けたリング9cに当接するようにしている。
【0032】
ここで、リングバネ23に着目すると、フランジ部23cの板厚をt、接触突起部23dの板厚をWとすると、t>Wの関係に設定している。
【0033】
そして、リングバネ23のフランジ部23cの板厚tと、接触突起部23dの板厚Wとを、t>Wの関係に設定することで、すなわち接触突起部23dのマスを小さくでき、しかも板厚tのフランジ部23cの静剛性を変えずに、従来のようにテーパー面を設けることなく接触バネ部21aの固有振動数をモータの駆動周波数よりも十分高くすることができた。
【0034】
その際、本実施の形態の接触突起部23dの板厚は小さいが従来のようにアルマイト処理を不用とし、弾性体9側のアルマイト処理されたリング9cに加圧接触するため、十分な耐摩耗性が得られることになる。
【0035】
一方、リングバネ23は本環22に対して別部品であるため、このような板厚W,tの異なる部分をプレス成形により成形することができる。また、本環22も焼結やダイカスト等で成形することができ、大幅なコストダウンを図ることができる。
【0036】
このプレス成形法を図7に基づいて以下に説明する。
【0037】
図7において、接触バネ23の最終製品となる前の加工品23’は、例えば板厚がtのものが使用され、プレス型Dの所定位置に載置される。この加工品23’は接触突起部23dとなる部分がプレス型Dの型穴に臨み、ポンチPを▲1▼の状態から▲2▼の状態に押し込むことによって、接触突起部23dに相当する部分23d’が絞り込み成形される。ここで、普通の絞り込み成形においては、フランジ部23cに相当する部分23c’の板厚tと、接触突起部23dに相当する部分23d’との板厚Wとは、t=Wとなるが、本実施の形態では、ポンチPの直径Aを大きくし、W<tとなるようにしごき絞り成形を行っている。なお、このしごき絞り成形は、一回で完了させず、複数回に分けて少しづつしごけば、板材の割れを防止することができる。
【0038】
(第2の実施の形態)
図3は第2の実施の形態を示す。
【0039】
本実施の形態は、図1に示す第1の実施の形態における振動体1等の全体的な構成が略同様で、第1の実施の形態と異なるロータの接触バネ部の構造を図3に示す。
【0040】
本実施の形態におけるロータ24は、第1の実施の形態のロータ21と同様に、本環25と、リングバネ26との2部材により構成され、リングバネ26と本環25とを接着あるいは溶接等で接合している。
【0041】
本環25には、軸方向に延びる基部25bが外周部に一体に形成されている。この基部25bは、延出距離d2が非常に短く(0.2m程度)、このため第1の実施の形態のように径方向におけるバネ性は殆どなく、略剛性を有するものとみなすことができる。
【0042】
また、リングバネ26は、基部25bの外径と同径の軸方向にバネ性を有する円環状のバネ部(以下フランジ部)26cと、このフランジ部26cの内周部から一体的に形成されて軸方向に延びる接触突起部26dとにより形成されている。そして、リングバネ26のフランジ部26cが本環25の基部25bの先端に接着あるいは溶接等で接合され、このリングバネ26と基部25bとにより接触バネ部24aを構成し、接触突起部26dが振動体1の弾性体9に設けたリング9cに当接するようにしている。
【0043】
ここで、リングバネ26に着目すると、フランジ部26cの板厚をt、接触突起部26dの板厚をWとすると、t>Wの関係に設定している。
【0044】
そして、リングバネ26のフランジ部26cの板厚tと、接触突起部26dの板厚Wとを、t>Wの関係に設定することで、すなわち接触突起部26dのマスを小さくでき、しかも板厚tのフランジ部26cの静剛性を変えずに、従来のようにテーパー面を設けることなく接触バネ部24aの固有振動数をモータの駆動周波数よりも十分高くすることができた。
【0045】
その際、本実施の形態の接触突起部26dの板厚は小さいが従来のようにアルマイト処理を不用とし、弾性体9側のアルマイト処理されたリング9cに加圧接触するため、十分な耐摩耗性が得られることになる。
【0046】
本実施の形態では特に、基部25bは第1の実施の形態とは異なり略剛性を有しているため、接触バネ部24aの径方向の剛性が高くなるが、接触突起部26dの幅(板厚W)が小さい(W<t)ので、接触突起部26dに径方向における十分なバネ性を持たせることができる。なお、本実施の形態では、接触突起部26dの板厚Wを0.05mm程度、フランジ部26cの板厚tを0.08mm〜0.1mm、接触径を直径9mm程度としている。
【0047】
本実施の形態では、ロータにおけるバネ性は、リングバネ26のみで設定することができるので、ロータの製造が容易となった。
【0048】
(第3の実施の形態)
図4は第3の実施の形態を示す。
【0049】
本実施の形態は、図1に示す第1の実施の形態における振動体1等の全体的な構成が略同様で、第1の実施の形態と異なるロータの接触バネ部の構造を図に示す。
【0050】
本実施の形態におけるロータ27は、ロータ本環28と、接触バネ部を備えたリング状バネ体29との2部材により構成され、リング状バネ体29の基部29bの内周部に本環28を嵌合方式により接合するようにしている。
【0051】
本実施の形態において、リング状バネ体29は、径方向にバネ性を有し、軸方向に延びる筒状の基部29bと、基部29bに連接され軸方向にバネ性を有する円環状のフランジ部29cと、このフランジ部29cの内周部から一体的に形成されて軸方向に延びる接触突起部29dとにより形成されている。
【0052】
ここで、リング状バネ体29に着目すると、フランジ部29cの板厚をt、接触突起部29dの板厚をWとすると、t>Wの関係に設定している。
【0053】
そして、リング状バネ体29のフランジ部29cの板厚tと、接触突起部29dの板厚Wとを、t>Wの関係に設定することで、すなわち接触突起部29dのマスを小さくでき、しかも板厚tのフランジ部29cの静剛性を変えずに、従来のようにテーパー面を設けることなく接触バネ部27aの固有振動数をモータの駆動周波数よりも十分高くすることができた。
【0054】
その際、本実施の形態の接触突起部29dの板厚は小さいが従来のようにアルマイト処理を不用とし、弾性体9側のアルマイト処理されたリング9cに加圧接触するため、十分な耐摩耗性が得られることになる。
【0055】
一方、リング状バネ体29は本環28に対して別部品であるため、このような板厚W,tの異なる部分を上記の実施の形態と同様にプレス成形により成形することができる。また、本環28も焼結やダイカスト等で成形することができ、大幅なコストダウンを図ることができる。
【0056】
本実施の形態では、リング状バネ体29のフランジ部29cが本環28の外周部に嵌合して接合されているため、接合強度が増す。また、リング状バネ体29は、基部29b,フランジ部29cおよび接触突起部29dを含んだ接触バネ部の要素を備えているため、ロータのバネ性に対する設計の自由度も増す。
【0057】
(第4の実施の形態)
図5は第4の実施の形態を示す。
【0058】
本実施の形態は図4に示す第3の実施の形態の改良であり、図4のリング状バネ体29の成形の容易性を図るようにしたものである。
【0059】
図4に示すリング状バネ体29の基部29bの厚さをW1とし、W1>tとすると、基部29bの板厚W1から中間の板厚となるフランジ部29cの板厚tにつぶす工程が必要となり、プレス作業がしずらい。
【0060】
そこで、本実施の形態では、本環31に対して嵌合方式で接合されるリング状バネ体32の基部32bの板厚W1と、フランジ部32cの板厚tと、接触突起部32dの板厚Wとが、W<t≧W1 のような関係となるようにした。すなわち、軸方向に延びる基部32bおよび接触突起部32dの板厚は、前述のようなしごき絞りで調節し易いが、径方向に延びるフランジ部32cの板厚の調節は上記のしごき絞りを行うプレス機で行うのが難しい。そのため板厚tの板材を用意し、この板厚tを基準として薄くあるいは同じ厚さにすることは容易であることから、上記のような関係としている。
【0061】
また、プレス成形等の点から、リング状バネ体32は、図6に示すように、受け部32eを設けることが実用的である。
【0062】
この図6に示すリング状バネ体32の成形方法を図8に基づいて説明する。
【0063】
図8において、リング状バネ体32の最終製品となる前の加工品32’は、板厚がtのものが使用され、プレス型D1の所定位置に載置される。この加工品32’は接触突起部32dとなる部分32’がプレス型の移動型D2に臨み、ポンチPを不図示の上部位置から▲1▼の状態に押し込むことによって、接触突起部32dに相当する部分32d’が絞り込み成形される。さらに、ポンチPを▲1▼の状態から▲2▼の状態へ押し込むことによって、基部32bの相当する部分32b’が絞り込み成形される。その際、ポンチPの先端部の小径部P1の外径と上記の移動型D2の内径を所定の寸法に設定することで、W<tの関係を満足したプレス成形ができ、またポンチPの外径Aとプレス型D1の内径を所定の寸法に設定することで、t≧W1の関係を満足したプレス成形が可能となる。
【0064】
また、この一連のプレス成形後に、板材32’を受け部32eに相当する部分32e’を残して切断すると、基部32bの長さを一定とする最終加工成形品が得られ、本環31にリング状バネ体32を嵌合する際、受け部32eを本環31の段部に当接するまで押し込むだけで、本環31に対してリング状バネ体32を高精度に位置決めして接合することができる。
【0065】
なお、板厚W=0.04mm〜0.08mm、板厚t=0.08mm〜0.1mm、板厚W1=0.07mm〜0.09mmとし、また接触直径を9mm程度とした。
【0066】
勿論、本実施の形態の場合でも、上記した第1の実施の形態と同様に、しごき絞り成形は、一回で完了させず、複数回に分けて少しづつしごくことが板材の割れを防止することにつながる。
【0067】
(第5の実施の形態)
図9は第5の実施の形態を示す。
【0068】
上記した第1〜第4の実施の形態における振動波モータは棒状タイプのものとしたが、本実施の形態は円環型の振動波モータとするものである。
【0069】
図9の(a)、(b)において、42は振動変位を拡大するための径方向に延びるスリットを円周方向に多数形成したリング状弾性体40の下面に圧電素子41を接合したリング状振動体である。43はリング状のロータで、リング状のロータ本体44の基部44aに、接触バネ部45が接着剤等で接合されている。
【0070】
接触バネ部45は、軸方向にバネ性を有し、径方向に延びる板厚tのフランジ部45cと、径方向にバネ性を有し、軸方向に延び、フランジ部の内周端部に連接された板厚Wの接触突起部45dとにより形成されている。本実施の形態の場合も上記の各実施の形態と同様に、t>Wの関係に設定され、基部44a,フランジ部45cおよび接触突起部45dで構成される接触バネ部における固有振動を、振動体42の駆動周波数よりも十分高い値にしている。
【0071】
なお、接触バネ部45は、アルミにアルマイト処理を施してもよいが、焼き入れしたステンレス鋼を用いれば、耐久性を向上させることができる。
【0072】
【発明の効果】
請求項に係る発明によれば、接触体本体と、バネ体の2部材で接触体を構成することで、接触体に複雑な形状が要求されるバネ構造を形成する必要がなくなり、振動体に励起される駆動振動の周波数よりも十分高い固有振動数にバネ体を設定することができ、簡単な構造で歩留の良い接触体を製造することができ、駆動効率の良い振動波モータを廉価に提供することができる。
【0075】
また、請求項に係る発明によれば、当接部が接触体本体の軸方向位置規制部に当接するまで嵌合させることにより、接触体本体に対するバネ体の位置決めが行え、接触体本体とバネ体との組付け作業性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す振動波モータの縦断面図
【図2】図1のロータの一部拡大断面図
【図3】第2の実施の形態における振動波モータのロータの一部拡大断面図
【図4】第3の実施の形態における振動波モータのロータの一部拡大断面図
【図5】第4の実施の形態における振動波モータのロータの一部拡大断面図
【図6】図5のロータの変形例を示す一部拡大断面図
【図7】第1の実施の形態の接触バネの成形法を示す図
【図8】図6のロータのリング状バネ体の成形方法を示す図
【図9】第5の実施の形態を示し、(a)は分解斜視図、(b)は接触バネ部の拡大断面図
【図10】従来の棒状タイプの振動波モータの縦断面図
【図11】図10の接触バネ部の拡大断面図
【図12】図10の圧電素子群の分解斜視図
【符号の説明】
1 振動体
2、21 ロータ
3 ベアリング
4 出力ギヤ
5 支持棒
6 フランジ
7 バネ受け
8 加圧バネ
9,10 弾性体
9c リング
11 圧電素子群
21a 接触バネ部
22、25、28、31 ロータ本体(本環)
22b、25b、29b、32b 基部
23、26 リングバネ
23c、26c、29c、32c フランジ部
23d、26d、29d、32d 接触突起部
29、32 リング状バネ体
32e 受け部

Claims (4)

  1. 振動体と、前記振動体に接触する接触体とを有し、前記振動体に励起される駆動振動により、前記振動体と前記接触体とを相対移動させる振動波モータにおいて、
    前記接触体は、接触体本体と、前記接触体本体に嵌合固定されるバネ体とを有し、前記バネ体は、軸方向にバネ性を有して径方向に延びる第1のバネ部と、前記第1のバネ部から軸方向に延びて径方向にバネ性を有し、前記振動体と接触する第2のバネ部と、前記接触体本体に嵌合するように前記第1のバネ部より軸方向に延び径方向にバネ性を有する第3のバネ部と、前記第3のバネ部より径方向に延びて前記接触体本体の軸方向位置規制部に当接する当接部により構成されており
    前記第2のバネ部の厚み前記第1のバネ部の厚みより薄くかつ前記第3のバネ部の厚み前記第1のバネ部の厚みと同厚または薄ことを特徴とする振動波モータ。
  2. 請求項において、前記振動体は前記接触体との接触部に耐摩耗材を有することを特徴とする振動波モータ。
  3. 請求項1又は2において、前記振動体は円環状に形成され、前記接触体は円環形状に形成されていることを特徴とする振動波モータ。
  4. 請求項1ないしのいずれか一つにおいて、前記振動体は、電気−機械エネルギー変換素子に位相の異なる複数の交番信号を印加することにより、複数の屈曲モードの振動を形成し、これらの屈曲モードの振動の合成で駆動振動を励起することを特徴とする振動波モータ。
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