JP3825597B2 - コンテンツ表示回数制御方法,装置およびそのプログラム記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,ネットワークを介してユーザに広告データなどのコンテンツを配信するシステムにおいてコンテンツ表示回数を制御するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ネットワークを介してユーザに広告データなどのコンテンツを配信する際に,複数の候補から配信するコンテンツを選択する場合がある。
【0003】
例えば,WWWブラウザでインターネットのポータルサイトなどを表示すると,同一ページにバナー広告が掲載されている。つまり,ポータルサイトにアクセスしたユーザには,何らかの広告コンテンツが配信される。この配信では,常に同一のバナー広告が掲載されているわけではなく,いくつかの条件により,複数の広告から選択された広告が掲載されている。
【0004】
ここで言う条件とは,各広告を配信する条件であり,広告を配信する時刻や時間帯,その広告の配信回数,配信対象となるユーザの属性(ユーザのコンピュータの種類や,アプリケーションの種類などの利用環境,またサーチエンジンにおいてユーザの入力したキーワードなど)に応じた条件が各コンテンツごとに決められている。
【0005】
ある広告が配信されるのは,これらの条件により計算した得点が全コンテンツの中で最も大きな得点を持つときである。得点の計算は,ユーザからサイトヘアクセスがある度に,全コンテンツについて,定められた条件との一致の度合いによって行われる。
【0006】
例えば,ユーザの入力したキーワードがコンテンツに定められたキーワードに一致すれば10点加算される,といった計算により得点が算出される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上の従来の方法では,広告配信期間と,その期間内の配信数およびクリック数を同時に定めることができない。例えば1ヶ月間でどの程度の配信が行われるかを,過去の実績から統計的に予測することは可能であるが,ある期間内に配信すべき合計の配信数やクリック数を定めることや,ある時刻の実配信数や実クリック数を目標値に近づけることはできない。
【0008】
条件に一致した広告コンテンツを配信する場合,および条件に一致したものに得点を付け,その中から最も得点の大きなものを選択する場合には,どのコンテンツがどの時刻にどの程度の頻度で配信されるかを,あらかじめ予測することはできない。これは,広告コンテンツに定められている条件に一致するアクセスの回数に依存するためである。
【0009】
したがって,どのコンテンツをある時期にどの程度配信するかという広告の配信計画は,過去の実績を参考にし,最終的には人間の判断によって作成しているのが現状である。この方法によると,アクセス数などの変動により,広告の実クリック数や実配信数が,計画していた目標値と大きく変動することがある。
【0010】
広告配信者は,広告の配信を依頼する広告クライアントに対して,任意のある時刻における実配信数や実クリック数を保証することはできず,他の時刻に比べ配信頻度が相対的に大きい,あるいは小さい,といった相対的な比較でしか,配信頻度を予測できない。
【0011】
すなわち,従来の方法では,精度の粗い配信数保証およびクリック数保証しかできない。以上の問題点を,従来のインターネット広告表示システムを例に具体的に説明すると,以下のとおりである。
【0012】
インターネット上のホームページに広告を表示させる回数や頻度を制御する方法としては,いわゆる「期間契約型」,「露出保証型」,「クリック保証型」が知られている。「期間契約型」は,何回ユーザに広告が表示されたかとは無関係に,例えば1ケ月間というように特定の期間だけ広告を表示する方法である。「露出保証型」は,広告を表示する回数を保障するもので,これは最低限何回ユーザにその広告が閲覧されるかを保証する。また,「クリック保証型」は,例えば1万回,広告がクリックされるまで広告が表示されるもので,購買申込みや資料請求ページにユーザを誘導したい場合に有利な方法である。
【0013】
しかし,これらの従来の方法の第1の問題は,例えば,新製品の発売日2週間前から低頻度での広告を開始し,発売3日前から前日までに集中豪雨的に大量の広告を表示することでユーザヘ強い印象を与えることを可能とするというような広告の表示回数の制御の実現は困難であることであった。
【0015】
また,従来の技術では,第2の問題として,当該システムにおいて複数の広告があり,それらの広告表示期間が互いに重なり合う場合,一人のユーザが到来した際にどちらの広告をユーザヘ表示するか各広告の表示期間という時間軸を考慮した優先度を制御するメカニズムが必須であるが,目標表示回数と実表示回数の誤差に基づく制御方法は不可能であるという問題があった。
【0016】
本発明は上記問題点の解決を図り,従来の広告コンテンツの表示回数制御では実現できなかった広告効果が高く精度のよい表示回数の制御機能を実現することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段を,以下ではインターネット広告を表示する場合を例に説明する。本発明は,インターネット広告に限らず,あらかじめ登録された複数のコンテンツから任意の個数を選択して配信する場合に適用することができる。
【0018】
本発明の第1のポイントは,インターネット広告の表示回数をあらかじめ広告主が,表示開始日時,表示終了日時,およびそれらの間の広告表示期間での任意時刻における表示頻度または表示回数を,パラメータ又は関数形式(横軸が時間軸,縦軸が表示頻度等)で指定し,広告表示期間の時間経過により広告表示頻度が変化することにより広告効果の高いインターネット広告表示システムを実現することである。
【0019】
本発明の第2のポイントは,上記のインターネット広告表示システムを実現するにあたり,広告表示期間の重複する複数の広告が存在する場合に,任意の時刻において各広告ごとに実配信数(広告表示の実績回数をいう)または実配信数の積分値と,目標配信数との誤差を算出し,その誤差に基づいて,選択するコンテンツを順序付けるためのコンテンツ得点を補正することにより,精度のよい配信を実現すること,また,各広告ごとに,どの程度の精度で配信するかを設定できる,つまり,どの程度の誤差までを許容するかを設定できることである。
【0020】
この機能によって,サービスとして,精度の異なるいくつかのメニュー,例えば「コストはかかるが精度が高い」,「精度は低いがコストが安い」といったメニューを提供し,広告主の選択肢を広げることができる。
【0021】
本明細書全体において,以下の各用語はそれぞれ次の意味で用いられている。
【0022】
配信数またはクリック数の「時刻保証」とは,インターネット広告の表示回数をあらかじめ広告主が,表示開始日時,表示終了日時,およびそれらの間の広告表示期間での任意時刻における表示頻度または表示回数,あるいは広告クリック数を指定し,当該指定された目標回数と実績回数の差を最小限に抑制するように表示頻度や回数を制御することをいう。
【0023】
「配信数」とは,ある広告データがそれぞれユーザに対して表示された回数の広告配信開始時刻から現在時刻までの回数の積分値,または測定単位時間中の回数をいう。また,「クリック数」とは,ユーザに表示(配信)されたある広告データをユーザがクリックした回数,または広告配信開始時刻から現時点までのクリックした回数の積分値をいう。
【0024】
なお,目標配信数・目標クリック数については,広告の配信を依頼する広告配信依頼者(広告クライアント)が,表示開始日時,表示終了日時,およびそれらの間の広告表示期間での任意時刻における表示頻度または表示回数を,パラメータまたは関数形式(横軸が時間軸,縦軸が表示頻度等)で指定した情報によって定められる。
【0025】
具体的には,本発明は,あらかじめ登録された複数のコンテンツから任意の個数を選択して配信するシステムにおいてコンテンツ表示回数を精度よく効果的に制御するため,配信対象となる各コンテンツごとに,配信開始時刻,配信終了時刻およびそれらの間のコンテンツ配信期間での任意の時刻における配信頻度または配信回数をパラメータまたは関数形式により定める情報を,コンテンツデータベースに設定しておき,コンテンツ配信期間内のある時刻において,前記配信頻度または配信回数を定める情報に基づき,現時刻におけるコンテンツ配信の目標数を算出し,その算出した各コンテンツごとの目標数とそれまでの配信実績数とに基づき,配信するコンテンツを選択し,時間の経過とともに変化する目標数に応じたコンテンツの配信を行うことを特徴とする。
【0026】
また,本発明は,配信対象となる各コンテンツごとに,配信するコンテンツを順序付けるための一次得点を,キーワードの一致度,ユーザの属性などによって計算し,コンテンツ配信期間内のある時刻において,現時点までの配信数の合計またはクリック数の合計の目標値である目標配信数または目標クリック数を算出し,配信開始から現時点までの実際の配信数である実配信数と目標配信数との差または実際のクリック数である実クリック数と目標クリック数との差を算出し,この差により一次得点を補正するための補正値を算出し,この補正値により一次得点を補正して二次得点を出力し,二次得点に基づいて配信するコンテンツを選択することを特徴とする。
【0027】
以上の各処理を計算機によって実現するためのプログラムは,計算機が読み取り可能な可搬媒体メモリ,半導体メモリ,ハードディスクなどの適当な記録媒体に格納することができる。
【0028】
以上の手段によって,本発明は,任意のある時刻の実配信数や実クリック数を保証する配信数・クリック数の「時刻保証」を行う。すなわち,各広告コンテンツについて,配信の目標値と実績値との誤差,すなわち,(目標値−実績値)を計算し,その値に応じてコンテンツの得点を補正する。(目標値−実績値)が正ならば得点を増やし,負ならば得点を減少させる。
【0029】
従来のインターネット広告配信で行われている「露出保証型」や「クリック数保証型」は,ある時刻における配信数やクリック数を保証するものではないので,本発明による配信数やクリック数の「時刻保証」とは異なる。なお,ここでの目標値は,時間の経過と共に変化する値を想定している。
【0030】
横軸に時刻,縦軸にその時刻における目標値をとったグラフを広告配信パターンという。配信数の時刻保証を行うことで,広告クライアントに対して,任意の形のパターンで広告を配信することを保証することが可能となる。クリック数の時刻保証を行うことで,広告クライアントに対して,任意の形のパターンで広告のクリックを得ることを保証することが可能となる。
【0031】
なお,ラインリッヒ等の手法ADWIZや,フリークエンシコントロールと呼ばれる手法(ともに「WWW上の広告におけるターゲティング手法」情報処理Vol.40,No.8,Aug.1999を参照)は,それぞれある期間における総クリック数,クリック率を最大にするための手法である。
【0032】
フリークエンシコントロールは,同一広告が1ユーザに一定回数以上は表示されないようにするシステムである。また,ADWIZは,複数のサイトから広告を配信する際に,総クリック数を最大にするには,どのサイトから何回配信すればよいかを決定する。
【0033】
これらは本発明による任意時刻のクリック数や配信数を保証する「時刻保証」とは,目的も手段も全く異なる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について,図面を参照して説明する。
【0035】
図1は,本発明の構成例を示すブロック図である。図中,1はポータル・サイトその他のサービス提供装置に組み込まれる装置であって,広告コンテンツの配信を行うコンテンツ配信装置,10は各コンテンツごとにあらかじめ設定された配信条件に従ってコンテンツの表示回数を制御するコンテンツ表示回数制御部,11は一般ユーザの端末などからの入力に対してコンテンツ表示回数制御部10にコンテンツ得点の計算を指示する入力部,12は広告クライアントの端末または管理者端末などからコンテンツおよびコンテンツごとの配信条件を登録するコンテンツ登録部,13はコンテンツ表示回数制御部10によって順序付けされたコンテンツを選択してユーザ端末へ配信する配信コンテンツ選択部を表す。
【0036】
コンテンツ表示回数制御部10は,各広告コンテンツに関する情報およびそれらの配信条件が登録されたコンテンツデータベース101,表示するコンテンツを順序付けるための一次得点を計算する得点計算部102,任意の時刻における目標配信数または/および目標クリック数を計算する目標数計算部103,ある時刻における配信開始からの実クリック数と目標クリック数との差または/および実配信数と目標配信数との差を計算する誤差計算部104,誤差計算部104の計算した差により一次得点を補正するための補正値を計算し出力するする補正値計算部105,この補正値計算部105の出力した補正値により一次得点を補正して二次得点を出力する補正部106を備える。
【0037】
配信コンテンツ選択部13は,補正部106が出力する二次得点に基づいてユーザ端末へ配信するコンテンツを選択し配信する。
【0038】
図2は,図1に示すコンテンツデータベース101の例を示している。コンテンツデータベース101は,各広告コンテンツごとに図2に示すような情報を持つ。
【0039】
(1) 広告番号であるID
(2) 配信する広告データの位置を示すソースURL
(3) ユーザの端末上に表示された広告データをクリックした際にジャンプする位置を表す参照先URL
(4) 得点計算の基準となる配信条件
・広告を表示する期間の最初である開始日時
・広告を表示する期間の最後である終了日時
・表示する条件としてのアクションと対象
・得点計算式の係数a,b,c,…
・広告を表示する回数である最大impression数,
・広告がクリックされる回数である最大click数など
(5) そのコンテンツが何回配信されたかという実配信数(impression数)
(6) 何回クリックされたかという実クリック数(click数)
「表示する条件としてのアクションと対象」は,特願平11−255045号の「イベント情報提供方法」において示されている広告選択表に保持されているものと同様で,ユーザのスケジュールから抽出したアクションと対象にマッチするかどうかを表示条件とするときに用いられるものである。なお,これは本発明を実施する上で必須ではなく,例えばサーチエンジン等で指定された一般のキーワードがマッチするかどうかを表示条件とすることもできる。
【0040】
得点計算の基準となる配信条件における得点計算式の係数は,コンテンツ配信期間での任意の時刻における配信頻度または配信回数を定める情報を含む。これはパラメータであっても,また関数形式を定めるような情報であってもよい。
【0041】
図2のコンテンツデータベース101の例で,a,b,cは,以下のような情報である。これらの係数についての用い方については,後に具体例に従って詳述する。
【0042】
a:アクションとの一致にどの程度の重みを置くか(すなわち,aが大きいほどアクションと一致したときの得点が大きくなる)
b:対象との一致にどの程度の重みを置くか(すなわち,bが大きいほど対象と一致したときの得点が大きくなる)
c:ピーク時の時刻を指定
他にも,コンテンツ配信期間における配信パターンを定めるような情報として,次のようなパラメータを設定することもできる。
【0043】
d:ピークの時間的な鋭さ(一定以上の値を出力する時間の幅)
e:ピーク値
m:経過時間に比例して配信を増加または減少させる割合を定める値
n:経過時間と関係なく一定の配信を行うための値
以上のc,d,e,m,nは,時間軸を横軸,配信数またはクリック数を縦軸にとったときの配信数・クリック数のグラフ(目標数)の形状を決定する。
【0044】
さらに,時刻に対する配信の精度を定める情報として,次のような値を設定することもできる。
【0045】
Cg ,Eg :時刻に対する精度のどの程度保証するかを定める値
u:配信数の誤差に対する重み(大きくすると,配信数の誤差に対して大きく補正が効く)
v:クリック数の誤差に対する重み(大きくすると,クリック数の誤差に対して大きく補正が効く)
以上のような得点計算の基準となる配信条件における得点計算式の係数の一部または全部は,広告クライアント(広告主)に対するサービスメニューによって,各コンテンツごとに設定し,コンテンツデータベース101に登録することができる。
【0046】
コンテンツ登録部12は,あらかじめ各コンテンツごとに図2に示す情報をコンテンツデータベース101に登録する。
【0047】
入力部11は,選択されたコンテンツのコンテンツデータベース101内のIDと,ユーザがアクセスしたスケジュールに関するアクションと対象とを示すキーワードと,計算機の保持する現在時刻とを入力し,それらの入力を,得点計算部102と目標数計算部103とに出力する。
【0048】
得点計算部102は,コンテンツごとにコンテンツデータベース101で定められている係数と,得点計算部102内部に記憶されている計算式により,選択されたコンテンツに一次得点を付与し,得点を誤差計算部104と補正部106に出力する。
【0049】
目標数計算部103は,コンテンツごとにコンテンツデータベース101で定められている係数と,目標数計算部103内部に記憶されている計算式により,選択されたコンテンツの現在時刻の目標配信数を計算する。
【0050】
誤差計算部104は,一次得点と目標配信数とから現在時刻における誤差を計算する手段である。また,補正値計算部105は,誤差計算部104が計算した誤差と,補正値計算部105内部に記憶されている計算式により,選択されたコンテンツの現在時刻における補正値を計算する。
【0051】
補正部106は,補正値計算部105で計算された補正値により,一次得点を補正し,二次得点を出力する。配信コンテンツ選択部13は,補正部106が出力した二次得点に基づいて,コンテンツデータベース101に設定されたコンテンツごとの配信条件に従ってコンテンツを選択し出力する。
【0052】
前述した特願平11−255045号の「イベント情報提供方法」では,スケジュール内のアクションと対象をキーワードとした。しかし,アクションと対象についてしか得点計算ができないわけではない。例えばWebのサーチエンジンでは,検索と同時にバナー広告が配信され,検索結果と同一画面で閲覧できる。このような広告配信に本発明を利用する場合には,検索語をキーワードとして利用することも,もちろん可能である。
【0053】
以下で説明する処理は,特願平11−255045号の「イベント情報提供方法」に示されているシステムに本発明を適用したときの例である。このイベント情報提供システムは,ネットワークを介して,ユーザが個人やグループのスケジュールを登録し,参照することが可能なサービスを提供するカレンダーサービス提供装置において,ユーザの入力したスケジュールからユーザの行動を抽出し,その抽出した行動に基づいて,あらかじめ広告コンテンツに関する表示条件の記載されているコンテンツデータベース(広告選択表)から,送信する広告コンテンツを選択し,選択した広告コンテンツまたはその広告コンテンツへのURL(Uniform Resource Locator)をユーザ端末ヘ送信する。スケジュールから抽出する行動としてアクションと対象という複数の単語を抽出し,これら複数のキーワードを用いてコンテンツデータベース(広告選択表)を検索する。
【0054】
このカレンダーサービス提供装置では,ユーザからのアクセスがある度に,すべての広告コンテンツの得点を計算し,どのコンテンツを配信するかを決定する。
【0055】
図3に,コンテンツ表示回数制御部10の処理フローを示す。ここでは,配信数の時刻保証の方法を中心に説明するが,クリック数の時刻保証も可能である。その際には,配信数をクリック数に読み替えればよい。
【0056】
まず,ステップ201では,入力部11が得点を計算するコンテンツのID,キーワードとしてアクションと対象を入力し,これらの入力情報と,計算機内部で管理されている現在時刻を出力する。出力先は,得点計算部102と日標数計算部103である。得点計算部102と日標数計算部103は,これらの情報を入力し,以下の処理を行う。
【0057】
ステップ202は,得点計算部102における処理である。得点計算部102は,例えば以下の得点計算式で一次得点を計算する。
【0058】
一次得点=fmach+f(tpass) …(得点計算式)
この得点計算式で,fmachは,アクションと対象との一致度合いであり,
fmach=a×(アクション一致度)+b×(対象一致度)
である(a,bはアクションと対象の重み)。アクション一致度とは,入力された文中の行動を表すキーワードと,コンテンツに付与されているアクションを表すキーワードがどの程度一致したかを示す値である。対象一致度とは,入力された文中の行動の対象を表すキーワードと,コンテンツに付与されている行動の対象を表すキーワードがどの程度一致したかを示す値である。
【0059】
入力されたアクションと対象を表すキーワードと,コンテンツデータベース101でコンテンツごとに定められている配信条件のアクションと対象とが同一単語である場合または類義語である場合に,アクション一致度・対象一致度が正の値を持つ。これは,カレンダー表示に広告を配信する場合であるが,サーチエンジンの検索結果に対して広告を配信する場合には,この部分で,ユーザの入力した検索語との一致度を同様に計算する。
【0060】
経過時間(tpass)は,コンテンツの配信開始からの経過時間である。配信開始時刻は,各コンテンツごとに,コンテンツデータベース101内にあらかじめ定められる。コンテンツIDが分かっているので,コンテンツデータベース101のIDで指定された行の配信開始時刻カラムを参照することで,そのコンテンツの配信開始時刻が得られる。
【0061】
経過時間=現在時刻−配信開始時刻
で経過時間を計算する。
【0062】
f(tpass)={e/((tpass−c)2 +d)}+mtpass+n …[式1]
この[式1]は,経過時間により配信頻度を変化させるための式である。この式において,{ }内は,配信にピークを持たせるための項である。cがピーク時の経過時間,dはピークの時間的な鋭さ,つまり一定以上の値を出力する時間,eはピーク値をそれぞれ決定する値である。mtpassの項は,経過時間に比例して配信を増加または減少させる項,nの項は経過時間と関係なく一定の配信を行うための項である。
【0063】
なお,[式1]の係数は,コンテンツごとに指定されており,コンテンツデータベース101に保存される。コンテンツデータベース101のIDで指定された行の各係数のカラムを参照することで,そのコンテンツの係数が得られる。
【0064】
ステップ203では,目標数計算部103で現在時刻の目標配信数を計算する。目標数計算式は,以下のとおりである。なお,この式で∫0 tpass Xdtpassは,配信開始時から現時点までのXの積分を表す。
【0065】
目標数計算式は,あらかじめ広告クライアントにより定められている。どの時期にどの程度の頻度で配信するか,などが定められている。この式により,任意の時刻の目標配信数を得ることが可能になる。期間の終了時には,F(tpass)が最大インプレッションとなるように,それぞれの値を設定しておく。各係数は,コンテンツデータベース101内でコンテンツごとに設定されている。
【0066】
得点計算式の項f(tpass)は,F(tpass)をtpassで微分した関数である。これは,任意時刻の目標配信数の時間変化率を得点とすることを表す。
【0067】
本実施の形態では,任意時刻の目標数を得るために,上記の目標数計算式を用いた。目標数の計算式は,上記の式である必要があるわけではないが,ここでは,任意の時刻の目標配信数や目標配信数の時間変化率を得るための一例として上記の計算式を示した。
【0068】
これらが得られれば,目標数の指定の仕方はどのような計算式でも可能である。本発明のポイントは,目標数と実配信数から得点を補正することで,実配信数を目標数に近づけることである。
【0069】
図4に任意時刻の目標配信数F(tpass)のグラフ,図5に任意時刻の目標配信数の時間変化率f(tpass)のグラフを示す。これらのグラフは,横軸が配信開始からの経過時間,縦軸がそれぞれ任意時刻の目標配信数F(tpass),任意時刻の目標配信数の時間変化率f(tpass)である。
【0070】
これは,以下の条件で配信に時間的なピークを持つグラフである。
・配信期間を30日とする。(0≦tpass≦2592000[秒])
・10000回の配信数を確保する。つまり,配信期間の最終時の目標配信数が10000回になる。
・ピーク時刻は,20日経過後。c=1728000[秒]
・得点(任意時刻の配信頻度)を示すf(tpass)がピーク時の1/2以上の値を持つ期間が10日間。配信頻度の時間的なピークの鋭さを表すdは,
d=2.190×1011
・配信頻度f(tpass)のピーク時の値を表すeは,
e=2.190×1010
・経過時刻に比例して配信頻度を変化させる係数m,n,kは,0とする。
【0071】
図3のステップ204は,誤差計算部104で誤差を計算する処理であり,以下の式によって,目標配信数と実配信数との誤差を得る。
【0072】
なお,以上は,配信数の誤差を抑制するための式であるが,
とすれば,クリック数の誤差を抑制することが可能となる。
【0073】
ここで,目標クリック数は,目標配信数に一定値を掛けた値とする。また,
誤差=u×配信数誤差+v×クリック数誤差
とすれば,配信数誤差とクリック数誤差を同時に抑制することが可能になる。
【0074】
ステップ205は,補正値計算部105で補正値を計算する処理である。補正値Fg は以下の式で計算する。
【0075】
Fg =Cg z (ここで,z=Eg ×誤差)
Cg は,どの程度の補正を行うかを表す値であり,これが大きいほど誤差に対する補正値が大きな値となる。Cg =10,Eg =10としたときの,誤差・補正値のグラフを,図6に示す。縦軸が補正値Fg ,横軸が誤差である。
【0076】
Cg ,Eg は,配信されるコンテンツごとに設定できる。これにより,コンテンツごとにどの程度の精度で広告の配信を保証するかを設定することができる。すなわち,広告配信サービスの質(時刻に対する精度)をどの程度保証するかを,Cg ,Eg のパラメータでコンテンツごとに設定できる。
【0077】
ステップ206は,補正部106の処理である。ここでは,下記の得点補正式を用いて,補正値Fg により一次得点を補正し,コンテンツ得点score (二次得点)を出力する。
【0078】
コンテンツ得点score =一次得点×Fg …(得点補正式)
この場合,誤差が正,つまり実配信数が目標配信数より少ない場合には,Fg は1以上の値をとる。出力されるコンテンツ得点score は一次得点よりも大きな値となり,実配信数を増やす方向に得点が修正される。
【0079】
誤差が負,つまり実配信数が目標配信数より多い場合には,Fg は1以下の値をとる。出力される得点score は,一次得点よりも小さな値となり,実配信数を減少する方向に得点が修正される。
【0080】
以上の処理によって計算されたコンテンツ得点(二次得点)がコンテンツ表示回数制御部10から配信コンテンツ選択部13に通知され,配信コンテンツ選択部13によってコンテンツ得点が最も高いコンテンツがユーザ端末に配信される。
【0081】
これにより,広告クライアントの指定した実配信数の上限と下限の保証が可能になる。従来は,過去の配信実績により配信期間内の配信回数を統計的に予測し「実配信数が保証配信数を下回らない」ことを保証している。これに対して,本実施の形態の方法によると,任意時刻の誤差率が一定以下になる広告の配信が可能になる。すなわち,ある時点の実配信数は,その時点の目標配信数を一定の誤差率を超過して上回ることはないし,また,一定の誤差率を超えて下回ることもない。例えば,配信回数の誤差が常に+10%から−10%になるようにパラメータCg ,Eg を設定すれば,そのコンテンツの配信の誤差を,常にその範囲に抑えて配信することが可能である。
【0082】
また,途中段階で一次得点を計算している。これは,すべての配信広告について時刻保証を行うのではなく,あらかじめ定められたコンテンツに対してのみ時刻保証を行うためである。つまり,時刻保証を行わないコンテンツに対しては,一次得点をそのままコンテンツ得点として利用する。すなわち,保証を行うコンテンツに比べ,保証を行わないコンテンツは,配信数の誤差が大きくなる。サービスとして,コンテンツごとに保証を行うか行わないかの選択ができ,さらに保証を行うときには,どの程度で保証を行うかをコンテンツごとに指定できる。
【0083】
以上のように,配信数の時刻保証を行うことで,広告クライアントに対して,任意の形のパターンで広告を配信することを保証することが可能となる。また,クリック数の時刻保証を行うことで,広告クライアントに対して,任意の形のパターンで広告のクリックを得ることを保証することが可能となる。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,任意の時刻に対して配信数の目標値を設定することで,実配信数と目標配信数の誤差を任意時刻において計算できる。この誤差に基づいてコンテンツ得点の補正を行うことで,誤差を抑制する。誤差の抑制,すなわち配信数の時刻保証を行うことで,広告クライアントに対して,任意の形のパターンで広告を配信することを保証することが可能となる。また,クリック数の時刻保証を行うことで,広告クライアントに対して,任意の形のパターンで広告のクリックを得ることを保証することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成例を示すブロック図である。
【図2】コンテンツデータベースの例を示す図である。
【図3】コンテンツ表示回数制御部の処理フローを示す図である。
【図4】任意時刻の目標配信数F(tpass)のグラフを示す図である。
【図5】任意時刻の目標配信数の時間変化率f(tpass)のグラフを示す図である。
【図6】補正値と誤差のグラフを示す図である。
【符号の説明】
1 コンテンツ配信装置
10 コンテンツ表示回数制御部
11 入力部
12 コンテンツ登録部
13 配信コンテンツ選択部
101 コンテンツデータベース
102 得点計算部
103 目標数計算部
104 誤差計算部
105 補正値計算部
106 補正部
Claims (5)
- あらかじめ登録された複数のコンテンツから任意の個数を選択して配信するシステムにおけるコンテンツ表示回数制御方法において,
コンピュータが,
配信対象となる各コンテンツごとに,配信開始時刻,配信終了時刻,およびそれらの間のコンテンツ配信期間において目標配信数または目標クリック数の時間変化率が一定ではない目標数を指定する情報であって,横軸に時刻,縦軸にその時刻における目標数をとったグラフの形状を定めるパラメータまたは関数形式を指定する情報をデータベースに記憶する過程と,
配信対象となる各コンテンツごとに,配信するコンテンツを順序付けるための一次得点を,入力されたキーワードとコンテンツとの一致の程度を示す値に,現時刻におけるコンテンツ配信の目標数の時間変化率を加えて計算する過程と,
コンテンツ配信期間内のある時刻において,前記データベースに記憶された目標数を指定する情報に基づき,現時刻におけるコンテンツ配信の配信開始時刻からの目標配信数または目標クリック数を算出する過程と,
配信開始から現時点までの実際の配信数である実配信数と前記目標配信数との差または実際のクリック数である実クリック数と前記目標クリック数との差を算出する過程と,
前記算出した差により前記一次得点を補正するための補正値を算出する過程と,
前記補正値により前記一次得点を補正して二次得点を出力する過程と,
前記二次得点に基づいて配信するコンテンツを選択する過程とを有する
ことを特徴とするコンテンツ表示回数制御方法。 - あらかじめ登録された複数のコンテンツから任意の個数を選択して配信するシステムにおけるコンテンツ表示回数制御装置において,
配信対象となる各コンテンツごとに,配信開始時刻,配信終了時刻,およびそれらの間のコンテンツ配信期間において目標配信数または目標クリック数の時間変化率が一定ではない目標数を指定する情報であって,横軸に時刻,縦軸にその時刻における目標数をとったグラフの形状を定めるパラメータまたは関数形式を指定する情報を保持するデータベースと,
配信対象となる各コンテンツごとに,配信するコンテンツを順序付けるための一次得点を,入力されたキーワードとコンテンツとの一致の程度を示す値に,現時刻におけるコンテンツ配信の目標数の時間変化率を加えて計算する得点計算部と,
コンテンツ配信期間内のある時刻において,前記データベースに記憶された目標数を指定する情報に基づき,現時刻におけるコンテンツ配信の配信開始時刻からの目標配信数または目標クリック数を算出する目標数計算部と,
配信開始から現時点までの実際の配信数である実配信数と前記目標配信数との差または実際のクリック数である実クリック数と前記目標クリック数との差を算出する誤差計算部と,
前記誤差計算部の計算した差により前記一次得点を補正するための補正値を計算する補正値計算部と,
前記補正部計算部の計算した補正値により前記一次得点を補正して,配信するコンテンツを選択する基準となる二次得点を算出する補正部とを備える
ことを特徴とするコンテンツ表示回数制御装置。 - 請求項2記載のコンテンツ表示回数制御装置において,
前記誤差計算部では,各コンテンツの現在時刻の実配信数と前記目標配信数との差または実クリック数と前記目標クリック数との差を計算し,
前記補正部において実時間で前記一次得点の補正を行うことにより,
任意の時刻における目標配信数と実配信数との差または目標クリック数と実クリック数との差が抑制されるようにした
ことを特徴とするコンテンツ表示回数制御装置。 - 請求項2または請求項3記載のコンテンツ表示回数制御装置において,
前記補正値計算部は,各コンテンツごとにあらかじめ設定された目標数の誤差をどの程度まで許容するかを示す設定値に基づいて,補正値を算出する
ことを特徴とするコンテンツ表示回数制御装置。 - あらかじめ登録された複数のコンテンツから任意の個数を選択して配信するシステムにおいてコンテンツ表示回数を制御するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって,
配信対象となる各コンテンツごとに,配信開始時刻,配信終了時刻,およびそれらの間のコンテンツ配信期間において目標配信数または目標クリック数の時間変化率が一定ではない目標数を指定する情報であって,横軸に時刻,縦軸にその時刻における目標数をとったグラフの形状を定めるパラメータまたは関数形式を指定する情報をデータベースに記憶する処理と,
配信対象となる各コンテンツごとに,配信するコンテンツを順序付けるための一次得点を,入力されたキーワードとコンテンツとの一致の程度を示す値に,現時刻におけるコンテンツ配信の目標数の時間変化率を加えて計算する処理と,
コンテンツ配信期間内のある時刻において,前記データベースに記憶された目標数を指定する情報に基づき,現時刻におけるコンテンツ配信の配信開始時刻からの目標配信数または目標クリック数を算出する処理と,
配信開始から現時点までの実際の配信数である実配信数と前記目標配信数との差または実際のクリック数である実クリック数と前記目標クリック数との差を算出する処理と,
前記算出した差により前記一次得点を補正するための補正値を算出する処理と,
前記補正値により前記一次得点を補正して二次得点を出力する処理と,
前記二次得点に基づいて配信するコンテンツを選択する処理とを,
コンピュータに実行させるためのプログラムを記録した
ことを特徴とするコンテンツ表示回数制御用プログラム記録媒体。
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