JP3825093B2 - ナフチルアルカン酸アミド誘導体及び農園芸用殺菌剤 - Google Patents
ナフチルアルカン酸アミド誘導体及び農園芸用殺菌剤 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、文献未記載の新規化合物であるナフチルアルカン酸アミド誘導体及びこれを有効成分として含有する農園芸用殺菌剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまでに、N−(1−シアノ−1−シクロプロピルエチル)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−アセトアミド等のN−フェニルアセトアミノニトリル類は、3−アリール−ピロリジン−2,4−ジオン類の製造中間体として知られている(特開平6−220004号公報明細書)が、ナフチルアルカン酸アミド誘導体の農園芸用殺菌剤としての有用性は全く知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、農園芸用殺菌剤の多用により薬剤に対する耐性菌が出現し、既存の薬剤では十分な殺菌活性を表さないことがある。また、環境問題から低濃度で効率良く有害菌を防除できる新しい殺菌剤が求められている。本発明は、新規かつ優れた殺菌活性を有するナフチルアルカン酸アミド誘導体を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来知られた殺菌剤に優る殺菌活性を有する薬剤を開発するために、種々の新規なナフチルアルカン酸アミド誘導体を合成し、その生理活性について検討したところ、本発明化合物がイネいもち病等に対して優れた殺菌活性を有するとともに、有用作物に対しなんら害を及ぼさないことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(1)一般式[1]
【0005】
【化5】
[式中、R1は水素原子又はC1〜C6アルキル基を表し、R2は水素原子、C1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基又はC1〜C4ハロアルキル基を表し、R3及びR4はそれぞれ独立して、C1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C3〜C6シクロアルキル基、C2〜C6アルコキシアルキル基又はC1〜C4ハロアルキル基を表し、あるいはR3とR4は結合している炭素原子と共に5員〜7員環のシクロアルキル基(該基はC1〜C6アルキル基によって置換されていてもよい。)を表し、Qはシアノ基又は基−COR5(R5はヒドロキシ基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、C2〜C6アルケニルオキシ基、C2〜C6アルキニルオキシ基、C3〜C6シクロアルキルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、アミノ基、C1〜C6アルキルアミノ基又はC1〜C6ジアルキルアミノ基を表す。)を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C2〜C6アルキニル基、C3〜C6シクロアルキル基、C1〜C4ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基、C1〜C6アルコキシ基、C2〜C6アルケニルオキシ基、C2〜C6アルキニルオキシ基、C3〜C6シクロアルキルオキシ基、C1〜C4ハロアルコキシ基、ベンジルオキシ基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C4ハロアルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルフィニル基、C1〜C6アルキルスルホニル基、アミノ基、C1〜C6アルキルアミノ基、C1〜C6ジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、C1〜C6アルキルカルボニル基又はC1〜C6アルコキシカルボニル基を表し、nは1〜3の整数を表す。]にて表されるナフチルアルカン酸アミド誘導体及び(2)これらのナフチルアルカン酸アミド誘導体を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤である。
【0006】
【発明の実施の形態】
まず、本明細書において用いられる用語について、以下説明する。なお、本明細書における、例えば「C1〜C6」等の表記は、これに続く置換基の炭素数が、この場合では1乃至6であることを表している。
【0007】
C1〜C6アルキル基とは直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を表し、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3,3−ジメチルブチル基等を挙げることができる。
【0008】
C3〜C6シクロアルキル基とは例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0009】
C2〜C6アルコキシアルキル基とはアルコキシ基によって置換された直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を表し、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、イソプロピルオキシメチル基等を挙げることができる。
【0010】
C1〜C4ハロアルキル基とはハロゲン原子によって置換された直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を表し、例えばフルオロメチル基、クロロメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等を挙げることができる。
【0011】
C2〜C6アルケニル基とは直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基を表し、例えばビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基等を挙げることができる。
【0012】
C2〜C6アルキニル基とは直鎖又は分岐鎖状のアルキニル基を表し、例えばエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、4−メチル−1−ペンチニル基、3−メチル−1−ペンチニル基等を挙げることができる。
【0013】
ハロゲン原子とはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。
【0014】
C1〜C6アルコキシ基とは直鎖又は分岐鎖状のアルコキシ基を表し、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
【0015】
C2〜C6アルケニルオキシ基とは直鎖又は分岐鎖状のアルケニルオキシ基を表し、例えばアリルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基等を挙げることができる。
【0016】
C2〜C6アルキニルオキシ基とは直鎖又は分岐鎖状のアルキニルオキシ基を表し、例えば2−プロピニルオキシ基、2−ブチニルオキシ基、3−ブチニルオキシ基等を挙げることができる。
【0017】
C3〜C6シクロアルキルオキシ基とは例えばシクロプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
【0018】
C1〜C4ハロアルコキシ基とはハロゲン原子によって置換された直鎖又は分岐鎖状のアルコキシ基を表し、例えばフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基等を挙げることができる。
【0019】
C1〜C6アルキルチオ基とは直鎖又は分岐鎖状のアルキルチオ基を表し、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ヘキシルチオ基等を挙げることができる。
【0020】
C1〜C4ハロアルキルチオ基とはハロゲン原子によって置換された直鎖又は分岐鎖状のアルキルチオ基を表し、例えばフルオロメチルチオ基、ジフルオロメチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等を挙げることができる。
【0021】
C1〜C6アルキルスルフィニル基とは直鎖又は分岐鎖状のアルキルスルフィニル基を表し、例えばメチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、n−プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、n−ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、sec−ブチルスルフィニル基、tert−ブチルスルフィニル基、n−ヘキシルスルフィニル基等を挙げることができる。
【0022】
C1〜C6アルキルスルホニル基とは直鎖又は分岐鎖状のアルキルスルホニル基を表し、例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、n−ヘキシルスルホニル基等を挙げることができる。
【0023】
C1〜C6アルキルアミノ基とは直鎖又は分岐鎖状のアルキルアミノ基を表し、例えばメチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基等を挙げることができる。
【0024】
C1〜C6ジアルキルアミノ基とは例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等を挙げることができる。
【0025】
C1〜C6アルキルカルボニル基とは直鎖又は分岐鎖状のアルキルカルボニル基を表し、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基等を挙げることができる。
【0026】
C1〜C6アルコキシカルボニル基とは直鎖又は分岐鎖状のアルコキシカルボニル基を表し、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0027】
一般式[1]で表される本発明化合物の中には分子内に1個又は2個の不斉炭素原子を有しているものもあり、そのような化合物には光学異性体が存在する。純粋な個々のジアステレオマー、エナンチオマー及びこれらの混合物も本発明化合物に含まれる。
【0028】
一般式[1]で表される本発明化合物の好ましい化合物としては、R1が水素原子で、R2が水素原子又はメチル基で、R3がメチル基又はエチル基で、R4がエチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アリル基、シクロプロピル基又はジクロロメチル基で、Qがシアノ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基又はカルバモイル基で、Xが水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基、エトキシ基又はジフルオロメトキシ基で、nが1〜3の整数である化合物を挙げることができる。
【0029】
次に、一般式[1]で表される本発明化合物の具体例を表1〜表7に示すが、これらに限定されるものではない。
【0030】
表中の記号はそれぞれ以下の意味を表す。Meとはメチル基を表し、Etとはエチル基を表し、i−Prとはイソプロピル基を表し、t−Buとはタ−シャリー−ブチル基を表し、cyc−Prとはシクロプロピル基を表し、cyc−Penとはシクロペンチル基を表し、cyc−Hexとはシクロヘキシル基を表し、Phとはフェニル基を表し、CH2Phとはベンジル基を表す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】
一般式[1]で表される本発明化合物は、例えば以下に表す製造法に従って製造することができる。
【0039】
製造法1
【0040】
【化6】
(式中、R1、R2、R3、R4、X、Q及びnは前記と同じ意味を表す。)
【0041】
本発明化合物[1]は一般式[2]で表されるナフチルアルカン酸誘導体を、要すれば触媒及び/又は塩基の存在下に、縮合剤を用いて一般式[3]で表されるアミン類と反応させることにより製造することができる。
【0042】
この反応は通常、溶媒中で行なわれる。使用できる溶媒としては、反応を阻害しない溶媒であればよく、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等の酢酸エステル類、アセトニトリル、プロピオノニトリル等のニトリル類又はジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒か、あるいはこれらから選択される溶媒を組み合わせた混合溶媒を用いることができる。
【0043】
縮合剤としては、例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド等が挙げられる。
【0044】
触媒としては、例えば4−ジメチルアミノピリジン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0045】
塩基としては、この型の反応に一般的に用いられるものが使用できる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩類又はトリエチルアミン、トリメチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N−メチルピペリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)等の有機塩基等が挙げられ、好ましくはトリエチルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン等の第三級アミン類が挙げられる。
【0046】
反応温度は−50℃〜150℃の範囲、好ましくは0℃〜60℃の範囲において行われる。反応時間は1〜30時間が好ましい。
【0047】
次に、この製造法で使用する原料化合物の製造法を説明する。
【0048】
まず、一般式[2]で表される化合物は例えば、アセチルナフタレン類からWilgerodt−Kindler反応等の一般的な方法〔ジャーナル・オブ・オルガニック・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry),第9巻,第518頁(1944年)、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry),第13巻,第203頁(1970年)、テトラヘドロン(Tetrahedron),第44巻,第7319頁(1988年)〕により製造することができる。
【0049】
また、一般式[3]で表される化合物は例えば、ケトン類とシアン化ナトリウム及び塩化アンモニウムからStrecker法等の一般的な方法〔オルガニック・シンセセズ(Organic Syntheses),第3巻,第88頁(1955年)、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry),第9巻,第911頁(1966年)、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters),第17巻,第1455頁(1977年)〕により製造することができる。
【0050】
製造法2
【0051】
【化7】
(式中、R1、R2、R3、R4、X、Q及びnは前記と同じ意味を表し、Lはハロゲン原子を表す。)
【0052】
本発明化合物[1]は一般式[4]で表されるナフチルアルカン酸ハライド類を塩基の存在下に、一般式[3]で表されるアミン類と反応させることにより製造することができる。
【0053】
この反応は通常、溶媒中で行われる。使用できる溶媒としては、反応を阻害しない溶媒であればよく、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等の酢酸エステル類、アセトニトリル、プロピオノニトリル等のニトリル類又はN,N−ジメチルホルムアミド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒か、あるいはこれらから選択される溶媒を組み合わせた混合溶媒を用いることができる。
【0054】
塩基としては、この型の反応に一般的に用いられるものが使用できる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩類又はトリエチルアミン、トリメチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N−メチルピペリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)等の有機塩基等が挙げられ、好ましくはトリエチルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン等の第三級アミン類が挙げられる。
【0055】
反応温度は−50℃〜150℃の範囲、好ましくは0℃〜60℃の範囲において行われる。反応時間は1〜30時間が好ましい。
【0056】
次に、この製造法で使用する原料化合物の製造法を説明する。
【0057】
一般式[4]で表されるナフチルアルカン酸ハライド類は、前述の方法により製造された一般式[2]で表されるナフチルアルカン酸類を、例えば塩化チオニル、五塩化リン、三臭化リン等のハロゲン化剤と反応させることにより製造することができる。
【0058】
製造法3
【0059】
【化8】
(式中、R1、R2、R3、R4、X、及びnは、前記と同じ意味を表し、RはC1〜C6アルキル基を表す。)
【0060】
一般式[1−1]で表される本発明化合物を塩化水素で飽和された一般式[5]で表される炭素数1から6のアルコール類と反応させることにより、一般式[1−2]で表される本発明化合物を製造することができる。
【0061】
この反応は通常、溶媒中で行われる。使用できる溶媒としては、反応を阻害しない溶媒であればよく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類又はジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等の溶媒か、あるいはこれらから選択される溶媒を組み合わせた混合溶媒を用いることができる。
【0062】
反応温度は−50℃〜150℃の範囲、好ましくは0℃〜120℃の範囲において行われる。反応時間は1〜20時間が好ましい。
【0063】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明化合物の製造法、製剤法並びに用途を具体的に説明する。
【0064】
製造例1 N−(1−シアノ−1,2−ジメチルプロピル)−2−(2−ナフチル)アセトアミドの製造
ジクロロメタン50mlに2−ナフチル酢酸1.0g(5.4ミリモル)を溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩1.2g(6.3ミリモル)を室温で加え、10分間攪拌した。この混合物へ2−アミノ−2,3−ジメチルブチロニトリル0.6g(5.4ミリモル)を加え、室温で3時間撹拌した。反応終了後、反応液に水を加え、ジクロロメタン層を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にジクロロメタンを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、融点144〜145℃の目的物0.9g(収率60%)を得た。
【0065】
製造例2 N−(1−シアノ−1−シクロプロピルエチル)−2−(6−クロロ−2−ナフチル)アセトアミドの製造
テトラヒドロフラン20mlに2−アミノ−2−シクロプロピルプロピオノニトリル0.4g(3.6ミリモル)及びトリエチルアミン0.4g(4.0ミリモル)を溶解した。10℃で撹拌下、この混合物へ2−(6−クロロ−2−ナフチル)アセチルクロリド0.8g(3.4ミリモル)を5分間で滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌した。反応液を濃縮した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に酢酸エチルを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、融点140〜141℃の目的物0.8g(収率75%)を得た。
【0066】
製造例3 N−(1−シアノ−1,2−ジメチルプロピル)−2−(1−ナフチル)アセトアミドの製造
テトラヒドロフラン20mlに2−アミノ−2,3−ジメチルブチロニトリル0.5g(4.5ミリモル)及びトリエチルアミン0.6g(5.9ミリモル)を溶解した。10℃で撹拌下、この混合物へ2−(1−ナフチル)アセチルクロリド1.0g(4.5ミリモル)を5分間で滴下した。滴下終了後、室温で5時間撹拌した。反応液を濃縮し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に酢酸エチルを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、融点154〜155℃の目的物0.9g(収率72%)を得た。
【0067】
製造例4 N−(1−シアノ−1,2−ジメチルプロピル)−2−(2−ナフチル)プロピオンアミドの製造
ジクロロメタン50mlに2−(2−ナフチル)プロピオン酸1.0g(5.0ミリモル)を溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩1.2g(6.3ミリモル)を室温で加え、10分間攪拌した。この混合物へ2−アミノ−2,3−ジメチルブチロニトリル0.7g(6.2ミリモル)を加え、室温で3時間撹拌した。反応終了後、反応液に水を加え、ジクロロメタン層を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にジクロロメタンを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、融点152〜153℃のジアステレオマーA体(低極性体)0.25g(収率17%)及び融点141〜143℃のジアステレオマーB体(高極性体)0.25g(収率17%)を得た。
【0068】
製造例5 N−(1−カルバモイル−1,2−ジメチルプロピル)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオンアミドの製造
テトラヒドロフラン50mlに2−アミノ−2,3−ジメチルブチルアミド0.7g(5.4ミリモル)及びトリエチルアミン0.6g(5.9ミリモル)を懸濁した。室温で撹拌下、この懸濁液へテトラヒドロフラン溶液5mlに溶解した2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオニルクロリド1.2g(4.8ミリモル)を5分間で滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌した。反応液を濃縮し、水を加え、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にクロロホルムを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、融点162〜163℃のジアステレオマーA体(低極性体)0.4g(収率24%)及び融点149〜151℃のジアステレオマーB体(高極性体)0.5g(収率30%)を得た。
【0069】
製造例6 エチル 2−[1−(2−ナフチル)エチルカルボニルアミノ]−2−メチル−4−ペンテノエートの製造
テトラヒドロフラン20mlにエチル 2−アミノ−2−メチル−4−ペンテノエート0.5g(3.2ミリモル)及びトリエチルアミン0.3g(3.2ミリモル)を溶解した。室温で撹拌下、この混合物へ2−(2−ナフチル)プロピオニルクロリド0.7g(3.2ミリモル)を5分間で滴下した。滴下終了後、室温で4時間撹拌した。反応液を濃縮し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に酢酸エチルを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、融点56〜58℃のジアステレオマーA体(低極性体)0.34g(収率31%)及び屈折率1.5545の油状物としてジアステレオマーB体(高極性体)0.19g(収率17%)を得た。
【0070】
製造例7 メチル 2−[1−(2−ナフチル)エチルカルボニルアミノ]−2,3−ジメチルブチレートの製造
塩化水素飽和メタノール10mlにN−(1−カルバモイル−1,2−ジメチルプロピル)−2−(2−ナフチル)プロピオンアミド0.6g(1.9ミリモル)を溶解し、加熱還流下、3時間撹拌した。反応液を濃縮した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に酢酸エチルを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、融点79〜81℃の目的物0.5g(収率80%)を得た。
【0071】
製造例1〜製造例7に示した方法に準じて製造した本発明化合物の実施例を、上の製造例で示した化合物とともに表8〜表11に示す。
【0072】
なお、異性体AとはジアステレオマーA体、異性体BとはジアステレオマーB体をそれぞれ表し、異性体Mとはジアステレオマー混合物を表す。ジアステレオマーA体とはシリカゲルカラムクロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィー等によって分離された低極性のジアステレオマーを表し、ジアステレオマーB体とは同様に分離された高極性のジアステレオマーを表す。
【0073】
【表8】
【0074】
【表9】
【0075】
【表10】
【0076】
【表11】
【0077】
化合物番号2−5及び化合物番号2−6は光学活性体であり、比旋光度はそれぞれ[α]D 21.6=+19.64(c=1.02,CHCl3)、[α]D22.4=+61.37(c=1.03,CHCl3)である。
【0078】
本発明の農園芸用殺菌剤は一般式〔I〕で示されるナフチルアルカン酸アミド誘導体を有効成分として含有してなる。本発明化合物を農園芸用殺菌剤として使用する場合には、その目的に応じて有効成分を適当な剤型で用いることができる。通常は有効成分を不活性な液体または固体の担体で希釈し、必要に応じて界面活性剤、その他をこれに加え、粉剤、水和剤、乳剤、粒剤等の製剤形態で使用できる。
【0079】
好適な担体としては、例えばタルク、ベントナイト、クレー、カオリン、珪藻土、ホワイトカーボン、バーミキュライト、消石灰、珪砂、硫安、尿素等の固体担体、イソプロピルアルコール、キシレン、シクロヘキサノン、メチルナフタレン等の液体担体等があげられる。界面活性剤及び分散剤としては、例えばジナフチルメタンスルホン酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレート等があげられる。補助剤としてはカルボキシメチルセルロース等があげられる。これらの製剤を適宜な濃度に希釈して散布するか、または直接施用する。
【0080】
本発明の農園芸用殺菌剤は茎葉散布、土壌施用または水面施用等により使用することができる。有効成分の配合割合は必要に応じ適宜選ばれるが、粉剤及び粒剤とする場合は0.1〜20%(重量)、また乳剤及び水和剤とする場合は5〜80%(重量)が適当である。
【0081】
本発明の農園芸用殺菌剤の施用量は、使用される化合物の種類、対象病害、発生傾向、被害の程度、環境条件、使用する剤型などによって変動する。例えば粉剤及び粒剤のようにそのまま使用する場合には、有効成分で10アール当り0.1g〜5kg、好ましくは1g〜1kgの範囲から適宜選ぶのがよい。また、乳剤及び水和剤のように液状で使用する場合には、0.1ppm〜10,000ppm、好ましくは10〜3,000ppmの範囲から適宜選ぶのがよい。
【0082】
本発明による化合物は上記の施用形態により、藻菌類(Oomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、不完全菌類(Deuteromycetes)、及び担子菌類(Basidiomycetes)に属する菌に起因する植物病を防除できる。次に具体的な菌名を非限定例としてあげる。シュウドペロノスポラ(Pseudoperonospora)属、例えばべと病菌(Pseudoperonospora cubensis)、スフェロテカ(Sphaerotheca)属、例えばうどんこ病菌(Sphaerotheca fuliginea)、ベンチュリア(Venturia)属、例えば黒星病菌(Venturia inaequalis)、ピリキュラリア(Pyricularia)属、例えばいもち病菌(Pyricularia oryzae)、ジベレラ(Gibberella)属、例えばばか苗病菌(Gibberella fujikuroi)、ボトリチス(Botrytis)属、例えば灰色かび病菌(Botrytis cinerea)、アルタナリア(Alternaria)属、例えばコマツナ黒すす病菌(Alternaria brassicicola)、リゾクトニア(Rhizoctonia)属、例えば紋枯病菌(Rhizoctonia solani)、パクシニア(Puccinia)属、例えばさび病菌(Puccinia recondita)。
【0083】
さらに、本発明の化合物は必要に応じて殺虫剤、他の殺菌剤、除草剤、植物生長調節剤、肥料等と混用してもよい。次に本発明の農園芸用殺菌剤の代表的な製剤例を挙げて製剤方法を具体的に説明する。以下の説明において「%」は重量百分率を示す。
【0084】
製剤例1 粉剤
化合物(1−1)2%、珪藻土5%及びクレ−93%を均一に混合粉砕して粉剤とした。
【0085】
製剤例2 水和剤
化合物(1−5)50%、珪藻土45%、ジナフチルメタンジスルホン酸ナトリウム2%及びリグニンスルホン酸ナトリウム3%を均一に混合粉砕して水和剤とした。
【0086】
製剤例3 乳剤
化合物(2−2)30%、シクロヘキサノン20%、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル11%、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム4%及びメチルナフタリン35%を均一に溶解して乳剤とした。
【0087】
製剤例4 粒剤
化合物(2−13)5%、ラウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩2%、リグニンスルホン酸ナトリウム5%、カルボキシメチルセルロース2%及びクレー86%を均一に混合粉砕する。この混合物に水20%相当量の水を加えて練合し、押出式造粒機を用いて14〜32メッシュの粒状に加工したのち、乾燥して粒剤とした。
【0088】
次に本発明の農園芸用殺菌剤の奏する効果を試験例をあげて具体的に説明する。尚、比較薬剤としては、特開平6−220004号公報明細書記載のN−(1−シアノ−1−シクロプロピルエチル)−2−(2,4−ジクロロフェニル)アセトアミドを同様に製剤して供試した。
【0089】
試験例1 イネいもち病予防効果試験
直径7cmの素焼鉢に水稲種子(品種:愛知旭)約15粒ずつ播種し、温室内で2〜3週間育成した。第4葉が完全に展開したイネ苗に製剤例2に準じて調製した水和剤を有効成分濃度が500ppmになるように水で希釈し、1鉢当り10ml散布した。風乾後、イネいもち病菌(Pyricularia oryzae)の分生胞子懸濁液を噴霧接種し、直ちに25℃の湿室内に24時間入れた。その後温室内に移し、接種5日後に第4葉の病斑数を調査した。数1により防除価を求め、表12の基準により評価した結果を表13に示した。
【0090】
【数1】
【0091】
【表12】
【0092】
【表13】
【0093】
試験例2 イネいもち病水面施用試験
直径9cmの白磁鉢に1.5葉期の水稲(品種:愛知旭)稚苗を3茎ずつ4カ所に移植し、温室内で育成した。2.5葉期に製剤例2に準じて調製した水和剤を有効成分濃度が10アールあたり300gになるように鉢に水面施用処理をした。処理10日後に、イネいもち病菌(Pyricularia oryzae)の分生胞子懸濁液を噴霧接種し、直ちに25℃の湿室内に24時間入れた。その後温室内に移し、接種5日後に接種時の最高位葉の病斑数を調査した。数1により防除価を求め、表12の基準により評価した結果を表14に示した。
【0094】
【表14】
【0095】
【発明の効果】
本発明の農園芸用殺菌剤はイネいもち病などに対して高い防除効果を有し、しかも公知化合物に比較しても明らかに優る防除効果である。しかも作物に薬害を生ずることなく、残効性、耐雨性に優れるという特徴をも併せ持っている。
【発明の属する技術分野】
本発明は、文献未記載の新規化合物であるナフチルアルカン酸アミド誘導体及びこれを有効成分として含有する農園芸用殺菌剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまでに、N−(1−シアノ−1−シクロプロピルエチル)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−アセトアミド等のN−フェニルアセトアミノニトリル類は、3−アリール−ピロリジン−2,4−ジオン類の製造中間体として知られている(特開平6−220004号公報明細書)が、ナフチルアルカン酸アミド誘導体の農園芸用殺菌剤としての有用性は全く知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、農園芸用殺菌剤の多用により薬剤に対する耐性菌が出現し、既存の薬剤では十分な殺菌活性を表さないことがある。また、環境問題から低濃度で効率良く有害菌を防除できる新しい殺菌剤が求められている。本発明は、新規かつ優れた殺菌活性を有するナフチルアルカン酸アミド誘導体を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来知られた殺菌剤に優る殺菌活性を有する薬剤を開発するために、種々の新規なナフチルアルカン酸アミド誘導体を合成し、その生理活性について検討したところ、本発明化合物がイネいもち病等に対して優れた殺菌活性を有するとともに、有用作物に対しなんら害を及ぼさないことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(1)一般式[1]
【0005】
【化5】
[式中、R1は水素原子又はC1〜C6アルキル基を表し、R2は水素原子、C1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基又はC1〜C4ハロアルキル基を表し、R3及びR4はそれぞれ独立して、C1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C3〜C6シクロアルキル基、C2〜C6アルコキシアルキル基又はC1〜C4ハロアルキル基を表し、あるいはR3とR4は結合している炭素原子と共に5員〜7員環のシクロアルキル基(該基はC1〜C6アルキル基によって置換されていてもよい。)を表し、Qはシアノ基又は基−COR5(R5はヒドロキシ基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、C2〜C6アルケニルオキシ基、C2〜C6アルキニルオキシ基、C3〜C6シクロアルキルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、アミノ基、C1〜C6アルキルアミノ基又はC1〜C6ジアルキルアミノ基を表す。)を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C2〜C6アルキニル基、C3〜C6シクロアルキル基、C1〜C4ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基、C1〜C6アルコキシ基、C2〜C6アルケニルオキシ基、C2〜C6アルキニルオキシ基、C3〜C6シクロアルキルオキシ基、C1〜C4ハロアルコキシ基、ベンジルオキシ基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C4ハロアルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルフィニル基、C1〜C6アルキルスルホニル基、アミノ基、C1〜C6アルキルアミノ基、C1〜C6ジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、C1〜C6アルキルカルボニル基又はC1〜C6アルコキシカルボニル基を表し、nは1〜3の整数を表す。]にて表されるナフチルアルカン酸アミド誘導体及び(2)これらのナフチルアルカン酸アミド誘導体を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤である。
【0006】
【発明の実施の形態】
まず、本明細書において用いられる用語について、以下説明する。なお、本明細書における、例えば「C1〜C6」等の表記は、これに続く置換基の炭素数が、この場合では1乃至6であることを表している。
【0007】
C1〜C6アルキル基とは直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を表し、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3,3−ジメチルブチル基等を挙げることができる。
【0008】
C3〜C6シクロアルキル基とは例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0009】
C2〜C6アルコキシアルキル基とはアルコキシ基によって置換された直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を表し、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、イソプロピルオキシメチル基等を挙げることができる。
【0010】
C1〜C4ハロアルキル基とはハロゲン原子によって置換された直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を表し、例えばフルオロメチル基、クロロメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等を挙げることができる。
【0011】
C2〜C6アルケニル基とは直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基を表し、例えばビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基等を挙げることができる。
【0012】
C2〜C6アルキニル基とは直鎖又は分岐鎖状のアルキニル基を表し、例えばエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、4−メチル−1−ペンチニル基、3−メチル−1−ペンチニル基等を挙げることができる。
【0013】
ハロゲン原子とはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。
【0014】
C1〜C6アルコキシ基とは直鎖又は分岐鎖状のアルコキシ基を表し、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
【0015】
C2〜C6アルケニルオキシ基とは直鎖又は分岐鎖状のアルケニルオキシ基を表し、例えばアリルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基等を挙げることができる。
【0016】
C2〜C6アルキニルオキシ基とは直鎖又は分岐鎖状のアルキニルオキシ基を表し、例えば2−プロピニルオキシ基、2−ブチニルオキシ基、3−ブチニルオキシ基等を挙げることができる。
【0017】
C3〜C6シクロアルキルオキシ基とは例えばシクロプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
【0018】
C1〜C4ハロアルコキシ基とはハロゲン原子によって置換された直鎖又は分岐鎖状のアルコキシ基を表し、例えばフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基等を挙げることができる。
【0019】
C1〜C6アルキルチオ基とは直鎖又は分岐鎖状のアルキルチオ基を表し、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ヘキシルチオ基等を挙げることができる。
【0020】
C1〜C4ハロアルキルチオ基とはハロゲン原子によって置換された直鎖又は分岐鎖状のアルキルチオ基を表し、例えばフルオロメチルチオ基、ジフルオロメチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等を挙げることができる。
【0021】
C1〜C6アルキルスルフィニル基とは直鎖又は分岐鎖状のアルキルスルフィニル基を表し、例えばメチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、n−プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、n−ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、sec−ブチルスルフィニル基、tert−ブチルスルフィニル基、n−ヘキシルスルフィニル基等を挙げることができる。
【0022】
C1〜C6アルキルスルホニル基とは直鎖又は分岐鎖状のアルキルスルホニル基を表し、例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、n−ヘキシルスルホニル基等を挙げることができる。
【0023】
C1〜C6アルキルアミノ基とは直鎖又は分岐鎖状のアルキルアミノ基を表し、例えばメチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基等を挙げることができる。
【0024】
C1〜C6ジアルキルアミノ基とは例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等を挙げることができる。
【0025】
C1〜C6アルキルカルボニル基とは直鎖又は分岐鎖状のアルキルカルボニル基を表し、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基等を挙げることができる。
【0026】
C1〜C6アルコキシカルボニル基とは直鎖又は分岐鎖状のアルコキシカルボニル基を表し、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0027】
一般式[1]で表される本発明化合物の中には分子内に1個又は2個の不斉炭素原子を有しているものもあり、そのような化合物には光学異性体が存在する。純粋な個々のジアステレオマー、エナンチオマー及びこれらの混合物も本発明化合物に含まれる。
【0028】
一般式[1]で表される本発明化合物の好ましい化合物としては、R1が水素原子で、R2が水素原子又はメチル基で、R3がメチル基又はエチル基で、R4がエチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アリル基、シクロプロピル基又はジクロロメチル基で、Qがシアノ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基又はカルバモイル基で、Xが水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基、エトキシ基又はジフルオロメトキシ基で、nが1〜3の整数である化合物を挙げることができる。
【0029】
次に、一般式[1]で表される本発明化合物の具体例を表1〜表7に示すが、これらに限定されるものではない。
【0030】
表中の記号はそれぞれ以下の意味を表す。Meとはメチル基を表し、Etとはエチル基を表し、i−Prとはイソプロピル基を表し、t−Buとはタ−シャリー−ブチル基を表し、cyc−Prとはシクロプロピル基を表し、cyc−Penとはシクロペンチル基を表し、cyc−Hexとはシクロヘキシル基を表し、Phとはフェニル基を表し、CH2Phとはベンジル基を表す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】
一般式[1]で表される本発明化合物は、例えば以下に表す製造法に従って製造することができる。
【0039】
製造法1
【0040】
【化6】
(式中、R1、R2、R3、R4、X、Q及びnは前記と同じ意味を表す。)
【0041】
本発明化合物[1]は一般式[2]で表されるナフチルアルカン酸誘導体を、要すれば触媒及び/又は塩基の存在下に、縮合剤を用いて一般式[3]で表されるアミン類と反応させることにより製造することができる。
【0042】
この反応は通常、溶媒中で行なわれる。使用できる溶媒としては、反応を阻害しない溶媒であればよく、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等の酢酸エステル類、アセトニトリル、プロピオノニトリル等のニトリル類又はジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒か、あるいはこれらから選択される溶媒を組み合わせた混合溶媒を用いることができる。
【0043】
縮合剤としては、例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド等が挙げられる。
【0044】
触媒としては、例えば4−ジメチルアミノピリジン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0045】
塩基としては、この型の反応に一般的に用いられるものが使用できる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩類又はトリエチルアミン、トリメチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N−メチルピペリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)等の有機塩基等が挙げられ、好ましくはトリエチルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン等の第三級アミン類が挙げられる。
【0046】
反応温度は−50℃〜150℃の範囲、好ましくは0℃〜60℃の範囲において行われる。反応時間は1〜30時間が好ましい。
【0047】
次に、この製造法で使用する原料化合物の製造法を説明する。
【0048】
まず、一般式[2]で表される化合物は例えば、アセチルナフタレン類からWilgerodt−Kindler反応等の一般的な方法〔ジャーナル・オブ・オルガニック・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry),第9巻,第518頁(1944年)、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry),第13巻,第203頁(1970年)、テトラヘドロン(Tetrahedron),第44巻,第7319頁(1988年)〕により製造することができる。
【0049】
また、一般式[3]で表される化合物は例えば、ケトン類とシアン化ナトリウム及び塩化アンモニウムからStrecker法等の一般的な方法〔オルガニック・シンセセズ(Organic Syntheses),第3巻,第88頁(1955年)、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry),第9巻,第911頁(1966年)、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters),第17巻,第1455頁(1977年)〕により製造することができる。
【0050】
製造法2
【0051】
【化7】
(式中、R1、R2、R3、R4、X、Q及びnは前記と同じ意味を表し、Lはハロゲン原子を表す。)
【0052】
本発明化合物[1]は一般式[4]で表されるナフチルアルカン酸ハライド類を塩基の存在下に、一般式[3]で表されるアミン類と反応させることにより製造することができる。
【0053】
この反応は通常、溶媒中で行われる。使用できる溶媒としては、反応を阻害しない溶媒であればよく、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等の酢酸エステル類、アセトニトリル、プロピオノニトリル等のニトリル類又はN,N−ジメチルホルムアミド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒か、あるいはこれらから選択される溶媒を組み合わせた混合溶媒を用いることができる。
【0054】
塩基としては、この型の反応に一般的に用いられるものが使用できる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩類又はトリエチルアミン、トリメチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N−メチルピペリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)等の有機塩基等が挙げられ、好ましくはトリエチルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン等の第三級アミン類が挙げられる。
【0055】
反応温度は−50℃〜150℃の範囲、好ましくは0℃〜60℃の範囲において行われる。反応時間は1〜30時間が好ましい。
【0056】
次に、この製造法で使用する原料化合物の製造法を説明する。
【0057】
一般式[4]で表されるナフチルアルカン酸ハライド類は、前述の方法により製造された一般式[2]で表されるナフチルアルカン酸類を、例えば塩化チオニル、五塩化リン、三臭化リン等のハロゲン化剤と反応させることにより製造することができる。
【0058】
製造法3
【0059】
【化8】
(式中、R1、R2、R3、R4、X、及びnは、前記と同じ意味を表し、RはC1〜C6アルキル基を表す。)
【0060】
一般式[1−1]で表される本発明化合物を塩化水素で飽和された一般式[5]で表される炭素数1から6のアルコール類と反応させることにより、一般式[1−2]で表される本発明化合物を製造することができる。
【0061】
この反応は通常、溶媒中で行われる。使用できる溶媒としては、反応を阻害しない溶媒であればよく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類又はジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等の溶媒か、あるいはこれらから選択される溶媒を組み合わせた混合溶媒を用いることができる。
【0062】
反応温度は−50℃〜150℃の範囲、好ましくは0℃〜120℃の範囲において行われる。反応時間は1〜20時間が好ましい。
【0063】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明化合物の製造法、製剤法並びに用途を具体的に説明する。
【0064】
製造例1 N−(1−シアノ−1,2−ジメチルプロピル)−2−(2−ナフチル)アセトアミドの製造
ジクロロメタン50mlに2−ナフチル酢酸1.0g(5.4ミリモル)を溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩1.2g(6.3ミリモル)を室温で加え、10分間攪拌した。この混合物へ2−アミノ−2,3−ジメチルブチロニトリル0.6g(5.4ミリモル)を加え、室温で3時間撹拌した。反応終了後、反応液に水を加え、ジクロロメタン層を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にジクロロメタンを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、融点144〜145℃の目的物0.9g(収率60%)を得た。
【0065】
製造例2 N−(1−シアノ−1−シクロプロピルエチル)−2−(6−クロロ−2−ナフチル)アセトアミドの製造
テトラヒドロフラン20mlに2−アミノ−2−シクロプロピルプロピオノニトリル0.4g(3.6ミリモル)及びトリエチルアミン0.4g(4.0ミリモル)を溶解した。10℃で撹拌下、この混合物へ2−(6−クロロ−2−ナフチル)アセチルクロリド0.8g(3.4ミリモル)を5分間で滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌した。反応液を濃縮した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に酢酸エチルを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、融点140〜141℃の目的物0.8g(収率75%)を得た。
【0066】
製造例3 N−(1−シアノ−1,2−ジメチルプロピル)−2−(1−ナフチル)アセトアミドの製造
テトラヒドロフラン20mlに2−アミノ−2,3−ジメチルブチロニトリル0.5g(4.5ミリモル)及びトリエチルアミン0.6g(5.9ミリモル)を溶解した。10℃で撹拌下、この混合物へ2−(1−ナフチル)アセチルクロリド1.0g(4.5ミリモル)を5分間で滴下した。滴下終了後、室温で5時間撹拌した。反応液を濃縮し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に酢酸エチルを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、融点154〜155℃の目的物0.9g(収率72%)を得た。
【0067】
製造例4 N−(1−シアノ−1,2−ジメチルプロピル)−2−(2−ナフチル)プロピオンアミドの製造
ジクロロメタン50mlに2−(2−ナフチル)プロピオン酸1.0g(5.0ミリモル)を溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩1.2g(6.3ミリモル)を室温で加え、10分間攪拌した。この混合物へ2−アミノ−2,3−ジメチルブチロニトリル0.7g(6.2ミリモル)を加え、室温で3時間撹拌した。反応終了後、反応液に水を加え、ジクロロメタン層を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にジクロロメタンを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、融点152〜153℃のジアステレオマーA体(低極性体)0.25g(収率17%)及び融点141〜143℃のジアステレオマーB体(高極性体)0.25g(収率17%)を得た。
【0068】
製造例5 N−(1−カルバモイル−1,2−ジメチルプロピル)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオンアミドの製造
テトラヒドロフラン50mlに2−アミノ−2,3−ジメチルブチルアミド0.7g(5.4ミリモル)及びトリエチルアミン0.6g(5.9ミリモル)を懸濁した。室温で撹拌下、この懸濁液へテトラヒドロフラン溶液5mlに溶解した2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオニルクロリド1.2g(4.8ミリモル)を5分間で滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌した。反応液を濃縮し、水を加え、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下にクロロホルムを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、融点162〜163℃のジアステレオマーA体(低極性体)0.4g(収率24%)及び融点149〜151℃のジアステレオマーB体(高極性体)0.5g(収率30%)を得た。
【0069】
製造例6 エチル 2−[1−(2−ナフチル)エチルカルボニルアミノ]−2−メチル−4−ペンテノエートの製造
テトラヒドロフラン20mlにエチル 2−アミノ−2−メチル−4−ペンテノエート0.5g(3.2ミリモル)及びトリエチルアミン0.3g(3.2ミリモル)を溶解した。室温で撹拌下、この混合物へ2−(2−ナフチル)プロピオニルクロリド0.7g(3.2ミリモル)を5分間で滴下した。滴下終了後、室温で4時間撹拌した。反応液を濃縮し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に酢酸エチルを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、融点56〜58℃のジアステレオマーA体(低極性体)0.34g(収率31%)及び屈折率1.5545の油状物としてジアステレオマーB体(高極性体)0.19g(収率17%)を得た。
【0070】
製造例7 メチル 2−[1−(2−ナフチル)エチルカルボニルアミノ]−2,3−ジメチルブチレートの製造
塩化水素飽和メタノール10mlにN−(1−カルバモイル−1,2−ジメチルプロピル)−2−(2−ナフチル)プロピオンアミド0.6g(1.9ミリモル)を溶解し、加熱還流下、3時間撹拌した。反応液を濃縮した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に酢酸エチルを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、融点79〜81℃の目的物0.5g(収率80%)を得た。
【0071】
製造例1〜製造例7に示した方法に準じて製造した本発明化合物の実施例を、上の製造例で示した化合物とともに表8〜表11に示す。
【0072】
なお、異性体AとはジアステレオマーA体、異性体BとはジアステレオマーB体をそれぞれ表し、異性体Mとはジアステレオマー混合物を表す。ジアステレオマーA体とはシリカゲルカラムクロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィー等によって分離された低極性のジアステレオマーを表し、ジアステレオマーB体とは同様に分離された高極性のジアステレオマーを表す。
【0073】
【表8】
【0074】
【表9】
【0075】
【表10】
【0076】
【表11】
【0077】
化合物番号2−5及び化合物番号2−6は光学活性体であり、比旋光度はそれぞれ[α]D 21.6=+19.64(c=1.02,CHCl3)、[α]D22.4=+61.37(c=1.03,CHCl3)である。
【0078】
本発明の農園芸用殺菌剤は一般式〔I〕で示されるナフチルアルカン酸アミド誘導体を有効成分として含有してなる。本発明化合物を農園芸用殺菌剤として使用する場合には、その目的に応じて有効成分を適当な剤型で用いることができる。通常は有効成分を不活性な液体または固体の担体で希釈し、必要に応じて界面活性剤、その他をこれに加え、粉剤、水和剤、乳剤、粒剤等の製剤形態で使用できる。
【0079】
好適な担体としては、例えばタルク、ベントナイト、クレー、カオリン、珪藻土、ホワイトカーボン、バーミキュライト、消石灰、珪砂、硫安、尿素等の固体担体、イソプロピルアルコール、キシレン、シクロヘキサノン、メチルナフタレン等の液体担体等があげられる。界面活性剤及び分散剤としては、例えばジナフチルメタンスルホン酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレート等があげられる。補助剤としてはカルボキシメチルセルロース等があげられる。これらの製剤を適宜な濃度に希釈して散布するか、または直接施用する。
【0080】
本発明の農園芸用殺菌剤は茎葉散布、土壌施用または水面施用等により使用することができる。有効成分の配合割合は必要に応じ適宜選ばれるが、粉剤及び粒剤とする場合は0.1〜20%(重量)、また乳剤及び水和剤とする場合は5〜80%(重量)が適当である。
【0081】
本発明の農園芸用殺菌剤の施用量は、使用される化合物の種類、対象病害、発生傾向、被害の程度、環境条件、使用する剤型などによって変動する。例えば粉剤及び粒剤のようにそのまま使用する場合には、有効成分で10アール当り0.1g〜5kg、好ましくは1g〜1kgの範囲から適宜選ぶのがよい。また、乳剤及び水和剤のように液状で使用する場合には、0.1ppm〜10,000ppm、好ましくは10〜3,000ppmの範囲から適宜選ぶのがよい。
【0082】
本発明による化合物は上記の施用形態により、藻菌類(Oomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、不完全菌類(Deuteromycetes)、及び担子菌類(Basidiomycetes)に属する菌に起因する植物病を防除できる。次に具体的な菌名を非限定例としてあげる。シュウドペロノスポラ(Pseudoperonospora)属、例えばべと病菌(Pseudoperonospora cubensis)、スフェロテカ(Sphaerotheca)属、例えばうどんこ病菌(Sphaerotheca fuliginea)、ベンチュリア(Venturia)属、例えば黒星病菌(Venturia inaequalis)、ピリキュラリア(Pyricularia)属、例えばいもち病菌(Pyricularia oryzae)、ジベレラ(Gibberella)属、例えばばか苗病菌(Gibberella fujikuroi)、ボトリチス(Botrytis)属、例えば灰色かび病菌(Botrytis cinerea)、アルタナリア(Alternaria)属、例えばコマツナ黒すす病菌(Alternaria brassicicola)、リゾクトニア(Rhizoctonia)属、例えば紋枯病菌(Rhizoctonia solani)、パクシニア(Puccinia)属、例えばさび病菌(Puccinia recondita)。
【0083】
さらに、本発明の化合物は必要に応じて殺虫剤、他の殺菌剤、除草剤、植物生長調節剤、肥料等と混用してもよい。次に本発明の農園芸用殺菌剤の代表的な製剤例を挙げて製剤方法を具体的に説明する。以下の説明において「%」は重量百分率を示す。
【0084】
製剤例1 粉剤
化合物(1−1)2%、珪藻土5%及びクレ−93%を均一に混合粉砕して粉剤とした。
【0085】
製剤例2 水和剤
化合物(1−5)50%、珪藻土45%、ジナフチルメタンジスルホン酸ナトリウム2%及びリグニンスルホン酸ナトリウム3%を均一に混合粉砕して水和剤とした。
【0086】
製剤例3 乳剤
化合物(2−2)30%、シクロヘキサノン20%、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル11%、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム4%及びメチルナフタリン35%を均一に溶解して乳剤とした。
【0087】
製剤例4 粒剤
化合物(2−13)5%、ラウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩2%、リグニンスルホン酸ナトリウム5%、カルボキシメチルセルロース2%及びクレー86%を均一に混合粉砕する。この混合物に水20%相当量の水を加えて練合し、押出式造粒機を用いて14〜32メッシュの粒状に加工したのち、乾燥して粒剤とした。
【0088】
次に本発明の農園芸用殺菌剤の奏する効果を試験例をあげて具体的に説明する。尚、比較薬剤としては、特開平6−220004号公報明細書記載のN−(1−シアノ−1−シクロプロピルエチル)−2−(2,4−ジクロロフェニル)アセトアミドを同様に製剤して供試した。
【0089】
試験例1 イネいもち病予防効果試験
直径7cmの素焼鉢に水稲種子(品種:愛知旭)約15粒ずつ播種し、温室内で2〜3週間育成した。第4葉が完全に展開したイネ苗に製剤例2に準じて調製した水和剤を有効成分濃度が500ppmになるように水で希釈し、1鉢当り10ml散布した。風乾後、イネいもち病菌(Pyricularia oryzae)の分生胞子懸濁液を噴霧接種し、直ちに25℃の湿室内に24時間入れた。その後温室内に移し、接種5日後に第4葉の病斑数を調査した。数1により防除価を求め、表12の基準により評価した結果を表13に示した。
【0090】
【数1】
【0091】
【表12】
【0092】
【表13】
【0093】
試験例2 イネいもち病水面施用試験
直径9cmの白磁鉢に1.5葉期の水稲(品種:愛知旭)稚苗を3茎ずつ4カ所に移植し、温室内で育成した。2.5葉期に製剤例2に準じて調製した水和剤を有効成分濃度が10アールあたり300gになるように鉢に水面施用処理をした。処理10日後に、イネいもち病菌(Pyricularia oryzae)の分生胞子懸濁液を噴霧接種し、直ちに25℃の湿室内に24時間入れた。その後温室内に移し、接種5日後に接種時の最高位葉の病斑数を調査した。数1により防除価を求め、表12の基準により評価した結果を表14に示した。
【0094】
【表14】
【0095】
【発明の効果】
本発明の農園芸用殺菌剤はイネいもち病などに対して高い防除効果を有し、しかも公知化合物に比較しても明らかに優る防除効果である。しかも作物に薬害を生ずることなく、残効性、耐雨性に優れるという特徴をも併せ持っている。
Claims (5)
- 一般式[1]
- 一般式[1]
- 一般式[1]
- 一般式[1]
- 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載のナフチルアルカン酸アミド誘導体を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤。
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JP21548296A JP3825093B2 (ja) | 1996-07-26 | 1996-07-26 | ナフチルアルカン酸アミド誘導体及び農園芸用殺菌剤 |
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JPH1045695A JPH1045695A (ja) | 1998-02-17 |
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JP21548296A Expired - Fee Related JP3825093B2 (ja) | 1996-07-26 | 1996-07-26 | ナフチルアルカン酸アミド誘導体及び農園芸用殺菌剤 |
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1996
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JPH1045695A (ja) | 1998-02-17 |
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