JP3824880B2 - ガイドポスト装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金型等の上型及び下型をガイドするために使用されるガイドポスト装置に係り、特にポストとブッシュの剛性のバランスを適正化し、製造工程におけるフランジの取付け位置を任意に選択できるようにして材料の無駄を省くことができるようにし、更に金型等に対する取付けの際に必要となる該金型等の取付け穴の加工を簡易化して該金型等の製造コストを低減させることができるようにした、高剛性かつ長寿命なガイドポスト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金型等の上型及び下型をガイドするために使用されるガイドポスト装置は、軸であるポストと、該ポストに沿って摺動するブッシュから構成されており、大きく分けて、ブッシュとポストが直接摺動するプレーンガイド式と、ブッシュとポストとの間に転動体が介在するボールガイド式及びローラガイド式がある。ボールガイド式及びローラガイド式の場合には、転動体の保持のため、リテーナが使用されている。
【0003】
このうちプレーンガイド式のポストガイド装置におけるブッシュは、ボールガイド式等の転動体を用いたポストガイド装置の同外径のブッシュと比較すると、転動体が入っていない分だけ肉厚が厚くなるため、曲げ剛性が必要以上に過大となってしまっていた。
【0004】
またボールガイド式は、ポストとブッシュとの間に球形の転動体、例えば軸受鋼球を組み込み、予圧を付与して隙間をなくして、下死点精度を高めたものであるが、従来のボールガイド式のガイドポスト装置の場合、ポストの外周面は凹凸のない円柱形状に形成され、ブッシュの内周面も凹凸のない円筒形状に形成されており、例えばボールスプラインの軸に形成されているような溝は全く形成されていなかった。
【0005】
従って従来のボールガイド式のガイドポスト装置では、球形の転動体が、溝のないポストの外周面及びブッシュの内周面の夫々に対して点接触していたため、接触点に高い面圧が発生して変形量が大きくなり易く、かつ寿命が短くなるという不具合があった。
【0006】
また従来のポスト及びブッシュを上型及び下型に夫々取り付ける際には、いずれもしまりばめで取り付けるようになっていたため、上型及び下型の取付け穴の中心が一致するように、夫々高精度で加工する必要があり、金型の製造コストの増大を招いていた。
【0007】
更に従来のガイドポスト装置では、例えば下型に対するポストの差込み深さを規定するためのフランジ部を、少なくとも該フランジ部の直径よりも太い材料から該ポストを削り出して一体的に形成するようにしていたため、材料の無駄が多く、かつ加工に余分な時間を要していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、直線状の外周溝が軸方向と平行にかつ円周方向に複数配列して形成されたポストと、円筒形に形成され外周溝に夫々相対する内周の角度位置に直線状の内周溝が軸方向と平行に形成されたブッシュと、外周溝及び内周溝上を夫々転動する複数の球形の転動体と、ポストとブッシュとの間に挿通可能な円筒形に形成され転動体を保持するように構成されたリテーナとを備え、ブッシュが転動体を介してポストの軸方向に摺動自在となるように構成することによって、ポストに対してブッシュの剛性が高くなりすぎないように剛性のバランスを適正化すると共に、ポストと転動体及びブッシュと転動体との接触点に生ずる面圧を下げてガイドポスト装置の高剛性化及び長寿命化を図ることである。
【0009】
また他の目的は、上記構成に加えて、ポストに対してしまりばめで取り付けられ複数の取付け穴が形成されたポストフランジと、ブッシュに対してしまりばめで取り付けられ複数の取付け穴が形成されたブッシュフランジとを備え、ポストフランジ及びブッシュフランジの取付け位置を任意に選択可能に構成することによって、削出しによらなくてもポスト及びブッシュに夫々フランジを任意の位置に形成できるようにして材料の無駄を省くと共に、ガイドポスト装置の製造コストを低減させることである。
【0010】
更に他の目的は、上記構成に加えて、取付け対象物に対していんろう嵌合する小径段部をポストの一端に形成し、ポストフランジの取付け穴よりも多数の取付け穴をブッシュフランジに形成し、取付け対象物に対するブッシュの取付け位置は、取付け対象物にいんろう嵌合しポストフランジにより固定されて位置決めされるポストに倣い、かつブッシュフランジの取付け穴の遊びの範囲内で定めるように構成することによって、ポスト及びブッシュの夫々の取付け対象物である、例えば上型及び下型の取付け穴の中心が厳密に一致していなくても、下型に取り付けられるポストを基準にして上型に対するブッシュの取付けができるようにして、該上型の製造コストを抑えることである。
【0011】
また他の目的は、上記構成において、取付け対象物に対していんろう嵌合するようにブッシュを構成し、ポストフランジの取付け穴よりも少数の取付け穴をブッシュフランジに形成し、取付け対象物に対するポストの取付け位置は、取付け対象物にいんろう嵌合して位置決めされるブッシュに倣い、かつポストフランジの取付け穴の遊びの範囲内で定めるように構成することによって、上型及び下型の取付け穴の中心が一致するように精度よく加工されていなくても、上型に取り付けられるブッシュを基準にして下型に対するポストの取付けができるようにして、該下型の製造コストを抑えることである。
【0012】
更に他の目的は、上記構成において、外周溝及び内周溝を、夫々偶数本かつ同数形成することによって、該溝の加工の際の割出し作業を容易にしてガイドポスト装置の製造コストの低減を図ることである。
【0013】
また他の目的は、上記構成において、転動体と外周溝間並びに転動体と内周溝間における定格荷重下でのヘルツ接触楕円の長径を外周溝及び内周溝の幅の最小値とすることによって、定格荷重を満たしながら該溝の深さを浅くできるようにすることであり、またこれによって外周溝及び内周溝を形成するために必要とされていた溝研削工程を省略して研摩工程のみで外周溝及び内周溝を形成できるようにして、製造コストの低減を図ることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
【0016】
要するに本発明(請求項1)は、直線状の外周溝が軸方向と平行にかつ円周方向に複数配列して形成され取付け対象物に対していんろう嵌合する小径段部が一端に形成されたポストと、円筒形に形成され前記外周溝に夫々相対する内周の角度位置に直線状の内周溝が軸方向と平行に形成されたブッシュと、前記外周溝及び前記内周溝上を夫々転動する複数の球形の転動体と、前記ポストと前記ブッシュとの間に挿通可能な円筒形に形成され前記転動体を保持するように構成されたリテーナと、前記ポストに対してしまりばめで取り付けられ複数の取付け穴が形成されたポストフランジと、前記ブッシュに対してしまりばめで取り付けられ前記ポストフランジの前記取付け穴よりも多数の取付け穴が形成されたブッシュフランジとを備え、前記ブッシュが前記転動体を介して前記ポストの軸方向に摺動自在となるように構成し、前記ポストフランジ及び前記ブッシュフランジの取付け位置を任意に選択可能に構成し、取付け対象物に対する前記ブッシュの取付け位置は、前記取付け対象物にいんろう嵌合し前記ポストフランジにより固定されて位置決めされる前記ポストに倣い、かつ前記ブッシュフランジの前記取付け穴の遊びの範囲内で定めるように構成したことを特徴とするものである。
【0017】
また本発明(請求項2)は、直線状の外周溝が軸方向と平行にかつ円周方向に複数配列して形成されたポストと、円筒形に形成され前記外周溝に夫々相対する内周の角度位置に直線状の内周溝が軸方向と平行に形成され取付け対象物に対していんろう嵌合するように構成されたブッシュと、前記外周溝及び前記内周溝上を夫々転動する複数の球形の転動体と、前記ポストと前記ブッシュとの間に挿通可能な円筒形に形成され前記転動体を保持するように構成されたリテーナと、前記ポストに対してしまりばめで取り付けられ複数の取付け穴が形成されたポストフランジと、前記ブッシュに対してしまりばめで取り付けられ前記ポストフランジの前記取付け穴よりも少数の取付け穴が形成されたブッシュフランジとを備え、前記ブッシュが前記転動体を介して前記ポストの軸方向に摺動自在となるように構成し、前記ポストフランジ及び前記ブッシュフランジの取付け位置を任意に選択可能に構成し、取付け対象物に対する前記ポストの取付け位置は、前記取付け対象物にいんろう嵌合して位置決めされる前記ブッシュに倣い、かつ前記ポストフランジの前記取付け穴の遊びの範囲内で定めるように構成したことを特徴とするものである。
【0018】
また本発明(請求項3)は、請求項1又は請求項2に記載の前記外周溝及び前記内周溝は、夫々偶数本かつ同数形成されていることを特徴とするものである。
【0019】
また本発明(請求項4)は、請求項1又は請求項2に記載の前記外周溝及び前記内周溝の幅の最小値を、前記転動体と前記外周溝間並びに前記転動体と前記内周溝間における定格荷重下でのヘルツ接触楕円の長径としたことを特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に示す実施例に基いて説明する。本発明の第1実施例に係るガイドポスト装置1は、図1から図6に示すように、ポスト2と、ブッシュ3と、転動体4と、リテーナ5と、ポストフランジ6と、ブッシュフランジ8とを備えている。
【0021】
ポスト2は、直線状の外周溝2aが軸方向と平行にかつ円周方向に複数配列して形成され、取付け対象物の一例たる下型9に対していんろう嵌合する小径段部2bが一端に形成されたものであって、例えば偶数本となる10本の外周溝2aが均等に形成され、該外周溝2aは断面が所定の曲率半径の円弧溝となるように形成されている。
【0022】
外周溝2aの曲率半径は、図5に示すように、fDw で表され、これは転動体4の直径Dw に適合係数fを乗じたものである。該適合係数fの値は、例えば0.51乃至0.54であり、転動体4の半径よりも外周溝2aの曲率半径の方がわずかに大きくなるように加工されている。
【0023】
外周溝2aの幅は、転動体と外周溝間における定格荷重下でのヘルツ接触楕円の長径2Aを最小値としており、該最小値を外周溝2aの幅とした場合のポスト2の外径は、転動体4の中心を基準とした中心角θにより決定され、例えばφdiiとなる。中心角θを大きく取り、ポスト2の外径をφdiiよりも大きくして、より安全側に取れば、φdioとなる。なお、図5におけるPCDとは、転動体4の中心のピッチ円直径である。
【0024】
定格荷重の一例たる基本静定格荷重の定義には、Palmgrenによるものと、ISOによるものがある。Palmgrenは、転動体4と外周溝2a等の軌道面との接触面における永久変形の総和δp が10-4Dw となるときの静定格荷重を基本静定格荷重と定義しており、ISOは、最大転動体荷重Qp を受けている転動体4と外周溝2a等の軌道面との接触部中央のヘルツ応力σmax(4.2GPa)に対応する外部荷重を基本静定格荷重と定義している。
【0025】
そこでこれら二通りの定義に従ってヘルツ接触楕円の長径2A、中心角θ及び外周溝2aの深さhを算出した結果を表1に示す。適合係数fは0.51と0.54の二通りとした。
【0026】
【表1】
【0027】
PalmgrenとISOとの違いを見てみると、ISOの方がヘルツ接触楕円の長径2A、中心角θ及び外周溝2aの深さhのいずれにおいても大きくなる結果となっている。どちらを採用することもできるが、ISOの定義を採用して外周溝2aの幅を決定すれば、より安全となる。
【0028】
適合係数f=0.54の場合について見てみると、中心角θは40°程度と狭く、外周溝2aの深さhは0.2mm程度と浅くなっている。このため外周溝2aの加工は、熱処理後研摩のみで行うことができ、研削工程を省略することができるため、製造コストを低減することができる。
【0029】
適合係数f=0.51の場合については、中心角θは100°を超え、外周溝2aの深さhも1mmを超えているため、一般的には、外周溝2a加工のため、熱処理前に研削工程が必要になる。
【0030】
しかし「直動転がり案内要素の動負荷容量」編集委員会編、清水茂夫著の「直動転がり案内要素の動負荷容量」14頁の記載によれば、転動体径Dw=6.35mm、適合係数f=0.513とした場合、永久変形δp =10-4Dw となるとき(Palmgren定義の基本静定格荷重が作用したとき)の最大転動体荷重Qp の値は3495Nとなるが、永久変形δp =0とした場合の(つまり、弾性限度での)最大転動体荷重Q0 は、2500Nとなることが示されている。
【0031】
この永久変形δp =0とした場合の最大転動体荷重Q0 で外周溝2aの幅及び深さhを決めても、強度的には十分であり、表1に示す長径2A、中心角θ及び外周溝2aの深さhの値は更に小さくすることができる。従ってf=0.51の場合であっても、研削工程を省略して研摩のみで外周溝2aを形成することが可能である。
【0032】
ブッシュ3は、円筒形に形成され外周溝2aに夫々相対する内周の角度位置に直線状の内周溝3aが軸方向と平行に形成されたものであって、該内周溝3aは、断面が所定の曲率半径の円弧溝となるように形成されている。
【0033】
内周溝3aの曲率半径は、図5に示すように、ポスト2の内周溝2aと同様に、転動体4の直径Dw に適合係数fを乗じた、fDw で表され、該適合係数fの値は、例えば0.51乃至0.54である。
【0034】
内周溝3aの幅は、外周溝2aの幅と同様に定められ、その中心角θによって、ブッシュ3の内径はφDoi乃至φDooの間で決定されるようになっている。なお、図5におけるφDo は、ブッシュ3の外径である。
【0035】
転動体4は、外周溝2a及び内周溝3a上を夫々転動する、例えば軸受用の鋼球又はセラミック球等の球体であって、1本の外周溝2a及び内周溝3aに対して、例えば夫々10個の転動体4が用いられるようになっている。転動体4の直径Dw は、外周溝2aと内周溝3aの間の隙間よりもわずかに大きく、ブッシュ3にポスト2を通した際に、予圧が付与されるようになっている。
【0036】
リテーナ5は、ポスト2とブッシュ3との間に挿通可能な円筒形に形成され、転動体4を保持するように構成された、例えば合成樹脂製のものであって、転動体4を1つずつ保持できるように、該転動体と同数の穴5aが形成されている。
【0037】
ポストフランジ6は、ポスト2に対してしまりばめで取り付けられ、複数の取付け穴6a(例えば6箇所)が形成されたものであって、図2及び図4に示すように、小径段部2bが突出するように取り付けられ、ポストフランジ6の下面6bと小径段部2bの外周面とは、同時研削により直角に仕上げられている。
【0038】
ブッシュフランジ8は、ブッシュ3に対してしまりばめで取り付けられ、ポストフランジ6の取付け穴6aよりも多数の取付け穴8a(例えば10箇所)が形成されたものであって、図4に示すように、ブッシュ3に対する取付け位置は、製造段階において任意に選択することが可能となっている。ブッシュフランジ8の下面8bとブッシュ3の外周面3bとは、同時研削により直角に仕上げられている。
【0039】
取付け穴8aの数を多くしたのは、図6に示すように、取付け用のねじ11を多くして、上型10に対していんろう嵌合しないブッシュ3を確実に固定するためである。
【0040】
なお、特に図示していないが、外周溝2a及び内周溝3aに異物が入り込むことを防止すると共に、リテーナ5の脱落を防止するために、シールをブッシュ3に取り付けてもよい。
【0041】
ここで、本実施例に係るガイドポスト装置1の基本静定格荷重及び基本動定格荷重の計算値を示す。ISOの定義では、基本静定格荷重とは、上記したように、最大荷重を受けている転動体と軌道面との接触部中央のヘルツ応力に対応する外部荷重をいう。また基本動定格荷重とは、一群のガイドポスト装置を同じ条件で個々に運転したとき、そのうちの90%のものが転がり疲れによる損傷を起こさないで単位走行距離(例えば100km)だけ運転することができる外部荷重をいう。
【0042】
外周溝2a及び内周溝3aの列数を10とし、適合係数fを0.51とし、転動体4の直径を6.35mmとし、PCDを50mmとし、ブッシュ3のストロークを16mmとした場合、基本静定格荷重C0 =35746Nとなり、基本動定格荷重C=61453Nとなる。
【0043】
比較例として、溝のないポスト及びブッシュの間に球形の転動体を介在させた従来のガイドポスト装置についての計算値を示すと、同様の寸法値を用いた場合、基本静定格荷重C0 =3348Nとなり、基本動定格荷重C=194Nとなる。
【0044】
このように、外周溝2a及び内周溝3aを設けたことで、従来例と比較して、基本静定格荷重C0 及び基本動定格荷重Cを大幅に増加させることができるようになっている。
【0045】
本発明の第2実施例に係るガイドポスト装置21は、図7及び図8に示すように、ポスト22と、ブッシュ23と、転動体4と、リテーナ5と、ポストフランジ26と、ブッシュフランジ28とを備えている。
【0046】
ポスト22は、直線状の外周溝22aが軸方向と平行にかつ円周方向に複数配列して形成されたものであり、例えば10本の外周溝22aが均等に形成され、該外周溝22aは、第1実施例のポスト2の外周溝2aと同様に、断面が所定の曲率半径の円弧溝となるように形成されている。
【0047】
ブッシュ23は、円筒形に形成され、外周溝22aに夫々相対する内周の角度位置に直線状の内周溝23aが軸方向と平行に形成され、取付け対象物の一例たる上型30に対していんろう嵌合するように構成されたものであって、該内周溝23aは、第1実施例のブッシュ3の外周溝3aと同様に、断面が所定の曲率半径の円弧溝となるように形成されている。
【0048】
ポストフランジ26は、ポスト22に対してしまりばめで取り付けられ、複数の取付け穴26a(例えば10箇所)が形成されたものであって、例えば下面26bがポスト22の下端22bと面一となるように取り付けられている。なお、ポスト22の下端22bがポストフランジ26から突出するように、該ポストフランジ26を取り付けてもよく、取付け位置は製造段階において任意に選択可能である。
【0049】
ブッシュフランジ28は、ブッシュ23に対してしまりばめで取り付けられ、ポストフランジ26の取付け穴26aよりも少数の取付け穴28a(例えば6箇所)が形成されたものであって、ブッシュ23に対する取付け位置は、製造段階において任意に選択することが可能となっている。ブッシュフランジ28の上面28bとブッシュ23の外周面23bとは、同時研削により直角に仕上げられている。
【0050】
取付け穴26aの数を取付け穴28aの数よりも多くしたのは、図9に示すように、取付け用のねじ11を多くして、下型29に対していんろう嵌合しないポスト22を確実に固定するためである。
【0051】
その他の部分は、本発明の第1実施例と同一であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
なお、特に図示していないが、外周溝22a及び内周溝23aに異物が入り込むことを防止すると共に、リテーナ5の脱落を防止するために、シールをブッシュ23に取り付けてもよい。
【0053】
本発明は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。まず本発明の第1実施例に係るガイドポスト装置1の作用について説明すると、図6に示すように、ポスト2の小径段部2bは、下型9に精度よく形成された穴9bに、いんろう嵌合するので、ポストフランジ6の取付け穴6aからねじ11を差し込んでねじ穴9aに夫々ねじ込むことで、ポスト2は下型9に対して垂直に取り付けられる。
【0054】
上型10に予め形成しておいた穴10bに対して、例えば上側からブッシュ3を差し込んでから、該ブッシュ3にポスト2を通すように上型10を下型9に重ねると、転動体4には予圧が付与され、ブッシュ3は既に固定されているポスト2に倣うように直径方向にわずかに動き、夫々の転動体4の負荷分布が均等となって位置が定まる。ここで例えば10本のねじ11をねじ穴10aにねじ込んで上型10に固定することで、ブッシュ3の取付けが完了する。
【0055】
ブッシュ3は、上型10のねじ穴10aよりも直径が大きく形成されている取付け穴8aの遊びの範囲内でポスト2に倣うことができるので、上型10の加工精度を従来よりも大幅に落とすことができ、製造コストも低く抑えることができる。上型10へのブッシュ3の取付け及び取外しも容易である。またブッシュ3は、上型10に対していんろう嵌合していないが、固定には多くのねじ11を用いているため、取付け精度が狂うことはない。
【0056】
ガイドポスト装置1においては、転動体4の転動によりポスト2に沿ってブッシュ3が円滑に摺動するので、上型10及び下型9にガイドポスト装置1が取り付けられると、上型10及び下型9を円滑に接近又は離間させることが可能となる。
【0057】
次に本発明の第2実施例に係るガイドポスト装置21の作用について説明する。図9に示すように、ブッシュ23は、上型30に精度よく形成された穴30bにいんろう嵌合するので、ブッシュフランジ28の取付け穴28aからねじ11を差し込んでねじ穴30aに夫々ねじ込むことで、ブッシュ23は上型30に対して垂直に取り付けられる。
【0058】
ポストフランジ26を下に向けたポスト22を下型29に立てて載置し、おおまかに位置合わせをしてから、該ブッシュ23にポスト22を通すように上型30を下型29に重ねると、転動体4には予圧が付与され、ポスト22は既に固定されているブッシュ23に倣うように直径方向にわずかに動き、夫々の転動体4の負荷分布が均等となって位置が定まる。ここで例えば10本のねじ11をねじ穴29aにねじ込んで下型29に固定することで、ポスト22の取付けが完了する。
【0059】
ポスト22は、下型29のねじ穴29aよりも直径が大きく形成されている取付け穴26aの遊びの範囲内でブッシュ23に倣うことができるので、下型29の加工精度を従来よりも大幅に落とすことができ、製造コストも低く抑えることができる。下型29へのポスト22の取付け及び取外しも容易である。またポスト22は、下型29に対していんろう嵌合していないが、固定には多くのねじ11を用いているため、取付け精度が狂うことはない。
【0060】
ガイドポスト装置21においては、転動体4の転動によりポスト22に沿ってブッシュ23が円滑に摺動するので、上型30及び下型29にガイドポスト装置21が取り付けられると、上型30及び下型29を円滑に接近又は離間させることが可能となる。
【0061】
いずれの実施例においても、転動体4は、わずかに曲率半径が大きい円弧溝である外周溝2a,22a及び内周溝3a,23aに当接しているため、接触点において発生する面圧が低く、変形量が少ない。また面圧が低いことから、金属疲労も発生しにくく、長寿命である。
【0062】
なお、上記実施例においては、ポスト2,22及びブッシュ3,23のいずれにもフランジを取り付けることとしたが、これに限るものではなく、例えばポスト2,22にのみ取り付けたり、またブッシュ3,23にのみ取り付けるようにしてもよい。
【0063】
【発明の効果】
本発明は、上記のように直線状の外周溝が軸方向と平行にかつ円周方向に複数配列して形成されたポストと、円筒形に形成され外周溝に夫々相対する内周の角度位置に直線状の内周溝が軸方向と平行に形成されたブッシュと、外周溝及び内周溝上を夫々転動する複数の球形の転動体と、ポストとブッシュとの間に挿通可能な円筒形に形成され転動体を保持するように構成されたリテーナとを備え、ブッシュが転動体を介してポストの軸方向に摺動自在となるように構成したので、ポストに対してブッシュの剛性が高くなりすぎないように剛性のバランスを適正化できると共に、ポストと転動体及びブッシュと転動体との接触点に生ずる面圧を下げてガイドポスト装置の高剛性化及び長寿命化を図ることりができる効果がある。
【0064】
また上記構成に加えて、ポストに対してしまりばめで取り付けられ複数の取付け穴が形成されたポストフランジと、ブッシュに対してしまりばめで取り付けられ複数の取付け穴が形成されたブッシュフランジとを備え、ポストフランジ及びブッシュフランジの取付け位置を任意に選択可能に構成したので、削出しによらなくてもポスト及びブッシュに夫々フランジを任意の位置に形成できるため材料の無駄を省くことができると共に、ガイドポスト装置の製造コストを低減させることができる効果がある。
【0065】
更には、上記構成に加えて、取付け対象物に対していんろう嵌合する小径段部をポストの一端に形成し、ポストフランジの取付け穴よりも多数の取付け穴をブッシュフランジに形成し、取付け対象物に対するブッシュの取付け位置は、取付け対象物にいんろう嵌合しポストフランジにより固定されて位置決めされるポストに倣い、かつブッシュフランジの取付け穴の遊びの範囲内で定めるように構成したので、ポスト及びブッシュの夫々の取付け対象物である、例えば上型及び下型の取付け穴の中心が厳密に一致していなくても、下型に取り付けられるポストを基準にして上型に対するブッシュの取付けができるようになり、該上型の製造コストを抑えることができる効果がある。
【0066】
また上記構成において、取付け対象物に対していんろう嵌合するようにブッシュを構成し、ポストフランジの取付け穴よりも少数の取付け穴をブッシュフランジに形成し、取付け対象物に対するポストの取付け位置は、取付け対象物にいんろう嵌合して位置決めされるブッシュに倣い、かつポストフランジの取付け穴の遊びの範囲内で定めるように構成したので、上型及び下型の取付け穴の中心が一致するように精度よく加工されていなくても、上型に取り付けられるブッシュを基準にして下型に対するポストの取付けができるようになり、該下型の製造コストを抑えることができる効果がある。
【0067】
更には、上記構成において、外周溝及び内周溝を、夫々偶数本かつ同数形成したので、該溝の加工の際の割出し作業が容易となり、ガイドポスト装置の製造コストの低減を図ることができる効果がある。
【0068】
また上記構成において、転動体と外周溝間並びに転動体と内周溝間における定格荷重下でのヘルツ接触楕円の長径を外周溝及び内周溝の幅の最小値としたので、定格荷重を満たしながら該溝の深さを浅くできる効果があり、またこの結果外周溝及び内周溝を形成するために必要とされていた溝研削工程を省略して研摩工程のみで外周溝及び内周溝を形成でき、製造コストの低減を図ることができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1から図6は、本発明の第1実施例に係り、図1はガイドポスト装置の斜視図である。
【図2】ガイドポスト装置の部分破断斜視図である。
【図3】ガイドポスト装置の分解斜視図である。
【図4】ガイドポスト装置の縦断面図である。
【図5】転動体の直径に対するポストの外周溝及びブッシュの内周溝の曲率を示す部分拡大横断面図である。
【図6】下型にいんろう嵌合するポストの取付け位置に倣って、ブッシュの取付け位置を定める状態を示す、上型、下型及びガイドポスト装置の部分縦断面側面図である。
【図7】図7から図9は、本発明の第2実施例に係り、図7はガイドポスト装置の斜視図である。
【図8】ガイドポスト装置の縦断面図である。
【図9】上型にいんろう嵌合するブッシュの取付け位置に倣って、ポストの取付け位置を定める状態を示す、上型、下型及びガイドポスト装置の部分縦断面側面図である。
【符号の説明】
1 ガイドポスト装置
2 ポスト
2a 外周溝
2b 小径段部
3 ブッシュ
3a 内周溝
4 転動体
5 リテーナ
6 ポストフランジ
6a 取付け穴
8 ブッシュフランジ
8a 取付け穴
21 ガイドポスト装置
22 ポスト
22a 外周溝
23 ブッシュ
23a 内周溝
26 ポストフランジ
26a 取付け穴
28 ブッシュフランジ
28a 取付け穴
Claims (4)
- 直線状の外周溝が軸方向と平行にかつ円周方向に複数配列して形成され取付け対象物に対していんろう嵌合する小径段部が一端に形成されたポストと、円筒形に形成され前記外周溝に夫々相対する内周の角度位置に直線状の内周溝が軸方向と平行に形成されたブッシュと、前記外周溝及び前記内周溝上を夫々転動する複数の球形の転動体と、前記ポストと前記ブッシュとの間に挿通可能な円筒形に形成され前記転動体を保持するように構成されたリテーナと、前記ポストに対してしまりばめで取り付けられ複数の取付け穴が形成されたポストフランジと、前記ブッシュに対してしまりばめで取り付けられ前記ポストフランジの前記取付け穴よりも多数の取付け穴が形成されたブッシュフランジとを備え、前記ブッシュが前記転動体を介して前記ポストの軸方向に摺動自在となるように構成し、前記ポストフランジ及び前記ブッシュフランジの取付け位置を任意に選択可能に構成し、取付け対象物に対する前記ブッシュの取付け位置は、前記取付け対象物にいんろう嵌合し前記ポストフランジにより固定されて位置決めされる前記ポストに倣い、かつ前記ブッシュフランジの前記取付け穴の遊びの範囲内で定めるように構成したことを特徴とするガイドポスト装置。
- 直線状の外周溝が軸方向と平行にかつ円周方向に複数配列して形成されたポストと、円筒形に形成され前記外周溝に夫々相対する内周の角度位置に直線状の内周溝が軸方向と平行に形成され取付け対象物に対していんろう嵌合するように構成されたブッシュと、前記外周溝及び前記内周溝上を夫々転動する複数の球形の転動体と、前記ポストと前記ブッシュとの間に挿通可能な円筒形に形成され前記転勤体を保持するように構成されたリテーナと、前記ポストに対してしまりばめで取り付けられ複数の取付け穴が形成されたポストフランジと、前記ブッシュに対してしまりばめで取り付けられ前記ポストフランジの前記取付け穴よりも少数の取付け穴が形成されたブッシュフランジとを備え、前記ブッシュが前記転動体を介して前記ポストの軸方向に摺動自在となるように構成し、前記ポストフランジ及び前記ブッシュフランジの取付け位置を任意に選択可能に構成し、取付け対象物に対する前記ポストの取付け位置は、前記取付け対象物にいんろう嵌合して位置決めされる前記ブッシュに倣い、かつ前記ポストフランジの前記取付け穴の遊びの範囲内で定めるように構成したことを特徴とするガイドポスト装置。
- 前記外周溝及び前記内周溝は、夫々偶数本かつ同数形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガイドポスト装置。
- 前記転動体と前記外周溝間並びに前記転動体と前記内周溝間における定格荷重下でのヘルツ接触楕円の長径を前記外周溝及び前記内周溝の幅の最小値としたことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のガイドポスト装置。
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