JP3824878B2 - インク組成物、記録媒体、インクジェット記録方法、および記録物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク組成物、記録媒体、インクジェット記録方法、および記録物に関し、特に、記録物の光安定性(耐光性)に優れ、インクが目詰まりすることがなく、記録物の耐黄変性に優れ、高品質な画像を得ることのできるインク組成物、記録媒体、記録物、およびインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、インク組成物の小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて記録を行う印刷方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度、高品位な画像を高速で印刷可能であるという特徴を有する。
従来より、このインクジェット記録方法による記録に用いるためのインク組成物が種々提案されている。
【0003】
近年は、記録画像の耐候性(特に耐光性)を向上させる要求が高まってきており、このため、ヒンダードアミン系化合物等の光安定化剤をインク組成物へ含有させる工夫がなされている。
【0004】
例えば、染料と顔料19〔Dyes and Pigments19〕(1992)235−247には、染料を含有する水溶液に、ヒンダードアミン系光安定剤である2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシルを添加することにより、該染料の光劣化を防止できることが記載されている。また、前記文献(染料と顔料19)の発行後に出願された特開平11−170686号公報には、水溶性染料を含有する水性インクジェット記録用記録液に、特定の化合物(前記2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル又はその誘導体)を添加して、該水溶性染料の安定化を図る技術が開示されている。該化合物は、カルボニル化合物等の光励起により生じたR・(アルキルラジカル)やR・と空気中の酸素との反応により生じたROO・(過酸化物ラジカル)等のラジカルを捕獲することにより、色材の光酸化反応の進行を止めて、光劣化を防止する働きをするもので、該記録液を用いてインクジェット記録された印刷物は耐光性に優れている。
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の光安定化剤を含有させたインク組成物を用いて記録することにより、記録画像の耐光性は改善されるが、一方で、特定のフェノール系誘導体からなる酸化防止剤を含むフィルムを備えたファイルへ記録物を収納したり、当該フィルムを記録物に貼着した場合に、光安定化剤の影響により記録物が黄変してしまうという新たな問題が生じている。
【0005】
これは、記録媒体に定着したインク組成物中に含まれるヒンダードアミン系化合物等の光安定化剤の作用により、特定のフェノール系誘導体が反応することに起因するものと考えられる。特定のフェノール系誘導体としては、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)等が該当する。
【0006】
すなわち、フィルム中に含まれる前記フェノール系誘導体が、昇華性を有しているためフィルムから記録物へ移行し、記録物中の光安定化剤の作用により、前記フェノール系誘導体の二量体化およびキノン化を経て発生した反応物が記録物を黄変させる原因となっているものと考えられる。とりわけ光安定化剤がオキシラジカルを有している場合には反応が特に顕著に進行するために、より黄変が発生し易いと考えられる。
【0007】
また、光安定化剤である化合物がオキシラジカルを有していない場合であっても、記録物を空気中で保管する過程において、酸化反応により光安定化剤たる化合物にオキシラジカルが生成するために、緩やかではあるが黄変反応が進行し、やはり記録物の黄変が発生する。
【0008】
従って、本発明の目的は、記録物の耐光性に優れ、目詰まりすることがなく、さらに、記録物の黄変のほとんどない高品質な画像を得ることのできるインク組成物、記録媒体、インクジェット記録方法、および記録物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、インク組成物を、着色剤と、水と、前記一般式(1)で表される化合物と、ヒドラジド系化合物とを含む構成とすることにより耐光性、耐目詰まり性、および耐黄変性に優れた記録物が得られることを知見した。
【0010】
なお、本発明におけるヒドラジド化合物とは、該当するカルボン酸のエステル、酸ハロゲン化物、チオカルボン酸のような酸誘導体、またはスルホン酸、クロロスルホン酸のようなスルホン酸誘導体、またはイソシアネートやジイソシアネートと、一般式NHNR(RおよびRは水素、アルキル基またはアリール基)で表されるヒドラジン化合物類との縮合反応等によって得られる、−CXNHNR(RおよびRは水素、アルキル基またはアリール基、XはSまたはO)基または−SONHNR(RおよびRは水素、アルキル基またはアリール基)基を持つものを言う。
【0011】
また、本発明者は、記録媒体を、受容層を有し、該受容層中に前記一般式(1)で表される化合物と、ヒドラジド系化合物とを含む構成とすることにより、耐光性および耐黄変性に優れた記録物が得られることを知見した。
【0012】
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、着色剤と、水と、前記一般式(1)で表される化合物と、ヒドラジド系化合物とを含むインク組成物を提供するものであり、また、前記一般式(1)で表される化合物と、ヒドラジド系化合物とを含む受容層を有する記録媒体を提供するものである。更には、これらインク組成物および/または記録媒体を用いて得られる記録物および、記録方法を提供するものである。
【0013】
上記においては、一般式(1)で表される化合物が、水溶性基W(Wは、水酸基、−SOH基、硫酸エステル基、−P(O)(OH)(OR)、−P(O)(OR)、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基またはこれらの塩、フェノール性水酸基の塩、ポリエチレングリコールエーテル基、−C=NH(NH)の塩、−NHC=NH(NH)の塩、を表す(Rはアルキル基またはアリール基である)。)を有していることが好ましい。
【0014】
上記においては、ヒドラジド系化合物が、一般式RCXNHNR(Rはアルキル基またはアリール基、RおよびRは水素、アルキル基またはアリール基、XはSまたはO)、一般式RSONHNR(Rはアルキル基またはアリール基、RおよびRは水素、アルキル基またはアリール基)、または一般式RNHCXNHNR(Rはアルキル基またはアリール基、RおよびRは水素、アルキル基、またはアリール基、XはSまたはO)で表される化合物であることが好ましい。
【0015】
上記ヒドラジド系化合物においては、同一分子中にヒドラジド構造を2つ以上有していてもよい。
【0016】
上記一般式(1)で表される化合物においては、Zが6員環を完成させるために必要な非金属原子群であることが好ましい。
【0017】
上記一般式(1)で表される化合物においては、Xがオキシラジカル基であることが好ましい。
【0018】
上記一般式(1)で表される化合物は、インク組成物中、0.05重量%以上10重量%以下含まれることが好ましい。
【0019】
上記ヒドラジド系化合物は、インク組成物中、0.01重量%以上10重量%以下含まれることが好ましい。
【0020】
上記においては、前記一般式(1)で表される化合物とヒドラジド系化合物との重量比(前者/後者)は1:25以上5:1以下であることが好ましい。
【0021】
上記インク組成物は、さらに浸透剤および/または保湿剤を含んでいてもよい。
【0022】
上記構成とすることにより、フェノール系誘導体の二量体化およびキノン化を防ぐことができるので、耐光性に優れるとともに、耐黄変性に優れた記録物を得ることができる。
【0023】
本発明の上記記録媒体においては、記録媒体に対するインクの吸収性を十分確保し、かつ耐黄変性を得るため、含有される一般式(1)で表される化合物が前記インク受容層の全重量に対し0.01重量%以上10重量%以下とすることが好ましく、さらには0.5重量%以上5重量%以下の範囲であることがより好ましい。
【0024】
本発明の記録媒体においては、記録媒体に対するインクの吸収性を十分確保し、かつ耐黄変性を得るため、含有されるヒドラジド系化合物が前記インク受容層の全重量に対し0.01重量%以上10重量%以下とすることが好ましく、さらには0.5重量%以上5重量%以下の範囲であることがより好ましい。
【0025】
本発明の上記記録媒体においては、耐光性を十分確保し、かつ良好な耐黄変性を得るために、含有される一般式(1)で表される化合物と、ヒドラジド系化合物の重量比を、1:25以上5:1以下の範囲にすることが好ましく、さらには1:5以上3:1以下の範囲であることが、より好ましい。
【0026】
上記構成とすることにより、フェノール系誘導体の二量体化およびキノン化を防ぐことができるので、耐光性に優れるとともに、耐黄変性に優れた記録物を得ることができる。
【0027】
また、本発明のインクジェット記録方法は、インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うものであって、前記インク組成物として、上記のインク組成物を用いることを特徴とする。
【0028】
また、本発明のインクジェット記録方法は、インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うものであって、前記記録媒体として、上記の記録媒体を用いることを特徴とする。
【0029】
本発明のインクジェット記録方法は、インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うものであって、前記インク組成物として、上記のインク組成物を用い、前記記録媒体として、基材上にインク受容層が設けられてなり、当該インク受容層中にヒドラジド系化合物を含む記録媒体を用いることを特徴とする。
【0030】
本発明のインクジェット記録方法は、インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うものであって、前記インク組成物として、着色剤と、水と、ヒドラジド系化合物を含むインク組成物を用い、前記記録媒体として、上記記録媒体を用いることを特徴とする。
【0031】
さらに、本発明者は、これらの発明を基に鋭意検討した結果、前記一般式(1)で表される化合物がインク組成物に含まれており、かつ、ヒドラジド系化合物が記録媒体に含まれる場合においても同様に、耐光性および耐目詰まり性に優れるとともに、耐黄変性に優れた記録物が得られることを知見した。
【0032】
すなわち、本発明のインクジェット記録方法は、インク組成物が、着色剤と、水と、一般式(1)で表される化合物とを含み、記録媒体がヒドラジド系化合物を含んでなることを特徴とする。
【0033】
本発明の上記記録方法に用いるインク組成物は、着色剤と、水と、一般式(1)で表される化合物とを含有させてなる。
【0034】
本発明のインクジェット記録方法は、インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うものであって、前記インク組成物として、着色剤と、水と、一般式(1)で表される化合物を含むインク組成物を用い、前記記録媒体として上記記録媒体を用いることを特徴とする。
【0035】
本発明の上記記録方法においては、十分な耐光性を有し、かつ十分な耐目詰まり性を得るため、一般式(1)で表される化合物の含有量が、インク全量に対し0.05重量%以上10重量%以下とすることが好ましく、さらには0.5重量%以上5重量%以下の範囲であることがより好ましい。また、ヒドラジド系化合物の含有量が0.01重量%以上10重量%以下であることが好ましい。
【0036】
本発明の上記記録方法に用いる記録媒体は、基材上にインク受容層が設けられた記録媒体であって、前記インク受容層にヒドラジド系化合物を含有させてなる。
【0037】
本発明の上記記録方法においては、記録媒体に対するインクの吸収性を十分確保し、かつ耐黄変性を得るため、含有されるヒドラジド系化合物が、前記インク受容層の全重量に対し0.01重量%以上10重量%以下とすることが好ましく、さらには0.5重量%以上5重量%以下の範囲であることがより好ましい。
【0038】
これらの記録方法を用いることにより、耐光性に優れるとともに耐黄変性に優れた記録物を得ることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインク組成物の好ましい実施形態について説明する。
【0040】
本発明によるインク組成物は、着色剤と、水と、下記一般式(1)で表される化合物と、ヒドラジド系化合物とを含むものである。
【0041】
【化6】
Figure 0003824878
(式(1)中、Xは水素、オキシラジカル基、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはアシルオキシ基であり、R、R、RおよびRはそれぞれ水素またはアルキル基であり、Zは5〜7員環を完成させるために必要な非金属原子群である。ここで、R〜RおよびZのうち、何れか2つの基が互いに結合して5〜7員環を形成してもよい。)
上記(1)で表される化合物は、水溶性基Wを有している下記一般式で表される化合物であることが好ましい。
【0042】
【化7】
Figure 0003824878
(式中、Wは、水酸基、−SOH基、硫酸エステル基、−P(O)(OH)(OR)、−P(O)(OR)、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基またはこれらの塩、フェノール性水酸基の塩、ポリエチレングリコールエーテル基、−C=NH(NH)の塩、−NHC=NH(NH)の塩、を表す(Rはアルキル基またはアリール基である)。また、Xは水素、オキシラジカル基、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、またはアシルオキシ基であり、R、R、RおよびRはそれぞれ水素またはアルキル基であり、Zは5〜7員環を完成させるために必要な非金属原子群である。ここで、R〜RおよびZのうち、何れか2つの基が互いに結合して5〜7員環を形成してもよい。)
一般式(1)において、Xで表されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−オクチル基、ベンジル基、ヘキサデシル基等が挙げられ、アルケニル基としては、例えばアリル基、オレイル基等が挙げられ、アルキニル基としては、例えばエチニル基等が挙げられ、アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アシル基としては例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ペンタノイル基等が挙げられ、スルホニル基としては、例えばメタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等が挙げられ、スルフィニル基としては、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、例えばメチルオキシ基、エチルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、1−オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられ、アリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基等が挙げられ、アシルオキシ基としては、例えばアセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。これらの基はいずれも置換基を有していてもよく、該置換基としては、スルホニル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基等が挙げられる。特に、Xがオキシラジカル基であるものが好ましい。
【0043】
前記一般式(1)において、R、R、RおよびRは、前述の通り水素またはアルキル基を表す。該アルキル基は、前記Xで表されるアルキル基と同様の範疇から選ばれる。特にメチル基であるものが好ましい。
【0044】
前記一般式(1)で表される化合物において、Zが6員環を完成させるために必要な非金属原子群であるものが好ましい。
【0045】
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を示す。
【0046】
【化8】
Figure 0003824878
一般式(1)で表される化合物は、インク組成物中、0.05重量%以上10重量%以下含まれることが好ましく、特に0.1重量%以上5重量%以下含まれることがさらに好ましい。
【0047】
ヒドラジド系化合物としては、ヒドラジド(アシルヒドラアジド)やチオカルボヒドラジドおよびそれらの誘導体が挙げられる。
【0048】
具体的には、一般式RCXNHNR(Rはアルキル基またはアリール基、RおよびRは水素、アルキル基またはアリール基、XはSまたはO)、または一般式RSONHNR(Rはアルキル基またはアリール基、RおよびRは水素、アルキル基またはアリール基)、または一般式RNHCXNHNR(Rはアルキル基またはアリール基、RおよびRは水素、アルキル基、またはアリール基、XはSまたはO)で表される化合物を用いることが好ましい。
【0049】
さらに、ヒドラジド系化合物としては、ヒドラジド構造を同一分子内に2つ以上有する場合に、特に記録物の耐黄変性に優れる。
【0050】
以下に、一般式RCXNHNR、または一般式RSONHNR、または一般式RNHCXNHNRで表される化合物の具体例を示す。
【0051】
【化9】
Figure 0003824878
【0052】
【化10】
Figure 0003824878
ヒドラジド系化合物は、インク組成物中、0.01重量%以上10重量%以下含まれることが好ましく、特に0.1重量%以上5重量%以下含まれることがさらに好ましい。好ましい含有量とすることにより、記録物の耐黄変性が著しく改善される。
【0053】
本発明においては、前記一般式(1)で表される化合物とヒドラジド系化合物との重量比(前者/後者)が1:25以上5:1以下であることが好ましく、特に1:5以上3:1以下であることがさらに好ましい。好ましい重量比とすることにより、記録物の耐黄変性が著しく改善される。
【0054】
着色剤としては、染料や顔料を用いることができる。 染料としては、水溶性のものが好ましく、具体的にはカラーインデックスにおいて酸性染料、直接染料、触媒染料、反応染料、可溶性建染染料、硫化染料や食用染料に分類されているもの等が挙げられる。また、カラーインデックスに記載されていないものであっても、好適に使用できるものは多い。 これらの具体例としては、C.I.ダイレクトブラック17、19、32、38、51、62、71、74、75、112、117、154、163、168、C.I.アシッドブラック7、24、26、48、52、58、60、107、109、118、119、131、140、155、156、187、C.I.フードブラック1、2、C.I.リアクティヴブラック5、C.I.ダイレクトイエロー11、28、33、39、44、58、86、100、132、142、330、C.I.アシッドイエロー3、19、23、25、29、38、49、59、62、72、C.I.ベーシックイエロー11、51、C.I.ディスパースイエロー3、5、C.I.リアクティヴイエロー2、C.I.ダイレクトレッド23、79、80、83、99、220、224、227、C.I.アシッドレッド1、8、17、18、32、35、37、42、52、57、92、115、119、131、133、134、154、186、249、254、256、C.I.ベーシックレッド14、39、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ダイレクトブルー6、8、15、25、71、76、80、86、90、106、108、123、163、165、168、199、226、C.I.アシッドブルー9、29、40、62、74、102、104、113、117、120、175、183、C.I.ベーシックブルー41、C.I.リアクティブブルー15、C.I.ダイレクトバイオレット47、51、90、94、C.I.アシッドバイオレット11、34、75などが挙げられる。 顔料としては、特に限定されず、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネスト法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ染料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。 特に黒インクとして使用されるカーボンブラックとしては、三菱化学製のNo.2300,No.900,MCF88,No.33,No.40,No.45,No.52,MA7,MA8,MA100,No2200B 等が、コロンビア社製のRaven5750,Raven5250,Raven5000,Raven3500,Raven1255,Raven700 等が、キャボット社製のRegal 400R,Regal 330R,Rega l660R,Mogul L,Monarch 700, Monarch 800, Monarch 880, Monarch 900, Monarch 1000, Monarch 1100, Monarch 1300, Monarch 1400 等が、デグッサ社製の Color Black FW1,Color Black FW2, Color Black FW2V, Color Black FW18, Color Black FW200, Color Black S150, Color Black S160, Color Black S170, Printex 35, Printex U, Printex V, Printex 140U, Special Black 6, Special Black 5, Special Black 4A, Special Black 4 等が使用できる。 イエローインクに使用される顔料としては、C.I.Pigment Yellow 1, C.I.Pigment Yellow 2, C.I.Pigment Yellow 3, C.I.Pigment Yellow 12, C.I.Pigment Yellow 13, C.I.Pigment Yellow 14C, C.I.Pigment Yellow 16 ,C.I.Pigment Yellow 17, C.I.Pigment Yellow 73, C.I.Pigment Yellow 74, C.I.Pigment Yellow 75, C.I.Pigment Yellow 83, C.I.Pigment Yellow 93, C.I.Pigment Yellow95, C.I.Pigment Yellow97, C.I.Pigment Yellow 98, C.I.Pigment Yellow 119, C.I.Pigment Yellow 110, C.I.Pigment Yellow114, C.I.Pigment Yellow128, C.I.Pigment Yellow129, C.I.Pigment Yellow 138, C.I.Pigment Yellow 150, C.I.Pigment Yellow 151,C.I.Pigment Yellow154, C.I.Pigment Yellow155, C.I.Pigment Yellow 180, C.I.Pigment Yellow 185,等が挙げられる。 また、マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.Pigment Red 5, C.I.Pigment Red 7, C.I.Pigment Red 12, C.I.Pigment Red 48(Ca), C.I.Pigment Red 48(Mn), C.I.Pigment Red 57(Ca), C.I.Pigment Red 57:1, C.I.Pigment Red 112, C.I.Pigment Red 122, C.I.Pigment Red 123, C.I.Pigment Red 168, C.I.Pigment Red 184, C.I.Pigment Red 202 等が挙げられる。さらに、シアンインクに使用される顔料としては、C.I.Pigment Blue 1, C.I.Pigment Blue 2, C.I.Pigment Blue 3, C.I.Pigment Blue 15:3, C.I.Pigment Blue 15:34, C.I.Pigment Blue 15:4, C.I.Pigment Blue 16, C.I.Pigment Blue 22, C.I.Pigment Blue 60, C.I.Vat Blue 4 , C.I.Vat Blue 60が挙げられる。着色剤の添加量はインク組成物中、好ましくは0.1重量%以上20重量%以下が好ましく、0.5重量%以上10重量%以下がさらに好ましい。また、顔料の場合には粒径は10μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.1μm以下である。
本発明のインク組成物においては、溶媒として水を用いる。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水の何れも好ましく用いることができる。
【0055】
本発明のインク組成物は、さらに浸透剤および/または保湿剤を含んでいてもよい。
【0056】
浸透剤としては、インクの表面張力を低下させ記録媒体へのインクの浸透を促進しインク乾燥時間を短縮し得る化合物を広く使用できる。例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール等の低級アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のセロソルブ類、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルグリコールエーテル等のカルビトール類、ノニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0057】
保湿剤としては、水分の蒸発を抑制してインクを保湿し吐出安定性を向上させ得る化合物を広く使用できる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール等の多価アルコール、マルチトール、マルトース、ソルビトール等の糖類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等のグリセリン誘導体、炭酸エチレン等の炭酸エステル類、イミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、2−ピリジノール、3−ピリジノール等のピリジノール誘導体、尿素等が挙げられる。
【0058】
本発明のインク組成物は、必要に応じてインクジェット記録用インクに一般的に用いられている助剤をさらに含むことができる。そのような助剤としては、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、防錆剤等が挙げられる。 上記構成とすることにより、フェノール系誘導体の二量体化およびキノン化を防ぐことができるので、耐光性および耐目詰まり性に優れるとともに、耐黄変性に優れた記録物を得ることができる。 また本発明においては、一般式(1)で表される化合物とヒドラジド系化合物を、インク組成物とは別に、または更に加えて、付与液として、記録媒体上に印加した場合においても、有効に作用する。この場合、付与液としては、色材を除き、上述のインク組成物の構成と同様の範囲で作成されることが望ましい。 次に、本発明による記録媒体の好ましい実施形態について説明する。 インク受理層としては、カラー画像や写真画像等を高画質に再現できるものとして、インク吸収顔料、インク定着剤およびバインダーから少なくとも構成されるものが知られているが、本発明の実施形態による記録媒体のインク受容層は、さらに、一般式(1)で表される化合物と、ヒドラジド系化合物とを含有するものである。 一般式(1)で表される化合物および、ヒドラジド系化合物としては、それぞれ、前述のインク組成物に用いるものと同様のものを用いるのが好ましい。 一般式(1)で表される化合物は、インク受容層の全乾燥重量中、0.01重量%以上10重量%以下で含まれることが好ましく、特に、0.1重量%以上5重量%以下で含まれることがさらに好ましい。 ヒドラジド系化合物は、インク受容層の全乾燥重量中、0.01重量%以上10重量%以下で含まれることが好ましく、特に0.1重量%以上5重量%以下で含まれることがさらに好ましい。好ましい範囲とすることにより、記録物の耐黄変性が著しく改善される。 本発明においては、前記一般式(1)で表される化合物とヒドラジド系化合物の重量比(前者/後者)が1:25以上5:1以下であることが好ましく、特に1:5以上3:1以下であることがさらに好ましい。好ましい重量範囲とすることにより、記録物の耐黄変性が著しく改善される。 インク吸収顔料としては、公知の白色顔料を1種以上用いることができ、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ等のシリカ、コロイダルアルミナを例示できる。 また、白色顔料としては、シリカ、アルミナの他にも、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、チタンホワイト、ケイ酸アルミニウム、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、メラミン樹脂、尿素樹脂等の有機顔料等が挙げられる。 これらインク吸収顔料は、インク受容層の全乾燥重量中、30重量%以上90重量%以下で含まれることが好ましく、特に40重量%以上80重量%以下で含まれることがさらに好ましい。 インク定着剤としては、特にカチオン性化合物が好ましく、1級〜3級アミンあるいは4級アンモニウム塩基を有する低分子化合物、それらの基を有するオリゴマー、またはそれらの基を有するポリマーが挙げられる。具体例としては、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−二酸化イオウコポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミドコポリマー等のジアリルジメチルアンモニウム塩ポリマー、ジアリルアミン塩酸塩−二酸化イオウコポリマー、ジアリルメチルアミン塩酸塩コポリマー、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン4級アンモニウム塩化合物、(メタ)アクリル酸アルキルアンモニウム塩ポリマー、(メタ)アクリルアミドアルキルアンモニウム塩ポリマー、4級アンモニウム塩を含むアイオネン、ポリアルキレンアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物等を挙げることができる。 これらインク定着剤は、インク受容層の全乾燥重量中、1重量%以上30重量%以下で含まれることが好ましく、特に5重量%以上10重量%以下で含まれることがさらに好ましい。 バインダーとしては、酸化デンプン、エーテル化デンプン、リン酸エステル化デンプン等のデンプン誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコール又はその誘導体、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの共重合体または共重合体のアクリル系重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合ラテックス、あるいはこれら各種重合体のカルボキシル」基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性樹脂等の水性接着剤、ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの重合体又は共重合体、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系接着剤等を挙げることができる。 これらバインダーは、インク受容層の全乾燥重量中、10重量%以上60重量%以下で含まれるのが好ましく、特に20重量%以上50重量%以下で含まれることがさらに好ましい。 また、インク受容層には、必要に応じてさらに、公知の染料固着剤(耐水化剤)、蛍光増白剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防カビ剤、紫外線吸収剤および酸化防止剤等の各種添加剤が含有されてもよい。 以上、インク受容層の構成について説明したが、インク受容層としては、シリカまたはアルミナを主要構成成分とし、これらシリカやアルミナの粒径や、その他の構成成分の含有量等を調整することによって、インク受容層の空隙率を30%以上80%以下とするのが特に好ましい。空隙率を30%以上にすることにより、特にインクの記録媒体に対する吸収性を確実に確保でき、80%以下とすることにより、インク受容層に対し確実に強度を付与することができる。 基材としては、紙またはプラスティック製のシート状のものが使用され、光透過性のもの、光不透過性のもののいずれも使用することができる。 これら基材としては、従来公知のものを使用することができ、具体的には、紙としては、天然セルロース繊維を主体とした木材パルプまたは非木材パルプのパルプ原料からなるものが挙げられ、プラスティック材料としては、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等が挙げられる。 本発明の記録媒体は、上記各構成成分が、水等の適当な溶媒に溶解または分散された塗工液を、ロールコーティング法、スプレーコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法等の公知のコーティング法により、上述の基材に塗工し、引き続き乾燥させることによって好適に得ることができる。塗工後の乾燥は、一般的な乾燥機を用いて行うことができ、一般的には100℃〜150℃の範囲で行われる。 上記構成とすることにより、画像の保存性、耐光性に優れ、なおかつ耐黄変性に優れた記録物を得ることができる。 さらに、本発明のインクジェット記録方法について、説明する。本発明のインクジェット記録方法では、前記インク組成物、および/または記録媒体を用いてインクジェット記録を行うことにより、記録物中に一般式(1)およびヒドラジド系化合物が好適に共存することが可能となり、これにより、耐光性に優れ、かつ耐黄変性にも優れた記録物を得ることができる。 さらにまた、本発明のインクジェット記録方法では、インク組成物中に着色剤と、水と、一般式(1)で表される化合物とを含み、記録媒体中にヒドラジド系化合物を含んでいる場合においても、十分な耐光性を有し、かつ耐黄変性に優れた記録物を得ることができる。
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何等限定されるものではない。
【0059】
(インク組成物の調製)
表1に示すような組成を有する各成分を常温にて30分攪拌した後、1μmのメンブランフィルターで濾過して、各インク組成物を得た。
【0060】
【表1】
Figure 0003824878
(耐光性試験)
上記のインク組成物それぞれを、インクジェットプリンタPM800C(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、これの専用カートリッジに充填して、インクジェット専用記録媒体(セイコーエプソン株式会社製、PM写真用紙)に印刷した。これを直射光のない常温常湿環境にて1日放置した後、得られた記録物の耐光性を以下の条件下で評価した。
【0061】
まず、光照射はキセノンウエザオメーターCi5000(ATLAS社製)を使用して行い、ブラックパネル35℃、相対湿度60%、340nm紫外光放射度0.18W/mで印刷物を曝露した。照射条件は180kJ/m(上記の条件下で278時間光照射)または360kJ/m(上記の条件下で556時間光照射)とした。
【0062】
照射後、記録物の各色成分の反射濃度を分光光度計GRETAG SPM(GRETAG社製)を用いて測定した。その際の条件は、光源D50、光源フィルタなしで、白色標準は絶対白とし、視野角は2°とした。濃度残存率を次の基準で評価した。
【0063】
評価A:初期値の90%を超える。
【0064】
評価B:初期値の80%以上90%未満である。
【0065】
評価C:初期値の80%未満である。
【0066】
(目詰まり放置試験)
インク組成物を充填したインクカートリッジを、上述のプリンタに装填し、初期的に正常にインク組成物が吐出されることを確認した後、プリンタの電源を切り、インクカートリッジを装填した状態のまま、温度40℃、湿度20%RHの環境下に1ヵ月〜12ヵ月放置した。所定時間放置後、プリンタを常温環境下に移し、本体温度が常温に下がるまで待ってから電源を入れ、再び印刷を行い、放置前と同等の印刷品質が得られるまでに要した復帰動作の回数を調べた。評価は下記の基準に従って行った。 評価A:0〜2回の復帰動作で初期と同等の印字品質が得られた。 評価B:3〜5回の復帰動作で初期と同等の印字品質が得られた。 評価C:6回以上の復帰動作で初期と同等の印字品質が得られなかった。
【0067】
(耐黄変性試験)
耐光性試験と同様の方法で、インクジェット専用記録媒体(PM写真用紙、セイコーエプソン株式会社製、商品名)に印刷したものを得た。
【0068】
次いで、得られた印刷物をクリアファイル(三菱鉛筆株式会社製、商品名:CL−A420)に入れ、温度40℃、湿度20%RHの環境下に3日〜1ヵ月放置した。所定時間放置後、印刷物をクリアファイルより取り出し、非印字部の色変化および印刷部位およびその周辺の変色を目視にて次の基準で確認した。
【0069】
評価A:全く黄色変化せず、良好。
【0070】
評価B:わすかに黄変しているように見えるが、画質的に問題無い程度。
【0071】
評価C:印刷部位およびその周辺が黄色化している。
【0072】
(印刷評価試験結果)
上記インク組成物1〜9を用いて行った各試験の結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
Figure 0003824878
表2から分かるように、一般式(1)で表される化合物とヒドラジド系化合物とを含有しているインク組成物を用いた実施例1〜5においては、比較例1〜4が、耐光性、耐目詰まり性および耐ファイル黄変性の全てを満足することができなかったのに対し、全てについて十分満足する結果が得られた。
【0074】
(記録媒体の作製)
基材を秤量100g/mの上質紙とし、この上質紙に、表3に示すインク受容層成分と水とを混合して得た塗工液(インク受容層成分の重量:水の重量=20:80)を15g/mとなるように塗工した。塗工後、乾燥機を用いて130℃、2分間の間層を行い、ア〜オの記録媒体を作製した。
【0075】
【表3】
Figure 0003824878
(印刷評価試験結果)
上記の各インク組成物と各記録媒体とを、表4に示すように組み合せて印刷し、上記と同様の方法によって耐光性試験および耐黄変性試験を行った。各試験の結果を表4に示す。
【0076】
【表4】
Figure 0003824878
表4から分かるように、実施例6〜12においては、比較例5〜9が、耐光性、耐目詰まり性および耐ファイル黄変性の全てを満足することができなかったのに対し、全てについて十分満足する結果が得られた。
【0077】
【発明の効果】
本発明のインク組成物および記録媒体、また本発明のインクジェット記録方法によれば、記録物の耐光性に優れ、目詰まりすることがなく、さらに記録物の耐黄変性に優れた高画質な画像を得ることができる。
【0078】
また、本発明の記録物は、記録画像の耐光性に優れ、かつ、耐黄変性に優れたものである。

Claims (26)

  1. 着色剤と、水と、下記一般式(1)で表される化合物と、ヒドラジド系化合物とを含む、インク組成物。
    Figure 0003824878
    (式(1)中、Xは水素、オキシラジカル基、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはアシルオキシ基であり、R、R、RおよびRはそれぞれ水素またはアルキル基であり、Zは5〜7員環を完成させるために必要な非金属原子群である。ここで、R〜RおよびZのうち、何れか2つの基が互いに結合して5〜7員環を形成してもよい。)
  2. 前記一般式(1)で表される化合物が、水溶性基Wを有している下記一般式で表される化合物であることを特徴とする、請求項1記載のインク組成物。
    Figure 0003824878
    (式中、Wは、水酸基、−SOH基、硫酸エステル基、−P(O)(OH)(OR)、−P(O)(OR)、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基またはこれらの塩、フェノール性水酸基の塩、ポリエチレングリコールエーテル基、−C=NH(NH)の塩、−NHC=NH(NH)の塩、を表す(Rはアルキル基またはアリール基である)。また、Xは水素、オキシラジカル基、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、またはアシルオキシ基であり、R、R、RおよびRはそれぞれ水素またはアルキル基であり、Zは5〜7員環を完成させるために必要な非金属原子群である。ここで、R〜RおよびZのうち、何れか2つの基が互いに結合して5〜7員環を形成してもよい。)
  3. 前記ヒドラジド系化合物が、一般式RCXNHNR(Rはアルキル基またはアリール基、RおよびRは水素、アルキル基またはアリール基、XはSまたはO)または、一般式RSONHNR(Rはアルキル基またはアリール基、RおよびRは水素、アルキル基またはアリール基)で表される化合物である、請求項1または2記載のインク組成物。
  4. 前記ヒドラジド系化合物が、一般式RNHCXNHNR(Rはアルキル基またはアリール基、RおよびRは水素、アルキル基、またはアリール基、XはSまたはO)で表される化合物である、請求項1または2記載のインク組成物。
  5. 前記ヒドラジド系化合物が、同一分子中にヒドラジド構造を2つ以上有するものである、請求項1記載のインク組成物。
  6. 前記一般式(1)で表される化合物において、Zが6員環を完成させるために必要な非金属原子群である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク組成物。
  7. 前記一般式(1)で表される化合物において、Xがオキシラジカル基であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインク組成物。
  8. 前記一般式(1)で表される化合物を、インク組成物中、0.05重量%以上10重量%以下含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインク組成物。
  9. 前記ヒドラジド系化合物を、インク組成物中、
    0.01重量%以上10重量%以下含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインク組成物。
  10. 前記一般式(1)で表される化合物とヒドラジド系化合物との重量比(前者/後者)が1:25以上5:1以下である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインク組成物。
  11. さらに浸透剤および/または保湿剤を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のインク組成物。
  12. 基材上にインク受容層が設けられた記録媒体であって、
    前記インク受容層中に、下記一般式(1)で表される化合物と、ヒドラジド系化合物とを含む、記録媒体。
    Figure 0003824878
    (式(1)中、Xは水素、オキシラジカル基、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはアシルオキシ基であり、R、R、RおよびRはそれぞれ水素またはアルキル基であり、Zは5〜7員環を完成させるために必要な非金属原子群である。ここで、R〜RおよびZのうち、何れか2つの基が互いに結合して5〜7員環を形成してもよい。)
  13. 前記一般式(1)で表される化合物がインク受容層全量に対し0.01重量%以上10重量%以下含まれていることを特徴とする、請求項12記載の記録媒体。
  14. 前記ヒドラジド系化合物がインク受容層全量に対し0.01重量%以上10重量%以下含まれていることを特徴とする、請求項12または13記載の記録媒体。
  15. 前記一般式(1)で表される化合物とヒドラジド系化合物との重量比(前者/後者)が、1:25以上5:1以下の範囲である、請求項12〜14のいずれか一項に記載の記録媒体。
  16. インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、
    前記インク組成物として、請求項1〜11のいずれか一項に記載のインク組成物を用いることを特徴とする、インクジェット記録方法。
  17. インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、
    前記記録媒体として、請求項12〜15のいずれか一項に記載の記録媒体を用いることを特徴とする、インクジェット記録方法。
  18. インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、
    前記インク組成物として、請求項1〜11のいずれか一項に記載のインク組成物を用い、
    前記記録媒体として、請求項12〜15のいずれか一項に記載の記録媒体を用いることを特徴とする、インクジェット記録方法。
  19. インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、
    前記インク組成物として、請求項1〜11のいずれか一項に記載のインク組成物を用い、
    前記記録媒体として、基材上にインク受容層が設けられてなり、当該インク受容層中に第三級アミン系化合物を含む記録媒体を用いることを特徴とする、インクジェット記録方法。
  20. インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、
    前記インク組成物として、着色剤と、水と、ヒドラジド系化合物を含むインク組成物を用い、
    前記記録媒体として、請求項12〜15のいずれか一項に記載の記録媒体を用いることを特徴とする、インクジェット記録方法。
  21. インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、
    前記インク組成物として、着色剤と、水と、下記一般式(1)で表される化合物を含むインク組成物を用い、
    前記記録媒体として、基材上にインク受容層が設けられてなり、当該インク受容層中にヒドラジド系化合物を含む記録媒体と用いることを特徴とする、インクジェット記録方法。
    Figure 0003824878
    (式(1)中、Xは水素、オキシラジカル基、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはアシルオキシ基であり、R、R、RおよびRはそれぞれ水素またはアルキル基であり、Zは5〜7員環を完成させるために必要な非金属原子群である。ここで、R〜RおよびZのうち、何れか2つの基が互いに結合して5〜7員環を形成してもよい。)
  22. インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、
    前記インク組成物として、着色剤と、水と、下記一般式(1)で表される化合物を含むインク組成物を用い、
    前記記録媒体として、請求項12〜15のいずれか一項に記載の記録媒体を用いることを特徴とする、インクジェット記録方法。
    Figure 0003824878
    (式(1)中、Xは水素、オキシラジカル基、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはアシルオキシ基であり、R、R、RおよびRはそれぞれ水素またはアルキル基であり、Zは5〜7員環を完成させるために必要な非金属原子群である。ここで、R〜RおよびZのうち、何れか2つの基が互いに結合して5〜7員環を形成してもよい。)
  23. 前記インク組成物中、一般式(1)で表される化合物の含有量が0.05重量%以上10重量%以下であることを特徴とする、請求項21または22記載のインクジェット記録方法。
  24. 前記インク組成物中、ヒドラジド系化合物の含有量が0.01重量%以上10重量%以下であることを特徴とする、請求項20に記載のインクジェット記録方法。
  25. 前記記録媒体中、ヒドラジド系化合物の含有量が、0.01重量%以上10重量%以下であることを特徴とする、請求項19または21記載のインクジェット記録方法。
  26. 請求項16〜25のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法によって記録がなされた記録物。
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