JP3824358B2 - 区画貫通部の防耐火施工用充填材、および区画貫通部の防耐火構造 - Google Patents

区画貫通部の防耐火施工用充填材、および区画貫通部の防耐火構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、区画貫通部の防耐火施工用充填材、および区画貫通部の防耐火構造に関する。さらに詳しくは、熱膨張部材とシール層とを有し、区画貫通部の防耐火施工の信頼性を向上することができる区画貫通部の防耐火施工用充填材、およびこの充填材を用いた現場施工の作業性を改善することが可能な防耐火構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、建築物の床、壁、間仕切り等の仕切り部には、後述の貫通部材が配設される貫通孔、すなわち、区画貫通部が形成される。この区画貫通部の、貫通部材が配設された後に残された隙間には、防耐火のために充填材を充填し閉塞する防火措置工法が施される。このような充填材による閉塞は、仕切り部で仕切られた一方の室で発生した火災による火災、煙などが、他方の室へ到達することを防止し、または遅らせるように作用する。なお、ここでいう「貫通部材」には、▲1▼通信ケーブル,被覆電線等のケーブル、▲2▼ケーブルを支えるケーブルラック、▲3▼樹脂管,被覆付銅管等のパイプ、▲4▼空調ダクト,バスダクト等のダクト、などが含まれる。
【0003】
充填材には、モルタル等の液状のものを隙間に充填した後、固化(硬化を含む)させるタイプと、固体状の詰め物タイプとがある。
現在最も有用なものとして知られている詰め物タイプの充填材には、熱膨張性基材と、セラミックファイバー等の耐熱性繊維と、結合材とを含んでなる、熱膨張性の弾性充填材がある。たとえば、米国3M社製熱膨張性材料「インタラム(Interam:商標)」を、その一例として挙げることができる。この充填材は、圧縮可能な弾性を有するので、隙間の充填作業が容易となる。
【0004】
ここで、熱膨張性の弾性充填材を用いた、従来のケーブル貫通部防耐火構造(防火措置工法)について、本発明の防耐火構造を示す図2を用いて説明する。図2に示す防耐火構造の区画貫通部の構造は、弾性充填を除き従来のものと同じである。間仕切り(床)11に設けられた開口部12に、直立部17を有するL字状の耐火仕切板15が固定され、ケーブル13およびケーブルラック14からなる貫通部材が耐火仕切板15の長方形の貫通孔16内に配設されている。貫通孔内に残された隙間には、熱膨張性弾性充填材が圧縮して詰め込まれている。この弾性充填材は、ケーブル13と耐火仕切板15の直立部17との間に、その膨張方向がケーブルと直交するように配置される。このようにすることにより、火災発生時には弾性充填材が熱膨張し、ケーブル3と耐火仕切板15の直立部17とを圧縮するため充填箇所のガス遮断性を向上させることができる。また、ケーブル13の絶縁被覆が焼失した場合に、新たに生ずる隙間を補完することもできる。しかしながら、上記弾性充填材は繊維を含むことから、実質的にはガスを完全に遮断することはできず、複数のマット状の弾性充填材同士の間を通って、ガスが火災発生室とは反対側の室まで透過する傾向があった。
【0005】
そこで、弾性充填材を詰め込んだ後、上記伸長面の少なくとも一面にコーキング材(パテ状の耐熱性組成物)を塗布し、シール層を形成することも行われている。シール層は、弾性充填材10のガス遮断性を高めることができる。このようなコーキング材は、特開昭53−139400号公報等に開示されているように、通常、ゴム成分と、熱膨張性基材等の無機材料とを約50〜90重量%の割合で含有する、比較的高固形分の組成物である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような組成物の固化する前の粘度は通常10,000ポアズを超え、比較的広い面積の(たとえば、40〜500cm2 )塗膜を、ヘラ等の塗布具による塗布操作により、弾性充填材の表面に密着性良く形成することは容易ではなかった。また、複数のマット状充填材を、施工現場で詰め込むに際し、それぞれ弾性充填材の伸長面が略同一平面内に存在するように揃え、伸長面全面を略平坦にすることは困難であった。この場合、弾性充填材全体の伸長面は比較的大きな凹凸を有し、このような表面に、密着性良くパテ状組成物を塗布することは困難であった。
【0007】
また、床上側から充填作業を行う場合、床下側に配置される充填材に、塗布操作により、十分な密着性を有するシール層を設けることは困難であった。さらに、仕切られた二つの室の両側から二つの弾性充填材をそれぞれ隙間に詰め込んだ場合、その二つの弾性充填材の対向する内側の伸長面のそれぞれにシール層を配設することは、その伸長面が密封されてしまうため実質的に不可能であった。
このようなシール層と伸長面との間の密着不良は、シール機能の信頼性(すなわち、施工の信頼性)を損なう原因となる。特に、火災発生の初期段階における、高温ガスの透過による火災発生室から他の室への熱の伝達を、確実に防ぐことが困難になる。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みなされたもので、充填作業が容易であるとともに、高温ガスの透過による火災発生室から他の室への熱の伝達を確実に防止することができ、施工の信頼性を向上させることのできる区画貫通部の防耐火施工用充填材、およびそれを用いた防耐火構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、建築物の仕切り部に形成された区画貫通部の、貫通部材が配設された後に残された隙間に、防耐火用に充填される充填材において、(1)ただ一つの方向に最も大きく膨張する異方性膨張部材と弾性化素材からなり、その最大膨張方向に平行な面(伸長面)の少なくとも一つが略平坦になるとともに、所定の厚さを有し前記異方性膨張部材が主として一方向に配向するように成形された熱膨張部材と、(2)ゴム成分を含有し、前記熱膨張部材の前記略平坦な伸長面のほぼ全面に、少なくとも熱膨張部材が熱膨張するまでの間は、火災により発生する高温ガスを実質的に透過させることのないように密着して形成されたシール層と、を有してなることを特徴とする区画貫通部の防耐火施工用充填材が提供される。
【0010】
また、前記シール層が、10〜15,000ポアズの粘度の液状シール材料からなる塗布層の略平坦な表面に、前記熱膨張部材の伸長面のほぼ全面を圧接して形成されたものであることを特徴とする防耐火施工用充填材が提供される。
【0011】
さらに、建築物の仕切り部に形成された区画貫通部の、貫通部材が配設された後に残された隙間に、充填材を充填してなる防耐火構造において、前記充填材が、(1)ただ一つの方向に最も大きく膨張する異方性膨張部材と弾性化素材からなり、その最大膨張方向に平行な面(伸長面)の少なくとも一つが略平坦になるとともに、所定の厚さを有し前記異方性膨張部材が主として一方向に配向するように成形された熱膨張部材と、(2)ゴム成分を含有し、前記熱膨張部材の前記略平坦な伸長面のほぼ全面に、少なくとも熱膨張部材が熱膨張するまでの間は、火災により発生する高温ガスを実質的に透過させることのないように密着して形成されたシール層と、を有してなるものであり、かつ、その充填材の熱膨張部材が、前記貫通部材および前記区画貫通部の内周部に向って膨張するように配設されてなるとともに、その充填材のシール層が、少なくとも、火災により最初に加熱されると想定される熱膨張性部材の伸長面とは反対側の伸長面に配設されてなることを特徴とする区画貫通部の防耐火構造が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ具体的に説明する。
I.区画貫通部の防耐火施工用充填材
本発明の区画貫通部の防耐火施工用充填材は、建築物の仕切り部に形成された区画貫通部の、貫通部材が配設された後に残された隙間に、防耐火用に充填される充填材であって、図1に示すように、所定の熱膨張部材1とシール層2とを有してなるものである。
【0013】
1.熱膨張部材
本発明に用いられる熱膨張部材1は、少なくとも一方向に熱膨張性の弾性材料からなり、その最大膨張方向に平行な平面であって最も伸長しやすい平面、すなわち伸長面3の少なくとも一つが略平坦になるとともに所定の厚さを有するように成形されている。
熱膨張部材1は、直方体状に成形することが好ましい。これにより、充填作業が容易になる。また、直方体の三次元方向の内のただ一つの方向に最も大きく膨張するように成形することが好ましい。膨張方向がただ一つである場合、膨張率を大きく設計することができる。最大膨張方向の厚さは、充填する隙間に合わせて決定されるが、10mm以上が好ましく、30mm以上がさらに好ましい。
図1に示す例では、シート状の弾性材料が複数積層された状態を示し、また、各弾性材料は図の矢印方向に最大膨張方向を有し、その方向に熱膨張する場合を示している。熱膨張部材1も全体として、同方向に熱膨張する。
【0014】
(1)熱膨張性の弾性材料
熱膨張性の弾性材料は、熱膨張性基材と弾性化素材とを含んでなる。
熱膨張性基材としては特に制限はないが、たとえば膨張黒鉛、バーミキュライト(蛭石)などの異方性膨張基材、または、アルカリ金属ケイ酸塩(米国3M社製、商標名:エクスパントロール等)などの等方性膨張基材を挙げることができる。
弾性化素材としては、たとえばセラミックファイバー等の繊維、ゴム弾性を有する有機バインダーなどを挙げることができる。繊維は、繊維どうしの間に空隙を保つように弾性材料中に含まれるので、弾性材料全体の弾性化が可能である。
【0015】
(2)弾性材料の成形
上記弾性材料は、たとえば、熱膨張性基材、セラミックファイバー、有機または無機バインダーを含む材料から成形する。この時、異方性膨張基材を用い、基材が主として一方向に配向するようにして成形すると、ただ一つの方向に膨張可能な(最大膨張方向を有する)弾性材料になる。弾性材料は、通常シート状またはマット状(直方体状)に成形され、直方体の三次元平面のうちの少なくとも一つが伸長面3を形成するように成形される。これにより伸長面3が、略平坦になり、後述のシール層の密着度の均一性を高めることができる。シート状またはマット状に成形された弾性材料の最大膨張方向の厚さは、5〜20mmの範囲が好ましい。このような弾性材料の具体例として、米国3M社製の「インタラムマット(商標)」を挙げることができる。
【0016】
(3)積層体
上述のように、本発明に用いられる熱膨張部材は、単層のものであっても積層体であってもよい。積層体は、たとえばマット状弾性材料を、その伸長面3が略平坦になるように複数重ねて後述のシール層で接着し、形成することができる。積層枚数は、通常3〜10枚である。
【0017】
(4)圧縮率
充填材は、通常、2〜20%の範囲の圧縮率(図1に示す充填前の厚さ[d]に対する、充填後に圧縮された分の厚み[Δd]の割合の百分率、すなわち、[Δd×100/d]にて、圧縮しつつ充填することが好ましい。
【0018】
2.シール層
本発明に用いられるシール層2は、ゴム成分を含有し、前記熱膨張部材1の少なくとも一つの伸長面3の略全面に密着して形成される。
(1)シール材料
シール層2は、ゴム成分を含有するシール材料からなる。このシール材料は、少なくとも熱膨張部材1が熱膨張するまでの間は、火災により発生する高温ガスを、実質的に透過させないようにガス遮断性を維持することが必要である。このように、シール面全体において均一にガス遮断性を維持することは、高温ガスの透過を防ぎ、火災発生室から他の室への熱の伝達を確実に防止することができる。
ゴム成分としては、たとえば、ポリクロロプレンゴム、シリコーンゴムなどの合成ゴムを挙げることができる。具体的には、熱膨張部材1に対し、良好な接着性を有する材料、例えば米国3M社製 耐火コーキング剤 商品名 CP-25 等、同社製 吸熱性コーキング剤 Fire damTM等、耐熱シリコーン系コーキング剤、合成ゴム系およびレジン系接着剤等を挙げることができる。
【0019】
(2)厚さおよび圧縮弾性率
シール層の厚さは、0.5〜5mmが好ましい。0.5mm未満であるとガス遮断性およびシール層の強度が低下するおそれがある。5mmを超えると、その形成が、比較的困難な上に、経済的ではなく、また、シール層の伸長性が低下し、熱膨張部材の膨張が開始した後の一定の時間、シール層のガス遮断性を維持する効果が期待できないおそれがある。
【0020】
シール層の圧縮弾性率は、104 〜107dyne/cm2 が好ましい。104dyne/cm2 未満であると、シール層の強度が低下するおそれがあり、107dyne/cm2 を超えると、シール層の伸長性が低下し、熱膨張部材の膨張が開始した後の、シール層のガス遮断性を維持する効果が期待できないおそれがある。
【0021】
(3)シール層の形成方法
前記シール材料を熱膨張部材1の伸長面3に形成する方法としては、たとえば、直接塗布または転写法を挙げることができる。好適例として、10〜15,000ポアズ、好ましくは50〜10,000ポアズの粘度を有する液状シール材料を用いてナイフコータ、バーコータ、ダイコータ等を用いて略平坦な表面を有する塗布層を形成し、その表面に、前記熱膨張部材1の伸長面3の略全面を均一な圧力で圧接して固化する方法を挙げることができる。
このようにすることにより、熱膨張部材の伸長面とシール層との密着度の均一性およびガス遮断性をよりいっそう高めることができる。粘度が10ポアズ未満であると、シール層の厚さが不十分になりガス遮断性が低下するおそれがあり、15,000ポアズを超えると、シール層の密着度が不均一になるおそれがある。
【0022】
具体的には、略平坦な物体表面(作業台など)上に、剥離フィルムの上に塗布して液状シール材料の層を形成したものを載置し、そのシール材料の層の表面に熱膨張部材の伸長面を重ねて押圧し、押圧をつづけるか、または、押圧を解除して熱膨張部材の自重のみをかけ、シール材料の層に対して熱膨張部材を圧接しながら固化させてシール層を形成するのが好ましい。この方法は、シール材料の固化に伴う体積収縮による密着不良の発生を効果的に防止し、シール層の厚さを比較的薄くかつ均一にし、密着性を高めることができる。この場合の圧接する圧力は、通常0.02〜5kg/cm2である。
【0023】
また、シール層としては、次のような粘着シートによっても形成できる。例えば、ポリエチレンフィルム等の基材の少なくとも片面に粘着剤が均一に塗布されたものが使用できる。このような粘着シートは、シート状の基材または粘着剤層の少なくとも一方がガス遮断性を有する。
シール層が、その表面に積層された伸長性かつ非多孔性のプラスチックフィルムをさらに含んでなる形態の場合、そのプラスチックフィルムの破断伸度は、50〜1,000%の範囲が好ましい。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン等を挙げることができる。
【0024】
II.区画貫通部の防耐火構造
本発明の区画貫通部の防耐火構造は、図2に示すように建築物の仕切り部(床)11に形成された区画貫通部(開口部)12の貫通部材(ケーブル)13が配設された隙間に、前記熱膨張部材1およびシール層2を有する弾性充填材10が充填されている。図2に示す実施の形態では、貫通部材であるケーブル13は、ケーブルラック14上に載置されて、床11の開口部12に固定されたL字状の耐火仕切板15の直立部17間に形成された貫通孔16に挿入され、その隙間に弾性充填材10が充填されている。
【0025】
ここで耐火仕切板15としては、たとえば0.2mm厚以上の鋼板と前記「インタラムマット(商標)」とを貼り合せたもの、25mm以上のケイ酸カルシウム板等の板材を用い、平板のまま、または図2に示すように直立部17を備えるように加工して用いることができる。
【0026】
また、本発明の区画貫通部の防耐火構造においては弾性充填材10の熱膨張部材1が貫通部材であるケ−ブル13および区画貫通部である開口部12の床11側、この実施形態では耐火仕切板15の直立部17の方向に膨張するように配設されているとともに、弾性充填材10のシ−ル層2が、少なくとも火炎により最初に加熱されると想定される熱膨張性部材1の伸長面とは反対側の伸長面に配設されている。このように構成することによって、区画貫通部である開口部12内に貫通部材であるケ−ブル13が配設された後に残される隙間を、高温ガスが透過することによる、火災発生室から他の室への熱およびガスの伝達をより確実に防止することができる。すなわち、熱膨張部材1が破損しない限り、シール層2は火炎と直に接することがなく破損しにくいので、火災発生の初期段階における区画貫通部のガス遮断性を確実に保持することができる。
【0027】
また、仕切り部が壁や間仕切りであり、内側に空洞を有するように形成された区画貫通部を有する場合、火炎による加熱側とは反対側にシール層が配設されるように、すなわちシール層部分を空洞内側に向けて、充填材を、仕切られた二つの室から詰め込む施工方法を用いれば、どちらの室から火災が発生しても、熱膨張部材が破損しない限り、シール層は火炎と直に接することがないので、火災発生の初期段階における区画貫通部のガス遮断性を確実に保持することができる。
【0028】
熱膨張部材を、複数の熱膨張性の弾性材料を用い、それぞれの伸長面が略同一平面内に存在するように揃えて積層した積層体から形成する場合、熱膨張部材全体の圧縮性が良好になり、充填操作の向上を図ることができる。この場合、各弾性材料間に、圧縮性を良好にするのに十分な空気層が形成され、圧縮時には空気が外へ逃げ得るように、各弾性材料同士が接触する面は接着されていないのが好ましい。すなわち、シール層のみで、各弾性材料が結合されているのが好ましい。また、この場合の弾性材料の厚さは、通常5〜20mmの範囲、積層数は、通常3〜10の範囲が好ましい。
【0029】
図3に、本発明の他の実施の形態を示す。
この形態では、図3に示すように、壁21の開口部22に厚さ1.6mmの鉄板ダクト23が配設され、吊りボルト24で懸架がされている。
開口部22の隙間には充填材10が詰め込まれている。この場合は、火炎の発生を左側から生ずるものと想定しているためシ−ル層は2弾性膨張部材1の右端の伸長面に配設されている。
【0030】
従来は図4に示すように、充填材として、モルタル33が、また被覆材として、ロックウールやグラスウール等31,32が用いられていた。
しかし、隙間へのモルタルの充填は困難であり、また、養生に時間がかかる上、養生後の体積収縮が生じるために充填、養生作業を数回に分けて行なうことが普通であり、施工信頼性と作業性を両立することが困難であった。
【0031】
また、区画貫通部の断面が円形であり、貫通部材の断面が、区画貫通部の断面積よりも小さい面積の円形である場合、以下に述べるように施工することができる。このような場合、図5に示すように、通常、区画貫通部の略中心位置に、パイプ等の貫通部材13,23を配設する。したがって、貫通部材13,23を配設した後にできる隙間は、断面がリング状の空間になる。このような断面リング状の隙間の形状に合わせ、熱膨張性の弾性材料をリング状に成形し、その伸長面のほぼ全面にシ−ル層を密着させた充填材を予め形成しておき、施工現場ではその詰め込み作業を行なうだけで良いようにすることによって、施工を簡略化することができるとともに、施工の信頼性を高めることができる。充填作業の際には、リング状充填材の一か所に、リングを開くことができるように切れ込み20を入れておくことによって、切り込み部20で開いたリングを区画貫通部の外に位置するパイプ13,23の周りに巻き付けた後、隙間に容易に詰め込むことができる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。
なお、本実施例は、図2に示す構造の区画貫通部に、図1に示すタイプの充填材を用いて防耐火施工(防火措置)を行なった。
[実施例1]
米国3M社製コーキング材「CP−25」を水で稀釈し、500ポアズの粘度に調整した塗料をナイフコータで剥離フィルムの表面に、乾燥後に約1mm厚になるように塗布して、液状シール材料の塗布層を形成した。
ここでコーキング材「CP−25」は、合成ラテックスを母体として、主に硼酸亜鉛、ケイ酸ナトリウムを分散配合しパテ状組成物で、密度は約1.5、粘度は約12,000ポアズ(約25℃)である。
熱膨張部材(5枚積層)を、全体として略平坦な面を形成するようにそれぞれの伸長面を揃え、その伸長面をシール材料層の表面に重ねて、伸長面全面に均一に圧力が加わるように手で押圧し、手を放して押圧を解除し、熱膨張部材の自重による圧力(約300g/cm2 )にて、圧接した状態でシール層を乾燥、固化させた。2時間の耐火試験後の非加熱側の測定温度は充填材10の上で130℃、耐火仕切板15の上で174℃であった。
【0033】
[比較例1]
熱膨張部材(5枚)を区画貫通部に詰め込んだ後、前記コーキング材「CP−25」を稀釈せずに、ヘラを用いて直接塗布し、シール層を形成した。塗布操作は、ヘラの1回塗りで、固化後に約1mmの層になるようにして行なった。2時間の耐火試験後の非加熱側の測定温度は充填材10の上で188℃、耐火仕切板15の上で219℃であった。
なお、上記耐火試験は、財団法人日本建築センター(JIS−A−1304の加熱曲線による2時間耐火試験)の定める試験方法に準拠して行なわれた。この結果、本発明による充填材を用いた構造では、非加熱側の測定温度が合否判定基準温度(260℃)をはるかに下回ると共に、火炎、煙等の貫通、透過は観察されず、十分な防耐火性能を発揮することが確認された。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、区画貫通部の隙間に充填する、ガス遮断性および熱膨張性を兼ね備えた本発明の充填材を使用することによって、ケーブル、樹脂管や被服銅管等のパイプ、空調ダクトやバスダクト等のダクト;これらの区画貫通部に、ガス遮断性を持たせるように処理された面は、床の場合は上、壁の場合は壁面に沿うように充填することにより、火災初期の煙等、有毒ガスの透過を遮断する効果と、ケ−ブル、パイプ、ダクト等の変形、消失により生じる隙間、穴等を熱膨張により閉塞し、効率的に断熱効果を発揮する。
また、本発明の充填材を充填するだけでガス遮断性、及び断熱性が確保でき、特に開口部が壁、および床に隣接する場合においても確実に施工が行えると共に、施工後の養生も不要であるために非常に作業性が高い。
また、充填材の充填量、充填密度、気密性が均一に確保されるため、施工品質、性能信頼性が高い。
また、本発明の区画貫通部防耐火構造は上記効果がある上に、その防耐火性能を定めた(財)日本建築センターの防火性能基準を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の区画貫通部の防耐火施工用充填材を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の区画貫通部の防耐火構造の一実施形態を模式的に示す説明図で、(A)は一部断面正面図、(B)は一部断面平面図である。
【図3】本発明の区画貫通部の防耐火構造の他の一実施形態を模式的に示す説明図である。
【図4】従来の区画貫通部の防耐火構造を模式的に示す説明図である。
【図5】貫通部材の断面が区画貫通部の断面積より小さい面積の円形である場合の、本発明の区画貫通部の防耐火施工用充填材を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 熱膨張部材
2 シール層
3 伸長面
10 弾性充填材
11 間仕切り(床)
12 開口部
13 ケーブル
14 ケーブルラック
15 耐火仕切板
16 貫通孔
17 直立部
21 壁
22 開口部
23 鉄板ダクト(1.6t)
24 吊りボルト
31 被覆材
32 被覆材
33 モルタル

Claims (3)

  1. 建築物の仕切り部に形成された区画貫通部の、貫通部材が配設された後に残された隙間に、防耐火用に充填される充填材において、
    (1)ただ一つの方向に最も大きく膨張する異方性膨張部材と弾性化素材からなり、その最大膨張方向に平行な面(伸長面)の少なくとも一つが略平坦になるとともに、所定の厚さを有し前記異方性膨張部材が主として一方向に配向するように成形された熱膨張部材と、
    (2)ゴム成分を含有し、前記熱膨張部材の前記略平坦な伸長面のほぼ全面に、少なくとも熱膨張部材が熱膨張するまでの間は、火災により発生する高温ガスを実質的に透過させることのないように密着して形成されたシール層と、
    を有してなることを特徴とする区画貫通部の防耐火施工用充填材。
  2. 前記シール層が、10〜15,000ポアズの粘度の液状シール材料からなる塗布層の略平坦な表面に、前記熱膨張部材の伸長面のほぼ全面を圧接して形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の区画貫通部の防耐火施工用充填材。
  3. 建築物の仕切り部に形成された区画貫通部の、貫通部材が配設された後に残された隙間に、充填材を充填してなる防耐火構造において、
    前記充填材が、(1)ただ一つの方向に最も大きく膨張する異方性膨張部材と弾性化素材からなり、その最大膨張方向に平行な面(伸長面)の少なくとも一つが略平坦になるとともに、所定の厚さを有し前記異方性膨張部材が主として一方向に配向するように成形された熱膨張部材と、(2)ゴム成分を含有し、前記熱膨張部材の前記略平坦な伸長面のほぼ全面に、少なくとも熱膨張部材が熱膨張するまでの間は、火災により発生する高温ガスを実質的に透過させることのないように密着して形成されたシール層と、を有してなるものであり、
    かつ、その充填材の熱膨張部材が、前記貫通部材および前記区画貫通部の内周部に向って膨張するように配設されてなるとともに、その充填材のシール層が、少なくとも、火災により最初に加熱されると想定される熱膨張性部材の伸長面とは反対側の伸長面に配設されてなることを特徴とする区画貫通部の防耐火構造。
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