JP3824231B2 - スイッチ回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波複合部品に用いるスイッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
デジタル携帯電話などにおいて、アンテナANTと送信回路TXとの接続及びアンテナANTと受信回路RXとの接続を切り換えるために、高周波スイッチが用いられている。この高周波スイッチとしては、特開平6−197040号公報に開示されているものがある。
【0003】
この従来の高周波スイッチは、送信回路側にアノードが接続されアンテナ側にカソードが接続される第1のダイオード、アンテナと受信回路との間に接続されるストリップライン、および受信回路側にアノードが接続されアース側にカソードが接続される第2のダイオードを含み、ストリップラインは多層基板に内蔵され、第1のダイオード及び第2のダイオードは多層基板上に実装されたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年の携帯電話の普及には、目を見張るものがあり、携帯電話の機能、サービスの向上が図られている。この新たな携帯電話として、デュアルバンド携帯電話の提案がなされている。このデュアルバンド携帯電話は、通常の携帯電話が一つの送受信系のみを取り扱うのに対し、2つの送受信系を取り扱うものである。これにより、利用者は都合の良い送受信系を選択して利用することができるものである。
【0005】
このデュアルバンド携帯電話において、それぞれの送受信系にそれぞれ専用の回路を構成すれば、機器の大型化、高コスト化を招く。共通部分はできるだけ共通部品を用いることが、機器の小型化、低コスト化に有利となる。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて、アンテナを共通とし、通過帯域の異なる複数の送受信系に対応する高周波複合部品で送受信系の送信回路と受信回路を切り換える新たなスイッチ回路を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アンテナに接続する分波回路と、前記分波回路に接続するスイッチ回路を備えた複合スイッチ回路であって、前記分波回路は、通過帯域の異なるフィルタ回路を並列接続してなり、前記スイッチ回路は、前記フィルタ回路を介してアンテナと接続され、前記アンテナ側にアノードが接続され、送信回路側にカソードが接続された第一のダイオードと、受信回路側にカソードが接続され、アース側にアノードが接続された第二のダイオードと、前記アンテナ側と前記受信回路側との間に配置され、前記第一のダイオードと前記第二のダイオードとを直列に接続する伝送線路を備え、前記第一のダイオードと前記第二のダイオードとの間において、前記伝送線路にコンデンサが直列接続されておらず、もって、前記第二のダイオードのアノード側に接続されたコントロール回路からのみ前記第一及び第二のダイオードに所定の電圧を加えることにより前記第一及び第二のダイオードが制御され、アンテナ側と送信回路側の接続、またはアンテナ側と受信回路側の接続を切り換える複合スイッチ回路である。
本発明においては、前記第一のダイオードのカソード側に、アースに接続される伝送線路を接続するのが好ましい。
【0008】
前記分波回路は、ノッチフィルタ回路、ローパスフィルタ回路、ハイパスフィルタ回路、バンドパスフィルタ回路を組み合わせて構成することが出来る。そして前記分波回路は、インダクタンス成分とコンデンサ成分の組み合わせで構成するのが好ましい。
また、本発明のスイッチ回路においては、送信信号が通る経路に、更にローパスフィルタ回路を設けるのが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に係る第1実施例の回路ブロック図を図1に示す。図1において、本発明の高周波スイッチ回路を用いた高周波スイッチモジュール(高周波複合部品)である。この高周波スイッチモジュールは、例えば、第1の送受信系としてGSMシステム、第2の送受信系としてDCS1800システムの2つのシステムに対応した構成として、デュアルバンド携帯電話のアンテナANTと、GSM系、DCS系のそれぞれの送受信回路との振り分けに用いることができる。
【0010】
この第1実施例は、分波回路をローパスフィルタ回路とノッチフィルタ回路とから構成し、第1の送受信系用にローパスフィルタ回路を、第2の送受信系用にノッチフィルタ回路を用いている。そして、第1の送受信系では、スイッチ回路SWにより、送信回路TXと受信回路RXを切り換えている。また第2の送受信系では、スイッチ回路SWにより、送信回路TXと受信回路RXを切り換え、その送信系に他のローパスフィルタ回路が設けられている。
【0011】
この第1実施例をワンチップ化するには、誘電体層と電極層とを積層した積層体を用い、該積層体内にスイッチ回路用の伝送線路、分波回路用のインダクタ成分、コンデンサ成分、及びローパスフィルタ回路用のインダクタ成分、コンデンサ成分を構成し、積層体上にスイッチ回路用のダイオードなどの素子を搭載することにより、ワンチップ化することができる。
【0012】
本発明に係る第2実施例の回路ブロック図を図2に示す。この第2実施例は、分波回路をローパスフィルタ回路とハイパスフィルタ回路とから構成し、第1の送受信系用にローパスフィルタ回路を、第2の送受信系用にハイパスフィルタ回路を用いている。そして、第1の送受信系では、スイッチ回路SWにより、送信回路TXと受信回路RXを切り換えている。また第2の送受信系では、スイッチ回路SWにより、送信回路TXと受信回路RXを切り換え、その送信系に他のローパスフィルタ回路が設けられている。
【0013】
本発明に係る第3実施例の回路ブロック図を図3に示す。この第3実施例は、分波回路をノッチフィルタ回路とバンドパスフィルタ回路とから構成し、第1の送受信系用にノッチフィルタ回路を、第2の送受信系用にバンドパスフィルタ回路を用いている。そして、第1の送受信系では、スイッチ回路SWにより、送信回路TXと受信回路RXを切り換え、その送信系に他のローパスフィルタ回路が設けられている。また第2の送受信系では、スイッチ回路SWにより、送信回路TXと受信回路RXを切り換えている。
【0014】
本発明に係る第4実施例の回路ブロック図を図4に示す。この第4実施例は、分波回路をローパスフィルタ回路とバンドパスフィルタ回路とから構成し、第1の送受信系用にローパスフィルタ回路を、第2の送受信系用にバンドパスフィルタ回路を用いている。そして、第1の送受信系では、スイッチ回路SWにより、送信回路TXと受信回路RXを切り換えている。また第2の送受信系では、スイッチ回路SWにより、送信回路TXと受信回路RXを切り換えている。
【0015】
本発明に係る第5実施例の回路ブロック図を図5に示す。この第5実施例は、分波回路を2つのノッチフィルタ回路で構成している。そして、第1の送受信系では、スイッチ回路SWにより、送信回路TXと受信回路RXを切り換え、その送信系に他のローパスフィルタ回路が設けられている。また第2の送受信系では、スイッチ回路SWにより、送信回路TXと受信回路RXを切り換え、その送信系に他のローパスフィルタ回路が設けられている。
【0016】
本発明に係る第6実施例の回路ブロック図を図6に示す。この第6実施例は、分波回路をノッチフィルタ回路とハイパスフィルタ回路とから構成し、第1の送受信系用にノッチフィルタ回路を、第2の送受信系用にハイパスフィルタ回路を用いている。そして、第1の送受信系では、スイッチ回路SWにより、送信回路TXと受信回路RXを切り換え、その送信系に他のローパスフィルタ回路が設けられている。また第2の送受信系では、スイッチ回路SWにより、送信回路TXと受信回路RXを切り換え、その送信系に他のローパスフィルタ回路が設けられている。
【0017】
本発明に係る第7実施例の回路ブロック図を図7に示す。この第7実施例は、分波回路を2つのバンドパスフィルタ回路で構成している。そして、第1の送受信系では、スイッチ回路SWにより、送信回路TXと受信回路RXを切り換えている。また第2の送受信系では、スイッチ回路SWにより、送信回路TXと受信回路RXを切り換えている。
【0018】
本発明に係る第8実施例の回路ブロック図を図8に示す。この第8実施例は、分波回路をバンドパスフィルタ回路とノッチフィルタ回路とから構成し、第1の送受信系用にバンドパスフィルタ回路を、第2の送受信系用にノッチフィルタ回路を用いている。そして、第1の送受信系では、スイッチ回路SWにより、送信回路TXと受信回路RXを切り換えている。また第2の送受信系では、スイッチ回路SWにより、送信TXと受信RXを切り換え、その送信系に他のローパスフィルタ回路が設けられている。
【0019】
本発明に係る第9実施例の回路ブロック図を図9に示す。この第9実施例は、分波回路をバンドパスフィルタ回路とハイパスフィルタ回路とから構成し、第1の送受信系用にバンドパスフィルタ回路を、第2の送受信系用にハイパスフィルタ回路を用いている。そして、第1の送受信系では、スイッチ回路SWにより、送信回路TXと受信回路RXを切り換えている。また第2の送受信系では、スイッチ回路SWにより、送信回路TXと受信回路RXを切り換え、その送信系に他のローパスフィルタ回路が設けられている。
【0020】
本発明の分波回路は、ノッチフィルタ回路、ローパスフィルタ回路、ハイパスフィルタ回路、バンドパスフィルタ回路を組み合わせている。これらの回路は、インダクタ成分とコンデンサ成分の組み合わせにより構成することができる。また、適宜付加されるローパスフィルタ回路も同様である。そして、これらのフィルタ回路は、低温焼成が可能なセラミック誘電体材料からなるグリーンシート上に、例えばAgを主体とする導電ペーストを印刷して、所望の電極パターンを形成し、それを適宜積層し、一体焼成させて構成される積層構造にて構成することができる。
【0021】
また本発明のスイッチ回路SWは、ダイオード、伝送線路、コンデンサなどの組み合わせにより、構成することができる。このスイッチ回路SWも上記各種フィルタ回路同様に、伝送線路を積層体内に構成し、積層体上にダイオードを搭載して構成することが可能である。またコンデンサは、積層体内に構成することもできるし、積層体上に搭載することもできる。
【0022】
そして、本発明の高周波スイッチモジュールは、電極パターンの形成された誘電体グリーンシートを適宜積層し一体焼成した積層体と、該積層体上に配置されたダイオード、チップコンデンサなどのチップ素子とから構成し、ワンチップ化を達成することができる。このとき、積層体内には、上記のフィルタ回路及びスイッチ回路の伝送線路が形成される。このワンチップ化することにより、スイッチ回路、ローパスフィルタ回路、分波回路のそれぞれの回路素子を基板に搭載し、接続する場合に対し、素子間の整合回路が不要となり、部品点数の削減、工数低減を図ることができる。
【0023】
また本発明に係る第5実施例を構成するための一例の等価回路図を図10に示す。この実施例の等価回路図は、第1の送受信系としてGSMを、第2の送受信系としてDCSを用いている。そして、このGSMとDCSの2つのシステムとアンテナとを接続するアンテナスイッチモジュールとなっている。アンテナANTに接続される分波器部分は、2つのノッチ回路が主回路となっている。つまり、インダクタLF1とコンデンサCF1で一つのノッチ回路を構成し、インダクタLF2とコンデンサCF2でもう一つのノッチ回路を構成している。そして、一つのノッチ回路には、アースに接続されるコンデンサCF3が接続されている。このコンデンサCF3は、分波特性のローパスフィルタ特性を向上させる目的で接続されている。また、もう一つのノッチ回路には、アースに接続されるインダクタLF3と、コンデンサCF4を直列に接続している。このインダクタLF3とコンデンサCF4は、分波特性のハイパスフィルタ特性を向上させる目的で接続されている。この分波回路は、2つのノッチ回路のみでも良い。
【0024】
次に、第1のスイッチ回路について説明する。第1のスイッチ回路は、図10上側のスイッチ回路であり、GSM系の送信回路TXと受信回路RXを切り換えるものである。このスイッチ回路SWは、2つのダイオードDG1、DG2と、2つの伝送線路LG1、LG2からなり、ダイオードDG1はアンテナANT側にアノードが接続され、送信回路TX側にカソードが接続され、そのカソード側にアースに接続される伝送線路LG1が接続されている。そして、アンテナ側と受信回路RX間に伝送線路LG2が接続され、その受信側にカソードが接続されたダイオードDG2が接続され、そのダイオードDG2のアノードには、アースとの間にコンデンサCG6が接続され、その間に抵抗RG、インダクタLGの直列回路が接続され、コントロール回路VC1に接続される。
【0025】
そして、送信TX 回路側に挿入されるローパスフィルタ回路は、インダクタLG3と、コンデンサCG3、CG4、CG7から構成され、スイッチ回路SWのダイオードDG1と伝送線路LG1の間に挿入されている。
【0026】
次に、第2のスイッチ回路について説明する。第2のスイッチ回路は、図10下側のスイッチ回路であり、DCS系の送信回路TXと受信回路RXを切り換えるものである。このスイッチ回路SWは、2つのダイオードDP1、DP2と、2つの伝送線路LP1、LP2からなり、ダイオードDP1はアンテナANT側にアノードが接続され、送信回路TX側にカソードが接続され、そのカソード側にアースに接続される伝送線路LP1が接続されている。そして、アンテナ側と受信回路RX間に伝送線路LP2が接続され、その受信側にカソードが接続されたダイオードDP2が接続され、そのダイオードDP2のアノードには、アースとの間にコンデンサCP6が接続され、その間に抵抗RP、インダクタLPの直列回路が接続され、コントロール回路VC2に接続される。
【0027】
そして、送信回路TX回路側に挿入されるローパスフィルタ回路は、インダクタLP3と、コンデンサCP3、CP4、CP7から構成され、スイッチ回路SWのダイオードDP1と伝送線路LP1の間に挿入されている。
【0028】
次に、図10に示した等価回路図を構成するための一実施例の平面図を図11に、その実施例の積層体部分の斜視図を図12に、その積層体の内部構造を図13に示す。この実施例では、分波回路、ローパスフィルタ回路、スイッチ回路の伝送線路を積層体内に構成し、ダイオード、チップコンデンサをその積層体上に搭載して、ワンチップ化された高周波スイッチモジュールを構成したものである。
【0029】
この積層体の内部構造について説明する。この積層体は、低温焼成が可能なセラミック誘電体材料からなるグリーンシートを用意し、そのグリーンシート上にAgを主体とする導電ペーストを印刷して、所望の電極パターンを形成し、それを適宜積層し、一体焼成させて構成される。
【0030】
この内部構造を積層順に従って説明する。まず、下層のグリーンシート11上には、アース電極31がほぼ全面に形成されている。そして、側面に形成される端子電極81、83、85、87、89、91、93、94、95に接続するための接続部が設けられている。
【0031】
次に、電極パターンの印刷されていないダミーのグリーンシート12を積層する。その上のグリーンシート13には、3つのライン電極41、42、43が形成され、その上のグリーンシート14には、4つのライン電極44、45、46、47が形成されている。その上に、2つのスルーホール電極(図中丸に十字の印を付けたものがスルーホール電極である)が形成されたグリーンシート15を積層し、その上に、アース電極32が形成されたグリーンシート16が積層される。
【0032】
この2つのアース電極31、32に挟まれた領域に形成されたライン電極は適宜接続され、第1及び第2のスイッチ回路SW用の伝送線路を形成している。ライン電極42と46はスルーホール電極で接続され、等価回路の伝送線路LG1を構成し、ライン電極41と45はスルーホール電極で接続され、等価回路の伝送線路LG2を構成し、ライン電極43と47はスルーホール電極で接続され、等価回路の伝送線路LP1を構成し、ライン電極44は等価回路の伝送線路LP2を構成している。
【0033】
グリーンシート16の上に積層されるグリーンシート17には、コンデンサ用の電極61、62、63、64、65、66が形成されている。その上に積層されるグリーンシート18にもコンデンサ用の電極67、68、69、70が形成されている。その上に積層されるグリーンシート19には、コンデンサ電極71が形成されている。
【0034】
更にその上には、ライン電極48、49が形成されたグリーンシート20が積層され、その上に、ライン電極50、51、52、53、54、55が形成されたグリーンシート21が積層される。そして、最上部のグリーンシート22には、搭載素子接続用のランド23、24、25、26、27、28、29、33、34、35、36、37が形成されている。
【0035】
上側のアース電極32が形成されたグリーンシート16の上に積層されたグリーンシート17のコンデンサ用電極の61、62、63、64、65は、アース電極32との間で容量を形成し、コンデンサ用電極61は、等価回路のCG4を、コンデンサ用電極62は、等価回路のCG3を、コンデンサ用電極63は、等価回路のCP4を、コンデンサ用電極64は、等価回路のCP3を、コンデンサ用電極65は、等価回路のCF3を構成している。
【0036】
またグリーンシート17、18、19に形成されたコンデンサ電極は互の間で容量を形成し、コンデンサ電極66と70の間で、等価回路のCF4を構成し、同様にコンデンサ電極64と69の間で、等価回路のCP7を構成し、コンデンサ電極62と67の間で、等価回路のCG7を構成し、コンデンサ電極70と71の間で、等価回路のCF2を構成し、コンデンサ電極68と71の間で、等価回路のCF1を構成している。
【0037】
またグリーンシート20、21では、ライン電極48、55が等価回路のLF1を構成し、ライン電極54、56が等価回路のLF2を構成し、ライン電極49、53が等価回路のLF3を構成し、ライン電極50が等価回路のLG3を構成し、ライン電極52が等価回路のLP3を構成している。なお、ライン電極51はDCラインである。
【0038】
これらのグリーンシートを圧着し、一体焼成して積層体を得た。この積層体の側面に端子電極81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96を形成した。この外観図を図12に示す。
【0039】
この積層体の上に、ダイオードDG1、DG2、DP1、DP2、チップコンデンサCG1、CG6、CP1、CP6を搭載した。また、チップインダクタLP4、チップコンデンサCP8を搭載しているが、このLC直列回路は、搭載しなくとも良い。図11に、この搭載素子を搭載した様子を示す平面図を示す。また、図11に、この高周波スイッチモジュールの実装構成を合わせて示す。
【0040】
この実施例によれば、第1及び第2のスイッチ回路の伝送線路を積層体内に形成する際に、アース電極で挟まれた領域内に配置している。これにより、スイッチ回路と分波回路、ローパスフィルタ回路との干渉を防いでいる。そして、このアース電極で挟まれた領域を積層体の下部に配置し、アース電位を取り易くしている。そして、アースとの間に接続されるコンデンサを構成する電極を、その上側のアース電極に対向させて形成している。
【0041】
また、この伝送線路部分を積層体の下側に構成することにより、アース電極を積層体の下側に配置することができ、実装基板の影響を少なくすることができる。さらに、アース電極と対向させるコンデンサ形成用の容量電極をその次に配置し、上部にローパスフィルタ回路と分波回路のインダクタンス成分を配置することにより、インダクタンス成分をアース電極から離すことができ、短い伝送線路長で必要なインダクタンス値を得ることができる。これにより、高周波スイッチモジュールの小型化を図れる。
【0042】
また、この実施例の積層体の側面に形成された端子電極において、アンテナANT端子に対して積層体を2分した反対側に、GSM系の送信回路TX端子、受信回路RX端子、DCS系の送信回路TX端子、受信回路RX端子がそれぞれ形成されている。この高周波スイッチモジュールは、アンテナと送受信回路の間に配置されるので、この端子配置により、アンテナと高周波スイッチモジュール、及び送受信回路と高周波スイッチモジュールを最短の線路で接続することができ、余分な損失を防止できる。
【0043】
さらに、その反対側において、その半分の片側に、GSM系の送信回路TX端子、DCS系の送信回路TX端子が形成され、もう一方の片側に、GSM系の受信回路RX端子、DCS系の受信回路RX端子が形成されている。2つの送信回路、2つの受信回路は、それぞれかたまって配置されるので、高周波スイッチモジュールの送信端子どうし、受信端子どうしを近くに配置して、最短経路での接続が可能となり、余分な損失を防止できる。
【0044】
また、この実施例の積層体では、側面に形成されたアンテナANT端子、GSM系の送信回路TX端子、受信回路RX端子、DCS系の送信回路TX端子、受信回路RX端子はいずれも、側面の周回方向で見た場合、各端子間にはアース端子が形成されており、各端子はアース端子で挟まれている。各入出力端子は、アース端子に挟まれた配置となっている。これにより、各端子間の信号の漏洩が遮断され、干渉が無くなり、信号端子間のアイソレーションが確実なものとなる。
【0045】
また上記実施例の等価回路では、スイッチのコントロール電源端子をスイッチ毎に別々に設けているが、一つのコントロール電源端子として、2つのスイッチを制御するようにしても良い。
【0046】
上記積層構造の実施例は、図5に示した第5実施例の回路ブロック図に対応するものであるが、図1〜図9に示した第1実施例から第9実施例の他の回路ブロック図に示す実施例を積層構造で構成することは、上記実施例の変形例として容易に構成することができる。例えば、インダクタ成分、コンデンサ成分の電極パターンを変更し、接続方法を変更することで可能である。
【0047】
本発明の実施例によれば、例えば、デュアルバンド携帯電話において、2つのシステムと1つのアンテナを接続する部分に用いることができ、複数の回路構成をワンチップに構成することができる。このため、複数の回路素子を別々に搭載し、接続する方法に比較し、部品点数の削減、工数の削減、小型化などの利点を有する。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、デュアルバンド携帯電話などにおいて、極めて有益となるスイッチ回路及び複合スイッチ回路を提供することができる。本発明によれば、このスイッチ回路及び複合スイッチ回路を、積層構造を用いることにより、小型に、しかもワンチップに構成することができる。これにより、デュアルバンド携帯電話などにおいて、機器の小型化に有効なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1 実施例の回路ブロック図である。
【図2】本発明に係る第2 実施例の回路ブロック図である。
【図3】本発明に係る第3 実施例の回路ブロック図である。
【図4】本発明に係る第4 実施例の回路ブロック図である。
【図5】本発明に係る第5 実施例の回路ブロック図である。
【図6】本発明に係る第6 実施例の回路ブロック図である。
【図7】本発明に係る第7 実施例の回路ブロック図である。
【図8】本発明に係る第8 実施例の回路ブロック図である。
【図9】本発明に係る第9 実施例の回路ブロック図である。
【図10】本発明に係る第5 実施例の回路ブロック図の一例の等価回路図である。
【図11】図10に示した等価回路図を構成するための一実施例の平面図である。
【図12】図10に示した等価回路図を構成するための一実施例の積層体部分の斜視図である。
【図13】図10 に示した等価回路図を構成するための一実施例の積層体の内部構造図である。
【符号の説明】
11、12、13、14、15、1、17、18、19、20、21、22 誘電体グリーンシート
31、32 アース電極
41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56ライン電極
61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71 コンデンサ用電極
81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96端子電極
Claims (5)
- アンテナに接続する分波回路と、前記分波回路に接続するスイッチ回路を備えた複合スイッチ回路であって、
前記分波回路は、通過帯域の異なるフィルタ回路を並列接続してなり、
前記スイッチ回路は、前記フィルタ回路を介してアンテナと接続され、
前記アンテナ側にアノードが接続され、送信回路側にカソードが接続された第一のダイオードと、受信回路側にカソードが接続され、アース側にアノードが接続された第二のダイオードと、前記アンテナ側と前記受信回路側との間に配置され、前記第一のダイオードと前記第二のダイオードとを直列に接続する伝送線路を備え、前記第一のダイオードと前記第二のダイオードとの間において、前記伝送線路にコンデンサが直列接続されておらず、
もって、前記第二のダイオードのアノード側に接続されたコントロール回路からのみ前記第一及び第二のダイオードに所定の電圧を加えることにより前記第一及び第二のダイオードが制御され、アンテナ側と送信回路側の接続、またはアンテナ側と受信回路側の接続を切り換えることを特徴とする複合スイッチ回路。 - 前記第一のダイオードのカソード側に、アースに接続される伝送線路が接続されていることを特徴とする請求項1記載の複合スイッチ回路。
- 前記分波回路は、ノッチフィルタ回路、ローパスフィルタ回路、ハイパスフィルタ回路、バンドパスフィルタ回路を組み合わせて構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の複合スイッチ回路。
- 前記分波回路は、インダクタンス成分とコンデンサ成分の組み合わせで構成されることを特徴とする請求項3に記載の複合スイッチ回路。
- 送信信号が通る経路に、更にローパスフィルタ回路が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の複合スイッチ回路。
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