JP3823959B2 - 光の反射機能を有する履物 - Google Patents

Description

本発明は、靴やサンダルのラインピースの周面に光の反射機能を有する履物に関するものである。

夜間や薄暗い時刻に路上にいると、人は自動車の運転者から見えにくゝて、自動車に衝てられたりする危険がある。
そこで、自動車によるこのような危険を避けるために、路上で作業をする人は光を反射する機能を有する作業衣や襷などを着用して、自動車の前照灯を当てられるとその光を反射して運転者に自己の存在が確実に認識されるようにしている。
しかしながら、主として「健康」などを目的としてこのような時刻に歩いたり走ったりする人にとってはこのような特定の衣服などは着用することができない。
そのため従来からこのような人には、アッパーの部位の側面や踵の部分後ろなどに反射機能を有する布材を取り付けた靴が用いられていた。

通常、靴はアッパーの部分と靴底の部分は材質がまったく相違するものゝ、両者はともに無地色であり、スポーツシューズやジョギングシューズ等の特殊な用途のものだけがアッパーの部位にその靴のメーカーを表す意匠が施されているに過ぎない。
光の反射機能を有する布材は靴のアッパーとは異質なものであるから、靴の意匠性を損なうことのないことが求められるので、比較的小さなものでなければならず、その取付け位置は靴のアッパーの部位の側面と踵の後ろ面とに限られたのである。
そのためこの種の靴では光を反射する面積が極めて狭いため自動車の運転者からは見えにくい、と云う不具合があった。
しかも寒い時期にはズボンやパンツをはく人が多く、殊に高齢者は足首を覆うような長めのものを履くことが多いので、このような履物では反射性布材がその裾により覆い隠されてしまってその機能を発揮することができなくなる可能性が生じる。
このようなことから日没後の交通事故が増大している。本発明は、このような事故を解消する対策として、静岡県警察本部の依頼と協力を受けて行ったものである。

解決しようとする問題点は、路上にいる人に対して自動車の前照灯は側方や後方からだけでなく、前方や斜方などからも向けられるので、上記したような限定された狭い範囲にだけに反射性布材の取り付けられた履物はその方向からだけしか目視確認できないため殆んど実効性がなかった点である。

本発明は、靴底などの上縁とアッパーとの接合線（ラインピース）のほゞ全周に光の反射機能を持たせたことを最も主要特徴とする。

本発明の履物は、見かけ上のラインピースのほゞ全周にわたって光の反射機能を持たせたことにより、ズボンやパンツの裾によって覆い隠されることなく、全ての方向から当てられる光も反射するので、その存在が確実に認識されるという利点がある。

靴を履いた人の存在が確実に認識されるという目的を、履物自体の意匠をなんら損なうことなく、むしろ意匠性を高めた状態で実現した。

図１は、本発明に係る光の反射機能を有する履物の1 実施例を示す説明図であり、靴底の上縁とアッパーとの間にラインピースを有する靴を例にして、靴底の外周及びラインピースとに光の反射機能を持たせたものゝ一例を示してある。

この実施例では履物は、靴底とラインピースの部分に光の反射機能を持たせてあり、それ以外は通常のこの種の靴と変わるところはない。
すなわち図中符号１はアッパー、２は靴底、３はラインピースであり、これらは通常の歩行用やジョギング用の靴のものと同様である。
この実施例では履物は、靴底２の外周面とラインピース３に光の反射機能を持たせてあり、靴底２の外周面に反射機能を持たせる手段については特に限定はしない。
例えば通常の方法により成形された靴底２の外周面に光の反射機能を有するフィルム４を貼着するか、又はその面に光の反射機能を有する塗料を塗布してその塗膜を形成することもできるし、あるいは靴底２自体を光の反射機能を有する材料を用いて成形することもできる。
このように本実施例では、靴底２の外周面の全周若しくはほゞ全周に光の反射機能を生じさせるものである。又、ラインピースについては、このものを、光の反射機能を有するテープ状の布材５により巻き包んで見かけ上のラインピースとし、これを靴の所定の位置に取り付けるものである。
この見かけ上のラインピースを製造するには、ラインピース３の外周面に相当する部分のみに光の反射機能を持たせたテープ状の布材５を形成した後、この布材５の内側面に接着剤を塗布し、布材５によりラインピース３を巻き包んで布材５の中にラインピース３を貼着する。
すると、上下面が布材５により構成された（見かけ上の）光の反射機能を有するラインピースとなる。
この見かけ上のラインピースは布材５がアッパー１と靴底２に対する接着代となり、本来のラインピース３に比べて接着代が格段に広くなるので、細い棒状のラインピース３を、アッパー１と靴底２との間の所定の位置に確実に取り付けられる効果がある。
尚、図示の実施例では図２に示したように、ラインピース３は外面の幅を広くし、且つその外周面を僅かな凸面形状にし、光の反射機能を有するテープ状の布材５をそれに巻き包んで見かけ上のラインピースとし、これを靴の所定の位置に取り付けることにより、凸面形状の反射面にしてある。
即ち、ラインピース３をこのような形状にすると、外面が平坦に形成されたものに比べて光の反射光が見えやすくなり、実際のものよりも更に幅の広いラインピース３が取り付けられているような効果が生じるのである。

図示の実施例では、靴底２の外周とラインピース３に光の反射機能を持たせたものを示したが、少なくともラインピース３にその機能を持たせればその効果は得られる。
又、光の反射機能はラインピース3 に間断なく持たせる必要はなく、すべての方向から確認をすることのできる範囲内で間歇的に持たせればよい。

この発明は靴の意匠性を損なうことがなく、むしろ意匠の効果を高めることもあるので、健康を目的として履く靴に限らず通常のファッション性の高い靴にも適用することができるので、サンダルや工事用の保安靴等にも用いることができる。

履物の１実施例を示す一部切欠説明図である。 ラインピースの１例を示す説明図である。

符号の説明

１ アッパー
２ 靴底
３ ラインピース
４ フィルム
５ 布材

Claims (1)

1. アッパー部と靴底とを組み合わせて成る履物であって、
   アッパー部と靴底との組み合わせ境界部には、その露見外周部に、見かけ上のラインピースをほぼ全周にわたって配するものであり、
   この見かけ上のラインピースは、芯材となるラインピースの周面全域を、反射機能を有したテープ状の布材で巻き包み、再帰反射を行うように形成するものであり、
   この際、芯材となるラインピースには、反射面側が凸面形状となる細棒状のものを適用し、
   一方、芯材を巻き包む布材としては、ラインピースの外周面に相当する部分のみに光の反射機能を持たせたテープ状のものを適用するものであり、
   見かけ上のラインピースを、アッパー部と靴底との境界部に取り付けるにあたっては、布材を接着代として、アッパー部と靴底との間に挟み込むように取り付けることを特徴とする光の反射機能を有する履物。

Images