JP3823804B2 - 信号処理方法及び装置、信号処理プログラム、並びに記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号処理方法及びその装置、信号処理プログラム、並びに信号処理プログラムの記録された記録媒体に関し、特に、複数の信号同士又は一の信号の異なる部分区間同士の類似性を評価する信号処理方法及びその装置、信号処理プログラム、並びに信号処理プログラムの記録された記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、2つの信号の類似性を評価する手法として、相関法が用いられている。なお、相関法は、整合フィルタとも呼称される。
【0003】
この相関法では、2つの信号間の時間をずらしながら相関をとり、最大となる時刻の相関値により類似性を評価することができ、1つの信号の他方の信号に対する信号対雑音比を最大にするという意味で最適な比較手法であるといえる。特に、検出したいパターンが既知の場合の、ノイズに汚された観測信号からのパターン検出法として、信号検出、音響処理、画像処理、或いはレーダ技術等の広い分野で用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この相関法は、原信号が既知ではない2つの観測信号の類似性を評価する場合や、信号やノイズが非定常的である場合には、雑音成分の非定常性に支配され、必ずしも適正な比較手法とはならない場合がある。以下、具体的に説明する。
【0005】
図13(A)及び図13(B)に、互いに類似する信号を含んだ2つの観測信号A、Bを示す。この観測信号に含まれる類似信号には、300サンプルのずれがあり、また、振幅は、1.5倍程度異なる。また、それぞれの観測信号は、非定常的な雑音信号に汚され、図中矢印で示した区間では、信号対雑音比よく観測され、両信号は比較的類似しているものの、他の部分では、雑音信号が多く、両信号は殆ど類似していない。当然のことながら、どの区間の信号対雑音比がよいのか、すなわち、類似評価に適するのかは、事前には分からないものである。
【0006】
このような観測信号のうち、観測信号Aの0から500サンプルの部分をテンプレートとして、観測信号Bとの相関値を相関法により計算した結果を図13(C)に示す。図13(C)の矢印で示すように、平行移動量が300サンプル付近に相関のピークが観察されるが、他のピークに比べて有意に大きいとはいえず、また、絶対値も0.3程度であり、十分に高いとはいえない。このように、相関法では、上述したような信号やノイズが非定常的である観測信号間の類似性を適切に評価することができない。
【0007】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、原信号が未知である2つの観測信号の類似性を評価する場合や、信号やノイズが非定常的である場合においても、自動的に雑音成分が支配的な区間を排除して、類似性の高い区間を抽出し、同時にそのような区間を用いて類似性を評価することを可能とする信号処理方法及びその装置、信号処理プログラム、並びに信号処理プログラムの記録された記録媒体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明に係る信号処理方法は、複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割工程と、各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出工程と、上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計工程と、当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価工程とを有することを特徴としている。
【0009】
ここで、本発明に係る信号処理方法は、上記複数の信号間の類似する区間を検出する類似区間検出工程をさらに有してもよい。
【0010】
また、本発明に係る信号処理方法では、各小領域と上記他の信号との類似度が最大となる位置までのシフト量と、当該位置における拡大率とを変換パラメータとすることができる。
【0011】
このような信号処理方法では、入力された複数の信号の少なくとも1つが複数の小領域に分割され、その小領域毎に他の信号との類似性が求められ、それらを集計することによって複数の信号間の類似性が評価される。
【0012】
また、上述した目的を達成するため、本発明に係る信号処理方法は、複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割工程と、各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出工程と、上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計工程と、当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価工程と、上記複数の信号間の類似する区間を検出する類似区間検出工程と、上記類似区間検出工程で検出された上記複数の信号間の類似する区間を符号化する第1の符号化工程と、上記類似する区間以外を符号化する第2の符号化工程とを有することを特徴としている。
【0013】
ここで、上記第1の符号化工程では、上記類似する区間の開始位置、拡大率及び当該類似する区間の長さの情報を符号化することができる。
【0014】
このような信号処理方法では、入力された複数の信号の少なくとも1つが複数の小領域に分割され、その小領域毎に他の信号との類似性が求められ、それらを集計することによって複数の信号間の類似性が評価される。そして、その類似性に基づいて、複数の信号間の類似する区間が検出され、その類似する区間とそれ以外の区間とが別々に符号化される。
【0015】
また、上述した目的を達成するため、本発明に係る信号処理装置は、複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割手段と、各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出手段と、上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計手段と、当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価手段とを備えることを特徴としている。
【0018】
このような信号処理装置は、入力された複数の信号の少なくとも1つを複数の小領域に分割し、その小領域毎に他の信号との類似性を求め、それらを集計することによって複数の信号間の類似性を評価する。
【0019】
また、上述した目的を達成するため、本発明に係る信号処理装置は、複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割手段と、各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出手段と、上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計手段と、当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価手段と、上記複数の信号間の類似する区間を検出する類似区間検出手段と、上記類似区間検出手段によって検出された上記複数の信号間の類似する区間を符号化する第1の符号化手段と、上記類似する区間以外を符号化する第2の符号化手段とを備えることを特徴としている。
【0021】
このような信号処理装置は、入力された複数の信号の少なくとも1つを複数の小領域に分割し、その小領域毎に他の信号との類似性を求め、それらを集計することによって複数の信号間の類似性を評価する。そして、その類似性に基づいて、複数の信号間の類似する区間を検出し、その類似する区間とそれ以外の区間とを別々に符号化する。
【0022】
また、上述した目的を達成するため、本発明に係る信号処理プログラムは、複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割工程と、各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出工程と、上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計工程と、当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価工程とをコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0025】
このような信号処理プログラムは、入力された複数の信号の少なくとも1つを複数の小領域に分割し、その小領域毎に他の信号との類似性を求め、それらを集計することによって複数の信号間の類似性を評価する。
【0026】
また、上述した目的を達成するため、本発明に係る信号処理プログラムは、複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割工程と、各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出工程と、上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計工程と、当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価工程と、上記複数の信号間の類似する区間を検出する類似区間検出工程と、上記類似区間検出工程で検出された上記複数の信号間の類似する区間を符号化する第1の符号化工程と、上記類似する区間以外を符号化する第2の符号化工程とをコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0028】
このような信号処理プログラムは、入力された複数の信号の少なくとも1つを複数の小領域に分割し、その小領域毎に他の信号との類似性を求め、それらを集計することによって複数の信号間の類似性を評価する。そして、その類似性に基づいて、複数の信号間の類似する区間を検出し、その類似する区間とそれ以外の区間とを別々に符号化する。
【0029】
また、上述した目的を達成するため、本発明に係る記録媒体は、複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割工程と、各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出工程と、上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計工程と、当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価工程とをコンピュータに実行させる信号処理プログラムが記録されたコンピュータ制御可能なものである。
【0032】
このような記録媒体に記録されている信号処理プログラムは、入力された複数の信号の少なくとも1つを複数の小領域に分割し、その小領域毎に他の信号との類似性を求め、それらを集計することによって複数の信号間の類似性を評価する。
【0033】
また、上述した目的を達成するため、本発明に係る記録媒体は、複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割工程と、各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出工程と、上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計工程と、当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価工程と、上記複数の信号間の類似する区間を検出する類似区間検出工程と、上記類似区間検出工程で検出された上記複数の信号間の類似する区間を符号化する第1の符号化工程と、上記類似する区間以外を符号化する第2の符号化工程とをコンピュータに実行させる信号処理プログラムが記録されたコンピュータ制御可能なものである。
【0035】
このような記録媒体に記録されている信号処理プログラムは、入力された複数の信号の少なくとも1つを複数の小領域に分割し、その小領域毎に他の信号との類似性を求め、それらを集計することによって複数の信号間の類似性を評価する。そして、その類似性に基づいて、複数の信号間の類似する区間を検出し、その類似する区間とそれ以外の区間とを別々に符号化する。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態は、本発明を、複数の信号若しくは一の信号の異なる部分区間に同一若しくは類似する信号成分が含まれる場合の類似性を評価し、類似部分を抽出する信号処理装置に適用したものである。この信号処理装置について説明する前に、先ず、本実施の形態における類似性評価手法の原理について説明する。
【0037】
先ず、比較する2つの信号をf(x),g(x)とし、pを変換パラメータとする所定の変換群をHp[・]、雑音成分をn(x)とすると、両信号は、以下の式(1)に示す関係で表すことができる。
【0038】
【数1】
【0039】
ここで、所定の変換Hp[・]を信号f(x)に適用した結果が信号g(x)と類似している場合には、雑音成分n(x)は、小さな値の関数となるが、全く似ていない場合には、雑音成分n(x)は、大きな値の関数となる。つまり、式(1)のような表現をとることで、信号f(x)と信号g(x)とが類似するとは、ある変換パラメータpに関して、雑音成分n(x)が信号g(x)に対して十分小さくなることであると捉えることができる。なお、最も代表的な変換例として拡大及び平行移動を考えれば、両信号は、以下の式(2)に示す関係で表すことができる。ここで、式(2)において、aは、拡大率を示し、yは、平行移動量を示す。
【0040】
【数2】
【0041】
両信号が式(2)のような関係で表される場合、信号f(x)と信号g(x)とが類似するとは、雑音成分n(x)が十分小さくなるような拡大率a及び平行移動量yが存在するということになる。
【0042】
ところで、よく知られているように、雑音成分n(x)のエネルギを信号g(x)のエネルギに対して最小にするような拡大率a及び平行移動量yは、相関法によって求めることができる。
【0043】
しかしながら、雑音成分n(x)が非定常的であり、部分的には弱く、部分的には非常に強いという場合、すなわち、信号g(x)が以下の式(3)を満たすような条件のもとでは、信号全体を一様に最適化する相関法によっては、前述したように、必ずしも適切に拡大率a及び平行移動量yを求めることができない。
【0044】
【数3】
【0045】
そこで、本実施の形態では、局所的な類似性を求め、それらを統合することによって、全体の類似性を評価する。
【0046】
本実施の形態における手法では、先ず、図1(A)に示すように、以下の式(4)に従って、信号f(x)をI個の小さな部分区間信号fi(x)に分割する。ここで、式(4)において、xiは、それぞれの部分区間の端点を示し、i(=0,1,・・・,I−1)は、部分区間のインデックスを示す。なお、分割数が図1(A)の例に限定されないことは勿論であり、任意に設定することができる。また、図1(A)では、それぞれの部分区間が重ならないように分割しているが、重なりを持たせて部分区間をとるようにしても構わない。
【0047】
【数4】
【0048】
次に、各部分区間信号fi(x)及び信号g(x)について、以下の式(5)に示すような、信号エネルギに対する雑音エネルギJ(a,y)を最小にする拡大率a=ai、平行移動量y=yi及びそのときの類似度siを求める。ここで、拡大率aとは、部分区間信号fi(x)のパターンが信号g(x)のパターンと最も一致するような大きさとなる乗算係数である。
【0049】
【数5】
【0050】
これは、2次最小化問題に帰着し、以下の式(6)及び式(7)のように平行移動量yi及び拡大率aiを求めることができる。
【0051】
【数6】
【0052】
この式(6)は、平行移動量yiが部分区間信号fi(x)と信号g(x)との相関(の自乗)を最大にするシフト量として求まることを意味し、式(7)は、そのとき最も雑音エネルギを小さくする拡大率としてaiが求まることを示している。例えば、部分区間信号fi(x)と信号g(x)との相関(の自乗)を最大にする信号g(x)上の区間として、図1(B)の矢印に示すような区間が求められる。
【0053】
このとき、部分区間信号fi(x)と信号g(x)との間の類似度siは、以下の式(8)に示すように、最大相関値の自乗として求められる。
【0054】
【数7】
【0055】
続いて、全ての部分区間iについて、平行移動量yi、拡大率ai及び類似度siが求まった後、投票法によって各部分区間の類似度を統合する。ここで、投票法とは、以下の式(9)で表されるように、平行移動量y及び拡大率aを適当な升目で区切って構成される特徴空間h(y,a)に対し、図1(C)の矢印に示すように、平行移動量yi及び拡大率aiが対応する升目に類似度siを積算して集計することをいい、一種のヒストグラム作成に相当する。なお、式(9)において、δ(y,a)は、クロネッカーのデルタであり、y≒yi,a≒aiで1、それ以外で0となる関数を表す。また、全体をIで割っているのは、総投票数、すなわち小領域分割数に依存せず、積算値を[0,1]に規格化するためである。
【0056】
【数8】
【0057】
このとき、類似性の高い部分から得られる平行移動量yi、拡大率ai及び類似度siは、上述した式(3)に示されるように、共通の平行移動量yi及び拡大率aiを有しており、また類似度siは、比較的大きな値を有するため、投票操作により一定の場所に大きなピークを形成する。
【0058】
一方、非類似部分から得られる平行移動量yi、拡大率ai及び類似度siは、平行移動量yi及び拡大率aiが偶然のものであるため一定せず、また、類似度siは、比較的小さな値となるため、投票操作により分散され、大きなピークは形成しない。
【0059】
ここで、前述した図13(A),(B)の信号に対して本手法を適用した投票結果を図2に示す。図2から分かるように、平行移動量300サンプル、拡大率1.5の付近に大きなピークを形成しているが、他の部分では大きなピークを形成していない。
【0060】
全てのi(=0,1,・・・I−1)に関して投票した後、以下の式(10)、式(11)で表されるように、最大となるピーク位置を(ym,am)とし、そのときの類似度siの積算値を最大類似度smとする。
【0061】
【数9】
【0062】
最大類似度smが予め定める閾値sthsdを超えていなければ、信号f(x)とg(x)とは類似していないと判定する。逆に、最大類似度smが閾値sthsd以上ならば、類似している、或いは類似部分があると判定する。なお、このときの両者の類似度は、最大類似度smである。
【0063】
このように、本実施の形態では、局所的な類似性を求め、それらを統合することによって、全体の類似性を評価することができる。
【0064】
また、升目(ym,am)に対して投票した小領域を逆に求めることで、f(x)の中でg(x)と類似する信号区間を求めることができる。具体的には、例えば各部分区間信号fi(x)について類似度siを求めた際の平行移動量yi及び拡大率aiを記憶しておき、ピーク位置における平行移動量ym及び拡大率amと十分近いもののみを選択することで、類似区間を検出する。
【0065】
上述したような演算の結果得られる類似区間を図3に示す。図3中、1の部分が類似していると判定された区間を示し、0の部分が類似しているとは判定されなかった区間を示す。図13(A)の信号と比較すると、図13(A)において矢印で示した区間が1となっており、確かに類似区間を検出できていることが確認できる。
【0066】
なお、上述した説明では、式(5)及び式(6)において、信号エネルギに対する雑音エネルギJ(a,y)を最小にする拡大率a=ai、平行移動量y=yiを求めたが、これに限定されるものではなく、信号エネルギに対する雑音エネルギJ(a,y)が所定値以下のものを全て投票するようにしても構わない。
【0067】
また、上述の説明では、式(10)、式(11)で求めたピーク位置での類似度の最大類似度smについてのみ閾値sthsdと比較し、閾値sthsdを超えている場合に、そのピークに投票した小領域を逆に求めたが、これに限定されるものではなく、閾値sthsdを超えるピーク全てについて、そのピークに投票した小領域を求めるようにしても構わない。これにより、信号g(x)中に信号f(x)と類似する区間が複数ある場合にも、それらの全てを抽出することができる。
【0068】
以上、本実施の形態における類似性評価手法の原理について説明した。次に、本実施の形態における信号処理装置10の概略構成について、図4を用いて説明する。なお、以下の説明において、信号処理装置10は、第1の信号及び第2の信号を入力して、その類似性を評価するものとして説明するが、1つの信号のみを入力し、その信号の異なる部分区間同士の類似性を評価するようにしても構わない。
【0069】
図4に示すように、本実施の形態における信号処理装置10は、領域分割部11と、類似度計算部12と、投票部13と、類似判定部14と、類似区間検出部15とを備える。
【0070】
領域分割部11は、第1の信号を小領域に分割する。なお、上述したように分割数は、任意に設定することができ、重なりを持たせて小領域をとるようにしても構わない。
【0071】
類似度計算部12は、領域分割部11において分割された小領域のそれぞれについて、第2の信号との間で相関を計算する。そして類似度計算部12は、得られた類似度、すなわち相関値の自乗の中で最も値の大きいものを探索し、その類似度s、時間差t及び拡大率aを取得する。ここで、拡大率aとは、小領域のパターンが第2の信号のパターンと最も一致するような大きさとなる乗算係数である。
【0072】
投票部13は、得られた類似度s、時間差t及び拡大率aを投票空間に投票する。投票空間は、時間差tと拡大率aを変数とし、類似度sの積算を値とする特徴空間であり、小領域から得られる時間差t、拡大率aの位置に類似度sを積算する。
【0073】
上述したように、第1の信号と第2の信号との間に類似する信号成分が含まれている場合、該当する小領域においては、そのパターンが類似するため、類似度sは高く、その時間差t及び拡大率aは他の小領域と概ね一致する。
【0074】
一方、類似しない部分に該当する小領域では、偶然に最も類似する位置にて最大となる類似度が取得されるため、概してその類似度sは低く、その時間差t及び拡大率aは他の小領域とは無関係なものとなる。
【0075】
従って、類似する信号成分がある場合には、それに対応する複数の小領域の投票が同じ位置に集中するため、有意な大きさのピークを形成することが期待され、類似する信号成分がない場合には、そもそも類似度が小さく、また、全ての投票が異なる位置に分散するため、有意なピークは形成されない。
そこで類似判定部14は、全ての小領域に関して投票が行われた後、投票空間中の最大類似度smを探索し、その最大類似度smを閾値sthsdと比較することで、類似判定を行う。
【0076】
類似領域検出部15は、類似判定部14において類似していると判定された場合に、類似している領域を検出する。類似領域検出部15は、例えば、各小領域の時間差t及び拡大率aがピーク位置の時間差tm及び拡大率amと十分近いもののみを選択することで、類似領域を検出する。
【0077】
以下、上述したような構成を有する信号処理装置10の動作について、図5のフローチャートを用いて説明する。先ずステップS10において、第1の信号を上述したように小領域に分割し、続くステップS11において、その小領域の中から1つの小領域を選択する。
【0078】
ステップS12では、ステップS11において選択された小領域について、第2の信号との相関を計算する。
【0079】
ステップS13では、ステップS12において得られた類似度の中で最も値の大きいものを探索し、その類似度s、時間差t及び拡大率aを取得する。
【0080】
続くステップS14では、ステップS13において得られた類似度s、時間差t及び拡大率aを投票空間に投票する。すなわち、小領域から得られる時間差t、拡大率aの位置に類似度sを積算する。
【0081】
ステップS15では、全ての小領域について処理を終えたか否かが判別される。ステップS15において、処理を終えていない小領域がある場合には、ステップS11に戻って、残りの小領域について上述の処理を繰り返し、全ての小領域の処理を終えている場合には、ステップS16に進む。
【0082】
ステップS16では、投票空間中の最大類似度smを探索して取得し、続くステップS17では、その最大類似度smが所定の閾値sthsdを超えているか否かが判別される。ステップS17において、最大類似度smが所定の閾値sthsdを超えていない場合(No)、有意なピークが形成されていないとしてステップS20に進み、第1の信号と第2の信号とは類似しないと判定して終了する。ステップS17において、最大類似度smが所定の閾値sthsdを超えている場合(Yes)、有意なピークが形成されているとしてステップS18に進む。
【0083】
ステップS18では、第1の信号と第2の信号とは類似していると判定し、その時間差tm及び拡大率amを取得する。また、第1の信号と第2の信号との類似度を最大類似度smとする。
【0084】
ステップS19では、類似している領域を検出する。すなわち、各小領域の時間差t及び拡大率aがピーク位置の時間差tm及び拡大率amと十分近いもののみを選択して終了する。
【0085】
信号処理装置10は、以上のような処理を行うことで、ノイズが非定常的である観測信号間の類似性を適切に評価することができ、また、その類似部分を信号中から抽出することができる。
【0086】
以上説明した信号処理装置10は、例えば図6に示すような符号化装置20に用いることができる。この符号化装置20は、上述した信号処理装置10を設け、例えば音響信号波形など、繰り返し同様の波形が出現する信号について、予め類似する波形部分を検出して別途符号化することで、符号化効率(圧縮効率)の向上を図るものである。
【0087】
図6に示すように、符号化装置20は、部分区間選択部21と、類似区間検出部22と、類似成分減算部23と、類似成分符号化部24と、信号符号化部25と、統合部26とを備える。ここで、類似区間検出部22は、上述した信号処理装置10に相当するものである。
【0088】
以下、このような構成を有する符号化装置20の動作について、図7のフローチャートと図8乃至図11とを用いて説明する。
【0089】
先ずステップS30において、部分区間選択部21は、図8に示すように、入力された第1の信号から適当な長さ、例えば長さ1秒の第1の部分区間を選択し、続くステップS31において、それとは異なる第2の部分区間、例えば第1の部分区間に引き続く10秒を選択する。
【0090】
続いてステップS32において、類似区間検出部22は、第2の部分区間の中で第1の部分区間と類似する区間があるか否かを検出する。ステップS32において、類似する区間がある場合(Yes)にはステップS33に進み、類似する区間がない場合にはステップS34に進む。
【0091】
ステップS33では、図9に示すように、類似区間検出部22がその類似区間の開始時刻(Ta,T2)、拡大率(a2)及び類似区間の長さ(L2)を検出し、類似成分符号化部24がこれらを符号化してステップS32に戻り、さらに類似する区間を検出する。図9では、さらに2箇所(Tb,T3,A3,L3),(Tc,T4,A4,L4)が検出された例を示している。
【0092】
類似する区間を全て検出及び符号化した後、ステップS34では、図10に示すように、類似成分減算部23が、第2の部分区間から第1の部分区間と類似する区間を減算する。なお、減算の際には、検出された拡大率を用いて大きさを合わせて減算する。減算後には、それぞれの類似区間で非類似成分が残る。
【0093】
ステップS35では、信号符号化部25が第1の部分区間の信号を、一般的な信号符号化方法(例えばサブバンド符号化や変換符号化等)を用いて符号化する。
【0094】
ステップS36では、統合部26が、ステップS33で符号化された開始時間等の情報とステップS35で符号化された第1の部分区間の信号とを1つの符号化信号として統合して出力し、図11に示すように、新たに第1の部分区間を取り直し、処理を繰り返す。
【0095】
統合された符号化信号の一例を図12に示す。図12から分かるように、例えば第1の部分区間の信号の符号の後に、第2の部分区間の中で第1の部分区間と類似する区間の開始時刻、拡大率及び長さが符号化された符号が続き、それに引き続き、次の部分区間に対する符号が並ぶ。
【0096】
この符号化装置20によれば、最初の部分区間では、一般的な符号化方法がそのまま適用されるため、符号化効率は、一般的な符号化方法によるものと変わらないが、2番目以降の部分区間では、最初の部分区間の信号と類似する成分が予め減算されているため、信号の持つ情報量が減少し、通常の符号化方法をそのまま適用するよりも符号化効率を向上させることができる。
【0097】
以上説明したように、本実施の形態における信号処理装置によれば、信号を小領域に分割し、その小領域毎に類似性を求め、それらを統合して全体の類似性を評価することにより、一般的な相関法等では検出することが困難な非定常的なノイズ信号下においても類似性を評価することができる。
【0098】
また、この信号処理装置を符号化装置に設け、繰り返し同様の波形が出現する信号について、予め類似する波形部分を検出して別途符号化することで、符号化効率(圧縮効率)を向上させることができる。
【0099】
この他、本実施の形態における信号処理方法は、信号検出、音響処理、画像処理、レーダ技術等のあらゆる信号処理分野において類似信号を検出する際に適用することができる。
【0100】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0101】
例えば、上述の説明では、最も一般的である拡大変換及びシフト変換を行い、拡大率及び平行移動量を変換パラメータとして用いたが、これに限定されるものではなく、非線形変換を含むあらゆる変換に適用することができる。
【0102】
また、上述の説明では、最も一般的な類似性評価量である2次誤差エネルギを最小化する手法、すなわち相関法を用いたが、これに限定されるものではなく、他の類似性評価量に対しても適用することができる。
【0103】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る信号処理方法は、複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割工程と、各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出工程と、上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計工程と、当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価工程とを有することを特徴としている。
【0104】
ここで、本発明に係る信号処理方法は、上記複数の信号間の類似する区間を検出する類似区間検出工程をさらに有してもよい。
【0105】
また、本発明に係る信号処理方法では、各小領域と上記他の信号との類似度が最大となる位置までのシフト量と、当該位置における拡大率とを変換パラメータとすることができる。
【0106】
このような信号処理方法では、入力された複数の信号の少なくとも1つが複数の小領域に分割され、その小領域毎に他の信号との類似性が求められ、それらを集計することによって複数の信号間の類似性が評価される。
【0107】
これにより、一般的な相関法等では検出することが困難な非定常的なノイズ信号下においても類似性を評価することができる。
【0108】
また、本発明に係る信号処理方法は、複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割工程と、各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出工程と、上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計工程と、当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価工程と、上記複数の信号間の類似する区間を検出する類似区間検出工程と、上記類似区間検出工程で検出された上記複数の信号間の類似する区間を符号化する第1の符号化工程と、上記類似する区間以外を符号化する第2の符号化工程とを有することを特徴としている。
【0109】
ここで、上記第1の符号化工程では、上記類似する区間の開始位置、拡大率及び当該類似する区間の長さの情報を符号化することができる。
【0110】
このような信号処理方法では、入力された複数の信号の少なくとも1つが複数の小領域に分割され、その小領域毎に他の信号との類似性が求められ、それらを集計することによって複数の信号間の類似性が評価される。そして、その類似性に基づいて、複数の信号間の類似する区間が検出され、その類似する区間とそれ以外の区間とが別々に符号化される。
【0111】
これにより、通常の符号化方法によって符号化する場合と比較して、符号化効率を向上させることができる。
【0112】
また、本発明に係る信号処理装置は、複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割手段と、各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出手段と、上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計手段と、当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価手段とを備えることを特徴としている。
【0115】
このような信号処理装置は、入力された複数の信号の少なくとも1つを複数の小領域に分割し、その小領域毎に他の信号との類似性を求め、それらを集計することによって複数の信号間の類似性を評価する。
【0116】
これにより、一般的な相関法等では検出することが困難な非定常的なノイズ信号下においても類似性を評価することができる。
【0117】
また、本発明に係る信号処理装置は、複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割手段と、各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出手段と、上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計手段と、当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価手段と、上記複数の信号間の類似する区間を検出する類似区間検出手段と、上記類似区間検出手段によって検出された上記複数の信号間の類似する区間を符号化する第1の符号化手段と、上記類似する区間以外を符号化する第2の符号化手段とを備えることを特徴としている。
【0119】
このような信号処理装置は、入力された複数の信号の少なくとも1つを複数の小領域に分割し、その小領域毎に他の信号との類似性を求め、それらを集計することによって複数の信号間の類似性を評価する。そして、その類似性に基づいて、複数の信号間の類似する区間を検出し、その類似する区間とそれ以外の区間とを別々に符号化する。
【0120】
これにより、通常の符号化方法によって符号化する場合と比較して、符号化効率を向上させることができる。
【0121】
また、本発明に係る信号処理プログラムは、複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割工程と、各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出工程と、上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計工程と、当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価工程とをコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0124】
このような信号処理プログラムは、入力された複数の信号の少なくとも1つを複数の小領域に分割し、その小領域毎に他の信号との類似性を求め、それらを集計することによって複数の信号間の類似性を評価する。
【0125】
これにより、一般的な相関法等では検出することが困難な非定常的なノイズ信号下においても類似性を評価することができる。
【0126】
また、本発明に係る信号処理プログラムは、複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割工程と、各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出工程と、上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計工程と、当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価工程と、上記複数の信号間の類似する区間を検出する類似区間検出工程と、上記類似区間検出工程で検出された上記複数の信号間の類似する区間を符号化する第1の符号化工程と、上記類似する区間以外を符号化する第2の符号化工程とをコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0128】
このような信号処理プログラムは、入力された複数の信号の少なくとも1つを複数の小領域に分割し、その小領域毎に他の信号との類似性を求め、それらを集計することによって複数の信号間の類似性を評価する。そして、その類似性に基づいて、複数の信号間の類似する区間を検出し、その類似する区間とそれ以外の区間とを別々に符号化する。
【0129】
これにより、通常の符号化方法によって符号化する場合と比較して、符号化効率を向上させることができる。
【0130】
また、本発明に係る記録媒体は、複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割工程と、各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出工程と、上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計工程と、当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価工程とをコンピュータに実行させる信号処理プログラムが記録されたコンピュータ制御可能なものである。
【0133】
このような記録媒体に記録されている信号処理プログラムは、入力された複数の信号の少なくとも1つを複数の小領域に分割し、その小領域毎に他の信号との類似性を求め、それらを集計することによって複数の信号間の類似性を評価する。
【0134】
これにより、一般的な相関法等では検出することが困難な非定常的なノイズ信号下においても類似性を評価することができる。
【0135】
また、本発明に係る記録媒体は、複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割工程と、各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出工程と、上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計工程と、当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価工程と、上記複数の信号間の類似する区間を検出する類似区間検出工程と、上記類似区間検出工程で検出された上記複数の信号間の類似する区間を符号化する第1の符号化工程と、上記類似する区間以外を符号化する第2の符号化工程とをコンピュータに実行させる信号処理プログラムが記録されたコンピュータ制御可能なものである。
【0137】
このような記録媒体に記録されている信号処理プログラムは、入力された複数の信号の少なくとも1つを複数の小領域に分割し、その小領域毎に他の信号との類似性を求め、それらを集計することによって複数の信号間の類似性を評価する。そして、その類似性に基づいて、複数の信号間の類似する区間を検出し、その類似する区間とそれ以外の区間とを別々に符号化する。
【0138】
これにより、通常の符号化方法によって符号化する場合と比較して、符号化効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態における信号処理方法の原理を説明する図であり、同図(A)は、信号f(x)を小領域に分割する様子を示し、同図(B)は、信号g(x)中で類似する領域が検出された様子を示し、同図(C)は、その領域のパラメータを投票空間に投票する様子を示す。
【図2】同信号処理方法の原理を説明する図であり、所定の平行移動量及び拡大率の付近にピークが形成される様子を示す。
【図3】同信号処理方法の原理を説明する図であり、類似する領域が抽出された例を示す。
【図4】本実施の形態における信号処理装置の概略構成を説明する図である。
【図5】同信号処理装置の動作を説明するフローチャートである。
【図6】同信号処理装置を適用した符号化装置の概略構成を説明する図である。
【図7】同符号化装置の動作を説明するフローチャートである。
【図8】同符号化装置において、信号から第1の部分区間と第2の部分区間とを選択する様子を説明する図である。
【図9】同符号化装置において、類似区間を抽出する様子を説明する図である。
【図10】同符号化装置において、第1の部分区間を符号化する様子を説明する図である。
【図11】同符号化装置において、第1の部分区間及び第2の部分区間を新たに選択する様子を説明する図である。
【図12】同符号化装置において統合された符号化信号の一例を説明する図である。
【図13】従来の相関法によって類似性を検出するのが困難な信号の例を説明する図であり、同図(A)は、観測信号Aの波形を示し、同図(B)は、観測信号Bの波形を示し、同図(C)は、相関法によって求められた観測信号Aと観測信号Bとの相関を示す。
【符号の説明】
10 信号処理装置、11 領域分割部、12 類似度計算部、13 投票部、14 類似判定部、15 類似区間検出部、20 符号化装置、21 部分区間選択部、22 類似区間検出部、23 類似成分減算部、24 類似成分符号化部、25 信号符号化部、26 統合部
Claims (15)
- 複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割工程と、
各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出工程と、
上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計工程と、
当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価工程と
を有することを特徴とする信号処理方法。 - 上記複数の信号間の類似する区間を検出する類似区間検出工程をさらに有することを特徴とする請求項1記載の信号処理方法。
- 上記類似区間検出工程では、上記集計の結果が最大となる位置における上記変換パラメータと略等しい変換パラメータの抽出された上記小領域を検出することを特徴とする請求項2記載の信号処理方法。
- 上記変換パラメータは、各小領域と上記他の信号との類似度が最大となる位置までのシフト量と、当該位置における拡大率とであることを特徴とする請求項1記載の信号処理方法。
- 上記集計工程における上記変換パラメータに対応した類似度に基づく値は、上記変換パラメータに対応した類似度に比例した値であることを特徴する請求項1記載の信号処理方法。
- 上記類似度として、各小領域と上記他の信号との相関値又は当該相関値の自乗を用いることを特徴する請求項5記載の信号処理方法。
- 上記複数の信号は、一の信号の異なる部分の信号であることを特徴とする請求項1記載の信号処理方法。
- 複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割工程と、
各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出工程と、
上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計工程と、
当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価工程と、
上記複数の信号間の類似する区間を検出する類似区間検出工程と、
上記類似区間検出工程で検出された上記複数の信号間の類似する区間を符号化する第1の符号化工程と、
上記類似する区間以外を符号化する第2の符号化工程と
を有することを特徴とする信号処理方法。 - 上記第1の符号化工程では、上記類似する区間の開始位置、拡大率及び当該類似する区間の長さの情報を符号化することを特徴とする請求項8記載の信号処理方法。
- 複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割手段と、
各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出手段と、
上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計手段と、
当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価手段と
を備えることを特徴とする信号処理装置。 - 複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割手段と、
各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出手段と、
上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計手段と、
当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価手段と、
上記複数の信号間の類似する区間を検出する類似区間検出手段と、
上記類似区間検出手段によって検出された上記複数の信号間の類似する区間を符号化する第1の符号化手段と、
上記類似する区間以外を符号化する第2の符号化手段と
を備えることを特徴とする信号処理装置。 - 複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割工程と、
各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出工程と、
上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計工程と、
当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価工程と
をコンピュータに実行させることを特徴とする信号処理プログラム。 - 複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割工程と、
各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出工程と、
上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計工程と、
当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価工程と、
上記複数の信号間の類似する区間を検出する類似区間検出工程と、
上記類似区間検出工程で検出された上記複数の信号間の類似する区間を符号化する第1の符号化工程と、
上記類似する区間以外を符号化する第2の符号化工程と
をコンピュータに実行させることを特徴とする信号処理プログラム。 - 複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割工程と、
各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出工程と、
上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計工程と、
当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価工程と
をコンピュータに実行させる信号処理プログラムが記録されたコンピュータ制御可能な記録媒体。 - 複数の信号を入力し、当該複数の信号のうち、少なくとも1つを複数の小領域に分割する分割工程と、
各小領域をシフトさせながら各小領域と他の信号との類似度を計算し、当該類似度に基づいて選択された1つ又は複数の位置までのシフト量と、当該位置における各小領域と上記他の信号との信号強度の比である拡大率とを変換パラメータとして抽出するパラメータ抽出工程と、
上記シフト量と上記拡大率とを軸とする空間を投票空間とし、当該投票空間中の上記変換パラメータで示される位置に、当該変換パラメータに対応した類似度に基づく値を投票して集計する集計工程と、
当該集計の結果に基づき、上記複数の信号間の類似性を評価する類似性評価工程と、
上記複数の信号間の類似する区間を検出する類似区間検出工程と、
上記類似区間検出工程で検出された上記複数の信号間の類似する区間を符号化する第1の符号化工程と、
上記類似する区間以外を符号化する第2の符号化工程と
をコンピュータに実行させる信号処理プログラムが記録されたコンピュータ制御可能な記録媒体。
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