JP3823785B2 - 太陽電池の最大電力制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、日射強度等で変化する太陽電池の最大出力動作電圧に追従制御し、電力変換装置を介して太陽電池から得られる出力電力を最大にする太陽電池の最大電力制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、太陽電池を電源とし、インバータ等の電力変換装置を介して所定の電力を供給する電源装置が注目されている。太陽電池は、一般に入射する日射量をパラメータとした場合、日射量の増大に従って電力が増大する傾向を有しており、また、その太陽電池の動作電圧により出力電力が大幅に変動する特性を有している。
【0003】
このような特性を有する太陽電池から最大電力を効率よく取り出すために、従来より、山登り法といわれる最大出力追従制御の方法が提案されている。
【0004】
上記山登り方においては、一定の日射量の下において太陽電池が、図3(a)に示すような電圧−電力特性を有している場合、先ず太陽電池の出力電圧の目標動作電圧を開放電圧VOPから所定のサンプリング周期で一定の変化幅で減少させていく。この間、太陽電池の出力電力は図中左方向に向かって増加し、やがては最大電力Pmaxを越えて減少して行く。この出力電力の減少を検出すると、今度は目標動作電圧を変化幅で増加させる。これにより、出力電力は図中右方向に増加し、やがて最大電力Pmaxを越えて減少し始める。そこでこの電力の減少を検出して、再び目標動作電圧を変化幅で減少させる方向へ変化させる。以上の動作を繰り返して行くことにより目標動作電圧を最大電力Pmaxが得られる動作電圧(最大出力動作電圧)近傍で往復させ、太陽電池の最大出力動作電圧に追従させている。なお、太陽電池の目標動作電圧を変化させるには電力変換装置の出力電流を変化させればよく、電力変換装置の出力電流を指令する電流指令値を電力変換装置に与えて目標動作電圧を変化させている(特開2001−60118号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来方法では、太陽電池の出力電力が最大出力電力Pmaxを超えたか否かを判断するために電流検出器並びに電圧検出器にて太陽電池の出力電流及び出力電圧を検出して演算により出力電力を求めている。このように太陽電池の出力電流を検出して出力電力を演算する方法では制御が複雑になるとともに、電流検出器が必要となって本発明の最大電力制御方法を実現する装置の部品点数が増加し、出力電力演算のために装置の構成が複雑になってしまう。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、制御の簡素化が図れる太陽電池の最大電力制御方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、太陽電池の最大出力動作電圧に追従制御し、電力変換装置を介して太陽電池から得られる出力電力を最大にする太陽電池の最大電力制御方法であって、電力変換装置の出力電流を指令する電流指令値を制御して太陽電池の目標動作電圧を変化させることにより太陽電池の最大出力が得られる最大出力動作電圧に目標動作電圧を略一致させる太陽電池の最大電力制御方法において、電流指令値を制御して目標動作電圧を変化させる際に太陽電池の瞬時の出力電圧を目標動作電圧に一致させるように電流指令値を制御し、太陽電池の瞬時出力電圧と目標動作電圧との差の絶対値が所定範囲内に収まっている時間が所定時間だけ継続したときには目標動作電圧を減少させ、上記時間が所定時間だけ継続しなかったときには目標動作電圧を増大させることを特徴とし、太陽電池の出力電圧に応じて電流指令値を制御することにより目標動作電圧を変化させているため、太陽電池の出力電流を検出して出力電力を演算する必要が無いことから制御の簡素化が図れる。また、目標動作電圧を減少させていく間に太陽電池の出力電圧と目標動作電圧との差の絶対値が所定範囲内に収まらなくなれば、目標動作電圧が最大出力動作電圧を通り越してしまったと判断し、変化の向きを反転して目標動作電圧を増大させることによって最大出力動作電圧に容易に追従可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態により詳細に説明する。
【0010】
図2は本実施形態の最大電力制御方法を実施するパワーコンディショナの一例を示すブロック図である。このパワーコンディショナは、太陽電池10の直流電力をインバータからなる電力変換装置11にて交流電力に変換し、図示しない保護継電器等を介して商用電力系統13に並列に接続されて系統連係運転を行うものである。太陽電池10の出力電圧が電圧検出器22で検出され、検出された出力電圧は最大電力制御回路23に入力される。最大電力制御回路23では、検出された出力電圧に基づいて目標動作電圧を設定し、出力電圧を目標動作電圧と一致させるための電流指令値を出力する。電流検出器26は電力変換装置11から出力された電流を検出するものであり、電流指令値は電流検出器26により検出された電流と比較され、その偏差が誤差増幅器24により増幅されて電流制御回路25に入力される。電流制御回路25では、誤差増幅器24からの偏差に応じてこの偏差が零になるように電力変換装置11をPWM制御する。
【0011】
ここで、本発明の最大電力制御方法、すなわち最大電力制御回路23の動作について、図1のフローチャートを参照して説明する。
【0012】
まず最初に、最大電力制御回路23は電流指令値を制御して太陽電池10の動作電圧(出力電圧)Vを開放電圧VOPに設定された目標動作電圧VREFに一致させた後、目標動作電圧VREFから所定の目標動作電圧変化幅ΔVREFを減算した新たな目標動作電圧VREFを設定し、さらに制御フラグをゼロに初期化する。
【0013】
続いて最大電力制御回路23は、電流指令値を制御して動作電圧Vを目標動作電圧VREFに一致させる過程において、電圧検出器22で検出される瞬時の動作電圧Vと目標動作電圧VREFとの差の絶対値|V−VREF|を所定の閾値ΔVと所定のサンプリング周期毎に比較し(ステップ2)、絶対値|V−VREF|が閾値ΔV以下であれば制御フラグを1とし(ステップ3)、絶対値|V−VREF|が閾値ΔVより大きければ引き続き動作電圧Vを目標動作電圧VREFに一致させるように電流指令値を制御する(ステップ4)。すなわち、絶対値|V−VREF|が閾値ΔV以下となるまでの間、最大電力制御回路23はステップ1〜ステップ4の処理を繰り返すことになる。そして、絶対値|V−VREF|が閾値ΔV以下となれば、制御フラグ=1となるから最大電力制御回路23ではステップ1からステップ5の処理に進んで絶対値|V−VREF|と閾値ΔVを比較し、絶対値|V−VREF|が閾値ΔV以下であれば、初期化されていた制御カウンタの値を1だけ増やす(ステップ6)。
【0014】
続いて最大電力制御回路23は、制御カウンタの値が所定の基準値に一致するか否かの判定を行い(ステップ7)、一致しなければ引き続き動作電圧Vを目標動作電圧VREFに一致させるように電流指令値を制御する(ステップ4)。すなわち、制御カウンタの値が基準値に一致するまでの間、最大電力制御回路23はステップ1→ステップ5→ステップ6→ステップ7→ステップ4の処理を繰り返すことになる。そして、制御カウンタの値が基準値に一致する、すなわち電圧検出器22で検出される瞬時の動作電圧Vと目標動作電圧VREFとの差の絶対値|V−VREF|が閾値ΔV以下となる時間(サンプリング回数)が所定時間だけ継続したら、最大電力制御回路23は現在の目標動作電圧VREFから目標動作電圧変化幅ΔVREFを減算した新たな目標動作電圧VREFを設定し(ステップ8)、制御カウンタ及び制御フラグをゼロに初期化(ステップ9、ステップ10)した後、動作電圧Vを新たに設定された目標動作電圧VREFに一致させるように電流指令値を制御する(ステップ4)。
【0015】
而して、ステップ1〜ステップ10の処理を繰り返すことにより、最大電力制御回路23は目標動作電圧VREFを開放電圧VOPから徐々に減少させながら最大出力動作電圧Vmaxに近づけていくが、やがては目標動作電圧VREFが最大出力動作電圧Vmaxを通り越してしまうことになる。このように目標動作電圧VREFが最大出力動作電圧Vmaxよりも低くなった場合、図3(c)に示すように太陽電池10の出力電圧Vの振幅が大きくなるため、電圧検出器22で検出される瞬時の動作電圧Vと目標動作電圧VREFとの差の絶対値|V−VREF|が閾値ΔV以下に収まらなくなる。すなわち、太陽電池10の出力電圧Vと出力電流Iは図4に示すような特性であるため、電流指令値を制御することで生じる出力電圧Vの振幅が、図3(b)に示すように出力電圧Vが最大出力動作電圧Vmaxより高いときの出力電圧Vの振幅に比べてかなり大きくなることで上述のような現象が生じるものである。
【0016】
従って、最大電力制御回路23では電圧検出器22で検出される瞬時の動作電圧Vと目標動作電圧VREFとの差の絶対値|V−VREF|が閾値ΔV以下でないと判定すれば(ステップ5)、目標動作電圧VREFが最大出力動作電圧Vmaxを通り越して最大出力動作電圧Vmaxよりも低くなったと判断し、現在の目標動作電圧VREFに目標動作電圧変化幅ΔVREFを加算した新たな目標動作電圧VREFを設定する(ステップ11)ことで目標動作電圧VREFの変化の向きを反転させ、制御カウンタ及び制御フラグをゼロに初期化(ステップ9、ステップ10)した後、動作電圧Vを新たに設定された目標動作電圧VREFに一致させるように電流指令値を制御する(ステップ4)。
【0017】
而して、最大電力制御回路23は、ステップ1→ステップ5→ステップ11→ステップ9→ステップ10→ステップ4の処理を繰り返すことによって目標動作電圧VREFを徐々に増大させながら最大出力動作電圧Vmaxに近づけていき、目標動作電圧VREFが最大出力動作電圧Vmaxを通り越して最大出力動作電圧Vmaxよりも高くなれば、再度ステップ1〜ステップ10の処理を繰り返すことで目標動作電圧VREFの変化の向きを反転する。そして、上記処理を繰り返すことで太陽電池10の動作電圧Vを最大出力動作電圧Vmaxに追従制御することができる。
【0018】
上述のように本発明に係る最大電力制御方法によれば、従来例のように太陽電池10の出力電流を検出して出力電力を演算する必要が無いことから制御の簡素化が図れるものである。また、電流検出器が不要であるからパワーコンディショナの部品点数を削減でき、さらに出力電力演算が不要であるから最大電力制御回路23の回路構成あるいは制御プログラムの簡素化も可能である。
【0019】
【発明の効果】
請求項1の発明は、太陽電池の最大出力動作電圧に追従制御し、電力変換装置を介して太陽電池から得られる出力電力を最大にする太陽電池の最大電力制御方法であって、電力変換装置の出力電流を指令する電流指令値を制御して太陽電池の目標動作電圧を変化させることにより太陽電池の最大出力が得られる最大出力動作電圧に目標動作電圧を略一致させる太陽電池の最大電力制御方法において、電流指令値を制御して目標動作電圧を変化させる際に太陽電池の瞬時の出力電圧を目標動作電圧に一致させるように電流指令値を制御し、太陽電池の瞬時出力電圧と目標動作電圧との差の絶対値が所定範囲内に収まっている時間が所定時間だけ継続したときには目標動作電圧を減少させ、上記時間が所定時間だけ継続しなかったときには目標動作電圧を増大させるので、太陽電池の出力電圧に応じて電流指令値を制御することにより目標動作電圧を変化させているために太陽電池の出力電流を検出して出力電力を演算する必要が無いことから制御の簡素化が図れるという効果がある。また、目標動作電圧を減少させていく間に太陽電池の出力電圧と目標動作電圧との差の絶対値が所定範囲内に収まらなくなれば、目標動作電圧が最大出力動作電圧を通り越してしまったと判断し、変化の向きを反転して目標動作電圧を増大させることによって最大出力動作電圧に容易に追従可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図2】同上のパワーコンディショナを示すブロック図である。
【図3】(a)は太陽電池の電圧−電力特性を示す波形図、(b)は目標動作電圧が最大出力動作電圧以上の場合の瞬時の出力電圧と目標動作電圧との関係を示す波形図、(c)は目標動作電圧が最大出力動作電圧以下の場合の瞬時の出力電圧と目標動作電圧との関係を示す波形図である。
【図4】太陽電池の電圧−電流特性を示す波形図である。
【符号の説明】
10 太陽電池
11 電力変換装置
13 商用電力系統
22 電圧検出器
23 最大電力制御回路
24 誤差増幅器
25 電流制御回路
26 電流検出器
Claims (1)
- 太陽電池の最大出力動作電圧に追従制御し、電力変換装置を介して太陽電池から得られる出力電力を最大にする太陽電池の最大電力制御方法であって、電力変換装置の出力電流を指令する電流指令値を制御して太陽電池の目標動作電圧を変化させることにより太陽電池の最大出力が得られる最大出力動作電圧に目標動作電圧を略一致させる太陽電池の最大電力制御方法において、電流指令値を制御して目標動作電圧を変化させる際に太陽電池の瞬時の出力電圧を目標動作電圧に一致させるように電流指令値を制御し、太陽電池の瞬時出力電圧と目標動作電圧との差の絶対値が所定範囲内に収まっている時間が所定時間だけ継続したときには目標動作電圧を減少させ、上記時間が所定時間だけ継続しなかったときには目標動作電圧を増大させることを特徴とする太陽電池の最大電力制御方法。
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