JP3567807B2 - 太陽電池の最大電力制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池を電源とし、その太陽電池からインバータ等で構成される電力変換装置を介して最大電力を効率よく取り出すための太陽電池の最大電力制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、太陽電池を電源とし、インバータ等の電力変換装置を介して所定の電力を供給する電源装置が注目されている。この太陽電池は、太陽電池に入射する日射量をパラメータとした場合、日射量の増大に従って電力が増大する傾向を有しており、また、その太陽電池の動作点により出力電力が大幅に変動する特性を有している。
【0003】
このような特性を有する太陽電池から最大電力を効率よく取り出すために、特開昭57−206929号公報等には、山登り法といわれる最大電力点追尾制御が提案されている。このものにあっては、一定の日射量の下において太陽電池が、図4に示すように、電圧−電力特性を有している場合、先ず太陽電池の出力電圧の基準動作電圧を開放電圧VOPから所定のサンプリング周期で一定の変化幅ΔVSで減少させていく。この間、電力は図中矢印aの方向に増加して行く。すると、電力が最大電力点Pを越え矢印bの方向に減少して行く。この電力の減少を検出すると、今度は基準動作電圧を変化幅ΔVSで増加させる。これにより、電力は図中矢印c方向に増加し、やがて最大電力点Pを越え矢印d方向に減少し始める。そこでこの電力の減少を検出して、再び基準動作電圧を変化幅ΔVSで減少させる方向へ変化させる。以上の動作を繰り返して行くことにより基準動作電圧を最大電力点P近傍で往復させ、太陽電池の最大電力点を常に追従させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した従来法では、太陽電池から出力される電力を監視する必要があるが、そのためには太陽電池からの出力電圧及び出力電流を検出し、それらから出力される電力を演算しなければならないという問題点を有していた。このため、出力電圧や出力電流を共に正確に検出しなければならず、また検出電力変換装置は高速に掛け算を行う高度な演算機能を備えていなければならなかった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、検出誤差の生じる可能性がある太陽電池の出力電力を算出することなく、容易に最大電力制御を精度良く、且つ安定に行わせることができる太陽電池の最大電力制御方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、太陽電池から電力変換装置を介して取り出される電力を最大電力に追従制御するために電力変換装置の出力電流を指令する電流指令値を制御する方法において、前記電力変換装置に与える電流指令値を変化させて行き、その際の前記太陽電池の動作点電圧が予め設定した閾値以上であれば前記電流指令値を上昇させていき、前記太陽電池の動作点電圧が予め設定した閾値以下に達した場合にその時の電流指令値から所定値を減じた後、再度前記電流指令値を上昇させていくようにし、前記太陽電池の動作点電圧が予め設定した閾値以下に達する度に前記電流指令値の変化幅を小さな値に変更するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の太陽電池の最大電力制御方法において、前記太陽電池の動作点電圧が予め設定した閾値以下になる直前の直前動作点電圧が複数回同じ値を示した場合、前記閾値を前記直前動作点電圧に所定値だけ近づけるようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の太陽電池の最大電力制御方法において、前記太陽電池の動作点電圧が前記閾値よりも小さな値である第2の閾値よりも低くなった場合に予め設定した最低電流指令値から再度前記電流指令値を上昇させていくようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3記載の太陽電池の最大電力制御方法において、前記太陽電池の動作点電圧が所定値以上増加した場合に前記電流指令値の変化幅を一時増加させるようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5記載の発明は、太陽電池から電力変換装置を介して取り出される電力を最大電力に追従制御するために電力変換装置の出力電流を指令する電流指令値を制御する方法において、前記電力変換装置に与える電流指令値を変化させて行き、その際の前記太陽電池の動作点電圧が予め設定した割合以下で変化していれば前記電流指令値を上昇させていき、前記太陽電池の動作点電圧が予め設定した割合以上で変化した場合にその時の電流指令値から所定値を減じた後、再度前記電流指令値を上昇させていくようにし、前記太陽電池の動作点電圧が予め設定した割合以上で変化する度に前記電流指令値の変化幅を小さな値に変更するようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態に係る太陽電池の最大電力制御方法について図1乃至図3に基づき詳細に説明する。図1は太陽電池から最大電力を取り出す装置の一例である。10は太陽電池、11はインバータ、13は商用電力系統、21は電流検出器、22は電圧検出器、23は最大電力制御回路、24は誤差増幅器、25は電流制御回路である。
【0014】
太陽電池10の直流出力はインバータ11において交流に変換され、保護継電器等を介して商用電力系統13と連系されている。太陽電池10の出力電流及び出力電圧は、電流検出器21及び電圧検出器22で検出され、その検出値は最大電力制御回路23に入力される。最大電力制御回路23では、入力された値に基づき電流指令値を出力する。電流指令値は電流検出器21により検出された値と比較され、その偏差は誤差増幅器24により増幅されて電流制御回路25に入力される。電流制御回路25では、誤差増幅器24からの偏差に応じてこの偏差が零になるようにインバータ11の出力電流の振幅を制御する。
【0015】
ここで最大電力制御回路23の動作について図2に基づき説明する。太陽電池は一定の日射量及び温度にあっては、図2に示すような特性を有しており、最大電力点Pにおいて動作させることが理想である。最大電力制御回路23にあっては、最初、太陽電池の動作点電圧が開放電圧VOPとなるように電流指令値を出力する。そして、所定のサンプリング周期で電流指令値を比較的大きな変化幅で増加させていく。この間、電力はP1、P2、と増加していくことになる。このまま電流指令値を増加させていくと、やがて電力は最大電力点Pを越え矢印bのように減少を始めることになる。最大電力制御回路23にあっては、出力電圧を検出し、この値が予め設定した閾値Vh1に達したところで、その時の電流指令値から所定値を減じてそこから再度山登りを行う。具体的には、山登りを開始したときの電流指令値と閾値Vh1に達したときの最終電流指令値との差の半分を最終電流指令値から減じた値を新たな山登りを開始する電流指令値とし、そこから再度山登りを行わせるようになっている。図2においてP5から新たな山登りが開始されることになる。なお、閾値Vh1は最大電力Pを与える出力電圧よりも小さな値が設定されることになるが、最大電力Pを与える出力電圧に近いことが望ましい。
【0016】
上述した構成にあっては、以上の動作を繰り返すことにより、電流指令値は最大電力Pの近傍を往復することになる。その際、太陽電池10から出力される出力電圧及び出力電流の両方を検出する必要がないため測定誤差の影響を低減することが可能になるとともに、出力電力を演算する必要がないため高速な演算回路を必要とせず容易に最大電力制御を精度良く、安定的に行うことが可能になる。また、最大電力Pが日射量の変化などにより変動した場合でも、予め最大電力P近傍の定義を設定しておかずに柔軟で素早い追従制御が可能になる。
【0017】
なお、太陽電池10の動作点電圧が予め設定した閾値Vh1以下に達する度に電流指令値の変化幅を小さな値に変更するようにしてもよい。これにより、始動初期状態において変化幅を大きく設定しておけば最大電力Pへの追従速度を早めることが可能になるとともに、閾値Vh1に達する度に変化幅を小さくすることにより、最大電力Pでの振れ幅を小さくすることができ、最大電力制御の精度を高めることが可能になる。
【0018】
また、太陽電池10の動作点電圧が予め設定した閾値Vh1以下になる直前の直前動作点電圧が複数回同じ値を示した場合、閾値Vh1を直前動作点電圧に所定値だけ近づけるようにしてもよい。これにより、最大電力P近傍で山登りを繰り返す安定状態に達したときに、最大電力Pと閾値Vh1に達したときの出力電力との間振れ幅を小さくすることができるため、最大電力P付近での変動を抑えることが可能になり、最大電力制御を安定的に行わせることが可能になる。
【0019】
さらに、図3に示すように、日射量の変化に伴って太陽電池10の動作点電圧が閾値Vh1よりも小さな値である第2の閾値Vh2よりも低くなった場合(図3において出力電力P6に相当)、予め設定した最低電流指令値(図3において出力電力P7に相当)から再度電流指令値を上昇させていくことで最大電力P’を探索するようにしてもよい。これにより、日射量が低下した場合に、日射量変化前の最大電力P付近で変動している状態を最低電流指令値からの山登り制御に強制的に移行させることができるため、日射量低下時に速やかに最大出力P’を追従させることが可能になる。
【0020】
また、電流指令値を変化させた際に太陽電池10の動作点電圧が所定値以上増加した場合、電流指令値の変化幅を一時増加させるようにしてもよい。これにより、日射量が増加した場合に、電流指令値を大きく変化させることができるため、最大出力Pへの追従を早めることが可能になる。
【0021】
上述した構成の太陽電池の最大電力制御方法にあっては、太陽電池10の数等が変更されると太陽電池10の出力特性が変化するため閾値Vh1、Vh2の値を変更しなければならないことがある。ところが、太陽電池10の数が変わる度に閾値Vh1、Vh2の値を変更することは面倒である。そこで、太陽電池10の動作点電圧が予め設定した割合以上で変化した場合にその時の電流指令値から所定値を減じた後、再度前記電流指令値を上昇させていくようにしてもよい。これにより、太陽電池10の直列接続される数が変わったとしても閾値Vh1等の設定を変える必要がなく、適切なところで再度電流指令値を上昇させていく操作が自動的に繰り替えされることになるため便利である。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明にあっては、電流指令値を変更したときの動作点電圧を検出するだけで最大電力に追従させることができるため、検出誤差の生じる可能性がある太陽電池の出力電力を算出する必要がなく、最大電力制御初期にあっては変化幅を大きくすることで最大電力の追従を速く行うことが可能になるとともに、最大電力近傍での変動状態にあっては変化幅を小さくすることで最大電力近傍における変動を細緻に行うことが可能になるという効果を奏する。
【0024】
請求項2記載の発明にあっては、最大電力近傍における変動を小さくすることができるため、最大電力近傍における制御を安定して行うことが可能になるという効果を奏する。
【0025】
請求項3記載の発明にあっては、日射量低下時に速やかに再度最大電力制御を行うことが可能になるという効果を奏する。
【0026】
請求項4記載の発明にあっては、日射量増加時に速やかに再度最大電力制御を行うことが可能になるという効果を奏する。
【0027】
請求項5記載の発明にあっては、太陽電池の接続数等が変更され電圧特性が変更されたとしても判定基準となる閾値等を変更する必要がなく、また電流指令値を変更したときの動作点電圧を検出するだけで最大電力に追従させることができるため、検出誤差の生じる可能性がある太陽電池の出力電力を算出する必要がなく、最大電力制御初期にあっては変化幅を大きくすることで最大電力の追従を速く行うことが可能になるとともに、最大電力近傍での変動状態にあっては変化幅
を小さくすることで最大電力近傍における変動を細緻に行うことが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】太陽電池から最大電力を取り出す装置の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る最大電力制御方法を示す太陽電池の特性図である。
【図3】本実施の形態に係る他の最大電力制御方法を示す太陽電池の特性図である。
【図4】従来の最大電力制御方法を示す太陽電池の特性図である。
【符号の説明】
10 太陽電池
11 インバータ
13 商用電力系統
21 電流検出器
22 電圧検出器
23 最大電力制御回路
24 誤差増幅器
25 電流制御回路
Claims (5)
- 太陽電池から電力変換装置を介して取り出される電力を最大電力に追従制御するために電力変換装置の出力電流を指令する電流指令値を制御する方法において、前記電力変換装置に与える電流指令値を変化させて行き、その際の前記太陽電池の動作点電圧が予め設定した閾値以上であれば前記電流指令値を上昇させていき、前記太陽電池の動作点電圧が予め設定した閾値以下に達した場合にその時の電流指令値から所定値を減じた後、再度前記電流指令値を上昇させていくようにし、前記太陽電池の動作点電圧が予め設定した閾値以下に達する度に前記電流指令値の変化幅を小さな値に変更するようにしたことを特徴とする太陽電池の最大電力制御方法。
- 前記太陽電池の動作点電圧が予め設定した閾値以下になる直前の直前動作点電圧が複数回同じ値を示した場合、前記閾値を前記直前動作点電圧に所定値だけ近づけるようにしたことを特徴とする請求項1記載の太陽電池の最大電力制御方法。
- 前記太陽電池の動作点電圧が前記閾値よりも小さな値である第2の閾値よりも低くなった場合に予め設定した最低電流指令値から再度前記電流指令値を上昇させていくようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の太陽電池の最大電力制御方法。
- 前記太陽電池の動作点電圧が所定値以上増加した場合に前記電流指令値の変化幅を一時増加させるようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の太陽電池の最大電力制御方法。
- 太陽電池から電力変換装置を介して取り出される電力を最大電力に追従制御するために電力変換装置の出力電流を指令する電流指令値を制御する方法において、前記電力変換装置に与える電流指令値を変化させて行き、その際の前記太陽電池の動作点電圧が予め設定した割合以下で変化していれば前記電流指令値を上昇させていき、前記太陽電池の動作点電圧が予め設定した割合以上で変化した場合にその時の電流指令値から所定値を減じた後、再度前記電流指令値を上昇させていくようにし、前記太陽電池の動作点電圧が予め設定した割合以上で変化する度に前記電流指令値の変化幅を小さな値に変更するようにしたことを特徴とする太陽電池の最大電力制御方法。
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