JP3823700B2 - 情報再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスク等から、変調された情報データを可変速で再生する情報再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、CD(コンパクトディスク)、DVD、MD(ミニディスク)等の光ディスクから、情報データを可変速で再生する装置が増加している。これらのディスクにおいては、データがCLV(線速度一定)で記録されている場合が多いため、通常はディスク半径位置によってスピンドルモータの回転数を変更する必要がある。これに対して、再生時に線速度が所定の値と異なっていても、信号処理側でこれに対応して読み取り可能とする(可変速再生)事により、モータ回転制御系に対する回転数変更の負担を軽減する事ができ、消費電力の低減、モータ発熱量の低減、アクセス時間の短縮など、多くの利点がある。
【0003】
以下に、かかる従来技術を用いた例として、ミニディスク(以下MDと略す)から、データを可変速再生する情報再生装置について図を用いて説明する。
【0004】
MDフォーマットには、再生専用のROMディスクと、記録可能なRAMディスクがある。
【0005】
RAMディスクでは、ディスク上の絶対位置を示すアドレス情報が、バイフェーズ変調され、更にこれがFM変調されて、記録トラックの微小な蛇行(以下、ウオブルと呼ぶ)として、予めディスクに記録されている。これをADIP(アドレス・イン・プリグルーブ)信号と呼ぶ。再生装置は、記録トラックのウオブル成分を検出し、これをFM復調し、更にバイフェーズ復調する事により、ディスク上のアドレス情報を再生する事ができる。
【0006】
図6は従来の技術を用いた情報再生装置の主要構成部を示すブロック図である。図6において、1はディスク(MD)、2はディスク1を回転させるモータ、3はモータ2に駆動電力を供給するドライバ、4はモータ2の回転数に応じたパルス信号を発生するFG(フリーケンシ・ジェネレータ)、5は、FG4の出力信号に基づいてモータ2を所定の回転数に制御する回転制御手段、6は、光ビームを発生する半導体レーザーと、光ビームをディスク1の記録面上に集光する対物レンズと、対物レンズをディスク1の記録面と垂直方向及び記録トラックと垂直方向に移動させるアクチュエータと、ディスク1からの反射光を検出する受光素子及びそれに付随する回路素子を備え、ディスク1の記録面上に記録された情報信号を検出すると共に、光ビームスポットとディスク1の記録面の相対位置誤差信号(フォーカス誤差信号)及び光ビームスポットとディスク1の記録トラックの相対位置誤差信号(トラッキング誤差信号)を検出する光ピックアップ、7は光ピックアップ6の出力に基づいて、ディスク1の記録トラックのウオブル成分を検出するウオブル信号検出手段、8はウオブル信号検出手段7の出力を入力とし、所望の周波数帯域の信号を通過させるバンドパスフィルタ、9は、バンドパスフィルタ8の出力を入力とし、FM復調とバイフェーズ復調を行い、ディスク1に記録されたADIP信号(アドレス情報)を復調するアドレス復調手段であり、10は、バンドパスフィルタ8の出力の平均的な周波数を検出し、これに応じてバンドパスフィルタ8の帯域を可変する周波数検出手段である。周波数検出手段10は、入力信号波形を、その振幅中心付近でコンパレートして2値化し、2値化した信号の周期をクロックでカウントし、そのカウント値に対してローパスフィルタを通す等の処理により、入力信号の平均周期を容易に検出する事ができる。
【0007】
以上のように構成された従来の技術による情報再生装置の動作について、以下説明する。
【0008】
まず回転制御手段5は、FG4が発生するパルス信号に基づいてモータ2の回転数に応じた信号を生成し、これを所定の目標値と比較して回転誤差信号を生成し、これに対してフィルタ処理等を施し、ドライバ3でモータ2を駆動する事により、ディスク1を所定の回転数に制御する。
【0009】
また、光ピックアップ6が出力するフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号を入力とし、サーボ手段(図示せず)で、これらの信号に対して位相補償や低域補償等のフィルタ処理を施し、その出力信号によって光ピックアップ6のアクチュエータを駆動して対物レンズを動かし、光ビームスポットをディスク1の記録面に追従させる(フォーカス制御)と共に、記録トラックに追従させる(トラッキング制御)。
【0010】
次に、ウオブル信号検出手段7によって、ディスク1の記録トラックのウオブル成分を検出する。これについて、以下、図7及び図8を用いて説明する。
【0011】
図7は、MDのRAMディスクにおける記録トラックのウオブルの様子を示した模式図である。図7において、aはディスクの記録面上に集光された光ビームスポット、矢印はディスク1の回転に伴って光ビームスポットaがディスク1の記録面上を相対的に移動する方向を示す。トラッキング制御が正常にかかっている場合、光ビームスポットaは、図7に示すように目標トラック上に正しく位置し、ディスクの回転に伴って矢印の方向に進む。トラッキング制御が追従する周波数帯域は通常1〜2kHz程度であるが、ウオブル成分はこれよりはるかに高い周波数に設定されているため(MDでは、通常線速度で再生した場合に平均値で22.05kHz)、トラッキング制御系は記録トラックの微小な蛇行であるウオブルに対してほとんど追従せず、光ビームスポットaは、ディスク1の回転に伴って図の矢印の方向に向かって真っ直ぐに進む。そのためウオブル成分は、ほぼそのままトラッキング誤差の残留成分となる。即ち、ウオブル信号検出手段7において、トラッキング制御が正常にかかっている時のトラッキング誤差成分を検出する事で、ウオブル信号を容易に検出する事ができる。
【0012】
トラッキング誤差の検出方法について、以下、図8を用いて説明する。図8は、トラッキング誤差信号を検出する一般的な方式を示す模式図である。図8において、aは、ディスク1からの反射光を検出する受光素子であり、ディスク1の半径方向に対応する方向(図8の横軸方向)に対して概略垂直な分割線によって、2つの領域a1とa2に分割されている。bは、受光素子aの分割された領域a1の出力とa2の出力の差を検出する減算回路、cは、受光素子a上におけるディスク1からの反射光ビームスポット、dは、反射光ビームスポットcの、ディスク1の半径方向に対応する方向(図8の横軸方向)の光量分布を示す。ディスク1の記録トラックと光ビームスポットとのディスク半径方向の相対位置に応じて、反射光スポットの光量分布(図8のd)が変化し、分割された受光素子の領域a1とa2の出力の差によってトラッキング誤差信号を検出する事ができる。この検出方式をプッシュプル法或いはファーフィールド法と呼び、光ディスク装置において広く用いられている。
【0013】
以上のようにして検出されたウオブル信号は、本来のウオブル成分以外の様々なノイズ成分を含んでいる。主なものには、ディスク面上のキズやホコリ等のドロップアウト、トラッキングサーボループの追従誤差、記録トラックの微小な歪、再生装置のレーザーノイズや回路ノイズ、隣接トラックのウオブルによるクロストーク等が考えられる。特に、光ビームスポットの焦点がデフォーカスした場合、記録面上の光ビームスポット径が大きくなり、隣接するトラックのウオブル成分のクロストークが増大する。このため、必要なウオブル成分だけを抽出するために、ウオブル信号が持つ周波数成分付近を通過帯域とするバンドパスフィルタを通す事により、信号のS/Nを確保する必要がある。
【0014】
MDでは、ディジタル化した音楽情報信号をEFM変調してディスクに記録するが、この信号はCLV(線速度一定)で記録されている。再生時は、通常、再生されたEFM信号に基づいて、線速度一定となるようスピンドルモータを制御するので、ウオブル成分の周波数帯域はほぼ固定値となり、上記バンドパスフィルタの通過帯域も固定でよい。しかしながら、近年、MDにおいても可変速再生の必要性が高まりつつある。可変速再生を行う事により、モータ回転制御系の負担が軽くなるため、ポータブル使用時の消費電力を削減する事ができ、またアクセス直後に線速度がずれた状態でも信号が読めるため、アクセス時間が短縮でき、曲の頭出しが速くなる等の利点がある。しかしながらこの場合、再生されるウオブル信号の周波数帯域は必ずしも一定でなくなるため、バンドパスフィルタの通過帯域が固定の場合は、ウオブル信号の周波数成分がバンドパスフィルタの通過帯域外になり、ウオブル信号成分の振幅低下によりS/N比が著しく悪化し、アドレス信号が正常に復調できない恐れがある。
【0015】
これに対する従来の対策方法について、以下、図9を用いて説明する。図9(a)、(b)は、バンドパスフィルタ8の周波数特性を示すf特図であり、横軸は周波数、縦軸は振幅特性を示す。図9(a)は、バンドパスフィルタ8の周波数選択度Qを小さく(通過帯域幅を広く)設計した場合を示す。この場合、通過帯域及び選択度Qの値は固定である。通過帯域幅が広いので、ウオブル信号の周波数帯域が変動しても、ウオブル成分の振幅低下を防止するができる。また別の対策方法として、図9(b)のように、バンドパスフィルタ8を可変帯域型とし、その通過帯域を周波数検出手段10の出力に応じて可変し、再生されたウオブル信号の周波数に追従させる方法もある。図9(b)において、f0、f1は通過帯域の中心周波数が可変された様子を示し、f0h、f0lは中心周波数がf0の場合の、f1h及びf1lは中心周波数がf1の場合の、カットオフ周波数(振幅がピークの−3dBとなる周波数)を示す。ここで選択度Qは一般的に、選択度Q=中心周波数/帯域幅(=f0/(f0h−f0l)=f1/(f1h−f1l))、で定義され、ここでは通過帯域の可変によらず常にほぼ一定である。
【0016】
これにより、ウオブル信号の周波数帯域の変動に対して、常にほぼS/N比を確保する事ができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来の構成では、以下のような問題点がある。
【0018】
まず、バンドパスフィルタの選択度Qを小さくする方法では、ウオブル成分の振幅が確保できる一方で、バンドパスフィルタを通過するノイズ成分も増加するため、全帯域をトータルしたS/N比は改善されず、ドロップアウトやクロストーク等の悪条件下における信頼性を充分に確保する事は難しい。
【0019】
また、バンドパスフィルタを可変帯域型とし、その通過帯域をウオブル信号の周波数に追従させる方法では、S/N比は改善されるが、可変帯域型のバンドパスフィルタが不可欠である。一般に可変帯域型のフィルタは、回路系のコストが上がり、同時に消費電力が増大する傾向があるため、低コストかつ低消費電力が重要な商品価値となる民生用機器の用途には不向きである。可変帯域型のフィルタは、例えば特開平9−82028号公報に示されるように、トランスコンダクタアンプを用いたAPF(オールパスフィルタ)で可変遅延素子を形成し、これを用いたトランサバーサル型フィルタとして構成する事ができる。固定帯域型のフィルタであれば、C(容量)、R(抵抗)と若干のオペアンプで構成できる事と比較して、回路素子が極めて多く、コスト、消費電力共に不利であることは明白である。また、バンドパスフィルタの通過帯域をウオブル信号の周波数に追従させる方法では、一旦ウオブル信号の周波数検出を誤ると、バンドパスフィルタの通過帯域がウオブル信号の周波数付近からずれて、ウオブル信号の振幅が低下するため、ますますウオブル信号の周波数が検出できなくなるという悪循環を繰り返し、復帰不能のモードに陥る恐れがある。特に、トラッキングサーボが正常にかかるまでの初期サーボ立ち上げ時やアクセス中等は、正しいウオブル成分が得られないため、上記のような復帰不能モードに陥りやすい。トラッキングサーボが正常にかかっている場合でも、ドロップアウトやクロストーク等によってウオブル信号の品質が悪化した場合に、同様の危険性がある。
【0020】
本発明は上記のような従来の問題点を解決するもので、装置のコストと消費電力を低減すると共に、可変速再生によってウオブル信号の周波数が変動しても、ドロップアウトやクロストーク等の悪条件下における信頼性を確保すると共に、復帰不能に陥る事を防止して装置の安定性を確保する事を目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明は、所定の変調方式で変調された情報信号が所定のトラック形態で記録されたディスクから情報を再生する情報再生装置であって、ディスクの回転数或いは線速度を所定の目標値に制御する回転制御手段と、情報信号をディスクから読み取る信号読み取り手段と、信号読み取り手段の出力信号を入力として、所望の周波数帯域を通過させるバンドパスフィルタと、バンドパスフィルタの出力に基づいて情報信号を復調する復調手段と、バンドパスフィルタの周波数選択度Qを複数段階に切り換える切換手段とを備え、切換手段は、復調手段において情報が正しく復調できなかった場合にバンドパスフィルタの周波数選択度Qを大きくするか、もしくは復調手段において情報が正しく復調できた場合に前記バンドパスフィルタの周波数選択度Qを小さくするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0039】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による情報再生装置の主要構成部を示すブロック図である。図1において、1〜7、9、10の符号を付した構成要素は、図6に示した従来の情報再生装置の説明で用いたものと同様であるので、説明を省略する。11は、第1のバンドパスフィルタであり、周波数選択度Qの値が小さい(通過帯域幅が広い)もの、12は第2のバンドパスフィルタであり、周波数選択度Qの値が大きい(通過帯域幅が狭い)ものである。13は、後述する周波数比較手段14の出力に応じて、第1のバンドパスフィルタ11と第2のバンドパスフィルタ12の出力を選択する選択手段、14は、周波数検出手段10の出力を所定の基準値範囲と比較し、比較結果を出力する周波数比較手段である。
【0040】
以上のように構成された本実施の形態について、以下、図5を用いて、その動作を説明する。
【0041】
図5は、本発明の実施の形態1による情報再生装置における、第1のバンドパスフィルタ11と第2のバンドパスフィルタ12の周波数特性を示す図である。図5において、横軸は周波数、縦軸は振幅を示し、f0は、第1のバンドパスフィルタ11及び第2のバンドパスフィルタ12の通過帯域の中心周波数、fwh及びfwlは第1のバンドパスフィルタ11のカットオフ周波数、fnh及びfnlは第2のバンドパスフィルタ12のカットオフ周波数を示す。
【0042】
光ビームスポットをディスク1の記録面及び記録トラックに追従させてウオブル信号検出手段7によってウオブル成分を検出し、周波数検出手段10によってウオブル信号の平均的な周波数を検出する動作は、従来の情報再生装置と同様である。従来の情報再生装置では、周波数検出手段10の出力に応じてバンドパスフィルタ8の通過帯域を可変する事により、バンドパスフィルタの通過帯域を常にウオブル信号周波数と一致するよう追従させていたが、実施の形態1による情報再生装置では、周波数検出手段10で検出したウオブル信号の平均的な周波数を、周波数比較手段14によって所定の周波数範囲と比較し、所定範囲外であれば、選択手段13で第1のバンドパスフィルタ11(Q小)の出力を選択し、所定範囲内であれば、選択手段13で第2のバンドパスフィルタ12(Q大)の出力を選択する。ここで、上記所定の周波数範囲を、第1のバンドパスフィルタ11及び第2のバンドパスフィルタ12の通過帯域の中心周波数f0近傍の範囲とする事により、ウオブル信号の平均的な周波数が上記f0近傍の場合は、バンドパスフィルタの選択度Qが大きくなり(通過帯域を狭くした急峻な特性)、ウオブル信号の平均的な周波数が上記f0近傍から離れている場合は、バンドパスフィルタの選択度Qが小さくなる(通過帯域を広くした平坦な特性)。
【0043】
通常、可変速再生システムでは、再生時に基準となる所定の再生線速度があり、通常は上記基準線速度で再生を行うが、サーボの立ち上げ時やアクセス後等の過渡状態においてスピンドル回転数が整定するまでの間は、基準線速度からずれた状態でも再生可能としている場合が多い。この場合、ドロップアウトやクロストーク等の悪条件化での信頼性に関しては、基準線速度からずれた状態よりも、基準線速度付近において、より厳しく要求される。例えば、ドロップアウトが存在する領域に向けてアクセス動作を行う場合を想定すると、アクセス直後スピンドル回転数が整定しておらず、線速度が基準値からずれた状態で、ドロップアウトによって信号が再生できなかったとする。しかしこの場合、基準線速度でドロップアウト領域を再生する事ができれば、スピンドル回転数が整定した段階で再生が可能となり、結果的にアクセス時間が若干伸びるだけで、システムとして大きな問題には至らない。しかし、基準線速度でも再生できなければ、ドロップアウト領域はアクセスも再生も不能となり、システムとして致命的である。
【0044】
そこで、通常再生時に基準となる再生線速度に対応したウオブル信号の周波数近傍に、バンドパスフィルタ帯域の中心周波数f0を設定し、再生されたウオブル信号の平均周波数がf0近傍の所定範囲内の場合、バンドパスフィルタのQを大きくすることにより、通過帯域が狭い急峻な特性とし、ドロップアウトやクロストークなどによる不要なノイズ成分を充分に除去し、悪条件下での信頼性を確保する。
【0045】
一方、サーボ立ち上げ時やアクセス直後の過渡状態では、再生されたウオブル信号の平均周波数がf0近傍の所定範囲外となるので、バンドパスフィルタのQを小さくすることにより、通過帯域が広い平坦な特性とし、線速度に依らず、常に一定のウオブル信号振幅を得る。これにより、少なくともウオブル成分の平均的な周波数は安定に検出することができるので、従来の情報再生装置のように、復帰不要の状態に陥る恐れが大幅に低下し、システムの安定性が向上する。
【0046】
ここで上記の説明では、説明を容易にするために、通過帯域の中心周波数を第1のバンドパスフィルタ11と第2のバンドパスフィルタ12で同一としたが、必ずしも同一である必要は無い。装置として可変速再生に対応する範囲は、通常再生時の基準線速度に対して速度の速い側と遅い側が同じ幅であるとは限らない。基準線速度より遅い側に対してのみ可変線速再生に対応する場合すら充分に考えられ、これらは個々の装置の都合によって異なる設計要因である。このような場合、選択度Qの切り換えに応じて、結果的に通過帯域の中心周波数も切り換える事が自然である。
【0047】
また、上記のようにバンドパスフィルタの選択度Qを2段階に選択する構成とする事により、通常のC(コンデンサ)、R(抵抗)とオペアンプ1個程度のフィルタ回路を2系統用意し、これを選択する程度の簡単な回路構成とする事ができる。ここで、一方を選択している間は他方の回路に対する電力供給を絶つ事により、消費電力としては、完全な固定型バンドパスフィルタ1個分と同等にする事ができ、コスト、消費電力共に、従来の情報再生装置における可変帯域型のバンドパスフィルタに比べて、遥かに有利である。
【0048】
以上のように本発明の実施の形態1による情報再生装置によれば、バンドパスフィルタの周波数選択度Qを複数段階に切り換える切換手段を備え、情報信号の平均的な周波数を検出する周波数検出手段の出力に基づいてバンドパスフィルタの周波数選択度Qを切り換え、情報信号の平均的な周波数が所定の範囲外の場合にバンドパスフィルタの周波数選択度Qを小さくし、情報信号の平均的な周波数が所定の範囲内の場合にバンドパスフィルタの周波数選択度Qを大きくする事により、バンドパスフィルタの回路構成を簡略化して装置のコスト及び消費電力を低減し、かつ、通常再生状態におけるドロップアウトやクロストーク等の悪条件下の信頼性の確保と、過渡状態での安定性の確保を両立する事が可能となる。
【0049】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2による情報再生装置について説明する。
【0050】
図2は、本発明の実施の形態2による情報再生装置の主要構成部を示すブロック図である。図2において、1〜7、9は従来の技術を用いた情報再生装置の説明で用いた図6と同様であり、11、12、13は実施の形態1による情報再生装置の説明で用いた図1と同様であるので、説明を省略する。15は、回転制御手段5が出力する回転誤差信号を所定の範囲と比較し、回転誤差が所定範囲内か、それとも所定範囲外かを比較結果として出力する回転誤差比較手段である。
【0051】
以上のように構成された本発明の実施の形態2について以下その動作を説明する。
【0052】
光ビームスポットをディスク1の記録面及び記録トラックに追従させ、ウオブル信号検出手段7によってウオブル成分を検出する動作は、従来の情報再生装置と同様である。また、選択度Qが小さい第1のバンドパスフィルタ11と、選択度Qが大きく、かつ通過帯域の中心周波数が、基準線速度に対応するウオブル周波数近傍である第2のバンドパスフィルタ12を設け、その出力を選択する事でバンドパスフィルタの選択度Qを切り換え、再生線速度が基準値付近の場合は選択度Qを大きくし、基準値から離れている場合は選択度Qを小さくするという考え方は、実施の形態1と同様である。実施の形態2が実施の形態1と異なるのは、再生線速度の検出方法である。これについて、以下説明する。
【0053】
実施の形態1では、ディスクから再生されるウオブル信号の平均周波数を検出する事によって、再生線速度を検出する。この方法は、ウオブル信号に対するバンドパスフィルタの選択度Qを、ウオブル信号自身の周波数に基づいて選択するという意味で直接的であり、不要な誤差要因が入り込まないため望ましい方法と考えられる。しかし一方では、ディスクから読み出した信号に基づいて選択度Qを制御するため、ディスクからの読み出し動作の安定性の影響を受けてしまう。例えば、再生線速度が基準値から離れている場合は選択度Qが小さいため、ウオブル信号振幅は確保できる反面、ドロップアウトやクロストークによるノイズ成分の除去が不充分となり、周波数検出が不安定になる可能性が生ずる。更に極端な場合、トラッキングサーボやフォーカスサーボが外れて正常なウオブル信号が検出できなくなれば、正常な周波数検出は困難である。
【0054】
実施の形態2では、FGを用いた回転制御系の目標回転数を、ディスクから読み出したアドレスに基づいて、ディスクの内周付近では目標回転数を速くし、外周に移動するに従って目標回転数が次第に遅くなるように可変する。これにより、常に再生線速度がほぼ一定(CLV)となるように回転制御を行う。この状態で、回転誤差比較手段15において、回転誤差が所定の範囲内かどうかを比較する事により、等価的に、再生線速度が基準値付近かどうかを検出することができる。
【0055】
上記の方法によれば、ディスクから読み出した信号に頼らず、モータの回転数を直接検出するFG信号に基づいて、再生線速度を等価的に検出する事ができるため、ディスクからの読み出し動作の影響を受けず、ドロップアウト、クロストーク、サーボ乱れ等に依らず常に安定に線速度を検出し、バンドパスフィルタの選択度Qを選択する事ができる。
【0056】
また、ディスクを回転させて情報を読み出すシステムにおいては、回転制御が正常かどうかの判断をするために、回転制御誤差が所定範囲内になったかどうかを示す信号が予め用意されているのが通常である。そのため、回転誤差比較手段15は通常新たに設ける必要がなく、コストと消費電力はほとんど増加しない。一方で、実施の形態1における周波数検出手段10及び周波数比較手段14は不要であるため、その分コストと消費電力を削減する事ができる。
【0057】
以上のように、本発明の実施の形態2の情報再生装置によれば、回転制御手段における制御誤差に応じてバンドパスフィルタの周波数選択度Qを切り換え、制御誤差が所定の範囲外の場合にバンドパスフィルタの周波数選択度Qを小さくし、制御誤差が所定の範囲内の場合にバンドパスフィルタの周波数選択度Qを大きくする事により、バンドパスフィルタの回路構成を簡略化すると同時に、周波数検出手段及び周波数比較手段を不要として、装置のコスト及び消費電力を更に低減し、かつ、通常再生状態でのドロップアウトやクロストーク等の悪条件下における信頼性を確保すると共に、ディスクからの再生信号に頼らずにバンドパスフィルタの選択度Qの切り換えを行うため、過渡状態での安定性を更に向上させる事ができる。
【0058】
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3による情報再生装置について説明する。
【0059】
図3は、本発明の実施の形態3による情報再生装置の主要構成部を示すブロック図である。図3において、1〜7、9は従来の技術を用いた情報再生装置の説明で用いた図6と同様であり、11、12、13は実施の形態1による情報再生装置の説明で用いた図1と同様であるので、説明を省略する。16は、アドレス復調手段9の回転誤差信号出力端子、17は、アドレス復調手段9のエラー検出フラグ出力端子、18は、アドレス復調手段9が出力するエラー検出フラグに基づいて、アドレス情報が正しく復調されたかどうかを判定する判定手段である。
【0060】
以上のように構成された本発明の実施の形態3について以下その動作を説明する。
【0061】
光ビームスポットをディスク1の記録面及び記録トラックに追従させ、ウオブル信号検出手段7によってウオブル成分を検出する動作は、従来の情報再生装置と同様である。また、選択度Qが小さい第1のバンドパスフィルタ11と、選択度Qが大きく、かつ通過帯域の中心周波数が、基準線速度に対応するウオブル周波数付近である第2のバンドパスフィルタ12を設け、その出力を選択する事でバンドパスフィルタの選択度Qを切り換える点では、実施の形態1及び2と同様である。実施の形態3が実施の形態1及び2と異なるのは、実施の形態1及び2が、再生線速度を直接或いは間接的に検出し、これに基づいて選択度Qを切り換えるのに対して、実施の形態3は、アドレスが正常に復調されたかどうかに基づいて選択度Qを切り換える点である。これについて以下説明する。
【0062】
アドレス復調手段9は、選択手段13が出力するウオブル信号を入力して、これをFM復調し、更にバイフェーズ復調してアドレス情報を検出する。ここでMDフォーマットにおけるADIPアドレス信号はバイフェーズ変調されており、最長符号長が制限されたランレングス符号であり、PLL(フェーズ・ロックド・ループ)等の技術によりクロック信号を容易に抽出できる。またアドレス信号はセクタ毎に記録されており、セクタの先頭を示す同期信号が付加されている。これらはMDに限らず、ディスクからデータを再生する装置では一般的である。これらの再生されたクロック信号や同期信号の周波数は、ディスクの線速度(或いは回転数)に対応するので、これらの情報を回転誤差信号として出力端子16から出力し、これに応じて回転制御手段5でモータ2を制御することにより、ディスク1の回転を線速度一定(CLV)に制御する事ができる。
【0063】
また、MDフォーマットおけるADIPアドレス信号にはパリティ信号が付加されており、これによって当該セクタに誤りがあるかどうかを検出する事ができる。MDに限らず、一般的にディスクから情報を読み出す場合、何らかの誤り検出機能を持つことが通常である。ここでは誤り情報を、エラー検出フラグとしてアドレス検出手段9の出力端子17から出力する。判定手段18は、エラー検出フラグに基づいてアドレス情報が正しく復調されたかどうかを判定する。例えば、連続Nセクタ(Nは正の整数)に渡ってエラーが検出された場合に正しく復調できていないと判定し、連続Mセクタ(Mは正の整数)に渡ってエラーが検出されない場合に正しく復調できていると判定する等の方法がある。これにより、正しく復調できていないと判定されている場合は、選択手段13で第1のバンドパスフィルタ11を選択して選択度Qを小さくし、正しく復調できていると判定されている場合は、選択手段13で第2のバンドパスフィルタ12を選択して選択度Qを大きくする。これにより、アドレスが正常に復調できている通常状態においては、バンドパスフィルタの選択度Qを大きくして、ドロップアウトやクロストークによる影響を充分に除去して信頼性を確保する。アドレスが正しく復調できない場合は、回転制御誤差が大きく、再生線速度が基準値から離れているために、ウオブル信号周波数がバンドパスフィルタの通過帯域から外れ、ウオブル成分振幅が低下している可能性がある。そこでこのよう場合、選択度Qを小さくしてウオブル信号振幅を確保する。これによってアドレスが正常に復調できるようになれば、再び選択度Qを大きくする。
【0064】
上記の方法によれば、アドレスが正しく復調できなければ必ずバンドパスフィルタの選択度Qを小さくするので、ウオブル信号周波数がバンドパスフィルタの通過帯域外となって振幅が低下し、正常に復調できないという現象は、原理的に起こらない。故に、モータの回転数を直接検出するFGが無くても、過渡状態等における安定性を向上させる事ができる。
【0065】
また、アドレスが正常に復調されているかどうかを判定する手段は、予め用意されているのが通常である。そのため、判定手段18は通常新たに設ける必要がなく、コストと消費電力はほとんど増加しない。一方で、実施の形態1における周波数検出手段10及び周波数比較手段14は不要であるため、その分コストと消費電力を低減する事ができる。
【0066】
以上のように、本発明の実施の形態3の情報再生装置によれば、復調手段において情報が正しく復調できなかった場合にバンドパスフィルタの周波数選択度Qを小さくし、復調手段において情報が正しく復調できた場合にバンドパスフィルタの周波数選択度Qを大きくする事により、バンドパスフィルタの回路構成を簡略化し、周波数検出手段、周波数比較手段、及びモータFGを不要として装置のコスト及び消費電力を更に低減し、かつ通常再生状態でのドロップアウトやクロストーク等の悪条件下における信頼性を確保すると共に、信号が読めたかどうかに基づいてバンドパスフィルタの選択度Qの切り換えを行うので、過渡状態での安定性を向上させる事ができる。
【0067】
(実施の形態4)
次に本発明の実施の形態4による情報再生装置について説明する。
【0068】
実施の形態4による情報再生装置の主用構成部は、実施の形態3の説明で用いたブロック図3と同様である。選択度Qが小さい第1のバンドパスフィルタ11と、選択度Qが大きく、かつ通過帯域の中心周波数が、基準線速度に対応するウオブル周波数付近である第2のバンドパスフィルタ12を設け、アドレス検出手段9の出力端子17から出力するエラー検出フラグに基づいて、判定手段18によりアドレス情報が正しく復調されたかどうかを判定し、この判定結果に基づいて、選択手段13により、第1のバンドパスフィルタ11或いは第2のバンドパスフィルタ12の出力を選択する。ここで実施の形態4が実施の形態3と異なるのは、実施の形態3が、正しく復調できていないと判定された場合に第1のバンドパスフィルタ11を選択して選択度Qを小さくし、正しく復調できていると判定された場合に第2のバンドパスフィルタ12を選択して選択度Qを大きくしたのに対して、実施の形態4では、正しく復調できていないと判定された場合に第2のバンドパスフィルタ12を選択して選択度Qを大きくし、正しく復調できていると判定された場合に第1のバンドパスフィルタ11を選択して選択度Qを小さくする点である。
【0069】
これにより、ドロップアウト等が無く、アドレスが正常に復調できている標準状態においては、バンドパスフィルタの選択度Qを小さくして通過帯域幅を広くする事により、スピンドル回転数によらず常に安定した可変速再生に対応することができる。ここでドロップアウト等によりウオブル信号のS/N比が悪化し、アドレスが正常に復調できない場合は、バンドパスフィルタの選択度Qを大きくして通過帯域幅を狭くする事により、不要ノイズ成分を除去して正常にアドレスを復調する事ができる。同時に、ディスクから再生されるウオブル信号の平均的な周波数が第2のバンドパスフィルタ12の中心周波数f0付近になるように、回転制御手段5における目標回転数を変更する事により、より確実にS/N比を改善する事ができる。
【0070】
以上のように、本発明の実施の形態4の情報再生装置によれば、復調手段において情報が正しく復調できなかった場合にバンドパスフィルタの周波数選択度Qを大きくし、復調手段において情報が正しく復調できた場合にバンドパスフィルタの周波数選択度Qを小さくする事により、アドレスが正常に復調できている標準状態においては、バンドパスフィルタの選択度Qを小さくして可変速再生に対応し、ドロップアウト等によりアドレスが復調できない場合は、バンドパスフィルタの選択度Qを大きくしてS/N比を改善するので、可変速再生と信号品質に対する信頼性を両立させることができ、また、バンドパスフィルタの回路構成を簡略化し、周波数検出手段、周波数比較手段、及びモータFGを不要として装置のコスト及び消費電力を低減する事ができる。
【0071】
(実施の形態5)
次に本発明の実施の形態5による情報再生装置について説明する。
【0072】
図4は、本発明の実施の形態5による情報再生装置の主要構成部を示すブロック図である。図4において、1〜7、9は従来の技術を用いた情報再生装置の説明で用いた図6と同様であり、11、12、13は実施の形態1による情報再生装置の説明で用いた図1と同様であるので、説明を省略する。19は、光ピックアップ6をディスク1の半径方向に移送するための移送手段であり、通常は、移送モータ、移送モータの回転運動を平行運動に変換するためのメカニズム等によって構成される。20は、移送手段19の移送モータを駆動する駆動手段、21は、駆動手段20を介して移送手段19の移送モータを駆動し、光ピックアップ6の信号読み取り位置をディスク半径方向に移動するアクセス動作を行うアクセス制御手段、22は装置全体の動作を制御するシステムコントローラであり、アクセス制御手段21にアクセス指令を出力すると同時に、回転制御手段5に対して目標回転数の変更指令を出力し、かつ選択手段13に対してバンドパスフィルタの切り換え指令を出力する。
【0073】
以上のように構成された本発明の実施の形態5について以下その動作を説明する。
【0074】
光ビームスポットをディスク1の記録面及び記録トラックに追従させ、ウオブル信号検出手段7によってウオブル成分を検出する動作は、従来の情報再生装置と同様である。また、選択度Qが小さい第1のバンドパスフィルタ11と、選択度Qが大きく、かつ通過帯域の中心周波数が、基準線速度に対応するウオブル周波数近傍である第2のバンドパスフィルタ12を設け、その出力を選択する事でバンドパスフィルタの選択度Qを切り換える点では、実施の形態1及び2と同様である。実施の形態5が実施の形態1及び2と異なるのは、実施の形態1及び2が、再生線速度を直接或いは間接的に検出し、これに基づいて選択度Qを切り換えるのに対して、実施の形態5は、システムコントローラ22の制御によって、通常の再生動作中かアクセス動作中かによって選択度Qを切り換える点である。これについて以下詳細に説明する。
【0075】
実施の形態5におけるモータ回転制御は、モータ2の回転数をFG4で検出し、これを回転制御手段5で所定の目標値と比較し、ドライバ3を介してモータ2を駆動する事により、モータ2が所定の目標回転数となるよう回転制御を行う。ここで上記目標回転数は、ディスクから読み出したアドレス情報に基づいて、ディスクの内周付近では目標回転数を速くし、外周に移動するに従って目標回転数が次第に遅くなるように可変する。これにより、常に再生線速度が所定の基準値となるように回転制御を行う。(CLV制御)。
【0076】
通常再生状態では、上記のように所定の基準線速度で再生されているため、再生されたウオブル信号の周波数は、所定の基準線速度に対応した基準周波数付近となる。通常再生状態では、システムコントローラ22の出力に応じて、選択手段13で第2のバンドパスフィルタ12の出力を選択する。第2のバンドパスフィルタ12は、選択度Qが大きく、かつその通過帯域の中心周波数が、基準となる線速度に対応するウオブル信号周波数付近に設定されているため、ウオブル信号のS/Nが確保され、かつドロップアウトやクロストーク等の悪条件下での信頼性を確保する事ができる。
【0077】
アクセス動作時は、システムコントローラ22は、まずアクセス制御手段21にアクセス指令を出力する。これによって、光ピックアップ6がディスクの半径方向に移動し、光ビームの再生位置が内外周に移動する。これと同時にシステムコントローラ22は、再生線速度を所定の基準値に保つため、回転制御手段5に目標回転数の変更指令を出力する。通常、光ビームの再生位置が内外周に移動した後、ディスクの回転数が整定して所定の基準線速度に到達するまでに、ある程度の時間を要する。この間、ウオブル信号の周波数は所定の基準周波数からずれている。そこでアクセス動作中は、システムコントローラ22の出力に応じて選択手段13で第1のバンドパスフィルタ11の出力を選択する。第1のバンドパスフィルタ11は選択度Qが小さく通過帯域幅が広いため、ウオブル信号の周波数に依らず信号振幅を確保する事ができる。回転制御が整定して再生線速度が所定の基準値に到達し、アクセス動作が完了したら、再びシステムコントローラ22の出力に応じて選択手段13で第2のバンドパスフィルタ12の出力を選択する。
【0078】
上記の方法は、ディスクから読み出した信号に頼らず、アクセス動作中かどうかというシステム的なモードに基づいて選択度Qの切り換え動作を行うため、ディスクからの読み出し動作の影響を受けず、ドロップアウト、クロストーク、サーボ乱れ等に依らず常に安定にバンドパスフィルタの選択度Qを選択する事ができる。また、実施の形態1における周波数検出手段10及び周波数比較手段14も不要であり、その分コストと消費電力を低減する事ができる。
【0079】
以上のように、本発明の実施の形態5の情報再生装置によれば、アクセス動作中にバンドパスフィルタの周波数選択度Qを小さくし、アクセス動作中以外にバンドパスフィルタの周波数選択度Qを大きくする事により、バンドパスフィルタの回路構成を簡略化し、周波数検出手段及びモータのFGを不要として、装置のコスト及び消費電力を更に削減し、かつ、通常再生状態でのドロップアウトやクロストーク等の悪条件下における信頼性を確保すると共に、システムの動作モードによってバンドパスフィルタの選択度Qの切り換えを行うので、再生信号の影響を一切受けず、過渡状態での安定性を更に向上させる事ができる。
【0080】
なお、実施の形態1〜4は、MD(ミニディスク)のADIP(アドレス・イン・プリグルーブ)信号の復調装置としたが、全ての光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスク等に対して適用可能であり、またアドレス情報に限らず、光学的、光磁気的、或いは磁気的に記録された音楽情報、映像情報、その他のディジタル情報など、ディスク上に変調されて記録された情報信号を再生する用途であればどのような範囲にも適用可能であり、本発明の趣旨に何らの変わりは無い。
【0081】
また、本発明のバンドパスフィルタは、アナログ回路でもディジタル回路(或いはソフトウエア)でも実現可能である。
【0082】
また、実施の形態1〜4において、バンドパスフィルタの選択度Qの切り換えは、2つのバンドパスフィルタの出力を選択する構成としたが、1つのバンドパスフィルタの定数を切り換える構成(アナログ回路のC、R素子等をスイッチで切り換える、ディジタルフィルタの演算係数を切り換える等)でも良い。また回路構成上は、2段階が最も簡略化に適し、かつ必要充分な性能が得られる場合が多いと考えられるが、装置の都合によっては選択度Qを3段階以上に切り換える事も可能である。
【0083】
また、実施の形態1、2、4において、ディスクの回転制御はモータの回転数をFGで直接検出して制御するとしたが、FGを用いず、ディスクから再生された信号を用いて線速度一定(CLV)となるよう回転制御を行っても良い。この場合、アクセス直後の過渡状態で回転数が整定するまでの過渡状態では、可変線速度で再生する事が可能である。
【0084】
【発明の効果】
以上のように、本発明による情報再生装置は、復調手段において情報が正しく復調できなかった場合にバンドパスフィルタの周波数選択度Qを大きくし、復調手段において情報が正しく復調できた場合にバンドパスフィルタの周波数選択度Qを小さくする事により、バンドパスフィルタの回路構成を簡略化し、周波数検出手段及びモータのFGを不要として、装置のコスト及び消費電力を更に削減し、かつ、ドロップアウト等が無い標準状態において安定した可変速再生を実現すると共に、ドロップアウト等による信号品質の悪化に対する信頼性も向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による情報再生装置の主要構成部を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態2による情報再生装置の主要構成部を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態3及び4による情報再生装置の主要構成部を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態5による情報再生装置の主要構成部を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態1による情報再生装置におけるバンドパスフィルタの周波数特性を示す周波数特性図
【図6】従来の情報再生装置の主要構成部を示すブロック図
【図7】MD(ミニディスク)のトラックの微小蛇行(ウオブル)の様子を示す模式図
【図8】トラッキング誤差成分の一般的な検出方法を示す模式図
【図9】従来の情報再生装置におけるバンドパスフィルタの周波数特性を示す模式図
【符号の説明】
2 モータ
6 光ピックアップ
7 ウオブル信号検出手段
9 アドレス復調手段
10 周波数検出手段
11 第1のバンドパスフィルタ
12 第2のバンドパスフィルタ
13 選択手段
14 周波数比較手段
15 回転誤差比較手段
18 判定手段
22 システムコントローラ
Claims (1)
- 所定の変調方式で変調された情報信号が所定のトラック形態で記録されたディスクから情報を再生する情報再生装置であって、
前記ディスクの回転数或いは線速度を所定の目標値に制御する回転制御手段と、
前記情報信号を前記ディスクから読み取る信号読み取り手段と、
前記信号読み取り手段の出力信号を入力として、所望の周波数帯域を通過させるバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタの出力に基づいて前記情報信号を復調する復調手段と、
前記バンドパスフィルタの周波数選択度Qを複数段階に切り換える切換手段とを備え、
前記切換手段は、前記復調手段において情報が正しく復調できなかった場合に前記バンドパスフィルタの周波数選択度Qを大きくするか、もしくは前記復調手段において情報が正しく復調できた場合に前記バンドパスフィルタの周波数選択度Qを小さくすることを特徴とする情報再生装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2000225022A JP3823700B2 (ja) | 2000-07-26 | 2000-07-26 | 情報再生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2000225022A JP3823700B2 (ja) | 2000-07-26 | 2000-07-26 | 情報再生装置 |
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JP2002042421A JP2002042421A (ja) | 2002-02-08 |
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Family
ID=18718863
Family Applications (1)
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JP2000225022A Expired - Lifetime JP3823700B2 (ja) | 2000-07-26 | 2000-07-26 | 情報再生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3823700B2 (ja) |
-
2000
- 2000-07-26 JP JP2000225022A patent/JP3823700B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JP2002042421A (ja) | 2002-02-08 |
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