JP3823558B2 - 電気湯沸かし器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として一般家庭または事務所等で使用される電気湯沸かし器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電気湯沸かし器は図5に示すような構成であった。1は上方を開口し上端部に外方にフランジ2を設けて底部に加熱手段であるヒーター3を備えた容器である。4は中央に円筒状の保持部5を設けて該保持部5にパッキン6を介して水密的に前記容器1を係止する上枠であり、一端にヒンジ7が設けてある。8は容器1を収納する本体である。
【0003】
9は容器1上部を覆う蓋であり、該蓋9の一端に取り付けたピン10を前記上枠4のヒンジ7に嵌着して回転する。蓋9は合成樹脂等で形成されて外郭を構成する上蓋11と蓋9の強度を維持する合成樹脂等で形成された中蓋12とステンレス鋼板等で形成された下蓋13とで構成されている。上蓋11には蒸気口14が設けられ、中蓋12には上蓋11側から下蓋13側へ貫通して貫通穴15が設けられ、前記蒸気口14と前記貫通穴15を連通する蒸気通路16が上蓋11と中蓋12とで狭持されて取り付けられている。下蓋13の貫通穴15下方近傍には蒸気抜き穴17が複数個設けてある。18は下蓋13の外周に備えられたシールパッキンであり、蓋9の閉塞で前記容器1のフランジ2を気密的にシールする。19は前記貫通穴15から伸設したガイドリブであり、20はステンレス鋼球で形成された転倒流出防止弁であり、転倒時に容器1内の湯の圧力に押されてガイドリブ19に誘導されて前記貫通穴15を閉塞して容器1内の湯が蒸気口14から流出するのを防止する。
【0004】
21は前記上蓋11と中蓋12に挟持された発砲ポリプロピレン樹脂等で形成された蓋断熱材であり、上蓋11内面と中蓋12上面に沿った形状をしている。
【0005】
22は容器1底部に一端を連通し、他端を本体8外方に開口した送水管23に連通した送水装置を構成する遠心ポンプである。
【0006】
24は前記上枠4の保持部5下部に位置して前記容器1外側面に巻き付けられたガラス繊維の不織布で形成された断熱材である。該断熱材24の下端は容器1底面と同じ高さである。
【0007】
25は前記蓋9のピン10と反対側に備えられて内部から外方へバネ26で付勢して外方から内方に前記バネ26の付勢にうち勝って摺動するロック部材である。27は前記ロック部材25を摺動させる操作つまみである。28は前記上枠4のヒンジ7と反対側に設けられた係止部である。ヒンジ7にピン10が嵌合して蓋9が回転し前記ロック部材25が係止部28に係止して蓋9の上枠4への嵌合が完了する。このとき蓋9のシールパッキン18は容器1上端のフランジ2を気密的にシールする。
【0008】
29は外部より電気を給電する接続部である。30は容器1底部略中央に接触して備えられた温度検知素子である。31は温度検知素子30からの信号でヒーター3への通電を制御するとともに操作部32のライトタッチスイッチで構成されたスイッチ33やLEDで構成されたランプ34を制御する制御回路である。
【0009】
以上のように構成された電気湯沸かし器において、容器1に水を給水する。ピン10を軸にして蓋9を閉じるとロック部材25が係止部28に係止してシールパッキン18がフランジ2を水密的にシールする。
【0010】
次に接続部29から電気を給電する。温度検知素子30は容器1底部を介して湯温を検知し、制御回路31が温度検知素子30からの信号でヒーター3へ通電して湯沸かしする。やがて水温が上昇し、沸騰すると温度検知素子30がこれを検知して制御回路31がヒーター3への通電を断電し、以降は温度検知素子30からの信号で制御回路31はヒーター3への通電を制御して保温温度(約95度)を維持する。
【0011】
容器1からの熱拡散を少しでも減少させるために上枠4の保持部5下方で容器1外周には断熱材24が巻いてあるが、これにより容器1側面からの熱拡散は減少する。また、蓋9の上蓋11と中蓋12に狭持された蓋断熱材21は容器1上方からの熱の放散を減少させるものである。
【0012】
沸騰検知は温度検知素子30の検知温度と湯温が若干異なり、確実に沸騰させるためにしばらくの間沸騰を維持するように設定する。容器1内で発生した蒸気は蒸気抜き穴17から貫通穴15を通り蒸気通路16を通って蒸気口14から放散される。沸騰中は蒸気の発生により水面が盛り上がり下蓋13と水面が接近する。具体的にはヒーター3の消費電力にもよるが約10mm程度接近する。しばらくの間沸騰を維持するとやがて制御回路31がヒーター3への通電を断電する。
【0013】
湯を所望のときは操作部32のスイッチ33を操作して遠心ポンプ22を作動させ送水管23を介して給湯する。湯が少なくなると次のように容器1に給水する。つまり、操作つまみ27を操作してロック部材25をバネ26の付勢力に逆らって係止部28から摺動させて係止を解除し、ヒンジ7に嵌着したピン10を軸に蓋9を回転させて開ける。そして容器1に水を給水する。温度検知素子30からの信号で制御回路31は湯を沸かして再び保温する。以上のように湯沸かしと保温と給湯を繰り返して使用される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の構成では、本体8の強度維持のために容器1を上枠4の保持部5に嵌合していたので、容器1上部のフランジ2近傍には構造的に断熱材24を巻くことができない構造となっていた。一方蓋9の蓋断熱材21は上蓋11と中蓋12に狭持される構造であるために下蓋13の近傍で蓋断熱材21と容器1の断熱材24との中間部分に断熱の不十分な部分が形成されて熱が放散する構成であるといった問題があった。
【0015】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、液体を収納し上端部に外方にフランジを設けた容器と、前記容器又は容器内の液体を加熱する加熱手段と、前記容器上部を概略閉塞し蒸気口を有する上蓋、概略下方に凹形状とし合成樹脂で形成された中蓋、及び外周にシールパッキンが嵌着されかつ概略下方に凹形状で蒸気抜き穴を有するステンレス鋼板で形成された下蓋を備え前記容器内で発生した蒸気を前記蒸気抜き穴から、前記中蓋に設けられ前記中蓋から前記下蓋に伸設された鋼球の転倒流出防止弁のガイドリブを通り、前記中蓋に設けられ前記上蓋側から前記下蓋側へ貫通する貫通穴を通って前記蒸気口より放散する蓋と、前記容器内の液体を取り出す送水装置と、前記容器側方に備えられた第1の断熱材と、前記蓋に備えられた第2の断熱材とを備え、前記蓋が前記容器を概略閉塞したとき前記シールパッキンが前記フランジを気密的にシールしかつ前記第2の断熱材下端が前記第1の断熱材上端より下方に位置し、前記第2の断熱材は前記上蓋と前記中蓋とで狭持されるとともに、前記第2の断熱材の上面は前記上蓋の下面に沿った形状に形成され下面は前記中蓋の内面に沿った形状に構成され、Oリングを前記中蓋と前記下蓋に密接させ前記中蓋下面と前記下蓋上面を約3mmの均等な距離に維持して断熱空間を設けるとともに、前記Oリングは前記容器内で発生した蒸気の前記断熱空間への蒸気の侵入を防止し前記蒸気抜き穴と前記貫通穴を気密的に連通する構成として、断熱効果が大きく従って消費電力の小さい経済的な電気湯沸かし器を提供することを第1の目的とする。
【0016】
また、第2の断熱材の上下方向の厚みを中心部より外周部を厚く構成して、第1の断熱材と第2の断熱材との間隙からの熱放散を小さくして断熱効果が大きくて消費電力の小さい経済的な電気湯沸かし器を提供することを第2の目的とする。
【0017】
また、側面を内筒と外筒とで構成し断熱空間を形成し上端部に外方にフランジを設けた有底状容器と、前記容器又は容器内の液体を加熱する加熱手段と、前記容器上部を概略閉塞しし蒸気口を有する上蓋、概略下方に凹形状とし合成樹脂で形成された中蓋、及び外周にシールパッキンが嵌着されかつ概略下方に凹形状で蒸気抜き穴を有するステンレス鋼板で形成された下蓋を備え前記容器内で発生した蒸気を前記蒸気抜き穴から、前記中蓋に設けられ前記中蓋から前記下蓋に伸設された鋼球の転倒流出防止弁のガイドリブを通り、前 記中蓋に設けられ前記上蓋側から前記下蓋側へ貫通する貫通穴を通って前記蒸気口より放散する蓋と、前記容器内の液体を取り出す送水装置と、前記蓋に備えられた断熱材とを備え、前記蓋が前記容器を概略閉塞したとき前記シールパッキンが前記フランジを気密的にシールしかつ前記断熱材下端が前記断熱空間上端より下方に位置し、前記断熱材は前記上蓋と前記中蓋とで狭持されるとともに、前記断熱材の上面は前記上蓋の下面に沿った形状に形成され下面は前記中蓋の内面に沿った形状に構成され、Oリングを前記中蓋と前記下蓋に密接させ前記中蓋下面と前記下蓋上面を約3mmの均等な距離に維持して断熱空間を設けるとともに、前記Oリングは前記容器内で発生した蒸気の前記中蓋と前記下蓋との間の断熱空間への蒸気の侵入を防止し前記蒸気抜き穴と前記貫通穴を気密的に連通する構成として、容器の材質を従来の材質を用いて容器側面からの熱放散を小さくするとともに、容器と蓋の間隙からの熱放散も小さくして断熱効果が大きくて消費電力の小さい経済的な電気湯沸かし器を提供することを第3の目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この第1の目的を達成するために、液体を収納し上端部に外方にフランジを設けた容器と、前記容器又は容器内の液体を加熱する加熱手段と、前記容器上部を概略閉塞し蒸気口を有する上蓋、概略下方に凹形状とし合成樹脂で形成された中蓋、及び外周にシールパッキンが嵌着されかつ概略下方に凹形状で蒸気抜き穴を有するステンレス鋼板で形成された下蓋を備え前記容器内で発生した蒸気を前記蒸気抜き穴から、前記中蓋に設けられ前記中蓋から前記下蓋に伸設された鋼球の転倒流出防止弁のガイドリブを通り、前記中蓋に設けられ前記上蓋側から前記下蓋側へ貫通する貫通穴を通って前記蒸気口より放散する蓋と、前記容器内の液体を取り出す送水装置と、前記容器側方に備えられた第1の断熱材と、前記蓋に備えられた第2の断熱材とを備え、前記蓋が前記容器を概略閉塞したとき前記シールパッキンが前記フランジを気密的にシールしかつ前記第2の断熱材下端が前記第1の断熱材上端より下方に位置し、前記第2の断熱材は前記上蓋と前記中蓋とで狭持されるとともに、前記第2の断熱材の上面は前記上蓋の下面に沿った形状に形成され下面は前記中蓋の内面に沿った形状に構成され、Oリングを前記中蓋と前記下蓋に密接させ前記中蓋下面と前記下蓋上面を約3mmの均等な距離に維持して断熱空間を設けるとともに、前記Oリングは前記容器内で発生した蒸気の前記断熱空間への蒸気の侵入を防止し前記蒸気抜き穴と前記貫通穴を気密的に連通する構成としたものである。
【0019】
また、この第2の目的を達成するために、第2の断熱材の上下方向の厚みを中心部より外周部を厚く構成したものである。
【0020】
また、この第3の目的を達成するために、側面を内筒と外筒とで構成し断熱空間を形成し上端部に外方にフランジを設けた有底状容器と、前記容器又は容器内の液体を加熱する加熱手段と、前記容器上部を概略閉塞し蒸気口を有する上蓋、概略下方に凹形状とし合成樹脂で形成された中蓋、及び外周にシールパッキンが嵌着されかつ概略下方に凹形状で蒸気抜き穴を有するステンレス鋼板で形成された下蓋を備え前記容器内で発生した蒸気を前記蒸気抜き穴から、前記中蓋に設けられ前記中蓋から前記下蓋に伸設された鋼球の転倒流出防止弁のガイドリブを通り、前記中蓋に設けられ前記上蓋側から前記下蓋側へ貫通する貫通穴を通って前記蒸気口より放散する蓋と、前記容器内の液体を取り出す送水装置と、前記蓋に備えられた断熱材とを備え、前記蓋が前記容器を概略閉塞したとき前記シールパッキンが前記フランジを気密的にシールしかつ前記断熱材下端が前記断熱空間上端より下方に位置し、前記断熱材は前記上蓋と前記中蓋とで狭持されるとともに、前記断熱材の上面は前記上蓋の下面に沿った形状に形成され下面は前記中蓋の内面に沿った形状に構成され、Oリングを前記中蓋と前記下蓋に密接させ前記中蓋下面と前記下蓋上面を約3mmの均等な距離に維持して断熱空間を設けるとともに、前記Oリングは前記容器内で発生した蒸気の前記中蓋と前記下蓋との間の断熱空間への蒸気の侵入を防止し前記蒸気抜き穴と前記貫通穴を気密的に連通する構成としたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、液体を収納し上端部に外方にフランジを設けた容器と、前記容器又は容器内の液体を加熱する加熱手段と、前記容器上部を概略閉塞し蒸気口を有する上蓋、概略下方に凹形状とし合成樹脂で形成された中蓋、及び外周にシールパッキンが嵌着されかつ概略下方に凹形状で蒸気抜き穴を有するステンレス鋼板で形成された下蓋を備え前記容器内で発生した蒸気を前記蒸気抜き穴から、前記中蓋に設けられ前記中蓋から前記下蓋に伸設された鋼球の転倒流出防止弁のガイドリブを通り、前記中蓋に設けられ前記上蓋側から前記下蓋側へ貫通する貫通穴を通って前記蒸気口より放散する蓋と、前記容器内の液体を取り出す送水装置と、前記容器側方に備えられた第1の断熱材と、前記蓋に備えられた第2の断熱材とを備え、前記蓋が前記容器を概略閉塞したとき前記シールパッキンが前記フランジを気密的にシールしかつ前記第2の断熱材下端が前記第1の断熱材上端より下方に位置し、前記第2の断熱材は前記上蓋と前記中蓋とで狭持されるとともに、前記第2の断熱材の上面は前記上蓋の下面に沿った形状に形成され下面は前記中蓋の内面に沿った形状に構成され、Oリングを前記中蓋と前記下蓋に密接させ前記中蓋下面と前記下蓋上面を約3mmの均等な距離に維持して断熱空間を設けるとともに、前記Oリングは前記容器内で発生した蒸気の前記断熱空間への蒸気の侵入を防止し前記蒸気抜き穴と前記貫通穴を気密的に連通する構成としたものであり、断熱効果が大きく従って消費電力が小さいという作用を有する。
【0022】
請求項2に記載の発明は、第2の断熱材の上下方向の厚みを中心部より外周部を厚く構成したものであり、第1の断熱材と第2の断熱材との間隙からの熱放散を小さくして断熱効果が大きくて消費電力が小さいという作用を有する。
【0023】
請求項3に記載の発明は、側面を内筒と外筒とで構成し断熱空間を形成し上端部に外方にフランジを設けた有底状容器と、前記容器又は容器内の液体を加熱する加熱手段と、前記容器上部を概略閉塞し蒸気口を有する上蓋、概略下方に凹形状とし合成樹脂で形成された中蓋、及び外周にシールパッキンが嵌着されかつ概略下方に凹形状で蒸気抜き穴を有するステンレス鋼板で形成された下蓋を備え前記容器内で発生した蒸気を前記蒸気抜き穴から、前記中蓋に設けられ前記中蓋から前記下蓋に伸設された鋼球の転倒流出防止弁のガイドリブを通り、前記中蓋に設けられ前記上蓋側から前記下蓋側へ貫通する貫通穴を通って前記蒸気口より放散する蓋と、前記容器内の液体を取り出す送水装置と、前記蓋に備えられた断熱材とを備え、前記蓋が前記容器を概略閉塞したとき前記シールパッキンが前記フランジを気密的にシールしかつ前記断熱材下端が前記断熱空間上端より下方に位置し、前記断熱材は前記上蓋と前記中蓋とで狭持されるとともに、前記断熱材の上面は前記上蓋の下面に沿った形状に形成され下面は前記中蓋の内面に沿った形状に構成され、Oリングを前記中蓋と前記下蓋に密接させ前記中蓋下面と前記下蓋上面を約3mmの均等な距離に維持して断熱空間を設けるとともに、前記Oリングは前記容器内で発生した蒸気の前記中蓋と前記下蓋との間の断熱空間への蒸気の侵入を防止し前記蒸気抜き穴と前記貫通穴を気密的に連通する構成としたものであり、容器の材質を従来の材質を用いて容器側面からの熱放散を小さくするとともに、容器と蓋の間隙からの熱放散も小さくして断熱効果が大きくて消費電力が小さいという作用を有する。
【0024】
【実施例】
(実施例1)
以下に本発明の第1の実施例について、図1を参照しながら説明する。容器1、フランジ2、加熱手段を構成するヒーター3、上枠4、保持部5、パッキン6、ヒンジ7、本体8、蓋9、ピン10、上蓋11、中蓋12、蒸気口14、貫通穴15、蒸気通路16、蒸気抜き穴17、シールパッキン18、転倒流出防止弁20、送水装置を構成する遠心ポンプ22、送水管23、第1の断熱材を構成する断熱材24、ロック部材25、バネ26、操作つまみ27、係止部28、接続部29、温度検知素子30、制御回路31、操作部32、スイッチ33、ランプ34は従来の実施例と同一の形状と機能であり、同一の名称と番号を使用する。
【0025】
41は外周にシールパッキン18を嵌着して中蓋12の下部にねじ42で螺着されている下蓋である。下蓋41は上方を開口した凹形状で、特に外周部を下方に凹形状にしてあり内部に発砲ポリプロピレン樹脂等で形成された蓋断熱材43が収納してある。中蓋12と下蓋41とで蓋断熱材43を狭持している。蓋断熱材43は略円盤状に形成され上下の厚み方向では外周部が内周部より厚く外周部は下方に凸形状としてある。また下蓋41と蓋断熱材43との間隙は約3mmの均等な距離を維持して断熱空間44を形成している。
【0026】
45は中蓋12から下蓋41に伸設されたガイドリブであり、Oリング46が中蓋12と下蓋41とに密接することで下蓋41の蒸気抜き穴17と貫通穴15を気密的に連通する。転倒流出防止弁20は転倒時に貫通穴15を閉塞して容器1内の湯が蒸気口14から流出するのを防止する。
【0027】
上記構成において、本体8の機能と動作は従来例と同じであり省略する。保温時には、蓋9は閉塞されているので、中蓋12と下蓋41に狭持された蓋断熱材43と断熱材24との位置関係は断熱材24の上端よりも蓋断熱材43の下端の方が図1中のH分だけ下に位置している。蓋断熱材43と断熱材24とが熱放散に対して2重構造を持つこととなる。これにより保温中の湯から特に容器1上方と蓋9との隙間からの熱放散に対して蓋断熱材43の外周と容器1の隙間からは熱拡散しにくくなり従って保温性能を向上させることが出来る。また下蓋41と蓋断熱材43の外周を下方に凸形状にしてあるので、沸騰中に水面が約10mm上昇しても水面が下蓋41の蒸気抜き穴17に達することはなく、従って蒸気といっしょに湯が蒸気口14から噴出することはない。そして蓋断熱材43の外周が中心部よりも下方に厚く形成されているために、Hをより大きくすることが出来て保温性能をより向上させることができるとともに、全体に高さをコンパクトにすることが出来る。
【0028】
以上のように本実施例によれば、蓋断熱材43の下端の位置が断熱材24の上端の位置より下に位置するために保温性能をよくすることができる。また、中蓋12と下蓋41とで断熱空間44を形成することで部品点数を増加することなく断熱効果を得ることができる。また、保温性能を向上させるとともに沸騰時に蒸気口14から湯が噴出することなく全高をコンパクトにすることができる。
【0029】
(実施例2)
以下に本発明の第2の実施例について、図2に基づいて説明する。容器1、フランジ2、加熱手段を構成するヒーター3、上枠4、保持部5、パッキン6、ヒンジ7、本体8、蓋9、ピン10、上蓋11、蒸気口14、貫通穴15、蒸気通路16、蒸気抜き穴17、シールパッキン18、転倒流出防止弁20、送水装置を構成する遠心ポンプ22、送水管23、第1の断熱材を構成する断熱材24、ロック部材25、バネ26、操作つまみ27、係止部28、接続部29、温度検知素子30、制御回路31、操作部32、スイッチ33、ランプ34は従来の実施例と同一の形状と機能であり、同一の名称と番号を使用する。51は中蓋であり、概略下方に凹形状である。52は概略下方に凹形状の下蓋であり中蓋51下面と下蓋52上面を約3mmの均等な距離に維持して空間を設け断熱空間53とする形状にしてある。54は中蓋51から下蓋52に伸設された転倒流出防止弁20のガイドリブである。55はOリングであり、Oリング55が中蓋51と下蓋52とに密接することで下蓋52の蒸気抜き穴17と貫通穴15を気密的に連通する。転倒流出防止弁20は転倒時に貫通穴15を閉塞して容器1内の湯が蒸気口14から流出するのを防止する。56は第2の断熱材を形成する蓋断熱材であり上面は上蓋11の下面に沿った形状に形成され下面は中蓋51の内面に沿った形状に構成してある。蓋酸熱材56は上蓋11と中蓋51とで狭持されて保持されている。蓋断熱材56の下端は断熱材24の上端よりも図2のH寸法だけ下方に位置し、蓋9と上枠4の間からの熱拡散を抑制している。
【0030】
上記構成において、本体8の機能と動作は従来例と同じであり省略する。中蓋51の内面に沿って蓋断熱材56が備えてあり、また蓋断熱材56の下端が断熱材24の上端より下方に位置することから蓋断熱材56と断熱材24とが熱放散に対して2重構造となり、蓋断熱材56と断熱材24の間つまり蓋9と上枠4との間からの熱拡散を低減することとなる。また断熱空間53は空気が断熱作用をし下蓋52から中蓋51方向への熱拡散を抑制している。中蓋51に設けられたOリング55は容器1内で発生した蒸気の中蓋51と下蓋52との間の断熱空間53への侵入を防止して蒸気による熱拡散を防止している。
【0031】
以上のように本実施例によれば、蓋断熱材56の下端の位置が断熱材24の上端の位置より下に位置するために保温性能をよくすることができる。また中蓋51と下蓋52とで断熱空間53を形成することで部品点数を増加することなく断熱効果を得ることができる。
【0032】
(実施例3)
以下に本発明の第3の実施例について、図3に基づいて説明する。容器1、フランジ2、加熱手段を構成するヒーター3、上枠4、保持部5、パッキン6、ヒンジ7、本体8、蓋9、ピン10、上蓋11、蒸気口14、貫通穴15、蒸気通路16、蒸気抜き穴17、シールパッキン18、転倒流出防止弁20、送水装置を構成する遠心ポンプ22、送水管23、第1の断熱材を構成する断熱材24、ロック部材25、バネ26、操作つまみ27、係止部28、接続部29、温度検知素子30、制御回路31、操作部32、スイッチ33、ランプ34は従来の実施例と同一の形状と機能であり、同一の名称と番号を使用する。
【0033】
61は中蓋であり、概略下方に凹形状に構成してある。中蓋61の下面は外周が中央より下に位置するように形成されている。62は前記中蓋61に設けられ転倒流出防止弁20をガイドするガイドリブである。63は下蓋であり、前記中蓋61下面に沿って概略下方に凹形状に構成してある。また中蓋61下面には約3mmの高さの遮断リブ64が約10mm間隔で格子状に下方に伸設されていて各格子と前記下蓋63と前記中蓋61下面で独立した小さな空気部屋65を形成して全部の空気部屋65で断熱空間66を形成している。断熱空間66は第2の断熱材を形成している。中蓋61の下面及び中蓋61下面に沿った形状である下蓋63は中央より外周部下方に突き出した位置にある。67は中蓋61と下蓋63に狭持されて固定された蒸気パッキンであり、蒸気抜き穴17と貫通穴15を気密的に連通して容器1内で発生した蒸気が中蓋61と下蓋63の間に侵入しないように取り付けてある。68は上蓋11と中蓋61との間に備えられた発砲ポリプロピレン等の発砲樹脂で形成された蓋断熱材であり、上面は上蓋11下面に沿った形状をしており一方下面は前記中蓋61の上面に沿った形状をしている。
【0034】
中蓋61に形成された断熱空間66の下端は断熱材24の上端よりも下に位置する。また、蓋断熱材68の下端は断熱材24の上端よりも下方に位置する。
【0035】
上記構成において、本体8の機能と動作は従来例と同じであり省略する。断熱空間66の下端が断熱材24の上端より下方に位置することと、蓋断熱材68の下端が断熱材24の上端より下方に位置することから断熱空間66と断熱材24とが熱放散に対して2重構造を持つこととなり、また蓋断熱材68と断熱材24とが熱放散に対して2重構造を持つこととなり、蓋9と上枠4との間からの熱拡散を低減している。また蓋断熱材68及び断熱空間66は空気に断熱作用があり下蓋63から中蓋61方向への熱拡散を低減している。中蓋61に設けられた蒸気パッキン67は容器1内で発生した蒸気が中蓋61と下蓋63の間の断熱空間66へ侵入するのを防止して蒸気による熱拡散を防止している。
【0036】
以上のように本実施例によれば、断熱空間66の下端の位置が断熱材24の上端の位置より下に位置するために保温性能をよくすることができる。また、蓋断熱材68の下端が断熱材24の上端よりも下方に位置するために保温性能をさらに良くすることが出来る。さらに、中蓋61と下蓋63とで断熱空間66を形成することで部品点数を増加することなく断熱効果を得ることができる。
【0037】
(実施例4)
以下に本発明の第4の実施例について、図4に基づいて説明する。加熱手段を構成するヒーター3、上枠4、保持部5、パッキン6、ヒンジ7、本体8、蓋9、ピン10、上蓋11、蒸気口14、貫通穴15、蒸気通路16、蒸気抜き穴17、シールパッキン18、ガイドリブ19、転倒流出防止弁20、送水装置を構成する遠心ポンプ22、送水管23、ロック部材25、バネ26、操作つまみ27、係止部28、接続部29、温度検知素子30、制御回路31、操作部32、スイッチ33、ランプ34は従来の実施例と同一の形状と機能であり、同一の名称と番号を使用する。71は内容器72と外容器73とで構成された容器であり、隙間は1万分の1torr以下の真空に維持されて第1の断熱材を構成する断熱空間74を形成している。75は容器71のフランジである。76は内容器72の上端から約20mm下に内方に向かって突き出したシール部である。77は中蓋であり、下部外周が下方に突き出している。78は中蓋77と上蓋11に狭持された発泡ポリプロピレン樹脂等で形成された蓋断熱材であり、下面は前記中蓋77の下部外周に沿った形状をしている。79は下蓋であり、前記下部外周が突き出した中蓋77の下面に沿った形状をしている。シールパッキン18は下蓋79外周に嵌着されたままシール部76に密着して気密性を維持する。前記蓋断熱材78の下端は容器71内に形成された第1の断熱材を構成する断熱空間74の上端よりも下に位置している。
【0038】
上記構成において、本体8の機能と動作は従来例と同じであり省略する。保温時に容器71内の湯から熱が放散しようとするが、真空効果で断熱空間74からの熱放散は少なく、また蓋断熱材78からの熱放散も少ない。さらに、蓋断熱材78の下端が断熱空間74上端より下に位置しているので蓋9と容器71の隙間からの熱放散を小さくすることができる。従って保温時の消費電力を小さくすることが出来る。
【0039】
以上のように本実施例によれば、蓋断熱材78の下端が断熱空間74の上端より下に位置して熱放散に対して2重構造を持つこととなり、保温時の消費電力を小さくすることが出来る。
【0040】
なお、第1の実施例から第4の実施例まで蓋断熱材43,56,68,78を発泡ポリプロピレンで形成したが、発泡シリコンゴムや発泡ポリエチレン等の材質でも良く、要は断熱効果があり約100度の耐熱性が有れば良い。
【0041】
また、第2の実施例では中蓋51と下蓋52との間に断熱空間53を形成したが、断熱空間53は蓋断熱材56と中蓋51との間に空隙を形成して断熱空間としても良い。
【0042】
また、第3の実施例では断熱空間66を中蓋61下面に設けたが、中蓋61の上面に遮断リブ64を上方に伸設して形成し蓋断熱材68との間で断熱空間を形成しても良い。あるいは、蓋断熱材68の下端に遮断リブ64を下方に伸設して空気部屋を設けて断熱空間を形成し蓋断熱材68下部と中蓋61上面で形成しても良い。要は断熱空間66の下端が断熱材24の上端より下に位置すれば良い。
【0043】
さらに、第4の実施例では容器71の側壁を真空2重構造にしたが、下部の構成として底部の一部を2重構造にしても良い。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、本発明の電気湯沸かし器は、液体を収納し上端部に外方にフランジを設けた容器と、前記容器又は容器内の液体を加熱する加熱手段と、前記容器上部を概略閉塞し蒸気口を有する上蓋、概略下方に凹形状とし合成樹脂で形成された中蓋、及び外周にシールパッキンが嵌着されかつ概略下方に凹形状で蒸気抜き穴を有するステンレス鋼板で形成された下蓋を備え前記容器内で発生した蒸気を前記蒸気抜き穴から、前記中蓋に設けられ前記中蓋から前記下蓋に伸設された鋼球の転倒流出防止弁のガイドリブを通り、前記中蓋に設けられ前記上蓋側から前記下蓋側へ貫通する貫通穴を通って前記蒸気口より放散する蓋と、前記容器内の液体を取り出す送水装置と、前記容器側方に備えられた第1の断熱材と、前記蓋に備えられた第2の断熱材とを備え、前記蓋が前記容器を概略閉塞したとき前記シールパッキンが前記フランジを気密的にシールしかつ前記第2の断熱材下端が前記第1の断熱材上端より下方に位置し、前記第2の断熱材は前記上蓋と前記中蓋とで狭持されるとともに、前記第2の断熱材の上面は前記上蓋の下面に沿った形状に形成され下面は前記中蓋の内面に沿った形状に構成され、Oリングを前記中蓋と前記下蓋に密接させ前記中蓋下面と前記下蓋上面を約3mmの均等な距離に維持して断熱空間を設けるとともに、前記Oリングは前記容器内で発生した蒸気の前記断熱空間への蒸気の侵入を防止し前記蒸気抜き穴と前記貫通穴を気密的に連通する構成とすることで、蓋と容器の間からの熱放散が少なく省エネで経済的な電気湯沸かし器を提供することが出来る。
【0045】
また、第2の断熱材の上下方向の厚みを中心部より外周部を厚く構成することで、蓋と容器上端の隙間からの熱放散を低減して省エネで経済的な電気湯沸かし器を提供することが出来る。
【0046】
また、側面を内筒と外筒とで構成し断熱空間を形成し上端部に外方にフランジを設けた有底状容器と、前記容器又は容器内の液体を加熱する加熱手段と、前記容器上部を概略閉塞し蒸気口を有する上蓋、概略下方に凹形状とし合成樹脂で形成された中蓋、及び外周にシールパッキンが嵌着されかつ概略下方に凹形状で蒸気抜き穴を有するステンレス鋼板で形成された下蓋を備え前記容器内で発生した蒸気を前記蒸気抜き穴から、前記中蓋に設けられ前記中蓋から前記下蓋に伸設された鋼球の転倒流出防止弁のガイドリブを通り、前記中蓋に設けられ前記上蓋側から前記下蓋側へ貫通する貫通穴を通って前記蒸気口より放散する蓋と、前記容器内の液体を取り出す送水装置と、前記蓋に備えられた断熱材とを備え、前記蓋が前記容器を概略閉塞したとき前記シールパッキンが前記フランジを気密的にシールしかつ前記断熱材下端が前記断熱空間上端より下方に位置し、前記断熱材は前記上蓋と前記中蓋とで狭持されるとともに、前記断熱材の上面は前記上蓋の下面に沿った形状に形成され下面は前記中蓋の内面に沿った形状に構成され、Oリングを前記中蓋と前記下蓋に密接させ前記中蓋下面と前記下蓋上面を約3mmの均等な距離に維持して断熱空間を設けるとともに、前記Oリングは前記容器内で発生した蒸気の前記中蓋と前記下蓋との間の断熱空間への蒸気の侵入を防止し前記蒸気抜き穴と前記貫通穴を気密的に連通する構成とすることで、蓋と容器の間からの熱放散が少なく省エネで経済的な電気湯沸かし器を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例を示す電気湯沸かし器の断面図
【図2】 本発明の第2の実施例を示す電気湯沸かし器の要部断面図
【図3】 本発明の第3の実施例を示す電気湯沸かし器の断面図
【図4】 本発明の第4の実施例を示す電気湯沸かし器の断面図
【図5】 従来例を示す電気湯沸かし器の断面図
【符号の説明】
1 容器
3 ヒーター(加熱手段)
9 蓋
22 遠心ポンプ(送水装置)
24 断熱材(第1の断熱材)
43 蓋断熱材(第2の断熱材)
Claims (3)
- 液体を収納し上端部に外方にフランジを設けた容器と、前記容器又は容器内の液体を加熱する加熱手段と、前記容器上部を概略閉塞し蒸気口を有する上蓋、概略下方に凹形状とし合成樹脂で形成された中蓋、及び外周にシールパッキンが嵌着されかつ概略下方に凹形状で蒸気抜き穴を有するステンレス鋼板で形成された下蓋を備え前記容器内で発生した蒸気を前記蒸気抜き穴から、前記中蓋に設けられ前記中蓋から前記下蓋に伸設された鋼球の転倒流出防止弁のガイドリブを通り、前記中蓋に設けられ前記上蓋側から前記下蓋側へ貫通する貫通穴を通って前記蒸気口より放散する蓋と、前記容器内の液体を取り出す送水装置と、前記容器側方に備えられた第1の断熱材と、前記蓋に備えられた第2の断熱材とを備え、前記蓋が前記容器を概略閉塞したとき前記シールパッキンが前記フランジを気密的にシールしかつ前記第2の断熱材下端が前記第1の断熱材上端より下方に位置し、前記第2の断熱材は前記上蓋と前記中蓋とで狭持されるとともに、前記第2の断熱材の上面は前記上蓋の下面に沿った形状に形成され下面は前記中蓋の内面に沿った形状に構成され、Oリングを前記中蓋と前記下蓋に密接させ前記中蓋下面と前記下蓋上面を約3mmの均等な距離に維持して断熱空間を設けるとともに、前記Oリングは前記容器内で発生した蒸気の前記断熱空間への蒸気の侵入を防止し前記蒸気抜き穴と前記貫通穴を気密的に連通する電気湯沸かし器。
- 第2の断熱材の上下方向の厚みを中心部より外周部を厚く構成した請求項1記載の電気湯沸かし器。
- 側面を内筒と外筒とで構成し断熱空間を形成し上端部に外方にフランジを設けた有底状容器と、前記容器又は容器内の液体を加熱する加熱手段と、前記容器上部を概略閉塞し蒸気口を有する上蓋、概略下方に凹形状とし合成樹脂で形成された中蓋、及び外周にシールパッキンが嵌着されかつ概略下方に凹形状で蒸気抜き穴を有するステンレス鋼板で形成された下蓋を備え前記容器内で発生した蒸気を前記蒸気抜き穴から、前記中蓋に設けられ前記中蓋から前記下蓋に伸設された鋼球の転倒流出防止弁のガイドリブを通り、前記中蓋に設けられ前記上蓋側から前記下蓋側へ貫通する貫通穴を通って前記蒸気口より放散する蓋と、前記容器内の液体を取り出す送水装置と、前記蓋に備えられた断熱材とを備え、前記蓋が前記容器を概略閉塞したとき前記シールパッキンが前記フランジを気密的にシールしかつ前記断熱材下端が前記断熱空間上端より下方に位置し、前記断熱材は前記上蓋と前記中蓋とで狭持されるとともに、前記断熱材の上面は前記上蓋の下面に沿った形状に形成され下面は前記中蓋の内面に沿った形状に構成され、Oリングを前記中蓋と前記下蓋に密接させ前記中蓋下面と前記下蓋上面を約3mmの均等な距離に維持して断熱空間を設けるとともに、前記Oリングは前記容器内で発生した蒸気の前記中蓋と前記下蓋との間の断熱空間への蒸気の侵入を防止し前記蒸気抜き穴と前記貫通穴を気密的に連通する電気湯沸かし器。
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