JP3823532B2 - プリンタにおける不揮発性メモリへの書き込み制御方法及びプリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、不揮発性メモリ上に記憶したプリンタの動作状況に関するデータを、揮発性メモリ上へ読み取って動作するプリンタに関し、特に前記不揮発性メモリへの更新データの書き込み制御の方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリンタの動作状況、例えばインク残量、ヘッドクリーニング時間、印字ヘッドの位置、ロール紙残量等の制御情報や、印字文字数、紙送り行数、稼働時間等のカウンタ値と呼ばれる情報は、プリンタを正しく動作させるために必要なデータである。特に、プリンタの動作中における障害(電源オフ、停電、リセットなど)によりプリンタが停止した場合等は、障害復帰時に停止前の動作状況を確認して正しく回復するための処理を実行させることが好ましい。
【0003】
このようなことから従来、プリンタにEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを備え、該不揮発性メモリ上に、DRAM(Dynamic RAM)等の揮発性メモリ内で更新される前記プリンタの動作状況を定期的に書き込むことによってこれを保存し、次のプリンタの動作時において不揮発性メモリの内容を揮発性メモリ上に復帰させ動作するものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来のプリンタにおいては、プリンタの稼動中における一定時間間隔毎に、前記不揮発性メモリへのデータの書き込みを行っている。具体的には、タイマーで計測する一定時間が経過すると実行中の処理が中断され、中央処理装置(以下、CPUという)が前記不揮発性メモリへの書き込み処理のために渡される。障害発生時におけるプリンタ停止前の動作状況をできるだけ正確に把握する目的からは、前記一定時間間隔をできるだけ短くすることが好ましい。
【0005】
一方で、CPUが印字動作やデータ処理のために使用されている時に前記実行中の処理の中断が発生すると、不揮発性メモリへの書き込みが完了するまでは前記印字動作やデータ処理が停止してしまい、印字のスループットが低下するという問題があるため、前記書き込みの時間間隔をあまり短くできない。また、不揮発性メモリの寿命は、その書き込み回数に依存するので、書き込みの時間間隔を短くすることにより必要以上に書き込み回数が増えることは適当ではない。
【0006】
従って本発明の目的は、前記書き込みの時間間隔を短くすることなく、また印字のスループットを下げることなく、障害発生時におけるプリンタ停止前の動作状況をできるだけ正確に把握できるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、プリンタにおける不揮発性メモリに対する書き込み制御方法に関する。本発明の書きこみ制御方法は、
プリンタの動作状況に関するデータを記憶する不揮発性メモリと、該不揮発性メモリから読み出したデータ及びプリンタの動作に伴って更新された前記データを一時的に記憶する揮発性メモリと、プリンタの動作、前記不揮発性メモリ及び揮発性メモリに対するデータの読み書きを制御するための中央処理部と、前記揮発性メモリの内容を前記不揮発性メモリへ書き込む書込手段と、を備えたプリンタにおける前記不揮発性メモリに対する書き込み制御方法であって、
インク残量、ロール紙残量、紙送り行数、または稼働時間の更新値については、第1の時間間隔毎に、前記揮発性メモリの内容を前記不揮発性メモリへ書き込み、
ヘッドクリーニング、インクカートリッジの交換、ロール紙の交換、動作エラーについては、当該制御が実行された後に、前記揮発性メモリの内容を前記不揮発性メモリへ書き込み、その後前記第1の時間感覚のカウント開始を初期化することを特徴とする。
当該制御の実行後に不揮発性メモリへの書き込みを行うことで、障害発生時のデータの喪失の被害を最小限に抑えることができる。
【0008】
ここで、前記制御の実行が、前記第1の時間間隔よりも長い間隔で実行されるものであることが好ましい。
【0009】
前記動作エラーについては、印字ヘッドの温度上昇やキャリッジの搬送ベルト外れ等が含まれる。
【0010】
本発明のプリンタは、
プリンタの動作状況に関するデータを記憶する不揮発性メモリと、
該不揮発性メモリから読み出したデータ及びプリンタの動作に伴って更新された前記データを一時的に記憶する揮発性メモリと、
プリンタの動作、前記不揮発性メモリ及び揮発性メモリに対するデータの読み書きを制御するための中央処理部と、
を備えたプリンタであって、
第1の時間間隔を計測するカウンタと、
前記カウンタにおける前記第1の時間間隔毎に、インク残量、ロール紙残量、紙送り行数、または稼働時間の更新値について、前記揮発性メモリの内容を前記不揮発性メモリへ書き込む第1の書き込み手段と、
前記プリンタにおけるヘッドクリーニング、インクカートリッジの交換、ロール紙の交換、動作エラーについて、当該制御の実行を監視する監視手段と、
前記監視手段により、前記制御の実行の終了が検出された場合に、前記揮発性メモリの内容を前記不揮発性メモリへ書き込む第2の書き込み手段と、
前記第2の書き込み手段による書き込みが行われた際に、前記カウンタを初期化する初期化手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に沿って説明する。図1は本発明の一実施形態に係る制御方法を実現したプリンタ装置の構成ブロック図である。図においてプリンタ装置1は、プリンタ装置全体の制御を司るCPU2、メインメモリとしてのRAM3、制御データ及びプログラム等を格納したROM4、動作状況に関するデータを格納するEEPROM5、印字ヘッドによる用紙への印字を実現する印字機構6、所定の経過時間を計測するカウンタ7及びホストコンピュータとの接続を行うインターフェース8を備えている。
【0012】
CPU2は、ROM4上のプログラム及び制御データ、EEPROM5上のデータをRAM3上にロードし、これらのプログラムやデータに基づいてプリンタ装置を制御する。プリンタ装置1の電源を投入した時点で、ROM4及びEEPROM5上のデータ及びプログラムはRAM3上にロードされ、ロードされたデータに従ってプリンタ装置は初期状態にされ、ホストからの命令を待ち受ける。
【0013】
EEPROM5には、プリンタの動作状況、すなわちインク残量、ヘッドクリーニング時間、印字ヘッドの位置、ロール紙残量等の制御情報や、印字文字数、紙送り行数、稼働時間等のカウンタ値を格納すべき記憶領域が確保されている。プリンタ装置1は、図示しない各種センサを備えており、該各センサによって前記プリンタ装置の動作状況をリアルタイムで計測している。前記各種制御情報やカウンタ値は、RAM3上で順次更新され、後述する所定のタイミングでEEPROM5上の割り当てられた各領域に書き込まれ、保存される。EEPROM5上に書き込まれた制御情報及びカウンタ値は、プリンタ装置1の起動時及びリセット時にRAM3上にロードされ、これらの情報の初期データとされる。例えば、前記ヘッドクリーニング時間は、前回のヘッドクリーニング時間を記録したものであり、CPU2はこのデータに基づいて次回のクリーニングの開始タイミングを決定し、実行する。また、プリンタ装置の障害時、例えば、印字中にプリンタ装置が停止した場合には、リセット後に前記EEPROM5から読み込まれた印字ヘッドの位置の情報を元に正常状態への復帰動作を行う。前記EEPROM5への書き込みタイミングの決定、書き込み、EEPROM5からの読み出しは、CPU2における制御機能により行われる。
【0014】
カウンタ7は、図示しない内蔵のクロック回路に基いて、所定の経過時間を計測する。カウンタ7により計測される経過時間の中に、EEPROM5への書き込み経過時間が含まれる。すなわち、EEPROM5へのデータの書き込みが行われると、CPU2はカウンタ7を起動し、時間の経過をカウントさせる。そして予め定められた時間(例えば1時間)が経過すると、カウンタ7はCPU2に信号を出力し、時間が経過したことを通知する。尤も、CPU2にこのような機能を持たせて、経過時間の計測を行うように構成しても良い。
【0015】
図2及び図3は、前記プリンタ装置におけるEEPROMへの書き込み制御の一実施形態を示すフローチャートであり、図2は所定時間間隔毎の書き込み処理(第1の書き込み処理)を示し、図3は所定の選択された制御の実行毎の書き込み処理(第2の書き込み処理)を示している。本発明においては、プリンタ装置の動作中において前記2種類のタイミングで、RAM3上で更新された各種制御情報やカウンタ値を、定期的にEEPROM5上に書き込む。
【0016】
図2において、プリンタ装置1が起動され又はリセットされると、EEPROM5に保存された各種データがRAM3上にロードされ、前記カウンタ7による時間計測が開始される(201)。カウンタ7による時間計測が開始されてから、予め定められた書き込み時間(例えば1時間)が経過すると(202)、EEPROM5に対するデータの書き込みが実行される(203)。EEPROM5に対するデータの書き込みが完了すると、カウンタ7はリセットされ、次の書き込みのために待機する(204)。このようにして、予め定められた時間が経過する毎に、EEPROM5へのデータの書き込みが実行される。
【0017】
本発明においては、前記一定時間毎の書き込みとは異なるタイミング、すなわち所定の選択された制御のタイミングでも、EEPROM5への書き込みが行われる。ここで、選択される制御としては、印字ヘッドのクリーニング、インクカートリッジやロール紙の交換、印字ヘッドの温度上昇やキャリッジの搬送ベルト外れ等の動作エラーを対象とすることができる。EEPROM5の寿命やスループットを下げないようにするために、印字動作中やデータ処理中におけるEEPROMへの書き込みを避ける観点から、前記制御の発生間隔は、前記所定時間間隔よりも十分に長いもの(例えば1日毎)であることが好ましい。プリンタの各種制御のうち、EEPROM5への書き込みを実行するタイミングとして選択された制御が実行され、それが完了すると、図3の制御にCPU2の処理が渡される。
【0018】
すなわち、選択された制御が終了すると(301)、該制御によって更新されたRAM3上の各種制御情報やカウンタ値は、EEPROM5へ書き込まれる(302)。EEPROM5に対するデータの書き込みが完了すると、カウンタ7はリセットされる(303)。図3の工程における前記カウンタ7のリセットにより、図2の処理における時間間隔は、前記図3の工程の終了時から起算されることとなる。これによって、EEPROM5への必要な書き込み回数が減り、その寿命を延ばすことができる。
【0019】
以上、本発明の一実施形態を図面に沿って説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用を行うことができる範囲が含まれる。前記実施形態においては、プリンタの動作状況に関するデータを記憶する不揮発性メモリとしてEEPROMを示したが、フラッシュメモリを用いても良い。また、不揮発性メモリ上に保存するデータは、前記実施形態に示したものに限らず、各種のプリンタの動作状況に関するデータを対象とすることができるし、また前記実施形態に示したものの一部を対象としても良い。不揮発性メモリはまた、動作状況に関するデータ以外のデータ、例えばフォントデータやプログラム等を共に格納するように構成しても良い。
【0020】
更に、前記実施形態においては一定時間経過毎にCPU2の使用状態を判断するように構成したが、プリンタの動作に伴って変化する値、例えば印字枚数や印字行数に基く所定間隔毎にこの判断を行うように構成しても良い。
【0021】
【発明の効果】
不揮発性メモリへ書き込まれるデータの多くはプリンタの所定の制御の実行時にのみ更新されるので、本発明により、該制御の実行後に不揮発性メモリへの書き込みを行うことで、書き込みの時間間隔を短くすることなく、障害発生時のデータ喪失の被害を最小限に抑えることができる。また、この場合に、前記制御実行後の書き込みを、所定間隔での書き込み回数として考慮することで、近接した間隔での書き込みの発生を防ぎ、不揮発性メモリの書き込み回数を低減し、その寿命を延ばすことができる。
【0022】
また、前記所定の選択された制御の実行の間隔を、前記所定の間隔よりも長い間隔とすることで、同様に、不揮発性メモリの書き込み回数を低減して寿命を延ばし、また印字動作やデータ処理中などにおける書き込みを避け、印字スループットを下げないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る制御方法を実現したプリンタ装置の構成ブロック図である。
【図2】図1のプリンタ装置におけるEEPROMへの書き込み制御の一実施形態を示すフローチャートであり、所定時間間隔毎の書き込み制御(第1の書き込み処理)を示している。
【図3】図1のプリンタ装置におけるEEPROMへの書き込み制御の一実施形態を示すフローチャートであり、所定の選択された制御の実行毎の書き込み制御(第2の書き込み処理)を示している。
【符号の説明】
1 プリンタ装置
2 中央処理部
3 RAM
4 ROM
5 EEPROM
6 印字機構
7 カウンタ
8 インターフェース
Claims (2)
- プリンタの動作状況に関するデータを記憶する不揮発性メモリと、該不揮発性メモリから読み出したデータ及びプリンタの動作に伴って更新された前記データを一時的に記憶する揮発性メモリと、プリンタの動作、前記不揮発性メモリ及び揮発性メモリに対するデータの読み書きを制御するための中央処理部と、前記揮発性メモリの内容を前記不揮発性メモリへ書き込む書込手段と、を備えたプリンタにおける前記不揮発性メモリに対する書き込み制御方法であって、
インク残量、ロール紙残量、紙送り行数、または稼働時間の更新値については、第1の時間間隔毎に、前記揮発性メモリの内容を前記不揮発性メモリへ書き込み、
ヘッドクリーニング、インクカートリッジの交換、ロール紙の交換、動作エラーについては、当該制御が実行された後に、前記揮発性メモリの内容を前記不揮発性メモリへ書き込み、その後前記第1の時間間隔のカウント開始を初期化することを特徴とするプリンタにおける不揮発性メモリへの書き込み制御方法。 - プリンタの動作状況に関するデータを記憶する不揮発性メモリと、
該不揮発性メモリから読み出したデータ及びプリンタの動作に伴って更新された前記データを一時的に記憶する揮発性メモリと、
プリンタの動作、前記不揮発性メモリ及び揮発性メモリに対するデータの読み書きを制御するための中央処理部と、
を備えたプリンタであって、
第1の時間間隔を計測するカウンタと、
前記カウンタにおける前記第1の時間間隔毎に、インク残量、ロール紙残量、紙送り行数、または稼働時間の更新値について、前記揮発性メモリの内容を前記不揮発性メモリへ書き込む第1の書き込み手段と、
前記プリンタにおけるヘッドクリーニング、インクカートリッジの交換、ロール紙の交換、動作エラーについて、当該制御の実行を監視する監視手段と、
前記監視手段により、前記制御の実行の終了が検出された場合に、前記揮発性メモリの内容を前記不揮発性メモリへ書き込む第2の書き込み手段と、
前記第2の書き込み手段による書き込みが行われた際に、前記カウンタを初期化する初期化手段と、
を備えたことを特徴とするプリンタ。
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