JP3823390B2 - 信号合成回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高周波給電回路の構成要素として用いられる方向性結合器及びその方向性結合器を構成要素とする信号合成回路の広帯域化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図20は、従来の信号合成回路の構成を示す図であり、誘電体基板上に構成された方向性結合器と入出力線路を構成要素とするものの例である。図20において、1は方向性結合器、2a,2bは所定の特性インピーダンス値と使用周波数の中心周波数(以下設計周波数という。)において媒質内波長換算で4分の1波長の長さを有する平行に配置された2本の主線路、3a,3b,3c,3dは上記主線路2a,2bの4つの入出力端子、4a,4bは上記の入出力端子3aと3c間及び3bと3d間に2本の主線路2aと2bに直交するように配備された主線路2とは異なる特性インピーダンス値と設計中心周波数において媒質内波長換算で4分の1波長の長さを有する2本の結合線路である。また5a,5b,5c,5dは上記方向性結合器1の入出力端子3a,3b,3c,3dに接続された所定の特性インピーダンス値を持つ入出力線路、6a,6b,6c,6dは上記の構成から成る信号合成回路の4つの入出力端子、7は上記構成要素1,5a,5b,6a,6cがその上に形成される誘電体基板である。
【0003】
次に動作について説明する。尚説明の便宜上周波数は設計中心周波数に限定する。上記のように構成された信号合成回路は、方向性結合器1の主線路2及び結合線路3の特性インピーダンスを適当な値に選定すると、例えば第1の入出力端子6aから高周波信号を入力した場合第3の入出力端子6cには出力信号が現れるが、第2の入出力端子6bには信号が出力されない。このとき、第4の出力端6dには第3の出力端6cに出力された残りの高周波信号が不平衡分として出力される。この概念を図21により説明する。第1の入出力端子6aに入力された高周波信号が第2の入出力端子6bに到達するまでの経路は図示の経路A、経路Bに分けて考えられる。また第1の入出力端子6aに入射された高周波信号が第3の入出力端子6cに到達するまでの経路は図示の経路C、経路Dに分けて考えられる。主線路2及び結合線路4の長さは設計中心周波数において媒質内波長換算で4分の1波長であるから主線路2、結合線路4、入出力線路5の接続分岐点である端子3a,3b,3c,3dの間の距離は4分の1波長である。経路Cと経路Dとの間には経路長差はなく、両方の経路を経て端子6cに到達する信号は等位相で合成される。一方経路Aと経路Bとの間には半波長の経路長差が生じ、両方の経路を経て端子6に到達する信号は逆位相で合成される。したがって主線路2aと2b及び結合線路4aと4bの特性インピーダンス比を適当な値に設定すれば入出力端子6aから経路Aを経て入出力端子6bに到達する信号の振幅と経路Bを経て入出力端子6bに到達する信号の振幅及び入出力端子6aから経路Cを経て入出力端子6cに到達する信号の振幅と経路Dを経て入出力端子6Cに到達する信号の振幅をそれぞれ等しくすることができる。よって入出力端子6aから信号を入力した場合、入出力端子6cには信号が出力されるが入出力端子6cには信号が出力されない。一方入出力端子6aから入出力端子6dに出力される信号は入力された信号のうち入出力端子6cに出力された残りであり、概念的には経路Eを経て伝送されると考えてよい。経路C、経路Dと経路Eとの間には4分の1波長分の経路長差があるから、入出力端子6aから入力されて入出力端子6cに出力される信号と、入出力端子6dに出力される信号との間には90゜の位相差が生じる。
【0004】
以上が設計中心周波数における信号合成回路の動作原理の概要であるが、設計中心周波数以外の周波数も含む周波数特性については回路応答を伝送線路パラメータにより表現することで説明できる。図21に示す信号合成回路を4端子対回路網と考えると図22のような表現が可能である。この信号合成回路の散乱行列[S]は以下のようにして求まる。図21において、2本の主線路2a,2b及び結合線路4a,4bの特性インピーダンス値をそれぞれZ2 ,Z1 、長さをL2,L1、その伝搬定数をγ2 ,γ1 とすると方向性結合器1の等価回路は図23で表わせる。図示のようにこの回路は面A−Aに関して対称であるので、この面が開放状態となることに相当する偶モード励振に対する散乱行列[Se ]及びこの面が短絡状態となることに相当する奇モード励振に対する散乱行列[SO ]を用いてその散乱行列[S]を求めることができる。方向性結合器を偶モード励振した場合の等価回路は図24であるが、この回路は図25に示すような3つの回路要素に分解して考えることができる。図25における回路要素IのF行列を[FeI]、回路要素IIのF行列を[FII]とすると方向性結合器1のF行列「Fe ]は上記回路要素のF行列の従属接続として“数1”で表わされる。
【0005】
【数1】
【0006】
回路要素IのF行列[FeI]は“数2”で、回路要素IIのF行列[FII]は“数3”で表わされるから“数1”、“数2”、“数3”を用いて偶モード励振時の方向性結合器1のF行列[Fe ]は“数4”で表わされる。
【0007】
【数2】
【0008】
【数3】
【0009】
【数4】
【0010】
また方向性結合器1を奇モード励振した場合の等価回路は図26、この回路を3つの回路要素に分解した図が図27である。偶モード励振の場合と同様このF行列[FO ]は“数5”で表わされる回路要素IのF行列[FOI]、偶モード励振の場合と同様な回路要素IIのF行列[FII]の従属接続として“数6”で表わされるから“数6”、“数3”、“数5”を用いて奇モード励振時の方向性結合器1のF行列[FO ]は“数7”で表わされる。
【0011】
【数5】
【0012】
【数6】
【0013】
【数7】
【0014】
次に信号合成回路の入出力線路5a,5dの特性インピーダンス値をZO1、入出力線路5b,5cの特性インピーダンス値をZO2とすると、方向性結合器1をそれぞれの励振モードで励振した場合に対応する散乱行列[Se ],[SO ]は方向性結合器1のF行列[Fe ],[FO ]を用いて“数8”、“数9”、“数10”、“数11”で表わされる。
【0015】
【数8】
【0016】
【数9】
【0017】
【数10】
【0018】
【数11】
【0019】
図22においてポート1にのみ信号を入力した場合の回路の応答S11,S21,S31,S41は回路の対称性からS11e ,S21e ,S11o ,S21o のみを用いて“数12”で表わすことができる。
【0020】
【数12】
【0021】
“数12”により図21で表わされる信号合成回路の第1の入出力端子6aから信号を入力した場合の第1の入出力端子6aへの反射出力であるS11、第3の入出力端子6c及び第4の入出力端子6dへの結合出力であるS31とS41、第2の入出力端子6bへの減結合出力であるS21が求められる。ここで例として図26に示すような伝送線路パラメータを有する信号合成回路に対しその入出力端子6aから相対振幅1の信号を入力した場合の各入出力端子への出力信号の相対振幅を計算する。設計中心周波数は3.12GHzであり方向性結合器1の主線路2a,2bの長さ、結合線路4a,4bの長さはこの設計中心周波数における媒質内波長換算で4分の1波長となるようにし、入出力線路5a,5cの特性インピーダンス値として入出力線路5b,5dの特性インピーダンス値、更に方向性結合器1の主線路2a,2bの特性インピーダンス値は等しくなるように設定している。計算結果を図29に示す。信号合成回路の広帯域性の評価項目としては|S31|と|S41|の比である分配振幅比が所定の範囲となる周波数帯域幅BW1、反射出力の振幅|S11|が所定の値以下となる周波数帯域幅BW2、減結合出力の振幅|S21|が所定の値以下となる周波数帯域幅BW3がある。例えば分配振幅比に対する要求値を0.3dB以下、反射出力に対する要求値を−25dB以下、減結合出力に対する要求を−25dB以下とすると計算結果の図21からBW1は比帯域で約12%、BW2及びBW3は比帯域で約6%であることがわかる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
従来の信号合成回路は以上のような構成、動作を示すものであった。信号合成回路がレーダ、通信機器等に用いられる高周波給電回路の構成要素として実用性を発揮するには、その動作周波数帯域が広いことが望まれる。この観点から見ると上記した従来の信号合成回路は動作周波数帯域が狭いという問題点があった。
【0023】
この発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、方向性結合器を構成要素とする信号合成回路を広帯域化することを目的としている。
【0024】
【課題を解決するための手段】
第1の発明による信号合成回路は、主線路及び結合線路の有する特性インピーダンス値に対して高い特性インピーダンス値を有し、設計中心周波数において媒質内波長換算で約半波長の長さの伝送線路を2本の主線路の入出力端子に付加接続した方向性結合器をその構成要素とするものである。
【0025】
また、第2の発明による信号合成回路は、主線路と同様な特性インピーダンス値を有し、設計中心周波数において媒質内波長換算で半波長の整数倍の長さの4本の延長線路を2本の主線路の入出力端子に接続し、さらに上記4本の延長線路の入出力端に主線路及び結合線路の有する特性インピーダンス値に対して高い特性インピーダンス値を有し、設計中心周波数において媒質内波長換算で約半波長の長さの伝送線路を付加した方向性結合器をその構成要素とするものである。
【0026】
また、第3の発明による信号合成回路は、インダクタとキャパシタを直列に接続したLC直列回路を2本の主線路の入出力端に付加した方向性結合器を構成要素とするものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1を示す信号合成回路の構成図であり、図中の8a,8b,8c,8dは従来の方向性結合器1の主線路2a,2bと入出力線路5a,5b,5c,5dとの間に接続された付加線路である。付加線路8は設計中心周波数において媒質内波長換算で約半波長の長さを有し、更に方向性結合器1の主線路2あるいは結合線路4と比較して高い特性インピーダンス値を有するようにしている。
【0028】
次に上記のように構成された信号合成回路の動作原理を説明する。従来の信号合成回路の説明と同じく方向性結合器1の2本の主線路2a,2b及び結合線路4a,4bの特性インピーダンス値をそれぞれZ2 ,Z1 、長さをL2,L1、その伝搬定数をγ2 ,γ1 とすると、上記の付加線路8a,8b,8c,8dの特性インピーダンス値をZ3 、長さをL3、伝搬定数をγ3 とすると等価回路表示は図2となる。従来例の等価回路図である図23におけるのと同じくこの回路も面A−Aに関して対称であり、方向性結合器1を偶モード励振した場合の散乱行列[Se ]と奇モード励振した場合の散乱行列[SO ]を用いて“数12”から散乱行列[S]の値を求めることができる。図2の等価回路は5つの回路要素の従属接続で表わすことができる。偶モード励振の場合の等価回路が図3、奇モード励振の場合の等価回路が図4である。偶モード励振の場合、図3における回路要素IのF行列を[FeI]、回路要素IIのF行列を[FII]、回路要素IIIのF行列を[FIII ]とすると方向性結合器1のF行列[Fe ]は上記回路要素のF行列の従属接続として“数13”で表わされる。
【0029】
【数13】
【0030】
従来例と同様に回路要素IのF行列[FeI]は“数2”で、回路要素IIのF行列[FII]は“数3”で表わされる。付加線路7である回路要素IIIのF行列[FIII ]を示す式は“数14”である。
【0031】
【数14】
【0032】
奇モード励振の場合、図4における回路要素IのF行列を[FOI]、回路要素IIのF行列を[FII]、回路要素IIIのF行列を[FIII ]とすると方向性結合器1のF行列[FO ]は上記回路要素のF行列の従属接続として“数15”で表わされる。
【0033】
【数15】
【0034】
従来例と同様に回路要素IのF行列[FoI]は“数5”で、回路要素IIのF行列[FII]は“数3”で表わされる。付加線路7である回路要素IIIのF行列[FIII ]を示す式は偶モード励振の場合と共通で“数14”である。
【0035】
従来の信号合成回路の周波数応答計算の例である図28の回路に付加線路8を回路要素IIIとして追加した、図5に示す伝送線路パラメータを有する信号合成回路の周波数応答を“数13”、“数14”、“数2”、“数3”、“数5”、“数8”、“数9”、“数10”、“数11”、“数12”により求めた結果を図6に示す。分配振幅比が0.3dB以下となる周波数帯域幅BW1は比帯域で約31%、反射出力振幅が−25dB以下となる周波数帯域幅BW2は比帯域で約17%、減結合出力振幅が−25dB以下となる周波数帯域幅BW3は比帯域で約16%であり、いずれも従来の信号合成回路における例に比べ大幅に広帯域化されていることがわかる。
【0036】
実施の形態2.
図7は本発明の実施の形態2を示す信号合成回路の構成図である。図中の9a,9b,9c,9dは方向性結合器1の2本の主線路2a,2bと付加線路8a,8b,8c,8dとの間に挿入した延長線路であり、その特性インピーダンス値は主線路2の特性インピーダンス値と同様、その長さは設計中心周波数において媒質内波長換算で約半波長である。
【0037】
次に上記のように構成された信号合成回路の動作原理を説明する。実施の形態1の説明と同じく方向性結合器1の2本の主線路2a,2b、結合線路4a,4b、付加線路8a,8b,8c,8dの特性インピーダンス値をそれぞれZ2 ,Z1 ,Z3 、長さをL2,L1,L3、その伝搬定数をγ2 ,γ1 ,γ3 とすると、上記の延長線路9a,9b,9c,9dの特性インピーダンス値をZ4 、長さをL4、その伝搬定数をγ4 とすると等価回路表示は図8となる。従来例の等価回路図である図23、実施の形態1の等価回路図である図2におけるのと同じくこの回路も面A−Aに関して対称であり、方向性結合器1を偶モード励振した場合の散乱行列[Se ]と奇モード励振した場合の散乱行列[SO ]を用いて“数12”から散乱行列[S]の値を求めることができる。図8の等価回路は7つの回路要素の従属接続で表わすことができる。偶モード励振の場合の等価回路が図9、奇モード励振の場合の等価回路が図10である。偶モード励振の場合、図9における回路要素IのF行列を[FeI]、回路要素IIのF行列を[FII]、回路要素IIIのF行列を[FIII ]、回路要素IVのF行列を[FIV]とすると方向性結合器1のF行列[Fe ]は上記回路要素のF行列の従属接続として“数16”で表わされる。
【0038】
【数16】
【0039】
従来例と同様に回路要素IのF行列[FeI]は“数2”で、回路要素IIのF行列[FII]は“数3”で、また実施の形態1と同様に回路要素IIIのF行列[FIII ]は“数14”で表わされる。延長線路8である回路要素IVのF行列[FIV]を示す式は“数17”である。
【0040】
【数17】
【0041】
奇モード励振の場合、図10における回路要素IのF行列を[FOI]、回路要素IIのF行列を[FII]、回路要素IIIのF行列を[FIII ]、回路要素IVのF行列を[FIV]とすると方向性結合器1のF行列[FO ]は上記回路要素のF行列の従属接続として“数18”で表わされる。
【0042】
【数18】
【0043】
従来例と同様に回路要素IのF行列[FoI]は“数5”で、回路要素IIのF行列[FII]は“数3”で、また実施の形態1と同様に回路要素IIIのF行列[FIII ]は“数14”で、延長線路8である回路要素IVのF行列[FIV]は“数17”で表わされる。
【0044】
実施の形態1の信号合成回路の周波数応答計算の例である図5の回路に延長線路8を回路要素IVとして追加した、図11に示す伝送線路パラメータを有する信号合成回路の周波数応答を“数16”、“数14”、“数17”、“数2”、“数3”、“数18”、“数5”、“数8”、“数9”、“数10”、“数11”、“数12”により求めた結果を図12に示す。分配振幅比が0.3dB以下となる周波数帯域幅BW1は比帯域で約17%、反射出力振幅が−25dB以下となる周波数帯域幅BW2は比帯域で約12%、減結合出力振幅が−25dB以下となる周波数帯域幅BW3は比帯域で約11%であり、いずれも従来の信号合成回路における例に比べ広帯域化されていることがわかる。
【0045】
実施の形態3.
図13は本発明の実施の形態3を示す信号合成回路の構成図である。10は誘電体基板7上にストリップラインで形成されたインダクタ、11はキャパシタである。インダクタ10とキャパシタ11の接続によりLC直列回路12が構成され、これが方向性結合器1の主線路2a,2bと入出力線路5a,5b,5c,5dの間に挿入されている。
【0046】
次に上記のように構成された信号合成回路の動作原理を説明する。従来の信号合成回路の説明と同じく方向性結合器1の2本の主線路2a,2b及び結合線路4a,4bの特性インピーダンス値をそれぞれZ2 ,Z1 、長さをL2,L1、その伝搬定数をγ2 ,γ1 とすると、上記のLC直列回路12のインダクタ10のインダクタンスをL 、キャパシタ11のキャパシタンスをCとすると等価回路表示は図14となる。従来例の等価回路図である図23におけるのと同じくこの回路も面A−Aに関して対称であり、方向性結合器1を偶モード励振した場合の散乱行列[Se ]と奇モード励振した場合の散乱行列[SO ]を用いて“数12”から散乱行列[S]の値を求めることができる。図14の等価回路は5つの回路要素の従属接続で表わすことができる。偶モード励振の場合の等価回路が図15、奇モード励振の場合の等価回路が図16である。偶モード励振の場合、図15における回路要素IのF行列を[FeI]、回路要素IIのF行列を[FII]、回路要素VのF行列を[FV ]とすると方向性結合器1のF行列[Fe ]は上記回路要素のF行列の従属接続として“数19”で表わされる。
【0047】
【数19】
【0048】
従来例と同様に回路要素IのF行列[FeI]は“数2”で、回路要素F行列[FII]は“数3”で表わされる。LC直列回路12である回路要素VのF行列[FV ]を示す式は“数20”である。
【0049】
【数20】
【0050】
“数20”においてωは角速度であり周波数fとの間には“数21”の関係がある。
【0051】
【数21】
【0052】
奇モード励振の場合、図16における回路要素IのF行列を[FOI]、回路要素IIのF行列を[FII]、回路要素VのF行列を[FV ]とすると方向性結合器1のF行列[FO ]は上記回路要素のF行列の従属接続として“数22”で表わされる。
【0053】
【数22】
【0054】
従来例と同様に回路要素IのF行列[FeI]は“数5”で、回路要素IIのF行列[FII]は“数3”で表わされる。LC直列回路12である回路要素VのF行列[FV ]を示す式は偶モード励振の場合と共通で“数20”である。
【0055】
従来の信号合成回路の周波数応答計算の例である図28の回路にLC直列回路12を回路要素Vとして追加した、図17に示す伝送線路パラメータを有する信号合成回路の周波数応答を“数19”、“数20”、“数2”、“数3”、“数22”、“数5”、“数8”、“数9”、“数10”、“数11”、“数12”により求めた結果を図18に示す。
分配振幅比が0.3dB以下となる周波数帯域幅BW1は比帯域で約38%、反射出力振幅が−25dB以下となる周波数帯域幅BW2は比帯域で約18%、減結合出力振幅が−25dB以下となる周波数帯域幅BW3は比帯域で約19%であり、いずれも従来の信号合成回路における例に比べ大幅に広帯域化されていることがわかる。
【0056】
上記実施の形態1,2,3においては2本の主線路2、2本の結合線路4によって矩形の閉路が形成される方向性結合器を用いた信号合成回路について示したが、図19に示すように、この代わりに円弧状の2本の主線路13、円弧状の2本の結合線路14によって円形の閉路が形成される構成の方向性結合器を形成し、これに高インピーダンス線路等を付加して広帯域化を図ってもよい。
【0057】
また上記実施の形態1,2,3においては、方向性結合器1の主線路2及び結合線路4が設計中心周波数において媒質内波長換算で4分の1波長の長さを持つ場合について示したが、この部分の線路長は4分の3波長等4分の1波長の奇数倍の長さを持つものであってもよい。
【0058】
また上記実施の形態1においては、方向性結合器1の4つの入出力端3に設計中心周波数において媒質内波長換算で半波長の長さの高インピーダンス線路を付加する例について示したが、この高インピーダンス線路の長さは設計中心周波数において媒質内波長換算で1波長等半波長の整数倍の長さであってもよい。
【0059】
更に実施の形態1,2,3においては誘電体基板7上に構成された信号合成回路の場合について示したが、2本の主線路と2本の結合線路及び長さが半波長の高インピーダンス線路等の付加回路を構成できる線路であれば、誘電体基板を使用しない、例えば矩形同軸線路等の伝送線路形態を取るものであってもよい。
【0060】
【発明の効果】
第1の発明によれば、方向性結合器の各端子に半波長の整数倍の長さを持ち、主線路及び結合線路の有する特性インピーダンス値に対して高い特性インピーダンス値を有する線路を付加したことにより、方向性結合器を広帯域化することができるという効果がある。
【0061】
また第2の発明によれば、方向性結合器の主線路と同様な特性インピーダンス値を有する、半波長の長さの延長線路及び長さが半波長の整数倍の高インピーダンス線路を方向性結合器の各端子に付加したことにより、第1の発明と同等の効果が得られる。
【0062】
また第3の発明によれば、分布定数回路素子として構成できるインダクタとキャパシタを直列に接続したLC直列回路を方向性結合器の各端子に付加したことにより、第1の発明と同様な効果が得られ、更に第1の発明による信号合成回路及び第2の発明による信号合成回路より小型化できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の信号合成回路を示す構成図である。
【図2】 本発明の実施の形態1の信号合成回路の構成要素である方向性結合器の等価回路を示す図である。
【図3】 本発明の実施の形態1の信号合成回路の構成要素である方向性結合器を偶モード励振した場合の等価回路を示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態1の信号合成回路の構成要素である方向性結合器を奇モード励振した場合の等価回路を示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態1の信号合成回路の周波数応答計算例に用いる伝送線路パラメータを示す図である。
【図6】 本発明の実施の形態1の信号合成回路の周波数応答計算例を示す図である。
【図7】 本発明の実施の形態2の信号合成回路を示す構成図である。
【図8】 本発明の実施の形態2の信号合成回路の構成要素である方向性結合器の等価回路を示す図である。
【図9】 本発明の実施の形態2の信号合成回路の構成要素である方向性結合器を偶モード励振した場合の等価回路を示す図である。
【図10】 本発明の実施の形態2の信号合成回路の構成要素である方向性結合器を奇モード励振した場合の等価回路を示す図である。
【図11】 本発明の実施の形態2の信号合成回路の周波数応答計算例に用いる伝送線路パラメータを示す図である。
【図12】 本発明の実施の形態2の信号合成回路の周波数応答計算例を示す図である。
【図13】 本発明の実施の形態3の信号合成回路を示す構成図である。
【図14】 本発明の実施の形態3の信号合成回路の構成要素である方向性結合器の等価回路を示す図である。
【図15】 本発明の実施の形態3の信号合成回路の構成要素である方向性結合器を偶モード励振した場合の等価回路を示す図である。
【図16】 本発明の実施の形態3の信号合成回路の構成要素である方向性結合器を奇モード励振した場合の等価回路を示す図である。
【図17】 本発明の実施の形態3の信号合成回路の周波数応答計算例に用いる伝送線路パラメータを示す図である。
【図18】 本発明の実施の形態3の信号合成回路の周波数応答計算例を示す図である。
【図19】 本発明の実施の形態1,2,3の別の応用例を示す図である。
【図20】 従来の信号合成回路を示す構成図である。
【図21】 従来の信号合成回路の構成要素である方向性結合器の動作原理を示す図である。
【図22】 従来の信号合成回路を4端子対回路網として表現した図である。
【図23】 従来の信号合成回路の構成要素である方向性結合器の等価回路を示す図である。
【図24】 従来の信号合成回路の構成要素である方向性結合器を偶モード励振した場合の等価回路を示す図である。
【図25】 従来の信号合成回路の構成要素である方向性結合器を偶モード励振した場合の等価回路を示す図である。
【図26】 従来の信号合成回路の構成要素である方向性結合器を奇モード励振した場合の等価回路を示す図である。
【図27】 従来の信号合成回路の構成要素である方向性結合器を奇モード励振した場合の等価回路を示す図である。
【図28】 従来の信号合成回路の周波数応答計算例に用いる伝送線路パラメータを示す図である。
【図29】 従来の信号合成回路の周波数応答計算例を示す図である。
【符号の説明】
1 方向性結合器、2 方向性結合器の主線路、3 方向性結合器の主線路の入出力端子、4 方向性結合器の結合線路、5 入出力線路、6 入出力端子、7 誘電体基板、8 付加線路、9 延長線路、10 インダクタンス、11 キャパシタンス、12 LC直列回路、13 方向性結合器の円弧状の主線路、14 方向性結合器の円弧状の結合線路。
Claims (2)
- 所定の特性インピーダンス値と使用周波数の中心周波数において4分の1波長の奇数倍の長さを有する2本の主線路と、上記主線路の4つの入出力端に接続される所定の特性インピーダンス値を有する4本の入出力線路、並びに上記2本の主線路に直交し上記2本の主線路とは異なる特性インピーダンス値と上記中心周波数において4分の1波長の奇数倍の長さを有する2本の結合線路とで構成される方向性結合器において、
上記主線路のそれぞれの入出力端と上記それぞれの入出力線路とが、半波長の整数倍の長さを持ち、上記主線路及び結合線路の有する特性インピーダンス値に対して高い特性インピーダンス値を有する付加線路によって、それぞれ接続されたことを特徴とする信号合成回路。 - 所定の特性インピーダンス値と使用周波数の中心周波数において4分の1波長の奇数倍の長さを有する2本の主線路と、上記主線路の4つの入出力端に接続される所定の特性インピーダンス値を有する4本の入出力線路、並びに上記2本の主線路に直交し上記2本の主線路とは異なる特性インピーダンス値と上記中心周波数において4分の1波長の奇数倍の長さを有する2本の結合線路とで構成される方向性結合器において、
上記主線路のそれぞれの入出力端に、2本の主線路と同様な特性インピーダンス値と、上記中心周波数において半波長の長さを有する延長線路が、それぞれ接続され、
さらに上記それぞれの延長線路の入出力端と上記それぞれの入出力線路が、半波長の整数倍の長さを持ち、上記主線路及び結合線路の有する特性インピーダンス値に対して高い特性インピーダンス値を有する付加線路によって、それぞれ接続されたことを特徴とする信号合成回路。
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