JP3823214B2 - 流動層ボイラの緊急停止時における燃料供給ノズルの閉塞防止方法及び燃料供給ノズル - Google Patents

流動層ボイラの緊急停止時における燃料供給ノズルの閉塞防止方法及び燃料供給ノズル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流動層ボイラに係り、特にペースト状燃料を使用する加圧流動層ボイラの緊急停止時における燃料供給ノズルの閉塞防止方法及び燃料供給ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
流動層ボイラにおいては、ボイラ内に数mmの粒子を充填し、底部から空気を吹き込んで粒子を流動させた状態(流動層)で燃料を供給し燃焼させる。燃料の供給法には乾式法と湿式法とがあるが、燃焼性と供給動力費の面から、常圧式の流動層ボイラでは乾式供給法、加圧式の流動層では湿式供給法が一般的である。特に本発明の対象とする加圧流動層ボイラでは、微粉炭等の固体燃料を水等の液体と混合してペースト状に形成し、ペースト状燃料をポンプで圧送して燃料供給ノズルから流動層内に供給する。しかし、ペースト状燃料は粘度が高いため流動層内に均一に分散供給するのが難しい。すなわち、燃料供給ノズルの性能が悪いと、流動層内で燃料と空気比のアンバランスを生じ燃焼不良や流動層内温度の不均一等が生じる。従来は、これに対処するため、ノズルには空気等のガスを入れ、ペースト状燃料を小さな粒に分散して流動層内に噴出する機能を持たせたノズル(特開平7−293813号公報参照)やバーナー・ランス(特開平6−317309号公報参照)等が提案されている。
【0003】
しかし、これらのノズルは、正常運転中には問題を生じないが緊急の停止時には、ノズル内部にペースト状燃料が停滞し、流動層からの粒子の放射熱を受けて内部で固着する。すなわち緊急停止するとノズルが閉塞して再立ち上げ(再始動)ができないという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の流動層ボイラにあっては、緊急停止によって、燃料供給ノズル内のペースト状燃料が固着し、燃料供給ノズルが閉塞して再立ち上げができないという問題がある。
【0005】
本発明の課題は、緊急停止の際に、燃料供給ノズルが燃料の固着によって閉塞するのを防止することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、流動層ボイラの緊急停止時に、燃料供給ノズルの先端孔を閉止し、燃料供給ノズルの先端孔を閉止し、燃料供給ノズル内に水又は空気を注入して燃料供給ノズル内に残留しているペースト状燃料をペースト状燃料の供給側へ排出させることを特徴とする。また燃料供給ノズルには、先端孔の閉止機構を具備し、さらにノズル内に残留している混合燃料を系外に排出する機構を具備して構成することができる。つまり、燃料供給ノズルは、前記ペースト状燃料の供給管が後端に接続され先端に前記ペースト状燃料を噴出する先端孔が形成された外管と、水又は空気の供給管が後端に接続され前記外管内に同心状に挿通して設けられた内管と、該内管の内に移動自在に設けられ前記先端孔を閉止可能に形成された栓と、該栓をを管軸方向に移動させる駆動手段とを備え、前記内管の先端は前記栓が前記先端孔を閉止する位置で前記外管内に連通する位置に配置されてなる構成とする。さらに燃料供給ノズルには、流動層上方空間温度が流動層内温度より高くなった際に空気量を増加する機構を付設してもよい。
【0007】
本発明によれば、流動層の緊急停止時にノズル先端孔を閉止し、かつ残留している燃料を加圧水等で系外に排出するため、燃料の固着が防止される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1を参照しながら説明する。図1に示すように、燃料供給ノズル6は固体燃料と液体との混合燃料(ペースト状燃料)を空気とともにノズル先端孔21より流動層内に供給するものであって、ノズル先端孔21には、流動層4の運転を急停止する際に、流動層4の熱の侵入による混合燃料の固着を防止するように閉止機構を具備する。閉止機構は、中心で前後方向に移動自在に挿通された棒15と、棒15の先端に設けられた栓20と、棒15の後端に接続された駆動装置16とよりなり、栓20によりノズル先端孔21を閉塞可能とする構成である。
【0009】
また燃料供給ノズル6には、ノズル先端孔21を閉止したのち第2の空間23等に残留している混合燃料を系外に排出する機構が付設されている。系外に排出する機構は、例えば第1の空間22に水管12よりバルブV12を経て注入した加圧水により、系外のCWP(ペースト状燃料)タンク18に排出するものである。
【0010】
また燃料供給ノズルは、流動層上方空間温度が流動層内温度より高くなった際に空気量を増加する機構を外周に付設している。空気量を増加する機構は、燃焼用空気管10から第3の空間24への燃焼用空気の供給量を増加してCWPの揮発分の燃焼を促進し、流動層4からの吹き抜けを防止するものである。
【0011】
すなわち燃料供給ノズル6は中心に棒15が前後方向に移動自在に挿通され、棒15の後端に駆動装置16と、棒15の先端に栓20とが接続されている。そして栓20の外周に設けられた第一の管31と、第一の管31の外周に設けられた第二の管32と、第二の管32の外周に設けられた第三の管33とが中心軸を同じにして同心状に配設されている。栓20の外径は第1の管31の内径より数mm小さく、第1の管31の内側空間である第1の空間22は、系外の水管12とバルブV12を経て、また空気管11とバルブV11を経て連通している。第1の管31と第2の管32とで囲まれる第2の空間23は、系外のCWP供給管9とバルブV9を経て、CWP排出管17とバルブV17を経て連通している。なお、CWP排出管17は受け入れタンク18と接続し、受け入れタンク18にはバルブV19を経てCWP抜き出し管19と、バルブV25を経て均圧管25とが接続している。第2の管32と第3の管33とで囲まれる第3の空間24は、系外からの燃焼用空気管10とバルブV10を経て接続している。そして第2の管32は、冷却水管13と冷却水出口管14とに接続し、また先端部が閉口されているので冷却水を流通して燃料供給ノズルを冷却するとともに、その先端部の中心側が中心方向に次第に肉厚になってノズル先端孔21を形成している。
【0012】
通常運転中は、駆動装置16により栓20は第1の管31内の先端より手前(後端側)に位置し、系外からは第1の空間22に空気を空気管11から供給する。空気供給量はノズル先端孔21における流速が30m/s程度を超えないようにする。これはノズル先端孔21の摩耗の増加を防止するためであり、また、空気供給量が少なすぎるとCWPの噴出力が小さくなってCWPを噴出できなくなるためである。第2の空間23にはバルブV9を経てCWP供給管9から燃料のCWPを供給し、第1の空間22からの空気によりノズル先端孔21から噴出させる。また、バルブV10を経て燃焼用空気管10からの燃焼用空気を第3の空間24から供給する。この燃焼用空気は燃料の揮発分に見合って供給量を制御する。
【0013】
すなわち、ノズル先端孔21から噴出したCWPは860℃、10気圧の流動層内で瞬間に揮発分と水蒸気とを発生し気泡となる。気泡には第1の空間22から噴出した空気も混合し揮発分の極く一部を燃焼するが、ほとんどの揮発分は燃焼することなく上昇して流動層を吹き抜ける。しかし、燃焼用空気管10から燃焼用空気を供給すると、気泡には燃焼用空気が吹き込まれて揮発分の燃焼が促進され、流動層からの吹き抜けが防止される。石炭は産出地により組成及び揮発分量が異なるが、本発明ではノズルの第3の空間24から揮発分燃焼に必要な燃焼用空気量を供給できるので石炭種が変っても燃焼用空気量を制御することにより揮発分の吹き抜けを防止できる。揮発分の吹き抜けが発生すると、流動層上方空間(フリーボード部)で燃焼が起り、フリーボード部での温度が流動層内温度より高くなる。したがって、フリーボード部温度が流動層内温度より高くなった場合に、ノズルの第3の空間24から供給する燃焼用空気量を増加する。
【0014】
前記の通常運転に対し、流動層の粒子流動を急停止する緊急停止時での操作は以下のように実施する。
緊急停止時は種々のケースがあるが、ここでは燃料供給ノズルの冷却水以外はすべて停止した場合を仮定する。緊急停止時はまずバックアップ用の電源、水及びガス系統が立ち上げられる(動作をし始める)。その後、
(1)駆動装置16を作動して棒15を先端側に押し出し、栓20でノズル先端孔21を閉止する。
(2)バルブV9,V10,V11を閉しバルブV17を開にする(その他のバルブは閉)。
(3)バルブV12を開けて水管12から水を供給する。これにより第2の空間23に充満しているCWPは、CWP排出管17を流れて受け入れタンク18に排出される。その後、バルブV12を閉する。ついでバルブV11を開け、空気管11からの空気あるいは窒素等のガスで第1の空間22及び第2の空間23に残留する水及び固形物を排出する。受け入れタンク18に接続するCWP抜き出し管19は、受け入れタンク18内に溜まった廃CWP及び廃水等を排出するためのものである。また、均圧管25は図2に示す圧力容器1内の圧力と均圧にするためのもので、ノズル先端孔21を閉止した栓20に流動層ボイラからの逆圧がかからないようにするためのものである。
【0015】
図2には他の実施の形態として前記いずれか一つの燃料供給ノズルを組み込んだ流動層ボイラを示す。圧力容器1内には流動層ボイラ2が設置されている。流動層ボイラ2には底部に分散板5と、分散板5上には流動層4の流動粒子と、流動層4内には伝熱管3とが設置されている。燃料供給ノズル6は流動層ボイラ2の側壁を貫通してノズル先端を流動層4内に挿入している。コンプレッサからの流動燃焼用空気7を圧力容器1に供給し、流動層ボイラ2の底部を経て流動層4に導入する。流動燃焼後のガスは燃焼排ガス管8から排出し後続の機器へ至る。受け入れタンク18に接続される均圧管25は圧力容器1と接続し連通している。通常運転時は均圧管25のバルブV25を開とし、バルブV17,V19は閉している。これにより受け入れタンク18内は常に圧力容器1内と均圧し、燃料供給ノズル6のノズル先端の流動層内圧力とほぼ等しい圧力となる。すなわち、緊急停止時にノズル先端孔21を栓20で閉止した後、バルブV17,V12を開にしても(V9,V11は閉)大きな逆圧がかかることはなく、ノズル先端孔21を閉止している栓20が戻されることがない。
【0016】
図3は他の実施の形態として異なる燃料供給ノズルの構造例を示す。この燃料供給ノズルは、噴出空気26によりCWP27をノズル先端孔21から供給するもので、緊急停止時には栓20でノズル先端孔21を閉じ、その後、噴出空気26に換えて水を導入することにより、燃料供給ノズル内に残留するCWPを系外に排出でき、本発明の課題を達成できる。
【0017】
また図4は燃焼用空気も燃料供給ノズルの先端から供給する他の実施の形態である。燃焼用空気28がノズル先端に向けて狭められる第3の空間30より供給され、図3の説明と同様に噴出空気26に代えて水を導入することにより本発明の課題を達成できる。
【0018】
さらに図5は図4に示す燃料供給ノズルの外周に燃焼用空気の供給を可能にした他の実施の形態である。燃焼用空気28がノズル先端に向けて狭められる第3の空間30より供給されるとともに、さらに燃焼用空気29が第3の空間30の外周に中心軸とほぼ平行に設けられた第4の空間35より供給され、この他の実施の形態も前記と同様に、噴出空気26に代えて水を導入することにより本発明の課題を達成できる。
【0019】
本発明によれば、燃料供給ノズルは同軸の3重構造で、軸の中心に可動する棒を挿通し、棒の先端にはノズル先端孔より太い栓を取り付け、後端は駆動装置に連結する。可動する棒と栓の外側は栓より若干太い第1の管で囲う。第1の管の外側はさらに大径の第2の管で囲う。第2の管の先端は狭められており、栓より小径にする。第2の管の外側はさらに大径の第3の管で囲う。
【0020】
第1の管内に空気及び水の両方が供給できる水管と空気管とを各々バルブを経て接続する。第1の管と第2の管とで囲まれる空間にはCWPを供給できるCWP供給管とCWPを排出できるCWP排出管とを各々バルブを経て接続する。CWP排出管の出口には受け入れタンクを接続する。第2の管と第3の管とで囲まれる空間には石炭の揮発分を燃焼するのに必要な燃焼用空気を供給する燃焼用空気管を接続する。なお、第2の管を冷却して燃料供給ノズルが高温になるのを防止する。
【0021】
通常時の運転では、流動層ボイラは10気圧で流動層温度860℃であり、CWPは供給管から第1の管と第2の管とで囲まれる空間に圧送され、ノズル先端孔から860℃の流動層内に供給される。第1の管の内側には空気管から空気を供給し、CWPをノズル先端孔から噴出する。空気は流動層内にCWPを分散し小さな粒にする作用がある。ただし、空気量が多くなるとノズル先端孔での噴出流速が早くなりノズル先端の摩耗が激しくなるので適正量、好ましくはノズル先端孔での噴出流速が30m/s以下で運転する。第2の管と第3の管とに囲まれた空間には供給燃料の揮発分を完全燃焼するのに必要な空気量、あるいはそれに近い量の空気を供給する。これは、流動層に噴出したCWPが急速加熱されて、水蒸気や可燃性ガスの気泡となったところに助燃剤である酸素を効率よく混合し、流動層内での燃焼を促進する作用がある。空気量が少ない場合は気泡中の可燃性ガスは燃え尽きることなく流動層をすり抜けて流動層上方空間で燃焼し問題となる。また、空気量を増加しても、第1の管の内側から供給する空気と異なり、ノズル先端孔の噴出流速を早めることがないため、ノズル先端を摩耗させることがない。特に有益な作用は種々の石炭に対応できることである。すなわち、石炭の揮発分は炭種ごとに異なるので、燃料供給ノズルからの供給空気量を一定とした場合には揮発分の多い石炭では流動層上方空間の燃焼を起す。しかし、本実施の形態の燃料供給ノズルは自由に空気量を制御できるので種々の石炭種の燃焼に対応できる。好ましい空気量の制御は、流動層上方空間温度と流動層内温度とを測定し、流動層上方空間温度>流動層温度あるいは流動層上方空間温度>目標温度の関係になると、空気量(第2の管と第3の管に囲まれた空間に供給する空気量)を増加する方法で行う。このような通常運転に対し、緊急停止時は流動層の粒子流動が停止し、燃料供給ポンプ及び燃料供給ノズルに導入されるすべてが停止する。停止時、流動層内には860℃の熱粒子があり、この熱粒子で燃料供給ノズル内のCWPは乾燥され固着し閉塞する。これを防止するため緊急停止時には、ノズル先端孔を閉止し、CWP排出管に接続されるバルブを開き、受け入れタンクをCWP受け入れ可能状態にする。水管から水を圧送してノズル内のCWPを受け入れタンクに排出する。空気管から空気あるいは窒素等のガスを供給してノズル内に少し残る固体燃料及び水を排出する。
【0022】
ここで、ノズル先端孔の閉止機構は、ノズル先端孔を閉止することで流動内の熱粒子の侵入を防ぎ、水管からの水によって排出されるCWPの流動層内への噴出を防止する作用がある。また水でCWPを排出した後、ガスで排出するのは残留する水や固体燃料を完全にノズル内から排出するためである。
【0023】
本発明によれば、緊急停止時においては燃料供給ノズル内に残留するペースト状燃料を系外のタンクに排出し、その後にノズル内を水、空気等で洗浄するので閉塞を防止できる。また燃料の流動層上での異状燃焼時には空気量を増加し、正常な流動層内燃焼が可能になる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、運転急停止の際にノズル先端孔を閉止するため、流動層の熱の侵入による混合燃料の固着が防止され、また内部に残留する混合燃料を系外のタンクに排出するので閉塞が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施の形態を示す流動層ボイラに組み込んだシステムフローの図である。
【図3】本発明の他の実施の形態を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態を示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 圧力容器
2 流動層ボイラ
3 伝熱管
4 流動層
5 分散板
6 燃料供給ノズル
7 燃焼用空気
8 燃焼排ガス管
9 CWP供給管
10 燃焼用空気管
11 空気管
12 水管
13 冷却水管
14 冷却水出口管
15 棒
16 駆動装置
17 CWP排出管
18 受け入れタンク
19 CWP排出管
20 栓
21 ノズル先端孔
22 第1の空間
23 第2の空間
24 第3の空間
25 均圧管
26 噴出空気
27 CWP
28 燃焼用空気
29 燃焼用空気
30 第4の空間
31 第1の管
32 第2の管
33 第3の管
35 第5の空間

Claims (2)

  1. 固体燃料を水等の液体と混合したペースト状燃料を燃料供給ノズルにより流動層ボイラに噴出して燃焼を行う方法において、流動層ボイラの緊急停止時に前記燃料供給ノズルの先端孔を閉止し、該燃料供給ノズル内に水又は空気を注入して該燃料供給ノズル内に残留している前記ペースト状燃料を該ペースト状燃料の供給側へ排出させることを特徴とする流動層ボイラの緊急停止時における燃料供給ノズルの閉塞防止方法。
  2. 固体燃料を水等の液体と混合したペースト状燃料を流動層ボイラに噴出する燃料供給ノズルにおいて、前記ペースト状燃料の供給管が後端に接続され先端に前記ペースト状燃料を噴出する先端孔が形成された外管と、水又は空気の供給管が後端に接続され前記外管内に同心状に挿通して設けられた内管と、該内管の内に移動自在に設けられ前記先端孔を閉止可能に形成された栓と、該栓を管軸方向に移動させる駆動手段とを備え、前記内管の先端は前記栓が前記先端孔を閉止する位置で前記外管内に連通する位置に配置されてなることを特徴とする流動層ボイラの燃料供給ノズル。
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