JP3781332B2 - サイクロン形燃焼装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒素成分を含有するA重油等の油燃料を使用するサイクロン形燃焼装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からも、NOx の低減を図った燃焼装置として種々の形式のものが提案されている。しかし、その多くはガス燃料や窒素成分を含有しない灯油等の油燃料を使用するものであり、窒素成分を含有するA重油等の油燃料を使用する場合には、サーマルNOx に加えフューエルNOx の生成をも考慮する必要があることから、高負荷,低NOx 燃焼を達成し得ないものであった。このため、A重油等の油燃料を使用した高負荷,低NOx 燃焼の実現が強く要請されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる要請に応えるべくなされたもので、窒素成分を含有するA重油等の油燃料を使用して、高負荷,低NOx 燃焼を行うことができる実用的なサイクロン形燃焼装置を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決した本発明の請求項1に記載のサイクロン型燃焼装置は、一端部を閉塞すると共に他端部に燃焼ガス出口31を設けた断面円形の燃焼室3と,燃焼室3の内周面に開口する油燃焼ガス噴出口41aと噴霧した油燃料11を燃焼させる燃焼部43とを備え、前記燃焼部43に理論燃焼空気量未満の一次燃焼空気12を供給しつつ油燃料11を燃焼させると共に、発生した油燃焼ガスを前記油燃焼ガス噴出口41aから燃焼室3内にその内周面の接線方向に噴出させる油燃焼ガス噴出ノズル41と,前記油燃焼ガス噴出ノズル41からの油燃焼ガス噴出領域より燃焼ガス出口側31の領域において、燃焼室3の内周面に開口する二次燃焼空気噴出口51aから燃焼室3内にその内周面の接線方向に二次燃焼空気14を噴出させる二次燃焼空気噴出ノズル51と,前記油燃焼ガス噴出ノズル41の少なくとも燃焼部43周辺部分及び燃焼室3を囲繞する被加熱媒体6の貯留領域60と,を具備したサイクロン形燃焼装置において、前記油燃焼ガス噴出ノズル41が内径d 1 の円筒形状をなすものであり、また、当該ノズル41の燃焼部43は油燃料11を油燃焼ガス噴出口41aに向けて噴霧する油燃料噴霧器44及びその噴霧口に対向する保炎板45を具備するものであり、更に油燃焼ガス噴出口41aから保炎板45までの距離L 4 が0.5d 1 ≦L 4 ≦2d 1 に設定されていると共に、前記一次燃焼空気12が、保炎板45を12m/s以上の流速で通過するように油燃焼ガス噴出ノズル41の燃焼部43に供給されることを特徴とするものである。
【0005】
かかるサイクロン形燃焼装置にあっては、燃焼室の内周面に、複数の油燃焼ガス噴出口を開口しておくことが好ましく、更には、複数の二次燃焼空気噴出口を開口しておくことが好ましい。また、油燃焼ガス噴出ノズルが内径d1の円筒形状をなすものであり、当該ノズルの燃焼部は油燃料を油燃焼ガス噴出口に向けて噴霧する油燃料噴霧器及びその噴霧口に対向する保炎板を具備するものであり、油燃焼ガス噴出口から保炎板までの距離L4が0.5d1≦L4≦2d1に設定されている。この場合において、一次燃焼空気は、保炎板を12m/s以上の流速で通過するように、油燃焼ガス噴出ノズルの燃焼部に供給される。また、油燃焼ガス噴出ノズルが円筒形状をなすものであり、その内径d1が燃焼室の内径Dの1/6を超えないように設定されていることが好ましい。また油燃焼ガス噴出ノズルが内径d1の円筒状のものであり、燃焼室の閉塞端から油燃焼ガス噴出口までの軸線方向距離L1がd1≦L1≦3d1に設定されていることが好ましい。油燃焼ガス噴出ノズルの燃焼部への一次燃焼空気供給量が、理論燃焼空気量の0.4〜0.8倍に設定されていることが好ましい。また、二次燃焼空気噴出ノズルから燃焼室への二次燃焼空気供給量が、理論燃焼空気量の0.3倍以上であって、一次燃焼空気供給量との合計が理論燃焼空気量の1.1〜1.5倍となるように設定されており、二次燃焼空気が二次燃焼空気噴出口から20m/s以上の流速で噴出されることが好ましい。また、二次燃焼空気噴出ノズルが内径d2の円筒形状をなすものであり、二次燃焼空気噴出口が、燃焼室の径方向であって二次燃焼空気の噴出方向に直交する方向において燃焼室の内周面から中心へと所定量L5(0.25d2≦L5≦d2)偏倚した位置に配置されている。また、燃焼室の燃焼ガス出口が熱交換器を介して煙道に接続されていることが好ましい。この場合において、熱交換器が被加熱媒体の貯留領域に連通する複数の伝熱管で構成されていることが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて具体的に説明する。なお、以下の説明において、前後とは図1における左右を意味するものとする。
【0007】
本発明に係るサイクロン形燃焼装置1は、図1〜図4に示す如く、本体ケース2と火炉たる燃焼室3と油燃焼ガス噴出機構4と二次燃焼空気噴出機構5とを具備する温水ヒータに構成されている。
【0008】
本体ケース2は、図1及び図2に示す如く、箱状をなす金属板壁構造のものであり、所定量の被加熱媒体たる熱媒水61が貯溜されている。また、この熱媒水61の貯溜領域(以下「熱媒水貯留領域」という)6の上方空間は、所定圧に減圧した減圧領域7とされている。なお、減圧領域7には、通常の温水ヒータと同様に、給湯,暖房等のための温水循環路(図示せず)が配置されている。
【0009】
燃焼室3は、図1〜図3に示す如く、後端部を燃焼ガス出口31として開放した炉筒構造をなすものであり、円筒状の周壁32とその前端部を閉塞する円板状の端壁33とからなる金属板製のものである。燃焼室3は、その軸線を水平とした状態で且つ端壁33を本体ケース2の前壁21から所定量離間させた状態で、熱媒水貯溜領域6に浸漬配置されている。すなわち、周壁32及び端壁33は、その全面が熱媒水61に接触する伝熱壁に構成されており、熱媒水61との熱交換により冷却されるようになっている。なお、端壁33は、適宜のステー(図示せず)により本体ケース2の前壁21に取り付けられている。
【0010】
燃焼室3の燃焼ガス出口31は、熱交換器8を介して煙道9に連通接続されている。すなわち、熱交換器8は、図1及び図2に示す如く、燃焼室3の後方に位置して熱媒水貯溜領域6に浸漬配置されており、燃焼室3の燃焼ガス出口31に接続された角筒状の周壁81とその上下端部に貫通支持された複数本の伝熱水管82…とからなる。各伝熱水管82は上下方向に延びており、その上下端部は熱媒水貯溜領域6に開口されている。伝熱水管82…は、図2に示す如く、千鳥状に配置されており、周知のように、伝熱水管相互の間隔(ピッチ)を燃焼ガス出口31から後方に向かうに従って小さくなるように設定すると共に、後方側の伝熱水管82の外周面には適宜形状のフィン83…が取り付けられている。この熱交換器84の後端部には、金属筒で構成される煙道9が連通接続されている。燃焼室3で発生した燃焼ガス15は燃焼ガス出口31から伝熱水管82,82間を通過して煙道9に排出されるが、各伝熱水管82内の熱媒水61は燃焼ガス15との熱交換により加熱され、自然循環せしめられる。
【0011】
油燃焼ガス噴出機構4は、図1〜図3に示す如く、一対の油燃焼ガス噴出ノズル41,41と、各ノズル41の基端部に接続された一次燃焼空気供給管42,42とを具備する。
【0012】
各油燃焼ガス噴出ノズル41は、油燃焼ガス13を遅速部分や淀み部分を生じさせることなく円滑に流動させ得る断面形状の金属パイプで構成されており、この例では断面円形のものとされている。各油燃焼ガス噴出ノズル41の内径d1 は燃焼室3の内径(周壁32の内径)Dに応じて適宜に設定される。一般には、油燃焼ガス噴出ノズル41の内径d1 は、後述するサイクロン燃焼を効果的に行うために、d1 <D/6の範囲で設定しておくことが好ましい。
【0013】
両油燃焼ガス噴出ノズル41,41の先端開口部である油燃焼ガス噴出口41a,41aは、図1〜図3に示す如く、燃焼室3の閉塞端である端壁33から後方に所定量L1 離間した位置であって燃焼室3の径方向に対向する位置において、後述する油燃焼ガス13を燃焼室3の内周面に対する接線方向に噴出させうる形態で且つその噴出方向が燃焼室3の周方向において同一となる形態で、燃焼室3の内周面つまり周壁32の内周面に開口されている。各油燃焼ガス噴出ノズル41の内周面と周壁32の内周面とは、図3に示す如く、面一状に連なっている。端壁33と油燃焼ガス噴出口41aとの軸線方向距離L1 は、油燃焼ガス噴出口41aの径つまり油燃焼ガス噴出ノズル41の内径d1 に応じて設定されるが、後述するサイクロン燃焼が効果的に行われるように、特に、端板33と油燃焼ガス噴出口41aとの間に油燃焼ガス13の再循環域が形成されるように、d1 ≦L1 ≦3d1 となるように設定しておくことが好ましい。
【0014】
各ノズル41の先端部には、油燃料11を噴霧,燃焼させて、その燃焼ガスである油燃焼ガス13を油燃焼ガス噴出口41aから燃焼室3内に噴出させる燃焼部43が設けられている。燃焼部43は、図3に示す如く、油燃料11を油燃焼ガス噴出口41aに向けて噴霧する油燃料噴霧器44と、その下流側(ノズル41の先端側)において油燃料噴霧器44の噴霧口に対向して配置された保炎板45と、噴霧器44から噴霧された油燃料(以下「噴霧油滴」という)に着火させる点火電極(先端部のみ図示)46と、油燃料噴霧器44の上流側(ノズル41の基端側)に配設された複数枚の整流板47…とを具備する。油燃料噴霧器45は、油燃焼ガス噴出ノズル41の中心部に配置されたノズル構造をなすものであり、通常、平均粒径50μm程度の噴霧油滴を噴出する。油燃料噴霧器45には、油燃焼ガス噴出ノズル41の基端閉塞板41bを貫通し且つ油燃焼ガス噴出ノズル41の中心部を通過する油燃料供給管44aが接続されている。油燃料11としては、窒素成分を含有するもの、この例ではA重油が使用されている。なお、油燃料噴霧器44としては、燃焼制御が比例制御である場合、戻り燃焼方式のものが使用される。保炎板45は円環状板で構成されたもので、火炎を安定保持させる機能を発揮させるものである。この保炎板45は、油燃焼ガス噴出口41aから所定量L4 隔たった位置に配して、油燃料噴霧器44に取り付けられている。保炎板45から油燃焼ガス噴出口41aまでの距離L4 は、保炎板45による火炎安定機能を有効に発揮させるために、油燃焼ガス噴出ノズル41の内径d1 に応じて設定しておくことが好ましく、具体的には0.5d1 ≦L4 ≦2d1 の範囲で適宜に設定しておくことが好ましい。なお、油燃料噴霧器44と保炎板45との間隔は、通常、5〜7mmに設定しておくことが好ましい。整流板47…は、図3に示す如く、一次燃焼空気供給管42の接続箇所と噴霧器44との間に配して、油燃焼ガス噴出ノズル41の内周面と油燃料供給管44aの外周面との間に放射状に配置されている。整流板47…は、油燃焼ガス噴出ノズル41の軸線と平行する状態で配置されており、一次燃焼空気供給管42から燃焼部43に供給される一次燃焼空気12を整流するようになっている。なお、整流板47…を、油燃焼ガス噴出ノズル41の軸線に対して10〜40°の傾斜をなすように配置して、一次燃焼空気12を旋回流をなして燃焼部43に供給させるようにしてもよい。なお、油燃焼ガス噴出ノズル41の基端閉塞板41bには、安全対策上、火炎状態を検出する火炎検出器48が設けられている。
【0015】
各油燃焼ガス噴出ノズル41の少なくとも燃焼部43の周辺部分は、図3に示す如く、熱媒水貯溜領域6に浸漬されており、熱媒水61によって冷却されるようになっている。すなわち、燃焼部43を冷却することにより、噴霧油滴の着火による(火炎による)ノズル41の焼損を防止すると共に、火炎温度を低下させるように工夫されている。特に、火炎温度の低下により、複数の油燃焼ガス噴出口41a,41aから油燃焼ガス13を燃焼室3内に噴出させること及び後述する如く理論燃焼空気量以下の条件で還元燃焼させることとも相俟って、NOx の発生が効果的に抑制される。
【0016】
一次燃焼空気供給管42は、理論燃焼空気量より少ない量の一次燃焼空気12を燃焼部43に供給させるものである。具体的には、一次燃焼空気12の燃焼部43への供給量は、理論燃焼空気量の0.4〜0.8倍に設定しておくこと、つまり理論燃焼空気に対する空気比が0.4〜0.8となるように設定しておくことが好ましい。かかる一次燃焼空気12の供給により、燃焼部43においては、油燃料11が還元燃焼され、NOx の発生が抑制されるのである。また、一次燃焼空気12の流速は、保炎板45の下流側に一次燃焼空気12による強い再循環域が形成されるように、設定しておくことが好ましい。具体的には、一次燃焼空気12は、保炎板45を12m/s以上の流速で通過するように、燃焼部43に供給されることが好ましい。
【0017】
二次燃焼空気噴出機構5は、図1、図2及び図4に示す如く、燃焼室3の周壁32に一対の二次燃焼空気噴出ノズル51,51を取り付けて、油燃焼ガス13の噴出領域より下流側(燃焼ガス出口側たる後方側)において二次燃焼空気14を燃焼室3に噴出させるように構成されている。各二次燃焼空気噴出ノズル51は、断面円形の金属パイプで構成されている。両ノズル51,51の先端開口部である二次燃焼空気噴出口51a,51aは、図1に示す如く、油燃焼ガス噴出口41aから後方に所定量L2 離間した位置であって燃焼室3の径方向に対向する位置において、二次燃焼空気14を燃焼室3の内周面に対する接線方向に噴出させうる形態で且つその噴出方向が燃焼室3の周方向において油燃焼ガス噴出方向と同一となる形態で、燃焼室3の内周面つまり周壁32の内周面に開口されている。二次燃焼空気噴出口51aの軸線方向位置は、油燃焼ガス噴出口41aの下流側であればよく、L2 >0であればよい。また、各二次燃焼空気噴出口51aは、図4に示す如く、燃焼室3の径方向であって二次燃焼空気14の噴出方向に直交する方向において燃焼室3の内周面から中心へと所定量L5 偏倚した位置に配置されている。この偏倚量L5 は、後述するように油燃焼ガス13のサイクロン流れと二次燃焼空気14のサイクロン流れとが良好に混合されるように、二次燃焼空気噴出口51aの口径つまり二次燃焼空気噴出ノズル51の内径d2 に応じて設定される。具体的には、0.25d2 ≦L5 ≦d2 に設定しておくことが好ましい。なお、二次燃焼空気噴出ノズル51の内径d2 は、一般に、油燃焼ガス噴出ノズル41の内径d1 と略同一に設定される。また、燃焼室3の軸線方向における二次燃焼空気噴出口51aと燃焼ガス出口31との距離L3 は、後述するサイクロン燃焼が良好に行われるように、燃焼室3の内径Dに応じて適宜に設定しておくことが好ましい。
【0018】
全二次燃焼空気噴出ノズル51,51から燃焼室3への二次燃焼空気供給量は、全一次燃焼空気供給管42,42から燃焼室3に供給される空気量との合計が理論燃焼空気量の1.1〜1.5倍となることを条件として、理論燃焼空気量の0.3倍以上に設定される。また、各二次燃焼空気噴出口51aから噴出される二次燃焼空気14の流速は、油燃焼ガス13の噴出速度より大きく設定しておくことが好ましく、具体的には、20m/s以上となるように設定しておくことが好ましい。二次燃焼空気14の噴出速度が20m/s未満の場合には、油燃焼ガス13との混合等によるサイクロン燃焼作用が良好に行われないからである。なお、油燃焼ガス噴出口41aはNOx の生成抑制効果を発揮させる上で、複数設けておくことが好ましいが、二次燃焼空気噴出口51aについては一つのみでもよい。
【0019】
以上のように構成されたサイクロン形燃焼装置1によれば、次のような2段燃焼且つサイクロン燃焼が行われ、高負荷,低NOx 燃焼を実現することができる。
【0020】
すなわち、各油燃焼ガス噴出ノズル41の燃焼部43においては、油燃料噴霧器44から噴霧された油燃料(噴霧油滴)11が着火,燃焼され、その燃焼ガスたる油燃焼ガス13が各油燃焼ガス噴出口51aから燃焼室3に供給される。このとき、火炎は、保炎板45による保炎機能により、その下流側に燃焼ガス13の強い再循環が形成されることとも相俟って、安定に保持される。また、燃焼部43の周辺部分が熱媒水61によって冷却されることから、火炎温度が低下し、理論燃焼空気量以下の還元燃焼であることとも相俟って、NOx の生成が効果的に抑制される。また、燃焼部43に供給される一次燃焼空気量が、理論燃焼空気量より少ないため、還元物質を含んだ中間生成物の生成,余剰の噴霧油滴11の気化が促進されつつ、良好な燃焼が行われる。
【0021】
そして、噴霧油滴11の燃焼により発生する燃焼ガスつまり油燃焼ガス13は、各油燃焼ガス噴出口41aから燃焼室3の内周面の接線方向に高速で噴出され、燃焼室3内にその内周面に沿う旋回流つまりサイクロン流れを形成しつつ燃焼ガス出口31へと流動する。このとき、油燃焼ガス13の一部13aは端壁33に向かって流れ、油燃焼ガス噴出口41aの前方側(端壁33側)に再循環域を形成する。この領域においては、供給空気に相当する燃焼は行われるが、燃焼の中間生成物も多く生成される。特に、CO,H2 ,CHラジカル等の還元物質が生成される。
【0022】
同時に、各二次燃焼空気噴出口51aから二次燃焼空気14が噴出されて、これが油燃焼ガス13のサイクロン流れ中に供給される。このとき、二次燃焼空気14も油燃焼ガス13と同様のサイクロン流れをなして、燃焼ガス出口31へと向かう。その結果、油燃焼ガス13と二次燃焼空気14とがサイクロン流れを形成しつつ混合され、生成したNOx を還元,抑制しつつ、油燃焼ガス13を二次燃焼(2段燃焼)させる。その燃焼ガス(二次燃焼ガス)15は、燃焼ガス出口31から熱交換器8を通過して煙道9へと排出される。この間においては、燃焼ガス温度が低く、問題となるようなNOx の生成はない。このように、NOx 生成の大きな割合を占める空気中の窒素成分によるサーマルNOx は、2段燃焼によるピーク燃焼温度の抑制ないし熱媒水61による吸熱作用により、燃焼温度が抑制され、これによってNOx の生成が抑制される。また、サイクロン流れのため、燃焼室3内の中心部にはその外周部分のサイクロン流れによる負圧領域が形成されて、燃焼ガス15の一部15aは上流側に戻される。すなわち、上流側に戻される燃焼ガス15aによる自己排ガス再循環作用が生じ、この作用によりNOx 生成がより効果的に抑制される。
【0023】
このようにして、サイクロン形燃焼装置1によれば、窒素成分含有の油燃料であるA重油を使用した高負荷燃焼にあっても、NOx の生成が極めて効果的に抑制される。例えば、A重油には一般に0.02〜0.07wt%の窒素成分が含まれているが、かかるA重油を燃焼させた場合、その燃焼条件等によって多少異なるものの、一般的な燃焼によっては、含有窒素分の約80%がNOx に変換され、空気比1.3で約10ppml/0.01N分程度のフューエルNOx が生成される。しかし、上記した如く2段燃焼とサイクロン燃焼とを組み合わせた燃焼方式によれば、A重油を燃焼させた場合にも、NOx の生成を大幅に低減することができる。しかも、一般に、2段燃焼を行う場合において、二次燃焼部は下流側の方がNOx 低減効果は大きいとされるが、サイクロン流れで軸線方向の一次燃焼部に近接した箇所において二次燃焼空気14を供給できるため、燃焼装置全体の小型化を容易に図ることができる。
【0024】
以上のように、上記構成をなすサイクロン形燃焼装置1によれば、▲1▼2段燃焼による一次燃焼領域での還元物質の生成によりNOx が還元されること、▲2▼2段燃焼における最高燃焼温度が低減されることによりNOx が抑制されること、▲3▼NOx の生成が大きい燃焼開始部(燃焼部43)をノズル41内に配して、その燃焼部43を熱媒水61により冷却させるようにしたから、▲2▼の火炎温度低減と相俟って、NOx の生成が極めて効果的に抑制されること、及び▲4▼サイクロン流れによる燃焼ガス15aの自己循環作用によりNOx の生成が抑制されることから、窒素成分を含有する油燃料(A重油)11を使用した高負荷燃焼で低NOx ,低CO(完全燃焼)燃焼を達成することができるのである。
【0025】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において、適宜に改良,変更することができる。
【0026】
本発明に係るサイクロン形燃焼装置は、特に、小容量の温水ヒータ,ボイラ等に適用して好適なものであり、例えば、上記した温水ヒータの他、図5に示す如き煙管式ボイラに適用することができる。図5に示すサイクロン形燃焼装置10は、以下の点を除いて、前記したサイクロン形燃焼装置1と同一構造をなすものであり、これと同一構成をなす部分については、図5に図1〜図4と同一符号を付することにより、その説明を省略する。
【0027】
すなわち、本体ケース20は、円筒状をなす金属板壁構造のものであり、内部には被加熱媒体たる缶水62の貯溜領域(以下「缶水貯溜領域」という)60が形成されている。缶水貯溜領域60の上部空間は蒸気発生領域71とされている。燃焼室30は、前記燃焼室3と同様構造をなすものであり、前端部を閉塞された円筒状の周壁32を有し、その後端部を燃焼ガス出口31とした金属板製のものである。すなわち、燃焼室30は、その軸線を水平とした状態で缶水貯溜領域60に浸漬配置されており、その周壁32及び端壁33は缶水62との熱交換により冷却される伝熱壁に構成されている。また、燃焼室30の周壁32には、前記したと同様構成をなす各一対の油燃焼ガス噴出ノズル41,41及び二次燃焼空気噴出ノズル51,51が取り付けられている。燃焼室30の燃焼ガス出口31と煙道90との間に配設される熱交換器80は、燃焼室30の側方に位置して前後方向に水平に延びる複数の煙管84…を缶水貯溜領域60に浸漬配置し、これらの煙管84…の後端部を連通室85を介して燃焼ガス出口31に連通接続すると共に当該煙管84…の前端部を煙道90に連通させてなる。燃焼ガス15は、燃焼ガス出口31から煙管84…を経て煙道90に排出される間において、被加熱媒体である缶水62との間で熱交換されるように構成されている。
【0028】
また、複数の油燃焼ガス噴出口41a…を燃焼室3,30の内周面に開口させておく場合、それらの油燃焼ガス噴出口41a…を、上記した如く、燃焼室3,30の内周方向に並列させておく他、燃焼室3,30の軸線方向に並列させておいてもよい。すなわち、油燃焼ガス噴出口41a及び二次燃焼空気噴出口51aの数,配置等の油燃焼ガス噴出条件は、燃焼室3,30の内径等の燃焼条件に応じて、上記した良好なサイクロン燃焼を確保できる範囲において任意に設定することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明から容易に理解されるように、本発明のサイクロン形燃焼装置は、窒素成分を含有するA重油等の油燃料を使用した高負荷,低NOx 燃焼を安定して行なうことができるものであり、しかも装置の小型化を実現することができ、その実用的価値極めて大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るサイクロン形燃焼装置の一例を示す縦断側面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う横断平面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う縦断背面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿う縦断正面図である。
【図5】本発明に係るサイクロン形燃焼装置の変形例を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
1,10…サイクロン形燃焼装置、2,20…ケース本体、3,30…燃焼室、4…油燃焼ガス噴出機構、5…二次燃焼空気噴出機構、6…熱媒水貯溜領域(被加熱媒体の貯溜領域)、8,80…熱交換器、9,90…煙道、11…油燃料、12…一次燃焼空気、13…油燃焼ガス、14…二次燃焼空気、15…燃焼ガス、31…燃焼ガス出口、32…周壁、33…端壁、41…油燃焼ガス噴出ノズル、41a…油燃焼ガス噴出口、51…二次燃焼空気噴出ノズル、51a…二次燃焼空気噴出口、60…缶水貯溜領域(被加熱媒体の貯溜領域)、61…熱媒水(被加熱媒体)、62…缶水(被加熱媒体)。

Claims (10)

  1. 一端部を閉塞すると共に他端部に燃焼ガス出口を設けた断面円形の燃焼室と,燃焼室の内周面に開口する油燃焼ガス噴出口と噴霧した油燃料を燃焼させる燃焼部とを備え、前記燃焼部に理論燃焼空気量未満の一次燃焼空気を供給しつつ油燃料を燃焼させると共に、発生した油燃焼ガスを前記油燃焼ガス噴出口から燃焼室内にその内周面の接線方向に噴出させる油燃焼ガス噴出ノズルと,前記油燃焼ガス噴出ノズルからの油燃焼ガス噴出領域より燃焼ガス出口側の領域において、燃焼室の内周面に開口する二次燃焼空気噴出口から燃焼室内にその内周面の接線方向に二次燃焼空気を噴出させる二次燃焼空気噴出ノズルと,前記油燃焼ガス噴出ノズルの少なくとも燃焼部周辺部分及び燃焼室を囲繞する被加熱媒体の貯留領域と,を具備したサイクロン形燃焼装置において、前記油燃焼ガス噴出ノズルが内径d 1 の円筒形状をなすものであり、また、当該ノズルの燃焼部は油燃料を油燃焼ガス噴出口に向けて噴霧する油燃料噴霧器及びその噴霧口に対向する保炎板を具備するものであり、更に油燃焼ガス噴出口から保炎板までの距離L 4 が0.5d 1 ≦L 4 ≦2d 1 に設定されていると共に、前記一次燃焼空気が、保炎板を12m/s以上の流速で通過するように油燃焼ガス噴出ノズルの燃焼部に供給されることを特徴とするサイクロン形燃焼装置。
  2. 前記二次燃焼空気噴出ノズルが内径d 2 の円筒形状をなすものであり、また、二次燃焼空気噴出口が、燃焼室の径方向であって二次燃焼空気の噴出方向に直交する方向において燃焼室の内周面から中心へと所定量L 5 (但し、L 5 は、0.25d 2 ≦L 5 ≦d 2 の範囲内)偏倚した位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のサイクロン形燃焼装置。
  3. 燃焼室の内周面に、複数の油燃焼ガス噴出口が開口されている請求項1又は請求項2に記載のサイクロン形燃焼装置。
  4. 燃焼室の内周面に、複数の二次燃焼空気噴出口が開口されている請求項1又は請求項2に記載するサイクロン形燃焼装置。
  5. 油燃焼ガス噴出ノズルの内径d 1 が燃焼室の内径Dの1/6を超えないように設定されている請求項1又は請求項2に記載のサイクロン形燃焼装置。
  6. 燃焼室の閉塞端から油燃焼ガス噴出口までの軸線方向距離L1がd1≦L1≦3d1に設定されている請求項1又は請求項2に記載のサイクロン形燃焼装置。
  7. 油燃焼ガス噴出ノズルの燃焼部への一次燃焼空気供給量が、理論燃焼空気量の0.4〜0.8倍に設定されている請求項1又は請求項2に記載のサイクロン形燃焼装置。
  8. 二次燃焼空気噴出ノズルから燃焼室への二次燃焼空気供給量が、理論燃焼空気量の0.3倍以上であって、一次燃焼空気供給量との合計が理論燃焼空気量の1.1〜1.5倍となるように設定されており、二次燃焼空気が二次燃焼空気噴出口から20m/s以上の流速で噴出される請求項1又は請求項2に記載のサイクロン形燃焼装置。
  9. 燃焼室の燃焼ガス出口が熱交換器を介して煙道に接続されている請求項1又は請求項2に記載のサイクロン形燃焼装置。
  10. 熱交換器が被加熱媒体の貯留領域に連通する複数の伝熱管で構成されている請求項9に記載のサイクロン形燃焼装置。
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