JP3823145B2 - 高磁場用照明装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁界強度の比較的大きい磁場中で使用される高磁場用照明装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に自然界における磁場は磁束密度が0.1mT(1G)以下であるが、実験室や工場内では磁束密度が30G以上となる磁場が作用する環境もある。たとえば、核融合の研究に際しては、高温プラズマを閉じ込めて臨界プラズマ条件やLawson条件を満足させる必要があり、高温プラズマを閉じ込める方法としては磁気閉じ込め方式がある。このような磁気閉じ込め方式を実現するには、超伝導コイルを用いて強い磁場を形成することが必要になるから、漏れ磁束によって人間の入ることのできる空間においても磁束密度が30G以上となるような高磁場の環境が生じることになる。
【0003】
上述のような強い磁場の作用する環境下においても人が入る空間であれば周囲状況を確認するためなどに照明を必要とし、一般には電気的光源を用いた照明が行なわれる。つまり、高磁場環境においても電気的光源を安定に点灯させることが要求される。
ところで、自然界に存在する磁場よりも強い磁場中で電気的光源を点灯させているものとしては、特開昭56−97906号公報、特開昭56−97964号公報に記載されているように、商用電源周波数のような比較的低周波数の交番電圧が印加されることによって点灯する低圧放電ランプの放電路に沿って磁石を配置するものが知られている。上記公報に記載されている磁石は放電路に交差する方向の静磁場を形成するものであり、上記公報には電離度の高い暗部を固定してちらつきを抑制し、また低温環境での始動特性を改善するなどの効果が記載されている。このような、静磁場による蛍光ランプの特性改善の効果は、「和田成伍他:蛍光ランプへの磁場印加効果とその応用性,照明学会全国大会(昭和60年),pp215」にも記載されている。
【0004】
また、高圧放電ランプ内に水平方向に形成されるアークの中央部が放電ランプ内部の対流による浮力で曲がるのを防止するために、浮力を打ち消す向きにローレンツ力が作用するように磁場を形成した構成が記載されている。この磁場はヘルムホルツコイルにより形成され、高圧放電ランプはヘルムホルツコイルの間に配置される。さらに、ヘルムホイツコイルへの通電電流は高圧放電ランプに印加する電圧の極性に同期させて交番されている。この構成では、磁場により生じるローレンツ力が高圧放電ランプの管内部に生じる浮力と釣り合うように、高圧放電ランプの内部の浮力の向きおよび大きさの変化と磁場の向きおよび強さの変化とを対応させることになる。しかして、アークの曲がりを抑制すれば、ランプ電圧の上昇を抑制することができ、管壁の局所的な過熱による破損も防止することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、交番電圧が印加されることにより点灯している低圧放電ランプに対して放電路に交差する方向に静磁場を作用させる前者の構成では、アークを安定させることができ、ちらつきを少なくすることができる。また、後者の構成では高圧放電ランプに点灯電圧の交番波形に同期した交番磁場を作用させることによって、アークが曲がるのを防止することができる。
【0006】
しかしながら、これらの構成は磁場を積極的に利用してランプの点灯状態を改善しようとするものであり、上述したような実験室や工場内などの高磁場環境では磁場の強さや向きをランプに適合させるのは難しいから、ランプの点灯状態が不安定になったりランプや点灯装置の寿命に影響するという問題が生じる。とくに、商用電源により放電ランプを点灯させる場合には磁場とアークとの相互作用によってアークに作用するローレンツ力の向きや大きさが時間ともに変化するからアークの移動によってちらつきが生じたり、アークが曲がることによってランプ電圧が上昇したり、管壁の局所的過熱が生じたりすることになる。ランプ電圧が上昇すればランプに給電する点灯装置へのストレスが大きくなって点灯装置が破損しやすくなるなどの問題が生じる。また、白熱電球であってもフィラメントにローレンツ力が作用してフィラメントが振動し、フィラメントにストレスがかかることによって寿命が短くなるという問題が生じる。
【0007】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、高磁場中においてもランプを安定的に点灯させることができかつ磁場の影響によるストレスのかからない高磁場用照明装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
求項1の発明は、光源が30G以上の磁場内に配置される照明装置であって、外部信号に応じてランプへの出力を制御する制御部を備える点灯装置と、上記ランプへの磁場の作用によるランプ電力の変化に応じた外部信号を制御部に与える電力検出部とを備え、電力検出部はランプへの出力電力を検出し、制御部は電力検出部により検出された出力電力をほぼ一定に保つように出力制御することを特徴とする。
【0022】
の構成によれば、磁場の作用によるランプ電力の変化に応じた外部信号を電力検出部より発生し、制御部に上記外部信号を入力することによってランプへの出力を制御するから、磁場の影響によるランプ電力の変化を抑制することができる。つまり、磁場の影響によるランプ電力の増加を抑制するように制御すれば、ランプ電力の増加に伴うランプの寿命の低下や、ランプへの供給電力の増加に伴う点灯装置へのストレスを軽減することができる。
【0023】
しかも、ランプへの出力電力をほぼ一定に保つから、磁場の作用によるランプ電力の増加がなく磁場の影響によるランプへのストレスが防止される。つまり、ランプの寿命低下が抑制される。
【0024】
請求項2の発明は、光源が30G以上の磁場内に配置される照明装置であって、外部信号に応じてランプへの出力を制御する制御部を備える点灯装置と、上記ランプへの磁場の作用によるランプ電力の変化に応じた外部信号を制御部に与える電力検出部とを備え、電力検出部は入力電力を検出し、制御部は電力検出部により検出された入力電力をほぼ一定に保つように出力制御することを特徴とする。
この構成によれば、磁場の作用によるランプ電力の変化に応じた外部信号を電力検出部より発生し、制御部に上記外部信号を入力することによってランプへの出力を制御するから、磁場の影響によるランプ電力の変化を抑制することができる。つまり、磁場の影響によるランプ電力の増加を抑制するように制御すれば、ランプ電力の増加に伴うランプの寿命の低下や、ランプへの供給電力の増加に伴う点灯装置へのストレスを軽減することができる。しかも、点灯装置への入力電力をほぼ一定に保つから、磁場の作用による点灯装置への入力電力の増加を抑制して点灯装置へのストレスが防止される。つまり、点灯装置の劣化や破壊が防止され、しかも、点灯装置への入力電力の増加がなければランプへの出力電力の増加もないからランプへのストレスも軽減されることになる。
【0025】
請求項3の発明は、光源が30G以上の磁場内に配置される照明装置であって、外部信号に応じてランプへの出力を制御する制御部を備える点灯装置と、少なくとも上記ランプの周囲磁界を検出する磁気センサと、磁気センサにより検出した磁界強度が通常環境よりも大きくなると出力電力を通常環境での出力電力以下とする外部信号を制御部に与える外部信号発生部とを備えることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、磁気センサを用いて少なくともランプの周囲磁界を検出し、周囲磁界に応じた電力をランプに供給するのである。ここで、ランプが磁界中に存在するときのランプへの出力電力を、通常環境での出力電力以下としているから、磁場中に配置されたランプのランプ電力を通常環境と等しくするか、通常環境よりも小さくすることになり、結果的に磁場中でのランプ電力の増加を抑制することができる。つまり、ランプへのストレスが軽減されるとともに点灯装置へのストレスも軽減される。
【0027】
請求項4の発明は、光源としての放電ランプが30G以上の磁場内に配置される照明装置であって、放電ランプの入力と出力との少なくとも一方の検出値を基準レベルと比較することにより放電ランプの異常を検出する異常検出手段と、異常検出手段により放電ランプの異常が検出されると放電ランプへの出力電力を低減させる方向に出力制御される点灯装置とを備え、少なくとも放電ランプの周囲磁界を検出する磁気センサと、磁気センサにより検出した磁界強度に基づいて通常環境からのランプ電圧の上昇分を相殺するように基準レベルを設定する基準レベル設定部とを備えることを特徴とする。
【0028】
この構成では、放電ランプの入力ないし出力を基準レベルと比較し、放電ランプの異常を検出すると放電ランプへの出力電力を低減させる方向に出力制御するのであって、たとえば寿命末期時などに生じるエミレス状態(半波放電状態)を検出して出力を低減させれば、エミレス状態での過大電流による点灯装置の破壊を防止することができる。とくに、磁場中では通常環境よりもランプ電力が増加するから、異常に対する保護機能を持つことによって点灯装置の破壊を防止する機能は必須になる。ここに、放電ランプへの出力電力を低減させるというのは、放電ランプや点灯装置が破壊されない程度に出力電力を小さくすることのほか、放電ランプへの出力の停止や放電ランプへの間欠的な給電を含み、とくに間欠的に給電すれば放電ランプの点滅によって異常を報知する機能も持たせることができる。
【0029】
しかも、少なくとも放電ランプの周囲磁界を磁気センサにより検出し、磁場の影響によるランプ電圧の上昇分を相殺するように基準レベルを設定しているから、放電ランプが正常であればランプ電圧が上昇しても基準レベルとの相対差はほとんど変化せず、異常時にのみランプ電圧と基準レベルとのレベル差が生じて異常として検出することが可能になる。つまり、ランプ電圧の上昇が磁場の影響による正常なものかランプの寿命末期などの異常なものかを容易に識別することができる。
【0033】
請求項5の発明は、30G以上の磁場内に配置される複数灯のランプと、各ランプに給電する複数の点灯装置と、各ランプの周囲磁界を検出する磁界検出手段と、磁界検出手段により検出した周囲磁界の影響を軽減するように点灯装置から各ランプへの出力を集中制御する管理装置とを備えることを特徴とする。
【0034】
この構成では磁場中に配置される複数のランプを管理装置により集中管理することができ、しかも管理装置は各ランプの周囲磁界の影響を軽減するように点灯装置からランプへの出力を制御するのであり、各ランプの周囲磁界は磁界検出手段により検出され、管理装置では検出された磁界に基づいて点灯装置を制御するから、多数のランプが磁場中に配置されている場合でも、各ランプへの出力を適正に制御することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
一般に、電気的照明を行なうための構成要素は、光源となるランプと、ランプへの給電を制御する点灯装置と、ランプから放射される光の配光を制御する器具本体とであって、点灯装置は商用電源あるいは電池を電源としている。また、一般の電気的照明装置では、ランプとして放電ランプと白熱電球とが主に用いられる。放電ランプには、蛍光ランプのような低圧放電ランプと、水銀ランプ、ナトリウムランプ、メタルハライドランプなどの高圧放電ランプ(HIDランプ)とがある。
【0036】
ところで、放電ランプではアークを形成することによって光出力を得るから、磁場によるアークへの影響が問題になる。つまり、磁場中でアークが生じると磁場とアークとの相互作用によってアークにローレンツ力が作用しアークが変形する。アークが変形すればランプ電圧が上昇するからランプ電力が増加してランプが過熱し、ランプが破損するおそれが生じる。また、アークが変形することによってアークが管壁に近づくからイオンが消滅しやすくなり、アークを維持するための点灯維持電圧が上昇するから立ち消えしやすくなる。さらに、商用電源で放電ランプを点灯させるときには、放電ランプへの印加電圧の極性が比較的低い周波数で交番するから、ランプの動作中に再点孤を繰り返しており、上述のように点灯維持電圧が上昇すれば再点孤電圧も上昇するから、消費電力が増加するとともにちらつきが生じやすくなる。加えて、ランプ電圧が上昇したときにランプ電流を維持するとすればランプ電力が増加するから、点灯装置への入力電力が増加し、結果的に点灯装置へのストレスが増大することになり、場合によって点灯装置が破損することもある。
【0037】
一方、白熱電球は、フィラメントへの通電によりフィラメントを白熱させることによって光出力を得るから、磁場によるフィラメントへの影響が問題になる。つまり、フィラメントに流れる電流と磁場との相互作用によりフィラメントにローレンツ力が作用することになる。ここで、ローレンツ力によってフィラメントが多少変形しても発光中心が若干移動するだけで、ランプ電圧や光出力への影響はほとんどないのであるが、商用電源によって白熱電球を点灯させるとフィラメントへの通電の向きが時間経過とともに変化するから、ローレンツ力によってフィラメントが強制振動を受けることになる。このような強制振動を受けるとフィラメントが振動して機械的ストレスを受けることになり、フィラメントが断線しやすくなって白熱電球の寿命が短くなる。
【0038】
上述したように、放電ランプと白熱電球とでは、磁場の影響によって生じる現象が異なるから、以下ではそれぞれの場合について説明する。まず、低圧放電ランプとしての蛍光ランプ1aを用いる場合について説明する。図1に示すように、蛍光ランプ1aは磁気発生源Xにより形成される磁場中に配置し、点灯装置2はチョークコイルのようないわゆる銅鉄型の安定器2aと電源装置2bとにより構成して磁場の影響を受けない場所に配置してある。電源装置2bは交番電圧を出力するとともに出力周波数が400Hz以上となるように構成される。また、安定器2aは電源装置2bの出力周波数に合わせて構成されている。
【0039】
この構成によれば、蛍光ランプ1aの点灯時に形成されるアークには磁場との相互作用であるローレンツ力が作用するからアークが振動しようとするが、上述のように蛍光ランプ1aへの印加電圧を400Hz以上で交番させていることによって(以下では、ランプへの印加電圧の交番周波数を点灯周波数という)、アークはローレンツ力の変化に追随して振動することができず、結果的にアークの振動を抑制することができる。ここにおいて、上述したように蛍光ランプ1aの点灯状態はアークに作用するローレンツ力に影響されるから磁場の向きに対する蛍光ランプ1aの配置によって点灯状態への影響が異なるのであるが、上述の条件は、点灯状態が磁場の影響をもっとも強く受けるように蛍光ランプ1aが配置されている場合でも蛍光ランプ1aが安定に点灯するように設定されている。また、点灯周波数が400Hz以上である交番電圧を印加して蛍光ランプ1aを点灯させれば、上述のようにアークの振動が抑制されるから点灯維持電圧の上昇が抑制されるとともにちらつきが少なくなり、しかも点灯中に再点孤を繰り返さないから立ち消えしにくくなる。
【0040】
ところで、点灯装置2からの騒音の発生を防止するために、電源装置2bの出力周波数は可聴周波数よりも高く設定するのが望ましく、20kHz以上に設定するのが望ましい。このように、20kHz以上の点灯周波数に設定する場合には、高周波点灯用の蛍光ランプ1aを用いるのが効率の上で望ましい。つまり、高周波点灯用の蛍光ランプ1aは高周波点灯において高効率となるように設計されているものであり、点灯周波数が20kHz以上となる場合にはこの種の蛍光ランプ1aを用いることにより効率が一層高くなる。
【0041】
点灯装置2は、点灯周波数が400Hz程度であれば上述のように出力周波数が400Hz程度である電源装置2bと、銅鉄型の安定器2aとにより構成することができるが、点灯周波数が20kHz以上となるときは、電源装置2bには直流電圧(交流電圧を整流した脈流電圧を含む)を出力するものを用い、安定器2aとして電子式(インバータ式)のものを用いる。
【0042】
なお、本例においても蛍光ランプ1aに作用する磁界強度が大きくなればローレンツ力が大きくなることによってアークの振幅が目立つようになり、アークが変形することによってランプ電圧が上昇することになる。また、アークが水平になるように蛍光ランプ1aを配置している場合にはアークに浮力が作用して中央部が上方向に曲がることになる。このように磁場の大きさやアークに作用する浮力によってアークが変形するとはいうものの、上述の構成を採用することによって、磁束密度が1000G以上となる磁場中でも蛍光ランプ1aを安定に点灯させることができる。
【0043】
以下に蛍光ランプ1aの点灯条件を変えたときの動作特性を示す。ただし、以下の説明では図1に示した構成例と同様に、点灯装置2は磁場の影響のない場所に配置してあり、光束は蛍光ランプ1aに対向配置した照度計により測定し、ランプ電圧、ランプ電流は磁場の影響のない場所で測定している。また、ランプ電力はランプ電圧とランプ電流との積として求めている。
【0044】
図2は36Wのツイン蛍光ランプ(品番:FPL36X)を50Hzで点灯させた場合(安定器は銅鉄型、電源装置を用いず商用電源から給電)を示し、(a)は磁束密度とランプ電力比および光束比との関係を示し(実線がランプ電力比、破線が光束比を示す。以下の図でも同様)、同図(b)は磁束密度とランプ電圧比との関係を示している。この条件では、422Gまではアークに異常が認められず、555Gではちらつきが発生し、713Gでは立ち消えした。また、544Gでは始動するが、788Gでは始動しなかった。図2(a)によれば、磁束密度が400Gを越えるとランプ電力比や光束比が減少し始めることがわかる。また、図2(b)によれば350G程度でランプ電圧が30%程度上昇することがわかる。したがって、50Hzでの点灯では400G程度が使用限度になる。
【0045】
図3は同蛍光ランプを40kHzで点灯させた場合の磁束密度と入力電力比および光束比との関係を示している。ここに、入力電力比は点灯装置2の入力電力に関するものであるがランプ電力比とほぼ一致する。しかして、図3より明らかなように、ランプ電力は磁束密度の増加とともに増加するが、点灯装置2にランプ電力の150%の上昇を許容するものを用いれば2000G以上でも使用可能であると言える。
【0046】
さらに、蛍光ランプ1aとしてラピッドスタート式の直管型のもの(品番:FLR40SW/M−X・36)を用い、400Hzで点灯させたときには、1327Gまでアークに異常はなく、2430Gにおいて立ち消えが生じた。ただし、728Gまでは光束に増加が見られたが、1327Gでは光束が減少した。蛍光ランプ1aとして高周波点灯用のもの(品番:FHF32EX−N)を用いるとともに、40kHzで点灯させた場合は1817Gまでアークに異常は認められなかった。また、1817Gでもランプ電力の増加は40%程度であった。
【0047】
以上の測定結果により、400Hz以上の交番電圧を蛍光ランプ1aに印加すれば、蛍光ランプ1aの種類にかかわらず1000G以上の磁場内で安定的に点灯させることができ、商用電源(50Hz)で点灯させる場合に比較して磁場内での点灯特性が向上することが確認された。
次に、高圧放電ランプ(HIDランプ)を磁場中に配置する例を説明する。この構成は上述の構成例における蛍光ランプ1aをHIDランプに置き換えたものになる。電源装置2bには出力周波数が400Hz以上で出力電圧が交番するものを用いている。この構成でも蛍光ランプ1bの場合と類似した傾向が得られ、低周波(たとえば50Hz)で点灯させる場合に比較すると磁場中での立ち消えやちらつきが低減する。ただし、後述するように、蛍光ランプ1aでは磁束密度が1000G以上の磁場中でも安定に点灯させることが可能であったのに対して、通常のHIDランプでは200G程度(仕様によっては磁束密度のさらに高い磁場中でも使用できるものもある)が使用限界になっている。また、蛍光ランプ1bでは20kHz以上の周波数で点灯可能であったが、HIDランプでは数kHz〜百数十kHzの周波数領域で音響共鳴現象が生じることが知られており、この現象が生じると立ち消えしたり発光管が爆発したりするおそれがあるから、点灯装置2の出力周波数は音響共鳴現象が生じる周波数(音響共鳴周波数という)よりも低く設定してある。
【0048】
以下にHIDランプの点灯条件を変えたときの動作特性を示す。また、蛍光ランプ1aと同様に、点灯装置2は磁場の影響のない場所に配置してあり、光束はHIDランプに対向配置した照度計により測定し、ランプ電圧、ランプ電流は磁場の影響のない場所で測定している。また、ランプ電力はランプ電圧とランプ電流との積として求めている。なお、蛍光ランプ1aではランプ電圧が50%程度上昇しても使用可能であるが、HIDランプではランプ電圧は20%程度上昇すれば使用限界となる。
【0049】
図4は360Wの高圧ナトリウムランプ(品番:NH360L)をアークが垂直方向に形成されるように配置し、50Hzで点灯させた場合(安定器は銅鉄型、電源装置を用いず商用電源から給電)を示し、(a)は磁束密度とランプ電力比および光束比との関係を示し、同図(b)は磁束密度とランプ電圧比との関係を示している。この条件では、20Gまではアークに異常が認められず、34.4Gではちらつきが発生し、164.4Gでは立ち消えした。図4(a)によれば、磁束密度が120Gを越えるとランプ電力比が大きく減少し、40Gを越えると光束比が大きく減少することがわかる。また、図4(b)によれば120Gを越えるとランプ電圧が大きく上昇することがわかる。したがって、50Hzでの点灯では40G程度が使用限度になる。
【0050】
図5は同ランプをアークが水平方向に形成されるように配置し、50Hzで点灯させた場合を示している。この条件では24.4Gにおいて若干のちらつきが発生し、166.7Gにおいて立ち消えしている。また、315.6Gでは始動できなかった。ランプ電力比、光束比、ランプ電圧はアークを垂直方向に形成した場合と同様の傾向を示している。
図6は400Wのメタルハライドランプ(品番:M400L/BU−5C)を垂直方向にアークが形成されるように配置した場合、図7は同ランプを水平方向にアークが形成されるように配置した場合を示し、点灯周波数は50Hzに設定している。両者ともに35.6Gまではアークに異常が認められず、垂直配置では122.2Gで立ち消えし、水平配置では174.4Gで立ち消えした。つまり、図6、図7によれば、メタルハライドランプを商用電源(50Hz)での点灯では70G程度が使用上限となる。
【0051】
150Wの小型高演色型メタルハライドランプ(品番:HQI−TS150W/NDL)を50Hzで点灯させた場合には、図8のような結果が得られた。この場合、31.1Gまではアークに異常がなく102.2Gでは立ち消えした。図8によれば、このランプも70G程度が使用上限となることがわかる。
図9には250Wのショートアークメタルハライドランプ(電極間距離の短いメタルハライドランプ)を120Hzで点灯させた場合の動作特性を示す。点灯波形は交番する矩形波状とした。ここに、電源装置2bには直流電源を用い安定器2aには電子安定器を用いている。この場合、143.3Gまではアークに異常がなく、160Gではアークに揺れが生じはじめた。また、566.7Gでは立ち消えした。図9により明らかなように、380G程度までは使用可能であることがわかる。これは、点灯周波数を商用電源よりも高く設定し、かつアークが他のメタルハライドランプよりも短いことに起因していると考えられる。
【0052】
上述のHIDランプのほか、100Wのメタルハライドランプ(品番:M100L/BU)、100Wのバラストレス水銀灯(品番:BH200−220V−100W−C)、100Wの透明形水銀灯(品番:H100)について、それぞれ50Hzと400Hzとにおける動作状態を確認した。その結果、50Hzではそれぞれ異常なく点灯できたのは64G、0G、0Gであり、82G、64G、64Gでアークが膨らんだり、電極スポットが不安定になったりした。また、それぞれ273G、229G、229Gで立ち消えした。これに対して、400Hzで点灯させた場合には、それぞれ82G、192G、82Gまで異常がなく、192G、273G、192Gでアークに曲がりや揺れが生じ、それぞれ796G、2093G、487Gで立ち消えした。
【0053】
以上の結果から、磁場内では少なくとも50Hzで点灯させる場合よりも400Hzで点灯させるほうが安定的に点灯し、また50Hzでは70G程度が使用上限となっていたのに対して、400HzではほとんどのHIDランプで使用上限が200G程度になっている。とくに、バラストレス水銀灯では300G程度まで使用可能であることが確認された。
【0054】
上述したように、商用電源によって放電ランプを点灯させた場合にアークがゆらぐことが問題であったから、点灯装置2の電源装置2bとして直流電圧を出力するものを用いることができる。直流電圧を放電ランプに印加すれば、磁場の向きが変化しない限りは、アークは変形しても時間経過に伴って移動することがないから、磁場中で点灯させてもちらつきや立ち消えは生じることない。
【0055】
ただし、放電ランプを直流で点灯させた場合には、放電ランプの中の水銀などが偏在することになり光出力に偏りが生じる。このような現象はカタホリシスと呼ばれており回避しなければならない。また、放電ランプを直流点灯させると一方の電極からのみ電子が放出されるから電子を放出する電極のみが消耗することになり寿命が短くなる。この問題を回避するために直流点灯用の放電ランプを用いることが考えられるが、特殊品になるから高価であるとともに入手しにくく保守などにおいて不都合が生じる。
【0056】
そこで、通常の放電ランプを用いながらもカタホリシスを回避し、短寿命化を回避するために、ある程度の時間ごとに極性を反転させるのが望ましい。つまり1分ないし1時間ごとに極性を反転させることによって、直流点灯での問題を回避することができ、交流点灯用の通常の放電ランプを用いることができるのである。ランプ電圧の極性を反転させる周期を1分以下とすればランプ電圧の極性反転時における光出力の変動が知覚されやすくなり、また1時間以上ではカタホリシスが進行して不都合である。1分から1時間の間でどの程度の時間に設定するかは、放電ランプの形状、カタホリシスの進行速度、周囲温度などによって決定される。
【0057】
上述した各構成例では磁場の向きや大きさが一定である定常磁場を想定しているが、先の2例の構成は、向きや大きさが時間の経過に伴って変化するような磁場であっても、磁場の変化が点灯装置2の出力電圧に同期していない限りは上記構成を採用することができる。たとえば、核融合の研究に際して用いる超伝導コイルにより形成される磁場のように時間経過に伴って向きや大きさが変化するような磁場中においても上述の各例を採用することによって、ランプを安定に点灯させることが可能である。ただし、ランプの種類や仕様によって使用可能な磁束密度の上限値が異なるから、配置場所の磁束密度に応じてランプの種類や仕様を選択することが必要である。
【0058】
次に、白熱電球を磁場中に配置した例を説明する。図10に示すように、磁気発生源Xにより磁場が形成される空間内に白熱電球1bを配置してある。点灯装置2は、商用電源、あるいは商用電源電圧を降圧ないし昇圧するトランス、または周波数や電圧を変換する電子式トランス(インバータやチョッパ回路などからなる)であって、磁場の影響を受けない場所に配置される。この点灯装置2は交番電圧を出力する。ここで、点灯装置2を磁場の影響を受けない場所に配置しているのは、点灯装置2を構成する部品の動作が磁場により影響されるのを防止するためである。とくに、点灯装置2がトランスのような電磁装置を含む場合には磁場の影響を受けやすいから点灯装置2は磁場の影響を受けない場所に配置する必要がある。
【0059】
上述のように白熱電球1bに交番電圧を印加するとフィラメントに作用するローレンツ力の大きさや向きが時間とともに変化するが、フィラメントはアークに比較すると変形しにくいから、比較的大きなローレンツ力が作用しても振動は生じない。つまり、白熱電球1bでは点灯装置2を用いずに商用電源で点灯させた場合でも400G程度まではフィラメントの振動は寿命にほとんど影響しない程度であり、フィラメントを耐震強化した耐震電球では1000G程度までなら使用可能であることが確認されている。また、磁場が変動しない環境であれば、直流電圧を印加して点灯させてもフィラメントが偏るだけでありとくに問題は生じない。また、点灯装置2として400Hz以上の交番電圧を出力するものを用いれば、フィラメントはローレンツ力の変化に一層追随しにくくなり、さらに磁界強度の大きい磁場中でもフィラメントの振動を防止することができる。また、フィラメントはアークに比較すると質量が十分に大きいから、点灯周波数が同じであれば放電ランプに比較して磁束密度のより大きい磁場中でもフィラメントの振動なく使用可能である。ただし、フィラメントには材質や形状により決まる固有振動数があるから、点灯周波数を固有振動数に一致させないようにすることが必要である。さらに、白熱電球1bに直流電圧を印加した場合には、磁場の向きや大きさに応じてフィラメントが変形するが、塑性変形の生じない程度であれば使用しても差し支えない。つまり、白熱電球1bは直流点灯も可能である。
【0060】
以下に白熱電球1bの点灯条件を変えたときの動作特性を示す。ただし、以下の説明では図10に示した構成例と同様に、点灯装置2は磁場の影響のない場所に配置してあり、光束は白熱電球1bに対向配置した照度計により測定し、ランプ電圧、ランプ電流は磁場の影響のない場所で測定している。また、ランプ電力はランプ電圧とランプ電流との積として求めている。
【0061】
図11は500Wのミニハロゲン電球(品番:JD110V)を50Hzで点灯させた場合の磁束密度とランプ電力比および光束比との関係を示している。この条件では、204Gまではフィラメントに異常が認められず、253Gではフィラメントに微振動が生じた。また、533G以上ではフィラメントの振動が大きくなった。ランプ電力比および光束比にはほとんど変動が見られなかった(±3%以内)。つまり、450G程度まで使用可能であった。
【0062】
図12は200Wのクリア電球(品番:L 110V 200W)を50Hzで点灯させた場合の磁束密度とランプ電力比および光束比との関係を示し、この場合も650Gまでランプ電力や光束にほとんど変化のないことがわかる。ただし、フィラメントは330Gまで振動がなく、403Gになると若干の振動が生じ、742G以上ではフィラメントの振動が大きくなるという結果が得られた。なお、1767Gにおいてはフィラメントにねじれが生じた。つまり、700G程度までは使用可能であった。
【0063】
一方、図12と同使用のクリア電球について400Hzで点灯させた場合(インバータを用いた)、1015Gにおいてフィラメントに微振動が生じる程度であった。すなわち、400Hz以上の点灯周波数ではフィラメントの振動を改善する効果が確認された。
また、フィラメントを耐震強化した耐震電球(品番:RC110V−200W・C)では、50Hzにおいて1831Gでフィラメントに微振動が生じていたのに対して、400Hzで点灯させることにより2000G以上でもフィラメンに振動の生じないことが確認された。
【0064】
これらの測定結果により、白熱電球1bは商用電源で点灯させても400G程度までは問題なく使用できることが確認された。また、白熱電球1bを用いる場合も50Hzで点灯させるよりも400Hz以上で点灯させたほうがフィラメントに振動の生じにくいことが確認できた。ところで、点灯装置についてはランプに磁場が作用することによる間接的影響と、点灯装置を構成する部品への磁場の影響による直接的影響とがある。つまり、点灯装置の負荷が放電ランプである場合には、放電ランプに磁場が作用してアークが変形したときにランプ電圧の上昇によって点灯装置から放電ランプへの出力電力が増加し、これに伴って点灯装置への入力電力も増加する。このように、放電ランプを磁場中で点灯させることにより、点灯装置に対して間接的な影響が生じる。一方、点灯装置では、銅鉄型の安定器を用いたり、電子式の安定器であってもトランスやチョークコイルを用いたり、あるいはまた、定格電圧の低い(たとえば、24V)の白熱電球を点灯させるために降圧用のトランスを用いたりすることがある。このように鉄芯にコイルを巻装した電磁部品を点灯装置に用いている場合には、電磁部品を磁場中に配置することによって内部磁束に偏りが生じたり磁束密度に変化が生じたりすることがある。つまり、点灯装置を構成する電磁部品への直接的な影響が生じる。以下では、点灯装置への磁場の間接的影響と直接的影響とを回避する構成例を説明する。
【0065】
以下に説明する構成例は、点灯装置への磁場による間接的影響を軽減ないし除去する構成であって、点灯装置の負荷が放電ランプである場合について例示する。本例の特徴点は、点灯装置を出力電力が調節可能となるように構成している点である。この種の点灯装置は、調光点灯装置として知られているものであり、放電ランプへの供給電力を調節することによって放電ランプの光出力を調節することができるように構成されている。ここに、先の構成例と同様に、放電ランプは蛍光ランプのような低圧放電ランプを用い、点灯装置にはインバータ式のものを用いている。また、放電ランプの点灯周波数は20kHz以上に設定されている。したがって、点灯装置を構成するスイッチング素子のオンデューティやスイッチング周波数を変化させることによって放電ランプへの供給電力を調節するように構成される。つまり、スイッチング素子を制御部からの制御信号によってスイッチングする他励制御式の高周波点灯装置を構成し、調光を指示する外部信号を制御部に与えることにより、点灯装置の出力を制御するのである。
【0066】
しかして、磁気発生源から磁場が生じているときには磁場が生じていないときよりも放電ランプへの供給電力を低減させる方向に点灯装置を調節すると、磁場の影響による供給電力の増加を抑制することができる。ここに、磁場中では放電ランプへの供給電力の増加によって放電ランプの光出力が増加するから、上述のように磁場中で放電ランプを点灯させるときに放電ランプへの供給電力を低減させる方向に点灯装置の出力電力を調節すれば、光出力はあまり低減させずに点灯装置のストレスを低減させることができる。つまり、点灯装置の出力電力を低減させる方向に調節することによって放電ランプへの供給電力の増加傾向と相殺されることになり、光出力の変化を抑制することがができる。また、点灯装置として他励式のインバータを用いていることにより、スイッチング素子のオンデューティやスイッチング周波数を容易に調節することができる。
【0067】
本例では点灯装置の出力電力を調節可能とすることによって、磁場が変化しても放電ランプの光出力の変動が少なくなるように調節することが可能であるが、所定の大きさの磁場中で所定の光出力が得られるだけでよい場合(つまり、磁場のない状態では光出力が小さくてもよい場合)には、特別な磁場の生じていない通常環境での点灯時に定格電力よりも小さい電力を放電ランプに与えるように点灯装置を構成してもよい。つまり、点灯装置の出力電力を定格出力よりも小さく設定しておくのである。このように設定しておけば、磁場中で放電ランプを点灯させたときに点灯装置の出力電力は増加するが、磁場中での出力電力が上限値を越えないような設定にしておけば、過負荷になることは防止することができる。本例の構成は低圧放電ランプだけではなく高圧放電ランプでも適用可能である。
【0068】
実施形態1
上述した構成例では点灯装置として調光可能なものを用いていることによって、周囲の磁場の影響によって点灯装置にストレスがかからないように点灯装置の出力電力を調節することが可能ではあるが、たとえば磁気発生源への入力電力などに連動させて調光しなければ、磁場の影響に応じて点灯装置の出力電力を調節することができない。つまり、磁場発生源とともに放電ランプや点灯装置を設置する場合には適用できるが、すでに磁場発生源が設置されている場所に放電ランプや点灯装置を設置する場合や、磁場発生源とともに放電ランプを設置するときでも磁場発生源の特性の予測が難しいような場合には上述の構成をそのまま適用するのが難しい。
【0069】
本実施形態では、磁場中では磁界強度に応じてランプ電圧が上昇するという特性を利用してランプ電圧を直接的ないし間接的に測定することにより周囲磁界の磁界強度を検出し、検出した磁界強度に応じて点灯装置の出力を制御する構成を採用する。すなわち、図13に示すように、放電ランプ1cの両端電圧(ランプ電圧)を検出する電圧検出部3aおよび放電ランプ1cへの供給電流(ランプ電流)を検出する電流検出部3bとを設けるとともに、電力検出部4では電圧検出部3aと電流検出部3bとにより求めたランプ電圧とランプ電流との積をランプ電力として求め、他励制御形のインバータ回路よりなる点灯装置2の制御部2cに外部信号(調光信号)として与えるようになっている。制御部2cは電力検出部4からの外部信号に基づいて出力を制御し、電力検出部4で求めたランプ電力をほぼ一定に保つように制御する。ここにおいて、電源装置は商用電源ACを全波整流するダイオードブリッジよりなる整流器REおよび整流器REの出力電圧を平滑化する直流電源部DCとからなる。直流電源部DCは、平滑コンデンサ、あるいはチョッパ回路(アクティブフィルタ回路)により構成され、整流器REの出力電圧は必要に応じて昇圧ないし降圧される。
【0070】
上述のように、放電ランプ1cへの磁場の影響をランプ電力により検出し、そのランプ電力をほぼ一定に保つように点灯装置2の出力を制御することによって、放電ランプ1cへのストレスが軽減され、また点灯装置2にも磁場の影響によるストレスがほとんど生じないのである。また、磁界強度が変動すれば電力検出部4の出力に反映されるから、磁界強度の変化に応じて点灯装置2の出力が自動的に調整されることになり、向きや大きさの変動するような磁場内でも容易に使用することができる。ここにおいて、放電ランプ1cを点灯させるのであるから、上述した構成例と同様に点灯周波数は20kHz以上に設定しておくのが望ましい。また、放電ランプ1cとしてはHIDランプも使用可能であるが、磁界強度が大きい環境では蛍光ランプのほうが磁場の影響を受けにくく、また調光制御も容易であるから蛍光ランプを用いるのが望ましい。
【0071】
実施形態2
実施形態1においては、磁場の影響をランプ電力により検出し、点灯装置2の出力電力をほぼ一定に保つように制御しているが、本実施形態では点灯装置2の入力電力をほぼ一定に保つように制御している点で実施形態1と相違する。すなわち、図14に示すように、点灯装置2は実施形態1と同様に、商用電源ACを整流する整流器REと、整流器REの出力を平滑化する直流電源部DCとからなる電源装置およびインバータ回路よりなる点灯装置2を備え、点灯装置2は外部信号により出力を制御する制御部2cを備える。ここで、入力電力は点灯装置2への入力電力と等価であり、直流電源部DCの出力電圧はほぼ一定であるから、直流電源部DCと点灯装置2との間に電流検出用の抵抗Rsを挿入し、電力検出部4では抵抗Rsの両端電圧に基づいて点灯装置2への入力電流を検出するとともに直流電源部DCの出力電圧と上記入力電流との積を求めれば、点灯装置2への入力電力に相当する電力を求めることができる。このようにして電力検出部4において求めた入力電力に対応する信号を外部信号として点灯装置2の制御部2cに与え、制御部2cでは電力検出部4から与えられた入力電力をほぼ一定に保つように出力を制御するのである。つまり、点灯装置2の出力を制御すれば放電ランプ1cへの供給電力が変化し、結果的に点灯装置2に流入する電流も変化するから、点灯装置2への入力電力をほぼ一定に保つようにすれば、点灯装置2の入力電力が過大になることがなく、放電ランプ1cを磁場中に配置したときのランプ電力の増加に伴う点灯装置2のストレスの増加が抑制されるのである。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
【0072】
実施形態3
本実施形態は、図15に示すように、放電ランプ1cの周囲の磁場を検出する磁気センサ5を設け、磁気センサ5の出力に応じて点灯装置2の出力を制御する構成を採用してある。つまり、実施形態1、2では放電ランプ1cのランプ電力を直接的ないし間接的に求め、ランプ電力によって磁界強度を間接的に検出していたが、本実施形態では磁気センサ5を用いることによって磁界強度を直接的に検出している。磁気センサ5としてはホール素子やホールICが用いられる。ここに、点灯装置2には20kHz以上の高周波を出力し、制御部2cに外部信号(調光信号)を入力することによって出力を制御することができるものを用いている。
【0073】
ところで、上述したように、点灯装置2は放電ランプ1の周囲の磁界強度が大きくなると出力電力が大きくなるから、磁気センサ5で検出された磁界強度が大きいほど点灯装置2の出力電力を抑制する方向に調節する必要がある。つまり、磁界強度にかかわらず点灯装置2の出力電力を一定に保つか、磁界強度が大きいほど点灯装置2の出力電力を小さくするように制御することが必要である。
【0074】
そこで、磁気センサ5の出力値と点灯装置2の出力電力(調光量)とを対応付けたテーブルを備える信号変換部6として設け、磁気センサ5の出力を信号変換部6に入力することにより磁界強度に応じた調光信号を生成し、この調光信号により点灯装置2を制御する。点灯装置2の出力電力の調節には、連続的に制御する場合と段階的に制御する場合とがあり、連続的に制御する場合には連続調光の可能な点灯装置2を用い、段階的に制御する場合には段調光の可能な点灯装置2を用いる。信号変換部6に設けたテーブルの設定値は、あらかじめ実験的に設定されるのであって、上述した各実施形態のように照明装置の構成に応じて設定される。ここにおいて、点灯装置2へのストレスを軽減するために点灯装置2の出力電力を調節する構成は、放電ランプ1cにかぎらず白熱電球1bを点灯させる場合に採用してもよい。
【0075】
実施形態4
実施形態3においては、磁気センサ5により検出した磁界強度に基づいて信号変換部6により調光信号を生成して点灯装置2の出力電力を連続的ないし多段階に調節しているが、本実施形態では、磁気センサ5により検出した磁界強度が所定値に達すると点灯装置2の出力電力を低減させるように切り換える。
【0076】
すなわち、図16に示すように、点灯装置2から放電ランプ1cへの給電経路に挿入される限流要素のインピーダンスを2段階に切り換えるのであって、ここでは2個のインダクタL1 ,L2 を直列接続し、一方のインダクタL2 にスイッチ要素SWを並列接続してある。また、磁気センサ5の出力は比較部7に入力され、あらかじめ設定された閾値と比較される。ここで、磁気センサ5の出力が閾値を越えていると磁界強度が所定値以上になったと判断しスイッチ要素SWをオフにする。このように、磁界強度が大きくなると限流要素のインピーダンスを大きくするから、放電ランプ1cへの供給電力を低減することができる。この構成では、インダクタL1 ,L2 およびスイッチ要素SWが点灯装置2の制御部2cとして機能し、比較部7から調光信号が出力されることになる。インダクタL1 ,L2 のインダクタンスは、放電ランプ1cや点灯装置2の仕様により実験的に決定される。
【0077】
実施形態5
上述したように、放電ランプが磁場中に配置されたときに磁場が存在しない場合よりもランプ電圧が上昇する。そこで、点灯装置を保護するには、実施形態1〜4のように点灯装置の入力電力や出力電力を調節することが考えられるが調節範囲を逸脱すると点灯装置が過負荷になって破壊されることがある。たとえば、放電ランプを点灯装置の負荷とするときに寿命末期では電極の消耗によって半波放電(エミレス)状態になるから、点灯装置への負荷が異常に大きくなる。
【0078】
そこで、本実施形態では、図17に示すように、電圧検出部3aで検出したランプ電圧(ランプ電力でもよい)に基づいて点灯回路2の出力を停止させる異常検出回路8を設けている。異常検出回路8では電圧検出部3aで検出したランプ電圧があらかじめ設定されている基準レベルを越えると、点灯装置2の出力を停止させて点灯装置2を保護するようにしてある。この構成によって、放電ランプ1cの寿命末期におけるランプ電圧の異常上昇に対する点灯装置2の保護がなされる。つまり、異常検出回路8は異常を検出すると異常信号を出力し、この異常信号によって点灯装置2の出力を停止させるのである。
【0079】
点灯装置2を保護する構成としては、点灯装置2を停止させるほか、点灯装置2が破壊されない程度まで出力電力を低減させる構成や、異常検知時に点灯装置2から間欠的に出力を発生させることによって放電ランプ1cを視認できる程度の周期で間欠点灯させる構成を採用することができる。ここに、異常信号によって点灯装置2の出力を制御する構成は、制御部2cとは別に設けても、また制御部2cと兼用してもよい。また、図17の例では点灯装置2の出力に基づいて異常を検出しているが、点灯装置2への入力に基づいて異常を検出してもよい。
【0080】
ところで、上述のように放電ランプ1cの寿命末期の動作に対する点灯装置2の保護を行なうと、放電ランプ1cが正常であっても磁場中で点灯させる際のランプ電圧の上昇によって異常検出回路8が作動する場合がある。そこで、本実施形態では磁気センサ5を設けてあり、放電ランプ1cの周囲に形成される磁場の磁界強度を検出する磁気センサ5を設け、磁界強度に応じたランプ電圧の上昇分を異常検出回路8の閾値に加算することによって、磁場の影響によるランプ電圧の上昇では異常検出回路8が応答しないようにしてある。要するに、異常検出回路8の閾値を磁気センサ5で検出した磁界強度に応じて変化させるのである。
【0081】
上記構成によって、磁界強度の異なる環境に放電ランプ1cを配置しても、異常検出回路8の閾値が自動的に補正され、異常検出回路8の閾値を人手によって調節することなく誤動作を防止することができる。
実施形態6
実施形態5ではランプ電圧の上昇を検出することによって放電ランプ1cの寿命末期を検出しているが、上述したように磁場中に放電ランプ1cが配置されているときにはランプ電圧が上昇するから、放電ランプ1cが磁場中に配置されているときに放電ランプ1cの周囲の磁界強度を検出することも可能である。つまり、放電ランプ1cのランプ電圧が上昇すれば通常環境よりも磁界強度が大きくなったとみなすことができるから、半波放電状態などの異常を示すランプ電圧よりも低い範囲であれば、ランプ電圧を磁界強度の検出に用いることが可能である。
【0082】
そこで、本実施形態では、図18に示すように、異常検出回路8の出力により点灯装置2の制御部2cに調光信号を与えている。異常検出回路8は、放電ランプ1cの異常状態におけるランプ電圧に対する基準レベルに達すると実施形態5と同様に点灯装置2の動作を停止(ないし出力低減、間欠動作)させるのであるが、ランプ電圧が基準レベルに達するまでは制御部2cに対して調光信号を与えるように機能する。要するに、ランプ電圧が基準レベルに達するまではランプ電圧が通常環境よりも高くなると異常検出回路8の出力に応じて点灯装置2の出力を抑制する方向に制御するのである。この構成を採用することによって、異常検出回路8は点灯装置2の出力電力を通常環境での出力電力以下にする機能を兼ね備えることになる。他の構成については、実施形態5と同様である。
【0083】
実施形態7
本実施形態は、点灯装置2への磁場の直接的な影響を抑制ないし除去しようとするものであり、上述したように、点灯装置2にはチョークコイル、トランスなどの電磁部品が設けられており、これらの電磁部品が磁場中に配置されていると磁場により動作に影響を受けることになる。点灯装置2を磁場中に配置することが必要になるのは、主に次の2つの場合である。すなわち、点灯装置2の出力周波数が高くなると点灯装置2と放電ランプ1cとの間を接続する線路での損失が大きくなり外部への輻射が生じることがあるから、線路長を短くするために放電ランプ1cと点灯装置2とを近い距離に配置する場合と、照明器具として放電ランプ1cと点灯装置2とを一つの器具本体に組み込む場合とである。
【0084】
点灯装置2が磁場中に配置される場合、銅鉄型の安定器を用いているものとすれば、安定器内での磁束に偏りが生じたり磁界強度が変化したりすることになる。このような現象は安定器の向きを変えることによって印加される磁場の向きを変えても大差なく生じる。また、電子式の安定器であっても回路部品としてトランスやチョークコイルが存在しているから磁気的特性が変化して動作に影響が生じる。
【0085】
ここに、点灯装置2への磁場の影響を確認するために、ランプを磁場外に配置し点灯装置2のみを磁場中に配置した場合の動作例を示す。図19は36Wのツイン蛍光ランプ(品番:FPL36)を銅鉄型の安定器を備える点灯装置2で点灯させた場合の動作特性であって、同図(a)は磁束密度とランプ電力比および光束比との関係(実線がランプ電力比、破線が光束比)、同図(b)は磁束密度とランプ電圧比との関係を示している。この条件では、1478Gまでは異常なく点灯させることができたが、1500Gでは立ち消えが生じた。また、ランプ電力比、光束比、ランプ電圧比が1500G付近で急激に変化した。
【0086】
図20は同蛍光ランプを点灯周波数が40kHzである電子式の安定器を用いた点灯装置2によって点灯させた場合の磁束密度と入力電力比(実線)および光束比(破線)との関係を示している。この条件では1478Gまで異常なく点灯したが、1667Gでは立ち消えした。また、入力電力比および光束比は1500G付近で急激に変化した。
【0087】
このように蛍光ランプでは点灯装置2が磁場中に配置されていると銅鉄式か電子式かにかかわらず磁場の影響を受けることがわかる。ここで、図19、図20においてはランプは磁場外に配置しているのであるから、点灯装置2そのものが磁場の影響を受けていることがわかる。つまり、蛍光ランプではなくHIDランプであっても同様の傾向が見られるのである。
【0088】
また、白熱電球の場合には安定器は不要であるが、電圧変換のために銅鉄式のトランスや電子式のトランスを用いることがある。図21に銅鉄式、図22に電子式の場合について、それぞれ磁束密度と出力電力比との関係を示す。このように、磁界強度が大きくなると出力電力が増加することがわかる。
そこで、点灯装置2を磁場中に配置する場合には点灯装置2が磁場の影響を受けないようにする必要がある。つまり、図23に示すように、ステンレスなどの磁性体材料により形成した磁気シールド9を用いて点灯装置2を囲むことによって点灯装置2に対して磁場の影響が生じないようにする。たとえば、図24に示すように、鋼板やステンレスなどの磁性体材料により形成されたベースプレート11aとカバープレート11bとからなるケース11に点灯装置2を収納すれば、点灯装置2への磁場の影響を抑制することができる。つまり、ケース11が磁気シールドとして機能する。
【0089】
また、点灯装置2において磁場の影響を受けるのは、トランスやチョークコイルのようにコイルを備える電磁部品であるから、図25に示すように、プリント配線板よりなる回路基板12に実装した電磁部品13のみを磁性体材料のケース11に収納してもよい。ここにおいてケース11を回路基板12の接地パターンに接続しておくことによりケース11を電磁シールドとしても機能させることができる。つまり、点灯装置2が高周波を出力するものである場合には、電磁部品13から高周波が輻射されるから、ケース11を電磁シールドとしても用いることによって高周波の輻射を低減することができる。
【0090】
実施形態8
本実施形態は、図26に示すように、蛍光ランプ1aと点灯装置2とを器具本体10に設けた照明器具であって、点灯装置2は器具本体10の一部に囲まれた形で配置されている。つまり、器具本体10は蛍光ランプ1aを保持するソケット14を備えるとともに、蛍光ランプ1aからの光を下方に配光する反射板15を備える。器具本体10における反射板15の上方部分は閉塞された空間を形成しており、この閉塞空間の中に点灯装置2が収納されているのである。ここに、器具本体10は反射板15を含めて鋼板やステンレスのような磁性体材料により形成され、結果的に点灯装置2は磁性体材料により囲まれることになる。つまり、器具本体10の一部は点灯装置2を囲む磁気シールドとして機能することになる。
【0091】
実施形態9
本実施形態は、図27に示すように、図26に示した実施形態8の構成に加えて器具本体10を収納するシールド体16を設けたものである。シールド体16は鋼板やステンレスのような磁性体材料により形成され、上面が開口した箱状に形成されている。また、シールド体16の下壁には蛍光ランプ1aからの光を取り出すための開口窓17が形成されている。
【0092】
しかして、磁気シールドとして機能するシールド体16の中に器具本体10が収納されることにより、周囲磁束から蛍光ランプ1aへの周囲磁界の影響が軽減され、点灯装置2だけではなく蛍光ランプ1aへの磁界の影響も抑制されることになる。つまり、この構成によればシールド体16を設けていない状態において点灯させることができないような強い磁場内であっても、蛍光ランプ1aを安定的に点灯させることが可能になる。ここにおいて、ランプとして蛍光ランプ1a以外のものを用いることができるのはもちろんのことであって、シールド体16を用いることによって、使用可能な磁界強度の上限値が引き上げられることになる。
【0093】
実施形態10
上述の各構成例では、ランプを磁場中に配置して点灯装置を磁場の影響のない場所に別置した構成と、ランプおよび点灯装置を磁場中に配置する構成と、ランプおよび点灯装置を器具本体に設けた照明器具の構成とについて説明した。ところで、室内照明を行なう場合には複数個のランプを配置することが多く、各ランプや点灯装置2の配置場所に応じて磁界強度が異なるのが普通である。また、室内に複数種類のランプを配置することが照明設計として適切な場合もある。たとえば、白熱電球は磁界強度が大きい場所でも使用可能であるが放電ランプに比較すると低効率であり演色性も低いから、必要最小限に設けるのが望ましく、高圧放電ランプは高効率であるが磁場の影響を受けやすいから、磁界強度の小さい場所に設けるのが望ましい。このように、磁界強度の異なる場所に配置されるランプや点灯装置2が多くなると個々の調整に非常に手間がかかることになる。そこで、本実施形態では図28に示すように、コンピュータを用いた管理装置19を導入し、管理装置19によって多数のランプ1および点灯装置2を集中制御する例を示す。
【0094】
つまり、各ランプ1には周囲磁界を検出する磁気センサ5が隣接して配置され、磁気センサ5の出力は管理装置19に入力されている。また、管理装置19は点灯装置2の制御部2cへの調光信号を出力することにより点灯装置2の出力電力を調節する。ここに、磁気センサ5の出力はRS232C規格などのインタフェースを用いて管理装置19に取り込めばよく、点灯装置2の制御にはGPIB規格などのインタフェースを用いればよい。
【0095】
多数のランプ1を制御する場合には、各ランプ1に隣接して設けた磁気センサ5の出力の取込みと点灯装置2への調光信号の出力とを各ランプ1ごとに逐次行なう。このような制御は、管理装置19にマルチプレクサを設けることによって容易に実現することができる。ここに、図28のAはランプ1と点灯装置2と磁気センサ5とのグループを示す。また、磁気センサ5はランプ1に隣接して設けるだけではなく、点灯装置2にも磁気センサ5′を隣接して設ければ点灯装置2への磁場の影響も考慮することができ、さらに、ランプ1の光出力を検出する照度センサ18を設ければ、ランプ1の光出力の監視により明るさを適正な状態に保つことが可能になる。つまり、照度センサ18は周囲の磁界強度と調光信号との関係に従って所望の光出力が得られているか否かを検証するために設けられており、管理装置19は照度の異常を検出するとランプ1を消灯させるなどの適切な処置を行なう。照度センサ18も必ずしも個々のランプ1に対応付けて設ける必要はないが、個々のランプ1ごとに異常を検出する必要があればランプ1ごとに設けるのが望ましい。
【0096】
また、点灯装置1は必ずしも1個のランプ1だけを点灯させる必要はなく、複数のランプ1を1台の点灯装置1で点灯させるようにしてもよい。ただし、この場合には1台の点灯装置2に接続したランプ1は周囲磁場の磁界強度がほぼ等しくなるような位置関係であることが要求される。
ところで、磁気センサ5,5′を用いて周囲の磁場に応じて点灯装置2の入力電力や出力電力を制御する場合に、各ランプ1ごとに磁気センサ5,5′を配置していたのでは磁気センサ5,5′の個数が多くなって高コストになる。そこで、磁界強度のほぼ等しい場所に配置されるランプ1では磁気センサ5,5′を共有することが考えられる。
【0097】
いま説明を簡単にするために、磁気発生源Xは図29のように1つだけ存在し、磁気発生源Xの周囲の磁場は同心円状に分布しているものと考える。この場合、磁場は磁気発生源Xからの距離に一対一に対応し、たとえば磁気発生源Xからの距離に応じて1000G、600G、200Gの円形の等磁束密度線Yが得られる。そこで、この等磁束密度線Yに沿ってランプ1(照明器具)を配置すると、各等磁束密度線Yの上ではどの場所にランプ1が配置されていてもランプ1への磁場の影響は等しいと考えてよいことになる。すなわち、磁束密度によって区分された各領域内にそれぞれ複数の照明器具Yが配置されている場合には、同一の領域内の複数のランプ1への磁場の影響は等しくなる。また、磁気発生源Xから発生する磁界強度が変化しても、各等磁束密度線Yの間の相対比率は維持されると考えられるから、磁束密度の分布を求めておけば1箇所の磁束密度を知るだけで他の箇所の磁束密度を推定することができる。実際には等磁束密度線Yは円形にはならないことが多いが、あらじめ室内の磁束密度の分布を測定して磁束密度が等しくなる箇所を結んで等磁束密度線Yを求めておけば、この技術思想を適用することができる。
【0098】
以上説明したように、複数のランプを設ける場合には、管理装置19により制御することによって集中管理することが可能になり、しかも、磁束密度の等しい領域ごとに区分してランプ1の種類を選択して配置し、各領域ごとにまとめてランプ1を制御することによって、制御が容易になるとともに比較的少ない構成要素によって低コストで照明を行なうことができるのである。
【0099】
本実施形態では、ランプ1を等磁束密度線Y上に配置した例を説明したが、ランプのみを等磁束密度線上に配置したり、ランプ1と点灯装置2とを等磁束密度線Yの上に配置した場合でも同様の技術思想を適用することができる。
【0100】
【発明の効果】
請求項1の発明の構成によれば、磁場の作用によるランプ電力の変化に応じた外部信号を電力検出部より発生し、制御部に上記外部信号を入力することによってランプへの出力を制御するから、磁場の影響によるランプ電力の変化を抑制することができる。つまり、磁場の影響によるランプ電力の増加を抑制するように制御すれば、ランプ電力の増加に伴うランプの寿命の低下や、ランプへの供給電力の増加に伴う点灯装置へのストレスを軽減することができる。
【0110】
しかも、ランプへの出力電力をほぼ一定に保つから、磁場の作用によるランプ電力の増加がなく磁場の影響によるランプへのストレスが防止されるという利点を有し、結果的にランプの寿命低下が抑制されるという効果を奏する。
【0111】
請求項2の発明の構成によれば、磁場の作用によるランプ電力の変化に応じた外部信号を電力検出部より発生し、制御部に上記外部信号を入力することによってランプへの出力を制御するから、磁場の影響によるランプ電力の変化を抑制することができる。つまり、磁場の影響によるランプ電力の増加を抑制するように制御すれば、ランプ電力の増加に伴うランプの寿命の低下や、ランプへの供給電力の増加に伴う点灯装置へのストレスを軽減することができる。しかも、点灯装置への入力電力をほぼ一定に保つから、磁場の作用による点灯装置への入力電力の増加を抑制して点灯装置へのストレスが防止されるという利点を有し、結果的に点灯装置の劣化や破壊が防止され、しかも、点灯装置への入力電力の増加がなければランプへの出力電力の増加もないからランプへのストレスも軽減されるという利点がある。
【0112】
請求項3の発明の構成によれば、磁気センサを用いて少なくともランプの周囲磁界を検出し、周囲磁界に応じた電力をランプに供給するとともに、ランプが磁界中に存在するときのランプへの出力電力を、通常環境での出力電力以下としているから、磁場中に配置されたランプのランプ電力を通常環境と等しくするか、通常環境よりも小さくすることになり、結果的に磁場中でのランプ電力の増加を抑制することができるという利点がある。つまり、ランプへのストレスが軽減されるとともに点灯装置へのストレスも軽減されるという効果を奏する。
【0113】
請求項4の発明の構成によれば、たとえば寿命末期時などに生じるエミレス状態(半波放電状態)を検出して出力を低減させれば、エミレス状態での過大電流による点灯装置の破壊を防止することができるという利点がある。
【0114】
しかも、放電ランプが正常であればランプ電圧が上昇しても基準レベルとの相対差はほとんど変化せず、異常時にのみランプ電圧と基準レベルとのレベル差が生じて異常として検出することが可能になるという利点がある。つまり、ランプ電圧の上昇が磁場の影響による正常なものかランプの寿命末期などの異常なものかを容易に識別することができるという効果を奏する。
【0118】
請求項5の発明の構成によれば、磁場中に配置される複数のランプを管理装置により集中管理することができ、しかも管理装置は各ランプの周囲磁界の影響を軽減するように点灯装置からランプへの出力を制御するのであって、各ランプの周囲磁界は磁界検出手段により検出され、管理装置では検出された磁界に基づいて点灯装置を制御するから、多数のランプが磁場中に配置されている場合でも、各ランプへの出力を適正に制御することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 基本構成を示すブロック図である。
【図2】 同上に対する比較例の動作説明図である。
【図3】 同上の動作説明図である。
【図4】 基本構成の変形例に対する比較例の動作説明図である。
【図5】 同上に対する比較例の動作説明図である。
【図6】 同上に対する比較例の動作説明図である。
【図7】 同上に対する比較例の動作説明図である。
【図8】 同上に対する比較例の動作説明図である。
【図9】 同上に対する比較例の動作説明図である。
【図10】 基本構成の他の変形例のブロック図である。
【図11】 同上の動作説明図である。
【図12】 同上の動作説明図である。
【図13】 実施形態1のブロック図である。
【図14】 実施形態2のブロック図である。
【図15】 実施形態3のブロック図である。
【図16】 実施形態4のブロック図である。
【図17】 実施形態5のブロック図である。
【図18】 実施形態6のブロック図である。
【図19】 点灯装置への磁場の影響を測定結果を示す動作説明図である。
【図20】 点灯装置への磁場の影響を測定結果を示す動作説明図である。
【図21】 点灯装置への磁場の影響を測定結果を示す動作説明図である。
【図22】 点灯装置への磁場の影響を測定結果を示す動作説明図である。
【図23】 実施形態7を示すブロック図である。
【図24】 実施形態7を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図25】 実施形態7の他例を示す断面図である。
【図26】 実施形態8を示し、(a)は下面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図27】 実施形態9を示し、(a)は下面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図28】 実施形態10を示すブロック図である。
【図29】 実施形態10におけるランプの配置例を示す図である。
【符号の説明】
1 ランプ
1a 蛍光ランプ
1b 白熱電球
1c 放電ランプ
2 点灯装置
2a 安定器
2b 電源装置
2c 制御部
3a 電圧検出部
3b 電流検出部
4 電力検出部
5 磁気センサ
5′ 磁気センサ
6 信号変換部
7 比較部
8 異常検出回路
9 磁気シールド
10 器具本体
11 ケース
11a ベースプレート
11b カバープレート
12 回路基板
13 電磁部品
14 ソケット
15 反射板
16 シールド体
17 開口窓
18 照度センサ
19 管理装置

Claims (5)

  1. 光源が30G以上の磁場内に配置される照明装置であって、外部信号に応じてランプへの出力を制御する制御部を備える点灯装置と、上記ランプへの磁場の作用によるランプ電力の変化に応じた外部信号を制御部に与える電力検出部とを備え、電力検出部はランプへの出力電力を検出し、制御部は電力検出部により検出された出力電力をほぼ一定に保つように出力制御することを特徴とする高磁場用照明装置。
  2. 光源が30G以上の磁場内に配置される照明装置であって、外部信号に応じてランプへの出力を制御する制御部を備える点灯装置と、上記ランプへの磁場の作用によるランプ電力の変化に応じた外部信号を制御部に与える電力検出部とを備え、電力検出部は入力電力を検出し、制御部は電力検出部により検出された入力電力をほぼ一定に保つように出力制御することを特徴とする高磁場用照明装置。
  3. 光源が30G以上の磁場内に配置される照明装置であって、外部信号に応じてランプへの出力を制御する制御部を備える点灯装置と、少なくとも上記ランプの周囲磁界を検出する磁気センサと、磁気センサにより検出した磁界強度が通常環境よりも大きくなると出力電力を通常環境での出力電力以下とする外部信号を制御部に与える外部信号発生部とを備えることを特徴とする高磁場用照明装置。
  4. 光源としての放電ランプが30G以上の磁場内に配置される照明装置であって、放電ランプの入力と出力との少なくとも一方の検出値を基準レベルと比較することにより放電ランプの異常を検出する異常検出手段と、異常検出手段により放電ランプの異常が検出されると放電ランプへの出力電力を低減させる方向に出力制御される点灯装置とを備え、少なくとも放電ランプの周囲磁界を検出する磁気センサと、磁気センサにより検出した磁界強度に基づいて通常環境からのランプ電圧の上昇分を相殺するように基準レベルを設定する基準レベル設定部とを備えることを特徴とする高磁場用照明装置。
  5. 30G以上の磁場内に配置される複数灯のランプと、各ランプに給電する複数の点灯装置と、各ランプの周囲磁界を検出する磁界検出手段と、磁界検出手段により検出した周囲磁界の影響を軽減するように点灯装置から各ランプへの出力を集中制御する管理装置とを備えることを特徴とする高磁場用照明装置。
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