JP4784855B2 - 蛍光ランプ点灯装置および照明器具 - Google Patents

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Description

本発明は、初期照度補正制御用のマイコンを備えた蛍光ランプ点灯装置およびこれを備えた照明器具に関する。
制御用のマイコンを備えた蛍光ランプ点灯装置は、例えばインバータを備えていて蛍光ランプを高周波点灯するようにしたものでは一般的になっている。マイコンによる制御の一例として、放電灯を点灯させるとともに放電灯への供給電力を制御可能な放電灯点灯装置と、この装置への給電時間を放電灯の点灯時間として計時する点灯時間タイマと、放電灯の点灯時間の経過に伴う光束低下を抑制するように点灯時間タイマにより計時された点灯時間に応じて放電灯への供給電力を放電灯点灯装置へ指示する照度補正装置とを一つの器具に備えて照明器具ごとに初期照度補正制御を行えるように構成した照明装置は、既知である(特許文献1参照。)。
特許文献1においては、初期照度は予め所定の値、例えば70%に設定されるように構成されている。また、特許文献1には、放電灯の交換時に点灯時間タイマを0にリセットする必要があることから、放電灯のエミレス状態が検出されたとき、無負荷状態が検出されたとき、または電源のオンオフが規定手順であるときに、それぞれ点灯時間タイマを自動的にリセットさせたり、あるいは機械的に操作されるリセットスイッチによってリセットしたりすることが開示されている。また、電源が投入されていない期間において放電灯が外されたときにもリセットを可能にするために、リセット回路に2次電池を搭載しておき、この2次電池を電源として用いてリセットさせるようにすることができるようにした構成も記載されている。
特開昭64−089287号公報
ところが、制御用のマイコンが使用中に不具合になることがある。不具合は、マイコンの内部に格納されているソフトウエアに原因する場合と、マイコン自体のハードウエアに原因する場合とがある。前者の不具合に対しては、ウオッチドッグタイマを内蔵していて、不具合発生から所定時間後に自動的にリセットするように構成されているので、保護動作が行われる。
これに対して、後者の不具合が発生した場合には、マイコン自体で保護動作を行わせることができない。したがって、マイコンの動作が制御範囲外となるために、蛍光ランプの制御が行われなくなり、消灯してしまう。このため、安全な照明を行うことができないという問題がある。
本発明は、初期照度補正制御用のマイコンのハードウエア故障によりマイコンの出力が連続0および連続最大値のいずれの場合にも安全な照明を行うことのできる蛍光ランプ点灯装置およびこれを備えた照明装置を提供することを目的とする。
本発明の蛍光ランプ点灯装置は、蛍光ランプを高周波点灯する高周波点灯回路と;高周波点灯回路を制御して蛍光ランプを調光点灯させる調光制御回路と;高周波点灯回路を初期照度補正制御するマイコンと;マイコンが故障してその出力が0または最大値になった際に蛍光ランプが初期照度制御値である光出力60%以上で、かつマイコンの出力が0のときと最大値のときとで異なる光出力でそれぞれ点灯を継続するように高周波点灯回路に対して点灯制御信号を入力する保護回路と;を具備していることを特徴としている。
本発明の理解を容易にするために、主な構成および作用について以下説明する。
〔蛍光ランプについて〕 蛍光ランプは、気密容器の内部に形成された放電路の両端に一対の電極を備えている。一対の電極は、その少なくとも一方がフィラメントを備えている。フィラメントには電子放射性物質すなわちエミッタが担持され、フィラメントの赤熱により熱電子を放出するように構成されている。フィラメントは、その両端が導入線を介して気密容器の外部へ導出されているので、蛍光ランプの始動に先立ちフィラメント予熱電流が一対の導入線を経由してフィラメントに通流することによって予熱されて赤熱すると、電極が熱電子放射状態になるので、その結果蛍光ランプの始動が容易になる。
また、蛍光ランプは、その気密容器の内部に水銀および希ガスなどの放電媒体が封入されていて、放電時に紫外光を放射する。さらに、蛍光ランプは、蛍光体層を備えていて、放射された紫外光が蛍光体層中の蛍光体を励起させるので、蛍光体層が可視光などを発光して照明に寄与する。
〔高周波点灯回路について〕 高周波点灯回路は、蛍光ランプを高周波点灯する回路手段であり、高周波発生回路および限流手段を備えている。高周波発生回路は、商用交流電源などの低周波交流を高周波交流に変換する回路手段であり、インバータなどの変換回路を主体として構成することができる。この場合、変換回路はどのような構成であってもよい。
また、高周波点灯回路は、変換回路の主回路からなる高周波発生回路と、この高周波発生回路に対して駆動信号を供給する高周波制御回路とを具備するのが一般的である。
さらに、低周波交流電源を用いて高周波交流を発生させる場合、低周波交流をいったん直流に変換してから高周波交流に変換することができる。インバータを用いて高周波に変換する場合、インバータはどのような回路方式であってもよい。例えば、並列インバータ、ハーフブリッジインバータ、一石式インバータなどを用いることができる。また、インバータは、自励式および他励式のいずれであってもよい。
限流手段は、放電ランプを安定に点灯するために、電源と放電ランプとの間に直列に介在して、ランプ電流を所定値に限流する手段であり、適当なインピーダンス、例えばインダクタンスからなる。インダクタンスを限流手段とする場合、チョークコイルやトランスなどからなるインダクタを用いることができる。
さらにまた、高周波点灯回路は、高周波点灯回路の内部に整流化直流電源を配設することができる。なお、高周波発生回路に対する電源が交流および直流のいずれであっても、所望により例えば昇圧チョッパなどの直流電圧変換回路部を配設して、インバータなどの高周波発生回路に対する直流入力電圧を所望の値に変換したり、調光のためにインバータの入力電圧を変化させたりすることができる。
〔マイコンについて〕 マイコンは、高周波点灯回路を初期照度補正制御するように構成されている。なお、初期照度補正制御以外の制御は、本発明において特段限定されない。例えば、蛍光ランプの例えば全光点灯および調光点灯などの点灯モードの切り換え制御、高周波点灯回路の点灯制御信号の生成のための高周波発振動作、調光信号発生、タイマ制御、データ記憶など多様な制御を適宜行わせることができる。
〔保護回路について〕 保護回路は、初期照度補正制御を行うマイコンが故障してその出力が0または最大値になった際に蛍光ランプが初期照度制御値である光出力60%以上で、かつ後述する光出力で点灯を継続するように高周波点灯回路に対して点灯制御信号を入力する手段であり、その具体的な回路構成は特段限定されない。例えば、保護回路は、マイコンの点灯制御信号の出力ポートと点灯制御信号が制御入力する高周波点灯回路の高周波制御回路との間に介在する。そして、マイコンの出力が0または最大値のときに蛍光ランプが所定値すなわち初期照度制御値である光出力60%以上で、かつマイコンの出力が0のときと最大値のときとで異なる光出力でそれぞれ点灯を継続するように故障時の点灯制御信号を生成して高周波制御回路に制御入力する。なお、蛍光ランプを調光点灯させる場合、上記点灯制御信号は、調光制御信号である。
上記所定値が初期照度制御値である光出力60%以上であれば、マイコンの故障時にも安全な照明レベルが得られるような光出力に設定することができる。例えば、初期照度補正制御を行う場合、初期照度補正制御レベルが70%であれば、その70%を所定値とする。
〔その他の構成について〕 本発明は、以上の成要素に加えて以下の構成を具備している。すなわち、調光制御回路および初期照度補正制御手段である。初期照度補正制御を行うには、調光制御回路および初期照度補正制御回路を具備している必要があり、好ましくはこれらにリセット手段、初期照度値可変手段およびランプ交換判定回路のいずれか一つまたは任意所望の複数を加えることができる。以下、これらについて説明する。
(調光制御回路について) 調光制御回路は、高周波点灯回路を制御して蛍光ランプを調光点灯させるための回路手段である。なお、調光方式には例えば周波数制御式、PWM制御式などが既知であるが、所望により選択的に採用することができる。前者の方式においては、高周波点灯回路の高周波電圧の周波数を変化させて限流手段のインピーダンスを制御して調光を行わせる。後者の方式においては、高周波電圧が出力される期間(オンデューティ)を変化させて実効電圧を制御して調光を行わせる。
また、調光制御回路は、初期照度補正制御のためにのみ蛍光ランプの調光制御を行うのであってもよいが、好ましくは初期照度補正制御および任意調光制御のいずれにも対応するように構成される。任意調光制御または/および初期照度値設定に対応するために、蛍光ランプ点灯装置に専用の調光制御端子を導出して、調光制御線に接続するように構成することができる。
(初期照度補正制御回路について) 蛍光ランプは、点灯開始時の初期光束が最大値となるが、反対に寿命末期時には最低値となり、その間累積点灯時間の経過に伴って光束が徐々に減退していく。初期照度補正制御回路は、蛍光ランプの点灯初期から初期光束より少ない予め所望に設定された相対光束値(または照度値)すなわち初期光束の例えば70%でほぼ一定になるように例えば光束減退曲線に沿って蛍光ランプを累積点灯時間の経過に応じて自動的に調光制御して点灯させることにより、蛍光ランプの初期照度を抑制するとともに、累積点灯時間の経過にかかわらず蛍光ランプによる照度を寿命末期までほぼ一定に維持する制御回路手段であるが、その具体的な回路構成は限定されない。
初期照度補正制御回路は、例えば点灯時間タイマおよび光束補正装置を備えることで構成することができる。点灯時間タイマは、蛍光ランプを点灯する都度、その点灯時間を計時するとともに、前回までの累積点灯時間に新しい点灯時間を加算して点灯初期からの累積点灯時間(例えば、簡易的に電源投入時間などであることを許容する。)を求める。また、累積点灯時間は、使用する蛍光ランプを新品の蛍光ランプに交換した際には後述するリセット手段によってリセットされる。
光束補正装置は、蛍光ランプの累積点灯時間に対して所定の一定照度になるように予め設定された所要の調光度を示す調光信号を送出する。点灯時間タイマおよび光束補正装置は、タイマ、演算装置、メモリおよびプログラムを主体として構成することができる。タイマは、蛍光ランプの点灯時間を計時する。演算装置は、メモリからまずプログラムを読み出し、次に読み出したプログラムに基づいて前回までの累積点灯時間に対応する調光度のテーブルデータを読み出し、調光信号を作成して調光制御回路へ出力する。また、前回までの累積点灯時間を読み出して、これにタイマによって計時した新たな点灯時間を加算し、更新された累積点灯時間のデータをメモリに記憶させて、次の点灯に備える。メモリは、プログラムおよび累積点灯時間ごとの調光度からなるテーブルデータを予め記憶するとともに、蛍光ランプの累積点灯時間を都度データ更新しながら記憶する。プログラムは、以上の演算手順を内容としている。なお、以上の構成は、光ランプ点灯装置全体を制御する共通のマイコンのタイマ機能、メモリ機能および演算機能を利用して初期照度補正制御回路を構成することができる。
(リセット手段について) リセット手段は、初期照度補正制御の計時手段、例えば点灯時間タイマの累積点灯時間を初期設定状態すなわち初期化状態に戻すための手段であり、蛍光ランプを新品に交換した際に初期照度補正制御回路の累積点灯時間をリセットしてもよいし、初期化して初期照度補正制御を再度最初から行えるように構成される。
また、リセット手段には、上記の機能の他に所望により手動操作のリセットスイッチを付加することが許容される。リセットスイッチは、蛍光ランプを交換した際に、例えばその作業者などによって操作される。この場合、フィラメント抵抗の検知による判定より優先して初期照度補正制御回路がリセットされるように構成することができる。しかし、所望により、寿命判定に伴うリセットと、リセットスイッチによる手動リセットのいずれにも初期照度補正制御回路が応動するように構成することもできる。
さらにまた、リセットスイッチは、例えば蛍光ランプのランプソケットや照明器具などに配設することができる。また、電源が投入されている状態のときの操作によりリセットスイッチが作動するように構成されていてもよいし、電源が投入されていないときの操作によりリセットスイッチが作動してその状態を電源が投入されるまで保持するように構成することもできる。
(初期照度値可変手段について) 初期照度値可変手段は、初期照度補正制御回路の初期照度制御値を操作により所望値に設定する手段であり、初期照度値設定操作手段および初期照度値可変設定手段により構成することができる。上記操作は、蛍光ランプ点灯装置または照明器具の外面側から行えるのが好ましいが、所望により蛍光ランプ点灯装置のケースを取外して内部の配線基板に装着したDIPスイッチなどの初期照度値設定操作手段を操作して行うように構成することも許容される。また、本発明のより好ましい態様としては、照明器具から離間した位置、例えば壁面に設置した初期照度値設定操作手段から信号線を経由して、またはワイヤレスにより遠隔的に操作する構成である。
また、初期照度値設定操作手段を照明器具から離隔した位置に設置して遠隔操作するように構成してもよいし、照明器具に接近して操作するように構成することもできる。前者の場合、例えば蛍光ランプ点灯装置の調光制御端子に接続する調光制御線を利用して例えばPWM信号、可変周波数信号、所定時間断続する交流または直流の信号、電圧レベル可変直流信号などからなる遠隔制御信号を送受信する構成や、赤外線、超音波または電波などのワイヤレス方式のリモートコントロール信号を送信するようにした構成などを採用することができる。なお、このような構成においては、次のような信号構成を採用することにより、任意調光操作と初期照度値設定操作とを区別して送受信するように構成することが可能になる。
さらに、初期照度値可変設定手段は、その制御手段の部分が蛍光ランプ点灯装置に付設され、演算機能、プログラム機能およびメモリ機能などにより構成される。これらの構成として、光ランプ点灯装置全体を制御する共通のマイコンの演算機能、プログラム機能およびメモリ機能などを利用して構成することができる。
さらにまた、初期照度制御値の可変範囲は、蛍光ランプの寿命末期の平均的な相対照度値の70%を含んで60%以上である。好ましくは80%以下のように比較的狭い範囲でもよいし、さらにこれより広い範囲に設定してもよい。また、上記所定の可変範囲内で連続的または段階的に設定できるように構成することができる。さらに、初期照度制御値の設定を行った場合に、設定後の初期照度値を点灯0時間の調光度で点灯するように構成することができる。しかし、所望により初期照度制御値設定の直前までの累積点灯時間を基準とした調光度で点灯するように構成することもができる。
(ランプ交換判定回路について) ランプ交換判定回路は、蛍光ランプの寿命を検出して蛍光ランプが交換を要すると判定するための回路である。蛍光ランプの寿命を検出するには、例えばいわゆるエミレスやフィラメント抵抗などを検知して、その検出値の変化により蛍光ランプが交換されたことを判定するなどを行えばよい。そして、蛍光ランプが実際に交換されるまで蛍光ランプを明らかに分かるようなの照度に制御して点灯させたり、所定時間間隔で明滅させたりするように構成することができる。また、蛍光ランプが交換されたら、前記リセット手段を作動させるように構成することができる。
本発明の照明器具は、照明器具本体と;照明器具本体に配設された前記本発明の蛍光ランプ点灯装置と;照明器具本体に配設されるとともに、蛍光ランプ点灯装置により付勢される蛍光ランプと;を具備していることを特徴としている。
本発明において、照明器具は、その用途および構造を問わない。照明器具本体は、照明器具から蛍光ランプ点灯装置および蛍光ランプを除いた残余の部分を意味する。蛍光ランプ点灯装置は、その一部または全体が照明器具本体に装着されているばかりでなく、照明器具本体から離間して配設されていてもよい。
本発明によれば、マイコンにより初期照度補正制御を行うとともに保護回路を具備していて、マイコンのハードウエア故障時に蛍光ランプが初期照度制御値である光出力60%以上で、かつマイコンの出力が0のときと最大値のときとで異なる光出力でそれぞれ点灯を継続することにより、マイコンのハードウエアが故障したときには、いずれの故障であってもその際には初期照度制御値以上の光出力で点灯を継続するので、安全な照明を行う蛍光ランプ点灯装置およびこれを備えた照明装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の蛍光ランプ点灯装置を実施するための第1の形態を示す回路ブロック図である。本形態において、蛍光ランプ点灯装置FOCは、図1に示すように、高周波点灯回路HFO、調光制御回路DCC、保護回路PC、初期照度補正制御回路ICC、リセット手段RSおよびランプ交換判定回路LCDを具備している。なお、図中、符号FLは蛍光ランプ、ACは低周波交流電源である。
高周波点灯回路HFOは、高周波発生回路INVおよび高周波制御回路HCCからなる。高周波発生回路INVは、直流電源、インバータ本体および限流手段を主体として構成されている。直流電源は、低周波交流電源ACの交流電圧を整流、平滑化する整流化直流電源からなる。インバータ本体は、ハーフブリッジ形インバータ主回路などからなる。高周波制御回路HCCは、高周波発生回路INVを所要に制御する回路で、例えば周波数制御またはPWM制御された駆動信号を高周波発生回路INVに供給することにより、高周波発生回路INVを可制御に駆動する。限流手段は、蛍光ランプFLに対して直列に接続される例えばインダクタなどからなる。
調光制御回路DCCは、マイコン内の機能を利用して構成されている。そして、例えば周波数制御またはPWM制御を行うための調光制御信号を点灯制御信号として生成し、さらに保護回路PCを経由して高周波点灯回路HFOの高周波制御回路HCCに制御入力する。これにより、高周波発生回路INVの高周波出力を例えば調光制御信号に応じて変化させることができる。
また、調光制御回路DCCは、調光信号受信部および調光制御信号変換回路などから構成することができる。調光信号受信部は、後述する初期照度補正制御回路から送出されたり、外部制御システムから送信されたりする調光信号を受信して調光制御信号変換回路へ送出する。調光制御信号変換回路は、送出を受けた調光信号を調光制御信号に変換する。なお、調光信号は、例えばPWM制御信号からなり、調光制御信号は所要レベルのPWM制御信号などに変換する。
保護回路PCは、高周波点灯回路HFOの高周波制御回路HCCとマイコン内の調光制御回路DCCとの間にインターフェイスとして介在している。そして、マイコンが正常なときには調光制御回路DCCから出力される調光制御信号を高周波制御回路HCCに必要なレベルに調整したり、インピーダンス変換したりして高周波制御回路HCCへ送出する。しかし、マイコンにハードウエアの故障が発生して調光制御回路DCCの出力が連続0または連続最大値になったときには、保護回路PC内で高周波制御回路HCCに対して初期照度補正制御値である光出力60%以上でマイコンの出力に応じた異なるレベルの故障時調光制御信号が生成され、この故障時調光制御信号が、調光制御回路DCCから送出される調光制御信号に代って、高周波制御回路HCCに供給される。
初期照度補正制御回路ICCは、点灯時間に応じた初期照度補正信号を内容とする調光信号を発生して、これを調光制御回路DCCに送出する。すなわち、初期照度補正制御回路ICCは、マイコンのタイマ機能、メモリ機能、演算機能およびプログラムを主体として構成されていて、蛍光ランプの光束減退曲線に沿った初期照度補正信号からなる調光信号を発生する。タイマ機能は、蛍光ランプFLの点灯時間を例えば低周波交流電源ACの投入時間に基づいて計時する。メモリ機能は、プログラムおよび累積点灯時間に対応する調光度のテーブルデータを記憶する。演算機能は、前回までの累積点灯時間に今回の点灯時間を加算して累積点灯時間を更新し、また累積点灯時間に対応する調光度のテーブルデータを読み出して初期照度補正信号としての調光信号を出力する。
リセット手段RSは、後述するランプ交換判定回路LCDからの指令に基づいて点灯時間タイマのメモリ機能に記録されている累積点灯時間データを削除することによって、初期照度補正制御回路ICCの累積点灯時間の計時をリセットして初期化する。
ランプ交換判定回路LCDは、蛍光ランプFLの交換の有無を判定し、例えば図示のように、蛍光ランプFLにおける一方のフィラメント電極E1におけるフィラメント抵抗を蛍光ランプFLの始動時に検出する。すなわち、点灯するために蛍光ランプ点灯装置FOCの低周波交流電源ACを投入すると、最初に蛍光ランプFLが予熱時となって一対のフィラメント電極E1、E2の予熱が開始される。次に、始動期間になって始動電圧が印加された時に、ランプ交換判定回路LCDは、フィラメント電極E1の両端間におけるフィラメント抵抗の値を検知するとともに、メモリ機能に記憶されている前回検知したときのフィラメント抵抗の値を読み出し、今回検知したフィラメント抵抗値と前回のフィラメント抵抗値とを比較演算する。そして、その演算結果がマイナス(−)、すなわち今回のフィラメント抵抗値が前回の値より小さいときには蛍光ランプFLのランプ交換が行われたと判定する。
次に、第1の形態における回路動作を説明する。以上説明した調光制御回路DCC、初期照度補正制御回路ICC、リセット手段RS、初期照度値可変手段IVOおよびランプ交換判定回路LCDは、共通のマイコンを主体として構成されていて、このマイコンの作用により放電ランプ点灯装置が所定の動作を行う。その結果、蛍光ランプFLは、高周波点灯回路HFOにより高周波点灯される。その際に、初期照度補正制御が行われ、蛍光ランプFLの寿命中を通じて初期照度制御値である例えば70%一定の照度になるように点灯する。
ところで、マイコンにハードウエアの故障が発生した場合、マイコンの出力が連続0または連続最大値になる。このため、調光制御回路DCCからの調光制御信号が連続0になるか、または連続最大値になる。このような状態になると、保護回路PCが作用して故障時調光制御信号を生成する。なお、故障時調光制御信号は、故障時に対応する点灯制御信号である。また、故障時調光制御信号は、例えば蛍光ランプFLが初期照度制御値である70%以上の調光点灯を行うようなレベルに予め設定されている。故障時調光制御信号は、高周波点灯回路HFOの高周波制御回路HCCに制御入力するので、その結果蛍光ランプFLは、上記70%以上で、かつ後述するようにマイコンの故障の態様に応じた異なる光出力で点灯を継続する。
また、初期照度補正制御回路ICCは、蛍光ランプFLの累積点灯時間に応じた直流の調光信号を送出し、調光制御回路DCCに入力する。調光制御回路DCCは、調光信号をPWM制御信号または周波数制御信号に変換し、かつ、保護回路PCを経由して高周波制御回路CCに送出するので、マイコンの正常時には高周波発生回路INVは、調光信号に相当するように制御された高周波出力電圧を出力する。その結果、蛍光ランプFLは、交換した後寿命末期までの間、初期照度が一定に維持された点灯を継続する。
これに対して、低周波交流電源ACを投入したときに、ランプ交換判定回路LCDが上記条件を満足したことで蛍光ランプFLの交換が行われたと判定したときには、リセット手段RSを作動させる。そして、リセット手段RSは、作動して累積点灯時間の計時をリセットする。その結果、初期照度補正制御回路ICCが作用するので、交換後の新しい蛍光ランプFLも引き続いて初期照度補正制御下で所定照度となるような点灯を行う。
なお、ランプ交換判定回路LCDを備えていることにより、電源投入時に蛍光ランプFLのランプ交換が行われなかったと判定した場合には、低周波交流電源ACの上記電源投入に引き続いて所定の予熱および始動が継続して行われるので、蛍光ランプFLはやがて点灯する。そして、初期照度補正制御回路ICCの点灯時間タイマ機能が累積点灯時間を計時する中で蛍光ランプFLの高周波点灯が行われる。
以下、図2ないし図6を参照して本発明の蛍光ランプ点灯装置を実施するためのの詳細について説明する。なお、各図において、図1と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
図2ないし図4は、本発明の蛍光ランプ点灯装置を実施するための第の形態における詳細を示し、図2は蛍光ランプ点灯装置全体の回路ブロック図、図3は保護回路の回路図、図4はオンデューティと光出力の関係を示す調光特性曲線図である。な特徴点は次のとおりである。
すなわち、本形態において、調光制御回路DCCは、PWM制御信号を出力する。また、高周波点灯回路HFOの高周波制御回路HCCは、図4に示すように、オンデューティが大きくなるにしたがって光出力も大きくなる制御を行うように構成されている。
保護回路PCは、図3に示すように構成されている。すなわち、演算増幅器OP、平滑コンデンサC1、電圧分圧回路VDおよび電圧調整回路VRにより構成されている。演算増幅器OPは、一方の入力端子が第1の基準電位源E1に接続し、他方の入力端子が平滑コンデンサC1を経由して電圧分圧回路VDの電圧分割出力端に接続している。電圧分圧回路VDには、第2の基準電位源E2の基準電位が印加される。なお、電圧分圧回路VDは、抵抗器R1、R2の直列回路により形成されている。
電圧調整回路VRは、抵抗器R3からなり、その一端が電圧分圧回路VDの出力端に接続し、他端が調光制御回路DCCの出力端に接続している。
そうして、保護回路PCは、以下のように動作する。すなわち、マイコンの正常時には、調光制御回路DCCの出力端から供給される元の調光制御信号のPWM信号に応じて平滑コンデンサC1の両端間に脈動電圧が現れる。この脈動電圧が演算増幅器OPの他方の入力端子に印加されるので、当該脈動電圧の一方の基準電位E1を超える電圧期間がオンデューティとなったPWM信号が新たな調光制御信号として生成されて演算増幅器OPの出力端子から高周波制御回路HCCへ送出される。
したがって、新たな調光制御信号は、調光制御回路DCCから供給される元の調光制御信号に比例した点灯制御信号すなわち調光制御信号となって高周波制御回路HCCに制御入力するので、所望の初期照度補正制御が行われることになる。
一方、マイコンが故障して調光制御回路DCCの出力端から供給される元の調光制御信号が連続0になると、電圧調整回路VRが開放されるので、電圧分圧回路VDの出力電圧がそのまま演算増幅器OPの他方の入力端子に印加される。電圧分圧回路VDの出力電圧が印加されたときには、初期照度制御値である70%の光出力を生じるような新たな調光制御信号が生成されるように予め回路常数を設定してある。
したがって、保護回路PCで元の調光制御信号に準拠しないで生成された新たな調光制御信号が高周波制御回路HCCに制御入力するので、蛍光ランプFLは、図4に示すよう初期照度制御値である70%の点灯を行う。
他方、マイコンが故障して調光制御回路DCCの出力端から供給される元の調光制御信号が連続最大値になったときには、電圧調整回路VRから最大値の調光制御信号が電圧分圧回路VDの出力端に印加されるので、電圧分圧回路VDの出力電圧が最大値まで上昇する。そして、それに応じて演算増幅器OPの他方の入力端子の電位が上昇するので、演算増幅器OPの出力端子から100%のPWM信号からなる新たな調光制御信号が出力して、蛍光ランプFLは100%点灯を行う。
以上の動作は、図4に示すような調光特性を与える。したがって、マイコンが故障したときには、蛍光ランプFLがマイコンの出力が0のときと最大値のときとで異なる光出力をそれぞれ生じるように点灯するもののいずれの故障であってもその際には補正された初期照度制御値以上となるから、安全な照明を行うことができる。
図5および図6は、本発明の蛍光ランプ点灯装置を実施するための第の形態を示し、図5は保護回路の回路図、図6はオンデューティと光出力の関係を示す調光特性曲線図である。本形態における主な特徴点は次のとおりである。
すなわち、本形態において、高周波点灯回路HFOの高周波制御回路HCCは、図6に示すように、オンデューティが大きくなるにしたがって光出力が小さくなる制御を行うように構成されている。
保護回路PCは、図5に示すように、図3の電圧調整回路VRに代えて反転電圧調整回路IVRを備えている。反転電圧調整回路IVRは、抵抗器R3にトランジスタQ1が直列接続されるとともに、トランジスタQ1のベースが調光制御回路DCCの出力端に接続している。
そうして、反転電圧調整回路IVRが備えられているために、調光制御回路DCCの調光制御信号と保護回路PCから出力されて高周波制御回路HCCに制御入力する調光制御信号は反転し、その結果図6に示すような調光特性が与えられる。
図7は、本発明の照明器具を実施するための一形態を示す中央断面正面略図である。図において、図1と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。照明器具IFは、照明器具本体11、蛍光ランプ点灯装置FOC、リセット手段PBおよび図示を省略している蛍光ランプからなる。
照明器具本体11は、逆富士状をなしていて、下面に反射板11cが着脱可能に装着され、外面に白色系塗装が施され、内部に蛍光ランプ点灯装置FOCを収納しているとともに、その両端部から一対のランプソケット11aが垂下している。なお、蛍光ランプは、本形態においては直管形が用いられており、一対のランプソケット11aの間に装着される。図中、符号11bは照明器具本体11の反射板11cの部分を着脱操作するための反射板取付ねじである。
リセット手段PBは、その操作部が照明器具本体11の下面に露出して配設されていて、例えば作業者などが手動でリセット操作を行うことができる。
本発明の蛍光ランプ点灯装置を実施するための第1の形態を示す回路ブロック図 同じく蛍光ランプ点灯装置全体の回路ブロック図 同じく保護回路の回路図 同じくオンデューティと光出力の関係を示す調光特性曲線図 本発明の蛍光ランプ点灯装置を実施するための第の形態を示す保護回路の回路図 同じくオンデューティと光出力の関係を示す調光特性曲線図 本発明の照明器具を実施するための一形態を示す中央断面正面略図
符号の説明
DCC…調光制御回路、E1、E2…フィラメント電極、FOC…蛍光ランプ点灯装置、FL…蛍光ランプ、HCC…高周波制御回路、HFO…高周波点灯回路、ICC…初期照度補正制御回路、INV…高周波発生回路、IVO…初期照度値可変手段、LCD…ランプ交換判定回路、PC…保護回路、RS…リセット手段

Claims (2)

  1. 蛍光ランプを高周波点灯する高周波点灯回路と;
    高周波点灯回路を制御して蛍光ランプを調光点灯させる調光制御回路と;
    高周波点灯回路を初期照度補正制御するマイコンと;
    マイコンが故障してその出力が0または最大値になった際に蛍光ランプが初期照度制御値である光出力60%以上で、かつマイコンの出力が0のときと最大値のときとで異なる光出力でそれぞれ点灯を継続するように高周波点灯回路に対して点灯制御信号を入力する保護回路と;
    を具備していることを特徴とする蛍光ランプ点灯装置。
  2. 照明器具本体と;
    照明器具本体に配設された請求項1載の蛍光ランプ点灯装置と;
    照明器具本体に配設されるとともに、蛍光ランプ点灯装置により付勢される蛍光ランプと;
    を具備していることを特徴とする照明器具。
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