JP3822790B2 - 陰極線管 - Google Patents

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    • H01J2229/0727Aperture plate

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  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は陰極線管に関する。特に、一方向に張力が付与されて架張されたシャドウマスクを有する陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー陰極線管では、電子銃から射出された電子ビームが、フェイスパネル内面に形成された蛍光体スクリーンを照射して、所望する画像が表示される。蛍光体スクリーンの電子銃側には所定の距離を隔てて、色選択電極として機能するシャドウマスクが設けられる。シャドウマスクには、電子ビームが所定位置の蛍光体を射突するように、多数の略矩形状の開口(電子ビーム通過孔)が配列形成されている。
【0003】
電子ビームがシャドウマスクに衝突すると、シャドウマスクは熱膨張する。これにより開口位置が変化して、開口を通過した電子ビームが所定位置の蛍光体を正しく射突しなくなり、色むらが発生する。このような現象はドーミングと呼ばれている。これを防止するために、温度上昇による熱膨張を吸収する方向の張力をシャドウマスクに予め付与した状態で、シャドウマスクはマスクフレームに架張保持される。このような架張保持により、シャドウマスクの温度が上昇しても、シャドウマスクの開口と蛍光体スクリーンに形成された蛍光体ストライプとの相対的位置ずれを低減することができる。
【0004】
蛍光体スクリーンは、上下方向を長手方向とする略矩形枠状のブラックストライプを配列形成し、次いでブラックストライプの開口内に赤緑青の各色に対応する蛍光体を順に形成することで得られる。ブラックストライプは、上記のように架張されたシャドウマスクをフェイスパネルに取り付けた状態で、シャドウマスクを介した露光工程を経て形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
コンピュータ技術の発展等に伴って、高精細な画像表示が要求されるようになり、表示画素はますますファインピッチ化されつつある。即ち、シャドウマスクの開口幅やブラックストライプの配列ピッチはより高精細なものになりつつある。これに伴い、画面全体において表示画像の色むらが発生するという問題が生じている。
【0006】
本発明者らは、この色むらの原因を検討した結果、それがブラックストライプの開口形状が画面全体において不均一に形成されているためであることを見出した。
【0007】
図10(A)、図10(B)は、フェイスパネル内面に形成されたブラックストライプを模式的に示した部分拡大図である。両図の紙面上下方向は陰極線管の画面の上下方向に一致する。図10(A)は、理想的なブラックストライプの形成パターンを示す。図10(A)に示すように、ブラックストライプが均一な多数の平行なラインからなるライン模様に形成されている場合には、色むらは発生しない。ところが、上記の色むらが発生した陰極線管では、図10(B)に示すように、ラインが周期的に濃淡を有することで、ブラックストライプが市松模様状に形成されていた。
【0008】
更に検討を進めた結果、上記の市松模様状のブラックストライプは、ブラックストライプの形成時に使用するシャドウマスクの開口が設計形状とは異なる形状に変形しているためであることが判明した。
【0009】
図11(A)、図11(B)はマスクフレームに架張保持されたシャドウマスクの開口の部分拡大図である。図11(A)、図11(B)において、矢印Tはシャドウマスクに付与されている張力を示す。
【0010】
図示したように、従来のシャドウマスクにおいては、マスクフレームに架張する前の状態で矩形状に形成された開口の幅(張力Tの付与方向と直交する方向の開口幅)が、マスクフレームにシャドウマスクを張力Tで架張することにより、張力Tの付与方向の略中間部で細くなって、いわゆる「糸巻き状」に変形したり(図11(A))、逆に張力Tの付与方向の略中間部で太くなって、いわゆる「樽状」に変形したり(図11(B))していた。そして、開口がこのように糸巻き状又は樽状に変形すると、図10(B)に示した市松模様のシャドウマスクが形成されてしまうのである。
【0011】
しかも、シャドウマスクの開口がこれらのいずれの状態に変形するかは、陰極線管のサイズ(即ち、シャドウマスクのサイズ)、付与される張力の大きさなどにより、また、同じシャドウマスクであっても画面上の位置(即ち、画面中央部であるか、周辺部であるか)によって異なっていた。
【0012】
このように、本来は画面全体にわたって均一な矩形状であるべきシャドウマスクの開口形状が、シャドウマスクをマスクフレームに架張することによって上記のように種々に変形する。シャドウマスクの開口の形状が画面上の位置によって異なっていると、ブラックストライプも画面内において、ある部分では図10(A)のようなライン模様に形成され、他の部分では図10(B)のような市松模様に形成される。従って、ブラックストライプの開口内に形成される赤緑青の各蛍光体の形状が画面内で異なることとなり、例えば画面中央部と周辺部との間で色むらを生じるという問題が生じていたのである。
【0013】
本発明は、上記の従来の問題を解決し、シャドウマスクを架張した状態において、画面全体の全ての開口を所望するほぼ均一形状にすることにより、色むらの少ない陰極線管を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために以下の構成とする。
【0015】
本発明の陰極線管は、対向して平行に配置された一対の支持体と、多数の開口が配列形成された色選択電極として機能するシャドウマスクとを備え、前記シャドウマスクが前記支持体によって張力を付与された状態で前記支持体に架張保持された陰極線管であって、前記支持体の長手方向と平行な方向において、中央部での前記シャドウマスクに付与される張力は、両端部での前記シャドウマスクに付与される張力より大きく、前記支持体にシャドウマスクが架張される前の状態において、前記開口の前記張力付与方向における中間部の開口幅が、前記支持体の長手方向と平行な方向において中央部から両端部に向かって徐々に小さくなるように、前記開口の形状を変化させてあることを特徴とする。
【0016】
かかる構成によれば、シャドウマスクを架張する前の状態において、張力が付与される方向と直交する方向に、開口形状を変化させたシャドウマスクを用いているので、架張した状態において全面にわたって均一な形状の開口を得ることができる。この結果、色むらの少ない陰極線管を提供することができる。
【0017】
前記支持体にシャドウマスクが架張される前の状態において、前記シャドウマスクの前記支持体の長手方向と平行な方向の幅は、前記張力付与方向の両端部側で広く、中間部で狭いことが好ましい
【0018】
上記開口形状として、例えば、前記支持体にシャドウマスクが架張される前の状態において、前記支持体の長手方向と平行な方向の中央部に形成される前記開口を前記張力付与方向の中間部が太い樽状とし、前記支持体の長手方向と平行な方向の両端部に形成される前記開口を前記張力付与方向の中間部が狭い糸巻き状とすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のカラー陰極線管の断面図を図1に示す。図1に示したカラー陰極線管1は、内面に矩形状の蛍光体スクリーン2aが形成されたフェイスパネル2と、フェイスパネル2の後方に接続されたファンネル3と、ファンネル3のネック部3aに内蔵された電子銃4と、フェイスパネル2の内部に蛍光体スクリーン2aに対向して設けられたシャドウマスク11とを備えている。また、電子銃4から射出された電子ビーム6を偏向させ蛍光体スクリーン2a上を走査させるために、ファンネル3の外周面上に偏向ヨーク5が設けられている。
【0020】
シャドウマスク11は、電子銃4から発射される3本の電子ビーム6に対して色選別の役割を果たすものであり、金属平板に電子ビーム通過孔である略スロット形の開孔がエッチングにより多数形成されている。
【0021】
以下の説明の便宜のために、管軸を通り管軸に直交する水平方向軸をX軸、管軸を通り管軸に直交する上下方向軸をY軸、管軸をZ軸とするXYZ−3次元直交座標系を設定する。
【0022】
図2は、図1のカラー陰極線管1内に設置される、シャドウマスク11とこれを架張保持するマスクフレームとからなるマスク構体10の概略斜視図である。
【0023】
マスク構体10は、断面が略L字状の一対の支持体13a,13bと、中空四角柱状の一対の保持部材14a,14bと、一対の支持体13a,13bにY軸方向の張力Tを付与した状態で架張されたシャドウマスク11とを有する。所定距離だけ離間してX軸方向に平行に配置された一対の支持体13a,13bと、略「コ」字状に変形された一対の保持部材14a,14bとが、略矩形の枠状に組み合わされ、各接合部で溶接されて、マスクフレームを構成する。
【0024】
シャドウマスク11は矩形状と見なしうる形状を有し、その長辺側端部が支持体13a,13bの自由端側端部に溶接される。このとき、一対の支持体13a,13bの自由端側端部に相互に接近する方向の外力を付与しながら、かつ、シャドウマスク11のY軸方向の端部を把持し、Y軸方向に張力を付与しながら、シャドウマスク11を一対の支持体13a,13bに溶接固定することで、シャドウマスク11には図示したように短辺と平行なY軸方向の張力Tが付与された状態で架張される。シャドウマスク11には多数の電子ビーム通過孔である開口12がエッチングにより形成されている。
【0025】
図1に示すように、一対の支持体13a,13bの外周面には板状のスプリング取付部材15が固着され、スプリング取付部材15に板バネ状のスプリング部材16が固定されている。同様に、一対の保持部材14a,14bには板状のスプリング取付部材17が固着され、スプリング取付部材17に板バネ状のスプリング部材18が固着されている。
【0026】
フェイスパネル2の4つの内壁面には、固定ピン7が埋め込まれている。この4つの固定ピン7を、スプリング部材16,18に設けられた孔に嵌入することで、マスク構体10はフェイスパネル2内に設置される。
【0027】
本発明のシャドウマスク11に設けられる開口12は、張力Tでマスク構体10に架張保持された状態で所望する均一な矩形状となるように、架張前に所定の形状に形成されている。
【0028】
以下、これについて説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図3は、対角サイズが29インチの陰極線管に使用される本実施の形態1のシャドウマスクの、架張前の状態を示した正面図である。本実施の形態のシャドウマスクは、X軸方向の両端部が円弧状に窪んだ(即ち、シャドウマスクのX軸方向の幅は、Y軸方向の両端部で広く、中間部で狭い)、いわゆる糸巻き形状を有する。2点鎖線21a,21bはシャドウマスクをマスクフレームに架張する際にシャドウマスクに所定の張力を付与する架張機の把持部分を示す。把持部分21a,21b内の部分は、マスクフレームに架張された後に切り落とされる。図3において、Y軸方向端部におけるX軸方向の長さLh=541mm、シャドウマスクを架張するマスクフレームの一対の支持体(図2の支持体13a,13b)の間隔Wv=410mm、Y軸方向の長さLv=550mm、X軸方向の両端部の円弧の曲率半径R=5000mmである。円弧の中心はX軸上に設けられている。
【0030】
図4は、図3に示したシャドウマスクを図2のようにマスクフレームに架張したときに、シャドウマスクに付与される張力のX軸方向の分布の概略を示した図である。図4において、横軸はX軸方向位置を示し、画面中央部(X軸と管軸との交点)をX=0(mm)とし、X軸の正の方向を画面に向かって右方向として表示している。また、縦軸はX軸上の各地点での張力を示す。図示したように、シャドウマスクに付与される張力は、X軸方向において均一ではなく、画面中央部の方が両側端部より大きい。
【0031】
本実施の形態のシャドウマスクは、このようなX軸方向の張力分布に対応して、架張前の状態における開口形状をX軸方向において以下のように変化させている。
【0032】
マスクフレームに架張前の状態において、図3のX軸方向の中央部5A及び端部5Bにおける開口の形状の詳細をそれぞれ図5(A)及び図5(B)に示す。図示したように、本実施の形態では、X軸方向中央部の領域5Aの開口を、Y軸方向中間部において幅(X軸方向の開口幅)を太くした樽状に形成し、X軸方向両端部の領域5Bの開口を、Y軸方向中間部において幅(X軸方向の開口幅)を細くした糸巻き状に形成し、中央部5Aから端部5Bに至るまでの開口の形状を樽状から糸巻き状に徐々に変化させて形成してある。
【0033】
開口の具体的寸法を示す。
【0034】
図6は、シャドウマスクを架張した状態において目標とする開口の形成状態を示した拡大正面図である。本実施の形態の29インチ陰極線管用のシャドウマスクにおいては、開口はほぼ正確な矩形状であって、そのX軸方向の開口幅W=0.2mm、Y軸方向の開口幅H=10mm、X軸方向の配列ピッチPh=0.8mm、Y軸方向の配列ピッチPv=11mmである。
【0035】
架張前の状態において、図5(A)に示した樽状の開口のX軸方向の最大開口幅、及び図5(B)に示した糸巻き状の開口のX軸方向の最小開口幅をいずれもW0としたとき、X軸方向の開口幅の補正率C(%)を、C=(W0−W)/W×100で定義する。このとき、図5(A)の樽状の開口(図3の中央部5A)及び図5(B)の糸巻き状の開口(図3の端部5B)の各補正率Cは、それぞれ+3%、−5%である。そして、中央部5Aから端部5Bの間の開口の補正率を+3%から−5%まで徐々に変化させてある。なお、Y軸方向端部の開口幅はほぼ一定(中央部5Aに対して端部5Bは1%狭い)である。
【0036】
以上のような開口を形成したシャドウマスクを、図4に示す張力を付与しながら架張して、図2に示すマスク構体10を構成することにより、全面にわたって設計通りの均一な矩形状の開口となることを確認した。更に、このマスク構体10を内蔵した図1の陰極線管10を製造したところ、画面全面にわたって色むらがほとんど認められなかった。
【0037】
(実施の形態2)
図7は、対角サイズが25インチの陰極線管に使用される本実施の形態2のシャドウマスクの、架張前の状態を示した正面図である。本実施の形態のシャドウマスクは、X軸方向の両端部が円弧状に窪んだ(即ち、シャドウマスクのX軸方向の幅は、Y軸方向の両端部で広く、中間部で狭い)、いわゆる糸巻き形状を有する。2点鎖線21a,21bはシャドウマスクをマスクフレームに架張する際にシャドウマスクに所定の張力を付与する架張機の把持部分を示す。把持部分21a,21b内の部分は、マスクフレームに架張された後に切り落とされる。図7において、Y軸方向端部におけるX軸方向の長さLh=487mm、シャドウマスクを架張するマスクフレームの一対の支持体(図2の支持体13a,13b)の間隔Wv=360mm、Y軸方向の長さLv=550mm、X軸方向の両端部の円弧の曲率半径R=2500mmである。円弧の中心はX軸上に設けられている。
【0038】
図8は、図7に示したシャドウマスクを図2のようにマスクフレームに架張したときに、シャドウマスクに付与される張力のX軸方向の分布の概略を、図4と同様の方法で示した図である。図示したように、シャドウマスクに付与される張力は、X軸方向において均一ではなく、画面中央部の方が両側端部より大きい。
【0039】
本実施の形態のシャドウマスクは、このようなX軸方向の張力分布に対応して、架張前の状態における開口形状をX軸方向において以下のように変化させている。
【0040】
マスクフレームに架張前の状態において、図7のX軸方向の中央部9A及び端部9Bにおける開口の形状の詳細をそれぞれ図9(A)及び図9(B)に示す。図示したように、本実施の形態では、X軸方向の中央部の領域9A及び両端部の領域9Bのいずれの開口も、Y軸方向中間部において幅(X軸方向の開口幅)を細くした糸巻き状に形成してある。
【0041】
開口の具体的寸法を示す。
【0042】
シャドウマスクを架張した状態において目標とする矩形状の開口の配列状態を示した図6において、開口のX軸方向の開口幅W=0.2mm、Y軸方向の開口幅H=10.5mm、X軸方向の配列ピッチPh=0.8mm、Y軸方向の配列ピッチPv=11mmである。
【0043】
架張前の状態において、図9(A)及び図9(B)に示した糸巻き状の開口のX軸方向の最小開口幅をいずれもW0としたとき、X軸方向の開口幅の補正率C(%)を、C=(W0−W)/W×100で定義する。このとき、図9(A)の糸巻き状の開口(図7の中央部9A)及び図9(B)の糸巻き状の開口(図7の端部9B)の各補正率Cは、それぞれ−5%、−7%である。そして、中央部9Aから端部9Bの間の開口の補正率を−5%から−7%まで徐々に変化させてある。なお、Y軸方向端部の開口幅はほぼ一定(中央部9Aに対して端部9Bは1%狭い)である。
【0044】
以上のような開口を形成したシャドウマスクを、図8に示す張力を付与しながら架張して、図2に示すマスク構体10を構成することにより、全面にわたって設計通りの均一な矩形状の開口となることを確認した。更に、このマスク構体10を内蔵した図1の陰極線管10を製造したところ、画面全面にわたって色むらがほとんど認められなかった。
【0045】
以上に示した実施の形態1,2の具体例は本発明を説明するための例であって、本発明はこのような数値例に限定されない。本発明者らの検討によれば、図4、図8に示すような分布を有する張力がY軸方向に付与されるシャドウマスクにおいては、架張前の状態で、Y軸方向中間部の開口幅が、X軸方向において中央部から両端部に向かって徐々に小さくなるように(即ち、上記の補正率CがX軸方向において中央部から両端部に向かって徐々に小さくなるように)開口を形成するのが好ましい。このとき、開口のY軸方向の両端部における開口幅は、X軸方向においてほぼ一定である。従って、具体的な態様としては、上記の実施の形態1、2の他に、X軸方向中央部及び両端部の開口をいずれも樽状とし、その最大開口幅をX軸方向において中央部から両端部に向かって徐々に小さくなるように形成した態様であっても良い。いずれの態様とするかは、シャドウマスクの各部のサイズ、付与される張力の大きさ及び分布などを考慮して選択すればよい。
【0046】
また、図3及び図7に示したように、張力付与方向の中間部の幅を狭くした、糸巻き状の外形形状を有するシャドウマスクとすることにより、図4及び図8と同様の、張力付与方向と直交する方向において、中央部で最大となり、両端部に向かって徐々に小さくなる張力分布となる。
【0047】
なお、上記の例では、シャドウマスクの短辺方向に張力を付与する場合を説明したが、長辺方向に張力を付与する場合にも本発明を適用することができる。この場合には、短辺方向の中央部と両端部との間で開口形状を上記のように徐々に変化させればよい。この場合、走査線方向は短辺方向となり、シャドウマスクの開口の長軸方向は長辺方向となることは言うまでもない。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、シャドウマスクを架張する前の状態において、張力が付与される方向と直交する方向に、開口形状を変化させたシャドウマスクを用いているので、架張した状態において全面にわたって均一な形状の開口を得ることができる。この結果、色むらの少ない陰極線管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のカラー陰極線管の管軸に沿った断面図である。
【図2】 図1のカラー陰極線管内に設置されるマスク構体の概略斜視図である。
【図3】 対角サイズが29インチの陰極線管に使用される本発明の実施の形態1のシャドウマスクの架張前の状態を示した正面図である。
【図4】 本発明の実施の形態1のシャドウマスクに付与される張力のX軸方向の分布を示した図である。
【図5】 図5(A)及び図5(B)は、本発明の実施の形態1のシャドウマスクを架張する前の状態において、X軸方向の中央部及びX軸方向の端部における開口の形状を示した拡大図である。
【図6】 シャドウマスクを架張した状態において目標とする開口の形成状態を示した拡大正面図である。
【図7】 対角サイズが25インチの陰極線管に使用される本発明の実施の形態2のシャドウマスクの架張前の状態を示した正面図である。
【図8】 本発明の実施の形態2のシャドウマスクに付与される張力のX軸方向の分布を示した図である。
【図9】 図9(A)及び図9(B)は、本発明の実施の形態2のシャドウマスクを架張する前の状態において、X軸方向の中央部及びX軸方向の端部における開口の形状を示した拡大図である。
【図10】 図10(A)は理想的なライン模様のブラックストライプの形成パターンを示した拡大図、図10(B)は市松模様のブラックストライプの形成パターンを示した拡大図である。
【図11】 従来の陰極線管において、シャドウマスクの開口の変形状態を示した拡大正面図であり、図11(A)は糸巻き状に変形した開口を、図11(B)は樽状に変形した開口をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1 カラー陰極線管
2 フェイスパネル
2a 蛍光体スクリーン
3 ファンネル
3a ネック部
4 電子銃
5 偏向ヨーク
6 電子ビーム
7 固定ピン
10 マスク構体
11 シャドウマスク
12 開口
13a,13b 支持体
14a,14b 保持部材
15,17 スプリング取付部材
16,18 スプリング部材

Claims (3)

  1. 対向して平行に配置された一対の支持体と、多数の開口が配列形成された色選択電極として機能するシャドウマスクとを備え、前記シャドウマスクが前記支持体によって張力を付与された状態で前記支持体に架張保持された陰極線管であって、
    前記支持体の長手方向と平行な方向において、中央部での前記シャドウマスクに付与される張力は、両端部での前記シャドウマスクに付与される張力より大きく、
    前記支持体にシャドウマスクが架張される前の状態において、前記開口の前記張力付与方向における中間部の開口幅が、前記支持体の長手方向と平行な方向において中央部から両端部に向かって徐々に小さくなるように、前記開口の形状を変化させてあることを特徴とする陰極線管。
  2. 前記支持体にシャドウマスクが架張される前の状態において、前記シャドウマスクの前記支持体の長手方向と平行な方向の幅は、前記張力付与方向の両端部側で広く、中間部で狭い請求項1に記載の陰極線管。
  3. 前記支持体にシャドウマスクが架張される前の状態において、前記支持体の長手方向と平行な方向の中央部に形成される前記開口は前記張力付与方向の中間部が太い樽状であり、前記支持体の長手方向と平行な方向の両端部に形成される前記開口は前記張力付与方向の中間部が細い糸巻き状である請求項1に記載の陰極線管。
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