JP3822676B2 - アミンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、 PSH−3、MCM−22、SSZ−25の形式のゼオライトまたはこれらの混合物の存在下で、高めた温度および圧力で、アンモニアまたは第一級または第二級アミンをオレフィンと反応させることによりアミンを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オレフィンをアミノ化する方法に関する概要は、“Functionalisation of Alkenes.Catalytic Amination of Monoolefins”,J.J.Brunet et al.J.Mol.Catal.49,(1989)235〜259頁に記載されている。
【0003】
原則的に2つの触媒作用機構が存在する。オレフィンが金属錯体を介して配位結合する。この活性化した種類は求核性アミンを捕捉し、高アミノ化した生成物を形成することができる。このアミンは酸中心または金属中心で(金属アミドを介して)化学吸着し、こうして活性化してオレフィンと反応することができる。
【0004】
ゼオライトはきわめて適した触媒である。これは大きな表面積と組み合わせた多数の触媒活性中心を有する。前記のゼオライトは形式および後処理(例えば熱処理、脱アルミ化、酸処理、金属イオン交換等)において異なる。これに関する例は米国特許第4375002号明細書、米国特許第4536602号明細書、欧州特許公開第305564号明細書、欧州特許公開第101921号明細書およびドイツ特許公開第4206992号明細書に記載されている。
【0005】
欧州特許公開第133938号明細書、欧州特許第431451号明細書および欧州特許第132736号明細書から、オレフィンからアミンを製造するためにホウケイ酸塩、ガリウムケイ酸塩、アルミノケイ酸塩および鉄ケイ酸塩ゼオライトを使用し、これらのゼオライトにアルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属をドープする可能性を示唆する方法が公知である。
【0006】
カナダ特許公開第2092964号明細書から、オレフィンからアミンを製造する方法が公知であり、この方法では5Åより大きい孔経を有する決められた組成の結晶質アルミノケイ酸塩として定義されたBETAゼオライトを使用する。有利には金属またはハロゲンで変性したBETAゼオライトを使用する。
【0007】
この触媒に接触してオレフィンからアミンを製造するすべての方法は低いアミン収率または少ない空−時収率を有するかまたは触媒の急速な失活を生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の課題は、前記の欠点を取り除くことであった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、一般式I:
【0010】
【化4】
【0011】
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ、水素原子、C1〜C20−アルキル、C2〜C20−アルケニル、C2〜C20−アルキニル、C3〜C20−シクロアルキル、C4〜C20−アルキルシクロアルキル、C4〜C20−シクロアルキルアルキル、アリール、C7〜C20−アルキルアリールまたはC7〜C20−アラルキルを表すかまたは
R1およびR2は一緒に飽和または不飽和のC3〜C9−アルキレン二鎖を表し、かつ
R3またはR5はC21〜C200−アルキル、C21〜C200−アルケニルを表すかまたは一緒にC2〜C12−アルキレン二鎖を表す]で表されるアミンを、一般式II:
【0012】
【化5】
【0013】
[R3、R4、R5およびR6は前記のものを表す]で表されるオレフィンと、一般式III:
【0014】
【化6】
【0015】
[R1およびR2は前記のものを表す]で表されるアンモニアまたは第一級または第二級アミンとを、温度200〜350℃および圧力100〜300バールで不均一触媒の存在下で反応させることにより製造する新規の改良された方法により解決され、この方法は、不均一触媒としてPSH−3、MCM−22、SSZ−25の形式のゼオライトまたはこれらの混合物を使用することを特徴とする。
【0016】
本発明の方法は以下のように実施することができる。
【0017】
オレフィンIIとアンモニアまたは第一級または第二級アミンIIIを、例えば圧力反応器中で、触媒としてPSH−3、MCM−22、SSZ−25の形式のゼオライトまたはこれらの混合物の存在下で温度200〜350℃、有利には220〜330℃、特に有利には230〜320℃および圧力100〜300バール、有利には120〜300バール、特に有利には140〜290バールで反応させ、有利には得られたアミンを分離し、未反応の装入物質を回収することができる。
【0018】
本発明の方法は、高い選択率および高い空−時収率と結びついたきわめて良好な収率によりすぐれている。更に触媒の失活が抑制される。
【0019】
本発明の方法は、アンモニアまたはアミン過剰が少なくても所望の反応生成物に関する高い選択率が達成され、使用されるオレフィンの二量化および/またはオリゴマー化が回避されることによりすぐれている。
【0020】
本発明の方法の1つの実施態様においては、アンモニアおよび/またはアミンIIIをオレフィンIIと一緒にモル比1:1〜5:1で混合し、固定床反応器に供給し、圧力100〜300バールおよび温度200〜350℃で気相中でまたは超臨界状態で反応させる。
【0021】
反応流出物から公知方法、例えば蒸留または抽出を用いて所望の生成物を取得することができ、必要な場合はほかの分離操作を用いて所望の純度にすることができる。未反応の装入物質を一般に有利には反応器に供給する。
【0022】
出発物質として1個以上の二重結合のあるオレフィンII、特に2〜10個のC原子を有するオレフィンまたはその混合物およびポリオレフィンを使用することができる。顕著でない重合傾向のためにモノオレフィンがジ−およびポリオレフィンより適しているが、後者は多くの過剰のアンモニアまたはアミンを用いて同様に選択的に反応することができる。平衡の位置、従って所望のアミンへの転化率は選択された反応圧力にきわめて強く依存する。付加生成物には高圧が有利であるが、一般には工業的および経済的な理由から300バールまでの圧力範囲が最適である。反応の選択率はアンモニア/アミン過剰および触媒の量に、および温度に著しく影響される。温度を高めるとともに付加反応の反応速度が著しく上昇するが、同時に競合するオレフィンの分解反応および再結合反応が促進される。更に熱力学的見地から温度の上昇は不利である。転化率および選択率に関する温度最適の位置はオレフィン、使用されるアミンおよび触媒の構造に依存し、たいていは200〜350℃の範囲内である。
【0023】
オレフィンをアミノ化する触媒としてPSH−3、MCM−22、SSZ−25の形式のゼオライトまたはこれらの混合物が適しており、例えばStud.Surf.Sci.Catal.84,331〜338(1994)から公知であるMCM−22ゼオライトが有利である。
【0024】
米国特許第4954325号明細書からZSM−12の孔分布とBETAゼオライトの孔分布の間の孔分布を有する名称MCM−22のゼオライトが公知である。米国特許第4439409号明細書からこのようなMCM−22ゼオライトは名称PSH−3として公知であり、欧州特許公開第231019号明細書からきわめて類似のX線回折図を有して名称SSZ−25として公知である。
【0025】
本発明のゼオライトMCM−22、PSH−3およびSSZ−25はそのまま成形することができ、または98:2重量%〜40:60重量%の比で結合剤を使用して成形し、押出物または錠剤を生じることができる。結合剤として種々の酸化アルミニウム、有利にはベーマイト、SiO2/Al2O3比25:75〜95:5を有する無定形のアルミノケイ酸塩、二酸化ケイ素、有利には高分散SiO2、高分散SiO2および高分散Al2O3からなる混合物、高分散TiO2および粘土が適している。成形後押出物またはプレス成形品を有利には110℃で16時間乾燥させ、200〜500℃で2〜16時間焼成し、その際焼成をアミノ化反応器中で直接行うこともできる。
【0026】
選択率、持続時間および可能な再生の数を高めるために、本発明のゼオライト触媒MCM−22、PSH−3およびSSZ−25の種々の変形を行うことができる。
【0027】
触媒を変性する1つの方法は、未成形のまたは成形したゼオライトをアルカリ金属、例えばNaおよびK、アルカリ土類金属、例えばCa、Mg、土類金属、例えばTl、遷移金属、例えばTi、Zr、Mn、Fe、Mo、Cu、Zn、Cr、貴金属および/または希土類金属、例えばLa、CeまたはYでイオン交換またはドープすることからなる。
【0028】
有利な実施態様は、成形した本発明のゼオライトMCM−22、PSH−3およびSSZ−25を流動管に入れ、20〜100℃で、例えば前記金属のハロゲン化物、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩または硝酸塩を溶解した形で更に導入することからなる。この種のイオン交換は、例えば本発明のゼオライトMCM−22、PSH−3およびSSZ−25の水素の形、アンモニウムの形およびアルカリ金属の形で行うことができる。
【0029】
本発明のゼオライトMCM−22、PSH−3およびSSZ−25に金属を被覆するほかの方法は、前記物質に、例えば水溶液またはアルコール溶液の形の前記金属のハロゲン化物、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、硝酸塩または酸化物を含浸させることからなる。
【0030】
イオン交換および含浸に続いて乾燥、選択的に再び焼成を行うことができる。MCM−22、PSH−3およびSSZ−25の形式の金属をドープしたゼオライトの場合は水素および/または水蒸気で後処理することが有利である。
【0031】
変性のほかの方法は、成形したまたは未成形の本発明のゼオライトMCM−22、PSH−3およびSSZ−25を酸、例えば塩酸(HCl)、フッ化水素酸(HF)、硫酸(H2SO4)、リン酸(H3PO4)またはシュウ酸(HO2C−CO2H)で処理することからなる。
【0032】
有利な実施態様は、本発明のゼオライトMCM−22、PSH−3およびSSZ−25を成形の前に還流下で前記の酸0.001N〜2N、有利には0.05N〜0.5Nで1〜100時間処理することからなる。濾過および洗浄後、一般に100〜160℃で乾燥し、200〜600℃で焼成する。ほかの有利な実施態様は、本発明のゼオライトMCM−22、PSH−3およびSSZ−25を結合剤を使用して成形後、酸で処理することからなる。この場合に本発明のゼオライトを一般に60〜80℃で1〜3時間、濃度3〜25%、特に濃度12〜20%の酸で処理し、引き続き洗浄し、100〜160℃で乾燥し、200〜600℃で焼成する。
【0033】
ほかの変性の方法は、アンモニウム塩、例えばNH4Clまたはモノ−、ジ−またはポリアミンで交換することにより行われる。この場合に結合剤を使用して成形したゼオライトを一般に60〜80℃で濃度10〜25%、有利には濃度20% NH4Cl溶液で2時間、連続的に1:15の重量のゼオライト/塩化アンモニウム溶液中で交換し、その後100〜120℃で乾燥する。
【0034】
本発明のゼオライトに実施できるほかの変性は、アルミニウム原子の一部を珪素と交換するかまたは例えば熱水処理によりゼオライトのアルミニウム含量を減少する脱アルミ化である。熱水脱アルミ化に続いて、形成された非格子アルミニウムを除去するために、有利には酸または錯形成剤で抽出する。アルミニウムと珪素の交換は、例えば(NH4)2SiF6またはSiCl4を用いて行うことができる。Yゼオライトの脱アルミ化の例は、Corma et al.Stud.Surf,Sci.Catal.37(1987)495〜503頁に記載されている。
【0035】
触媒は例えば1〜4mmの直径を有する押出物としてまたは例えば3〜5mmの直径を有する錠剤としてオレフィンのアミノ化に使用することができる。
【0036】
例えば押出物に成形した触媒から粉砕およびふるいにより0.1〜0.8mmの大きさの流動可能な物質が得られる。
【0037】
化合物I、IIおよびIII中の置換基は以下のものを表す。
【0038】
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は
水素原子、
C1〜C20−アルキル、有利にはC1〜C12−アルキル、特に有利にはC1〜C8−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチルおよびイソオクチル、
C2〜C20−アルケニル、有利にはC2〜C12−アルケニル、特に有利にはC2〜C8−アルケニル、例えばビニルおよびアリル、
C2〜C20−アルキニル、有利にはC2〜C8−アルキニル、特にC2Hおよびプロパルギル、
C3〜C20−シクロアルキル、有利にはC3〜C12−シクロアルキル、特に有利にはC5〜C8−シクロアルキル、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル、
C4〜C20−アルキルシクロアルキル、有利にはC4〜C12−アルキルシクロアルキル、特に有利にはC5〜C10−アルキルシクロアルキル、
C4〜C20−シクロアルキルアルキル、有利にはC4〜C12−シクロアルキルアルキル、特に有利にはC5〜C10−シクロアルキルアルキル、
アリール、例えばフェニル、1−ナフチルおよび2−ナフチル、特にフェニル、
C7〜C20−アルキルアリール、有利にはC7〜C16−アルキルアリール、特にC7〜C12−アルキルフェニル、例えば2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−エチルフェニル、3−エチルフェニルおよび4−エチルフェニル、
C7〜C20−アラルキル、有利にはC7〜C16−アラルキル、特に有利にはC7〜C12−フェンアルキル、例えばフェニルメチル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチルを表すかまたは、
R1およびR2は
一緒に飽和または不飽和のC3〜C9−アルキレン二鎖、有利には−(CH2)4−、−(CH2)5−、−(CH2)7−および−CH=CH−CH=CH−を表し、
R3またはR5は
C21〜C200−アルキル、有利にはC40〜C200−アルキル、例えばポリブチル、ポリイソブチル、ポリプロピル、ポリイソプロピルおよびポリエチル、特に有利にはポリブチルおよびポリイソブチル、
C21〜C200−アルケニル、有利にはC40〜C200−アルケニル、特に有利にはC70〜C170−アルケニルを表すかまたは
R3およびR5は
一緒にC2〜C12−アルキレン二鎖、有利にはC3〜C8−アルキレン二鎖、特に有利には−(CH2)3−、−(CH2)4−、−(CH2)5−、−(CH2)6−および−(CH2)7−、特に−(CH2)3−および−(CH2)4−を表す。
【0039】
【実施例】
例
触媒の製造
MCM−22 30gをベーマイト20gおよびギ酸1gと混合し、ニーダー中で圧縮し、水52mlを添加しながら45分間混練した。押出機中で成形圧力40バールで2mmの押出物を製造し、120℃で16時間乾燥し、引き続き500℃で16時間焼成した。
【0040】
アミノ化の例
管型反応器(内径6mm)中で等温条件下で260〜300℃および圧力280バールで、モル比1:1.5のイソブテンおよびアンモニアからなる混合物を用いて実験を実施した。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析した。
【0041】
結果を第1表に記載した。
【0042】
Claims (11)
- 一般式I:
R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ、水素原子、C1〜C20−アルキル、C2〜C20−アルケニル、C2〜C20−アルキニル、C3〜C20−シクロアルキル、C4〜C20−アルキルシクロアルキル、C4〜C20−シクロアルキルアルキル、アリール、C7〜C20−アルキルアリールまたはC7〜C20−アラルキルを表すかまたは
R1およびR2は一緒に飽和または不飽和のC3〜C9−アルキレン二鎖を表し、かつ
R3またはR5はそれぞれC21〜C200−アルキル、C21〜C200−アルケニルを表すかまたは一緒にC2〜C12−アルキレン二鎖を表す]で表されるアミンを、一般式II:
- 形成されたアミンIを分離し、未反応の装入物質IIおよびIIIを回収する請求項1記載の方法。
- オレフィンIIとしてイソブテン、ジイソブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンまたはポリイソブテンを使用する請求項1または2記載の方法。
- 不均一触媒としてH形のPSH−3、MCM−22、SSZ−25の形式のゼオライトまたはこれらの混合物を使用する請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
- 不均一触媒として特に塩酸、フッ化水素酸、硫酸、リン酸、シュウ酸またはこれらの混合物の群から選択される酸で処理したPSH−3、MCM−22、SSZ−25の形式のゼオライトまたはこれらの混合物を使用する請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
- 不均一触媒として1種以上の遷移金属をドープしたPSH−3、MCM−22、SSZ−25の形式のゼオライトまたはこれらの混合物を使用する請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
- 不均一触媒として1種以上の希土類元素をドープしたPSH−3、MCM−22、SSZ−25の形式のゼオライトまたはこれらの混合物を使用する請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
- 不均一触媒としてアンモニウム形のPSH−3、MCM−22、SSZ−25の形式のゼオライトまたはこれらの混合物を使用する請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
- 不均一触媒としてアルカリ金属、アルカリ土類金属または土類金属の群から選択される1種以上の元素をドープしたPSH−3、MCM−22、SSZ−25の形式のゼオライトまたはこれらの混合物を使用する請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
- 不均一触媒として結合剤を用いて成形し、かつ温度200〜600℃で焼成したPSH−3、MCM−22、SSZ−25の形式のゼオライトまたはこれらの混合物を使用する請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
- 不均一触媒として脱アルミ化したPSH−3、MCM−22、SSZ−25の形式のゼオライトまたはこれらの混合物を使用する請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
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