JP3822400B2 - 走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、
STM(Scanning Tunneling Microscope 走査型トンネル顕微鏡)、
AFM(Atomic Force Microscope 原子間力顕微鏡)、
UHV(Ultra High Vacuum)−STM(超高真空走査型トンネル顕微鏡)、
UHV(Ultra High Vacuum)−AFM(超高真空原子間力顕微鏡)
等のSPM(Scanning Probe Microscope 走査型プローブ顕微鏡)に関する。
【0002】
【従来の技術】
前記UHV(超高真空)下でのSTM(走査型トンネル顕微鏡)等のSPM(走査型プローブ顕微鏡)は、プローブ(探針)を試料表面に近づけることにより得られるトンネル電流を利用して表面の凹凸の情報を得たり、試料表面の原子配列等の情報を得るために使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記SPM(走査型プローブ顕微鏡)の性能は使用するプローブにより左右される。したがってSPMの性能を向上させるためには、次の特性を有するプローブが望まれる。
(1)先端が鋭く尖ったプローブ。
(2)不純物が付着していないプローブ。
(3)電子の放出量を容易に調節できるプローブ。
【0004】
本発明は、前述の問題点に鑑み、下記の記載内容(O01)〜(O03)を課題とする。
(O01)プローブの先端を非常に鋭く尖らせること。
(O02)プローブについた不純物を排除(クリーニング)すること。
(O03)プローブからの電子の放出量を容易に調節できるようにすること。
【0005】
【課題を解決するための手段】
次に、前記課題を解決した本発明を説明するが、本発明の要素には、後述の実施例の要素との対応を容易にするため、実施例の要素の符号をカッコで囲んだものを付記する。
また、本発明を後述の実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
【0006】
(本発明)
前記課題を解決するために、本発明の走査型プローブ顕微鏡は、次の要件(A01)〜(A 06 )を備えたことを特徴とする、
(A01)試料に対して接近または離隔する方向である接近離隔方向に移動調節可能なスキャナ支持部材(47)、
(A02)前記スキャナ支持部材(47)にスキャナ基端部が支持された圧電体製のスキャナ(52)、
(A03)前記スキャナ(52)の先端部に碍子基端部が支持された絶縁碍子(54)と、前記絶縁碍子(54)先端部において互いに離れた位置に支持された一対の給電端子(55,56)と、前記絶縁碍子(54)先端部に設けたホルダ装着部(57)とを有するプローブホルダ装着部材(53)、
(A04)前記ホルダ装着部(57)に着脱可能に装着される被装着部(60a)と、前記被装着部(60a)が前記ホルダ装着部(57)に装着されたときに前記一対の給電端子(55,56)にそれぞれ電気的に接続されるとともに先端部にプローブ連結部(63,68)がそれぞれ設けられた一対の導電性ワイヤ(62,67)とを有するプローブホルダ(PH)、
(A05)前記プローブ連結部(63,68)に両端部が保持された発熱用ワイヤ(P1)と、前記発熱用ワイヤ(P1)の中央部に支持されたプローブワイヤ(P2)とを有するプローブ(P)、
(A 06 )1000℃以上に加熱した状態で前記プローブ(P)の先端部に高電圧を印加することにより前記先端部を尖らせる手段。
【0007】
(本発明の作用)
前記構成を備えた本発明の走査型プローブ顕微鏡では、スキャナ支持部材(47)は、試料に対して接近または離隔する方向である接近離隔方向に移動調節される。前記スキャナ支持部材(47)は圧電体製のスキャナ(52)のスキャナ基端部を支持する。
前記スキャナ(52)はその先端部に、プローブホルダ装着部材(53)の絶縁碍子(54)の基端部を支持する。前記絶縁碍子(54)の先端部の互いに離れた位置には一対の給電端子(55,56)が装着される。前記絶縁碍子(54)先端部に設けたホルダ装着部(57)には、プローブホルダ(PH)の被装着部(60a)が着脱可能に装着される。
プローブホルダ(PH)の一対の導電性ワイヤ(62,67)の先端部のプローブ連結部(63,68)は、前記被装着部(60a)が前記ホルダ装着部(57)に装着されたときに前記一対の給電端子(55,56)にそれぞれ電気的に接続される。
プローブ(P)の発熱用ワイヤ(P1)の両端部は、前記プローブ連結部(63,68)に保持される。前記発熱用ワイヤ(P1)の中央部にはプローブワイヤ(P2)が支持される。
前記プローブ(P)の先端部を尖らせる手段は、1000℃以上に加熱した状態で前記プローブ(P)の先端部に高電圧を印加することにより前記プローブ(P)の先端部を尖らせる。
【0008】
したがって、前記絶縁碍子(54)先端部に設けたホルダ装着部(57)に、プローブホルダ(PH)の被装着部(60a)を装着すると、前記給電端子(55)は、導電性ワイヤ(62)、プローブ(P)の発熱用ワイヤ(P1)、導電性ワイヤ(67)、および給電端子(56)に順次接続される。
この状態で、給電端子(55)および(56)間に給電することにより、プローブ(P)に給電することができる。このため、プローブ(P)の発熱用ワイヤ(P1)に電流を流して発熱させ、プローブワイヤ(P1)を加熱することができる。プローブワイヤ(P1)を1000℃以上に加熱した状態で、10Kv程度の高電圧や3Kv程度のパルス電圧をプローブ(P)に印加することができる。前記1000℃以上に加熱することによりプローブ(P)のクリーニングを行うことができる。
【0009】
また、1000℃以上に加熱した状態で、10Kv程度の高電圧をプローブ(P)に印加することによりプローブ(P)の先端を尖らせることができる。また、1000℃以上に加熱した状態で、3Kv程度のパルス電圧をプローブ(P)に印加することにより電子が出易い状態とすることができるので、プローブ(P)先端の温度を変化させることにより、電子のエネルギ分布の解析ができる。
また、スキャナ(52)は絶縁碍子(54)によって高電圧から守られており、また、熱的にも絶縁されている。
前記プローブホルダ(PH)を支持するスキャナ(52)はプローブホルダ(PH)に保持されたプローブ(P)の先端を、前記試料ステージに保持された試料表面に接近させて、試料の表面を走査する。
【0010】
【発明の実施の形態】
(実施例)
次に図面を参照しながら本発明の走査型プローブ顕微鏡の実施の形態の具体例(実施例)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において互いに直交する矢印X,Y,Zの方向に直交座標軸X軸、Y軸、Z軸を定義し、X方向と逆向きは−X方向、Y方向と逆向きは−Y方向、Z方向と逆向きは−Z方向とする。また、X方向及び−X方向を含めてX軸方向といい、Y方向及び−Y方向を含めてY軸方向といい、Z方向及び−Z方向を含めてZ軸方向ということにする。
さらに図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
【0011】
(実施例1)
図1は本発明の走査型プローブ顕微鏡の実施例1の全体説明図である。
図2は実施例1のステージユニットの要部拡大図である。
図3は実施例1のステージユニットの拡大平面図で、図1の矢印 IIIから見た図である。
図4は前記図3の IV− IV線断面図である。
図5は実施例1の試料ステージの位置調整部材の説明図で図2のV−V線断面図である。
図6は実施例1のスライドベースの位置決め部材の説明図である。
【0012】
図1において、走査型プローブ顕微鏡SPMを収容する真空試料室A1を形成する外壁1には、Z側部分に仕切弁2を介して試料交換室A2が接続され、−Z側部分にステージ支持フランジ3が設けられ、上側に昇降ロッド支持フランジ4および観察窓6が設けられている。
【0013】
前記試料交換室A2の外壁(図示せず)には、試料ホルダ搬送部材7がZ軸方向に進退移動可能に支持されている。前記ホルダ搬送部材7は試料ホルダSHを、前記仕切弁2を通って真空試料室A1および試料交換室A2間で搬送する。
前記真空試料室A1内に配置された大ベース8は前記ステージ支持フランジ3の内側に支持されている。前記大ベース8上に、4個の防振ユニット9を介して小ベース10が支持されている。大ベース8および小ベース10にはそれぞれ位置決め部材貫通口8aおよび10aが形成されている。
【0014】
(試料ステージ)
前記図2〜図4に示すように、前記小ベース10の先端部(Z側端部)には、小ベース10と一体に構成された試料ステージ支持部材16が設けられている。試料ステージ支持部材16は、中央部に形成された1個の試料ホルダ貫通孔16aと、その外側に形成された3個のサポート挿入孔16bとを有している。前記3個のサポー卜挿入孔16bにはそれぞれ、−Z側の側面からサポート17が挿入されている。
また、試料ステージ支持部材16にはその外側面に3個のバネ支持部材18が固定されている。
前記試料ステージ支持部材16の−Z側には試料ステージTが配置されている。試料ステージTは試料ステージ本体21を有しており、ステージ本体21には中央に試料ホルダ装着孔21aが形成されている。
【0015】
図4において試料ステージ本体21のZ側の側面には前記3個のサポート17の先端がそれぞれ当接する3個の当接凹部21bが設けられている。
またステージ本体21の−Z側の側面には、2個のレバー収容凹部21c,21cが形成されている。前記レバー収容凹部21c,21cの上端にはそれぞれ円柱状被支持部材22,22が固定されている。
【0016】
前記ステージ本体21の外周部には3個のバネ支持部材23が固定されている。ステージ本体21の3個のバネ支持部材23および前記試料ステージ支持部材16の3個のバネ支持部材18はそれぞれ引張バネ24により連結されている(図2、図3参照)。
したがって、前記試料ステージTのステージ本体21は、3本の前記引張バネ24により試料ステージ支持部材16の方向(Z方向)に引張られた状態で、前記当接凹部21bに当接する前記サポート17の先端により試料ステージ支持部材16に支持されている。そのため、試料ステージ本体21はZ軸に垂直な平面(XY平面)内で移動可能である。
【0017】
図3、図4において、小ベース10上には、前記試料ステージTの両側に隣接してそれぞれステージ調節レバー支持部材25,25が配置されており、一対のステージ調節レバー支持部材25,25はそれぞれレバー支持部材本体26およびそれにネジで固定されたカバー27を有している。一対のレバー支持部材本体26,26は、小ベース10(図3参照)に固定されており、また、互いに対向する面および−Z側の側面に開口するレバー収容凹部26a,26aを有している。図3においてレバー収容凹部26aの−Z側の側面の開口はカバー27により閉塞されている。
試料ステージ本体21を支えるステージ調節レバー支持部材25,25はZ軸方向に延びる鉛直平面に対して互いに面対称に配置されており、一方にはX軸用ステージ調節レバーLXが水平軸回りに回転可能に支持され、他方にはY軸用ステージ調節レバーLYが水平軸回りに回転可能に支持されている。
前記X軸用およびY軸用ステージ調節レバーLX,LYはL型レバーであり、前記レバー収容凹部21c内に延びて円柱状被支持部材22下面を支持するステ一ジ支持部LXa,LYaと下方に延びる被操作部LXb,LYbとを有している。
【0018】
前記ステージ調節レバーLX,LYの被操作部LXb,LYbの下端部は前記小ベース10下方に突出している。
小ベース10の下面には水平回転レバー28,29(図4,図5参照)が支持されている。水平回転レバー28,29の操作端28a,29aはステージ調節レバーLX,LYの被操作部LXb,LYb下端に当接している。
図5において、水平回転レバー28の被操作部28bにはZ方向に移動するX軸用位置制御ロッド31の先端が当接し、水平回転レバー29の被操作部29bにはZ方向に移動するY軸用位置制御ロッド32の先端部(Z側の端部)が当接している。
前記X軸用位置制御ロッド31およびY軸用位置制御ロッド32は、前記ステージ支持フランジ3の外側面に支持されたステージ位置制御モータユニットMXおよびMY(図3、図5参照)が回転したときにZ軸方向に移動可能に構成されている。なお、前記ステージ位置制御モータユニットMXおよびMYが回転したときにZ軸方向に移動可能な構成は従来周知の種々の構成を採用可能である。
【0019】
図4において試料ステージTは、円柱状被支持部材22下面を支持するステージ支持部LXa,LYaに支持されており、また、ステージ位置決め用引張バネ41により大ベース8に向けて引っ張られている。
したがって図4において、ステージ位置制御モータユニットMX,MYの回転駆動により、前記X,Y軸用位置制御ロッド31,32がZ軸方向に移動すると、水平回転レバー28,29およびステージ調節レバーLX,LYが回転する。このとき、図4から分かるように、円柱状被支持部材22下面を支持するステージ支持部LXa,LYaが上下方向に回転し、試料ステージTのXY平面(Z軸に垂直な平面)内の位置が調節される。
【0020】
(プローブステージ)
前記小ベース10にはZ軸方向に延びるレール(図示せず)によりスライドベース35(図3参照)が移動可能に支持されている。
前記スライドベース35はその−Z側端部が連結レバー37に連結されており、前記連結レバー37はベース粗動用ロッド38に連結されている。ベース粗動用ロッド38は手動操作部材39によりZ軸方向に移動(粗動)可能である。
【0021】
スライドベース35はそれぞれ、2本の引張バネ41,41によりZ方向に引っ張られており、且つ、前記スライドベース35に当接する位置決め部材43により位置決めされている。
図2、図6において、小ベース10の下面の位置決め部材貫通口10aに対応する位置に一対のヒンジ連結部材42,42が固定されている。位置決め部材43は、上端部のU字型部分43aとその中央部から下方に延びる直線状ロッド部分43bとを有しており、その直線状ロッド部分43b上端部のヒンジ連結部43cは前記一対のヒンジ連結部材42,42によりヒンジ連結されて、Z軸方向に揺動可能である。
前記位置決め部材43のU字型部分43aの両端部は、前記スライドベース35のZ方向を向いた端面に当接しており、下端部は大ベース8の位置決め部材貫通口8aを貫通してスライドベース位置制御ロッド44の先端部(Z側の端部)に当接している。
スライドベース位置制御ロッド44は、前記ステージ支持フランジ3の外側面に支持されたベース位置制御モータユニットMZによりZ軸方向に移動(微動)調節される。
【0022】
図7は実施例1のプローブステージの要部説明図で、図8AのVII−VII線断面図である。
図8は実施例1のプローブステージの要部説明図で、図8Aは図7の矢印VIIIAから見た図、図8Bは図8Aのプローブ保持部分の拡大図である。
図9は実施例1のプローブステージの導電性ワイヤとプレートの説明図である。
図10は実施例1のプローブステージの要部説明図で、図10Aは図7のXA−XA線断面図、図10Bは図7のXB−XB線断面図である。
【0023】
図7および図1〜図3において、前記スライドベース35には複数の固定ネジによりスキャナ支持部材47のスキャナ支持部材本体48が固定されている。スキャナ支持部材47は、スキャナ支持部材本体48とその先端(Z側の端)に連結されたスキャナ連結部材49とを有している。スキャナ連結部材49はフランジ49aおよびシールド装着用円筒面49bを有している。シールド装着用円筒面49bには外乱防止用の円筒状のシールド50が支持されている。
【0024】
スキャナ連結部材49のZ側の端面にはスキャナ連結プレート51がネジにより固定され、スキャナ連結プレート51のZ側の側面にはスキャナ52が固着されている。
前記スキャナ52は圧電体PZTと電極DKを交互に積層した従来公知の積層型の圧電体製のスキャナであり、その先端部(Z側端部)を、Z軸方向に伸縮移動させるZ軸移動部52Z、前記Z軸に垂直なXY平面(図4参照)内で移動させるX軸移動部52XおよびY軸移動部52Yを有している。スキャナ52は、図8から分かるようにZ軸方向から見て正方形の形状を有している。
【0025】
スキャナ52先端(Z側の端)には、プローブホルダ装着部材53が支持されている。プローブホルダ装着部材53は、スキャナ52先端に固着された絶縁碍子54と、絶縁碍子54に支持された給電端子55,56と雄ネジ57とを有している。給電端子55と56とは電気的に絶縁されており、給電端子56と雄ネジ57とは電気的に接続されている。また、給電端子55のZ側の端面は給電端子56のZ側の端面よりも、Z方向に突出している。
前記符号54〜57で示された要素によりプローブホルダ装着部材53が構成されている。
給電端子55には導電性のケーブル58が接続され、給電端子56には導電性のケーブル59が接続されている。
【0026】
(プローブホルダPH)
前記プローブホルダ装着部材53に着脱可能に装着されるプローブホルダPHは、導電性材料であるステンレス製の円柱状のプローブホルダ本体60を有しており、プローブホルダ本体60には前記プローブホルダ装着部材53の雄ネジ57に螺合するネジ孔(被装着部)60aと、外側面においてZ軸方向に延びる一対の凹溝60b,60cと、−Z側端面の外周部に形成されたリング状のワイヤ収容部60dが形成されている。
【0027】
図7〜図10において、前記凹溝60bには、絶縁性接着剤61(図10参照)を用いて導電性ワイヤ62の直線部62aが固定されており、前記絶縁性接着剤61により導電性ワイヤ62は導電性のプローブホルダ本体60から絶縁されている。図9において、導電性ワイヤ62は、前記直線部62aおよびリング部62bを有しており、リング部62bは前記プローブホルダ本体60のリング状のワイヤ収容部60dに収容されている。導電性ワイヤ62の直線部62aの先端部には導電性プレート(プローブ連結部)63が溶接されており、導電性プレート63にはネジ孔63aが形成されている。図8に示すように、ネジ孔63aにはワッシャ64を貫通するビス65が螺合するように構成されている。
【0028】
前記凹溝60cには導電性接着剤66(図10参照)を用いてを直線状の導電性ワイヤ67が固定されており、前記導電性接着剤66により導電性ワイヤ67は導電性のプローブホルダ本体60と導通している。図9において、直線状の導電性ワイヤ67の先端部には導電性プレート(プローブ連結部)68が溶接されており、導電性プレート68にはネジ孔68aが形成されている。図8に示すように、ネジ孔68aにはワッシャ69を貫通するビス70が螺合するように構成されている。
前記プローブホルダPHは、前記符号60〜70で示した要素により構成されている。このプローブホルダPHは、プローブホルダ本体60のネジ孔60aとプローブホルダ装着部材53の雄ネジ57とを螺合または離脱させることにより、プローブホルダ装着部材53に対して着脱可能である。
そして、プローブホルダ装着部材53にプローブホルダPHを装着した状態では、導電性ワイヤ62のリング部62bは給電端子55に接触し、また、導電性ワイヤ67は導電性接着剤66、プローブホルダ本体60、雄ネジ57を介して給電端子56に導通するように構成されている。
【0029】
(プローブ)
図7において、前記プローブホルダPHにより支持されるプローブPは、U字型の発熱用ワイヤP1とその中央部の湾曲部分にスポット熔接したプローブワイヤP2とを有し、プローブワイヤP2の先端は電解研磨により先鋭化されている。
図8、図7において、前記プローブPの発熱用ワイヤP1の一端部はワッシャ64、ビス65(図8B参照)により導電性プレート63に固定され、他端部はワッシャ69、ビス70(図8B参照)により導電性プレート68に固定されている。
したがって図7から分かるように、前記導電性ケーブル58は順次、給電端子55、導電性ワイヤ62、導電性プレート63、発熱用ワイヤP1、導電性プレート68、導電性ワイヤ67、導電性接着剤66(図10参照)、プローブホルダ本体60、雄ネジ57および給電端子56を介して導電性ケーブル59に、電気的に接続している。
【0030】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた本発明の実施例のSPM(走査型プローブ顕微鏡)において、試料を保持した試料ホルダSHはホルダ搬送部材により搬送され、真空試料室A1に配置された試料ステージTに装着される。
プローブホルダPHにプローブPを装着した状態で、プローブホルダ本体60のネジ孔60aとプローブホルダ装着部材53の雄ネジ57とを螺合させて、プローブホルダ装着部材53にプローブホルダPHを装着すると、導電性ワイヤ62のリング部62bが給電端子55に接続される。
この状態では、導電性ケーブル58は順次、給電端子55、導電性ワイヤ62、導電性プレート63、プローブPの発熱用ワイヤP1、導電性プレート68、導電性ワイヤ67、プローブホルダ本体60、雄ネジ57、および給電端子56を介して導電性ケーブル59と導通する。
【0031】
したがって、前記導電性ケーブル58および59間に給電することにより、プローブPの発熱用ワイヤP1に高電圧を印加することが可能であり、プローブPを高温に加熱することも可能である。
プローブPとスキャナ52との間に設けた絶縁碍子54は、プローブPへの高電圧印加時には、印加する高電圧に対してスキャナ52を電気的に絶縁するとともに、前記プローブPの高温加熱時には、プローブPの熱がスキャナ52に伝達されるのを防止する熱絶縁材として機能する。
【0032】
プローブPの加熱により、プローブPの先端部は1000℃以上にすることができる。これによりプローブPの先端についた不純物を排除することもできる。また、プローブを加熱した状態で、導電性ケーブル58,59から前記プローブPに10Kv程度の高電圧を印加すると、プローブPの先端部が非常に鋭く尖った状態となる。この状態はSTM観察に非常に有利となるとともに、電子を容易にだし易くなる。このため、高分解能のSTM像を得ることができる。
【0033】
また、プローブP先端部を高温(1000℃以上)に加熱して10Kv程度の高電圧を印加することによりプローブP先端を尖らせた後、プローブに対向させて、アース電位のアパーチャを配置し、3Kv程度のパルス電圧をプローブPに印加すれば、プローブから電子を引張出すことができる。そして、アパーチャの後段にスクリーンを置けば、アパーチャを通過した電子の像、すなわち、電界電子顕微鏡像(FEM像)を得ることができる。
この場合、プローブPの先端部温度を変化させることによりプローブ先端部分の原子結合エネルギが変化し、引張出される電子数が変化するので、電子エネルギ分布の解析ができる。
なお、プローブに正の高電圧を印加すると、プローブからイオンを引張出すことができ、前記スクリーン上に電界イオン顕微鏡像(FIM像)を得ることができる。
【0034】
また、プローブに正のパルス電圧を印加して、プローブからイオンをパルス的に引張出し、前記アパーチャの後段に飛行時間型質量分析装置(TOF−MS)を配置すれば、プローブの質量分析を行うことができる。
したがって、本発明の走査型プローブ顕微鏡を用いることにより、先端部を非常に鋭く尖らせたプローブPで試料表面に表面電界を印加することができ、試料表面の物性を測定することができる。
【0035】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。
【0036】
【発明の効果】
前述の本発明のホルダ保持装置は、下記の効果(E01)〜(E03)を奏することができる。
(E01)プローブを高温加熱した状態で10Kv程度の高電圧をかけることにより、プローブの先端を非常に鋭く尖らせることができる。
(E02)プローブPを高温加熱することにより、プローブについた不純物を排除(クリーニング)することができる。
(E03)高温加熱したプローブに電圧を重畳することによりFEM像やFIM像などを得ることができ、その場合、プローブPの温度を可変することによりプローブからの電子やイオンの放出量を容易に調節することができるので、電子やイオンのエネルギー分布の解析ができる。また、プローブに正のパルス電圧を印加して、プローブからイオンを引き出し、TOF−MSを用いれば、プローブの質量分析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の走査型プローブ顕微鏡の実施例1の全体説明図である。
【図2】 図2は実施例1のステージユニットの要部拡大図である。
【図3】 図3は実施例1のステージユニットの拡大平面図で、図1の矢印 IIIから見た図である。
【図4】 図4は前記図3の IV− IV線断面図である。
【図5】 図5は実施例1の試料ステージの位置調整部材の説明図で図2のV−V線断面図である。
【図6】 図6は実施例1のスライドベースの位置決め部材の説明図である。
【図7】 図7は実施例1のプローブステージの要部説明図で、図8AのVII−VII線断面図である。
【図8】 図8は実施例1のプローブステージの要部説明図で、図8Aは図7の矢印VIIIAから見た図、図8Bは図8Aのプローブ保持部分の拡大図である。
【図9】 図9は実施例1のプローブステージの導電性ワイヤとプレートの説明図である。
【図10】 図10は実施例1のプローブステージの要部説明図で、図10Aは図7のXA−XA線断面図、図10Bは図7のXB−XB線断面図である。
【符号の説明】
47…スキャナ支持部材、52…スキャナ、53…プローブホルダ装着部材、
54…絶縁碍子、55,56…給電端子、60a…被装着部(ネジ孔)、62,67…導電性ワイヤ、63,68…プローブ連結部(導電性プレート)、
P…プローブ、P1…発熱用ワイヤ、P2…プローブワイヤ、PH…プローブホルダ。
Claims (1)
- 次の要件(A01)〜(A 06 )を備えたことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡、
(A01)試料に対して接近または離隔する方向である接近離隔方向に移動調節可能なスキャナ支持部材、
(A02)前記スキャナ支持部材にスキャナ基端部が支持された圧電体製のスキャナ、
(A03)前記スキャナの先端部に碍子基端部が支持された絶縁碍子と、前記絶縁碍子先端部において互いに離れた位置に支持された一対の給電端子と、前記絶縁碍子先端部に設けたホルダ装着部とを有するプローブホルダ装着部材、
(A04)前記ホルダ装着部に着脱可能に装着される被装着部と、前記被装着部が前記ホルダ装着部に装着されたときに前記一対の給電端子にそれぞれ電気的に接続されるとともに先端部にプローブ連結部がそれぞれ設けられた一対の導電性ワイヤとを有するプローブホルダ、
(A05)前記プローブ連結部に両端部が保持された発熱用ワイヤと、前記発熱用ワイヤの中央部に支持されたプローブワイヤとを有するプローブ、
(A 06 )1000℃以上に加熱した状態で前記プローブの先端部に高電圧を印加することにより前記先端部を尖らせる手段。
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-
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