JP3822346B2 - 重量物支持脚 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は工作機械、コンベア等の各種機械、本、書類等を収納するロッカー等の各種家具、各種ディスプレィ装置、テレビ、オーディオ装置等の各種電気電子機器等の重量物を支持する重量物支持脚に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、重量物の支持脚として種々のタイプのものがあるが、重量物を床の定位置に設置するための固定用支持脚と、重量物を床上で移動可能にする移動用支持脚とを組み合わせた重量物支持脚が知られている。図9はかかる重量物支持脚の1例を、図10は他の例を示している。
【0003】
図9の重量物支持脚は、重量物101の下部にボルト102a等で固定される台座102と、これに支持された固定用支持脚105及び移動用支持脚107とを備えている。
固定用支持脚105は、重量物101の下部に台座102を介して固定された雌ねじ部103及び該雌ねじ部103に螺合して回されることで該雌ねじ部下方への突出量が調節される雄ねじ棒104を有している。
【0004】
移動用支持脚107は、台座102に縦軸線回りに回転可能取り付けられた車輪支持部材108と、これに横軸線回りに回転可能に支持された車輪106を有している。
この重量物支持脚によると、固定用支持脚105の雄ねじ棒104の突出量を調整して該雄ねじ棒104の下端足部Fの下面を車輪106の下端よりも上側に位置させたときには、移動用支持脚107の車輪106が接床して重量物101を移動できるようになり、前記雄ねじ棒104の突出量を大きく調整して該雄ねじ棒104の下端足部Fの下面を車輪106の下端よりも下側に位置させたときには、固定用支持脚105が接床して重量物101をその場所に設置できるようになる。
【0005】
図10に示す重量物支持脚は、固定用支持脚105を台座102にではなく移動用支持脚107の車輪支持部材108aに固定して、該支持部材108aにより車輪106及び固定用支持脚105の両方を台座102に支持させたものである。使い方は図9に示す場合と実質上同じである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のものでは、固定用支持脚105を接床させるか、移動用支持脚107の車輪106を接床させるかは、固定用支持脚105の雄ねじ棒104の突出量を調整することにより切り換えるが、その際、雄ねじ棒104に設けた回し具係合部材109を利用して、いちいちスパナ等の回し具によりねじ棒を回す必要があるから、その手間が煩わしく、しかも調整に時間がかかるという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、固定用支持脚及び車輪の接床切り換えをスパナ等のねじ棒回し具を用いることなく簡単な操作で、且つ、早く行えるようにした重量物支持脚を提供することを課題とする。
また本発明は車輪を接床させたとき、該床に凸部や凹部があるような場合でも、固定用支持脚を該凸部や凹部エッジに衝突させることなく移動させることができるコンパクトな構造の重量物支持脚を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の重量物支持脚は、
重量物に取付けられる車輪支持部材と、
前記車輪支持部材に回転自在に支持された、重量物を支持し移動させるための車輪と、 前記車輪支持部材に該支持部材及び前記車輪に対し相対的に昇降可能に設けられた、該車輪に代わって重量物を支持して定位置に設置するための固定用支持脚であって床面に当接するための足部を有し、該足部が前記車輪下端より上昇する上昇位置と該足部が前記車輪下端より下方へ突出する下降位置との間を昇降できる固定用支持脚と、
前記固定用支持脚を前記上昇位置へ移動させる力を該固定用支持脚に付与する固定用支持脚上昇用弾性体と、
前記車輪支持部材と固定用支持脚とに連結され、前記車輪支持部材との連結部を中心として押し下げ回動操作されることで前記固定用支持脚上昇用弾性体に抗して前記固定用支持脚を前記下降位置へ移動させることができる固定用レバーと、
前記固定用レバーに設けられ、該固定用レバーの前記押し下げ回動操作により前記固定用支持脚が前記下降位置まで移動したときに前記車輪支持部材上に設けられた被係合部に係合し、解除操作されることで該係合が解除される係合部材とを備えており、
前記車輪及び前記足部は、前記固定用支持脚が前記上昇位置をとったとき、該車輪及び足部を側面側から見た状態において該足部が該車輪の輪郭内に入るように設けられている。
【0009】
この重量物支持脚は重量物に取り付けて該重量物を固定用支持脚で床面に設置したり、車輪で移動させたりすることに利用できる。
重量物に取り付けられた状態において、固定用支持脚が前記下降位置をとるとき、該固定用支持脚が接床し、この重量物支持脚を設けた重量物を該床面上の定位置に設置することができる。このように固定用支持脚が接床した状態では、固定用レバー上の係合部材が車輪支持部材における被係合部に係合し、それにより固定用支持脚は前記弾性体に抗して該下降位置を維持できる。
【0010】
この状態から、該係合部材を解除操作すれば、該係合部材の被係合部への係合が解除され、固定用支持脚が固定用支持脚上昇用弾性体の付勢力を受けて車輪支持部材に対し上昇して前記上昇位置をとるとともに、重量物による荷重下に重量物支持脚全体が下降し、車輪が接床する。この状態では前記のとおり固定用支持脚が該弾性体の付勢により上昇位置にあり固定用支持脚の足部は床面から浮き上がっている。従って重量物を該車輪を利用して移動させることができる。
【0011】
また、このように車輪で支持された状態から、固定用レバーを押し下げ回動操作すると、固定用支持脚が固定用支持脚上昇用弾性体に抗して車輪支持部材に対し下降して接床し始め、さらに固定用レバーを押し下げれば、さらに突出しようとする固定用支持脚に対し相対的に車輪及び重量物が持ち上げられ、このようにして固定用支持脚の足部が車輪下端よりも下方へ突出すると、前記係合部材が被係合部に係合して固定用支持脚の接床状態が維持される。かくして固定用支持脚により重量物が床上の定位置に設置される。
【0012】
既述のように固定用支持脚が上昇位置をとってその足部が床面から浮き上がり状態におかれるとともに車輪が接床した状態においては、該車輪及び足部をそれらの側面から見たとき、換言すればそれらを車輪の周面に対する側面乃至横面の側から見たとき、既述のように、足部は該車輪の輪郭内に位置しているから、換言すれば、該車輪の外径輪郭内に位置しているから、床面に凸部がある場合でも、重量物移動のために該車輪を転動移動させるとき、該足部ではなく該車輪が該凸部に接触し始め、その上に乗り上がるので、足部と凸部との衝突を回避して該凸部を乗り越えさせることができる。また床面に凹部がある場合でも、重量物移動のために該車輪を転動移動させるとき、該足部ではなく該車輪が凹部エッジに接触するので、該凹部を通過させることができる。
【0013】
なお本発明において固定用支持脚における足部とは、床面に当接させる部分であるとともに、もしそれが前記のように車輪側面から見たとき車輪の輪郭内に納まっていないとすれば、凸部の高さや凹部の深さ等によっては、たとえ固定用支持脚が上昇位置におかれていても該凸部や凹部エッジに衝突する部分である。
固定用支持脚に上昇力を付与する固定用支持脚上昇用弾性体としては、各種バネ、各種弾性ゴム、これらの適当な組み合わせ等を例示できる。
【0014】
前記固定用レバーは、前記車輪支持部材及び固定用支持脚に連結されたレバー本体と、該レバー本体に回動可能に連設された延長レバーとからなっており、該延長レバーに、それが下方へ回動操作されたときに前記レバー本体から延長する姿勢をとるように前記レバー本体に係合する爪が設けられているものを例示できる。
【0015】
固定用レバーをこのように構成すると、固定用レバーの不使用時には、レバー本体に対して延長レバーを上方へ回動操作すれば該延長レバーが邪魔にならないように内方へ格納乃至収納できる。固定用レバーの使用時には、レバー本体に対して延長レバーを下方へ回動操作すれば、前記爪により延長レバーがレバー本体に係合するから、延長レバーに付与された押し下げ回動操作力がレバー本体に伝達される。
【0016】
前記係合部材は、例えば、前記固定用レバーに回動可能に支持されることができ、その一端部を前記車輪支持部材の被係合部に係脱できる係合部とし、他端部を押し下げ回動操作部とし、該係合部を前記車輪支持部材側へ係合部付勢用弾性体により付勢しておくことができる。
この重量物支持脚によると、係合部材の係合部は、該弾性体により車輪支持部材上の被係合部に係合できる方向に常時付勢力を受け、該係合部が被係合部から解除されて車輪が接床している状態から、前記固定用レバーを押し下げ回動操作して固定用支持脚を接床させると、該係合部が自動的に前記被係合部に係合する。
【0017】
この場合も該弾性体として各種バネ、各種弾性ゴム、これらの適当な組み合わせ等を例示できる。
固定用レバーを、前記のように車輪支持部材及び固定用支持脚に連結されたレバー本体と、該レバー本体に回動可能に連設された延長レバーとで構成し、前記係合部材を、該レバー本体に回動可能に支持させる場合、該係合部材が車輪支持部材上の被係合部に係合している状態、換言すれば、重量物を固定用支持脚で支持している状態のとき、該延長レバーの前記収納位置を該係合部材上方位置とすることができる。これにより、コンパクト化された状態が得られる。
【0018】
このような重量物支持脚として、次の(1) や(2) の構成のものも例示できる。
(1) 前記車輪支持部材が、重量物に直接的に又は他の部材等を介して取付けられるシリンダーを含んでおり、前記車輪が該シリンダーに直接的に又は他の部材等を介して設けられており、前記固定用支持脚は前記シリンダーに昇降可能に嵌合され、前記固定用支持脚上昇用弾性体は前記シリンダーに設けられ、該シリンダーで支持反力をとりつつ前記固定用支持脚にそれを前記上昇位置へ移動させる力を付与しており、前記固定用レバーは前記シリンダー及び固定用支持脚にそれぞれ直接的に又は他の部材等を介して連結され、該シリンダーとの連結部を中心として前記固定用支持脚上昇用弾性体に抗して前記押し下げ回動操作でき、前記係合部材のための前記車輪支持部材上の被係合部は前記シリンダー外壁上に形成されている重量物支持脚。
(2) 前記固定用支持脚上昇用弾性体が前記車輪支持部材で支持反力をとりつつ前記固定用レバーを介して前記固定用支持脚にそれを前記上昇位置へ移動させる力を付与している重量物支持脚。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、その前に、図1〜図3を参照して参考例の重量物支持脚Aについて説明する。
これらの図において、1は重量物、2は該重量物1の下側に配された鋼板等よりなる台座であって、該台座2は複数のボルト3により重量物1の下部に固定されている。該台座2には該台座2から垂下するシリンダー4が溶接等により固定されている。
【0020】
前記シリンダー4には固定用支持脚5が昇降可能に嵌入している。この支持脚5は、図4に示すように、シリンダー4の中に昇降可能に嵌入したピストン51を含んでおり、該ピストン51は、下端部に雌ねじ部を有しており、該雌ねじ部に雄ねじ棒52が螺合していて、該雄ねじ棒52を回すことにより、雌ねじ部下方への雄ねじ棒52の突出量が調節できるようになっている。雄ねじ棒52の下端には、小ねじ54にて縦軸線回りに回転可能に平面視(平面から見て)円形の足部53が取り付けられている。この足部53は弾性体(ここではゴム製のもの)531を含んでおり、これが接床できるようになっている。また、ピストン51の下側において雄ねじ棒52にロックナット522を螺合させてある。さらに雄ねじ棒52の下端部にはねじ棒回し具を係合させる部材521を固定してある。
【0021】
シリンダー4内周に周設した上向き段部と、これに上方から対向すようにピストン51外周に周設した下向き段部との間にコイルスプリング6が嵌装され、その上下端がシリンダー4及びピストン5の前記段部にそれぞれ当接していて、前記ピストン51を、従って固定用支持脚5全体をシリンダー4に対して上方へ付勢している。
【0022】
前記シリンダー4には一対の移動用支持脚7が取付けられている。すなわち、シリンダー4の下部外壁には筒体70が外嵌固定されており、この筒体に一対のブラケット71が突設され、これらブラケット71、71には車軸72が横方向に支持され、各ブラケット71の外側に突き出た車軸72端部に車輪73がそれぞれ回転自在に支持されている。これら筒体、ブラケット及び車輪が移動用支持脚7を構成している。また、シリンダー4及び移動用支持脚7中の筒体70やブラケット71は車輪支持部材を構成している。
【0023】
シリンダー4及び固定用支持脚5には一対の固定用レバー8、8が渡し連結されている。
各固定用レバー8は、レバー本体81とこれの端部に軸83にて回動可能に連結された延長レバー82とで構成されている。そして、図1、図4及び図5等にに示すように、各延長レバー82には、それが下方へ回動操作されたときに前記レバー本体81に係合する爪84が設けられている。爪84がレバー本体81に係合するとき、固定用レバー8全体が長く延びた状態となる。
【0024】
シリンダー4の上部外壁には、ブラケット9が2枚並んで突設され、各ブラケット9の上端は台座2にも接続されている。これらブラケット9、9には第1連結軸10が横方向に貫通して回転可能に支持され、各ブラケット9の外側に突き出た第1連結軸10端に、シリンダー4を挟んで両側に配置された前記固定用レバー8、8のレバー本体81、81がそれぞれ固定されている。また、図4及び図5からよく分かるように、前記ピストン51の上部には前記第1連結軸10と平行に第2連結軸11が回動可能に貫通しており、該第2連結軸11の両端部はシリンダー4の上部に上下方向に長く開口する長孔41、41に遊嵌し、且つ、それを貫通してシリンダー4の外部まで導出され、該各端部に前記レバー本体81の中途部が連結されている。そして、前記レバー本体81、81に連結された延長レバー82、82の自由端にはこれらを連結するように鋼板等よりなる固定用操作部12が固設されている。
【0025】
このような構成から、延長レバー82、82を開いて(延ばして)固定用操作部12を足踏みすれば、前記第1連結軸10を中心として固定用レバー8、8の自由端が押し下げ回動操作され、前記第2連結軸11を介してピストン51が前記コイルスプリング6の付勢力に抗して下方へ移動し、前記固定用支持脚5がシリンダー4及びこれに取り付けた移動用支持脚7に対し相対的に下方へ移動できる。
【0026】
前記固定用レバー8、8は係合部材13を備えている。すなわち、前記シリンダー4と固定用レバー8、8上の固定用操作部12との間において、レバー本体81、81の間に第3連結軸14が架設され、この第3連結軸14に前記係合部材13が回動可能に支持されている。該係合部材13の一端部はシリンダー4の外壁に凹陥形成された被係合部15に係脱できる係合部131とされ、他端部に鋼板等により形成された押し下げ回動操作部132を有している。第3連結軸14にはコイルスプリング16が巻回され、その一端が係合部材13に、他端がレバー本体81にそれぞれ係止されていて、該コイルスプリング16により前記係合部131がシリンダー4側へ付勢されている。
【0027】
このような構成から、図4等に示すように、係合部材13の係合部131は固定用支持脚5の足部53が車輪73の下方へ突出して下降位置P1をとると、シリンダー外壁上の被係合部15に係合する。また、図5に示すように、係合部材13上の押し下げ回動操作部132を足踏み等して解除操作すれば該係合が解除されるようになっている。また図4に示すように、前記固定用レバー8の延長レバー82は、係合部材13がシリンダー4の被係合部15に係合した状態において、該係合部材上方へ回動して収納位置をとることができるようになっている。
【0028】
係合部材13上の押し下げ回動操作部132を足踏み等して解除操作すれば、図5に示すように、係合部材13の被係合部15への係合が解除され、固定用支持脚5がコイルスプリング6の付勢力を受けてシリンダー4及び車輪73に対し上昇して上昇位置P2をとることができる。車輪73及び固定用支持脚5の足部53は、固定用支持脚5がこのように上昇位置P2にある状態で該車輪及び足部をそれらの側面から見たとき、換言すればそれらを車輪の周面に対する側面乃至横面から見たとき、足部53が車輪73の輪郭内に位置している。すなわち、車輪73と足部53の相互の位置関係や、車輪73の外径、足部53の形状、サイズなどがそのように設定されている。
【0029】
以上説明した重量物支持脚Aによると、これを取り付けた重量物1を固定用支持脚5で床面FLに設置したり、車輪73で移動させたりできる。
図1から図4に示すように、重量物1に取り付けられた状態において固定用支持脚5が下降位置P1をとるとき、固定用支持脚5の足部53が接床した状態となり、この状態では、固定用レバー8、8上の係合部材13の係合部131がシリンダー4上の被係合部15に係合しており、固定用支持脚5はシリンダー4内のスプリング6に抗して該シリンダーに対し押し下げられた下降位置P1(シリンダーから突出した位置)をとっている。この状態では、固定用レバー8、8において延長レバー82、82を上方へ回動させ、係合部材13上方に収納しておくことができる。
【0030】
この状態から、必要に応じ固定用レバー8、8において延長レバー82、82をその爪84、84がレバー本体81、81に当接するまで下方へ回動させて開いておき、次いで係合部材13の押し下げ回動操作部132を足踏み等して押し下げると、係合部材13が図4中時計方向に回動し、これにより係合部131が被係合部15との係合から解除され、固定用支持脚5がスプリング6の付勢力を受けてシリンダー4内を上方へ移動するとともに、重量物1による荷重下に重量物支持脚A全体が下降し、車輪73が接床する。この状態では図5に示すように固定用支持脚5は上昇位置P2をとり、固定用支持脚5の足部53は床面FLから浮き上がっている。従って重量物を該車輪を利用して移動させることができるまた、このように車輪73で支持された状態から、図5に示すように長く開いた状態の固定用レバー8、8上の固定用操作部12を足踏み等して押し下げ回動操作すれば、固定用支持脚5がシリンダー内スプリング6に抗して該シリンダー4内を下方へ移動して接床し始め、さらに固定用レバー8、8を押し下げれば、さらに突出しようとする固定用支持脚5によりシリンダー4及び車輪73、さらには重量物1が相対的に持ち上げられる。このようにして固定用支持脚5の足部53が車輪73の下端から下方へ突出して下降位置P1をとると、係合部材13の、スプリング16にて付勢された係合部131がシリンダー4上の被係合部15に自動的に係合して固定用支持脚5の接床状態が維持される。かくして固定用支持脚5により重量物1が床面FLの定位置に設置される。
【0031】
そして、固定用レバー8、8においてレバー本体81、81に対して延長レバー82、82を上方へ回動操作すれば該延長レバー82、82が邪魔にならないように内方へ格納される。
図5に示すように固定用支持脚5が上昇位置P2をとってその足部53が床面FLから浮き上がり状態におかれるとともに車輪53が接床した状態においては、車輪73及び足部53をそれらの側面から見ると足部53が車輪73の外輪郭内に位置しているから、床面FLに凸部Prがある場合でも、重量物移動のために車輪53を転動移動させるとき、該足部53ではなく車輪73が凸部Prに接触し始め、その上に乗り上がるので、足部53と凸部Prとの衝突を回避して該凸部を乗り越えさせることができる。また床面FLに凹部がある場合でも、重量物移動のために車輪73を転動移動させるとき、足部53ではなく車輪73が凹部エッジに接触するので、該凹部を通過させることができる。
【0032】
次に図6から図8を参照して本発明に係る重量物支持脚の1例を説明する。
図6から図8に示す重量物支持脚Bは、重量物1に取付けられる車輪支持部材7’と、これに軸棒72’で回転自在に支持された車輪73’と、車輪支持部材7’に昇降可能に設けられた固定用支持脚5’とを備えている。
車輪支持部材7’は、その上端部に軸受け装置2’を備えており、これにボルト3’が立設されている。ボルト3’は該軸受け装置2’により車輪支持部材7’本体に対しボルト中心軸線CL周りに回転自在である。ボルト3’を重量物1にねじ込み固定することで車輪支持部材7’、ひいては重量物支持脚B全体が重量物1に接続され、軸受け装置2’により方向性自在となる。
【0033】
なお、さきに説明した重量物支持脚Aについてもこのように軸受け装置を用いて方向性自在としてもよい。
車輪支持部材7’は下方へ向かう一対の車輪支持部71’を有しており、前記車輪73’はこれらの間に配置され、軸棒72’にて該車輪支持部に回転自在に支持されている。
【0034】
固定用支持脚5’は車輪支持部材7’の両外側に一対配置されており、各固定用支持脚5’は対応する車輪支持部71’における、その下端から外側へ突設された棚部71a’に昇降可能に設けられている。
各固定用支持脚5’は、上下方向の棒部材51’と、その下端の平面視(平面から見て)一部切欠円形の足部53’とを含んでいる。足部53’は棒部材51’に小ねじ52’で縦軸線回りに回転可能に取り付けられている。支持脚5’はこの棒部材51’の部分で前記車輪支持部材7’の車輪支持部71a’に遊嵌、貫通しており、これにより支持脚5’全体が車輪支持部材7’に対し相対的に昇降可能となっている。また、足部53’は弾性体(ここではゴム製のもの)531’を含んでおり、これが接床できるようになっている。
【0035】
また、車輪支持部材7’の両外側に固定用レバー8’が一対配置されており、各固定用レバー8’は対応する車輪支持部71’の上部と前記固定用支持脚5’の上下方向の棒部材51’の上端二股部分51a’とに渡し連結されている。すなわち、レバー8’は、片側端部で車輪支持部71’に第1連結軸10’で回動可能に連結されているとともに、途中部分が第2連結軸11’で固定用支持脚5’の棒部材上端二股部51a’に回動可能に連結されている。第1連結軸10’は車輪支持部材7’を貫通しており、両レバー8’に共通の軸棒となっている。第2連結軸11’は車輪支持部71’側へ突出しており、該車輪支持部71’に設けた縦方向の長孔71b’に遊嵌し、それに案内されるようになっている。一対の固定用レバー8’の自由端部は固定用操作部12’で連結されている。
【0036】
固定用レバー8’を車輪支持部材7’に連結する前記連結軸10’には、各車輪支持部71’とレバー8’との間の領域で巻きバネ6’が嵌装されており、各巻きバネの一端部61’は車輪支持部71’に当接支持され、他端部62’はレバー8’に係合している。この巻きバネ6’は、車輪支持部材7’で支持反力をとりつつレバー8’を、従ってそれに連結された固定用支持脚5’を車輪支持部材7’及びそれに支持された車輪73’に対し相対的に上昇させる力を付与する。
【0037】
図6に示すようにこの巻きバネ6’の作用で、固定用支持脚5’は車輪73’に対し上昇した上昇位置P2’をとることができる。固定用支持脚5’がこのように上昇位置2’をとったとき、図6に示すように、固定用支持脚5’の足部53’は車輪73’の側面から見て、すなわち車輪周面に対する側面側から見て、車輪73’の外輪郭の内側に位置する。すなわち、車輪73’と足部53’の相互の位置関係や、車輪73’の外径、足部53’の形状、サイズなどがそのように設定されている。
【0038】
またこのような構成から、固定用レバー8’を連結している固定用操作部12’を足踏みすることで、第1連結軸10’を中心として固定用レバー8’、8’の自由端を押し下げ回動操作して、第2連結軸11’を介して固定用支持脚5’を前記巻きバネ6’の付勢力に抗して下方へ移動させ、固定用支持脚5’を車輪支持部材7’及びこれに取り付けた車輪73’に対し相対的に下方へ移動させることができる。そして足部53’が車輪73’下端から下方へ突出した下降位置P1’をとることができる。
【0039】
各固定用レバー8’はそれぞれ係合部材13’を備えている。すなわち、車輪支持部材7’と固定用レバー8’、8’上の固定用操作部12’との間において、各レバー8’に第3連結軸14’が架設され、この第3連結軸14’に前記係合部材13’が回動可能に支持されている。両係合部材13’は横棒85’で互いに接続されている。各係合部材13’の一端部は係合部131’とされ、これは車輪支持部71’における係合部材13’側の端面70’に凹陥形成された被係合部15’に係脱できる。また、両係合部材に設けられていてもよいが、ここでは片方の係合部材13’の他端部に押し下げ回動操作部132’が設けられている。第3連結軸14’には巻きバネ16’が嵌装され、その一端が係合部材13’に(より詳しくはそれらを接続している横棒85’の端部に)、他端がレバー8’にそれぞれ係止されていて、該巻きバネ16’により係合部131’が車輪支持部71’の被係合部15’側へ付勢されている。 このような構成から、図7に示すように、係合部材13’の係合部131’は、固定用支持脚5’の足部53’が車輪73’の下方へ突出して下降位置P1’をとると、車輪支持部材7’上の被係合部15’に係合する。また、係合部材13’の押し下げ回動操作部132’を足踏み等して解除操作すれば該係合が解除されるようになっている。
【0040】
係合部材13’の押し下げ回動操作部132’を足踏み等して解除操作すれば、図6に示すように、係合部材13’の被係合部15’への係合が解除され、固定用支持脚5’が巻きバネ6’の付勢力を受けて車輪73’に対し上昇して上昇位置P2’をとることができる。
この重量物支持脚Bは重量物1に前記のように取り付けて該重量物を固定用支持脚5’で床面FLに設置したり、車輪73’で移動させたりすることに利用できる。
【0041】
重量物1に取り付けられた状態において、固定用支持脚5’が下降位置P1’をとるとき、固定用支持脚5’の足部53’が接床し、重量物1を床面FL上の定位置に設置することができる。このように足部53’が接床した状態では、固定用レバー8’における係合部材13’が車輪支持部材7’上の被係合部15’に係合しており、それにより固定用支持脚5’は巻きバネ6’に抗して該下降位置を維持できる。
【0042】
この状態から、係合部材13’を解除操作すれば、固定用支持脚5’が巻きバネ6’の付勢力を受けて車輪支持部材7’(従って車輪73’)に対し上昇して前記上昇位置P2’をとるとともに、重量物1による荷重下に重量物支持脚B全体が下降し、車輪73’が接床する。この状態では固定用支持脚の足部53’は床面FLから浮き上がっている。従って重量物1を車輪73’で移動させることができる。
【0043】
また、このように車輪73’で支持された状態から、固定用レバー8’を押し下げ回動操作すると、固定用支持脚5’が巻きバネ6’に抗して車輪支持部材7’に対し下降して接床し始め、さらに固定用レバー8’を押し下げれば、さらに突出しようとする固定用支持脚5’に対し相対的に車輪73’及び重量物1が持ち上げられ、このようにして固定用支持脚5’の足部53’が車輪73’下端よりも下方へ突出すると、係合部材13’が被係合部15’に係合して固定用支持脚5’の接床状態が維持される。かくして固定用支持脚5’により重量物1が床面FLの定位置に設置される。
【0044】
図6に示すように固定用支持脚5’が上昇位置P2’をとってその足部53’が床面FLから浮き上がり状態におかれるとともに車輪73’が接床した状態において、該車輪及び足部をそれらの側面から見たとき、既述のように、足部53’は車輪73’の輪郭内に位置しているから、床面FLに図5に例示するような凸部がある場合でも、重量物移動のために該車輪を転動移動させるとき、足部53’ではなく車輪73’が該凸部に接触し始め、その上に乗り上がるので、足部53’と凸部との衝突を回避して該凸部を乗り越えさせることができる。また床面FLに図6に例示するような凹部Dnがある場合でも、重量物移動のために該車輪を転動移動させるとき、足部53’ではなく車輪73’が凹部エッジDneに接触するので、該凹部を通過させることができる。
【0045】
以上説明したように、重量物支持脚A、Bでは、スパナ等のねじ棒回し具を用いることなく固定用レバー8や8’の押し下げ回動操作及びレバー型の係合部材13や13’の押し下げ回動操作によりワンタッチで固定用支持脚5、5’の足部53、53’を車輪73、73’に対し相対的に昇降させることができるから、固定用支持脚5、5’及び車輪73、73’の接床切り換えを簡単に、且つ、早く行える。
【0046】
また、車輪73、73’を接床させたとき、床面FLに凸部や凹部があるような場合でも、固定用支持脚5、5’を該凸部や凹部エッジに衝突させることなく移動させることができる。この場合、車輪側面から見て固定用支持脚の足部53、53’が車輪輪郭内に位置するようにするだけで、換言すれば、足部53や53’を車輪の上方まで上昇させるような長い足部動作ストロークを採用していないから、全体構造がそれだけコンパクト化されている。
【0047】
なお、前記固定用レバー8、8’、係合部材13’はそれぞれ一対づつ設けられているが、それぞれ一つだけ採用する構造としてもよい。車輪についてもその数は前記のものに限定されない。さらに前記のような重量物支持脚に相当する部分を複数個並列配置し、固定用レバーや係合部材等についてはそれらに共通に設け、該共通の固定用レバーや係合部材を操作することで、かかる部分における車輪と固定用支持脚との接床切り換えを行える重量物支持脚でもよく、そのようなものも本発明に含まれる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によると、固定用支持脚及び車輪の接床切り換えをスパナ等のねじ棒回し具を用いることなく簡単な操作で、且つ、早く行えるようにした重量物支持脚を提供することができる。
さらに本発明によれば、車輪を接床させたとき、該床に凸部や凹部があるような場合でも、固定用支持脚を該凸部や凹部エッジに衝突させることなく移動させることができるコンパクトな構造の重量物支持脚を提供することができる。
【0049】
また本発明によれば、固定用支持脚及び車輪の接床切り換えを足踏み等によるレバーや、レバー型部材の押し下げ回動操作だけで、労少なく行える重量物支持脚を提供できる。
また、本発明によれば、かかるレバーの不使用時には該レバーが邪魔にならないように格納しておける重量物支持脚を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例としての重量物支持脚の、固定用支持脚接床状態における正面図である。
【図2】図1に示す重量物支持脚の、固定用支持脚接床状態における右側面図である。
【図3】図1に示す重量物支持脚の、固定用支持脚接床状態における左側面図である。
【図4】図1に示す重量物支持脚の、固定用支持脚接床状態における断面図である。
【図5】図1に示す重量物支持脚の、車輪接床時における断面図である。
【図6】本発明に係る重量物支持脚の他の例の、車輪接床時の正面図である。
【図7】図6に示す重量物支持脚の、固定用支持脚接床時の正面図である。
【図8】図6に示す重量物支持脚の、車輪接床時の右側面図ある。
【図9】従来例を示す図である。
【図10】他の従来例を示す図である。
【符号の説明】
1 重量物
2 台座
3、3’ボルト
4 シリンダー
5、5’ 固定用支持脚
51 ピストン
52 雄ねじ部
51’ 棒部材
53、53’ 足部
54、52’ 小ねじ
6 コイルスプリング
6’巻きバネ
7 移動用支持脚
71 ブラケット
72 車軸
7’ 車輪支持部材
73、73’ 車輪
8、8’ 固定用レバー
81 レバー本体
82 延長レバー
83 横軸
84 爪
9 ブラケット
10、10’ 第1連結軸
11、11’ 第2連結軸
12、12’ 固定用操作部
13、13’ 係合部材
131、131’ 係合部
132、132’ 回動操作部
14、14’ 第3連結軸
15、15’ 被係合部
16、16’ 巻きバネ
Claims (4)
- 重量物に取付けられる車輪支持部材と、
前記車輪支持部材に回転自在に支持された、重量物を支持し移動させるための車輪と、 前記車輪支持部材に該支持部材及び前記車輪に対し相対的に昇降可能に設けられた、該車輪に代わって重量物を支持して定位置に設置するための固定用支持脚であって床面に当接するための足部を有し、該足部が前記車輪下端より上昇する上昇位置と該足部が前記車輪下端より下方へ突出する下降位置との間を昇降できる固定用支持脚と、
前記固定用支持脚を前記上昇位置へ移動させる力を該固定用支持脚に付与する固定用支持脚上昇用弾性体と、
前記車輪支持部材と固定用支持脚とに連結され、前記車輪支持部材との連結部を中心として押し下げ回動操作されることで前記固定用支持脚上昇用弾性体に抗して前記固定用支持脚を前記下降位置へ移動させることができる固定用レバーと、
前記固定用レバーに設けられ、該固定用レバーの前記押し下げ回動操作により前記固定用支持脚が前記下降位置まで移動したときに前記車輪支持部材上に設けられた被係合部に係合し、解除操作されることで該係合が解除される係合部材とを備えており、
前記車輪及び前記足部は、前記固定用支持脚が前記上昇位置をとったとき、該車輪及び足部を側面側から見た状態において該足部が該車輪の輪郭内に入るように設けられており、前記固定用支持脚上昇用弾性体は前記車輪支持部材で支持反力をとりつつ前記固定用レバーを介して前記固定用支持脚にそれを前記上昇位置へ移動させる力を付与していることを特徴とする重量物支持脚。 - 前記固定用レバーが、前記車輪支持部材及び固定用支持脚に連結されたレバー本体と、該レバー本体に回動可能に連設された延長レバーとからなっており、該延長レバーに、それが下方へ回動操作されたときに前記レバー本体から延長する姿勢をとるように前記レバー本体に係合する爪が設けられている請求項1記載の重量物支持脚。
- 前記係合部材は、前記固定用レバーに回動可能に支持されており、一端部が前記車輪支持部材の被係合部に係脱できる係合部とされ、他端部が押し下げ回動操作部とされ、該係合部が前記車輪支持部材側へ係合部付勢用弾性体により付勢されている請求項1記載の重量物支持脚。
- 前記係合部材は、前記固定用レバーのレバー本体に回動可能に支持されており、一端部が前記車輪支持部材の被係合部に係脱できる係合部とされ、他端部が押し下げ回動操作部とされ、該係合部が前記車輪支持部材側へ係合部付勢用弾性体により付勢されており、前記固定用レバーの延長レバーは、前記係合部材が前記車輪支持部材の被係合部に係合した状態において、該係合部材上方へ回動して収納位置をとることができる請求項2記載の重量物支持脚。
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