JP3822049B2 - 画像シミュレーション装置、画像シミュレーション方法及び該方法を実行するプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 - Google Patents

画像シミュレーション装置、画像シミュレーション方法及び該方法を実行するプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシミュレーション装置に関し、特に画像出力装置の画質を定量的に評価するために評価対象の画像出力装置から出力されるであろう画像の反射率分布を予測する画像シミュレーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像品質は一般的に観察者の主観により評価され、通常は定性的なものであるが、古くからこの主観的、定性的な画像品質を客観的、定量的に評価する試みが従来よりいくつか成されている。その一つとして、特開平1−286084号公報に示された画像ノイズ、例えば均一な濃度であるべき画像に発生する濃度ムラによるざらつきの定量化方法は光学的に読み取った被評価画像の輝度分布を2次元のフーリエ変換した後、1次元化し視覚の空間周波数特性で補正し、積分した値を画像ノイズとしている。これはノイズの中でも目に付きやすい周波数成分に重みをかけ主観的なざらつきと客観的な評価量の対応を良くすることを目的としている。このように画像品質の定量評価手法は測定された物理量を人間の視覚特性で補正することで主観的な画像品質と客観的な物理量の相関を改善することが一般的で、デジタル出力機の斜め線のギザギザ(ジャギー)の評価や鮮鋭さの評価にも同様の方法がとられる。また、特開平10−23191号公報も汎用のスキャナーで被評価画像を読み取り、画像ノイズを求めるものである。
【0003】
上記のような画像の定量化手法の開発により、画像品質を定量的に評価することが可能となってきたが、評価のためには被評価画像をスキャナーやマイクロデンシトメータなどの画像入力装置で光学的に読み取る必要がある。よって、評価のためには高精度で高解像度の読み取りが必要なため、画像取り込み工程では十分な速度が得られず、画質評価には非常に時間がかかる場合が多い。また、評価を行うためには対象となる画像記録装置が必要であり、製品開発においてはある程度、記録装置の開発が進み画像出力が可能なレベルになっていることが不可欠である。したがって、開発当初にその記録装置の画像品質を予測することはできない。例えば開発中の画像記録装置の画像処理方法を開発する場合、画像記録装置の開発と同時に着手しても画像処理手法の良否の評価はできないため、後回しとなり、短期間での開発が不可欠となっていた。また、開発した記録装置の仕様を一部変更(例えば記録装置の記録密度の変更)などした場合画像品質がどのように改善されるかを確認するためには、仕様を変更した記録装置を実際に試作し評価することになり、評価には非常に時間がかかることになる。
【0004】
そこで、特開2000−22858号公報は、実際に画像出力を行うのではなく評価対象となる画像記録装置のドット反射率分布データに基づき画像記録装置から出力される出力画像の反射率分布を算出するもので、プリンタなどの画像記録装置の画像品質を予測し、短時間で評価することを可能とするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、電子写真方式の出力装置においてはその記録特性は安定的ではなく、例えばドットの配列周期を変えて同一のドット画像を出力した時に、ドットの配列周期が小さくなるに従って、ドットの強度若しくはサイズが大きくなる傾向を示す場合がある。このような現象は現像方式等により異なるが、実験の結果、2成分磁気ブラシ現像方式等の出力機においてこの傾向が比較的顕著であった。図15は出力ドットのドット形状を示す図であり、600dpiでそれぞれ16*16、12*12、8*8、4*4の画素周期の孤立1ドットの出力画像である。潜像の重なりの起きにくいと思われる10画素以上のドット配列周期においても上記の傾向が認められ、感光体上に与えられた平均露光量が結果として同一のドットパターンに対しても像形成時のトナー付着量等に影響を与えたものと考えられる。このような出力機では同一画像パターンでも平均露光量即ち入力画像データの平均レベルにより出力画像が異なるため、前述したような単一のドット反射率分布データを用いた方法では出力画像の反射率分布を正確に算出することが困難となる。
【0007】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、画像記録装置から出力されるであろう画像の反射率分布を高精度に予測できる画像シミュレーション装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記問題点を解決するために、画像出力装置の出力画像をシミュレートする画像シミュレーション装置は、記録されるドット位置を算出するドット位置算出手段と、入力画像データの全体、若しくは注目画素を中心とした入力画像データの一部の平均レベルを検出する平均レベル検出手段と、入力画像データと平均レベルとに応じて注目画素のドット反射率データを基本反射率データから生成する基本反射率データ生成手段と、生成されたドット反射率データと入力画像データとから画像出力装置の出力画像の反射率分布を算出する反射率分布手段とを具備したことに特徴がある。よって、入力画像の特性に依らず高精度な反射率分布を算出可能な画像シミュレーション装置を実現することができる。また、実際に画像を出力することなく算出された反射率分布を用いて容易に所望の画像品質評価まで行うことが可能となる。
【0009】
また、ドット位置算出手段は、画像出力装置の記録密度とドット位置変動データとから記録されるドット位置を算出するように構成したことにより、ドット位置変動が出力画像に与える影響を評価可能とすることが可能となるとともに、画像記録装置から出力されるであろう画像の反射率分布を、ドット位置変動を含めてより高精度に予測することが可能となる。また、出力画像品質にバラツキが大きい(繰り返し再現性が良好でない)画像記録装置や出力画像がノイジーな(S/N比が良好でない)画像記録装置であっても、ドット位置変動が出力画像に与える影響を精度良く予測することが可能となる。
【0010】
更に、生成された注目画素のドット反射率データを、ドット反射率変動データに基づき変動させるドット反射率変動手段を有することにより、ドットのバラツキが出力画像に与える影響を評価可能とすることが可能となるとともに、を含めてより高精度を含めてより高精度が出力画像に与える影響を評価可能とすることが可能となるとともに、画像記録装置から出力されるであろう画像の反射率分布を、ドットのバラツキを含めてより高精度に予測することが可能となる。
【0011】
また、算出された画像出力装置の出力画像の反射率分布に対し、所定の応答関数を用いてコンボリューション演算を行い、最終的な反射率分布を得る手段を有することにより、例えば現像、転写、定着といった複数の作像プロセスにより画像を形成する電子写真記録装置などの画像記録装置から出力されるぼけ・にじみなどの画質劣化を含んだ画像の反射率分布を精度良く予測することが可能となる。
【0012】
別の発明として、画像出力装置の出力画像をシミュレートする画像シミュレーション方法によれば、記録されるドット位置を算出するドット位置算出工程と、入力画像データの全体、若しくは注目画素を中心とした入力画像データの一部の平均レベルを検出する平均レベル検出工程と、入力画像データと平均レベルとに応じて注目画素のドット反射率データを基本反射率データから生成する基本反射率データ生成工程と、選択されたドット反射率データと入力画像データとから画像出力装置の出力画像の反射率分布を算出する反射率分布算出工程とを有する。よって、入力画像の特性に依らず高精度な反射率分布を算出可能な画像シミュレーションを行うことが可能となると共に、実際に画像を出力することなく算出された反射率分布を用いて容易に所望の画像品質評価まで行うことが可能となる。
【0013】
また、ドット位置算出工程は、画像出力装置の記録密度とドット位置変動データとから記録されるドット位置を算出することにより、ドット位置変動が出力画像に与える影響を評価可能とすることが可能となるとともに、画像記録装置から出力されるであろう画像の反射率分布を、ドット位置変動を含めてより高精度に予測することが可能となる。また、出力画像品質にバラツキが大きい(繰り返し再現性が良好でない)画像記録装置や出力画像がノイジーな(S/N比が良好でない)画像記録装置であっても、ドット位置変動が出力画像に与える影響を精度良く予測することが可能となる。
【0014】
更に、生成された注目画素のドット反射率データを、ドット反射率変動データに基づき変動させるドット反射率変動工程を含むことにより、ドットのバラツキが出力画像に与える影響を評価可能とすることが可能となるとともに、を含めてより高精度を含めてより高精度が出力画像に与える影響を評価可能とすることが可能となるとともに、画像記録装置から出力されるであろう画像の反射率分布を、ドットのバラツキを含めてより高精度に予測することが可能となる。
【0015】
また、算出された画像出力装置の出力画像の反射率分布に対し、所定の応答関数を用いてコンボリューション演算を行い、最終的な反射率分布を得る工程を含むことにより、例えば現像、転写、定着といった複数の作像プロセスにより画像を形成する電子写真記録装置などの画像記録装置から出力されるぼけ・にじみなどの画質劣化を含んだ画像の反射率分布を精度良く予測することが可能となる。
【0016】
別の発明として、上記記載の画像シミュレーション方法を実行するプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に特徴がある。よって、既存のシステムを変えることなく、かつ画像シミュレーションシステムを構築する装置を汎用的に使用することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の画像シミュレーション装置は、記録されるドット位置を算出するドット位置算出手段と、入力画像データの全体、若しくは注目画素を中心とした入力画像データの一部の平均レベルを検出する平均レベル検出手段と、入力画像データと平均レベルとに応じて注目画素のドット反射率データを基本反射率データから生成する基本反射率データ生成手段と、生成されたドット反射率データと入力画像データとから画像出力装置の出力画像の反射率分布を算出する反射率分布手段とを具備する。
【0018】
【実施例】
図1は本発明の第1の実施例に係る画像シミュレーション装置の構成を示すブロック図である。同図において、本実施例の画像シミュレーション装置1は、画像密度入力部11と、ドット位置算出部12と、反射率分布算出部13と、入力画像データ入力部14と、平均レベル記憶部15と、反射率データ生成部16と、基本反射率データ記憶部17と、反射率分布出力部18とを含んで構成されている。また、入力画像データ入力部14によって入力される入力画像データは、2値のプリンタの場合ドットがONかOFFかを表わす0か255かのデータ列(若しくは0か1かのデータ列)、また多値のプリンタの場合通常8Bit(0〜255)のデータ列である。記録装置の記録密度は、一般にはdpi(dotper inch)で表され、ドット位置算出手段では、記録密度により各ドットの記録されるべき位置(記録密度の逆数のピッチでx,y両方向に等間隔に配置される。図2参照)が算出される。ここで、ドットの反射率分布を示す基本反射率データの一例を図3に示す。同図において、実際のデータとしてはドットの中心からの距離や座標を変数とした関数の形態(例えば、f(r)やf(x,y)の形)もしくは2次元のLUT(ルックアップテーブル)としてデータ化され保持されている。これらのデータは、出力画像の測定結果若しくは予測・推定により予め準備されたものである。平均レベルは注目画素を中心とした十〜数十画素程度の範囲(矩形、円、楕円など)内の画像データの平均レベルであり、範囲内の画像データがすべて0(OFF)の時に下限値(0),また全てが255(FULLのON)の時は上限値(255)を取る。これらの平均レベル検出は基本的に少なくとも注目画素自体がOFF(0)でない時に行われるが、画素毎の平均レベルを検出せずに入力画像データ全体の平均レベルを各注目画素の平均レベルとすることもできる。前述した基本反射率データは、ある基準の平均レベルにおけるドット反射率データであり、注目画素の平均レベルが基準平均レベルより大きい場合は、基本反射率データに対し、その強度、サイズの少なくともいずれかが大きくなるように設定され、注目画素の平均レベルが基準平均レベルより小さい場合は、基本反射率データに対し、その強度、サイズの少なくともいずれかが小さくなるように設定される。
【0019】
以下にドット反射率データ生成の具体的な一例を示す。図4は、図15で示した各孤立1ドットの反射率分布を平均した平均反射率分布を示す。パラメータはドット配列周期でそれぞれ4*4画素、8*8画素、12*12画素、16*16画素周期、この時の画像データの平均レベルは、それぞれ、255/(4*4)、255/(8*8)、255/(12*12)、255/(16*16)である。そして、各平均反射率分布の最小値Rminを平均レベルに対してプロットすると図5に示したようになり、平均ドット反射率の最小値は入力画像データの平均レベルが増加するに従い小さくなっている。ここで、Rminと平均レベルとの関係を定式化する(この例では、Rmin=c+d*log[平均レベル]の形で近似できる)ことにより、任意の平均レベルに対してRminの値を決定することが可能となる。そして、上記4種類のいずれかの平均反射率分布またはそれを定式化したものを基本反射率データとし、被評価画像の(各注目画素の)平均レベルにより決定されたRminの値に応じて基本反射率データを上下方向に伸縮させることにより各注目画素のドット反射率データを生成する。
【0020】
図2はドットが記録された場合の画像の一例を示す模式図である。ドットが記録される位置は記録装置の記録密度から求められ、同図における黒点がドットが記録されるべき位置を示している。そのドットが記録される位置にドットが記録されるかどうかは前述の入力画像データによって決まり、注目画素において生成された反射率データが算出されたドット位置に形成される(電子データとして貼り付けられる)。図1の反射率分布算出部13では記録密度よりも細かなピッチで(図2の例では模式的に破線で示した)で各点の反射率を計算する。例えば点Aの反射率を求める場合にはもっと近いドットAの中心からの距離(若しくは座標)をドット反射率データの式に代入などして得る。また、点Bのように複数のドット(この例ではドットA,B)からの影響を受けるような点では各ドットの中心からの距離(若しくは座標)に応じた反射率をそれぞれ乗じることにより反射率を求める。このようにして各点の反射率を順次求めていき、画像の反射率分布が得られる。この反射率分布の平均値を求めれば画像濃度が求められ、記録装置のガンマ特性や階調濃度特性の評価が可能となる。また、反射率分布をグラフ化したり、反射率に応じた輝度信号に変換しCRTモニタで表示することで簡単な画像の評価は可能となる。また、これらの算出された画像の反射率分布のデータを画像品質評価装置(若しくはプログラム)に入力することにより、所望の画質評価量を計算することができる。例えば、画像のノイズ評価や図5に示したラインペア画像の反射率分布からMTFを求めることなど各種画質評価方法が適用できる。
【0021】
なお、非画像部(背景部)の反射率、すなわち記録紙の反射率が1.0で近似できない時は、画像の記録媒体(紙など)の反射率Rp(図3参照)を用い、初めにドット反射率データをそれぞれRpで除したデータに正規化し、これらを用いて出力画像の反射率分布データを上述した様に算出し、最後に算出された反射率分布データ全体にRpを乗ずることにより連続的な反射率分布データを得ることができる。また、出力画像の物理量としては反射率に限る必要はなく、(光学的)濃度、明度など任意の物理量が使用可能である。更に、ドット反射率データについても同様であり濃度、明度など任意の物理量の分布データを使用することができ、この時ドットの重なり部における物理量の重ね合わせ方は選択された物理量に応じて設定される。
【0022】
図6は本発明の第2の実施例に係る画像シミュレーション装置の構成を示すブロック図である。同図において、図1と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。異なる構成要素として、本実施例の画像シミュレーション装置1は、ドット位置変動データ記憶部19と、ドット反射率変動データ記憶部20と、ドット反射率データ変動部21と、ドット反射率データ生成部22と、コンボリューション23,24と、応答関数部25,26とを含んで構成されている。本実施例では上述の第1の実施例と同様な手順で反射率分布を計算するが、記録特性の変動データであるドット位置変動データが与えられており、ドット位置変動データと画像記録装置の記録密度によりドット位置が算出されるように構成されている。記録装置の機械的な精度や制御精度などにより発生する各ドット位置の変動量をデータとして与えることで図7に示すように本来、記録密度により決められた位置からずれた位置にドットが記録された場合の反射率分布の計算が可能となる。従って、ドット位置ずれの出力画像への影響を、シミュレーションにより簡単に定量的に評価することが可能となる。具体的にドット位置変動データの一例を示すと、レーザプリンタの場合は、感光体速度変動、回転多面鏡の面倒れによる走査位置ずれなどのデータである。これらのドット位置変動データにより、記録密度から求められた基本ドット位置(記録されるべきドット位置)からのずれ量を各ドットに対し算出し基本ドット位置に加算することにより、変動を含めたドット位置が算出される。ここで、図8にドット位置変動データをドット位置変動の空間周波数特性として与えた時のドット位置算出部12の構成を示す。ホワイトノイズを生成し、そのホワイトノイズをフーリエ変換器(以下FFTと略す)123によりフーリエ変換し周波数空間へ変換する。フィルタリング124においてそのフーリエ変換後のデータにドット位置変動の空間周波数特性を掛け合わせた後、フーリエ逆変換器(以下逆FFTと略す)125によりフーリエ逆変換することにより、目的とする空間周波数特性をもったノイズ(変動)が生成される。これを記録密度記憶部121に記憶された記録密度から基本ドット位置算出部122により求めた基本ドット位置に加算器126により加算することで入力された空間周波数特性のドット位置変動を持つ各ドットの位置が算出される。
【0023】
図9はドット位置変動データとして与えられるドット位置変動の空間周波数特性の一例を示す特性図であり、記録用紙の送り誤差による周期的なドット位置誤差(図中B)、装置部品の加工誤差によるランダムなドット位置誤差(図中C)、像坦持体(電子写真における感光体など)の低周波なむら(図中A)などいろいろな空間周波数成分から構成されている。このように、ドット位置変動のデータを空間周波数特性として与えることにより、画像記録装置から出力される画像の反射率分布をより高精度に予測することが可能となる。また、ドット位置変動の空間周波数特性をドットの形状や大きさを変えてシミュレーションを行うことにより、ドット位置変動の出力画像への定性的及び定量的な影響を簡単に評価することが可能となる。
【0024】
本発明では、ドット反射率データ選択手段(工程)で選択されたドット反射率データに対して、ドット反射率変動データにより変動を与えるドット反射率データ変動手段(工程)を付加し、変動を付加されたドット反射率データと、画像入力データと、近接画素データとから出力画像の反射率分布を算出するように構成した。選択されたドット反射率データは、ドット反射率変動データによりそのサイズ、強度、形状などの少なくともいずれかが変動を与えられる。例えば、レーザプリンタにおいては、その作像工程の中でトナーのちりや脱落などが生じることにより形成されるドットの反射率分布にはバラツキが生じる。
【0025】
本実施例では、これらのドット反射率分布のバラツキを入力可能とするものである。ドット反射率変動データとしては、例えば、ドットのサイズ、強度、形状など変動データであり、図10の例では、ドット反射率変動データ記憶部20内のドットサイズ変動量20−1及びドット強度変動量20−2(相対値、若しくは絶対値)がドット反射率変動データとして与えられている(図11,12参照)。ドット反射率データ変動部21では、乱数生成部21−1,21−2で一様乱数、若しくは正規乱数(正規分布に従う乱数)が生成され、生成された乱数はドットサイズ変動量20−1及びドット強度変動量20−2にそれぞれ乗じられ、入力されるドット反射率データを変動させる変動レベルを順次設定する。一方、ドット反射率分布データ変動部21に入力されたドット反射率データは変動レベルに従い順次所定の演算を施されることにより所定の変動を付加され、反射率分布算出部に送出される。これらは、各注目画素について順次繰り返されることにより第1の実施例で述べたように画像の反射率分布が算出される。このように、各ドットで反射率分布形状が変動したドットで記録された場合の反射率分布の計算が可能となり、より高精度な反射率分布が予測可能となるとともに、ドットの反射率分布の変動が画像に与える影響を定量的に評価することが可能となる。
【0026】
第2の実施例では算出された画像の反射率分布にコンボリューション演算(畳み込み積分)を図6のコンボリューション演算部23,24にて行う。例えば電子写真記録装置のように現像、転写、定着といった複数のプロセスにより画像を形成する画像記録装置の場合、各プロセスの劣化特性に応じた応答関数部25,25における応答関数を用い、例えば現像後の反射率分布に対しコンボリューション演算を順次行い、各プロセスの劣化特性を付加した反射率分布を求める。勿論、これら劣化特性を示す応答関数を1つにまとめてコンボリューション演算部23,24に入力された反射率分布に付加しても良い。なお、ここでは電子写真方式の記録装置の例を示したが、記録装置方式はこれに限るものでなく、また記録紙の内部での光の散乱により、紙上に記録された画像がぼける光学ドットゲインの影響を考慮する場合などにも適用できる。
【0027】
図13は例えば転写、定着工程における劣化特性を空間周波数特性として与えたものを示し、入力された反射率分布をFFT28により空間周波数空間へ変換し、所定の空間周波数特性を乗じた後、逆FFT29により劣化特性を付加された反射率分布を得るように構成されている。
【0028】
次に、図14は本発明のシステム構成を示すブロック図である。つまり、同図は上記実施例における画像シミュレーション方法によるソフトウェアを実行するマイクロプロセッサ等から構築されるハードウェアを示すものである。同図において、画像シミュレーションシステムはインターフェース(以下I/Fと略す)31、CPU32、ROM33、RAM34、表示装置35、ハードディスク36、キーボード37及びCD−ROMドライブ38を含んで構成されている。また、汎用の処理装置を用意し、CD−ROM39などの読取可能な記憶媒体には、本発明の画像シミュレーション方法を実行するプログラムが記憶されている。更に、I/F31を介して外部装置から制御信号が入力され、キーボード37によって操作者による指令又は自動的に本発明のプログラムが起動される。そして、CPU32は当該プログラムに従って上述の画像シミュレーション方法に伴う画像シミュレーション制御処理を施し、その処理結果をRAM34やハードディスク36等の記憶装置に格納し、必要により表示装置35などに出力する。以上のように、本発明の画像シミュレーション方法を実行するプログラムが記録した媒体を用いることにより、既存のシステムを変えることなく、かつ画像シミュレーションシステムを構築する装置を汎用的に使用することができる。
【0029】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、画像出力装置の出力画像をシミュレートする画像シミュレーション装置は、記録されるドット位置を算出するドット位置算出手段と、入力画像データの全体、若しくは注目画素を中心とした入力画像データの一部の平均レベルを検出する平均レベル検出手段と、入力画像データと平均レベルとに応じて注目画素のドット反射率データを基本反射率データから生成する基本反射率データ生成手段と、生成されたドット反射率データと入力画像データとから画像出力装置の出力画像の反射率分布を算出する反射率分布手段とを具備したことに特徴がある。よって、入力画像の特性に依らず高精度な反射率分布を算出可能な画像シミュレーション装置を実現することができる。また、実際に画像を出力することなく算出された反射率分布を用いて容易に所望の画像品質評価まで行うことが可能となる。
【0031】
また、ドット位置算出手段は、画像出力装置の記録密度とドット位置変動データとから記録されるドット位置を算出するように構成したことにより、ドット位置変動が出力画像に与える影響を評価可能とすることが可能となるとともに、画像記録装置から出力されるであろう画像の反射率分布を、ドット位置変動を含めてより高精度に予測することが可能となる。また、出力画像品質にバラツキが大きい(繰り返し再現性が良好でない)画像記録装置や出力画像がノイジーな(S/N比が良好でない)画像記録装置であっても、ドット位置変動が出力画像に与える影響を精度良く予測することが可能となる。
【0032】
更に、生成された注目画素のドット反射率データを、ドット反射率変動データに基づき変動させるドット反射率変動手段を有することにより、ドットのバラツキが出力画像に与える影響を評価可能とすることが可能となるとともに、を含めてより高精度を含めてより高精度が出力画像に与える影響を評価可能とすることが可能となるとともに、画像記録装置から出力されるであろう画像の反射率分布を、ドットのバラツキを含めてより高精度に予測することが可能となる。
【0033】
また、算出された画像出力装置の出力画像の反射率分布に対し、所定の応答関数を用いてコンボリューション演算を行い、最終的な反射率分布を得る手段を有することにより、例えば現像、転写、定着といった複数の作像プロセスにより画像を形成する電子写真記録装置などの画像記録装置から出力されるぼけ・にじみなどの画質劣化を含んだ画像の反射率分布を精度良く予測することが可能となる。
【0034】
別の発明として、画像出力装置の出力画像をシミュレートする画像シミュレーション方法によれば、記録されるドット位置を算出するドット位置算出工程と、入力画像データの全体、若しくは注目画素を中心とした入力画像データの一部の平均レベルを検出する平均レベル検出工程と、入力画像データと平均レベルとに応じて注目画素のドット反射率データを基本反射率データから生成する基本反射率データ生成工程と、選択されたドット反射率データと入力画像データとから画像出力装置の出力画像の反射率分布を算出する反射率分布算出工程とを有する。よって、入力画像の特性に依らず高精度な反射率分布を算出可能な画像シミュレーションを行うことが可能となると共に、実際に画像を出力することなく算出された反射率分布を用いて容易に所望の画像品質評価まで行うことが可能となる。
【0035】
また、ドット位置算出工程は、画像出力装置の記録密度とドット位置変動データとから記録されるドット位置を算出することにより、ドット位置変動が出力画像に与える影響を評価可能とすることが可能となるとともに、画像記録装置から出力されるであろう画像の反射率分布を、ドット位置変動を含めてより高精度に予測することが可能となる。また、出力画像品質にバラツキが大きい(繰り返し再現性が良好でない)画像記録装置や出力画像がノイジーな(S/N比が良好でない)画像記録装置であっても、ドット位置変動が出力画像に与える影響を精度良く予測することが可能となる。
【0036】
更に、生成された注目画素のドット反射率データを、ドット反射率変動データに基づき変動させるドット反射率変動工程を含むことにより、ドットのバラツキが出力画像に与える影響を評価可能とすることが可能となるとともに、を含めてより高精度を含めてより高精度が出力画像に与える影響を評価可能とすることが可能となるとともに、画像記録装置から出力されるであろう画像の反射率分布を、ドットのバラツキを含めてより高精度に予測することが可能となる。
【0037】
また、算出された画像出力装置の出力画像の反射率分布に対し、所定の応答関数を用いてコンボリューション演算を行い、最終的な反射率分布を得る工程を含むことにより、例えば現像、転写、定着といった複数の作像プロセスにより画像を形成する電子写真記録装置などの画像記録装置から出力されるぼけ・にじみなどの画質劣化を含んだ画像の反射率分布を精度良く予測することが可能となる。
【0038】
別の発明として、上記記載の画像シミュレーション方法を実行するプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に特徴がある。よって、既存のシステムを変えることなく、かつ画像シミュレーションシステムを構築する装置を汎用的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る画像シミュレーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ドットが記録された場合の画像の一例を示す模式図である。
【図3】ドットの反射率分布を示す基本反射率データの一例を示す図である。
【図4】各孤立1ドットの反射率分布を平均した平均反射率分布を示す図である。
【図5】ラインペア画像の反射率分布を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施例に係る画像シミュレーション装置の構成を示すブロック図である。
【図7】各ドット位置の変動量を加味したドット位置がずれた様子を示す模式図である。
【図8】ドット位置変動データをドット位置変動の空間周波数特性として与えた時のドット位置算出部の構成を示すブロック図である。
【図9】ドット位置変動データとして与えられるドット位置変動の空間周波数特性の一例を示す特性図である。
【図10】ドット反射率変動データを加味した第2の実施例の構成の一部を示すブロック図である。
【図11】ドットサイズ変動量を加味した反射率分布を示す特性図である。
【図12】ドット強度変動量を加味した反射率分布を示す特性図である。
【図13】反射率分布を空間周波数空間に変換する構成を示すブロック図である。
【図14】本発明のシステム構成を示すブロック図である。
【図15】出力ドットのドット形状を示す図である。
【符号の説明】
1;画像シミュレーション装置、11;記録密度記憶部、
12;ドット位置算出部、13;反射率分布算出部、
14;入力画像データ入力部、15;平均レベル記憶部、
16;反射率データ生成部、17;基本反射率データ記憶部、
18;反射率分布出力部、19;ドット位置変動データ記憶部、
20;ドット反射率変動データ記憶部、21;ドット反射率データ変動部、
22;ドット反射率データ生成部、23,24;コンボリューション演算部、
25,26;応答関数部、27;反射率分布算出選択部、28;FFT、
29;逆FTT。

Claims (9)

  1. 画像出力装置の出力画像をシミュレートする画像シミュレーション装置において、
    記録されるドット位置を算出するドット位置算出手段と、
    入力画像データの全体、若しくは注目画素を中心とした入力画像データの一部の平均レベルを検出する平均レベル検出手段と、
    入力画像データと平均レベルとに応じて注目画素のドット反射率データを基本反射率データから生成する基本反射率データ生成手段と、
    生成されたドット反射率データと入力画像データとから画像出力装置の出力画像の反射率分布を算出する反射率分布手段とを具備したことを特徴とする画像シミュレーション装置。
  2. 前記ドット位置算出手段は、画像出力装置の記録密度とドット位置変動データとから記録されるドット位置を算出するように構成した請求項1記載の画像シミュレーション装置。
  3. 生成された注目画素のドット反射率データを、ドット反射率変動データに基づき変動させるドット反射率変動手段を有する請求項1又は2に記載の画像シミュレーション装置。
  4. 算出された画像出力装置の出力画像の反射率分布に対し、所定の応答関数を用いてコンボリューション演算を行い、最終的な反射率分布を得る手段を有する請求項1〜3のいずれかに記載の画像シミュレーション装置。
  5. 画像出力装置の出力画像をシミュレートする画像シミュレーション方法において、
    記録されるドット位置を算出するドット位置算出工程と、
    入力画像データの全体、若しくは注目画素を中心とした入力画像データの一部の平均レベルを検出する平均レベル検出工程と、
    入力画像データと平均レベルとに応じて注目画素のドット反射率データを基本反射率データから生成する基本反射率データ生成工程と、
    選択されたドット反射率データと入力画像データとから画像出力装置の出力画像の反射率分布を算出する反射率分布算出工程とを有することを特徴とする画像シミュレーション方法。
  6. 前記ドット位置算出工程は、画像出力装置の記録密度とドット位置変動データとから記録されるドット位置を算出する請求項5記載の画像シミュレーション方法。
  7. 生成された注目画素のドット反射率データを、ドット反射率変動データに基づき変動させるドット反射率変動工程を含む請求項5又は6に記載の画像シミュレーション方法。
  8. 算出された画像出力装置の出力画像の反射率分布に対し、所定の応答関数を用いてコンボリューション演算を行い、最終的な反射率分布を得る工程を含む請求項5〜7のいずれかに記載の画像シミュレーション方法。
  9. 請求項5〜8のいずれかに記載の画像シミュレーション方法を実行するプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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