JP3821588B2 - 画像記録媒体並びに画像記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は酸触媒によって加速される発色(または消色)反応を利用した高感度でかつ保存性の良好な化学増幅型の画像記録媒体及びそれを用いた画像記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録材料は画像部と非画像部を温度差分布として表現するもので、着色剤の溶融転写や昇華転写、加熱溶融やカプセル破壊による2成分間の発色反応、相転位による光学特性の変化等、多くの方式が考案されてきた。この種の熱記録媒体においては、乾式でかつ簡単なシステムで記録像が得られ、しかもメンテナンスフリーという利点があるため各種プリンター、ワードプロセッサー、ファクシミリ等の出力材料として広く利用されている。また近年、レーザー記録装置の進歩に伴い光ディスクや製版材料にも応用が検討されている。
【0003】
従来、製版材料としては、湿式処理を必要とするハロゲン化銀感光材料が使用されてきたが、処理工程の簡易化に対する要求、および処理液による環境汚染の問題から乾式工程の開発が望まれ、近年感熱記録方式によるいくつかの技術的な提案がなされてきた。解像度の観点からレーザーを用いた画像記録が好ましく、例えば、高出力レーザーを用いた色素アブレーションと呼ばれる方式が開発されており、その記録材料が特開平7−164755号、同7−149063号、同7−149065号等に、画像形成装置が特開平8−48053号、同8−72400号等に開示されている。
【0004】
このシステムでは支持体上に塗布された画像色素、レーザー波長域に吸収を有する物質(赤外吸収物質)およびバインダーからなる色素組成物を有する記録材料を、色素層側からレーザー照射することによって画像記録が行われる。レーザーによって与えられたエネルギーは、レーザービームが材料に当たったスポットで画像形成層に急激な局部変化を起こし、それによって物質を層から追い出す。上記特許公報によれば、これは完全に物理的な変化(例えば、溶融、蒸発または昇華)ではなく、ある種の化学変化(例えば、結合破壊)であり、部分的な画像色素の除去ではなく、完全な除去であるという。この様な色素アブレーション方式では、レーザー露光部位における色素の除去効率を高めるためには高出力のレーザーが不可欠であり、また除去された色素を集めるために集塵機の併設が必要であるといった問題点があった。
【0005】
集塵機を必要としない方式として、レーザーを熱源とするアブレーション転写式画像記録法に関する記載が米国特許第5,171,650号等に開示されている。この方式では、アブレイティブキャリアートップコートを上塗りした動的剥離層を含有する色素ドナーシートが用いられており、画像は、隣接して位置合わせをした別の受容シートへと転写される。このため画像記録後に不要となったシートが廃材になるという問題点があった。またこの場合も転写効率を高めるためには高出力のレーザーが不可欠であった。このようにレーザーによるアブレーションを利用した従来の感熱記録方式では高出力のレーザーが必要であり、ゴミや廃材が避けられないという問題点があった。
【0006】
一方レーザーを利用したアブレーションを伴わない感熱記録方式として、「ドライシルバー」と称されるシステムを発展させたものが特開平6−194781号等に記載されている。このシステムでは、熱的に還元されうる銀源、銀イオンの還元剤、および光熱変換色素を含有する記録材料に対してレーザーで記録が行われるが、非画像部の保存性、および熱感度の点で実用性能には不十分であった。
【0007】
また、レーザーを利用したその他の感熱記録方式として米国特許第4,602,263号、同第4,826,976号にはカルバメートの熱分解によって吸収の変化する化合物が記載されており、同第5,243,052号には水酸基に導入したt−ブトキシカルボニル基の熱分解によってイエロー発色する化合物が記載されている。これらの方式は不可逆な単分子反応を利用したもので、レーザーを利用した極短時間の画像記録に対して好ましい方式ではあるが、感度が不十分であり更に高感度化が望まれていた。また酸触媒を共存させることによって高感度化できるが保存安定性が問題であった。
【0008】
その他、製版材料用途に共するUVマスク像(360nm〜420nm;PS版への露光光源に対応)の形成方法として、レーザーを利用したヒートモード方式では実用的な提案はなされていない。
【0009】
一方、米国特許第5,286,612号、同第5,395,736号、同第5,441,850号、特表平8−503081号、同8−503082号には化学線の作用でpKa<0の超強酸を発生する化合物、超強酸の存在下で2次酸を発生する2次酸発生剤、および2次酸との接触によって色の変化する化合物を含有する記録材料に関して記載がある。該方式は記録材料の高感度化という意味で有効な方法であるが、該特許記載の2次酸発生剤からの2次酸の発生は超強酸前駆体から発生した超強酸によってのみ触媒されるものであり、該特許公報によれば超強酸1分子に対して20分子程度の2次酸前駆体の分解が触媒されるとのことであるが、生成した2次酸には触媒能力がないため、いわゆるねずみ算式の酸増殖による高感度化は期待できない。
【0010】
また酸の作用によって酸を増殖する化合物としてK.Ichimura著、Chem. Lett.551(1995)および特開平8−248561号等には、酸触媒による分解で有機酸を生成する化合物が記載されており、該化合物を、光酸発生剤と酸の作用によって構造変化を生じる物質と組み合わせて用いた酸反応性高分子組成物が記載されている。しかしながら、該文献では、光酸発生剤により生じた酸の作用により、極性溶媒やアルカリ水溶液に可溶化又は不溶化させるという構造変化により、いわゆるフォトレジストを意図したものであり、吸収域変化を利用した記録材料に関しては全く記載がない。
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高感度で、レーザーを用いたヒートモード画像記録方式を利用する場合にもアブレーションを起こさない程度の低出力レーザーでの記録(特に製版用マスクフィルムとして不可欠な360〜420nmに対応する画像記録)が可能であり、別個の受像シートを必要とせず、かつ保存安定性に優れた新規な化学増幅型の画像記録媒体およびその画像記録方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、以下に示す1)〜9)の本発明によって達成された。
1)熱又は酸の作用により酸を発生する下記一般式2〜5のいずれかで表される酸発生剤、および、酸の作用で分解または離脱が促進される下記置換基によって置換されたアミノ基もしくは水酸基を分子内に有しかつ酸の作用による分子内又は分子間反応により該置換基が外れることにより吸収が長波化又は短波化して360〜900nmの吸収域に変化を生じる化合物を含有することを特徴とする画像記録媒体。
(アミノ基の置換基)
アルコキシカルボニル基、アシル基、ホルミル基およびアルコキシメチル基から選択された置換基
(水酸基の置換基)
アルコキシカルボニル基、シリル基、アルコキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、4,5−ジヒドロ−2−メチルフラン−5−イル基およびβ位に水素原子を有する2級又は3級のアルキル基から選択された置換基
【0013】
【化5】
【0014】
式2中、R1 はアルキル基又はアリール基を表し、R2 はアルキル基を表し、R3 はβ位に水素原子を有する2級又は3級のアルキル基を表し、AはAOHで表される酸の残基を表す。
【0015】
【化6】
【0016】
式3中、R4 、R5 、R6 およびR9 はそれぞれ水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R7 およびR8 はそれぞれアルキル基、アリール基又はシリル基を表し、R7 とR8 は環を形成していてもよく、XはO又はSを表し、AはAOHで表される酸の残基を表す。
【0017】
【化7】
【0018】
式4中、R10、R11およびR12はそれぞれ水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、AはAOHで表される酸の残基を表す。
【0019】
【化8】
【0020】
式5中、R13はアルキル基又はアリール基を表し、AはAOHで表される酸の残基を表す。
【0021】
2)一般式1で表される酸発生剤以外に、光又は熱の作用により酸を発生する化合物を別途含有することを特徴とする上記1)記載の画像記録媒体。
【0022】
3)光又は熱の作用により酸を発生する酸発生剤がスルホン酸、カルボン酸又はリン酸を発生する化合物であることを特徴とする上記2)記載の画像記録媒体。
【0023】
4)酸の作用により吸収が長波化又は短波化して360〜900nmの吸収域に変化を生じる前記化合物が、酸の作用により除去される前記置換基によって置換された水酸基を少なくとも1つ有し、該置換基の除去に引き続く分子内又は分子間反応によって前記吸収域に変化を生じる化合物であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれかに記載の画像記録媒体。
【0024】
5)酸の作用により除去されるアミノ基の前記置換基がアルコキシカルボニル基であることを特徴とする請求項4)記載の画像記録媒体。
【0025】
6)酸の作用により吸収が長波化又は短波化して360〜900nmの吸収域に変化を生じる前記化合物が、酸の作用により除去される前記置換基によって置換された水酸基を少なくとも1つ有し、該置換基の除去に引き続く分子内又は分子間反応によって前記吸収域に変化を生じる化合物であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれかに記載の画像記録媒体。
【0026】
7)酸の作用により除去される水酸基の前記置換基がアルコキシカルボニル基、アルコキシメチル基又はシリル基であることを特徴とする上記6)に記載の画像記録媒体。
【0027】
8)赤外吸収物質を含有することを特徴とする上記1)〜7)のいずれかに記載の画像記録媒体。
【0028】
9)上記1)〜8)のいずれかに記載の画像記録媒体をレーザー光によって走査露光した後、60〜150℃の温度範囲で全面加熱することを特徴とする画像記録方法。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳しく述べる。
最初に、下記一般式1で表される酸発生剤を説明する。
一般式1 A0P
一般式1においてAはAOHで表される酸(スルホン酸、カルボン酸、リン酸、フェノール等)の残基を表す。AOHはpKa<3の酸であることが好ましく、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ポリビニルベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、p−ニトロ安息香酸等が好ましい例として挙げられる。
【0030】
Pは酸の作用によって除去される酸感受性の置換基を表し、Pの除去に伴いAOPで表される酸発生剤からAOHで表される酸が生成する。さらにPは酸発生剤(AOP)の分解によって生成した酸(AOH)を触媒として150℃以下の温度で除去される置換基であり、好ましくはAOHを触媒として120℃以下の温度で除去される置換基である。なお本発明で用いられる。“触媒される”という用語は化合物単独の場合と比較して酸を添加することにより分解温度が10℃以上、好ましくは20℃以上低下することを意味する。
【0031】
この様な置換基としては、β位に水素原子を有するアルキル基(例えばt−ブチル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキセニル基等)、アルコキシカルボニル基(例えばt−ブトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、2−(2−メチル)ブトキシカルボニル基、2−(2−フェニル)プロピルオキシカルボニル基、2−クロロエトキシカルボニル基等)、アルコキシメチル基(例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、1−フェノキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、4,5−ジヒドロ−2−メチルフラン−5−イル基等)、シリル基(例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等)、あるいはこれらの基、又はアセタール、ケタール、チオケタール、ピナコール、エポキシ環の分解を引き金に離脱する保護基(後述する一般式1〜4の説明においてAOHに置換された基が例として挙げられる)が挙げられる。
【0032】
本発明の画像記録媒体がレーザーヒートモード等のヒートモード記録用途の場合には、一般式1で表される酸発生剤は画像記録時の熱(>150℃)の作用によっても酸を発生する機能を有していることが好ましく、この場合には別途酸発生剤を添加しなくても画像形成が可能である。
【0033】
AOPで表される酸発生剤は置換可能な位置に導入された重合性基が複数連結することによってポリマーを形成しても良い。この場合単独重合体であってもよいし、他のモノマーとの共重合体であっても良い。ポリマーの分子量は千〜100万の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは2千〜30万の範囲にある場合である。ただし本発明では、AOPで表される酸発生剤のモノマーは酸の作用による分子内又は分子間反応により360nm〜900nmの吸収域に変化を生じる機能を有するモノマーとともに共重合体を形成することはない。
【0034】
一般式1で表される酸発生剤の例としては例えばトリフルオロ酢酸(α−フェニル−イソプロピル)エステル、トリフルオロ酢酸t−ブチルエステル、トルエンスルホン酸シクロヘキシルエステル等を挙げることができる。
本発明に於いては、活性と保存性の観点から特に好ましい例として以下の化合物を挙げることができ、本発明においては、下記一般式2〜5で表される酸発生剤を使用するものである。
【0035】
最初に、一般式2で示される化合物を説明する。
一般式2において、R1 はアルキル基(置換基を有するものを含む。炭素数は1〜60が好ましい。例えばメチル基、エチル基、iso-プロピル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基、エトキシメチル基等)、又はアリール基(置換基を有するものを含む。炭素数は6〜60が好ましい。例えばフェニル基、ナフチル基、4−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−ニトロフェニル基、3−メタンスルホニルフェニル基等)を表し、R2 はアルキル基(好ましい例はR1 で説明したものと同じ)を表し、R3 はβ位に水素原子を有する2級又は3級のアルキル基(置換基を有するものを含む。炭素数は3〜60が好ましい。例えばt−ブチル基、シクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、4,5−ジヒドロ−2−メチルフラン−5−イル基、2−シクロヘキセニル基等)を表し、AはAOHで表される酸(AOHのpKaは3以下であることが好ましい。例えばp−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、ポリビニルベンゼンスルホン酸、p−ニトロ安息香酸等)の残基を表す。
【0036】
以下に一般式2で示される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
【化9】
【0038】
【化10】
【0039】
【化11】
【0040】
第2に挙げられるのは一般式3で示される化合物である。
一般式3において、R4 、R5 、R6 およびR9 はそれぞれ水素原子、アルキル基(好ましい例はR1 で説明したものと同じ)又はアリール基(好ましい例はR1 で説明したものと同じ)を表し、R7 およびR8 はそれぞれアルキル基(好ましい例はR1 で説明したものと同じ)、アリール基(好ましい例はR1 で説明したものと同じ)又はシリル基(例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチル基、フェニルジメチルシリル基)を表し、R7 とR8 は互いに結合して環を形成していてもよく、環を形成する場合には−O−C−X−とともに5〜10員環を形成することが好ましく、特に好ましくは5員又は6員環を形成する場合である。XはO又はSを表し、AはAOHで表される酸(好ましい例は一般式1で説明したものと同じ)の残基を表す。
【0041】
以下に一般式3で示される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
【化12】
【0043】
【化13】
【0044】
第3に挙げられるのは一般式4で示される化合物である。
一般式4においてR10、R11及びR12はそれぞれ水素原子、アルキル基(好ましい例はR1 で説明したものと同じ)、又はアリール基(好ましい例はR1 で説明したものと同じ)を表し、AはAOHで表される酸(好ましい例は一般式1で説明したものと同じ)の残基を表す。
【0045】
以下に一般式4で示される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】
【化14】
【0047】
【化15】
【0048】
第4に挙げられるのが一般式5で示される化合物である。
式中、R13はアルキル基(好ましい例はR1 で説明したものと同じ)、又はアリール基(好ましい例はR1 で説明したものと同じ)を表し、AはAOHで表される酸(好ましい例は一般式1で説明したものと同じ)の残基を表す。
【0049】
以下に一般式5で示される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0050】
【化16】
【0051】
一般式2〜5で示される上記の化合物は特開平8−248561号に記載の方法に準じて合成することができる。
なおこれらの酸発生剤はいずれもレーザーヒートモードによる画像記録時には、レーザー照射による熱の作用で部分的に分解して酸を発生するため、別途熱酸発生剤を添加する必要はない。
【0052】
またこれらの酸発生剤の添加量は吸収変化を伴う化合物の種類によっても異なるが、一般に吸収変化を伴う化合物に対して0.001〜20当量の範囲であることが好ましく、特に好ましくは0.01〜5当量の場合である。
【0053】
本発明の画像記録媒体をフォトンモード方式の画像記録媒体として利用する場合には光の作用により酸を発生する化合物の添加が必須となる。
一方ヒートモード方式の画像記録媒体として利用する場合には、一般式1で表される酸発生剤が熱の作用によっても酸を発生する機能を有しているならば別途熱酸発生剤を添加する必要はないが、高感度化することを目的として別途熱酸発生剤を添加しても良い。また、一般式1で表される酸発生剤が熱の作用によって酸を発生する機能を有していない場合には別途熱酸発生剤を添加することが必要である。
【0054】
光又は熱の作用によって酸を発生する酸発生剤とは、本来酸ではない化合物であるが、光の照射又は加熱により分解して酸を発生する化合物である。本発明ではレーザー露光時にのみ分解し、保存時又はレーザー露光後の全面加熱時には分解しない酸発生剤が有用である。
【0055】
光の作用によって酸を発生する化合物としては、有機エレクトロニクス材料研究会(ぶんしん出版)編「イメージング用有機材料」p.187〜198(1993)に種々の例(非イオン性化合物としてハロゲン化水素を発生するハロゲン化物、スルホン酸を発生するスルホン化物、カルボン酸を発生するカルボニル化物、リン酸を発生するリン化合物等、イオン性化合物として各種オニウム塩等)が記載されている。本発明ではこれらのいずれも使用することができるが、画像記録媒体の保存性の観点で、スルホン酸、カルボン酸又はリン酸を発生する酸発生剤が特に有用である。またこれらの光酸発生剤の感光域を広げる目的で種々増感剤(J.Polymer.Sci.,16、2441(1978)等に例が記載されている) を添加することもできる。
【0056】
以下に本発明に有用な光によって酸を発生する化合物の具体例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0057】
【化17】
【0058】
【化18】
【0059】
【化19】
【0060】
【化20】
【0061】
【化21】
【0062】
熱によって酸を発生する熱酸発生剤として第1に挙げられるのはジアゾニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のスルホネート、 PF6 - 塩、AsF6 - 塩、SbF6 - 塩等である。これらは光の作用によって酸を発生する化合物でもあり、例としては光酸発生剤の例として記載したものが挙げられる。
【0063】
熱酸発生剤として第2に挙げられるのは酸のアンモニウム塩又はアミン錯体である。酸のアンモニウム塩は、酸をアンモニアまたはアミンで中和することによって合成できる。酸としては例えばp−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、1,8−ナフタレンジスルホン酸、p−ニトロ安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸、フェニルホスホン酸、HPF6等を挙げることができる。また酸のアミン錯体としてはBF3 ・Et2Oとアミンを混合することによって得られる錯体等を挙げることができる。アミンは第1級、第2級、または第3級のアミンのいずれでも良く揮発性である場合が特に好ましい。例としてメチルアミン、エチルアミン、iso-プロピルアミン、t−ブチルアミン、アニリン、ピリジン等を挙げることができる。
【0064】
これらの酸のアンモニウム塩の具体例を以下に例示するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0065】
【化22】
【0066】
【化23】
【0067】
熱酸発生剤として第3に挙げられるのは、加熱によりβ−水素脱離して酸を発生する化合物である。この様な化合物としてはスルホン酸、カルボン酸もしくはリン酸のβ位に水素原子を有するアルキルエステル(例えばt−ブチルエステル、シクロヘキシルエステル、2−フェニルエチルエステル、4,5−ジヒドロ−2−メチルフラン−5−イルエステル、2−シクロヘキセニルエステルなど)、又は下記一般式6で示される化合物等を挙げることができる。
【0068】
一般式6 YO−N=CH−Z
式6中、YはYOHで表されるスルホン酸、カルボン酸又はリン酸の残基を表す。Zは置換又は無置換のアリール基を表し、炭素数は6〜60が好ましく、例としては、フェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、1−ナフチル基、2−メトキシ−1−ナフチル基、2−クロロ−1−ナフチル基等を挙げることができる。
【0069】
加熱によってβ水素離脱することにより酸を発生する化合物の具体例を以下に示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】
【化24】
【0071】
【化25】
【0072】
熱酸発生剤として第4に挙げられるのはスルホン酸、カルボン酸およびリン酸の2−ニトロベンジルエステル、あるいはベンゾインエステルである。これらは光によって酸を発生する化合物でもあり、例としては光酸発生剤の例として前記したものが挙げられる。
【0073】
本発明ではこれらの熱酸発生剤のいずれも使用することができるが、保存安定性の観点から、スルホン酸、カルボン酸又はリン酸を発生する酸発生剤が特に有用である。また分解温度としては130℃〜300℃の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは150℃〜250℃の範囲にある場合である。
【0074】
一般式1のAOP以外に別途添加するこれらの酸発生剤の添加量を調節することによっても記録材料の感度と保存性をコントロールすることができるが、一般的にはAOPに対して1〜50mol%添加する場合が好ましく、特に好ましくは5〜20mol%添加する場合である。
【0075】
本発明において、酸の作用による分子内又は分子間反応により360〜900nmの吸収域に変化を生じる化合物とは、中性〜塩基性の条件下で保存する限りにおいては安定であるが、酸が作用すると分子内、又は分子間反応の活性化エネルギーが下がり、加熱によって容易に反応が進行して前記範囲における吸収に変化を生じる化合物のことである。この際画像を形成するための加熱温度としては60〜150℃であることが好ましく、特に好ましくは80〜120℃である。発色又は消色画像の形成反応と酸の増殖は同時に行なうことができる。
【0076】
この様な吸収変化を伴う化合物は単一の化合物であってもよいし、2成分以上で構成されていてもよい。ここで、単一化合物の場合が分子内反応に相当し、2成分以上の場合が分子間反応に相当する。
【0077】
また上記範囲の吸収域に変化を生じる場合において、UV域(360〜420nm;PS版露光光源に対応)のON−OFF画像を形成したり、あるいは視認用の可視画像(900nm以下)を形成することができ、本発明を製版用フィルムへ有効に適用することができる。
【0078】
吸収変化を伴う化合物としては、例えば、ディールスアルダー反応によって前記領域に消色画像を形成する化合物(例えば、9,10−ジスチリルアントラセンと無水マレイン酸、テトラフェニルシクロペンタジエンとアクリル酸エステル等)、レトロディールスアルダー反応によって前記領域に発色画像を形成する化合物(例えば9,10−ジスチリルアントラセンと無水マレイン酸の付加体、ジフェニルイソベンゾフランとアクリルアミドの付加体等)、β−水素離脱によって共役系が拡張され前記領域に発色画像を形成する化合物(例えば1−アセトキシ−1,2−ジアリールエタン、1−スルホキシ−1,2−ジアリールエタン等)、脱水縮合によって前記領域に発色画像を形成するアルデヒドと活性メチレン化合物の組み合わせ(例えば写真用4当量マゼンタカプラーとp−メトキシシンナムアルデヒド等)あるいは酸の作用で分解または離脱が促進される置換基によって置換されたアミノ基または水酸基を分子内に有し、該置換基が外れることによって前記吸収域における吸収が変化する化合物等が挙げられる。また酸との接触により瞬時に発色する塩基性のロイコ染料等も該画像形成媒体において使用することができるが、この様な化合物は塩基として作用し、酸増殖過程を阻害するためマイクロカプセルを利用したり別層に塗布したりすることによって一般式1の酸発生剤と隔離しておくことが必要である。
【0079】
本発明では、アミノ基又は水酸基の、前述の特定の置換基が、酸の作用によって分解又は離脱することにより吸収が変化する化合物を使用するものである。
【0080】
上記アミノ基の置換基は、アルコキシカルボニル基(例えばt−ブトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、2−(2−メチル)ブトキシカルボニル基、2−(2−フェニル)プロピルオキシカルボニル基、2−クロロエトキシカルボニル基等)、アシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基、2−ニトロベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基、1−ナフトイル基等)、ホルミル基およびアルコキシメチル基(例えばメトキシメチル基、エトキシエチル基、オクチルオキシメチル基等)から選択される置換基であり、本発明では保存安定性と熱感度の観点からアルコキシカルボニル基が特に有用である。このような化合物としては、例えば米国特許第4,602,263号、同第4,826,976号等に記載例があり、本発明の熱酸発生剤および酸増殖剤と組み合わせることにより、より高感度で保存性に優れた感熱記録材料を提供することができる。
【0081】
以下に本発明に有用な前記置換基で置換されたアミノ基を有する化合物の具体例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0082】
【化26】
【0083】
【化27】
【0084】
【化28】
【0085】
【化29】
【0086】
【化30】
【0087】
【化31】
【0088】
酸の作用により分解又は離脱する水酸基の置換基は、アルコキシカルボニル基(例えばt−ブトキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、1−フェニルエトキシカルボニル基、1,1−ジフェニルエトキシカルボニル基、2−シクロヘキセンオキシカルボニル基、2−クロロエトキシカルボニル基等)、シリル基(例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、フェニルジメチルシリル基等)、アルコキシメチル基(例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、1−フェノキシエチル基等)、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、4,5−ジヒドロ−2−メチルフラン−5−イル基、およびβ位に水素原子を有する2級又は3級のアルキル基(例えばt−ブチル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキセニル基等)から選択される置換基であり、本発明では特にアルコキシカルボニル基が好ましい。水酸基の置換基の分解によって吸収が変化する化合物としては米国特許第5,243,052号あるいは特開平9−25360号等に記載例がある。
【0089】
以下に本発明で有用な水酸基の置換基の分解によって前記領域における吸収が変化する化合物の具体例を例示するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0090】
【化32】
【0091】
【化33】
【0092】
【化34】
【0093】
【化35】
【0094】
【化36】
【0095】
【化37】
【0096】
【化38】
【0097】
【化39】
【0098】
【化40】
【0099】
【化41】
【0100】
本発明の画像記録媒体は、一般的に前記一般式1で表される酸発生剤、酸の作用により360〜900nmの吸収域に変化を生じる化合物および必要に応じて光又は熱の作用により酸を発生する化合物を含有する組成物を支持体上に塗布して作製される。この際、これらのいずれかがポリマーである場合、あるいは塗布性の良いアモルファスである場合を除き、通常はバインダーを共存させる。バインダーを使用しなくてもよい場合は、膜厚を薄くし易く、切れの良い画像が得られるという利点がある。
【0101】
また該画像記録媒体の保存安定性を高める目的で少量の塩基を添加したり、必要に応じて顔料、酸化防止剤、スティッキング防止剤等種々の添加剤を添加することもできる。また、画像形成層を保護するためにオーバーコート層を設けたり、支持体の裏面にバックコート層を設けても良い。なお、画像形成層と支持体との間に単層または複数層の顔料または樹脂からなるアンダーコート層を設けるなど、感熱記録材料等における種々の公知技術を用いることもできる。
【0102】
塩基を添加する場合には有機塩基が好ましく、例えばグアニジン誘導体(例えば1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジメチルグアニジン、1,3−ジブチルグアニジン、1−ベンジルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン等)、アニリン誘導体(例えばアニリン、p−t−ブチルアニリン、N,N′−ジメチルアニリン、N,N′−ジブチルアニリン、トリフェニルアミン等)、アルキルアミン誘導体(例えばトリブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン等)、およびヘテロ環化合物(例えばN,N′−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン、トリフェニルイミダゾール、ルチジン、2−ピコリン等)が好ましい例として挙げられる。これらの塩基は酸発生剤に対して1〜50mol%添加することが好ましく、特に好ましくは5〜20mol%添加する場合である。
【0103】
バインダーとしては、ゼラチン、カゼイン、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、エチレン−無水マレイン酸コポリマー等の水溶性バインダー、およびポリビニルブチラール、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、アクリル酸メチル−ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー等の水不溶性バインダーのいずれも用いることができる。
【0104】
顔料を添加する場合には、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、尿素−ホルマリン樹脂等が例として挙げられる。
【0105】
その他の添加剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩からなるヘッド摩耗およびスティッキング防止剤、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、カスターワックス等のワックス類等が挙げられ、必要に応じて添加することができる。
【0106】
本発明の画像記録媒体に用いられる支持体としては、上質紙、バライタ紙、コート紙、キャストコート紙、合成紙等の紙類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフチレンジカルボキシレート、ポリアリーレン、ポリイミド、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース等のポリマーフィルム、ガラス、金属箔、不織布等を挙げることができる。本発明の画像記録媒体を利用して透過型の画像、例えばOHP用フィルムや製版用フィルム等の用途に供する場合には、透明な支持体が用いられる。また、製版フィルム用には、熱膨張率が小さく寸度安定性が良好で、かつ、PS版の感光域に吸収を持たない支持体が選ばれる。
【0107】
本発明の画像記録媒体に含まれる酸発生剤が熱の作用によって酸を発生する化合物である場合には、ヒートモードでの画像記録が行なわれる。この際画像形成手段としての加熱方法には、加熱されたブロックやプレートと接触させる方法、熱ローラーや熱ドラムと接触させる方法、ハロゲンランプや赤外ないし遠赤外ランプヒーターを照射させる方法、感熱プリンターの熱ヘッドで画像状に加熱する方法、レーザー光を照射する方法等があるが、製版材料用途等の高い高解像度が要求される場合にはレーザー光を照射する方法が好ましい。またより少ない熱エネルギーで画像を形成させるために予め、本発明の感熱記録材料を適当な温度に加熱しておくこともできる。
【0108】
レーザー光照射により画像を形成する場合には、レーザー光を熱エネルギーに変換するために、該レーザー光の波長の光を吸収する色素を存在させる必要がある。レーザー光源としては、エキシマレーザー、アルゴンレーザー、ヘリウムネオンレーザー、半導体レーザー、ガラス(YAG)レーザー、炭酸ガスレーザー、色素レーザー等があるが、ヘリウムネオンレーザー、半導体レーザーおよびガラスレーザーが本発明に有用なレーザー光源である。その中でも装置が小型で安価なことから、半導体レーザーが特に有用である。半導体レーザーの発振波長は通常、670〜830nmであり、該近赤外に吸収を持つ色素が用いられる。
【0109】
近赤外吸収色素としては、シアニン色素、スクァリリウム色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、フタロシアニン色素等が用いられる。その具体例としては、例えば米国特許第4,973,572号、同第4,948,777号、同第4,950,639号、同第4,948,776号、同第4,948,778号、同第4,942,141号、同第4,952,552号、同第5,036,040号および同第4,912,083号明細書に記載されている物質が挙げられる。
【0110】
本発明では前述の加熱方法により熱酸発生剤からイメージワイズに酸触媒を発生させた後、全面加熱することによって画像イメージを増幅させることができる。この際、全面加熱する温度は非画像部の酸発生剤の分解が起こらない温度であることが必須であり、また製版材料用途に供する場合にはベースの寸法安定性が保障される温度でなくてはいけない。本発明における熱現像温度としては60℃〜150℃の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは80〜120℃の場合である。
【0111】
本発明の画像記録媒体に含まれる酸発生剤が光の作用によって酸を発生する化合物である場合には、該酸発生剤、あるいは感光域を広げるために添加された増感剤の吸収波長に合わせてレーザー光源が選択される。レーザー露光後の熱現像に関しては熱酸発生剤を使用した場合と同様である。
【0112】
【実施例】
以下に実施例を掲げ、本発明を更に詳しく説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0113】
〈感熱記録シートの製造例〉
以下に示す化合物をクロロホルムに溶解し、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布、乾燥して透明な感熱記録シートを作製した。ポリスチレンは和光純薬製ポリスチレンビーズ(直径;約3.2mm)を使用した。
【0114】
試料−1
B−(1) 4mmol/m2
D−(1) 2mmol/m2
IR色素 40mg/m2
ポリスチレン 0.85g/m2
【0115】
試料−2
B−(1) 4mmol/m2
D−(25) 2mmol/m2
IR色素 40mg/m2
ポリスチレン 0.85g/m2
【0116】
試料−3
B−(1) 4mmol/m2
D−(49) 2mmol/m2
IR色素 40mg/m2
ポリスチレン 0.85g/m2
【0117】
試料−4
B−(8) 4mmol/m2
D−(1) 2mmol/m2
IR色素 40mg/m2
【0118】
試料−5
B−(21) 4mmol/m2
D−(1) 2mmol/m2
IR色素 40mg/m2
ポリスチレン 0.85g/m2
【0119】
試料−6
B−(36) 4mmol/m2
D−(1) 2mmol/m2
IR色素 40mg/m2
ポリスチレン 0.85g/m2
【0120】
試料−7
B−(51) 4mmol/m2
D−(1) 2mmol/m2
IR色素 40mg/m2
【0121】
試料−8
B−(1) 4mmol/m2
D−(1) 2mmol/m2
AG−(35) 0.4mmol/m2
IR色素 40mg/m2
ポリスチレン 0.85g/m2
【0122】
試料−9
B−(1) 4mmol/m2
D−(1) 2mmol/m2
AG−(31) 0.4mmol/m2
IR色素 40mg/m2
ポリスチレン 0.85g/m2
【0123】
試料−10
B−(1) 4mmol/m2
D−(53) 2mmol/m2
IR色素 40mg/m2
ポリスチレン 0.85g/m2
【0124】
試料−11
B−(1) 4mmol/m2
C−(30) 2mmol/m2
IR色素 40mg/m2
ポリスチレン 0.85g/m2
【0125】
参考試料−1
パラトルエンスルホン酸 4mmol/m2
D−(1) 2mmol/m2
IR色素 40mg/m2
ポリスチレン 0.85g/m2
【0126】
参考試料−2
D−(1) 2mmol/m2
IR色素 40mg/m2
ポリスチレン 0.85g/m2
【0127】
参考試料−3
D−(25) 2mmol/m2
IR色素 40mg/m2
ポリスチレン 0.85g/m2
【0128】
参考試料−4
D−(49) 2mmol/m2
IR色素 40mg/m2
ポリスチレン 0.85g/m2
【0129】
参考試料−5
参考化合物−1 4mmol/m2
D−(1) 2mmol/m2
AG−(35) 0.4mmol/m2
IR色素 40mg/m2
ポリスチレン 0.85g/m2
【0130】
参考試料−6
参考化合物−1 4mmol/m2
D−(1) 2mmol/m2
AG−(31) 0.4mmol/m2
IR色素 40mg/m2
ポリスチレン 0.85g/m2
【0131】
参考試料−7
ニトロセルロース(粘度1000秒、ダイセル工業株式会社製)
0.85g/m2
参考色素−1 0.35g/m2
参考色素−2 0.55g/m2
IR色素−1 40mg/m2
【0132】
参考試料−8
ポリビニルブチラール 0.85g/m2
参考色素−1 0.35g/m2
参考色素−2 0.55g/m2
IR色素−1 40mg/m2
【0133】
【化42】
【0134】
実施例1
<画像記録のためのレーザー露光条件>
Spectra Diode Labs No.SDL-2430(波長範囲:800〜830nm)を8本合波して、400mWの出力にして、画像書き込み用レーザーとした。
このレーザーを用いて、ビーム系160μm、レーザー走査スピードを0.83m/秒(走査中央部)、試料送りスピードを15mm/秒、走査ピッチを8本/mmに設定して、22mm×9mmの画像となるような露光を前述した試料に対して行なった。この時の試料上のレーザーエネルギー密度は3mJ/mm2 であった。
【0135】
試料−1〜9および参考試料−1〜4に対して前記レーザー露光条件で走査露光を行なった後、露光部における360nmの発色濃度を調べた。次にこれらのレーザー露光後の試料を120℃、30秒の加熱条件で熱現像した後、露光部および未露光部の発色濃度を求めた。
【0136】
得られた結果を表1に示す(発色濃度は生フィルムの吸収濃度を差し引いて補正した値を示す)。
【0137】
【表1】
【0138】
表1より、酸無添加の参考試料−2〜4はレーザー露光および露光後の熱現像によって全く発色しないのに対して、本発明の試料−1〜9はレーザー露光後の熱現像によって良好な発色性を示すことが分かる。また本発明の試料はレーザー露光後の熱現像によって露光部の発色濃度は上がるが未露光部は全く発色しないため、高いコントラストの像が得られることが分かる。また試料−1〜7ではB−(1)、B−(8)、B−(21)、B−(36)およびB−(51)が熱の作用によって酸を発生する機能を有しているため、試料−8、9のごとく別途酸発生剤を添加しなくても発色画像が得られる。
【0139】
実施例2
前記試料−1〜9および参考試料−1を60℃で3日間保存した後、360nmにおける発色濃度を調べた。またこれらのサンプルを120℃、30秒の加熱条件で熱現像した後の発色濃度を調べた。さらに保存後の試料を前記露光条件でレーザー露光した時の発色濃度およびレーザー露光後に熱現像(120℃、30秒)した時の発色濃度を調べた。得られた結果を表2に示す。
【0140】
【表2】
【0141】
表2より参考試料−1は該保存条件で発色するのに対し、本発明の試料−1〜8は保存後も全く発色は認められず、また熱現像のみ行った場合も全く発色せず、高い保存安定性を有することが分かる。また本発明の試料−1〜8は保存後のレーザー露光および露光後の熱現像による発色性も表1に示した結果と変わらず良好であることが分かる。また熱酸発生剤としてスルホン酸前駆体を使用した本発明の試料−1〜8は超酸前駆体を使用した本発明の試料−9に比べて保存安定性に優れていることが分かる。
【0142】
実施例3
<画像記録のためのレーザー露光条件>
実施例1記載のレーザー露光方法においてレーザー走査スピードやレーザー出力を変えることで、表3のようにエネルギー密度を変化させた露光を、前述した試料−1〜11及び参考試料−5〜8に対して行った。
【0143】
<画像形成効率の比較>
本発明の試料−1〜11および参考試料−5、6についてはレーザー走査露光後120℃、30秒の加熱条件で熱現像を行い、レーザー走査中央部(画像部)の最大発色濃度を求め、100%発色した場合の理論値との比較から画像形成効率(発色効率)を算出した。参考試料−7、8についてはレーザー走査中央部(画像部)と非画像部の濃度の比較から画像形成効率(消色効率)を算出した。得られた結果を表3に示す。
【0144】
【表3】
【0145】
本発明の試料−1〜11は特表平8−503081号記載の二次酸発生剤(参考化合物−1)を熱酸発生剤とともに添加した参考試料−5、6よりも高感度であることが分かる。特に参考化合物−1とスルホン酸を発生する酸発生剤を組み合わせた参考試料−5ではほとんど発色が認められない。
また本発明の試料は3mJ/mm2 以下の低エネルギーでも効率良く画像を形成することができ、レーザー光によるアブレーションを利用した試料7、8よりも高感度であることが分かる。
【0146】
【発明の効果】
本発明によれば、高感度で、レーザーを用いたヒートモード画像記録方式を利用する場合にもアブレーションを起こさない程度の低出力レーザーでの記録(特に製版用マスクフィルムとして不可欠な360〜420nmに対応する画像記録)が可能であり、別個の受像シートを必要とせず、かつ保存安定性に優れた新規な画像記録媒体および画像記録方法が得られるものである。
Claims (9)
- 熱又は酸の作用により酸を発生する下記一般式2〜5のいずれかで表される酸発生剤、および、酸の作用で分解または離脱が促進される下記置換基によって置換されたアミノ基もしくは水酸基を分子内に有しかつ酸の作用による分子内又は分子間反応により該置換基が外れることにより吸収が長波化又は短波化して360〜900nmの吸収域に変化を生じる化合物を含有することを特徴とする画像記録媒体。
(アミノ基の置換基)
アルコキシカルボニル基、アシル基、ホルミル基およびアルコキシメチル基から選択された置換基
(水酸基の置換基)
アルコキシカルボニル基、シリル基、アルコキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、4,5−ジヒドロ−2−メチルフラン−5−イル基およびβ位に水素原子を有する2級又は3級のアルキル基から選択された置換基
- 前記酸発生剤以外に、光又は熱の作用により酸を発生する化合物を別途含有することを特徴とする請求項1に記載の画像記録媒体。
- 光又は熱の作用により酸を発生する酸発生剤がスルホン酸、カルボン酸又はリン酸を発生する化合物であることを特徴とする請求項2に記載の画像記録媒体。
- 酸の作用により吸収が長波化又は短波化して360〜900nmの吸収域に変化を生じる前記化合物が、酸の作用により除去される前記置換基によって置換されたアミノ基を少なくとも1つ有し、該置換基の除去に引き続く分子内又は分子間反応によって前記吸収域に変化を生じる化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像記録媒体。
- 酸の作用により除去されるアミノ基の前記置換基がアルコキシカルボニル基であることを特徴とする請求項4に記載の画像記録媒体。
- 酸の作用により吸収が長波化又は短波化して360〜900nmの吸収域に変化を生じる前記化合物が、酸の作用により除去される前記置換基によって置換された水酸基を少なくとも1つ有し、該置換基の除去に引き続く分子内又は分子間反応によって前記吸収域に変化を生じる化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像記録媒体。
- 酸の作用により除去される水酸基の前記置換基がアルコキシカルボニル基、アルコキシメチル基又はシリル基であることを特徴とする請求項6に記載の画像記録媒体。
- 赤外吸収物質を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像記録媒体。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像記録媒体をレーザー光によって走査露光した後、60〜150℃の温度範囲で全面加熱することを特徴とする画像記録方法。
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