JP3821559B2 - 薄膜素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマルヘッド等の薄膜素子を基板上にパターン形成するための薄膜素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板上にパターン形成されて成る薄膜素子の一つにサーマルヘッドがあり、サーマルヘッドには発熱体部の製造方法の違いにより厚膜ヘッドと薄膜ヘッドとがある。
【0003】
図6に示すように厚膜ヘッド1は、複数の共通電極3の間にそれぞれ個別電極5を交互に対向配置し、直線状の抵抗体(ヒータ)7をこの共通電極3と個別電極5とを横断するように接続してある。従って、選択した個別電極5に電圧を印加することにより、この個別電極5に近接する共通電極3との間に挟まれた部分の抵抗体7を1ドットとして発熱させることができる。
【0004】
従来、この種の厚膜ヘッド1は、概略以下のような工程を経ることにより製造されていた。先ず、アルミナなどの基板(図示せず)を研磨して、抵抗値のバラツキを抑えるための表面処理を行う。この基板上にグレーズ層(図示せず)を2〜3μmで形成する。
【0005】
グレーズ層の上に、Auなどからなる共通電極3と個別電極5とを3〜5μmで形成する。RuO2 +ガラスなどからなる20〜40μmの抵抗体7を、スクリーン印刷により共通電極3と個別電極5を直線状に横断するように接続して形成する。ガラスなどからなる耐磨耗保護層(図示せず)を6〜7μmで形成する。
【0006】
最後に、耐磨耗保護層を表面研磨して厚膜ヘッド1を得る。
【0007】
他方、図7に示すように薄膜ヘッド11は、1ドット単位で対向配置した複数対の電極13間に抵抗体(ヒータ)15をそれぞれ設けてある。従って、選択した一対の電極13を通じて所定の抵抗体15に電圧を印加することにより、抵抗体15を1ドットとして発熱させることができる。従来、この種の薄膜ヘッド11は、概略以下のような工程を経ることにより製造されていた。
【0008】
先ず、アルミナなどの基板(図示せず)を研磨して、抵抗値のバラツキを抑えるための表面処理を行う。基板上にグレーズ層(図示せず)を2〜3μmで形成する。グレーズ層の上に、抵抗体15を真空成膜(蒸着又はスパッタリング)により0.1μmで形成する。
【0009】
リソグラフィー工程で電極間の隙間を除去する。電極形成のためのAuなどを、真空成膜(蒸着又はスパッタリング)により4μmで形成する。リソグラフィー工程で電極間の隙間、及び抵抗体15上のAuを除去して電極13を形成する。
【0010】
最後に、SiO2 などからなる抵抗体保護層(図示せず)、Ta25 などからなる耐磨耗保護層(図示せず)をそれぞれ2μm、10μmで形成し、薄膜ヘッド11を得ていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の方法で製造した厚膜ヘッド1は、スクリーン印刷により抵抗体7を形成するので、コストが安く、1m以上の大サイズヘッドの製作も可能となるが、スクリーン印刷の網目(縦糸と横糸の重なった点)の影響により、平坦性が悪く、膜厚の変動が非常に大きいため、電極間の抵抗値のバラツキが大きくなり、特にハーフトーンの画像を印刷すると縦スジが目立ち、画像にムラの生じる欠点があった。
【0012】
また、上述した従来の方法で製造した薄膜ヘッド11は、真空蒸着又はスパッタリングにより成膜するので、良好な平坦性が得られ、抵抗値のバラツキの小さい素子ができることから、ハーフトーンの画像もムラなく印刷できるが、成膜装置が高価なため、素子自体が高価になるとともに、成膜装置を大きくすれば更に高価となるため、実際上は数十cm程度の長さのものまでしか製作することができなかった。
【0013】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、サーマルヘッド等の薄膜素子を安価に製造することができ、特に、サーマルヘッドにあっては印刷画像にムラが生じず、かつ大サイズを製造することができる薄膜素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明に係る薄膜素子の製造方法は、薄膜素子を基板上にパターン形成するための薄膜素子の製造方法であって、前記基板の上に複数対の対向電極を形成する対向電極形成工程と、抵抗体材料を可撓性支持体上に均一に形成して構成した転写フイルムを、前記対向電極を覆うように、密接して設ける転写フイルム配置工程と、前記対向電極に所定の電圧を印加することにより、前記対向電極同士の間の前記抵抗体材料にのみ電流を流して、その部分を加熱し、前記抵抗体材料を前記可撓性支持体から前記基板上へ転写して、前記対向電極同士の間に抵抗体を形成する抵抗体形成工程と、を有するものである。
【0015】
この製造方法では、転写フイルムに形成した抵抗体材料又は電極材料を転写して抵抗体又は電極を形成するので、膜厚の変動が小さく、平坦性の優れた抵抗体又は電極が得られる。また、抵抗体材料を転写して得られるサーマルヘッドにあっては、電極間の抵抗値のバラツキが小さくなり、ハーフトーンの画像を印刷した際においても、画像にムラが生じない。また、真空蒸着又はスパッタリングによる真空成膜が不要となり、大サイズヘッドの製作が可能となる。
また、この製造方法によれば、抵抗体に良好な平坦性が得られるとともに、成膜装置を使用しないことから、大サイズの薄膜素子の製作が容易に行えるのに加え、電極に電圧を印加して、抵抗体材料を転写するので、レーザが不要となり、更に安価な設備で且つ迅速に転写を行うことができる。
【0016】
請求項2に記載の発明に係わる薄膜素子の製造方法は、上記製造方法において、前記抵抗体形成工程の後に、紫外線を照射して前記抵抗体を紫外線硬化させる抵抗体硬化工程をさらに有するので、抵抗体を紫外線硬化させて、抵抗体の強度を高めることができる。
【0017】
請求項3に係る製造方法は、前記基板の上に複数対の対向電極を形成する対向電極形成工程と、前記対向電極より厚い抵抗体材料が可撓性支持体上に均一に形成された転写フィルムを、前記対向電極を覆うように密接して設ける転写フイルム配置工程と、加熱加圧しながら前記転写フイルムの前記抵抗体材料を前記基板に全面転写する転写工程と、マスク露光を行った後に未照射部分の前記抵抗体材料を現像により除去し、前記対向電極同士間に抵抗体を前記対向電極面より突出させて形成する抵抗体形成工程と、を有するので、膜厚の変動が小さく、平坦性の優れた抵抗体又は電極が得られる。
また、電極上に抵抗体材料を転写して得られるサーマルヘッドにあっては、加熱加圧下で転写される抵抗体材料の膜厚を電極厚より大にすることにより、抵抗体を電極面から突出させることができ、発熱部分を凸にすることができるため、部分グレーズ層が不要となり、記録材料との接触性を向上させることができる。
【0018】
請求項4に係る製造方法は、前記抵抗体の保護層を形成する保護層形成工程をさらに有するので、この保護層を表面研磨して薄膜素子である厚膜ヘッドを得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る製造方法の第一実施形態の手順を示す説明図、図2は図1の転写フイルムの側面図である。この実施形態は、本発明に係る製造方法を用いて薄膜素子の一つである厚膜ヘッドを製造するものである。
【0020】
先ず、アルミナなどの基板21を研磨して、抵抗値のバラツキを抑えるための表面処理を行う。次に、この基板21の上にグレーズ層23を2〜3μmで形成する。グレーズ層23の上に、Auなどからなる共通電極25と個別電極27とをスクリーン印刷により3〜5μmで形成し、図1(A)に示す状態とする。
【0021】
次に、図1(B)に示すように共通電極25と個別電極27とを覆うようにして、転写フイルム29を密接して設ける。
【0022】
転写フイルム29は、図2に示すように抵抗体の材料を可撓性支持体31上に均一に形成して構成してある。支持体31は、50〜300μmのもので、10〜100μmのクッション層を含むものが望ましい。抵抗体材料33は、電気抵抗性の物質と、熱接着性の物質との混合物であればよい。転写フイルム29は、この抵抗体材料33側の面を基板21に密接させて設ける。
【0023】
抵抗体材料33を構成する熱接着性の物質は、紫外線で硬化して、紫外線露光後は接着性を失う特性を有するものであることが望ましい。これはサーマルヘッドとして使用する際の耐久性、低摩擦性を確保するためである。また、転写フイルム29は、抵抗体材料33そのものが熱接着性を失わなくとも、光硬化性又は熱硬化性の物質を支持体31と抵抗体材料33との間に介在させたものであってもよい。これは後述の手順により明らかとなるように、抵抗体材料33が転写されることにより、支持体31と抵抗体材料33との間に介在した光硬化性又は熱硬化性の物質が表面側となり、この物質が硬化すれば、抵抗体材料33の耐久性、低摩擦性が確保されて目的が達成できるためである。
【0024】
更に、抵抗体材料33は、抵抗体材料33自体に熱接着性の物質が混合していなくとも、抵抗体材料33の上層(図2の下方)に熱接着性層が積層されているものであってもよい。この場合において、抵抗体材料33は、光硬化性、熱硬化性の物質と混合していてもよい。なお、以上の説明で抵抗体材料33は電気抵抗性の物質と、熱接着性の物質との混合物としたが、抵抗体材料33は電気抵抗性の物質と、光接着性の物質との混合物であってもよい。
【0025】
次に、抵抗体を形成すべき部分にのみレーザ光35を支持体31の背面から照射し、転写フイルム29の抵抗体材料33のみを部分的に加熱・転写して、図1(C)に示すように共通電極25と個別電極27とを直線状に横断して接続する抵抗体37を形成する。レーザ光35は、抵抗体材料33が吸収する波長のレーザであればよく、主に赤〜赤外が望ましい。出力としては、100mW程度が好ましい。また、ビーム径は、形成したい抵抗体37の幅以下であればよく、5〜100μm程度が望ましい。
【0026】
レーザ光35は、上述のように抵抗体を形成すべき部分にのみに照射するものであればよく、例えば、所望の部分のみを所望の方向に走査する電子ビーム描画装置におけるベクター走査方式を用いることができる。次に、紫外線を照射して、抵抗体37を硬化させる。これにより、抵抗体37は同時に接着性を失うことになる。
【0027】
最後に、図1(D)に示す耐磨耗保護層39を6〜7μmで形成し、この耐磨耗保護層39を表面研磨して薄膜素子である厚膜ヘッド41を得る。なお、この際の耐磨耗保護層39は、抵抗体37の形成と同様に、保護素材を形成した別の転写フイルムを基板上に密接して設け、熱又は光を供給することで、この転写フイルム上の保護素材を基板上の所定の部分にのみ転写して形成することができる。これにより、真空成膜によらず耐磨耗保護層39の形成が可能となる。
【0028】
この厚膜ヘッド41の製造方法では、転写フイルム29に均一に形成した抵抗体材料33を転写して抵抗体37を形成するので、スクリーン印刷と異なり、膜厚の変動が小さく、平坦性の優れた抵抗体37が得られる。これにより、電極間の抵抗値のバラツキが小さくなり、ハーフトーンの画像を印刷した際においても、縦スジが目立たなくなり、画像にムラが生じない。また、真空蒸着又はスパッタリングによる真空成膜が不要となり、大サイズヘッドの製作が可能となる。
【0029】
この厚膜ヘッド41の製造方法によれば、スクリーン印刷によらず、転写フイルム29に均一に形成した抵抗体材料33を転写して抵抗体37を基板21上に形成するので、良好な平坦性が得られ、抵抗値のバラツキを小さくできるとともに、真空蒸着又はスパッタリングによる真空成膜を行わないので、製造設備及び素子自体を安価にでき、しかも、成膜装置を使用しないので、1m以上の大サイズヘッドの製作も容易に行うことができる。この結果、印刷画像にムラのない大きなサイズのサーマルヘッドを安価に製作することができる。
【0030】
次に、本発明に係る製造方法の第二の実施形態を説明する。図3は本発明に係る製造方法の第二実施形態の手順を示す説明図である。この実施形態は、本発明に係る製造方法を用いて薄膜素子の一つである薄膜ヘッドを製造するものである。先ず、アルミナなどの基板51を研磨して、抵抗値のバラツキを抑えるための表面処理を行う。
【0031】
次に、この基板51の上にグレーズ層53を2〜3μmで形成する。グレーズ層53の上に、Auなどからなる複数対の対向電極55をスクリーン印刷により3〜5μmで形成し、図3(A)に示す状態とする。次に、図3(B)に示すように電極55を覆うようにして、上述同様の転写フイルム29を密接して設ける。
【0032】
次に、抵抗体を形成すべき部分にのみレーザ光35を支持体31(図2参照)の背面から照射し、転写フイルム29の抵抗体材料33を部分的に加熱・転写して、図3(C)に示すように電極55同士の間にのみ抵抗体56を形成する。最後に、SiO2 などからなる抵抗体保護層57、Ta25 などからなる耐磨耗保護層59をそれぞれ2μm、10μmで形成し、薄膜ヘッド61を得る。なお、この際の抵抗体保護層57、耐磨耗保護層59は、厚膜ヘッド41の場合と同様に、保護素材を形成した転写フイルムを基板上に密接して設け、熱又は光を供給することで、この転写フイルム上の保護素材を基板上の所定の部分にのみ転写して形成することができる。これにより、真空成膜によらず抵抗体保護層57、耐磨耗保護層59の形成が可能となる。
【0033】
この薄膜ヘッド61の製造方法では、上述の厚膜ヘッド41の場合と同様に、転写フイルム29に均一に形成した抵抗体材料33を転写して、抵抗体56を形成するので、スクリーン印刷と異なり、膜厚の変動が小さく、平坦性の優れた抵抗体56が得られる。これにより、電極間の抵抗値のバラツキが小さくなり、ハーフトーンの画像を印刷した際においても、縦スジが目立たなくなり、画像にムラが生じなくなる。また、真空蒸着又はスパッタリングによる真空成膜が不要となり、大サイズヘッドの製作が可能となる。
【0034】
この薄膜ヘッド61の製造方法によれば、上述の厚膜ヘッド41の場合と同様に、スクリーン印刷によらず、転写フイルム29に均一に形成した抵抗体材料33を転写して抵抗体56を基板51上に形成するので、良好な平坦性が得られ、抵抗値のバラツキを小さくできるとともに、真空蒸着又はスパッタリングによる真空成膜を行わないので、製造設備及び素子自体を安価にでき、しかも、成膜装置を使用しないので、1m以上の大サイズヘッドの製作も容易に行うことができる。この結果、印刷画像にムラの生じない大きなサイズのサーマルヘッドを安価に製作することができる。
【0035】
次に、本発明に係る製造方法の第三の実施形態を説明する。図4は本発明に係る製造方法の第三実施形態の手順を示す説明図である。この実施形態は、熱接着性材料を混合した抵抗体材料(図示せず)の形成されている転写フイルム29aを用いて、且つレーザ光35を照射せずにサーマルヘッドを製造するものである。
【0036】
この転写フイルム29aに用いる抵抗体材料は、紫外線硬化性を有することが望ましい。この転写フイルム29aを用いての製造手順は、先ず、上述の手順と同様にして、基板71の上にグレーズ層73を2〜3μmで形成する。上述した薄膜ヘッド61の場合と同様に、グレーズ層73の上に、Auなどからなる複数対の対向電極55をスクリーン印刷により3〜5μmで形成する。
【0037】
次に、図4(A)に示すように電極55を覆うようにして、転写フイルム29aを密接して設ける。次に、電極55に所定の電圧を印加することにより、電極55同士の間の抵抗体材料にのみ電流を流し、ジュール熱によりその部分を加熱し、抵抗体材料を支持体31から基板71上へ転写し、図4(B)に示すように電極55同士の間に抵抗体75を形成する。その後、図4(C)に示すように紫外線77を照射することで、抵抗体75を紫外線硬化させて、抵抗体75の強度を高める。
【0038】
最後に、上述の薄膜ヘッド61の場合と同様に、SiO2 などからなる抵抗体保護層57、Ta25 などからなる耐磨耗保護層59をそれぞれ2μm、10μmで形成し、薄膜素子81を得る。
【0039】
この薄膜素子81の製造方法によれば、上述の厚膜ヘッド41、薄膜ヘッド61の場合と同様に、抵抗体75に良好な平坦性が得られるとともに、成膜装置を使用しないことから、大サイズの薄膜素子の製作が容易に行えるのに加え、電極55に電圧を印加して、抵抗体材料を転写するので、レーザが不要となり、更に安価な設備で且つ迅速に転写を行うことができる。
【0040】
また、上述の抵抗体材料に混合する熱接着性材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニル或いはエチレンとアクリル酸エステル或いはエチレンとアクリル酸の如きエチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルの如き塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンとマレイン酸エステルの如きスチレン共重合体、酢酸ビニル共重合体、ブチラール樹脂、変成されたポリビニルアルコール、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロンの如きポリアミド樹脂、合成ゴム、塩化ゴム、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、マレイン酸樹脂、ヒドロキシスチレン共重合体、スルフォンアミド樹脂、エステルガム、セルロース樹脂、ロジン、などが挙げられる。
【0041】
以上の例では、加熱を半導体レーザによって行ったが、炭酸ガスレーザでも良い。また、レーザに限らず、ハロゲンランプ光を光学系で集光したビーム、細く絞ったトーチ、抵抗加熱によるサーマルヘッドなど、様々な加熱手段が適用可能である。
【0042】
次に、本発明に係る製造方法の第四の実施形態を説明する。図5は本発明に係る製造方法の第四実施形態の手順を示す説明図である。この実施形態は、抵抗体材料及びネガ型レジスト材料が形成された転写フィルム29bを用いて、且つリソグラフィーにより不要な抵抗体部分を除去して薄膜のサーマルヘッドを製造するものである。この転写フィルム29bを用いての製造手順は、先ず、アルミナなどの基板51を研磨して、抵抗値のバラツキを抑えるための表面処理を行う。
【0043】
次に、この基板51の上にAuなどからなる複数対の対向電極55を成膜により1μmで形成し、リソグラフィーにより電極55間の隙間を除去し、図5(A)に示す状態とする。次に、図5(B)に示すように電極55を覆うようにして、転写フイルム29bを密接して設け,ヒートローラ93によりラミネートして転写フィルム29aの材料を全面転写する。転写フィルム29aの材料厚は、電極55より厚い2μmである。
【0044】
次に、図5(C)に示すようにパターンマスク(図示せず)を抵抗体上に密着して、紫外線を照射する。その後、未照射部分の抵抗体を現像により除去し、図5(D)に示すように電極55同士間に突出する抵抗体85を形成する。最後に、SiO2 などからなる抵抗体保護層57を4μmで全面に成膜し、薄膜ヘッド91を得る。
【0045】
通常、薄膜ヘッドでは、基板上に抵抗体を形成する構造であるため、抵抗体からの発熱を効率良く記録に利用するためにグレーズ層を設け、且つ発熱部分を凸にして記録材料との接触性を改善するために断面弓型の部分グレーズ層を設け、さらにラッピングを行っていた。しかし、上述の薄膜素子91の製造方法によれば、基板51上にグレーズ層を設けることなく直接電極55を形成し、電極55同士間にのみ抵抗体85を形成する構造であるから、抵抗体85の発熱が基板に放熱されることがないため、グレーズ層を設けることなく抵抗体からの発熱を効率良く記録に利用することができ、基板のコストダウンを図ることができるとともに、配線の精度を向上させることができる。さらに、転写フィルムの抵抗材料厚を電極より厚くして熱ラミネートにより基板に全面転写し、不要抵抗体材料をリソグラフィーにより除去することにより、抵抗体85を電極55面より突出させることができるので、部分グレーズ層を設けることなく発熱部分を凸にして記録材料との接触性を向上させることができる。
【0046】
なお、本発明に係る薄膜素子の製造方法及び転写フイルムは、上述したサーマルヘッドの製造に適用する以外に、抵抗体材料に代えて電極材料(有機物と無機物との混合物)を転写フイルムの支持体31に形成することで、サーマルヘッドの電極の形成にも適用できる。また、一般のプリント回路基板等における電極のパターン形成にも適用できる。
【0047】
【実施例】
次に、上述の実施形態に基づき実際に厚膜ヘッド、薄膜ヘッドを製作し、このヘッドを印刷装置に搭載して印刷ムラを評価した結果を説明する。以下に、印刷及び評価条件を示す。
【0048】
<印刷装置>富士写真フイルム(株)製 FIRST PROOFプリンターを使用。
<材料>富士写真フイルム(株)製 ・FIRSTPROOFプルーフリボンJ・同レシーバシートA3WLを使用。
【0049】
<評価方法1>従来の厚膜ヘッド、薄膜ヘッドと、上述の実施形態に基づき製作した薄膜素子とをそれぞれ印刷装置に搭載し、網パーセントがほぼ50%になるように画像データを調整してプリントし、左右方向(主走査方向)のムラを目視で評価し、ムラが許容範囲外の場合に×、ムラが許容範囲内の場合を○とし、その結果を下表1に表した。
【0050】
【表1】
Figure 0003821559
【0051】
上述の表1に示した結果から明らかなように、従来の厚膜ヘッドは安価であるが、ムラが生じ、従来の薄膜ヘッドはムラが生じないが、製造コストが高価となるのに対し、本発明に係るサーマルヘッドはムラが生じず、且つ製造コストが安価となった。
【0052】
<評価方法2>従来の薄膜ヘッド、表面をラッピングした薄膜ヘッドと、上述の実施形態に基づき制作した薄膜素子(薄膜ヘッド91)とをそれぞれ印刷装置に搭載し、網パーセントがほぼ50%になるためのストローブ幅を求め、且つその状態でプリントシタときの左右(主走査方向)のムラを目視で評価し、ムラが許容範囲外の場合に×、ムラが許容範囲内の場合を○とし、その結果を下表2に表した。
【0053】
【表2】
Figure 0003821559
【0054】
上述の表2に示した結果から明らかなように、従来の薄膜ヘッドは大きな記録エネルギを要するとともにムラが生じ、またラッピングヘッドは記録エネルギは小さいが、ムラが生じるのに対し、本発明に係るサーマルヘッドは記録エネルギが小さく、且つムラが生じなかった。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明に係る薄膜素子の製造方法によれば、転写フイルムに形成した抵抗体材料又は電極材料を転写して抵抗体を形成するので、良好な平坦性が得られ、電気特性のバラツキを小さくできる。特に、サーマルヘッドを製造する場合には、真空成膜を行わないので、製造設備及び素子自体を安価にでき、しかも、大サイズヘッドの製造も容易に行うことができる。この結果、印刷画像にムラのない大きなサイズのサーマルヘッドを安価に製作することができる。
また、この薄膜素子の製造方法によれば、上述の厚膜ヘッド、薄膜ヘッドの場合と同様に、抵抗体に良好な平坦性が得られるとともに、成膜装置を使用しないことから、大サイズの薄膜素子の製作が容易に行えるのに加え、電極に電圧を印加して、抵抗体材料を転写するので、レーザが不要となり、更に安価な設備で且つ迅速に転写を行うことができる。
【0056】
本発明に係る薄膜素子の製造方法によれば、転写フイルムに形成した抵抗体材料又は電極材料、及びレジスト材料を基板に全面転写したのち、不要な材料を除去して抵抗体又は電極を形成するので、膜厚の変動が小さく、平坦性の優れた抵抗体又は電極が得られる。特に、電極上に抵抗体材料を転写してサーマルヘッドを形成する場合には、加熱加圧下で転写される抵抗体材料の膜厚を電極厚より大にすることにより、抵抗体を電極面から突出させることができ、発熱部分を凸にすることができるため、部分グレーズ層が不要となり、記録材料との接触性を向上させることができる。
【0057】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法の第一実施形態の手順を示す説明図である。
【図2】図1に示した転写フイルムの側面図である。
【図3】本発明に係る製造方法の第二実施形態の手順を示す説明図である。
【図4】本発明に係る製造方法の第三実施形態の手順を示す説明図である。
【図5】本発明に係る製造方法の第四実施形態の手順を示す説明図である。
【図6】従来の厚膜ヘッドの概略構成を示す平面図である。
【図7】従来の薄膜ヘッドの概略構成を示す平面図である。
【符号の説明】
21 基板
29、29a、29b 転写フイルム
31 支持体
33 抵抗体材料
37、56、75、85 抵抗体
41、91 厚膜ヘッド(薄膜素子)
61 薄膜ヘッド(薄膜素子)
81 薄膜素子

Claims (4)

  1. 薄膜素子を基板上にパターン形成するための薄膜素子の製造方法であって、
    前記基板の上に複数対の対向電極を形成する対向電極形成工程と、
    抵抗体材料を可撓性支持体上に均一に形成して構成した転写フイルムを、前記対向電極を覆うように、密接して設ける転写フイルム配置工程と、
    前記対向電極に所定の電圧を印加することにより、前記対向電極同士の間の前記抵抗体材料にのみ電流を流して、その部分を加熱し、前記抵抗体材料を前記可撓性支持体から前記基板上へ転写して、前記対向電極同士の間に抵抗体を形成する抵抗体形成工程と、を有することを特徴とする薄膜素子の製造方法。
  2. 請求項1記載の薄膜素子の製造方法であって、
    前記抵抗体形成工程の後に、紫外線を照射して前記抵抗体を紫外線硬化させる抵抗体硬化工程をさらに有することを特徴とする薄膜素子の製造方法。
  3. 薄膜素子を基板上にパターン形成するための薄膜素子の製造方法であって、
    前記基板の上に複数対の対向電極を形成する対向電極形成工程と、
    前記対向電極より厚い抵抗体材料が可撓性支持体上に均一に形成された転写フィルムを、前記対向電極を覆うように密接して設ける転写フイルム配置工程と、
    加熱加圧しながら前記転写フイルムの前記抵抗体材料を前記基板に全面転写する転写工程と、
    マスク露光を行った後に未照射部分の前記抵抗体材料を現像により除去し、前記対向電極同士間に抵抗体を前記対向電極面より突出させて形成する抵抗体形成工程と、を有することを特徴とする薄膜素子の製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の薄膜素子の製造方法であって、
    前記抵抗体の保護層を形成する保護層形成工程をさらに有することを特徴とする薄膜素子の製造方法。
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