JP3821551B2 - 管継手の離脱防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地中に埋設された水道管等の流体輸送管の配管系に、地震や不同沈下等に起因する管軸芯方向の引張力が作用したとき、その配管系中の受口管部とこれに挿入接続された挿入管部とが前記引張力で離脱することを防止する場合に用いられる管継手の離脱防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の管継手の離脱防止装置では、図5、図6に示すように、受口管部50に挿入接続された挿入管部51に、前記受口管部50の内周面と挿入管部51の外周面との間を密封可能な弾性シール材52と、該弾性シール材52を管軸芯X方向から押圧して密封状態にまで圧縮可能で、かつ、弾性的に縮径変形可能な管軸芯X方向でほぼCの字に形成された押輪53とが外装されているとともに、前記押輪53と受口管部50とを管軸芯X方向から締付け固定する第1締結手段54が設けられ、更に、前記挿入管部51の外周面と押輪53の内周面との間には、挿入管部51の外周面に喰い込む状態にまで弾性的に縮径変形自在な管軸芯方向視ほぼCの字状の抜止リング55が設けられている。
また、前記押輪53は、その周方向の一箇所が切断された弾性的に縮径変形可能なCの字状リングから構成され、この押輪53の周方向の両端部には、管軸芯X方向に対してほぼ直交する方向(管径方向に沿う方向)で相対向する連結片53Aが一体形成されているとともに、前記両連結片53Aに亘って、前記直交方向での締付け操作に伴う押輪53の弾性的な縮径変形により、前記抜止リング55を弾性的に縮径変形させる第2締結手段56が設けられている。
前記第1締結手段54は、前記受口管部50の外周面端部の周方向複数箇所の各々に突出形成された第1連結突起50Aと、前記押輪53の外周面の周方向複数箇所の各々に突出形成された第2連結突起53Bとのうち、管軸芯X方向で相対向する両連結突起50A,53Bの各々に亘って取付けられた複数組のT字状ボルト54Aとナット54Bとから構成されているとともに、前記第2締結手段56も、前記両連結片53Aに亘って挿通されたボルト56Aとナット56Bとから構成されている。
また、前記押輪53の内周面53aは、前記受口管部50と挿入管部51との相対離脱移動に連れて、前記抜止リング55を更に喰い込み側に縮径変形させるテーパー面に形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の管継手の離脱防止装置では、前記受口管部50と挿入管部51とを接続する場合、前記抜止リング55を保持した押輪53の第2連結突起53Bと、前記弾性シール材52を保持した受口管部50の第1連結突起50Aとを、第1締結手段54のボルト54A・ナット54Bにて仮止め状態で連結したのち、前記挿入管部51を、押輪53の内周面側に保持されている抜止リング55及び弾性シール材52を通して受口管部50内に所定長さ挿入し、その後、前記第1締結手段54のボルト54A・ナット54Bを締付け操作して、受口管部50の第1連結突起50Aと押輪53の第2連結突起53Bとを固定連結すると同時に、これら両者50,51の相対近接移動によって弾性シール材52を管軸芯X方向から押圧圧縮して、受口管部50の内周面と挿入管部51の外周面との間を弾性シール材52で密封する。
この弾性シール材52の圧縮密封が終了すると、前記押輪53の両連結片53Aに亘って設けられた第2締結手段56のボルト56A・ナット56Bを締付け操作し、この締付け操作による押輪53の弾性的な縮径変形に連れて抜止リング55も同時に弾性的に縮径変形させ、該抜止リング55を挿入管部51の外周面に喰い込ませる。
【0004】
それ故に、従来の管継手の離脱防止装置では、前記弾性シール材52を圧縮するための第1締結手段54による管軸芯X方向での締付け操作と、前記抜止リング55を喰い込み状態に縮径させるための第2締結手段56による管径方向での締付け操作とが必要であるため、組付作業に多くの手数と労力を要するばかりでなく、各締結手段を構成する部品点数が多く、しかも、これに伴って受口管部50及び押輪53の各々に多数の連結突起部やボルト挿通孔等を形成しなければならないため、構造の複雑化と製造コストの高騰化を招来し易い。
更に、前記第2締結手段56を誤って先に締付け操作すると、抜止リング55が挿入管部51の外周面に喰い込むため、その状態で第1締結手段54を締付け操作すると、その締付け操作に伴う押輪53と受口管部50との相対近接移動に連れて、前記抜止リング55を介して押輪53と一体移動する挿入管部51が受口管部50内に押し込まれ、その結果、受口管部50に対する挿入管部51の挿入長さが変動するばかりでなく、挿入管部51の先端が受口管部50の内周面の突起部に接当したときには、それ以上の締付け操作が不能に陥るため、弾性シール材52の圧縮不足による密封不良を招来する原因になっていた。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、管継手の離脱防止装置の組付作業を少ない労力で能率良く行いながらも、受口管部と挿入管部とを、挿入接続当初の設定挿入長さに極力維持しつつ確実な密封状態で嵌合接続することができ、しかも、締結手段を構成する部品点数の削減と押輪等に対する連結突起部やボルト挿通孔等の加工数の削減とによって、構造の簡素化と製造コストの低廉化とを図ることのできる管継手の離脱防止装置を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1による管継手の離脱防止装置の特徴構成は、受口管部に挿入接続された挿入管部に、前記受口管部の内周面と挿入管部の外周面との間を密封可能な弾性シール材と、該弾性シール材を管軸芯方向から押圧して密封状態にまで圧縮可能な押輪とを外装し、前記押輪と受口管部とを管軸芯方向から締付け固定する締結手段を設けるとともに、前記挿入管部の外周面と押輪の内周面との間には、前記締結手段による締付け操作に伴う押輪と受口管部との相対近接移動に連れて弾性的に縮径変形しながら挿入管部の外周面に喰い込む抜止リングを設け、更に、前記弾性シール材とこれに対して管軸芯方向で相対向する押輪及び抜止リングとの間には、前記締結手段による締付け操作の前半で弾性シール材のみを押圧圧縮し、該弾性シール材が設定圧縮状態になった以降の締付け操作で抜止リングを縮径変形させる順次作動手段を設けた点にある。
上記特徴構成によれば、前記受口管部に対して挿入管部を設定長さ挿入した状態で締結手段を締付け操作すると、その締付け操作に伴って押輪と受口管部とが管軸芯方向で相対近接移動する。このとき、前記弾性シール材とこれに対して管軸芯方向で相対向する押輪及び抜止リングとの間に設けた順次作動手段により、締結手段による締付け操作の前半においては、受口管部に対する押輪の相対近接移動によって弾性シール材のみが管軸芯方向から押圧圧縮され、受口管部の内周面と挿入管部の外周面との間を密封する。そして、前記弾性シール材が設定圧縮状態になると、それ以降の締付け操作で抜止リングが縮径変形され、該抜止リングが挿入管部の外周面に喰い込む。
従って、前記締結手段による管軸芯方向での一連の締付け操作のみをもって、弾性シール材を密封状態に圧縮したのち抜止リングを挿入管部の外周面に喰い込ませることができるから、管継手の離脱防止装置の組付作業を少ない労力で能率良く行いながらも、受口管部と挿入管部とを、挿入接続当初の設定挿入長さに極力維持しつつ確実な密封状態で嵌合接続することができる。しかも、前記締結手段を構成する部品点数、及び、押輪等に対する連結突起部やボルト挿通孔等の加工数を削減することができるから、従来の管継手の離脱防止装置に比して構造の簡素化と製造コストの低廉化とを図ることができる。
【0007】
本発明の請求項2による管継手の離脱防止装置の特徴構成は、前記順次作動手段が、前記受口管部に対して相対近接移動する押輪の移動力を押圧力として弾性シール材に伝える中間押圧体と、前記弾性シール材が設定圧縮状態になるまで、前記中間押圧体と押輪との管軸芯方向での対向間隔を抜止リングが縮径変形しない又は抜止リングが挿入管部の外周面に喰い込まない間隔に規制し、かつ、弾性シール材が設定圧縮状態になったとき間隔規制を解除する間隔規制部材とから構成されている点にある。
上記特徴構成によれば、前記受口管部に対して挿入管部を設定長さ挿入した状態で締結手段を締付け操作すると、その締付け操作の前半においては、前記受口管部に対して相対近接移動する押輪の移動力が、中間押圧体を介して弾性シール材に管軸芯方向の押圧力として加えられ、押圧圧縮された弾性シール材によって、受口管部の内周面と挿入管部の外周面との間が確実に密封される。このとき、前記弾性シール材が設定圧縮状態になるまでは、前記中間押圧体と押輪との管軸芯方向での対向間隔を設定間隔に保持する間隔規制部材により、抜止リングが初期の非縮径状態又は挿入管部の外周面に喰い込まない状態に維持されている。
そして、前記弾性シール材が設定圧縮状態になると、前記間隔規制部材による間隔規制が解除され、それ以降の締結手段の締付け操作に伴って、前記中間押圧体と押輪とが管軸芯方向で相対近接移動し、その相対近接移動に連れて抜止リングが弾性復元力に抗して縮径変形され、該抜止リングが挿入管部の外周面に喰い込む。
従って、前記弾性シール材とこれに対して管軸芯方向で相対向する押輪及び抜止リングとの間に、順次作動手段を構成する中間押圧体と間隔規制部材とを組み込むだけで済むから、管継手の離脱防止装置の簡素化、小型化を図りながら、前記請求項1の特徴構成で述べた効果を達成することができる。
【0008】
本発明の請求項3による管継手の離脱防止装置の特徴構成は、前記間隔規制部材が、締結手段による締付け操作によって設定圧縮状態になった弾性シール材の反発力で座屈変形する合成樹脂から構成されている点にある。
上記特徴構成によれば、前記間隔規制部材による間隔規制を解除するにあたって、設定圧縮状態になった弾性シール材の反発力で座屈変形する合成樹脂を利用するから、この間隔規制部材自体の構造の簡素化及びコンパクト化を図り易く、管継手の離脱防止装置の簡素化及び小型化を促進することができる。
【0009】
本発明の請求項4による管継手の離脱防止装置の特徴構成は、前記間隔規制部材が、管軸芯方向で互いに入り込み可能な大きさの複数の筒部を階段状に一体成形してある合成樹脂製の間隔規制筒体から構成されていて、前記締結手段による締付け操作によって設定圧縮状態になった弾性シール材の反発力で、隣接する筒部の境界部分が破断されるように構成されている点にある。
上記特徴構成によれば、前記締結手段による締付け操作によって弾性シール材が設定圧縮状態になったとき、前記間隔規制筒体の隣接筒部の境界部分が破断されて、複数の筒部が互いに入り込みながら収縮移動し、その収縮移動に連れて抜止リングが弾性復元力に抗して縮径変形される。
従って、前記間隔規制部材として、径の異なる複数の筒部を階段状に一体成形してある合成樹脂製の間隔規制筒体を利用するから、この間隔規制部材自体の構造の簡素化及びコンパクト化を図り易く、管継手の離脱防止装置の簡素化及び小型化を促進することができる。
本発明の請求項5による管継手の離脱防止装置の特徴構成は、前記合成樹脂製の間隔規制部材が、前記中間押圧体に固着されている点にある。
上記特徴構成によれば、前記間隔規制部材と中間押圧体とを一部品として取り扱うことができるから、管継手の離脱防止装置の組付作業の能率化及び容易化を促進することができる。
【0010】
本発明の請求項6による管継手の離脱防止装置の特徴構成は、前記抜止リングの内径が、非縮径状態では挿入管部の外径よりも大に構成されている点にある。上記特徴構成によれば、前記抜止リングに対する挿入管部の挿入作業を容易に行うことができるから、管継手の離脱防止装置の組付作業の能率化を一層促進することができる。
【0011】
本発明の請求項7による管継手の離脱防止装置の特徴構成は、前記間隔規制部材に、前記押輪の内周面に形成された被係合部に対して管軸芯方向から弾性的に係合して、該間隔規制部材と押輪の内周面との間に介在された抜止リングの抜け出し移動を阻止する係合部が形成されている点にある。
上記特徴構成によれば、前記押輪内に、抜止リング及び間隔規制部材を備えた中間押圧体とを抜止状態で予め組付けることができるから、これら複数の部品を一部品として取り扱うことができ、管継手の離脱防止装置の組付作業の能率化及び容易化を促進することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
図1〜図3に示す流体輸送用(例えば、水道用)の管継手の離脱防止装置は、鋳鉄製の受口管部1に挿入接続された合成樹脂製の挿入管部2に、前記受口管部1の内周面1aと挿入管部2の外周面2aとの間を密封可能な合成ゴム製(例えば、スチレンブタジエンゴム)の弾性シール材3と、該弾性シール材3を管軸芯X方向から押圧して密封状態(水密状態)にまで圧縮可能な鋳鉄製の押輪4とが外装され、前記押輪4と受口管部1とを管軸芯X方向から締付け固定する締結手段5が設けられているとともに、前記挿入管部2の外周面2aと押輪4の内周面4aとの間には、前記締結手段5の締付け操作に伴う押輪4と受口管部1との相対近接移動に連れて弾性的に縮径変形しながら挿入管部2の外周面2aに喰い込むポリアセタール等の合成樹脂製又はステンレス鋼等の金属製の抜止リング6が設けられ、更に、前記弾性シール材3とこれに対して管軸芯X方向で相対向する押輪4及び抜止リング6との間には、前記締結手段5による締付け操作の前半で弾性シール材3のみを押圧圧縮し、該弾性シール材3が設定圧縮状態になった以降の締付け操作で抜止リング6を喰い込み状態にまで弾性復元力に抗して縮径変形させる順次作動手段Aが設けられている。
【0013】
前記受口管部1の管軸芯X方向の一端部には、前記押輪4に対する連結用のボルト挿通孔7を周方向の複数箇所(当該実施形態では4箇所)に形成してある第1連結フランジ部1Aが一体的に突出形成されているとともに、前記受口管部1の管軸芯X方向の他端部には、流体輸送管(例えば水道管)や仕切り弁装置等の他の流体配管装置類をボルト・ナットにて固定連結するための第2連結フランジ1Bと、挿入接続される挿入管部2の先端部に対して管軸芯X方向から接当する環状突起1Cとが一体的に突出形成され、更に、前記受口管部1の内周面1aの管軸芯X方向一端部側には、前記弾性シール材3を管軸芯X方向から挿抜自在に保持可能で、かつ、端部側ほど開口径が大となるテーパー状のシール保持部1bが形成されている。
【0014】
前記押輪4の外周面の周方向複数箇所(当該実施形態では4箇所)の各々には、前記受口管部1の第1連結フランジ部1Aに対する連結用のボルト挿通孔8を形成してある連結突起4Aが一体形成されているとともに、前記押輪4の内周面4aは、接続された受口管部1と挿入管部2とが外力(地震や不同沈下に起因する引張力)によって相対離脱移動しようとしたとき、前記挿入管部2の外周面2aに喰い込み状態にある抜止リング6の外周面6aと接当して、該抜止リング6を更に喰い込み側に縮径変形させるテーパー面に形成されている。
【0015】
前記抜止リング6の内径は、非縮径状態では挿入管部2の外径よりも大に構成されているとともに、この抜止リング6の外周面6aは、前記押輪4のテーパー内周面4aと同じ勾配のテーパー面に形成され、更に、この抜止リング6の内周面には、挿入管部2の外周面2aに管径方向から喰い込み可能な多数の先鋭な抜止突起6bが形成されている。
【0016】
前記締結手段5は、受口管部1の第1連結フランジ部1Aのボルト挿通孔7と押輪4の連結突起4Aのボルト挿通孔8とのうち、管軸芯X方向で相対向する両ボルト挿通孔7,8に亘って挿通されるT字状のボルト5Aとナット5Bとから構成されている。
【0017】
前記順次作動手段Aは、前記受口管部1に対して相対近接移動する押輪4の移動力を押圧力として弾性シール材3に伝えるステンレス鋼等の金属製又は合成樹脂製の円環状の中間押圧体9と、前記弾性シール材3が設定圧縮状態になるまで、前記中間押圧体9と押輪4との管軸芯X方向での対向間隔を抜止リング6が縮径変形しない間隔に規制し、かつ、弾性シール材3が設定圧縮状態になったとき間隔規制を解除する間隔規制部材10とから構成され、更に、前記間隔規制部材10は、前記締結手段5による締付け操作によって設定圧縮状態になった弾性シール材3の反発力で座屈変形して圧潰されるウレタン等の合成樹脂から構成されている。
つまり、前記合成樹脂製の間隔規制部材10の座屈変形による圧潰で間隔規制機能を解除(消失)し、弾性シール材3が設定圧縮状態になった以降の締付け操作で抜止リング6を弾性復元力に抗して縮径変形させるように構成してある。
【0018】
前記中間押圧体9は、弾性シール材3を管軸芯X方向から押圧するシール押圧面9aと、前記抜止リング6の管軸芯X方向の一端面6cを押輪4のテーパー内周面4aに向かって押圧するリング押圧面9bとを備えた押圧リング部9Aの外周部で、かつ、周方向に180度偏位した二箇所の各々に、前記押輪4の管軸芯X方向の一端面4bが受口管部1の管軸芯X方向の一端面1cに接当する締結手段5の最大締付け操作状態において、前記押輪4の内周面4aに形成された後述の押圧面4cに対して管軸芯X方向から接当する受け面9cを備えた板状の受圧部9Bを一体的に突出形成して構成されている。
また、前記両受圧部9Bの各々には、前記押輪4の押圧面4cに向かって突出する状態で合成樹脂の間隔規制部材10が接着剤等で嵌合固着されている。
【0019】
前記抜止リング6のテーパー外周面6aと前記押輪4の内周面4aとの対向面間には、前記中間押圧体9の両受圧部9Bの管軸芯X方向からの係脱を許容し、かつ、係入状態では三者4,6,9の相対回転を規制する装着位置決め手段11が設けられている。
この装着位置決め手段11は、前記中間押圧体9の両受圧部9Bの内周面に近接する状態で抜止リング6のテーパー外周面6aの周方向二箇所の各々に形成した扁平なカット面11Aと、前記中間押圧体9の両受圧部9Bの外周面側に嵌合する状態で前記押輪4の内周面4aの周方向二箇所の各々に形成した溝部11Bとから構成されている。
また、前記押輪4のうち、前記位置決め手段11の溝部11Bに臨む端面4cが、合成樹脂製の間隔規制部材10の先端面に対する押圧面に構成されているとともに、前記合成樹脂製の間隔規制部材10が座屈変形によって圧潰した状態では、前記中間押圧体9の受け面9cに接当するように構成されている。
更に、前記間隔規制部材10には、前記位置決め手段11の溝部11B内に臨む押輪4の内周面端部に形成された被係合部4dに対して管軸芯方向から弾性的に係合して、該間隔規制部材10と押輪4の内周面との間に介在された抜止リング6の抜け出し移動を阻止する弾性撓み変形可能な係合部10aが形成されている。
【0020】
そして、前記受口管部1に対して挿入管部2を設定長さ挿入した状態で締結手段5のボルト5A・ナット5Bを締付け操作すると、その締付け操作の前半においては、前記受口管部1に対して相対近接移動する押輪4の押圧面4aが、中間押圧体9に固着された合成樹脂製の間隔規制部材10の先端面に接当し、この押輪4の移動力が、間隔規制部材10及び中間押圧体9を介して弾性シール材3に管軸芯X方向の押圧力として加えられ、押圧圧縮された弾性シール材3によって、受口管部1の内周面1aと挿入管部2の外周面2aとの間が確実に密封されることになる。
このとき、前記弾性シール材3が設定圧縮状態になるまでは、前記中間押圧体9と押輪4との管軸芯X方向での対向間隔が、中間押圧体9に固着した間隔規制部材10によって設定間隔に保持されているから、抜止リング6が初期の非縮径状態に維持されている。
次に、前記弾性シール材3が設定圧縮状態になると、前記合成樹脂製の間隔規制部材10が座屈変形による圧潰で間隔規制解除され、それ以降の締結手段の締付け操作に伴って、前記中間押圧体9と押輪4とが管軸芯X方向で相対近接移動し、その相対近接移動に連れて抜止リング6が弾性復元力に抗して縮径変形され、該抜止リング6の抜止突起6bが挿入管部2の外周面2aに喰い込む。
尚、前記間隔規制部材10は、圧潰に連れて前記中間押圧体9の両受圧部9Bの内周面と抜止リング6のカット面11Aとの間の間隙、及び、中間押圧体9の両受圧部9Bの外周面と押輪4の溝部11Bの内面との間の間隙に入り込むことになる。
【0021】
〔第2実施形態〕
図4は、前記第1実施形態で説明した管継手の離脱防止装置における間隔規制部材10の別実施形態を示し、これは、管軸芯X方向で互いに入り込み可能な大きさの複数(当該実施形態では二つ)の筒部10bを階段状に一体成形してある合成樹脂製の間隔規制筒体から構成して、前記締結手段5のボルト5A・ナット5Bによる締付け操作によって設定圧縮状態になった弾性シール材3の反発力で、隣接する筒部10bの境界部分が破断されるように構成したものである。
つまり、前記締結手段5による締付け操作によって弾性シール材3が設定圧縮状態になったとき、前記間隔規制筒体10の隣接筒部10bの境界部分が剪断破壊されて、複数の筒部10bが互いに入り込みながら収縮移動することで該間隔規制筒体10による間隔規制が解除されるから、複数の筒部10bの収縮移動に連れて抜止リング6が弾性復元力に抗して縮径変形される。
【0022】
尚、前記間隔規制部材10以外の構成は、前記第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0023】
〔その他の実施形態〕
▲1▼ 上述の各実施形態では、前記弾性シール材3が設定圧縮状態になるまで、前記中間押圧体9と押輪4との管軸芯X方向での対向間隔を抜止リング6が縮径変形しない間隔に規制したが、抜止リング6が挿入管部2の外周面2aに喰い込まない状態に維持できれば、該抜止リング6が少し縮径変形してもよい。
▲2▼ 上述の各実施形態では、前記弾性シール材3が設定圧縮状態になったときに間隔規制部材10の間隔規制を解除するにあたつて、座屈変形による圧潰又は剪断による破断で解除させたが、前記弾性シール材3に対する圧縮操作力が解除されたときに、間隔規制解除状態から間隔規制状態に自動復帰する復元式の構造のものを採用してもよい。
▲3▼ 上述の各実施形態では、前記締結手段5をボルト5A・ナット5Bから構成したが、前記押輪4と受口管部1とを管軸芯X方向から締付け固定することのできるものであれば、カム締付式等の如何なる構造の締結手段を用いて実施してもよい。
▲4▼ 上述の各実施形態では、前記順次作動手段Aにより、締結手段5による締付け操作の前半で弾性シール材3のみを押圧圧縮し、該弾性シール材3が設定圧縮状態になった以降の締付け操作で抜止リング6を縮径変形させるように構成してあるが、前記抜止リング6を縮径変形させるときの弾性シール材3の設定圧縮力は、締結手段5の締結操作が終了した時点の最終圧縮力とほぼ同等であってもよく、また、その最終圧縮力よりも低い圧縮力であってもよい。
更に、前記間隔規制部材10の間隔規制作用が、座屈変形による圧潰又は剪断による破断で解除されたとき、弾性シール材3の設定圧縮力が一時的に低下しても、その後の締結手段5の締結操作によって、前記受口管部1と挿入管部2とを、挿入接続当初の設定挿入長さに極力維持しつつ確実な密封(水密)状態で嵌合接続することのできるものであればよい。
▲5▼ 前記間隔規制部材10の係合部10aと押輪4の被係合部4dとの係合代及び係合形状は、押輪4に対する間隔規制部材10の管軸芯X方向での挿抜を許容する状態で該押輪4内に間隔規制部材10を抜止め保持することのできる範囲内で自由に変更することができる。
▲6▼ 上述の各実施形態では、前記間隔規制部材10を、前記中間押圧体9に接着剤等で固着したが、この間隔規制部材10を中間押圧体9に係合保持させてもよく、また、別々に構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す管接続構造の要部の分解斜視図
【図2】(イ)は、組付前の断面側面図
(ロ)は、組付後の断面側面図
【図3】(イ)は、組付前の要部の拡大断面側面図
(ロ)は、組付後の要部の拡大断面側面図
【図4】本発明の管接続構造の第1実施形態を示し、
(イ)は、組付前の要部の拡大断面側面図
(ロ)は、組付後の要部の拡大断面側面図
【図5】従来の管接続構造を示す一部切欠き側面図
【図6】従来の管接続構造の断面正面図
【符号の説明】
A 順次作動手段
X 管軸芯
1 受口管部
1a 内周面
2 挿入管部
2a 外周面
3 弾性シール材
4 押輪
4a 内周面
4d 被係合部
5 締結手段
6 抜止リング
9 中間押圧体
10 間隔規制部材(間隔規制筒体)
10a 係合部
10b 筒部
Claims (7)
- 受口管部に挿入接続された挿入管部に、前記受口管部の内周面と挿入管部の外周面との間を密封可能な弾性シール材と、該弾性シール材を管軸芯方向から押圧して密封状態にまで圧縮可能な押輪とを外装し、前記押輪と受口管部とを管軸芯方向から締付け固定する締結手段を設けるとともに、前記挿入管部の外周面と押輪の内周面との間には、前記締結手段による締付け操作に伴う押輪と受口管部との相対近接移動に連れて弾性的に縮径変形しながら挿入管部の外周面に喰い込む抜止リングを設け、更に、前記弾性シール材とこれに対して管軸芯方向で相対向する押輪及び抜止リングとの間には、前記締結手段による締付け操作の前半で弾性シール材のみを押圧圧縮し、該弾性シール材が設定圧縮状態になった以降の締付け操作で抜止リングを縮径変形させる順次作動手段を設けてある管継手の離脱防止装置。
- 前記順次作動手段が、前記受口管部に対して相対近接移動する押輪の移動力を押圧力として弾性シール材に伝える中間押圧体と、前記弾性シール材が設定圧縮状態になるまで、前記中間押圧体と押輪との管軸芯方向での対向間隔を抜止リングが縮径変形しない又は抜止リングが挿入管部の外周面に喰い込まない間隔に規制し、かつ、弾性シール材が設定圧縮状態になったとき間隔規制を解除する間隔規制部材とから構成されている請求項1記載の管継手の離脱防止装置。
- 前記間隔規制部材が、前記締結手段による締付け操作によって設定圧縮状態になった弾性シール材の反発力で座屈変形する合成樹脂から構成されている請求項2記載の管継手の離脱防止装置。
- 前記間隔規制部材が、管軸芯方向で互いに入り込み可能な大きさの複数の筒部を階段状に一体成形してある合成樹脂製の間隔規制筒体から構成されていて、前記締結手段による締付け操作によって設定圧縮状態になった弾性シール材の反発力で、隣接する筒部の境界部分が破断されるように構成されている請求項2記載の管継手の離脱防止装置。
- 前記合成樹脂製の間隔規制部材が、前記中間押圧体に固着されている請求項3又は4記載の管継手の離脱防止装置。
- 前記抜止リングの内径が、非縮径状態では挿入管部の外径よりも大に構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の管継手の離脱防止装置。
- 前記間隔規制部材には、前記押輪の内周面に形成された被係合部に対して管軸芯方向から弾性的に係合して、該間隔規制部材と押輪の内周面との間に介在された抜止リングの抜け出し移動を阻止する係合部が形成されている請求項5記載の管継手の離脱防止装置。
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