JP3821473B2 - 光ピックアップ装置及び光ディスク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光ピックアップ装置及び光ディスク装置に関し、更に詳しくは、情報記録媒体の記録面に光を照射し、前記記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置及び該光ピックアップ装置を備えた光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置では、情報記録媒体として、例えばCD(compact disc)、DVD(digital versatile disc)などの光ディスクが用いられ、該光ディスクのスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光の微小スポットを形成することにより情報の記録を行い、記録面からの反射光に基づいて情報の再生などを行っている。そして、光ディスク装置には、情報記録媒体の記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置として、光ピックアップ装置が設けられている。
【0003】
光ディスクでは、マーク(ピット)領域及びスペース領域と呼ばれる2つの反射率の異なる領域を記録面上に形成することによって情報を記録している。例えば、記録層に有機色素を含むCD−R(CD-recordable)やDVD−R(DVD-recordable)などの追記型の光ディスクでは、マーク領域を形成する時にはレーザ光出力を高くして色素を加熱及び溶解し、そこに接している基板部分を変質・変形させている。一方、スペース領域を形成する時には基板が変質・変形しないようにレーザ光出力を再生時と同程度に小さくしている。これにより、マーク領域ではスペース領域よりも反射率が低くなる。
【0004】
しかしながら、同一種類の光ディスクであっても、光ディスクのメーカによって、記録層に含まれる有機色素の種類及び記録層の厚さなどが若干異なっている。このことは、マーク領域を形成する時のレーザ光出力、いわゆる書き込みパワーが同じであっても、光ディスクによっては必ずしも予定した形状のマーク領域が形成されるとは限らないことを意味している。情報の記録時に予定した形状のマーク領域が形成されないと、その情報を正確に再生することが困難となり、いわゆる記録品質が低下することとなる。
【0005】
そこで、追記型の光ディスクには、書き込みパワー調整のための試し書き領域が設けられている。この領域はパワーキャリブレーションエリア(Power Calibration Area:以下「PCA」という)領域と呼ばれている。例えばCD−Rでは、PCA領域は100個のパーティションに分割されたテストエリアを有している。そして、テストエリアの各パーティションは15フレームで構成されている。
【0006】
通常、光ディスク装置では、追記型の光ディスクに情報を記録する前に、PCA領域の1つのパーティションを用いて試し書きを行い、書き込みパワーの最適化、いわゆるOPC(Optimum Power Control)を行う。すなわち、フレーム毎に書き込みパワーを段階的に変化させて試し書きを行い、その中で最も高い記録品質に対応する書き込みパワーを選択する。そして、これによって決定された書き込みパワーで以降の情報記録を行う。
【0007】
また、光ディスクに記録される情報の多様化に伴い、光ディスクへの記録及び再生の高速度化が図られている。特に、記録速度が高速になると、これまでよりも短時間でマーク領域を形成しなければならないために、書き込みパワーを更に精度良く制御する必要がある。そこで、光ディスク装置では、情報の記録中に、所定のタイミングでマーク領域からの反射光の強度を計測し、上述したOPC時における反射光の強度との比較結果に基づいてOPCによって決定された書き込みパワーを補正する、いわゆるランニングOPCが随時行われている。
【0008】
ランニングOPCによって書き込みパワーを精度良く補正するための技術が例えば、特開平9−270128号公報、特開平10−40548号公報、及び特開2000−215454号公報等に開示されている。
【0009】
特開平9−270128号公報には、光ディスクへの情報記録の開始時に、記録領域における複数のピット領域の反射光強度の最大値及び該ピット領域の先頭から所定時間経過後の反射光強度(以下「サンプル反射光強度」という)を検出して、基準値となる反射光強度の最大値及びサンプル反射光強度を求め、情報記録の開始時以降は、前記ピット領域からの反射光強度の最大値及びサンプル反射光強度を検出し、基準値との比較結果に基づいて、レーザー光強度を補正するランニングOPC方法及び光ディスク記録再生装置が開示されている。
【0010】
特開平10−40548号公報には、光ディスクへの情報記録の開始時に、記録領域における複数のピット領域の反射光強度の最大値及び該ピット領域の先頭から所定時間経過後のサンプル反射光強度を検出して、その反射光強度の最大値に所定の定数を乗算した値とサンプル反射光強度との差を補正基準値とし、情報記録の開始時以降は、前記ピット領域からの反射光強度の最大値及びサンプル反射光強度を検出し、その反射光強度の最大値に所定の定数を乗算した値とサンプル反射光強度との差と補正基準値との比較結果に基づいて、レーザー光強度を補正するランニングOPC方法及び光ディスク記録再生装置が開示されている。
【0011】
特開2000−215454号公報には、光ディスクの種類に応じて、ピット領域からの反射光の強度レベルをサンプルホールドするタイミングを切り替えて、ピット領域の後端部からの反射光の強度をサンプルホールドし、その反射光強度に基づいてレーザ光の書き込みパワーを補正する光ディスク記録装置及び光ディスクへの情報記録方法が開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
通常、光ピックアップ装置は、対物レンズを含み光源から出射される光束を情報記録媒体の記録面に導くとともに、記録面で反射された戻り光束を所定の受光位置まで導く光学系及び、受光位置に配置された受光素子などを備えている。この受光素子からは、記録面に記録されているデータの再生情報だけでなく、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御などに必要な情報(サーボ制御情報)を含む信号が出力される。そして、光ディスク装置では、例えば、微小スポットを記録面の所定位置に正確に形成するために対物レンズをトラックの接線方向に直交する方向(トラッキング方向)に駆動する、いわゆるトラッキング制御を行う際に、受光素子の出力信号からトラックの溝に起因して発生する2つの回折パターン(トラックパターン)の強度差をトラックエラー信号として検出し、対物レンズのトラッキング方向に関する位置制御にフィードバックさせている。
【0013】
光ピックアップ装置の光学系には、戻り光束をその光路上から受光素子の受光方向に分岐するための分岐光学素子が含まれている。この分岐光学素子としては、偏光性を持たない無偏光性分岐光学素子と、偏光性を有する偏光性分岐光学素子とがある。分岐光学素子が往路と復路の共通光路上に配置される場合に、無偏光性分岐光学素子では、光源から出射された光束もその一部が分岐され、情報記録媒体の記録面に照射される光量が減少するため、高速記録への対応が困難となる。そこで、高速記録に対応した光ピックアップ装置では、偏光性分岐光学素子が多く用いられている。すなわち、光源から出射された光束の偏光方向に対して、例えばλ/4板などを用いて戻り光束の偏光方向をほぼ90度変更することにより、光源から出射された光束の殆どが偏光性分岐光学素子を透過し、戻り光束の大部分が偏光性分岐光学素子で分岐されるようにすることができる。
【0014】
しかしながら、情報記録媒体の記録面の光学的異方性に起因する常光成分と異常光成分との位相差(以下、便宜上「位相差」と略述する)によって、偏光性分岐光学素子に入射される戻り光束は単一の偏光方向の光束ではなく、互いに偏光方向が異なる複数の光成分が混在した光束となる場合がある。このように偏光性分岐光学素子に入射される戻り光束の偏光方向が単一方向でなければ、偏光性分岐光学素子では、戻り光束の一部は受光素子の受光方向に分岐されず、その結果、受光素子で受光される光量が減少する。そして、記録位置によって光学的異方性が異なる場合には、受光素子で受光される光量が記録位置によって変動し、その結果、例えば受光素子での受光量に基づいて行われる前述したランニングOPCの結果に誤差を生じることとなる。上記各公知例では、位相差が受光量に及ぼす影響については何ら考慮されておらず、特に高速で記録を行う場合には、書き込みパワーの補正に誤差を生じ、記録品質が低下するおそれがあった。
【0015】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、光源から出射されるレーザ光の出力を精度良く最適化することができる光ピックアップ装置を提供することにある。
【0016】
また、本発明の第2の目的は、情報記録媒体への情報の記録を高速度で精度良く行うことができる光ディスク装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、情報記録媒体の記録面に光を照射し、前記記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置であって、光源と;前記光源から出射される光束を前記情報記録媒体の記録面に集光する対物レンズと、前記記録面で反射され前記対物レンズを介した戻り光束の光路上に配置され、前記戻り光束をその光路上から分岐する複数の分岐光学素子とを含む光学系と;前記各分岐光学素子で分岐された光束をそれぞれ受光する複数の光検出器と;前記複数の光検出器のうち少なくとも2つの光検出器からの出力信号に基づいて、前記記録面の光学的異方性に起因する常光成分と異常光成分との位相差を検出する位相差検出手段と;前記位相差検出手段での検出結果に基づいて、前記光源から出射される光束の出力を制御する出力制御手段と;を備える光ピックアップ装置である。
【0018】
これによれば、情報記録媒体の記録面で反射された戻り光束は、その光路上から複数の分岐光学素子によって分岐され、その分岐された光束はそれぞれ複数の光検出器で受光される。位相差検出手段は、少なくとも2つの光検出器からの出力信号に基づいて、例えば戻り光束に含まれるS偏光成分とP偏光成分の割合を求め、位相差を検出する。出力制御手段は、例えば情報を記録する際に、位相差検出手段で検出された位相差を考慮して、OPCによって決定された最適書き込みパワーを補正する。従って、結果的に光源から出射されるレーザ光の出力を精度良く最適化することが可能となる。
【0019】
この場合において、請求項2に記載の光ピックアップ装置の如く、前記位相差検出手段は、記録中に前記光検出器から出力される出力信号に基づいて、前記位相差を検出することとすることができる。かかる場合には、例えば前述のランニングOPCを行なう際に、PCA領域での光学的異方性と直前に情報が記録された領域での光学的異方性とに違いがあっても、位相差検出手段で検出された位相差から光学的異方性の違いを知ることができる。このため、出力制御手段では光学的異方性の違いを考慮した書き込みパワーの補正を行うことが可能となる。従って、結果的に光源から出射されるレーザ光の出力をリアルタイムで精度良く最適化することが可能となる。
【0020】
上記請求項1及び2に記載の各光ピックアップ装置において、請求項3に記載の光ピックアップ装置の如く、前記光学系は、前記分岐光学素子として、偏光性分岐光学素子と、該偏光性分岐光学素子と前記対物レンズとの間に配置された無偏光性分岐光学素子とを含むこととすることができる。
【0021】
この場合において、前記偏光性分岐光学素子としては、種々のものが考えられるが、請求項4に記載の光ピックアップ装置の如く、前記偏光性分岐光学素子は、偏光性ビームスプリッタ、偏光性ホログラム素子及び偏光性回折格子のうちの少なくとも1つを含むこととすることができる。
【0022】
上記請求項3及び4に記載の各光ピックアップ装置において、前記無偏光性分岐光学素子としては、種々のものが考えられるが、請求項5に記載の光ピックアップ装置の如く、前記無偏光性分岐光学素子は、無偏光性ビームスプリッタ、無偏光性ホログラム素子及び無偏光性回折格子のうちの少なくとも1つを含むこととすることができる。
【0023】
上記請求項3〜5に記載の各光ピックアップ装置において、請求項6に記載の光ピックアップ装置の如く、前記複数の光検出器は、前記偏光性分岐光学素子で分岐された光束を受光する第1の光検出器と、前記無偏光性分岐光学素子で分岐された光束を受光する第2の光検出器とを含み、前記位相差検出手段は、前記第1の光検出器からの出力信号と前記第2の光検出器からの出力信号との差信号に基づいて、前記位相差を検出することとすることができる。かかる場合には、第1の光検出器からの出力信号は位相差の影響を受けており、一方第2の光検出器からの出力信号は位相差の影響を受けていないため、両出力信号の差信号を求めることにより位相差を精度良く検出することができる。
【0024】
上記請求項3〜5に記載の各光ピックアップ装置において、請求項7に記載の光ピックアップ装置の如く、前記偏光性分岐光学素子は、偏光性ホログラム素子及び偏光性回折格子の少なくとも一方を含み、前記無偏光性分岐光学素子は、無偏光性ホログラム素子及び無偏光性回折格子の少なくとも一方を含み、前記複数の光検出器は、前記無偏光性分岐光学素子で分岐され前記偏光性分岐光学素子を透過した光束を受光する第1の光検出器と、前記無偏光性分岐光学素子で分岐され、更に前記偏光性分岐光学素子で分岐された光束を受光する第2の光検出器とを含み、前記位相差検出手段は、前記第1の光検出器からの出力信号と前記第2の光検出器からの出力信号との差信号に基づいて、前記位相差を検出することとすることができる。かかる場合には、例えば偏光性分岐光学素子がS偏光に対して低い回折効率を有し、P偏光に対して高い回折効率を有するときは、無偏光性分岐光学素子で分岐された戻り光束に含まれるS偏光成分は偏光性分岐光学素子を透過して第1の光検出器で受光され、一方戻り光束に含まれるP偏光成分は偏光性分岐光学素子で分岐されて第2の光検出器で受光されることとなる。位相差が極めて小さい場合には、いずれか一方の光検出器からの出力信号は殆ど0である。そこで、各光検出器からの出力信号の差信号を求めることにより位相差を精度良く検出することが可能となる。
【0025】
上記請求項1〜7に記載の各光ピックアップ装置において、請求項8に記載の光ピックアップ装置の如く、前記光源と前記分岐光学素子と前記光検出器とが一体化されていることとすることができる。かかる場合には、光ピックアップ装置の小型化を促進することができる。
【0026】
請求項9に記載の発明は、情報記録媒体の記録面に光を照射し、情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも記録を行う光ディスク装置であって、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置と;前記光ピックアップ装置からの出力信号を用いて、前記情報の記録を行う処理装置と;を備える光ディスク装置である。
【0027】
これによれば、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置を備えているために、常に最適な書き込みパワーで記録を行うことができ、結果として、情報記録媒体への情報の記録を高速度で精度良く行うことが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
【0029】
図1には、本発明の一実施形態に係る光ディスク装置20の概略構成が示されている。この図1に示される光ディスク装置20は、情報記録媒体としての光ディスク15を回転駆動するためのスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、レーザコントロール回路24、エンコーダ25、モータドライバ27、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、ROM39、CPU40及びRAM41などを備えている。なお、図1における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。また、本実施形態では、一例として光ディスク15にCD−Rが用いられるものとする。
【0030】
前記光ピックアップ装置23は、光ディスク15のスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光を照射するとともに、その記録面からの反射光を受光するための装置である。なお、この光ピックアップ装置23の構成等については後に詳述する。
【0031】
前記再生信号処理回路28は、光ピックアップ装置23の出力信号である電流信号を電圧信号に変換し、該電圧信号に基づいてウォブル信号、再生情報を含むRF信号及びサーボ信号(フォーカスエラー信号、トラックエラー信号)などを検出する。そして、再生信号処理回路28では、ウォブル信号からATIP(Absolute Time In Pregroove)情報及び同期信号等を抽出する。ここで抽出されたATIP情報はCPU40に出力され、同期信号はエンコーダ25に出力される。さらに、再生信号処理回路28では、RF信号に対して誤り訂正処理等を行なった後、バッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。また、サーボ信号は再生信号処理回路28からサーボコントローラ33に出力される。
【0032】
前記サーボコントローラ33では、サーボ信号に基づいて光ピックアップ装置23を制御する制御信号を生成する。制御信号はサーボコントローラ33からモータドライバ27に出力される。
【0033】
前記バッファマネージャ37では、バッファRAM34へのデータの入出力を管理し、蓄積されたデータ量が所定の値になるとCPU40に通知する。
【0034】
前記モータドライバ27では、CPU40の指示及びサーボコントローラ33からの制御信号に基づいて、光ピックアップ装置23を制御する。またモータドライバ27では、CPU40の指示に基づいて光ディスク15の線速度が一定となるようにスピンドルモータ22を制御する。
【0035】
前記エンコーダ25では、CPU40の指示に基づいてバッファRAM34に蓄積されているデータをバッファマネージャ37を介して取り出し、エラー訂正コードの付加などを行ない、光ディスク15への書き込みデータを作成する。そしてエンコーダ25では、CPU40からの指示に基づいて再生信号処理回路28からの同期信号に同期して、書き込みデータをレーザコントロール回路24に出力する。前記レーザコントロール回路24では、エンコーダ25からの書き込みデータに基づいて、光ピックアップ装置23から出射されるレーザ光の出力を制御する。
【0036】
前記インターフェース38は、ホスト(例えば、パーソナルコンピュータ)との双方向の通信インターフェースであり、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)及びSCSI(Small Computer System Interface)等の標準インターフェースに準拠している。
【0037】
前記ROM39には、CPU40にて解読可能なコードで記述されたプログラムが格納されている。前記CPU40は、ROM39に格納されている上記プログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータ等を一時的にRAM41に保存する。
【0038】
次に、前記光ピックアップ装置23の構成等について図2に基づいて説明する。
【0039】
光ピックアップ装置23は、図2に示されるように、半導体レーザユニット51、カップリングレンズ52、偏光性ビームスプリッタ54、λ/4板55、無偏光性ビームスプリッタ56、立上げミラー57、対物レンズ60、第1の検出レンズ58、第1の受光器59、第2の検出レンズ61、第2の受光器62、位相差検出手段としての位相差検出回路63、出力制御手段としてのパワー調整回路80及び駆動系(フォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ及びシークモータ)(いずれも図示省略)などを備えている。
【0040】
前記半導体レーザユニット51は、図3に示されるように、光源としてレーザ光を発光する半導体レーザ51a、半導体レーザ51aを保持するステム51b、半導体レーザ51aからのレーザ光を外部に出射するための開口部(以下、「出射窓」という)を有し半導体レーザ51aを保護するカバー51cなどを含んで構成されている。なお、本第1の実施形態では、半導体レーザユニット51から出射される光束は、一例として偏光性ビームスプリッタ54の入射面に対してP偏光となるように設定されているものとする。これに伴い、偏光性ビームスプリッタ54は、入射される光束に含まれるP偏光成分の殆どを透過し、S偏光成分の大部分を反射する特性を有しているものとする。
【0041】
無偏光性ビームスプリッタ56は、入射される光束の偏光成分に依存しない反射率及び透過率を有しており、入射される光束の一定割合(例えば20%)を反射し、残りを透過する。
【0042】
位相差検出回路63は、図4に示されるように、第1の受光器59からの電流信号Sb1及び第2の受光器62からの電流信号Sa1を電圧信号に変換、増幅するI/Vアンプ63aと、I/Vアンプ63aで変換された第2の受光器62からの信号Sa2をさらに増幅する増幅器63bと、この増幅器63bからの信号Sa3の平均値とI/Vアンプ63aで変換された第1の受光器59からの信号Sb2の平均値との差信号を求める減算器63cとを備えている。
【0043】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を説明すると、半導体レーザユニット51から出射された直線偏光(P偏光)の光束は、カップリングレンズ52で略平行光とされ、偏光性ビームスプリッタ54に入射する。偏光性ビームスプリッタ54では、入射する光束がP偏光であるため、その光束の殆どが透過される。偏光性ビームスプリッタ54を透過した光束は、λ/4板55にて円偏光とされ、無偏光性ビームスプリッタ56に入射する。無偏光性ビームスプリッタ56では、入射した光束の一定割合が+Z方向に反射され、残りは透過する。無偏光性ビームスプリッタ56を透過した光束は、立上げミラー57にて+Z方向にその光軸が折り曲げられ、対物レンズ60を介して光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。
【0044】
光ディスク15の記録面にて反射した反射光(戻り光束)は、往路とは反対回りの円偏光となり、対物レンズ60で再び略平行光とされ、立上げミラー57で−X方向にその光軸が折り曲げられ、無偏光性ビームスプリッタ56に入射する。無偏光性ビームスプリッタ56では、入射した光の一定割合が−Z方向に反射され、残りは透過する。無偏光性ビームスプリッタ56で−Z方向に反射した光束は、第2の検出レンズ61を介して第2の受光器62で受光される。第2の受光器62からは、受光量に応じた電流信号が位相差検出回路63に出力される。
【0045】
一方、無偏光性ビームスプリッタ56を透過した光束は、λ/4板55で円偏光から直線偏光に変換された後、偏光性ビームスプリッタ54に入射する。偏光性ビームスプリッタ54では、入射光束に含まれるS偏光の成分が−Z方向に反射され、P偏光の成分は透過する。偏光性ビームスプリッタ54で−Z方向に反射した光束は、第1の検出レンズ58を介して第1の受光器59で受光される。第1の受光器59からは、受光量に応じた電流信号が位相差検出回路63、パワー調整回路80及び再生信号処理回路28に出力される。
【0046】
位相差検出回路63では、第2の受光器62からの電流信号Sa1及び第1の受光器59からの電流信号Sb1を、I/Vアンプ63aで電圧信号に変換する。I/Vアンプ63aで変換された第2の受光器62からの信号Sa2は増幅器63bで増幅され、増幅器63bからの出力信号Sa3の平均値とI/Vアンプ63aで変換された第1の受光器59からの信号Sb1の平均値との差信号が減算器63cで求められ、位相差信号Scとしてパワー調整回路80に出力される。
【0047】
パワー調整回路80では、位相差検出回路63からの出力信号(位相差信号)と第1の受光器59からの出力信号とに基づいてパワー調整信号を作成し、半導体レーザユニット51に出力する。
【0048】
次に、前述のようにして構成された光ディスク装置20を用いて、一例として光ディスク15にデータを記録する場合の処理動作について説明する。
【0049】
CPU40は、ホストから書き込み要求のコマンドを受信すると、データの記録に先だって、半導体レーザユニット51から出力されるレーザ光の書き込みパワーを最適化するために、光ディスク15のPCAのテストエリアを用いて、前述したOPC処理を実行する。そして、CPU40は、光ディスク15における最適な書き込みパワーを決定し、RAM41に保存する。また、パワー調整回路80では、最適な書き込みパワーで記録中に、一例として図5に示されるように、第1の受光器59から出力される信号Aに基づいて、マーク領域の先頭から所定時間経過後の信号レベルをサンプリングし、サンプルデータDaを取得する。
【0050】
OPC処理が終了すると、CPU40は、決定された最適な書き込みパワーをレーザコントロール回路24に通知する。次に、CPU40は、記録速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、書き込み要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。
【0051】
再生信号処理回路28では、光ディスク15の回転が所定の線速度に達すると、光ピックアップ装置23からの出力信号に基づいてATIP情報及びサーボ信号を取得する。そして、ATIP情報はCPU40に出力され、サーボ信号はサーボコントローラ33に出力される。サーボコントローラ33では、再生信号処理回路28からのサーボ信号に基づいて、モータドライバ27を介して光ピックアップ装置23のフォーカシングアクチュエータ及びトラッキングアクチュエータを駆動し、フォーカスずれ及びトラックずれを補正する。
【0052】
CPU40では、ホスト49からの書き込みデータをバッファマネージャ37を介してバッファRAM34に蓄積するとともに、バッファマネージャ37からバッファRAM34に蓄積されたデータ量が所定の値を超えたことの通知を受け取ると、エンコーダ25に記録データの作成を指示する。そして、再生信号処理回路28からのATIP情報に基づいて、指定された書き込み開始地点に光ピックアップ装置23が位置するように光ピックアップ装置23のシーク動作を指示する信号をモータドライバ27に出力する。
【0053】
CPU40では、ATIP情報に基づいて光ピックアップ装置23の位置が書き込み開始地点であると判断するとエンコーダ25に通知するとともに、再生信号処理回路28を介してパワー調整回路80にランニングOPCの実行を指示する。
【0054】
エンコーダ25では、レーザコントロール回路24及び光ピックアップ装置23を介して、記録データを光ディスク15に記録する。
【0055】
パワー調整回路80では、記録中に、図5に示されるように、第1の受光器59からの出力信号Bに基づいて、マーク領域の先頭から所定時間経過後の信号レベルをサンプリングし、サンプルデータDbを取得する。さらに、パワー調整回路80では、位相差検出回路63からの出力信号(位相差信号)に基づいてサンプルデータDbを修正し、修正後のサンプルデータDcを求める。なお、一例として図5には、OPC時に試し書きを行った領域の光学的異方性と直前に記録を行った領域の光学的異方性がほぼ同じであれば、すなわち、位相差の影響がなければ、第1の受光器59から出力される信号を信号B’で示している。そして、パワー調整回路80では、前述したOPC時に得られたサンプルデータDaとサンプルデータDcとを比較し、その比較結果から書き込みパワーの補正量を求める。ここで、得られた書き込みパワーの補正量は、パワー調整信号として半導体レーザユニット51に出力される。
【0056】
半導体レーザユニット51では、パワー調整回路80からのパワー調整信号を受け取ると、それに基づいて半導体レーザ51aの出力を調整する。
【0057】
次に、前述した光ディスク装置20を用いて、光ディスク15に記録されているデータを再生する場合の処理動作について簡単に説明する。
【0058】
CPU40では、ホストから再生要求を受信すると、再生速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから再生要求を受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。そして、光ディスク15の回転が所定の線速度に達すると、再生信号処理回路28では、光ピックアップ装置23からの出力信号に基づいてATIP情報、フォーカスエラー信号及びトラックエラー信号を検出する。ATIP情報は再生信号処理回路28からCPU40に通知される。また、フォーカスエラー信号及びトラックエラー信号はサーボコントローラ33に出力され、トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。
【0059】
CPU40では、再生信号処理回路28からのATIP情報に基づいて所定の読み込み開始地点に光ピックアップ装置23が位置するようにシーク動作を指示する信号をモータドライバ27に出力する。
【0060】
CPU40では、再生信号処理回路28からのATIP情報に基づいて読み込み開始地点であるか否かをチェックし、光ピックアップ装置23の位置が読み込み開始地点であると判断すると、再生信号処理回路28に通知する。そして、再生信号処理回路28では、光ピックアップ装置23の出力信号に基づいてRF信号を検出し、誤り訂正処理等を行った後、バッファRAM34に蓄積する。バッファマネージャ37では、バッファRAM34に蓄積されたデータがセクタデータとして揃ったときに、インターフェース38を介してホストに転送する。
【0061】
なお、記録処理及び再生処理が終了するまで、再生信号処理回路28では光ピックアップ装置23からの出力信号に基づいてサーボ信号を検出し、サーボコントローラ33及びモータドライバ27を介してフォーカスずれ及びトラックずれを随時補正する。
【0062】
以上の説明から明らかなように、本第1の実施形態に係る光ディスク装置では、再生信号処理回路28とCPU40とから処理装置が構成されている。
【0063】
しかしながら、本発明がこれに限定されるものではないことは勿論である。すなわち、上記実施形態は一例に過ぎず、上記のCPU40によるプログラムに従う処理によって実現した構成各部の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは全ての構成部分をハードウェアによって構成することとしてもよい。
【0064】
以上説明したように、本第1の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、偏光性ビームスプリッタ54で反射された戻り光束を受光した第1の受光素子(第1の光検出器)59からの出力信号と、無偏光性ビームスプリッタ56で反射された戻り光束を受光した第2の受光素子(第2の光検出器)62からの出力信号とから位相差を求め、その位相差に基づいて記録中に所定のタイミングでサンプリングされる信号レベル(反射強度)を修正し、その修正された信号レベルを用いてランニングOPCを行っている。ここでは、第1の受光素子59での受光量は位相差に起因して変動するが、第2の受光素子62での受光量は位相差に影響されないために、各受光素子からの出力信号の差信号に基づいて位相差を精度良く検出することができる。従って、PCA領域での光学的異方性と直前に情報が記録された領域での光学的異方性とに違いがあっても、検出された位相差から光学的異方性の違いを知ることができるため、光学的異方性の違いを考慮した書き込みパワーの補正を行うことが可能となり、結果的に光源から出射されるレーザ光の出力を精度良く最適化することが可能となる。
【0065】
また、本第1の実施形態に係る光ディスク装置によると、光ピックアップ装置から精度良く最適化された書き込みパワーでレーザ光が出射されるため、正確な情報の記録を安定して行うことが可能となる。また、光源から出射された光束は、その光量を大きく低下させることなく光ディスク15の記録面に照射されるため、光ディスク15への高速アクセスを安定して行うことができる。さらに、光ピックアップ装置23の小型化によって、光ディスク装置自体の小型化及び消費電力の低減も促進することができ、例えば、携帯用として用いられる場合には、持ち運びが容易となり、さらに長時間の使用が可能となる。
【0066】
なお、上記第1の実施形態では、ランニングOPCの場合について説明したが、これに限らず、例えば記録する前に、これからデータを記録する予定の領域近傍のすでにデータが記録されている領域での位相差を求め、その位相差に基づいて、書き込みパワーを補正しても良い。
【0067】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を図6に基づいて説明する。
【0068】
この第2の実施形態は、図6に示されるように、前述したλ/4板55を立上げミラー57と対物レンズ60との間に配置している点に特徴を有する。その他、光ピックアップ装置、光ディスク装置の構成などは、前述した第1の実施形態と同様である。従って、以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0069】
本第2の実施形態に係る光ピックアップ装置23の作用を説明すると、半導体レーザユニット51から出射された直線偏光(P偏光)の光束は、カップリングレンズ52で略平行光とされ、偏光性ビームスプリッタ54に入射する。偏光性ビームスプリッタ54では、入射される光束がP偏光であるため、その光束の殆どが透過される。偏光性ビームスプリッタ54を透過した光束は、無偏光性ビームスプリッタ56に入射する。無偏光性ビームスプリッタ56では、入射した光束の一定割合が+Z方向に反射され、残りは透過する。無偏光性ビームスプリッタ56を透過した光束は、立上げミラー57で+Z方向にその光軸が折り曲げられた後、λ/4板55で円偏光とされ、対物レンズ60を介して光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。
【0070】
光ディスク15の記録面で反射した反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、対物レンズ60で再び略平行光とされ、λ/4板55で円偏光から直線偏光に変換された後、立上げミラー57で−X方向にその光軸が折り曲げられ、無偏光性ビームスプリッタ56に入射する。無偏光性ビームスプリッタ56では、入射した光の一定割合が−Z方向に反射され、残りは透過する。無偏光性ビームスプリッタ56で−Z方向に反射した光束は、第2の検出レンズ61を介して第2の受光器62で受光される。第2の受光器62からは、受光量に応じた電流信号が位相差検出回路63に出力される。
【0071】
一方、無偏光性ビームスプリッタ56を透過した光束は、偏光性ビームスプリッタ54に入射する。偏光性ビームスプリッタ54では、入射光束に含まれるS偏光の成分が−Z方向に反射され、P偏光の成分は透過する。偏光性ビームスプリッタ54で−Z方向に反射した光束は、第1の検出レンズ58を介して第1の受光器59で受光される。第1の受光器59からは、受光量に応じた電流信号が位相差検出回路63、パワー調整回路80及び再生信号処理回路28に出力される。
【0072】
位相差検出回路63では、前述した第1の実施形態と同様にして位相差を検出し、その検出結果を位相差信号としてパワー調整回路80に出力する。パワー調整回路80では、第1の実施形態と同様にして書き込みパワーの補正量を求める。
【0073】
以上説明したように、本第2の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、半導体レーザユニット51から出射されたP偏光の光束が無偏光性ビームスプリッタ56及び立上げミラー57に入射されるため、無偏光性ビームスプリッタ56の反射率や透過率、及び立上げミラー57の反射率が入射される光束の偏光方向に依存する場合であっても、全体的に光強度が整った光束が対物レンズ60に入射され、光ディスク15の記録面上に良好な光スポットを形成することができる。
【0074】
また、本第2の実施形態に係る光ディスク装置によると、光ピックアップ装置から精度良く最適化された書き込みパワーでレーザ光が出射されるため、前記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態を図7に基づいて説明する。
【0076】
この第3の実施形態は、図7に示されるように、前述した半導体レーザユニット51とカップリングレンズ52との間に偏光性ホログラム素子64と無偏光性ホログラム素子65とを配置している点に特徴を有する。そこで、以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0077】
第3の実施形態に係る光ピックアップ装置23は、図7に示されるように、半導体レーザユニット51、偏光性ホログラム素子64、無偏光性ホログラム素子65、カップリングレンズ52、λ/4板55、立上げミラー57、対物レンズ60、第3の受光器66、第4の受光器67、第5の受光器68、位相差検出回路63及び駆動系(フォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ及びシークモータ)(いずれも図示省略)などを備えている。
【0078】
偏光性ホログラム素子64は、半導体レーザユニット51から出射されるP偏光の光束に対しては低い回折効率を有し、S偏光の光束に対しては高い回折効率を有するように設定されている。
【0079】
本第3の実施形態に係る光ピックアップ装置23の作用を説明すると、半導体レーザユニット51から出射された直線偏光(P偏光)の光束は、偏光性ホログラム素子64を透過し、無偏光性ホログラム素子65に入射する。無偏光性ホログラム素子65では、入射された光束を0次回折光と1次回折光とに分離し、0次回折光がカップリングレンズ52で略平行光とされ、立上げミラー57にて+Z方向にその光軸が折り曲げられる。そして、λ/4板55で円偏光とされ、対物レンズ60を介して光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。
【0080】
光ディスク15の記録面からの戻り光束は、往路とは反対回りの円偏光となり、対物レンズ60で再び略平行光とされ、λ/4板55で円偏光から直線偏光に変換された後、立上げミラー57にて−X方向にその光軸が折り曲げられ、カップリングレンズ52を介して無偏光性ホログラム素子65に入射する。無偏光性ホログラム素子65では、入射された光束を0次回折光と1次回折光とに分離する。無偏光性ホログラム素子65からの0次回折光は偏光性ホログラム素子64に入射し、そこで回折されて第3の受光器66で受光される。第3の受光器66からは、受光量に応じた電流信号が再生信号処理回路28及びパワー調整回路80に出力される。無偏光性ホログラム素子65からの1次回折光は偏光性ホログラム素子64に入射し、P偏光成分はそこで回折されて第5の受光器68で受光され、S偏光成分は回折されずに第4の受光器67で受光される。第4の受光器67及び第5の受光器68からは、受光量に応じた電流信号が位相差検出回路63に出力される。
【0081】
位相差検出回路63では、第4の受光器67からの出力信号と第5の受光器68からの出力信号との差信号を求め、パワー調整回路80に出力する。パワー調整回路80では、位相差検出回路63からの出力信号に基づいて第3の受光器66の出力信号から求めたサンプリングデータを補正し、そして第1の実施形態と同様にして書き込みパワーの補正量を求める。
【0082】
以上説明したように、本第3の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、戻り光束に含まれるS偏光成分とP偏光成分とを分離し、第4の受光器67及び第5の受光器68でそれぞれ受光しているため、例えば位相差が小さい場合には、無偏光性ホログラム素子65からの1次回折光は、その殆どがP偏光成分であるために、第4の受光器67で受光される光量は極めて小さい。一方、位相差が大きい場合には、無偏光性ホログラム素子65からの1次回折光は、S偏光成分を含むために、第5の受光器68で受光される光量の割合が減少し、第4の受光器67で受光される光量の割合が増加することとなる。従って、第4の受光器67からの出力信号と第5の受光器68からの出力信号との差信号に基づいて、精度良く位相差を検出することができる。
【0083】
また、光分岐手段としてホログラム素子を用いているために、半導体レーザユニット51と各受光器とを互いに近接して配置することができ、光ピックアップ装置の小型化を促進することが可能となる。さらに、部品点数を削減することができるために部品コストが低減されるとともに、組み付け及び調整作業などを簡略化することができるために作業コストが低減され、更なる低コスト化を促進することが可能となる。
【0084】
また、本第3の実施形態に係る光ディスク装置によると、光ピックアップ装置から精度良く最適化された書き込みパワーでレーザ光が出射されるため、前記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0085】
なお、上記第3の実施形態において、偏光性ホログラム素子64と無偏光性ホログラム素子65とを一体化しても良い。また、半導体レーザユニット51と各受光器とを一体化しても良い。例えば、半導体レーザユニット51内に、第3の受光器66、第4の受光器67及び第5の受光器68が実装された基板を配置することにより、小型化及び低コスト化を促進することが可能となる。さらに、半導体レーザユニット51と各受光器と各ホログラムとを一体化しても良い。例えば、図8に示されるように、半導体レーザ51a、各受光器が実装された基板72、半導体レーザ51aと基板72を保持するステム71a、半導体レーザ51aからのレーザ光を外部に出射するための出射窓を有するカバー71bなどを含んで構成される半導体レーザユニット71の出射窓に接する位置に各ホログラム素子を重ねて配置することにより、更なる小型化及び低コスト化を促進することが可能となる。
【0086】
一般に偏光性ホログラム素子は複屈折性を有する材料を格子形状に加工することにより、あるいは波長よりピッチの小さい格子を加工することにより製造することができる。複屈折性を有する材料としてはLiNbO3結晶や液晶があるが、薄い膜で複屈折性を有する透明な有機材料の延伸膜、例えばポリイミドやPETは、Δn=0.06〜0.1程度の複屈折性を有し、屈折率が1.6程度であるため、格子加工後のオーバーコート材料も安価なものを用いることができ、低コスト化が容易である。
【0087】
また、偏光性ホログラム素子64の代わりに偏光性回折格子を用いても良い。同様に無偏光性ホログラム素子65の代わりに無偏光性回折格子を用いても良い。
【0088】
さらに、上記各実施形態では、光ピックアップ装置23のパワー調整回路80から直接半導体レーザ51aの書き込みパワーを補正する場合について説明したが、レーザコントロール回路24を介して書き込みパワーの補正を行っても良い。
【0089】
また、上記各実施形態では、半導体レーザユニット51から出射された光束の偏光方向に対して戻り光束の偏光方向をほぼ90度変えるための光学素子としてλ/4板55を用いる場合について説明したが、これに限らず、例えば位相差膜などを用いても良い。
【0090】
なお、上記各実施形態では、光ディスク15がCD−Rの場合について説明したが、これに限らず、記録面からの反射光に基づいて、光源から出射される光束の出力を制御することが可能な情報記録媒体であれば良い。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る光ピックアップ装置によれば、光源から出射されるレーザ光の出力を精度良く最適化することができるという効果がある。
【0092】
また、本発明に係る光ディスク装置によれば、情報記録媒体への情報の記録を高速度で精度良く行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1における光ピックアップ装置の概略構成を示す図である。
【図3】図2における半導体レーザユニットを説明するための図である。
【図4】図2における位相差検出回路の構成を説明するための図である。
【図5】記録中における反射強度のサンプリングデータを説明するためのタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る光ピックアップ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る光ピックアップ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図8】半導体レーザとホログラム素子と受光器とを一体化した例を説明するための図である。
【符号の説明】
15…光ディスク(情報記録媒体)、20…光ディスク装置、23…光ピックアップ装置、28…再生信号処理回路(処理装置の一部)、40…CPU(処理装置の一部)、51a…半導体レーザ(光源)、54…偏光性ビームスプリッタ、56…無偏光性ビームスプリッタ、60…対物レンズ、59…第1の受光器(第1の光検出器)、62…第2の受光器(第2の光検出器)、63…位相差検出回路(位相差検出手段)、64…偏光性ホログラム素子、65…無偏光性ホログラム素子、67…第4の受光器(第1の光検出器)、68…第5の受光器(第2の光検出器)、80…パワー調整回路(出力制御手段)。
Claims (9)
- 情報記録媒体の記録面に光を照射し、前記記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置であって、
光源と;
前記光源から出射される光束を前記情報記録媒体の記録面に集光する対物レンズと、前記記録面で反射され前記対物レンズを介した戻り光束の光路上に配置され、前記戻り光束をその光路上から分岐する複数の分岐光学素子とを含む光学系と;
前記各分岐光学素子で分岐された光束をそれぞれ受光する複数の光検出器と;
前記複数の光検出器のうち少なくとも2つの光検出器からの出力信号に基づいて、前記記録面の光学的異方性に起因する常光成分と異常光成分との位相差を検出する位相差検出手段と;
前記位相差検出手段での検出結果に基づいて、前記光源から出射される光束の出力を制御する出力制御手段と;を備える光ピックアップ装置。 - 前記位相差検出手段は、記録中に前記光検出器から出力される出力信号に基づいて、前記位相差を検出することを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
- 前記光学系は、前記分岐光学素子として、偏光性分岐光学素子と、該偏光性分岐光学素子と前記対物レンズとの間に配置された無偏光性分岐光学素子とを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ装置。
- 前記偏光性分岐光学素子は、偏光性ビームスプリッタ、偏光性ホログラム素子及び偏光性回折格子のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置。
- 前記無偏光性分岐光学素子は、無偏光性ビームスプリッタ、無偏光性ホログラム素子及び無偏光性回折格子のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の光ピックアップ装置。
- 前記複数の光検出器は、前記偏光性分岐光学素子で分岐された光束を受光する第1の光検出器と、前記無偏光性分岐光学素子で分岐された光束を受光する第2の光検出器とを含み、
前記位相差検出手段は、前記第1の光検出器からの出力信号と前記第2の光検出器からの出力信号との差信号に基づいて、前記位相差を検出することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。 - 前記偏光性分岐光学素子は、偏光性ホログラム素子及び偏光性回折格子の少なくとも一方を含み、
前記無偏光性分岐光学素子は、無偏光性ホログラム素子及び無偏光性回折格子の少なくとも一方を含み、
前記複数の光検出器は、前記無偏光性分岐光学素子で分岐され前記偏光性分岐光学素子を透過した光束を受光する第1の光検出器と、前記無偏光性分岐光学素子で分岐され、更に前記偏光性分岐光学素子で分岐された光束を受光する第2の光検出器とを含み、
前記位相差検出手段は、前記第1の光検出器からの出力信号と前記第2の光検出器からの出力信号との差信号に基づいて、前記位相差を検出することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。 - 前記光源と前記分岐光学素子と前記光検出器とが一体化されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 情報記録媒体の記録面に光を照射し、情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも記録を行う光ディスク装置であって、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置と;
前記光ピックアップ装置からの出力信号を用いて、前記情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも記録を行う処理装置と;を備える光ディスク装置。
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