JP3821354B2 - 水中敷設シートおよびその接続方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海底を埋め立て、そこに護岸や岸壁等の構築物を構築するに際し、埋め立てに利用された土石等の埋め立て材が構築された構築物との隙間から漏出するのを防ぐために埋め立て材を覆ったりその他各種の水中の基礎を覆うために水中に敷設する防砂シートや止水シート等の水中敷設シートおよびその接続方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
防砂シートや止水シート等の水中敷設シートを敷設する場合、広域な面積にわたって被覆敷設するものであり、しかもその全面を隙間なく敷設することが要求される。
しかし、シートは、製作上および施工上の問題から、敷設海域を一体のシートで施工することは不可能であり、敷設に際して海中あるいは海面上で複数のシートを一体に接続する方法がとられている。
【0003】
シートの接続方法は、海面上にシートを並べて浮遊展張させ、それら隣接する各シートの側端部を海面上で接続するもので、特に止水シートの場合は熱による溶着や接着剤による接着による密着性が要求される。
この接続作業に際して、シート本体の比重が海水より小さい場合は海面上に浮遊展張させることは容易であるが、比重が海水より大きい場合は沈下してしまうために、シートを浮遊させておく手段が必要となる。
【0004】
そこで、従来の、接合作業を図12および図13を用いて説明する。図12は接続作業を説明する平面図、図13は側面図であり、図において、1はシート本体、2はこのシート本体の所定箇所に所定間隔に取り付けた発泡ポリスチレンや硬質ポリエチレン等の剛性を有する耐久性のある浮力球であり、これによってシート本体1が沈むことなく浮遊展張状態を確保する。
【0005】
3は作業台船、4は係留設備を持った固定台船であり、固定台船4から牽引ロープ等の操作ロープ5の操作によって作業台船3を操作し、作業台船3上の作業者が浮遊展張されているシート本体1同志を融着や接着等の接合作業を行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の技術によると、それぞれ独立した浮力球は、浮力球の数量および材質を考慮すると陸上で予め取り付けた状態にして巻き取ったり折り畳んでおくことが不可能であるために海上に直ちに展張することができずシート本体を海面上に展張する際にシートを引き出しながら水際で浮力球を一個一個取り付けることになり、非常に多くの手間と時間を費やすという問題がある。
【0007】
また、シート接合後に、シートを海面下へ沈下させる敷設時には、各独立して取り付けられている浮力球を潜水士によって一つ一つ除去する作業が要求され、潜水士による作業負担が多大なものとなるという問題がある。
さらに、この接続作業は長期にわたるために、海面に浮遊展張しているシートがよごれたり貝やのろ等の海洋生物が付着したりして接続に際して接続端部の清掃が必要となるという問題がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、シート本体に長尺で偏平に変形可能な浮力体を分離可能に設け、その浮力体に連結片を直接海面に接触しないように設けたことを特徴とし、さらに、隣接する連結片同志を空中で接続してシート本体を連結することを特徴とする。
また、長尺の浮力体は空気または発泡体を使用することによって、陸上でシート本体に取り付け、ロール上に巻き取る古都を可能とし、シートの沈設時は、浮力体内の空気の排出または浮力体を離脱させることによりシートを沈設させることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
第1実施の形態例
図1は説明図、図2は浮力体の例を示す説明図、図3は他の浮力体の例を示す説明図、図4は浮力体の取り付け例を示す説明図であり、図において、1はシート本体、7はこのシート本体1の側辺に取り付ける浮力体であり、合成樹脂、ゴム等の柔軟性のある材料による織布、不織布、シート等による長尺のカバー8内に独立気泡からなる弾性体製の発泡体や空気筒等の浮体9が装着してある。このカバー8の外側には長手方向に沿って接続片10と連結片11が形成してある。
【0010】
上記浮力体7の長さは、敷設するシート本体1の幅および長さによって適宜決定し、一本の長さをシート本体1の幅もしくは長さに合わせてもよいが、その幅もしくは長さに何本かを連続させてもよい。
直径は、シート本体1の重量および浮力体7の比重や取り付け量等によって決められるが、シート本体1に接続片10によって取り付けたときに連結片11が海面に直接接触しない位置となり、さらには十分に海面から離れた高い位置に連結片11があると、後述する連結片11同志の連結作業において作業姿勢に無理がなくなる。また、十分な浮力が得られればシート本体1に乗って連結作業も可能となる。すべての浮力体7の直径を同じにする必要はないが同じほうが作業性はよい。
【0011】
また、このシート本体1の側辺に取り付ける浮力体7が十分な浮力が得られしかも直径を大きくし海面より十分に高い箇所に連結片11を位置させることができるようにすることにより、連結の作業性が極めて向上する。具体的には直径約50〜約100cm程度が考えられる。
浮力体7をカバー8の接続片10によってシート本体1に取り付けるに際し、シート本体1に対する取り付け方向は、少なくとも隣接するシート本体1同志の連結する端部に沿って設けておく。
【0012】
さらに、その周辺以外の内側に取り付ける浮力体は上記浮力体の接続片は必要でなく、しかも上記のような大径である必要はないがその他の構造は同様である。また、その取り付け方向は、シート本体の繰り出し方向、それと直交する方向、格子状等どのような方向でもよいが、折り畳まれたり巻き取られるシート本体1を考慮すると図1に示すようにシート本体の繰り出し方向(通常は長手方向となる。)と平行な方向がよい。
【0013】
つぎに、浮力体7のシート本体1への取り付けは、例えば、図4に示す如く、接続片10をシート本体1に直接もしくはシート本体1にも設けた接続片に融着や接着等によって直接接続する方法等がある。陸上での接続片10の接続作業が可能で、その浮力体7を取り付けた状態でシート本体を巻き取りローラに巻き取りが可能であったり折り畳みが可能なものとなっていればよいもので、その巻き取りや折り畳みによって各浮力体7は潰されて偏平状態となり、巻き戻すことにより、圧力がかからなくなる。
【0014】
弾性体性の独立気泡の発泡体の場合は弾性復元力による元の膨らんだ状態に戻る。また、浮力体を空気筒とした場合には空気を充填した空気筒を挿入することになる。
なお、浮力体7は上記構造に限るものではなく、他の構造としては、例えば図3に示す如く、合成樹脂、ゴム等の柔軟性のある皮膜による長尺の密封状の袋体12であり、一つもしくは複数の空気給排孔13を有し、図2に示す浮力体7のカバー8と同様に長手方向に沿って接続片10および連結片11が形成されている。
【0015】
さらには、図5および図6に示す如く、シート本体1の端部に袋体12を直接形成し、その端部に空気給排孔13を設けると共に周面に沿って連結片11を取り付けて構成してもよい。
図5、図6に示すような浮力体7も図2に示す浮力体7と同様に接続片10によってシート本体1に直接もしくはシート本体1にも設けた接続片を介して融着や接着等によって直接接続して取り付けられ、袋体12の空気を抜いた状態で巻き取りローラに巻き取られる。
【0016】
なお、図5、図6に示すような浮力体7によると、空気を抜くとほぼシート本体1と同様に偏平になるために、図7に示す如く、シート本体1の端辺に連続するように直接接続して取り付け、浮力体7が直接海面に接触するようにしてもよい。
このような構成のシート本体を海底の敷設域の広さに合わせた大きさにして沈降敷設するために複数連結するには、巻き取られている浮力体7を付けたシート本体1を巻き戻したり、折り畳まれたものは延ばして図1に示す如く繰り出すと図2に示すような浮体9による浮力体7は浮体9が独立気泡の場合は弾性復元力によって元の形状に復元し、シート本体1を海上に展張浮遊させることができる。
【0017】
また、図3に示すような袋体12による浮力体7は空気給排孔13から気体(空気とは限らない。)を入れることによりシート本体1を海上に展張浮遊させることができる。
このようにしてシート本体1を海面上に展張浮遊させることにより、図7に示す如く、それぞれ隣接するシート本体1の隣接する辺部の浮力体7の連結片11同志を融着や接着等によって密着させて全一体に構成することができる。
【0018】
そこで、その接続状態は、例えば図8、図9に示す如く、浮力体7によって展張浮遊している隣接するシート本体1の対向している浮力体7の連結片11同志を熱融着や接着剤により接着させるもので、浮力体7の連結片11によって隣接するシート本体1同志が連結されることになる。
この接合作業は、連結片11は浮力体7の径が大きく浮力体7の中程から上部にあって海面に接触することなく空中に位置しているために接合作業を空中で行うことができ、特殊な接合用台船や装置を用いる必要がなく、しかも浮力体7によっては十分な浮力と波浪に対して安定状態となり、シート本体1上で作業者が作業することが可能となり、確実な接合ができることになる。
【0019】
さらに、接合の他の構造としては、図10に示す如く、隣接する浮力体7の連結片11同志をシート本体1や連結片11と同様の材質の接続材14を介して熱融着あるいは接着剤の接着接合するものである。
さらには、作業性を向上させるために浮力体7に張力部材15を付けておいてもよく、その張力部材15同志を連結して浮力体7同志を予め仮連結して安定させた状態で上記したような接合の作業をするとよい。
【0020】
なお、この仮連結は上記した連結片11同志を直接連結させる場合にも当然適用することができる。
第2実施の形態例
上記各説明はシート本体1の周囲に沿って取り付けた上記各浮力体7はシート本体1の表面側に設けたが、図11に示す如く、シート本体1の裏面側に取り付けてもよい。
【0021】
浮力体7をシート本体1の裏面側に取り付けると、シート本体1の辺端101を気中に浮いた状態にすることができ、その隣接するシート本体1の辺端101同志を熱融着あるいは接着剤の接着接合することもできることになる。
したがって、この場合は、浮力体7に上記の第1実施の形態例のような連結片11を設けなくてもよく、隣接するシート本体1の辺端101同志を直接接合することが可能となる。
【0022】
また、気中において接着剤や熱融着で接合を行うシート接合部は、シート本体1や連結片と同様の材質の接続材を介して辺端101同志を接続してもよい。 このように第1および第2実施の形態例に示した如く、複数のシート本体1を敷設域を覆う面積に合うように密着連結することにより、そのシートを沈降させて敷設域を覆うことができる。
【0023】
この沈降に際しては、浮体9による浮力体7によると、その浮体9をカバー8から分離させたり浮体9の浮力を除いて浮力体7の浮力をなくすことにより接続されたシート本体1を一方にかたよったりしわをつくることなく敷設域を覆うように沈降させることができる。
また、袋体12による浮力体7の場合は、空気給排孔13から気体を抜くことによりシート本体1の浮力はなくなり上記同様に沈降可能となる。
【0024】
【発明の効果】
以上詳細に説明した本発明によると、連結片を有する長尺で偏平に変形可能な浮力体をシート本体に設け、海上に展張後に連結片が海上に位置するようにしたことにより、シート本体に浮力体を陸上で設置ることができ、しかもその浮力体を取り付けたままシート本体を巻き取ったり折り畳んだりして収納することが可能となる効果を有する。
【0025】
また、敷設域の面積に合わせるように隣接するシート本体を接合する作業を空中において行うことができるためにシート本体の接合端部が安定しており、海上での作業性に非常に優れる効果がある。
また、シート本体を海上に展張浮遊させた後に、工事期間中の長期の浮遊においても連結片が海面に接触していないために貝や汚物の付着がなく作業上必要であった接続部の清掃が不必要となるかもしくがきわめて容易となるという効果がある。
【0026】
さらに、その浮力体の浮力を除去することが容易であり、広い面積に連結したシート本体から短時間で浮力を除去して安定した状態で沈降敷設させることができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態例を示す説明図
【図2】浮力体の例を示す説明図
【図3】他の浮力体の例を示す説明図
【図4】浮力体の取り付け例を示す説明図
【図5】浮力体の形成例を示す偏平状態の説明図
【図6】浮力体の形成例を示す膨らんだ状態の説明図
【図7】第1実施の形態例のシートの接続状態を示す説明図
【図8】第1実施の形態例のシートの接続状態を示す側面図
【図9】シートの接続状態を示す平面図
【図10】シートの他の接続状態を示す側面図
【図11】第2実施の形態例を示す側面図
【図12】従来例のシートの接続状態を示す側面図
【図13】同側面図
【符号の説明】
1 シート本体
7 浮力体
8 カバー
9 浮体
10 接続片
11 連結片
12 袋体
13 空気給排孔
14 接続材
15 張力部材
101 辺端

Claims (8)

  1. 水面に展張したときに空中に位置する個所に連結片を設けた偏平に変形可能で長尺な浮力体をシート本体の少なくとも長手方向側端に沿って分離可能に設けたことを特徴とする水中敷設シート。
  2. 水面に展張したときに空中に位置する個所に連結片を設けた偏平に変形可能で長尺な浮力体をシート本体の周囲に沿って分離可能に設けたたことを特徴とする水中敷設シート。
  3. 水面に展張したときに空中に位置する個所に連結片を設けた偏平に変形可能で長尺な浮力体をシート本体の少なくとも長手方向裏側の側端に沿って分離可能に設けたことを特徴とする水中敷設シート。
  4. 請求項1、請求項2もしくは請求項3において、浮力体を、長尺のカバー内に独立気泡からなる弾性体製の浮体を装着してシート本体に分離可能に取り付けたことを特徴とする水中敷設シート。
  5. 請求項1、請求項2もしくは請求項3において、浮力体を、長尺の密封状の袋体とし、少なくとも一つの空気給排孔を有し、浮力の有無を可能にしたことを特徴とする水中敷設シート。
  6. 請求項1、請求項2、請求項3もしくは請求項4において、浮力体の連結片が空中に位置するように中程から上部に配置してあることを特徴とする水中敷設シート。
  7. 海面に拡げたシート本体に設けた浮力体の隣接する連結体同志を空中で連結してシート本体を連結し、接続後この浮力体の浮力を除去して沈降可能として敷設域に敷設することを特徴とする水中敷設シートの敷設方法。
  8. 請求項において、浮力体を陸上でシート本体に取り付け、海上で接続後シートの沈設時に、浮力体の浮力をなくすことによりシートを沈設させることを特徴とする水中敷設シートの敷設方法。
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