JP2007062419A - 水棲生物付着防止具 - Google Patents
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Abstract
【課題】 この発明の目的は、作業労力を低減することができ、船舶の外観を損なうことのない船舶の水棲生物付着防止具を提供することである。
【解決手段】 船舶の水中部分全体を包囲する可撓性の包囲部材と、包囲部材の端部と連結し船舶の喫水線部を包囲する枠体とを有する船舶の水棲生物付着防止具であって、枠体に浮きおよび水中の包囲部材整形用のガイドを備え、枠体後部を水中に沈没可能とするように枠体中部に屈折部を設け、枠体後部に結合し屈折部前方の枠体前部に沿うようにてこを配置し、てこの先端と枠体前部との間を滑車装置で接続した船舶の水棲生物付着防止具である。
【選択図】 図1
【解決手段】 船舶の水中部分全体を包囲する可撓性の包囲部材と、包囲部材の端部と連結し船舶の喫水線部を包囲する枠体とを有する船舶の水棲生物付着防止具であって、枠体に浮きおよび水中の包囲部材整形用のガイドを備え、枠体後部を水中に沈没可能とするように枠体中部に屈折部を設け、枠体後部に結合し屈折部前方の枠体前部に沿うようにてこを配置し、てこの先端と枠体前部との間を滑車装置で接続した船舶の水棲生物付着防止具である。
【選択図】 図1
Description
この発明は、水棲生物付着防止具に関し、さらに詳しくは、船舶の停泊中に船底へのフジツボ等の水棲生物の付着を防止する為の、操作が簡便で低コストの水棲生物付着防止具に関する。
海水中にはフジツボ、貝類、海草、及び藻類等の水棲生物の幼生、卵、又は種等(以下これらをまとめて「水棲生物の幼生等」という。)が浮遊しており、係留中の漁船、艦船及びヨット、モーターボート等のレジャーボートなどの船舶の水中部分には前記水棲生物の幼生等が付着、成長し、係留期間が長期間に及ぶと、貝類等は大きなかたまりとなる。このまま放置すると、船舶はこれらの水棲生物により損傷を受け、船舶の寿命を著しく縮める可能性がある。また、船底、スクリュー、舵等に水棲生物が付着した状態で航行すると、航行抵抗の増大による燃費の悪化、操舵性の不良、横揺れの発生などによる航行の安定性等が問題となる場合もある。
船舶の水中部分に付着した水棲生物を機械的に掻き落とすことにより除去する場合には、この作業を水中で行うことは事実上不可能であり、通常は船舶を陸揚げしてから作業することになる。その場合には大型クレーンやウィンチ等の引揚げ装置、スペースの確保等が必要になり、大掛かりで、多額の費用も必要である。また、水棲生物の掻き落とし作業にも多大な費用と労力を要する。さらに、水棲生物の掻き落としと同時に塗装が剥げてしまい再度塗装しなければならない。塗装時の溶剤等による環境への影響を考えれば塗装作業はますます困難になる。
水棲生物の付着を防止する方法としては、水棲生物付着防止用の特殊塗料を船舶に塗布する方法があるが、特殊塗料の塗布作業は、前記の場合と同様に船舶の陸揚げが必要であり、また効果の持続期間がそれほど長くはない。さらに、このような塗料の中には魚介類や人体に対する毒性が指摘される物質もあるので、環境保全的見地からも特殊塗料の塗布は注意を要する。船舶を陸揚げする必要のない、船舶への水棲生物付着防止方法としては、特許文献1及び特許文献2に開示された、多孔質シート等により船舶の水中部分全体を被覆する方法がある。これらの方法によると、船舶を陸揚げすることなく、水棲生物の船舶への付着を効果的に防止することができる。しかし、前記方法では、揺れる船舶上で手作業により船舶の水中部分全体を多孔質シート等で被覆しなければならないので、作業の簡便さがいまだ充分とはいえなかった。特に大型船舶に対してはその作業の容易化が望まれていた。
この発明は、従来の船舶への水棲生物付着防止技術が有する欠点を解消することを目的とする。すなわちこの発明の目的は、船舶への水棲生物付着防止効果が大きく、停泊時の船舶への設置や取り外しの作業性のよい水棲生物付着防止具を提供することである。
本発明の課題を解決するための手段は、下記の水棲生物付着防止具である。
(1)船舶の水中部分全体を包囲する可撓性の包囲部材と、包囲部材の端部と連結し船舶の喫水線部を包囲する枠体とを有する船舶の水棲生物付着防止具であって、枠体に浮きおよび水中の包囲部材整形用のガイドを備え、枠体後部を水中に沈没可能とするように枠体中部に屈折部を設け、枠体後部に結合し屈折部前方の枠体前部に沿うように枠体後部を浮上させるためのてこを配置し、てこの先端部と枠体前部とを滑車装置で接続した船舶の水棲生物付着防止具。
(2)船舶の水中部分全体を包囲する可撓性の包囲部材と、包囲部材の端部と連結し船舶の喫水線部を包囲する枠体とを有する船舶の水棲生物付着防止具であって、枠体に浮きおよび水中の包囲部材整形用のガイドを備え、枠体前部を水中に沈没可能とするように枠体中部に屈折部を設け、枠体前部に結合し屈折部後方の枠体後部に沿うように枠体前部を浮上させるためのてこを配置し、てこの先端部と枠体後部とを滑車装置で接続した船舶の水棲生物付着防止具。
(1)船舶の水中部分全体を包囲する可撓性の包囲部材と、包囲部材の端部と連結し船舶の喫水線部を包囲する枠体とを有する船舶の水棲生物付着防止具であって、枠体に浮きおよび水中の包囲部材整形用のガイドを備え、枠体後部を水中に沈没可能とするように枠体中部に屈折部を設け、枠体後部に結合し屈折部前方の枠体前部に沿うように枠体後部を浮上させるためのてこを配置し、てこの先端部と枠体前部とを滑車装置で接続した船舶の水棲生物付着防止具。
(2)船舶の水中部分全体を包囲する可撓性の包囲部材と、包囲部材の端部と連結し船舶の喫水線部を包囲する枠体とを有する船舶の水棲生物付着防止具であって、枠体に浮きおよび水中の包囲部材整形用のガイドを備え、枠体前部を水中に沈没可能とするように枠体中部に屈折部を設け、枠体前部に結合し屈折部後方の枠体後部に沿うように枠体前部を浮上させるためのてこを配置し、てこの先端部と枠体後部とを滑車装置で接続した船舶の水棲生物付着防止具。
この発明に係る水棲生物付着防止具においては、船全体を包囲する枠体の一部を水上に浮遊させて、枠体の一部とともに水中に沈没させてある水棲生物付着防止用のシート状の包囲部材の上に船舶を誘導した後、船舶を停止させ枠体の沈没していた部分を、てこおよび滑車装置を利用して引き揚げて船舶の水中部分全体を包囲部材が完全に包囲するようにすればよく、装着作業がきわめて簡便である。従ってこの発明に係る水棲生物付着防止具は、帰港時の疲れているときであっても水棲生物付着防止具をほとんど労力を用せず短時間で船舶に装着でき、大型船舶に対しても好適に使用することができる。水棲生物付着防止具の船舶からの脱着も容易なので出航にも手間取らない。また、この発明に係る水棲生物付着防止具は、水棲生物の幼生等の通過を阻止する包囲部材で船底を完全に覆っているので、船舶の水中部分への水棲生物の付着を効果的に防止することができ、船舶の長寿命化、船底清掃の不用化、船舶の航行抵抗の低減と言った水棲生物付着防止具の持つ効果は好適に発揮できる。さらに、この発明に係る水棲生物付着防止具は、船舶に装着してもその船体全体を被覆することがないので、停泊中にその船舶の美しい外観を楽しむことができる。特に、特許文献1や特許文献2に記載のシートのような透水性の良好な包囲部材をこの発明に係る水棲生物付着防止具に用いれば、枠体の沈没していた部分を引き揚げた際などに枠体に接続している包囲部材内の水が迅速に流出するので引揚げ抵抗が少なく好適である。
本発明の水棲生物付着防止具は、水棲生物が停泊中の船舶の船底等の水中部分に付着成長することを防ぐものであり、浮きを備えて水上に浮遊するようにし、船舶の喫水線部を包囲する枠体と、大きな開口部を持ち船舶の水中部分全体を包み込む形の袋状で、開口部である端部全体を枠体に結合し、船舶の水中部分全体を覆う包囲部材とを備えている。本発明に係る船舶の水棲生物付着防止具の具体例を図1〜図4および図7に示す。図1は船舶に装着した本発明(1)の水棲生物付着防止具の船舶側面から見たイメージ図であり、図2はこの水棲生物付着防止具の枠体の図面であり、Aが平面図、Bが正面図およびCが側面図である。図3はこの水棲生物付着防止具の枠体後部を図1と同じように水面上に浮上させた際の図であり、図4はこの枠体後部を水中に沈没させた状態を示す。図7は本発明(2)の水棲生物付着防止具の船舶側面から見たイメージ図である。これらの図を参照にしながら本発明の水棲生物付着防止具について説明する。なお、本発明(2)の態様は枠体の沈没可能部が本発明(1)の態様と異なっているのみなので、以下では、特に断らない場合は、枠体後部が沈没可能な本発明(1)の態様を前提に説明する。
本発明の水棲生物付着防止具は、包囲部材6、枠体1からなる。包囲部材6は停泊している船舶の水中部分全体を包囲して、水中に浮遊している水棲生物の幼生が船底等に流れ着いて付着し、成長することを防止する部材である。包囲部材6の端部は枠体1の水上部分に装着されており、船舶の喫水線部分全体を取り囲むように枠体1を配置することにより、船舶の水中部分全体を包囲部材6が包囲した形状を保つことができる。包囲部材6は可撓性のあるシート状の部材からなることが好ましい。さらに水中で移動させるので透水性の素材で作られていることが好ましい。しかし、目の粗すぎる網状の部材では水棲生物の幼生等、例えばフジツボ、ムラサキ貝及びホヤの幼生等が包囲部材6を通過して船舶に付着することを効果的に防止することができない。透水性があり、水棲生物の幼生等の浸入を防ぐという観点からは織布、不織布、多孔質のシートなどでひとつひとつの空孔径が0.5mm以下、好ましくは0.3mm以下であることが望ましい。水棲生物のうちでも最も問題となるフジツボ類の幼生の大きさが約0.5mmであり、上記空孔径とすればこれの侵入を防ぐことができる。また、一方、多孔質のシートの空孔径を上記範囲とすると、水棲生物の幼生だけでなくプランクトンの侵入も防ぐことができる。フジツボ等の船底への付着性の水棲生物の餌となるプランクトンが包囲部材6に進入してこないと、本発明の水棲生物付着防止具装着前にすでに船底に付着していたフジツボ等の水棲生物も装着後に餌の供給がなくて死滅してしまう。ほとんどの水棲生物は死滅すると簡単に船底から剥落し船底はクリーンアップされる効果がある。透水性を確保する点からは孔径1nm以上の多数の空孔があればよい。しかし、使用中に包囲部材6内にはゴミや水棲生物が付着して空孔が塞がれることがある。織布や編物、網などの場合は透水性は良好であり、無孔シートに空孔を施した包囲部材では空孔径は大き目がよい。具体的には0.1〜0.5mmとすることが好ましい。また、包囲部材6に付着した水棲生物が包囲部材の上で生育し、その重量が大きくなったときに、包囲部材6は、破損しない程度の強度を備えることが望ましい。包囲部材6がそのような機械的強度を有しないときには、適宜に補強材を包囲部材6に組み合わせて使用することができる。例えば、適宜の間隔をもって包囲部材6に配設されたリブ、ワイヤー等を補強材とすることができる。具体的な包囲部材6の例としては、帆布、ポリエステルやナイロンの織布、編物、網、や不織布、また多孔質のポリオレフィンシート、ナイロンシートなどが好適である。厚手のポリエステル織布、ナイロンやポリエステル製の編物は強度、透水性、水棲生物遮断効果、耐候性、寿命のすべてにおいて好適な材料である。
編物製以外の包囲部材6は、JIS L1096Aに準拠して測定された引張伸度が15〜37%であり、JIS L1096A−1に準拠して測定された引裂強度が3〜9kgであると好ましい。引張伸度、引裂強度がそれぞれ前記範囲の下限値より小さいと、水棲生物付着防止具の取扱い時、又は水棲生物が包囲部材6上で生育し、その重量が大きくなったときに包囲部材6が破損する可能性がある。一方、引張伸度、引裂強度がそれぞれ前記範囲の上限値より大きいシートを使用すると、コスト面で不利になる。
特に好ましい態様として、包囲部材6の水中に沈没する枠体と結合している部分の少なくとも一部を特に透水性のよい構造とする。例えば、1nm〜0.5mm、好ましくは0.1〜0.5mmの空孔を持つ多孔質シートの外側に編物製シートを重ね合わせた多層構造とすることである。多孔質シートとしては、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂製の無孔シートに多数の小孔を形成したもの、前記熱可塑性樹脂製のテープや糸を織ったり、格子状に並べたりして、テープや糸同士の接点を融着して上記大きさの空孔を持つ格子状のシートとしたものなどが挙げられる。これらのシートは透水性がよく、強度が十分にある。そして、このシートの外側、すなわち船舶に面する側の反対側には編物製シートを重ねる。編物製シートは透水性は十分にあり、通常は空孔の大きさが0.5mm以下であり、通常のシートに比べて厚みがある。このようなシートはフジツボの幼生など水棲生物を非常によく吸着し、これ以上透過させない。このため、水棲生物はこの編物シート上で成長し、包囲部材内部の船体は勿論、内側の多孔質シートは常に水棲生物が付着していない状態が保たれる。編物シートの特長は水棲生物等の付着、成長により一時的に目詰まりを起こしていても、シート内部から水などの流体の圧力がかかると編目が伸びて編目の穴が大きくなり、そこから簡単に流体が排出されることである。その際、水棲生物なども剥がれ落ち易いのでさらに効果的である。編物シートはどのようなものでも良いが、通常はたて編みのラッシェル編み、トリコット編み、あるいは各種よこ編みの流し編み地を用いればよい。なお、通常の単層の包囲部材の場合は使用中にこの包囲部材の外側に水棲生物が付着して透水性が劣化して、重くなって包囲部材を引き揚げ難くなり、場合によっては引き揚げ時に内部の水が抜けなくて包囲部材が破損することもある。このような2層構造シートは多孔質シートで強度を担い、編物シートで水中生物進入防止機能を担っている。それ故、この2枚のシートが大きく離れないように少なくとも所々を結合しておくことが好ましい。この水棲生物付着防止具の包囲部材のこの部分は枠体とともに水中で上下する部分であるので、特に透水性を持たせることが重要である。このような2層構造シートはさらに内側に編物シート層やポリエステル布層を設けた構造としてもよい。
枠体1について説明する。枠体1は船舶2の喫水線を取り囲むようにして水面上に配置され、包囲部材6の端部と結合し、包囲部材6がこの船舶2の喫水線を取り囲むようにし、包囲部材6と協働して包囲部材6の内部へ水棲生物の幼生等が侵入しないようにし、船舶2の水中部分に水棲生物の幼生等が付着しないようにしている。そのため、枠体1は剛体で作ることが好ましい。枠体1は水面が波立っても形状が大きく変化しその一部が水面下に沈没しないものであれば、金属、プラスチック、木材素材などで棒状、板状、パイプ状、ホース状などどのような形状の材料で構成してもよい。通常は、塗装した30〜100mm、好ましくは50〜55mm径の金属パイプまたはプラスチックパイプを繋ぎ合わせて用いればよい。枠体1の内側の形状は装着する船舶の喫水線を取り囲む形状とすることが好ましい。ぴったりと取り囲む必要はなく、複数の船舶に使用する場合はどの船舶をも取り囲める形状とする。通常、船首側に装着する枠体前部は先端が細い形状でなくともよいが、図2に示すように、矩形の枠体の船首側の内側にかすがいをわたせば枠体全体の強度も向上し、形状も船舶の喫水線部に近づき好適である。
枠体1の所々には浮き7を備えている。浮き7は水棲生物付着防止具が沈まないようにするものであり、この機能があれば構造、材質、取り付け位置、取り付け方法はどのようにしてもよい。図2では7個の浮きを枠体に嵌め込んでつけている。浮きの例を図5に示した。概ね三角柱状の下部から中心に向かって枠体のパイプが嵌め込まれるように長手方向に沿って溝が設けてある。例えば、図5に示すように大きさは、下辺の幅aおよび高さbが500mm、長さcがおよそ800mm、溝の幅dが50mmである。大きさおよび取り付け個数は水棲生物付着防止具の重量との兼ね合いで決めればよい。材料としては、例えば発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタン、発泡ポリオレフィンの成形体、あるいはポリオレフィンやポリエステルの中空成形体とすればよい。なお、枠体後部4には浮き7は付けないか小さ目のものを付けて浮力を小さくして、枠体後部4は船舶進入、退出時には自重で水中に沈没するようにしておくことが望ましい。枠体後部4は水中に沈める場合があるので、浮力が大きいと沈め難くなるからである。浮き7は、プラスチックやゴムの発泡体で作れば、船舶2が枠体1あるいは岸壁などと接触して傷付くことを防ぐ緩衝材の機能を持たせることができる。
枠体中部および後部には包囲部材整形用のガイド8,9が設けられている。このガイド8,9は主に水棲生物付着防止具を船舶に装着、脱着する際に、船舶が水棲生物付着防止具の後方から進入、退出することに伴い、包囲部材が船舶のスクリュー、舵、ヒールなど船底に突き出しているものに引っかかり、破損することを防ぐものである。それ故、装着しようとする船舶の船底の形状に合わせてガイド8,9の形状を整え、これに包囲部材を固定しておく。船舶の水棲生物付着防止具への進入、退出時には正確に同じ相対位置を出入りできないのでガイド8,9の内側形状は船舶の突起物を含めた船底の形状より大きめにしておくことが好ましい。図2ではほぼ長方形のガイドとしてあるが好ましい形状である。特にスクリュー付近の包囲部材はスクリューに巻き込まれ易いので船底と包囲部材との間隔を大きめに取っておくことが好ましい。このガイドは図2では2個設けられているが、大型船舶やヨット用の水棲生物付着防止具の場合は3個以上設置してもよい。場合によっては枠体後部に1個のみとしてもよい。船舶の大きさや船底の突起物の形状等により上記機能を発揮できるように適宜設置すればよい。また、ガイドの材料は枠体と同じ物を用いてもよい、プラスチック製などの軽量な材料でも良い。枠体中央部に設置したガイド8は枠体の横方向の剛性を保つための強度を持つことが好ましいが、ガイド9は包囲部材6の後部を水中で上下できる程度の強度があればよい。図7に示すように、本発明(2)のように枠体前部から船舶が進入、退出する態様ではガイド8,9は包囲部材6とスクリュー等との接触を避けるため多めに設置することが好ましい。
図3および図4に示すように、本発明(1)の水棲生物付着防止具の枠体1は、枠体前部3と枠体後部4が屈折部12を中心にして枠体後部4が水中に沈没するように屈折できる構造になっている。そして、この枠体後部4にはてこ5が連接している。水棲生物付着防止具を船舶に装着しているときは、てこ5は枠体前部3に沿うように配置されており、枠体後部4が水中に沈没するように屈折すると、連動しててこ5の先端は枠体前部3の上方に移動する。てこ5の先端部と枠体前部3は滑車装置で結ばれており、枠体が屈折しててこ5の先端が上方へ移動するに従って滑車装置に付いているロープは伸びていく。逆に、このロープを引いて縮めればてこ5の先端の滑車11は滑車装置10に引き寄せられ、てこ5は枠体前部3に沿う位置に戻る。これに連動して枠体後部4も水中から水上に上昇して枠体前部3とほぼ一直線上に戻り水上に浮上する。このようにして、枠体後部4およびこれに連動するてこ5は屈折部12を中心として30〜90度、好ましくは45〜60度回転し枠体後部4の最後部が水中深く沈没できるようになっている。図4に示すように枠体後部4が沈没した状態では包囲部材6の枠体後部4に接続している部分も枠体後部4と同時に沈没している。この状態で水棲生物付着防止具の後方から船舶が枠体の中へ船首から進入してくれば、船底は勿論、スクリューや舵などの船底の突起物も枠体に設置したガイド8,9や包囲部材6に引っかかることなく水棲生物付着防止具の装着位置に到達できる。言い換えれば、船底に包囲部材6が引っ掛からない程度に枠体後部を沈めておく。船舶の進入が完了したら、滑車装置10のロープを引いて、てこの5および枠体後部4を図3に示す状態に戻す。この際、包囲部材6を巻き込む恐れがあるので船舶のスクリューが停止してから枠体後部4を戻すことが好ましい。これで、図1に示すような船舶2への本発明の水棲生物付着防止具の装着が完了する。言い換えると、包囲部材6を装着した枠体後部4と先端に滑車を付けたてこ5とは屈折部12を中心としてシーソーのようになっており、枠体後部4が水中にある状態で重力により下がるようにしておくとよい。このようにしておけば、滑車装置のロープを緩めれば自然に枠体後部4は水中に下がり、滑車装置10のロープを引けば枠体後部4は水上に引き揚げられる。強いロープの引き揚げ力を必要としないためには、枠体後部4とてこ5とが作るシーソーのバランスは包囲部材6を取り付けた水中の枠体後部4のほうがてこ5より少しだけ重い状態が理想的である。しかし、水棲生物付着防止具使用中に包囲部材6にはフジツボなどが付着し枠体後部4側の重量が増してくる。枠体後部4とてこ5のシーソーのバランスはてこの長さおよび枠体後部4につけた浮き7の大きさや位置により調節できるようにしておくことが望ましい。例えば、枠体後部4の浮力は、浮き7を枠体の最後部付近に付ければ大きくなり、屈折部12付近に付ければ相対的に小さくなる。
包囲部材6と枠体1は使用中簡単に外れないような結合が望ましい。船舶が停泊中、数日から数百日にわたって水棲生物付着防止具を装着したまま放置しておいてもよいようにすることが望ましい。そのためには包囲部材6を枠体1に縫い付けたり、接続治具や接着剤で完全に固着させても良い。しかし、包囲部材6のみを取り替えたり、付着した水棲生物やゴミを掃除するため取り外したい場合もある。そのためには、使用中は簡単に外れなくて、必要に応じて着脱が容易な取り付け方が望ましい。図6にそのような包囲部材6と枠体1の取り付け方法の例を示した。包囲部材6の端部は通常折り返しを付けて強化されている。そして、この端部に結合用のテープまたは紐を適当な間隔、例えば30〜100cmおきに付ける。この連結部は包囲部材6を支える為に十分な強度が必要である。この結合用のテープ等の他端には鞄やズボンのベルトに用いられるバックルようなワンタッチタイプの接続金具等の一方をつける。同じように、枠体1にも包囲部材6のテープ等を結合する位置にベルトのバックル等の相手方が付いたテープ等を取り付ける。そして、これらのテープ等の組を接続していくことにより枠体1に包囲部材6を簡単に取り付けることができる。図6のDは枠体につけたテープを包囲部材6につけたテープに接続している状態を示し、図6のEは枠体1に包囲部材6が完全に取り付けられた状態を示している。図6のFは枠体にはテープ15との接続金具19のみ備えた例で、テープをこの接続金具19に通して再びテープの締付け具20に通して締付ければよい。図6は結合方法の例であり、紐状体や帯状体、これらの結合用の接続金具は既存のどのようなものを使用しても良い。
上述のように本発明の水棲生物付着防止具を使用すると、船舶には水棲生物が付着しないが包囲部材6に付着する。しかし、水棲生物は強固に包囲部材6に付着することができず、水棲生物が付着した水棲生物付着防止具全体または包囲部材6を水上に引き上げ乾燥させれば、水棲生物は死滅し、死滅した水棲生物は自然にあるいは軽い振動または簡単な作業により容易に払い落とすことができる。このようにすれば水棲生物付着防止具は、破損しない限り何回でも繰り返し使用することができ、勿論、船舶の船底は常に清潔である。本発明の水棲生物付着防止具を船底に水棲生物が付着した船舶に使用すると、付着していた水棲生物が剥落する効果も見られる。これは、水棲生物付着防止具により覆われた部分には水棲生物の餌となる植物プランクトンなども侵入してこないため、船底に付着していた水棲生物が餓死して剥落するものと考えられる。
この発明に係る水棲生物付着防止具は、船舶以外の水中構造物に対しても適用することができる。この発明において水中構造物とは水中に浮遊する水中構造物で通常は一部が水上にあるものである。水中構造物として、例えば、浮き桟橋、養魚場の水中設備及び浮遊設備、浮遊型船舶案内灯、浮き灯台、ブイ、海上ヘリポート設備、並びに、海上又は海中に種々の目的のために敷設された各種のロープ等を挙げることができる。これら浮遊する水中構造物についても、船舶と同様にして水中部分全体を包囲部材で包囲することにより、船舶の場合と同様に水棲生物の付着を防止することができるので、本発明の船舶に含めるものとする。
本発明の水棲生物付着防止具は簡単に船舶に装着が可能であり、船舶、特に比較的小型のヨットやモーターボートなど小型で外観の美しい船舶に好適に利用することがこのましい。また、警備艇などのスピードを要する船舶についても船底、スクリュー、舵等を清潔にし、安全迅速な走行できる効果と水棲生物付着防止具の脱着の容易さから好適な装置である。
1:枠体 2:船舶 3:枠体前部 4:枠体後部 5:てこ 6:包囲部材 7:浮き
8:枠体中央部の包囲部材整形用のガイド 9:枠体後部の包囲部材整形用のガイド
10:滑車装置 11:滑車装置のてこ側の滑車 12:枠体の屈折部
13:スクリュー 14:包囲部材端部の折り返し
15:包囲部材端部に取り付けたテープ16:包囲部材側のテープに取り付けた接続金具
17:枠体に取り付けたテープ 18:枠体に取り付けたテープの先端部
19:テープ接続金具 20:テープ締付け具 21:テープの包囲部材への取り付け部
101:水面
8:枠体中央部の包囲部材整形用のガイド 9:枠体後部の包囲部材整形用のガイド
10:滑車装置 11:滑車装置のてこ側の滑車 12:枠体の屈折部
13:スクリュー 14:包囲部材端部の折り返し
15:包囲部材端部に取り付けたテープ16:包囲部材側のテープに取り付けた接続金具
17:枠体に取り付けたテープ 18:枠体に取り付けたテープの先端部
19:テープ接続金具 20:テープ締付け具 21:テープの包囲部材への取り付け部
101:水面
Claims (2)
- 船舶の水中部分全体を包囲する可撓性の包囲部材と、包囲部材の端部と連結し船舶の喫水線部を包囲する枠体とを有する船舶の水棲生物付着防止具であって、枠体に浮きおよび水中の包囲部材整形用のガイドを備え、枠体後部を水中に沈没可能とするように枠体中部に屈折部を設け、枠体後部に結合し屈折部前方の枠体前部に沿うように枠体後部を浮上させるためのてこを配置し、てこの先端部と枠体前部とを滑車装置で接続した船舶の水棲生物付着防止具。
- 船舶の水中部分全体を包囲する可撓性の包囲部材と、包囲部材の端部と連結し船舶の喫水線部を包囲する枠体とを有する船舶の水棲生物付着防止具であって、枠体に浮きおよび水中の包囲部材整形用のガイドを備え、枠体前部を水中に沈没可能とするように枠体中部に屈折部を設け、枠体前部に結合し屈折部後方の枠体後部に沿うように枠体前部を浮上させるためのてこを配置し、てこの先端部と枠体後部とを滑車装置で接続した船舶の水棲生物付着防止具。
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