JP3821135B2 - ディスクチェンジャー装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数のディスクを連続して再生することができるディスクチェンジャー装置に関する。
CDやDVDなどの複数枚のディスクを装着し、これらのディスクを連続して再生することのできるディスクチェンジャー装置が知られている。
この種のディスクチェンジャー装置として、円盤状をなし、その周縁部に複数枚のディスクが載置される複数の搭載部が形成されたルーレットテーブルと、このルーレットテーブルを回転可能に支持し、当該ルーレットテーブルの周縁部(搭載部の形成領域)を装置本体内に出し入れするためのトレイと、装置本体内の、ルーレットテーブルの周縁部が回転移動する軌跡上の所定の位置(以下、読取位置という。)に配設され、トレイを装置本体内に収納した状態でルーレットテーブルを回転させて当該所定の読取位置に搬送されたディスクをクランプし、当該ディスクに記録されたデータを読み取るピックアップユニットと、を備えたものがある。
更に、トレイの出し入れ動作とピックアップユニットのクランプ/クランプ解除動作を行うための駆動源が、1個の電動モータとこの電動モータの駆動力をピックアップユニットとトレイとに切換伝達する駆動力伝達機構とによって構成されたディスクチェンジャー装置も知られている。例えば特開2002−184080号公報には、トレイに形成された前後方向に伸びるラックと、このラックに噛合するピニオンと、周面の一部領域に上下方向に傾斜した案内溝が形成されるとともに、周面の他の領域に歯が形成された円筒カムと、ピニオンと減速ギヤとに噛合する大径のギヤと円筒カムの歯に噛合する部分的に歯が形成された小径のギヤとからなる二段ギヤとによって駆動力伝達機構を構成したディスクチェンジャー装置が記載されている。
このディスクチェンジャー装置では、電動モータの駆動力が減速ギヤを介して大径ギヤに伝達され、更にこの大径ギヤとピニオン及びラックにより大径ギヤの回転力が前後方向の直進力に変換されてトレイに伝達される。また、大径ギヤと共に回転する小径ギヤと円筒カムにより小径ギヤの回転力が上下方向の直進力に変換されてピックアップユニットに伝達される。
特開2002−184080号公報
また、図29及び図30に示すように、クランクアーム700と、トレイ1000の下面に形成された案内溝1100と、円筒カム800とによって1個の電動モータ500の駆動力をトレイ1000とピックアップユニット(図示省略)とに切換伝達する駆動力伝達機構も知られている。
図29はトレイ1000がディスクチェンジャー装置内に収納された状態を示し、図30は、トレイ1000の先端部がディスクチェンジャー装置から引き出された状態を示している。
なお、図29,図30では、駆動源である電動モータ500、この電動モータ500の駆動力をクランクアーム700に伝達する減速機構600、クランクアーム700及び円筒カム800は、トレイ1000の下面側、すなわち、紙面に対して奥側に配置されているが、作図の便宜上、電動モータ500、減速機構600、クランクアーム700及び円筒カム800を実線で描いている。
また、図29,図30には示していないが、トレイ1000の左上部に形成された凹部に箱形状のピックアップユニットが配置されている。このピックアップユニットの円筒カム800に臨む面にはレバーが突設されており、このレバーの先端は円筒カム800の周面に上下方向(紙面に垂直な方向)に傾斜して形成されたカム溝(図では見えていない)に嵌入されている。
電動モータ500の駆動力は減速機構600によりクランクアーム700に伝達される。電動モータ500の駆動力によりクランクアーム700が回転すると、アーム部710の先端710aがトレイ1000の下面に形成された案内溝1100に沿って移動する。案内溝1100は、中間部にアーム部710の回転半径に等しい曲率半径からなる円弧状の中間曲線部1110を有し、この中間曲線部1110の左右両端に連続して左右方向に平行な左端直線部1120と右端直線部1130とを有している。
アーム部710の先端710aが案内溝1100の湾曲した中間曲線部1110を移動するときは、クランクアーム700の回転力はトレイ1000に伝達されず、クランクアーム700に円筒カム800が噛合している期間に当該円筒カムにのみ伝達される。一方、アーム部710の先端710aが案内溝1100の左端直線部1120又は右端直線部1130を移動するときは、クランクアーム700と円筒カム800との噛合が外れているので、クランクアーム700の回転力は円筒カム800に伝達されず、トレイ1000にのみ伝達される。
上記のように、図29,図30に示すディスクチェンジャー装置の、1個の電動モータの駆動力をトレイ1000の出し入れ動作とピックアップユニットのクランプ/クランプ解除動作の駆動源に共用する構成は、電動モータの駆動力を伝達するクランクアームの回転範囲をトレイの駆動源の範囲とピックアップユニットの駆動源の範囲に分離することを基本構成としている。特開2002−184080号公報に記載のディスクチェンジャー装置においても二段ギヤの回転範囲をトレイの駆動源の範囲とピックアップユニットの駆動源の範囲に分離しており、1個の電動モータの駆動力の伝達メカニズムは基本的に図29,図30に示すものと共通している。
ところで、1個の電動モータ500の駆動力をクランクアーム700に伝達し、クランクアーム700の回転範囲により駆動力の伝達先をトレイ1000とピックアップユニットとに切り換える方法では、ディスクチェンジャー装置の動作状態(ディスク交換状態、ディスククランプ状態、ディスク再生状態等)がクランクアーム700の回転位置に関係するため、クランクアーム700の回転位置を検出し、その検出信号を用いて装置の動作を制御する必要がある。
例えば、少なくとも、1)トレイが筐体から引き出された位置(以下、開停止位置という。)にある、2)トレイが筐体に完全に収納された位置(以下、閉停止位置という。)にある、3)ピックアップユニットがディスクをクランプしている位置(以下、クランプ位置という。)にある、4)ピックアップユニットがディスクをクランプしていない位置(以下、クランプ解除位置という。)にある、の4個の状態を検出する必要がある。これらを検出するため、例えばトレイの開停止位置及び閉停止位置とピックアップユニットのクランプ位置及びクランプ解除位置とにそれぞれスイッチを設ける方法が考えられるが、この方法は、スイッチの数が多く、しかも各スイッチの配設場所が分散するという問題がある。
また、回転物の回転位置を検出する装置として、一般にロータリーエンコーダが知られ、このロータリーエンコーダをクランクアームに取り付けて当該クランクアームの回転位置を検出する方法も考えられる。
しかし、上述のディスクチェンジャー装置の駆動力伝達機構においては、クランクアーム700の回転範囲は、図29の状態を基準方向とすると、およそ±150°の範囲であり、この範囲を数個程度の領域に分割してクランクアーム700がどの領域に位置しているかを検出できればよいので、この目的に対してはロータリーエンコーダは必要以上に角度検出精度が高く、その分高価でもあるため、可及的にコストを低減することを考慮すると、ロータリーエンコーダを用いることは望ましくない。
本発明の目的は、上記課題に鑑みてなされてものであり、1個の駆動源の駆動力をトレイとピックアップユニットとに切換伝達するクランクアームを用いた駆動力伝達機構を備えたディスクチェンジャー装置において、簡易な構成でクランクアームの回転位置を検出することのできるディスクチェンジャー装置を提供するものである。
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明の第1の側面によれば、筐体内に前後方向に出し入れ可能に設けられた、複数のディスクを搭載するためのトレイと、前記筐体内の所定の位置に上下方向に変位可能に設けられ、前記トレイに搭載されたディスクをクランプして当該ディスクに記録された情報の再生を行う再生手段と、前記トレイの出し入れ動作と前記再生手段の変位動作を行うための駆動力を発生する駆動源と、前記トレイの下面に形成された左右方向に延びる案内溝と、前記再生手段を上下に変位させて当該再生手段の位置をディスクのクランプ位置とクランプ解除位置とに切り換えるカムと、前記筐体の前記トレイの下部に設けられ、前記駆動源の駆動力によって回転する円板状の回転部、この回転部の外周に径方向に突設され、先端が前記案内溝に摺動可能に係合されたアーム部、および前記回転部の外周の一部に形成され、前記アーム部の先端が前記案内溝の中央部を移動するとき、当該回転部の回転力を伝達するべく前記カムに連結される連結部を有するクランクアームとからなり、前記駆動源で発生した駆動力を前記トレイと前記再生手段とに切換伝達する駆動力伝達手段と前記クランクアームの回転部の下部に、前記トレイ及び前記再生手段の動作状態を検出する検出手段と、を備えたディスクチェンジャー装置であって前記検出手段は、前記クランクアームの回転部の下面の3つの同心円状に形成されたトラック上にそれぞれ設けられた3つのリブと、前記クランクアームの回転部の下部の前記各トラックに対向する位置にそれぞれ設けられた3つのスイッチ手段と、前記クランクアームの回転部の回転に基づく前記3つのリブによる前記3つのスイッチ手段のスイッチ操作の情報に基づいて、前記再生手段がクランプ解除位置に保持され、かつ、前記トレイが筐体から引き出された第1の状態、前記再生手段がクランプ解除位置に保持された状態で前記トレイが筐体に収納されている途中である第2の状態、前記再生手段がクランプ解除位置に保持され、かつ、前記トレイが筐体に収納された第3の状態、前記トレイが筐体に収納された状態で前記再生手段がクランプ解除位置からクランプ位置に変位している途中である第4の状態、前記トレイが筐体に収納され、かつ、前記再生手段がクランプ位置に保持されている第5の状態、前記再生手段がクランプ位置に保持された状態で前記トレイが筐体から引き出されている途中である第6の状態、及び前記再生手段がクランプ位置に保持され、かつ、前記トレイが筐体から引き出された第7の状態のいずれの状態であるかを判別する判別手段とからなることを特徴とする、ディスクチェンジャー装置が提供される(請求項1)。
更に、各リブの両端部には、先下がりの傾斜を設けるとよい(請求項)。
また、前記判別手段は、前記3つのスイッチ手段のオン又はオフの情報の組み合わせに基づいて前記第1乃至第7の状態のいずれの状態であるかを判別する構成にするとよい(請求項)。
本発明に係るディスクチェンジャー装置によれば、駆動源で発生した駆動力によってクランクアームの回転部が回転し、これによりクランクアームのアーム部の先端が円軌道を描いて回転する。クランクアームのアーム部の先端はトレイの弓形形状の案内溝に摺動可能に係合しているので、アーム部の先端が案内溝を摺動すると、クランクアームの回転力がトレイに伝達される。
クランクアームの回転力のトレイへの伝達は、クランクアームのアーム部の先端が案内溝の両端の左端曲線部又は右端曲線部を移動するときに行われ、案内溝の中央の中間曲線部を移動するときには行われない。一方、クランクアームのアーム部の先端が案内溝の中間曲線部を移動するときは、カムがクランクアームの連結部に連結され、クランクアームの回転力はカムを介して再生手段に伝達される。
そして、クランクアームの回転部の下部に設けられた検出手段により当該クランクアームの回転位置を検出することにより、例えばトレイが筐体から引き出された状態、トレイが筐体に収納のされた状態、再生手段がディスクをクランプしている状態、および再生手段がディスクのクランプを解除している状態などの複数の動作状態が検出される。
クランクアームの下部に当該クランクアームの回転位置の検出手段を設けているので、トレイ及び再生手段の動作状態の検出手段をコンパクトに構成することができる。
また、クランクアームの回転部の下面に設けた3つのリブと、クランクアームの回転によりこれらのリブによりスイッチ操作が行われる3つのスイッチ手段と、これらのスイッチ手段のスイッチ操作の情報に基づいて、再生手段がクランプ解除位置に保持され、かつ、トレイが筐体から引き出された第1の状態、再生手段がクランプ解除位置に保持された状態でトレイが筐体に収納されている途中である第2の状態、再生手段がクランプ解除位置に保持され、かつ、トレイが筐体に収納された第3の状態、トレイが筐体に収納された状態で再生手段がクランプ解除位置からクランプ位置に変位している途中である第4の状態、トレイが筐体に収納され、かつ、再生手段がクランプ位置に保持されている第5の状態、再生手段がクランプ位置に保持された状態でトレイが筐体から引き出されている途中である第6の状態、及び再生手段がクランプ位置に保持され、かつ、トレイが筐体から引き出された第7の状態のいずれの状態であるかを判別する判別手段とによって検出手段を構成しているので、できる限り少ないスイッチ手段で複数のトレイ及び再生手段の動作状態を検出することができ、検出手段の簡素化、低廉化が可能になる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う発明の実施の形態の説明によって、より明らかになるであろう。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図1〜図10を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明に係るディスクチェンジャー装置のトレイ及びピックアップユニットの駆動機構を示す上面図である。なお、図1では、駆動モータ5、減速機構6、クランクアーム7及び円筒カム8の各部材は、トレイ1の下面側(紙面に対して奥側)に設けられ、実際には見えないが、説明の便宜上、見えるように描いている。
図2は、トレイ1の下面側に設けられるクランクアーム7及び円筒カム8とピックアップユニット3との配置関係を示す斜視図である。図3は、クランクアーム7に円筒カム8が噛合した状態を示す斜視図、図4は、クランクアーム7に円筒カム8が噛合していない状態を示す斜視図である。
図5は、クランクアーム7の下面側の構造を示す斜視図、図6は、クランクアーム7と案内溝8との配置関係を示す図である。また、図7は、トレイ1とピックアップユニット3の駆動機構を示す図、図8は、図7のX−X線に沿う断面図である。
図9は、ピックアップユニット3の構造を示す平面図、図10は、ピックアップユニットとチャッキングカバーの関係を示す側面図である。
ディスクチェンジャー装置は、たとえばCDやDVDなどのディスクを6枚まで装着することができ、装着された複数枚のディスクを連続して再生することができる。ディスクチェンジャー装置は、ディスクを装着脱するための機構と装着されたディスクのうち、指定されたディスクを再生する機構として、トレイ1、ルーレットテーブル2、ピックアップユニット3(再生手段)、チャッキングカバー4(図2参照)、駆動モータ5、減速機構6、クランクアーム7、円筒カム8、およびマイコンなどを搭載した制御基板9(図2参照)などを図略の筐体内に備える。
トレイ1及びルーレットテーブル2は、ディスクの装着脱機構の構成要素である。ピックアップユニット3及びチャッキングカバー4は、ディスクの再生機構の構成要素である。駆動モータ5、減速機構6、クランクアーム7及び円筒カム8は、ディスクを装着脱するためにトレイ1を装置本体から出し入れさせる駆動部(以下、トレイ駆動部という。)と、装置本体に装着されたディスクを再生させるためにディスクをピックアップユニット3にクランプさせる駆動部(以下、ピックアップユニット駆動部という。)の構成要素である。
トレイ駆動部とピックアップユニット駆動部は、駆動源である駆動モータ5と、この駆動モータ5の駆動力をトレイ1とピックアップユニット3とに切り換えて伝達する駆動力伝達機構とで構成されている。減速機構6、クランクアーム7、円筒カム8、トレイ1の下面(図1では紙面に対して裏側)に形成された案内溝100及びピックアップユニット3と円筒カム8とを連結するピン34(図9参照)は駆動力伝達機構の構成要素である。
本実施形態に係るディスクチェンジャー装置は、駆動モータ5の駆動力をクランクアーム7に伝達してクランクアーム7を回転させ、このクランクアーム7の回転力を直進力に変換してトレイ1に伝達することによりトレイ1を装置本体から出し入れさせる。クランクアーム7の回転運動の直進運動への変換は、クランクアーム7のアーム部71の先端71aをトレイ1の下面に形成された弓形形状の案内溝100に沿って移動させることにより行われる。
また、クランクアーム7の回転力を円筒カム8に伝達し、この円筒カム8を回転させることによりピックアップユニット3のディスクのクランプ又はクランプ解除の動作を行わせる。クランクアーム7の回転力の円筒カム8への伝達は、クランクアーム7の回転部70の周面の所定位置に形成された間欠歯部72に円筒カム8の周面の所定位置に形成された外周歯部81を噛合させることにより行われる。
クランクアーム7は、回転部70の中心O(図6参照)から装置本体の後側に伸びる前後方向に平行な方向をアーム部71の回転基準の方向とすると、アーム部71が±θ(θは180°より若干小さい角度で、本実施形態ではおよそ160°)の角度範囲内で回転するようになっている。この角度範囲のうち、±α(図1ではおよそ±18°)の角度範囲では、アーム部71の先端部71aは案内溝100の中央部の湾曲した部分を移動し、クランクアーム7の回転力はトレイ1に伝達されないが、回転部70の間欠歯部72と円筒カム8の外周歯部81とが噛合し、クランクアーム7の回転力は回転カム8に伝達される。
一方、+α〜+θの角度範囲と−α〜−θの角度範囲では、アーム部71の先端部71aは案内溝100の両端の曲線状の部分を移動し、クランクアーム7の回転力はトレイ1に伝達されるが、回転部70の間欠歯部72と円筒カム8の外周歯部81とが噛合せず、クランクアーム7の回転力は回転カム8に伝達されない。
なお、正確には、±αの角度位置の近傍では駆動モータ5の駆動力が円筒カム8とトレイ1とに伝達される構造になっているため、±αの角度位置の近傍領域は、駆動モータ5の駆動力の円筒カム8への伝達とトレイ1への伝達とを一部重複しながら切り換える切換領域となっている。
従って、駆動力の伝達先を切り換える切換領域を無視すると、概ねクランクアーム7のアーム部71が±αの角度範囲を移動する期間は、ピックアップユニット3のディスクのクランプ及びクランプ解除のための期間となっており、クランクアーム7のアーム部71が+α〜+θの角度範囲と−α〜−θの角度範囲とを移動する期間は、トレイ1を装置本体に出し入れするための期間となっている。
詳細は後述するが、クランクアーム7のアーム部71が−α〜−θの角度範囲を移動するときは、ピックアップユニット3はディスクをクランプしている状態を保持している。従って、この角度範囲は、ディスクの再生中に再生されていない他のディスクの交換を目的としてトレイ1を装置本体から出し入れするためにクランクアーム7を回転駆動する期間となっている。
一方、クランクアーム7のアーム部71が+α〜+θの角度範囲を移動するときは、ピックアップユニット3はディスクをクランプしていない状態を保持している。従って、この角度範囲は、再生前のディスクの装着又は交換を目的としてトレイ1を装置本体から出し入れするためにクランクアーム7を回転駆動する期間となっている。
また、クランクアーム7のアーム部71が−α〜+αの角度範囲を移動するときは、トレイ1は装置本体内に収納された状態となっている。クランクアーム7のアーム部71が+αの角度位置から−αの角度位置の方向(図1で時計回り)に回転するとき、ピックアップユニット3の先端部が円筒カム8の回転によりトレイ1の下面側(クランプ解除位置)から上面側(クランプ位置)に上昇され、ディスクのクランプ動作が行われる。
逆にクランクアーム7のアーム部71が−αの角度位置から+αの角度位置の方向(図1で反時計回り)に回転するとき、ピックアップユニット3の先端部が円筒カム8の回転によりトレイ1の上面側(クランプ位置)から下面側(クランプ解除位置)に下降され、ディスクのクランプ解除動作が行われる。従って、この角度範囲は、ピックアップユニット3のディスクのクランプ又はクランプ解除の動作を目的として円筒カム8を回転させるためにクランクアーム7を回転駆動する期間となっている。
トレイ1は、ルーレットテーブル2を筐体内に出し入れするためのものである。ルーレットテーブル2は、6枚のディスクを筐体内に装着するとともに、筐体内の所定の位置(ディスクのデータを読み取るための位置で、図1ではピックアップユニット3が設けられた位置。以下、読取位置という。)に再生すべきディスクを搬送するものである。
トレイ1は、ルーレットテーブル2を水平に搭載できる程度の大きさを有する板状部材からなる。トレイ1の後端部であってトレイ1が筐体内に収納されたときにピックアップユニット3を覆う部分(図1では、トレイ1の後端部の中央よりやや左側に寄った部分)には、当該ピックアップユニット3がディスクをクランプするためにトレイ1の下面側から上面側に移動できるように矩形状の開口部(切欠き)が形成されている。
ルーレットテーブル2は、上面の周縁部に6枚のディスクを放射状に並べて載せるための円形状の凹部からなる搭載部20…が形成された円板部材からなる。ルーレットテーブル2は、トレイ1に回転可能に支持されている。ルーレットテーブル2は、駆動モータ5とは別の電動モータ(図示略)の駆動力により回転される。
ルーレットテーブル2の各搭載部20…には、ルーレットテーブル2の回転によって読取位置に搬送された際、ディスクの中心孔を含む下面一部がトレイ1に形成された開口部を通して下方のピックアップユニット3に臨むように開口部21(切欠き)が設けられている。トレイ1の開口部と各搭載部20…の開口部21は、ピックアップユニット3がディスクをクランプする際にルーレットテーブル2の下方位置から当該ルーレットテーブル2の上面を超えて上昇するので、その上昇動作を可能にするために設けられている。
トレイ1は、筐体内に設けられた前後方向に延びる一対のレール10,10(図2参照)に移動可能に支持されている。トレイ1は、クランクアーム7により駆動力が伝達されると、レール10,10に沿って前後方向(図1参照)に水平移動する。トレイ1の前後方向に移動によりルーレットテーブル2の筐体内への収納と筐体外への引き出しとが行われる。
図1では、トレイ1の全体が筐体内に完全に収納された状態(閉状態)にあるが、この閉状態からトレイ1が前側に水平移動することでルーレットテーブル2が筐体外に半分程度(図1では、ルーレットテーブル2に設けられたディスクの搭載部20のうち、少なくとも前側に並んだ2個の搭載部20が完全に露出する程度。)引き出された状態(開状態)になる。特に図示しないが、トレイ1の下部には、閉状態の停止位置(以下、閉停止位置という。)と開状態の停止位置(以下、開停止位置という。)で筐体側に設けられたストッパに当接する部材が設けられ、この当接部材がストッパに当接することによりトレイ1が閉停止位置と開停止位置とを越えて前後方向に移動しないようになっている。
ピックアップユニット3は、読取位置に搬送されたディスクをルーレットテーブル2の下方から浮かせるようにして取り出してクランプし、その状態で所定の回転数で回転させながらディスクに記録された情報を読み取るものである。ピックアップユニット3は、トレイ1が閉停止位置にある状態でトレイ1の開口部に対応する位置に設けられている。
ピックアップユニット3は、図9に示すように、平面視で長方形状を有する低背の箱体からなる。ピックアップユニット3は、ディスクの下面を支える磁性体からなるターンテーブル31、このターンテーブル31の下面中心に固着されたスピンドルモータ(図ではターンテーブル31の下部に位置するため見えない。)、ディスクで記録された情報を読み取るための光学部品32、この光学部品32をディスクの径方向(図9に示す矢印方向)に移動させる駆動機構33などをシャシー30に組み付けた構成からなる。ピックアップユニット3は、図10に示すように、シャシー30の後端部の両側面に突設された回転軸36によって筐体に回動可能に取り付けられ、この回転軸36を支点としてピックアップユニット3の先端部が上下動することができる。
シャシー30の先端部には、図9および図10に示すように、ピン34が突設されている。ピン34の先端は、後述する円筒カム8の周面に形成された外周溝80に連結されている。また、シャシー30の先端部には、バネの収縮力によりピックアップユニット3の先端部に下方向の力が作用するように、先端が筐体内の底部に固定されたバネ35が取り付けられている。円筒カム8の周面には、図3に示すように上下方向に傾斜した外周溝80が形成されており、円筒カム8が回転することによりピン34が外周溝80に沿って移動し、これによりピックアップユニット3の先端部が上下動する。
なお、ピックアップユニット3の先端部にはバネ35により下方向に力が作用しているので、ピン34は外周溝80の下側の面に押し付けられた状態で円筒カム8の回転に応じて当該外周溝80に沿ってガタツクことなく安定して移動する。
ピックアップユニット3は、ディスクを再生しない待機時やディスクを交換するためにトレイ1の出し入れを行う時にはトレイ1と干渉しないように、図10に二点鎖線で示すように回転軸36を中心に先端部を下方に傾けた姿勢にある(クランプ解除状態)。一方、ディスクを再生する時は、ピックアップユニット3は、図10に実線で示すようにディスクをターンテーブル31と回転体40との間に挟み込むように概ね水平姿勢に保持される(クランプ状態)。
チャッキングカバー4は、円盤状の磁化された回転体40を回転可能に保持するものである。チャッキングカバー4は、ピックアップユニット3の上方位置に設けられている。回転体40は、ルーレットテーブル2の下方からピックアップユニット3の先端部が上昇してターンテーブル31がディスクを取り上げた際、磁力の吸引力により当該ターンテーブル31と協働してディスクを挟持するものである。回転体40は、図10に示すように、チャッキングカバー4の先端部であって、ピックアップユニット3の先端部が上昇したとき、ターンテーブル31と対向する位置に設けられている。
ディスクを再生するべくピックアップユニット3の先端部を上昇させると、ターンテーブル31がルーレットテーブル2に載置されたディスクを下方から浮かせて取り上げる。ターンテーブル31が回転体40に近接すると、回転体40は磁力によりターンテーブル31を吸引し、この吸引力によりディスクが回転体40とターンテーブル31とにより挟持される(クランプ動作)。そして、この状態でスピンドルモータを駆動すると、ターンテーブル31が回転し、当該ターンテーブル31と回転体40とでクランプされたディスクが回転する。
駆動モータ5は、筐体内へのトレイ1の出し入れを行うための駆動源であるとともに、再生すべきディスクをクランプするためにピックアップユニット3を上下動させるための駆動源である。減速機構6は、駆動モータ5の駆動力をクランクアーム7に伝達する機構である。クランクアーム7は、減速機構6を介して伝達された駆動モータ5の駆動力をトレイ1または円筒カム8に伝達するものである。
減速機構6は、図7に示すように、駆動モータ5とクランクアーム7との間に設けられた2つの歯車60,61と、歯車60と駆動モータ5の回転軸と間に架け渡されたベルト62とからなる。歯車60は、プーリと小歯車とが2段に構成されたものであり、歯車61は、大歯車と小歯車とが2段に構成されたものである。歯車60のプーリにベルト62が架け渡され、歯車60の小歯車と歯車61の大歯車が常時噛合されている。また、歯車61の小歯車は、クランクアーム7の常接歯車73(後述する)に常時噛合している。
この構成により、駆動モータ5の駆動力は、ベルト62を介して歯車60に伝達され、さらに歯車61と常接歯車73とによってクランクアーム7に伝達される。歯車60,61は、クランクアーム7に伝達される駆動モータ5の回転数を減速調整するとともに、回転方向を駆動モータ5の回転方向に合わせる機能を果たしている。すなわち、図7において、駆動モータ5が時計回りに回転すると、クランクアーム7も時計回りに回転する。
駆動モータ5は、制御基板9に搭載されたマイコン(図示省略)により制御される。マイコンは、駆動モータ5の駆動を制御することにより筐体内へのトレイ1の出し入れやピックアップユニット3によるディスクのクランプ、再生などの装置全体の動作を制御する。マイコンは、トレイ1の状態(開状態、閉状態、開から閉への移動状態、閉から開への移動状態など)、より具体的には後述するトレイ1の7つの位置を判別し、その判別結果に基づいてトレイ1およびピックアップユニット3の駆動を制御する。そして、トレイ1の7つの位置を判別するための位置情報をマイコンに入力するため、制御基板9には、3つのマイクロスイッチ94〜96(図7,図8参照)が配設されている一方、クランクアーム7の回転部70の下面に、各マイクロスイッチ94〜96をオン・オフするための3個のリブ74〜76(図7参照)が形成されている。なお、トレイ1の位置検出の詳細は後述する。
クランクアーム7は、トレイ1の下面側に水平面内で回転するように設けられている。クランクアーム7は、その回転中心(回転部70の回転中心O)が、トレイ1を筐体内に収納したときにトレイ1に搭載されたルーレットテーブル2の回転中心と一致する位置に設けられている。クランクアーム7は、円盤状の回転部70、アーム部71、間欠歯部72、常接歯部73および回転位置検出用の第1ないし第3リブ部74〜76を有する。回転部70は、減速機構6を介して伝達される駆動モータ5の駆動力を受けてクランクアーム7を回転させる機能を果たすとともに、クランクアーム7が上述した−α〜+αの角度範囲を回転するとき、その駆動力を円筒カム8に伝達して当該円筒カム8を回動させる機能を果たす。アーム部71は、クランクアーム7の回転力をトレイ1に伝達して当該トレイ1を前後方向に直進運動させる機能を果す。
回転部70とアーム部71とは一体化されており、クランクアーム7は、回転部70の中心Oの回転軸として回転する。回転部70が回転すると、アーム部71の先端71aが円軌道を描くように移動する。
アーム部71の先端部71aには、図3に示すように、トレイ1の下面を臨む方向に円筒状の突起が形成されている。一方、トレイ1の下面には、図6に示すように、左右方向(装置の幅方向)に延びる弓形形状の案内溝100が形成されており、アーム部71の先端部71aの突起はこの案内溝100に嵌入している。
案内溝100は、一定の曲率半径Rからなる円弧状の中間曲線部110と、中間曲線部110の左右両端に連続する中間曲線部110とは逆向きに湾曲した円弧状の曲率半径rからなる左端曲線部120および右端曲線部130とを有する。中間曲線部110の曲率半径Rは、クランクアーム7の回転中心Oからアーム部71の先端71aまでの距離に等しい。なお、図6は、クランクアーム7や案内溝100を下面側から見た状態を示しているため、左端曲線部120と右端曲線部130とは左右方向が逆転している。すなわち、図の左側がトレイ1の右側方向であり、図の右側がトレイ1の左側方向となっている。
クランクアーム7の回転によりアーム部71の先端71aが円軌道を描いて移動すると、当該先端部71aが案内溝100の左端曲線部120又は右端曲線部130を移動するとき、その回転力が直進力に変換されてトレイ1に伝達され、トレイ1が前後方向に移動する。アーム部71の先端71aが案内溝100の中間曲線部110を移動するときは、中間曲線部110はアーム部71の先端71aの円軌道に一致するので、クランクアーム7の回転力はトレイ1に伝達されず、トレイ1は停止状態を保持する。
間欠歯部72は、クランクアーム7が所定の角度範囲を回転するときに当該クランクアーム7の回転力を円筒カム8に伝達するためのもので、そのときに、後述する円筒カム8の外周歯部81に噛合するようになっている。間欠歯部72は、回転部70の最外周の一部に形成されている。より具体的には、クランクアーム7のアーム部71が突設された方向を当該クランクアーム7における回転方向の角度基準とすると、この角度基準に対して反時計回りにおよそ30°開いた方向に間欠歯部72は形成されている(図1参照)。間欠歯部72の無い回転部70の最外周部分は、円弧状に形成されている。
常接歯部73は、減速機構6を介して伝達される駆動モータ5の駆動力をクランクアーム7に入力する部分である。常接歯部73は、図5に示すように、間欠歯部72とは回転軸の方向に段差をなし、回転部70の下面に形成されている。常接歯部73は、間欠歯部72よりも小径である。なお、図5は、作図の便宜上、回転部70の下面を上側にして描いている。
この常接歯部73と減速機構6の歯車61とは常に噛み合った状態にある。クランクアーム7は、駆動モータ5から減速機構6を介して回転力が常接歯部73に伝達されることで回転する。
第1ないし第3リブ部74〜76は、上述したようにクランクアーム7の回転位置に応じてマイクロスイッチ94〜96のオン・オフ状態を設定するための部材である。第1ないし第3リブ部74〜76は、図5〜図7に示されるように、クランクアーム7の回転部70におけるアーム部71とは反対側の面、すなわち、常接歯部73が形成された歯車部材の下面に形成されている。
円筒カム8は、クランクアーム7を介して伝達された駆動モータ5の駆動力により所定量だけ回動することによりピックアップユニット3の長手方向の先端部(図1では下側の先端部)を上下動させるものである。
円筒カム8は、ピックアップユニット3とクランクアーム7との間に位置して水平面内で回転するように設けられており、外周溝80、外周歯部81、外周凹面部82,83を有する。外周溝80は、円筒カム8の回転によりピックアップユニット3の先端部を上下動させる機能を果す。外周溝80は、図3,図4に示すように、円筒カム8の外周面の一部に上下方向に傾斜させて形成されている。この外周溝80にピックアップユニット3のピン34が嵌入している。円筒カム8が回転すると、ピン34が外周溝80に沿って移動することでピックアップユニット3の先端部が上下に移動する。外周歯部81は、外周溝80とは反対側の円筒カム8の外周面の一部に形成されている。円筒カム8は、クランクアーム7のアーム部71が回転基準位置S0付近を移動する際に外周歯部8が間欠歯部72に噛み合うことで回転する。
外周凹面部82,83は、外周歯部81の両端に連続して形成された凹状に湾曲した部分である。外周凹面部82,83の曲面は、クランクアーム7における回転部70の最外周部分(間欠歯部72を含む)の曲面と略一致している。すなわち、クランクアーム7が、外周歯部81と間欠歯部72との噛合が外れる位置に回転すると、円筒カム8に対してクランクアーム7が空転するように、外周凹面部82,83の湾曲形状が形成されている。従って、円筒カム8は、外周歯部81と間欠歯部72とが噛合する期間にだけ回転し、それ以外の期間は回転せずに停止した状態となる。これにより、円筒カム8の間欠的な動きが実現される。
次に、トレイ1の位置検出について説明する。
クランクアーム7は、回転基準位置S0からおよそ±160°の角度範囲内で回転可能になされ、クランクアーム7の回転動作によってトレイ1の筐体内への出し入れと、円筒カム8を介してのピックアップユニット3の上下動とが行われるようになっている。上述したように、トレイ1を出し入れする際のクランクアーム7の角度範囲とピックアップユニット3を上下動させる際のクランクアーム7の角度範囲とは異なっており、クランクアーム7の回転位置(より具体的にはアーム部71の回転基準位置S0からの回転位置)とトレイ1およびピックアップユニット3の状態とが対応するので、本実施形態では、クランクアーム7の回転位置を3個のマイクロスイッチ94〜96と第1ないし第3リブ部74〜76とで検出することにより、トレイ1の状態とピックアップユニット3の状態との関係によって決定される7つの状態を判別するようにしている。
すなわち、トレイ1の状態としては、1)開停止位置に停止している状態、2)閉停止位置に停止している状態、3)ピックアップユニット3がディスクをクランプしていない状態でトレイ1が開停止位置と閉停止位置との間を移動している状態、4)ピックアップユニット3がディスクをクランプしている状態でトレイ1が開停止位置と閉停止位置との間を移動している状態の4つの状態があり、ピックアップユニット3の状態としては、5)ディスクをクランプしていない状態(ピックアップユニット3が下降している状態)、6)ディスクのクランプを行っている途中の状態(ピックアップユニット3が上昇途中の状態)、7)ディスクをクランプしている状態(ピックアップユニット3が上昇している状態)の3つの状態がある。
これらの状態をクランクアーム7の回転位置との関係で見ると、1)の状態は、クランクアーム7が+θの位置と−θの位置で停止した状態であり、2)の状態はクランクアーム7のアーム部71の先端部71aが案内溝100の中間曲線部110に位置している状態である。図1において、アーム部71の先端部71aが案内溝100の中間曲線部110の両端に位置する角度を±α(図1ではおよそ±18°)とすると、2)の状態はクランクアーム7が+αと−αの角度範囲にあるときである。また、3)の状態は、クランクアーム7が+θと+αの角度範囲にある状態(先端部71aが案内溝100の左端曲線部120を移動している状態)であり、4)の状態は、クランクアーム7が−αと−θの角度範囲にある状態(先端部71aが案内溝100の右端曲線部130を移動している状態)である。
また、ピックアップユニット3がディスクのクランプを開始するのは、クランクアーム7の間欠歯部72が円筒カム8の外周歯部81に噛合し始めるときであり、そのクランプ動作が終了するのは、間欠歯部72が円筒カム8の外周歯部81との噛合を解除したときである。そして、クランクアーム7の間欠歯部72が円筒カム8の外周歯部81に噛合し始めるのは、クランクアーム7のアーム部71が+αの回転位置に達したときであり、クランクアーム7の間欠歯部72が円筒カム8の外周歯部81との噛合を解除するのはクランクアーム7のアーム部71が−αの回転位置に達したときである。従って、5)の状態はクランクアーム7のアーム部71が+θから+αの角度範囲にある状態(3)の状態と同じ)であり、6)の状態はクランクアーム7のアーム部71が+αから−αの回転角範囲にある状態(2)の状態と同じ)であり、7)の状態はクランクアーム7のアーム部71が−αから−θの回転角範囲にある状態(4)の状態と同じ)である。
以上の関係から、トレイ1の状態とピックアップユニット3の状態との関係によって分類されるクランクアーム7の回転位置は、トレイ1が開停止位置で停止している状態を「開停止」、トレイ1が閉停止位置で停止している状態を「閉停止」、トレイ1が移動中である状態を「移動中」で表し、ピックアップユニット3がクランプしていない状態を「CLオフ」、ピックアップユニット3がクランプしている状態を「CLオン」、ピックアップユニット3がクランプのために上昇中である状態を「上昇中」で表すと、(トレイ状態,ピックアップユニット状態)=(開停止,CLオフ),(移動中,CLオフ),(閉停止,CLオフ),(閉停止,上昇中),(閉停止,CLオン),(移動中,CLオン),(開停止,CLオン)の7つの位置となる。
そして、これらの位置は、(開停止,CLオフ)=+θの回転位置、(移動中,CLオフ)=+θ〜+αの角度範囲、(閉停止,CLオフ)=+αの回転位置、(閉停止,上昇中)=+α〜−αの角度範囲、(閉停止,CLオン)=−αの回転位置、(移動中,CLオン)=−α〜−θの角度範囲、(開停止,CLオン)=−θの回転位置となるから、本実施形態では、オン状態を「1」、オフ状態を「0」とし、マイクロスイッチ94〜96の検出情報を(SW94,SW95,SW96)で表すとすると、クランクアーム7の上記7つの位置を、3個のマイクロスイッチ94〜96のオン・オフ状態により、
(1)+θの開停止位置 =(0,0,0)
(2)+θ〜+αの角度範囲=(1,0,0)
(3)+αの回転位置 =(1,0,1)
(4)+α〜−αの角度範囲=(0,0,1)
(5)−αの回転位置 =(0,1,1)
(6)−α〜−θの角度範囲=(0,1,0)
(7)−θの開停止位置 =(1,1,0)
のように検出するようにしている。なお、上述のクランクアーム7の回転位置に対する検出情報の0,1の組合せは一例であって、この組合せに限定されるものではない。
従って、第1ないし第3リブ部74〜76は、対応するマイクロスイッチ94〜96がクランクアーム7の回転に応じて上記(1)〜(7)のオン・オフ状態となるように、クランクアーム7の回転部70の下面の所定の位置に所定の長さで形成されている。
具体的には、第1リブ部74は、最も大きい大円周に沿ってあり、第2リブ部75は、中間の中円周に沿ってあり、第3リブ部76は、最も小さい小円周に沿ってある。なお、第1リブ部74は、大円周上の2箇所に設けられている。各リブ部74〜76の両端には、クランクアーム7の回転によりマイクロスイッチ94〜96のレバーが相対移動して当接する際の衝撃を低減するために、傾斜が設けられている。
クランクアーム7と制御基板9とは、図7に示すように、一部が重なり合うように筐体に取り付けられている。制御基板9のクランクアーム7と重なり合う部分に第1ないし第3マイクロスイッチ94〜96が設けられている。より具体的には、第1リブ部74は、第1マイクロスイッチ94と対応する位置に配置され、クランクアーム7が上述した(2),(3),(7)の角度範囲にあるとき、第1リブ部74が第1マイクロスイッチ94に接触することで第1マイクロスイッチ94がオンになる。同様に、第2リブ部75は、第2マイクロスイッチ95と対応する位置に配置され、クランクアーム7が上述した(5),(6),(7)の角度範囲にあるとき、第2リブ部75が第2マイクロスイッチ95に接触することで第2マイクロスイッチ95がオンになる。第3リブ部76は、第3マイクロスイッチ96と対応する位置に配置され、クランクアーム7が上述した(3),(4),(5)の角度範囲にあるとき、第3リブ部76が第3マイクロスイッチ96に接触することで第3マイクロスイッチ96がオンになる。
図7および図8では、一例としてクランクアーム7が+α〜−αの角度範囲内にある状態を示したもので、第3リブ部76のみが第3マイクロスイッチ96に接触した状態にあり、第1〜第3マイクロスイッチ94〜96はそれぞれ「オフ」、「オフ」、「オン」の状態にある。
マイクロスイッチ94〜96のオン・オフ状態を示す検出信号は、制御基板9のマイコンに入力され、これらの検出信号に基づいてクランクアーム7の回転位置、すなわち、トレイ1およびピックアップユニット3の状態が判別されるようになっている。従って、マイコンは、常にトレイ1およびピックアップユニット3の状態を把握することができ、たとえば異常によってトレイ1もしくはピックアップユニット3の動作が中断した場合にもその異常の復旧後に確実に元の状態もしくは初期状態に戻すことができる。
次に、動作について説明する。以下の説明では、上述した7つの回転位置にクランクアーム7のアーム部71が回転した状態に分けて説明する。また、以下の説明では、クランクアーム7を+θの開停止位置から時計回りに−θの開停止位置まで回転させた場合について各位置の状態について説明し、クランクアーム7を−θの開停止位置から反時計回りに+θの開停止位置まで回転させた場合はその動作が逆になるだけであるから、説明を省略する。
図11ないし図28は、動作を説明するための説明図である。なお、図11ないし図19では、ピックアップユニット3の先端部が最下位(クランプ解除位置)に位置した状態(ディスクをクランプしていない状態)にある一方、図20ないし図28では、ピックアップユニット3の先端部が最上位(クランプ位置)に位置した状態(ディスクをクランプした状態。)にある。また、図11〜図13では、トレイ1が+θの開停止位置にあり(第1動作状態、(1)の状態参照)、図14〜図16では、ピックアップユニット3がクランプ解除位置にある状態でトレイ1が開停止位置から閉停止位置へと移動中にあり(第2動作状態、(2)の状態参照)、図17〜図19では、トレイ1が閉停止位置にある(第3動作状態、(3)の状態参照)。トレイ1が閉停止位置にあってピックアップユニット3が上下動する際の動作状態(第4動作状態、(4)の状態参照)については、図1および図7,8を参照する。さらに、図20〜図22では、トレイ1が閉停止位置にあり(第5動作状態、(5)の状態参照)、図23〜図25では、ピックアップユニット3がクランプ位置にある状態でトレイ1が閉停止位置から開停止位置へと移動中にあり(第6動作状態、(6)の状態参照)、図26〜図28では、トレイ1が−θの開停止位置にある(第7動作状態、(7)の状態参照)。
[第1動作状態](図11〜図13参照)
第1動作状態は、ディスクを再生していない状態で再生用のディスクをルーレットテーブル2に搭載したり、交換したりするためにトレイ1が筐体外に引き出された状態である。第1動作状態では、ユーザは、トレイ1とともに筐体外に引き出されたルーレットテーブル2の搭載部20にディスクを搭載したり、搭載部20からディスクを取り出したりすることができる。また、ルーレットテーブル2を回転させることで筐体内の奥方に隠れた搭載部20を筐体外へと移動させることができ、6枚全てのディスクを交換することができる。
第1動作状態は、クランクアーム7のアーム部71が回転基準位置S0から概ね+θ(図11,図12ではおよそ+160°)の回転角だけ反時計回りに回転した状態である。クランクアーム7が回転基準位置S0から反時計回りに回転すると、アーム部71の先端71aはトレイ1の案内溝100の中間曲線部110の中央から左端曲線部120側に移動する。アーム部71の先端71aが案内溝100の中間曲線部110を移動している期間はクランクアーム7の間欠歯部72が外周歯部81に噛合し、クランクアーム7の回転により円筒カム8が時計回りに回転してピックアップユニット3の先端部が下降する。すなわち、ピックアップユニット3がクランプ解除位置に設定される。
アーム部71の先端71aが案内溝100の中間曲線部110から左端曲線部120に移動すると、クランクアーム7の間欠歯部72と外周歯部81との噛合が外れ、その後はアーム部71の先端71aが左端曲線部120を移動している間にクランクアーム7の回転力がトレイ1にのみ伝達され、トレイ1が閉停止位置から開停止位置側に移動する。このトレイ1の移動により案内溝100はクランクアーム7に対して前側に移動し、図11に示すように、アーム部71の先端71aが案内溝100の中間曲線部110内のやや左端側に寄った第1回転位置S1(回転基準位置S0から概ね+θの回転角をなす位置)に位置すると、クランクアーム7の回転が停止する。従って、アーム部71の先端71aが第1回転位置S1に位置するとき、トレイ1はディスクを再生していない状態で再生用のディスクを交換するための開停止位置に位置する。
さらに、第1動作状態では、図12および図13に示すように、第1ないし第3リブ部74〜76の全てが第1ないし第3マイクロスイッチ94〜96に接触しない位置にある。そのため、第1ないし第3マイクロスイッチ94〜96の全てが「オフ」の状態とされ、このようなスイッチの状態からマイコンによりトレイ1およびピックアップユニット3の状態が第1動作状態であることが認識される。すなわち、マイコンは、第1〜第3マイクロスイッチ94〜96が「オフ」、「オフ」、「オフ」の状態であることから、トレイ1がディスクを再生していない状態で再生用のディスクを交換するための開停止位置に位置している判断する。
[第2動作状態](図14〜図16参照)
第2動作状態は、ディスクを再生していない状態で再生用のディスクを収納するために筐体外に引き出されたトレイ1が筐体内に収納されている状態である。第1動作状態でユーザがルーレットテーブル2にディスクを搭載した後、図略のイジェクトスイッチなどを操作すると、クランクアーム7は、時計回りに所定角度(θ−α)だけ回転させられ、第1動作状態から第2動作状態に移行する。このとき、アーム部71の先端71aは案内溝100の中間曲線部110の第1回転位置S1から左端曲線部120側に移動し、アーム部71の先端71aが左端曲線部120を移動している間にクランクアーム7の回転力がトレイ1にのみ伝達され、トレイ1が開停止位置から閉停止位置側に移動する。この回転の途中でアーム部71の先端71aは、回転基準位置S0から+β(図14,図15ではおよそ+108°)の回転角をなす第2回転位置S2を通過する。
左端曲線部120は緩やかな円弧状をなしているので、アーム部71の先端71aが左端曲線部120に移行し、左端側に移動するにつれてクランクアーム7からトレイ1に直進力に変換されて伝達される力は漸増する。これにより、トレイ1はゆっくりと閉動作を開始し、次第にその移動速度を増加させる。一方、アーム部71の先端71aが左端曲線部120の先端で折り返し、第2回転位置S2を通り過ぎたあたりからは中間曲線部110側に移動するにつれてクランクアーム7からトレイ1に伝達される力は漸減する。これにより、トレイ1はその移動速度を減少させながら閉停止位置に移動する。
第2動作状態では、クランクアーム7の間欠歯部72は外周歯部81に噛合しておらず、クランクアーム7の回転部70は、円筒カム8に対して空回りする状態にある。このため、ピックアップユニット3はクランプ解除位置に保持される。
第2動作状態では、図15および図16に示すように、第1リブ部74のみが第1マイクロスイッチ94に接触し、第2および第3リブ部75,76は、各々対応する第2および第3マイクロスイッチ95,96に接触しない位置にある。そのため、第1マイクロスイッチ94が「オン」で第2および第3マイクロスイッチ95,96が「オフ」の状態とされ、このようなスイッチの状態からマイコンによりトレイ1およびピックアップユニット3の状態が第2動作状態であることが認識される。すなわち、マイコンは、第1〜第3マイクロスイッチ94〜96が「オン」、「オフ」、「オフ」の状態であることから、トレイ1がディスクを再生していない状態で再生用のディスクを交換するための開停止位置から閉停止位置に移動している状態にあると判断する。
[第3動作状態](図17〜図19参照)
第3動作状態は、トレイ1が筐体内に完全に収納された状態である。第3動作状態では、アーム部71の先端71aが回転基準位置S0から+α(図17,図18ではおよそ+18°)の回転角をなす第3回転位置S3に位置してクランクアーム7の回転が停止する。
クランクアーム7が停止する直前では、アーム部71の先端71aは案内溝100の左端曲線部120を中間曲線部110側に移動している。上述したように、左端曲線部120は緩やかな円弧状をなしているので、アーム部71の先端71aが左端曲線部120を中間曲線部110側に移動するにつれてクランクアーム7からトレイ1に伝達される力は漸減し、これによりトレイ1の移動速度は減少する。そして、アーム部71の先端71aが案内溝100の左端曲線部120から中間曲線部110内の若干入った位置まで移動すると、トレイ1のルーレットテーブル2の回転中心とクランクアーム7の回転中心Oとが略一致し、すなわち、アーム部71の回転中心と案内溝100の中間曲線部110の曲率中心とが略一致し、クランクアーム7の回転力はトレイ1に伝達されなくなるので、トレイ1は停止する。また、筐体側に設けられたストッパによってもトレイ1の移動が規制され、トレイ1は停止する。
第3動作状態では、クランクアーム7の間欠歯部72が円筒カム8の外周歯部81に対して噛み合う直前の位置にあり、これら間欠歯部72と外周歯部81とが噛合しない状態となっている。このため、ピックアップユニット3はクランプ解除位置に保持される。
第3動作状態では、図18および図19に示すように、第1および第3リブ部74,76がそれぞれ第1および第3マイクロスイッチ94,96に接触し、第2リブ部75は、第2マイクロスイッチ95に接触しない位置にある。そのため、第1および第3マイクロスイッチ94,96が「オン」で第2マイクロスイッチ95が「オフ」の状態とされ、このようなスイッチの状態からマイコンによりトレイ1およびピックアップユニット3の状態が第3動作状態であることが認識される。すなわち、マイコンは、第1〜第3マイクロスイッチ94〜96が「オン」、「オフ」、「オン」の状態であることからトレイ1がディスクを再生していない状態で再生用のディスクを交換するための開停止位置から閉停止位置に移動して停止した状態にあると判断する。
[第4動作状態](図1,図7,図8参照)
第4動作状態は、筐体内でディスクのクランプ又はクランプの解除を行うためにピックアップユニット3を上下動させる状態である。第4動作状態は、第3動作状態から連続して行われるものではなく、ユーザによって再生すべきディスクが指定され、当該ディスクがルーレットテーブル2の回転により所定のクランプ位置に搬送された後に行われるものである。ディスクを再生していない状態では、トレイ1は、アーム部71の先端71aが第3回転位置S3に位置する閉停止位置に停止している。この状態で、再生すべきディスクがクランプ位置に搬送されると、マイコンはクランクアーム7を時計回りに所定角度(2α)だけ回転させる。このとき、アーム部71の先端71aは、案内溝100の中間曲線部110に沿って左から右に移動し、回転基準位置S0と同位置をなす第4回転位置S4を通過する。
アーム部71の先端71aが案内溝100の中間曲線部110を移動している期間はクランクアーム7の間欠歯部72が外周歯部81に噛合し、クランクアーム7の回転により円筒カム8が反時計回りに回転してピックアップユニット3の先端部が上昇する。すなわち、ピックアップユニット3がクランプ位置に設定される。
このピックアップユニット3の先端部の上昇によりディスクがターンテーブル31により持ち上げられ、ディスクはターンテーブル31とチャッキングカバー4の回転体40とによりクランプされる。この期間は、アーム部71の回転中心と中間曲線部110の曲率中心とが一致するため、クランクアーム7の回転力はトレイ1に伝達されず、トレイ1は閉停止位置に停止した状態が保持される。
第4動作状態では、図7および図8に示すように、第3リブ部76のみが第3マイクロスイッチ96に接触し、第1および第2リブ部74,75は、第1および第2マイクロスイッチ94,95に接触しない位置にある。そのため、第3マイクロスイッチ96が「オン」で第1および第2マイクロスイッチ94,95が「オフ」の状態とされ、このようなスイッチの状態からマイコンによりトレイ1およびピックアップユニット3の状態が第4動作状態であることが認識される。すなわち、マイコンは、第1〜第3マイクロスイッチ94〜96が「オフ」、「オフ」、「オン」の状態であることからトレイ1が筐体内の閉停止位置に位置し、ピックアップユニット3がディスクのクランプ又はクランプ解除のために上下動している状態と判断する。
[第5動作状態](図20〜図22参照)
第5動作状態は、トレイ1が筐体内に完全に収納され、ディスクがピックアップユニット3にクランプされて再生中若しくは再生待機中である状態である。第4動作状態で、アーム部71の先端71aが案内溝100の中間曲線部110を右側に移動し、回転基準位置S0から−α(図20,図21ではおよそ−18°)の回転角をなす中間曲線部110内の第5回転位置S5に位置すると、クランクアーム7の回転が停止する。アーム部71の先端71aが案内溝100の中間曲線部110を移動している期間はクランクアーム7の間欠歯部72が外周歯部81に噛合し、クランクアーム7の回転により円筒カム8が反時計回りに回転するが、アーム部71の先端71aが第5回転位置S5に位置すると、クランクアーム7の間欠歯部72と外周歯部81との噛合が外れ、回転カム8の回転が停止し、これによりピックアップユニット3の上昇が停止する。すなわち、ピックアップユニット3はクランプ位置に設定される。
一方、アーム部71の先端71aが案内溝100の中間曲線部110を移動している期間はクランクアーム7の回転力はトレイ1に伝達されず、トレイ1は閉停止位置に停止した状態が保持される。
第5動作状態では、図21および図22に示すように、第2および第3リブ部75,76がそれぞれ第2および第3マイクロスイッチ95,96に接触し、第1リブ部74は、第1マイクロスイッチ94に接触しない位置にある。そのため、第2および第3マイクロスイッチ95,96が「オン」で第1マイクロスイッチ94が「オフ」の状態とされ、このようなスイッチの状態からマイコンによりトレイ1およびピックアップユニット3の状態が第5動作状態であることが認識される。すなわち、マイコンは、第1〜第3マイクロスイッチ94〜96が「オフ」、「オン」、「オン」の状態であることからトレイ1が筐体内の閉停止位置にあり、かつ、ピックアップユニット3がディスクのクランプ位置にあると判断する。
[第6動作状態](図23〜図25参照)
第6動作状態は、ディスクがピックアップユニット3にクランプされて再生中若しくは再生待機中である状態で、他のディスクの交換をするためにトレイ1が筐体外に取り出されている状態である。第6動作状態は、第5動作状態から連続して行われるものではなく、ディスクの再生中にユーザがイジェクトスイッチなどを操作することによって行われるものである。ディスクの再生中にユーザがイジェクトスイッチなどを操作すると、マイコンはクランクアーム7をさらに時計回りに所定角度(θ−α)だけ回転させる。この回転で、アーム部71の先端71aは案内溝100の中間曲線部110の第5回転位置S5から右端曲線部130側に移動し、アーム部71の先端71aが右端曲線部130を移動している間にクランクアーム7の回転力がトレイ1にのみ伝達され、トレイ1が閉停止位置から開停止位置側に移動する。この回転の途中でアーム部71の先端71aは、回転基準位置S0から−α(図23,図24ではおよそ−18°)の回転角をなす第6回転位置S6を通過する。
右端曲線部130も左端曲線部120と同様に緩やかな円弧状をなしているので、アーム部71の先端71aが右端曲線部130に移行し、右端側に移動するにつれてクランクアーム7からトレイ1に直進力に変換されて伝達される力は漸増する。これにより、トレイ1はゆっくりと開動作を開始し、次第にその移動速度を増加させる。一方、アーム部71の先端71aが右端曲線部130の先端で折り返し、第6回転位置S6を通り過ぎたあたりからは中間曲線部110側に移動するにつれてクランクアーム7からトレイ1に伝達される力は漸減する。これにより、トレイ1はその移動速度を減少させながら開停止位置に移動する。
第6動作状態では、クランクアーム7の間欠歯部72は外周歯部81に噛合しておらず、クランクアーム7の回転部70は、円筒カム8に対して空回りする状態にある。このため、ピックアップユニット3はクランプ位置に保持される。
第6動作状態では、図24および図25に良く示すように、第2リブ部75のみが第2マイクロスイッチ95に接触し、第1および第3リブ部74,76は、各々対応する第1および第3マイクロスイッチ94,96に接触しない位置にある。そのため、第2マイクロスイッチ95が「オン」で第1および第3マイクロスイッチ94,96が「オフ」の状態とされ、このようなスイッチの状態からマイコンによりトレイ1およびピックアップユニット3の状態が第6動作状態であることが認識される。すなわち、マイコンは、第1〜第3マイクロスイッチ94〜96が「オフ」、「オン」、「オフ」の状態であることからピックアップユニット3がディスクを回転支持して再生する状態で、かつ、トレイ1が閉停止位置と開停止位置との間を移動する状態と判断する。
[第7動作状態](図26〜図28参照)
第7動作状態は、ディスクの再生中若しくは再生待機中に他のディスクを交換するためにトレイ1が筐体外に引き出された状態である。ユーザは、筐体内でディスクを再生中であるにも関わらず、トレイ1とともに筐体外に引き出されたルーレットテーブル2上の搭載部20にディスクを搭載したり、あるいは搭載部20からディスクを取り出したりすることができる。
第7動作状態は、クランクアーム7のアーム部71が回転基準位置S0から概ね−θ(図11,図12ではおよそ−160°)の回転角だけ時計回りに回転した状態である。クランクアーム7が時計回りに回転すると、アーム部71の先端71aはトレイ1の案内溝100の第6回転位置S6から右端曲線部130側に移動する。アーム部71の先端71aが右端曲線部130を移動している間にクランクアーム7の回転力がトレイ1にのみ伝達され、トレイ1が閉停止位置から開停止位置側に移動する。このトレイ1の移動により案内溝100はクランクアーム7に対して前側に移動し、図27に示すように、アーム部71の先端71aが案内溝100の中間曲線部110内のやや右端側に寄った第7回転位置S7(回転基準位置S0から概ね−θの回転角をなす位置)に位置すると、クランクアーム7の回転が停止する。従って、アーム部71の先端71aが第7回転位置S7に位置するとき、トレイ1はディスクを再生している状態で他のディスクを装着若しくは交換するための開停止位置に位置する。
アーム部71の先端71aが第6回転位置S6から第7回転位置S7まで移動する期間は、クランクアーム7の間欠歯部72が外周歯部81に噛合していないので、ピックアップユニット3はクランプ位置に保持される。
第7動作状態では、図27および図28に示すように、第1および第2リブ部74,75がそれぞれ第1および第2マイクロスイッチ94,95に接触し、第3リブ部76は、第3マイクロスイッチ96に接触しない位置にある。そのため、第1および第2マイクロスイッチ94,95が「オン」で第3マイクロスイッチ96が「オフ」の状態とされ、このようなスイッチの状態からマイコンによりトレイ1およびピックアップユニット3の状態が第7動作状態であることが認識される。すなわち、マイコンは、第1〜第3マイクロスイッチ94〜96が「オン」、「オン」、「オフ」の状態であることから、トレイ1がディスクを再生している状態で他のディスクを装着若しくは交換するための開停止位置に位置している判断する。
上記したように第1〜第7動作状態は、アーム部71の先端71aが第1回転位置S1にある状態からクランクアーム7を時計回りに回転させることで順番に実現されるが、クランクアーム7を反時計回りに回転させることで逆方向の順に実現される。たとえば、アーム部71の先端71aが第7回転位置S7にある状態からクランクアーム7を±θの角度範囲内で反時計回りに回転させれば、第7動作状態から途中の状態を順次経て第1動作状態へとスムーズに変化させられる。
また、第1〜第7動作状態のいずれかの状態にあるとき、ユーザが故意に電源をオフしたり停電などによって全体の動作が停止したりすることがある。そのような場合でも、電源を再投入した時、第1ないし第3マイクロスイッチ94〜96からのオン・オフ情報によりクランクアーム7の回転位置、すなわち、トレイ1及びピックアップユニット3の状態を知ることができるので、直ちにトレイ1及びピックアップユニット3を予め決められた状態、たとえば第3動作状態に設定することができる。
たとえば、第2動作状態の時点で電源オフが発生した場合、その後電源をオンにすると、上述したように第1〜第3マイクロスイッチ94〜96が「オン」、「オフ」、「オフ」の状態にあるため、マイコンは、このオン・オフ情報から第2動作状態、すなわちピックアップユニット3がクランプ解除位置にあり、かつ、トレイ1が開停止位置と閉停止位置との間にある状態を認識することができる。そして、マイコンは、第2動作状態から第3動作状態へ復旧させるべく、クランクアーム7を時計回りに回転させるように駆動モータ5を制御する。そして、第1〜第3マイクロスイッチ94〜96が「オン」、「オフ」、「オン」の状態になると、マイコンは、第3動作状態に達したと判断して復旧動作を終える。
また、たとえば第6動作状態の時点で電源オフが発生しても、その後電源をオンにすると、先述したように第1〜第3マイクロスイッチ94〜96が「オフ」、「オン」、「オフ」の状態にあるため、マイコンは、このオン・オフ情報から第6動作状態、すなわちピックアップユニット3がクランプ位置にあり、かつ、トレイ1が開停止位置と閉停止位置との間にある状態を認識することができる。そして、マイコンは、第6動作状態から第3動作状態へ復旧させるべく、クランクアーム7を反時計回りに回転させるように駆動モータ5を制御する。そして、第1〜第3マイクロスイッチ94〜96が上記したように「オン」、「オフ」、「オン」の状態になると、マイコンは、第3動作状態に達したと判断して復旧動作を終える。
なお、上記実施形態では、図1において、クランクアーム7を回転基準位置S0から+θの回転位置を、ディスクを再生していない状態で再生用のディスクを交換するための開停止位置とし、−θの回転位置を、ディスクを再生している状態で他のディスクを装着若しくは交換するための開停止位置としているが、+θの回転位置を、ディスクを再生している状態で他のディスクを装着若しくは交換するための開停止位置とし、−θの回転位置を、ディスクを再生していない状態で再生用のディスクを交換するための開停止位置としてもよい。
本実施形態に係るディスクチェンジャー装置によれば、トレイ1を移動させるべくクランクアーム7を一定速度で回転させても、アーム部71の先端71aが案内溝100に沿って滑らかに移動し、それに応じてトレイ1が連続的に速度を変化させながら移動するので、トレイ1のスムーズな動きを実現することができる。また、トレイ1の停止位置に、例えばストッパなどを設けてトレイ1の移動を機械的に停止させる構成が設けられていても、トレイ1が停止位置の近傍に来ると、移動速度が十分に減速した状態になるので、ストッパによる停止時のショックや動作音が和らげられ、このような点からも動作フィーリングを良くすることができる。
また、図11と図30とを比較すれば明らかなように、従来の案内溝1100は、中間曲線部1110と左右の直線部1120,1130の境界部分が不連続になっているので、クランクアーム700を回転基準位置から+θの角度まで回転させることができないが、本実施形態に係るディスクチェンジャー装置では、案内溝100の中間曲線部110の両端に緩やかな曲線部120,130を設け、不連続な境界部分をなくしているので、従来のものよりもクランクアーム700の回転範囲を大きくすることができる。
すなわち、図11では、ルーレットテーブル2のディスクの搭載部20が完全に露出する位置までトレイ1が開くが、図30では、ディスクの搭載部20が完全に露出せず、一部しか露出しない位置までしか開かないことから、本願発明に係るディスクチェンジャー装置では装置本体からのトレイの引き出し量を従来のものよりも大きくすることができる。このことは、逆に言えば、本願発明に係るディスクチェンジャー装置は、装置からトレイ1を同じ量だけ引き出す場合、クランクアーム7を従来のものよりも小さくすることができ、小型化が可能になるという利点を有する。
また、クランクアーム7の下部に設けた3本のリブと各リブに対応する3個のマイクロスイッチによりトレイ1及びピックアップユニット3の状態を識別するようにしているので、簡単かつ安価な構成でトレイ1およびピックアップユニット3の状態を検出することができる。
なお、本実施形態とは異なり、トレイ1が開停止位置および閉停止位置にある状態をそれぞれ検出するように2個のマイクロスイッチを設ける一方、ピックアップユニット3がクランプ位置および非クランプ位置にある状態をそれぞれ検出するように2個のマイクロスイッチを設けることで、合計4個のマイクロスイッチを備えた構成も考えられるが、本実施形態では、3個のマイクロスイッチ94〜96だけで良いので、スイッチの個数に関して最小限の構成とすることができる。
なお、上記実施形態において、アーム部71や案内溝100の長さは、トレイ1の移動量やクランクアーム7が回転する角度範囲に基づいて決定することができ、仕様に応じて適当な寸法とすることができる。また、第1〜第3マイクロスイッチ94〜96のオン・オフ状態は、第1〜第7動作状態ごとに異なれば良く、そのようなオン・オフ状態に基づいて第1〜第3マイクロスイッチ94〜96と第1〜第3リブ部74〜76との相対的な位置関係を決定することができる。また、上記実施形態では円筒カム8を用いたが、円筒カム8の代わりに板カムを採用してもよい。
本発明に係るディスクチェンジャー装置のトレイ及びピックアップユニットの駆動機構を示す上面図である。 トレイの下面側に設けられるクランクアーム及び円筒カムとピックアップユニットとの配置関係を示す斜視図である。 クランクアームに円筒カムが噛合した状態を示す斜視図である。 クランクアームに円筒カムが噛合していない状態を示す斜視図である。 クランクアームの下面側の構造を示す斜視図である。 クランクアームと案内溝との配置関係を示す平面図である。 駆動モータの駆動力をクランクアームに伝達する機構を示す図である。 図7のX−X線に沿う断面図である。 ピックアップユニットの構造を示す平面図である。 ピックアップユニットとチャッキングカバーの関係を示す側面図である。 第1動作状態を説明するための平面図である。 第1動作状態におけるクランクアーム、案内溝及び円筒カムの関係を示す平面図である。 第1動作状態における3個のスイッチの状態を示す、図8に相当する断面図である。 第2動作状態を説明するための平面図である。 第2動作状態におけるクランクアーム、案内溝及び円筒カムの関係を示す平面図である。 第2動作状態における3個のスイッチの状態を示す、図8に相当する断面図である。 第3動作状態を説明するための平面図である。 第3動作状態におけるクランクアーム、案内溝及び円筒カムの関係を示す平面図である。 第3動作状態における3個のスイッチの状態を示す、図8に相当する断面図である。 第5動作状態を説明するための平面図である。 第5動作状態におけるクランクアーム、案内溝及び円筒カムの関係を示す平面図である。 第5動作状態における3個のスイッチの状態を示す、図8に相当する断面図である。 第6動作状態を説明するための平面図である。 第6動作状態におけるクランクアーム、案内溝及び円筒カムの関係を示す平面図である。 第6動作状態における3個のスイッチの状態を示す、図8に相当する断面図である。 第7動作状態を説明するための平面図である。 第7動作状態におけるクランクアーム、案内溝及び円筒カムの関係を示す平面図である。 第7動作状態における3個のスイッチの状態を示す、図8に相当する断面図である。 従来のディスクチェンジャー装置のトレイ及びピックアップユニットの駆動機構を示す上面図である。 図29の状態からクランクアームを回転させてトレイを筐体から引き出した状態を示す図である。
符号の説明
1 トレイ
100 案内溝
110 中間曲線部
120 左端曲線部
130 右端曲線部
2 ルーレットテーブル
3 ピックアップユニット
4 チャッキングカバー
5 駆動モータ
6 減速機構
7 クランクアーム
70 回転部
71 アーム部
72 間欠歯部
73 常接歯部
74〜76 第1〜第3リブ部
8 円筒カム
80 外周溝
81 外周歯部
82,83 外周凹面部
9 制御基板
94〜96 第1〜第3マイクロスイッチ

Claims (3)

  1. 筐体内に前後方向に出し入れ可能に設けられた、複数のディスクを搭載するためのトレイと、
    前記筐体内の所定の位置に上下方向に変位可能に設けられ、前記トレイに搭載されたディスクをクランプして当該ディスクに記録された情報の再生を行う再生手段と、
    前記トレイの出し入れ動作と前記再生手段の変位動作を行うための駆動力を発生する駆動源と、
    前記トレイの下面に形成された左右方向に延びる案内溝と、前記再生手段を上下に変位させて当該再生手段の位置をディスクのクランプ位置とクランプ解除位置とに切り換えるカムと、前記筐体の前記トレイの下部に設けられ、前記駆動源の駆動力によって回転する円板状の回転部、この回転部の外周に径方向に突設され、先端が前記案内溝に摺動可能に係合されたアーム部、および前記回転部の外周の一部に形成され、前記アーム部の先端が前記案内溝の中央部を移動するとき、当該回転部の回転力を伝達するべく前記カムに連結される連結部を有するクランクアームとからなり、前記駆動源で発生した駆動力を前記トレイと前記再生手段とに切換伝達する駆動力伝達手段と、
    前記クランクアームの回転部の下部に、前記トレイ及び前記再生手段の動作状態を検出する検出手段と、
    を備えたディスクチェンジャー装置であって
    前記検出手段は、
    前記クランクアームの回転部の下面の3つの同心円状に形成されたトラック上にそれぞれ設けられた3つのリブと、
    前記クランクアームの回転部の下部の前記各トラックに対向する位置にそれぞれ設けられた3つのスイッチ手段と、
    前記クランクアームの回転部の回転に基づく前記3つのリブによる前記3つのスイッチ手段のスイッチ操作の情報に基づいて、前記再生手段がクランプ解除位置に保持され、かつ、前記トレイが筐体から引き出された第1の状態、前記再生手段がクランプ解除位置に保持された状態で前記トレイが筐体に収納されている途中である第2の状態、前記再生手段がクランプ解除位置に保持され、かつ、前記トレイが筐体に収納された第3の状態、前記トレイが筐体に収納された状態で前記再生手段がクランプ解除位置からクランプ位置に変位している途中である第4の状態、前記トレイが筐体に収納され、かつ、前記再生手段がクランプ位置に保持されている第5の状態、前記再生手段がクランプ位置に保持された状態で前記トレイが筐体から引き出されている途中である第6の状態、及び前記再生手段がクランプ位置に保持され、かつ、前記トレイが筐体から引き出された第7の状態のいずれの状態であるかを判別する判別手段とからなることを特徴とする、ディスクチェンジャー装置。
  2. 前記各リブの両端部には、先下がりの傾斜が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のディスクチェンジャー装置。
  3. 前記判別手段は、前記3つのスイッチ手段のオン又はオフの情報の組み合わせに基づいて前記第1乃至第7の状態のいずれの状態であるかを判別することを特徴とする、請求項1又は2に記載のディスクチェンジャー装置。
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