JP3821046B2 - インバータ保護回路及び電気機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータ回路の過電流による過電流の電流経路における部品の発熱や故障を防止するインバータ保護回路及びインバータ保護回路を搭載した電気機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インバータ回路には、従来からスイッチング素子の故障や誤作動等による過電流を抑制するインバータ保護回路が組込まれている。従来のインバータ保護回路は、図4に示すような構成が採られている。即ち、インバータ回路における上アームを構成するスイッチング素子20と、下アームを構成するスイッチング素子21とに直列に通電電流を検出するためのシャント抵抗22が挿入されている。シャント抵抗22で検出される電流値はコンパレータ23に入力され、コンパレータ23において基準入力値と比較される。シャント抵抗22を流れる電流値が基準入力値を越えた場合には、コンパレータ23がゲート遮断回路24に出力信号を発し、ゲート遮断回路24がドライブ回路25にスイッチング素子20,21をオフさせる信号を出力して、スイッチング素子20,21を開放させて過電流を遮断する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のインバータ保護回路においては、シャント抵抗22やコンパレータ23並びにゲート遮断回路24が必要なため、回路基板の面積も大きくなり、製造コストが嵩むうえ、搭載機器のコンパクト化を阻む要因ともなっている。また、過電流を検出した場合には即座にゲート遮断信号を出力させなくてはならないため、高い応答性が要求され、ノイズ等による誤作動し易い回路構成となっている。
【0004】
本発明は、係る従来の問題点を解決するためになされたものであって、その課題とするところは、簡単な回路構成で確実に過電流に対して保護動作するインバータ保護回路を得ることであり、低コストで小型のインバータ保護回路を搭載した電気機器を得ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために請求項1の発明は、負荷に交流電圧を供給するために相アームを構成するスイッチング素子を備えたインバータ回路に対し、その相アームの各スイッチング素子と直列に、各スイッチング素子を過電流から保護する正特性サーミスタを接続する手段を採用する。
【0006】
前記課題を達成するために請求項2の発明は、負荷に交流電圧を供給するために相アームを構成するスイッチング素子を備えたインバータ回路に対し、その相アームの各スイッチング素子と直列に、各スイッチング素子を過電流から保護する電流ヒューズ又はヒューズを接続する手段を採用する。
【0007】
前記課題を達成するために請求項3の発明は、負荷に交流電圧を供給するために相アームを構成するスイッチング素子を備えたインバータ回路に対し、その相アームの各スイッチング素子と直列に、各スイッチング素子を過電流から保護する正特性サーミスタを接続し、正特性サーミスタに直列に電流ヒューズ又はヒューズを接続する手段を採用する。
【0008】
前記課題を達成するために請求項4の発明は、請求項1〜請求項3までのいずれかに係る前記手段におけるインバータ回路の出力線に負荷と直列に正特性サーミスタを接続する手段を採用する。
【0009】
前記課題を達成するために請求項5の発明は、モーター等に交流電圧を供給するために相アームを構成するスイッチング素子を備え、その相アームの各スイッチング素子と直列に、各スイッチング素子を過電流から保護する正特性サーミスタを接続したインバータ保護回路を機器に搭載する手段を採用する。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1と図2によって示す本実施の形態は、インバータ回路1を搭載した換気装置に関するものである。換気装置の羽根車2を回すモーター3はインバータ回路1により可変速駆動される。インバータ回路1は、商用電源を直流に変換するコンバータ部4と、コンバータ部4で生成される直流を交流に変換し、モーター3に交流電圧を供給するインバータ部5と、インバータ部5を制御する制御回路6から構成されている。インバータ部5は相アームを構成するスイッチング素子7で構成され、相アームの各スイッチング素子7は制御回路6によってオン/オフ制御される。インバータ部5にはそのスイッチング素子7を過電流から保護するインバータ保護回路が設けられている。インバータ保護回路は、スイッチング素子7に直列に正特性のPTCサーミスタ8を挿入して構成されている。また、インバータ部5の出力線9には、モーター3に直列に正特性のPTCサーミスタ10が接続されている。
【0011】
インバータ部5の相アームを構成するスイッチング素子7は、通常においては同時にオンすることはないが、ノイズや相アームのいずれかのスイッチング素子7の故障等により双方がオン状態になることが起きうる。相アームを構成するスイッチング素子7の双方がオン状態になると、コンバータ部4の直流電圧を短絡する状態になり、過電流がスイッチング素子7に流れ、インバータ部5を破損してしまう。しかしながら、本実施の形態では、スイッチング素子7に直列に接続されたPTCサーミスタ8が過電流により自己発熱してその抵抗値を上昇させ、流れる電流値を減少させるため、インバータ部5のスイッチング素子7は保護される。また、負荷であるモーター3側の短絡等によって過電流が流れても、モーター3に直列に接続されたPTCサーミスタ10が過電流により自己発熱してその抵抗値を上昇させ、流れる電流値を減少させるため、インバータ部5のスイッチング素子7は保護される。
【0012】
過電流の流れる要因が解消されれば、PTCサーミスタ8,10の抵抗値は減少し正常なインバータ回路1の動作に復帰する。このように、本実施の形態の換気装置では、シャント抵抗やコンパレータ並びにゲート遮断回路といった、ノイズ等による誤作動し易い回路構成を採らずに、PTCサーミスタ8を挿入するだけの簡単な回路構成で確実に過電流に対してインバータ回路1のスイッチング素子7を保護でき、インバータ回路1に関する低コスト化と小型化が達成できる。
【0013】
実施の形態2.
図3によって示す本実施の形態は、実施の形態1で示したインバータ回路1に電流ヒューズ又はヒューズ11によるインバータ保護回路を構成したものであり、インバータ回路1の構成については実施の形態1のものと同じである。従って、実施の形態1のものと同じ部分については実施の形態1のものと同じ符号を用いそれらについての説明は省略する。
【0014】
本実施の形態のインバータ保護回路は、インバータ部5の相アームを構成するスイッチング素子7に直列に電流ヒューズ又はヒューズ11を挿入して構成されている。また、インバータ部5の出力線9にも、モーター3に直列に電流ヒューズ又はヒューズ12が接続されている。ノイズや相アームのいずれかのスイッチング素子7の故障等によりスイッチング素子7の双方がオン状態になると、コンバータ部4の直流電圧を短絡する状態になり、過電流がスイッチング素子7に流れ、インバータ部5を破損してしまう。しかしながら、本実施の形態では、スイッチング素子7に直列に接続された電流ヒューズ又はヒューズ11が溶断し、電流を遮断するため、インバータ部5のスイッチング素子7は保護される。
【0015】
また、負荷であるモーター3側の短絡等によって過電流が流れても、モーター3に直列に接続された電流ヒューズ又はヒューズ12が過電流により溶断し電流を遮断するため、インバータ部5のスイッチング素子7は保護される。電流ヒューズ又はヒューズ11,12の溶断によって機器そのものは動作しなくなるが、電流ヒューズ又はヒューズ11,12を交換することによって復旧させることができる。インバータ回路1のスイッチング素子7の故障により過電流が流れた場合、電流ヒューズ又はヒューズ11を交換しても再度電流ヒューズ又はヒューズ11が溶断することになるため、スイッチング素子7が故障していることが判断でき、スイッチング素子7の交換修理を行うことができる。この意味で、実施の形態1で示したインバータ保護回路のPTCサーミスタ8に直列に電流ヒューズ又はヒューズ11を設ければ、ノイズ等、一過性の要因で過電流が流れた場合と、スイッチング素子7の故障で過電流が流れた場合の判定ができ、事後処理がし易くなる。
【0016】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、簡単な回路構成で確実に過電流に対して保護動作するインバータ保護回路が得られる。
【0017】
請求項2の発明によれば、簡単な回路構成で確実に過電流に対して保護動作するインバータ保護回路が得られる。
【0018】
請求項3の発明によれば、簡単な回路構成で確実に過電流に対して保護動作するインバータ保護回路が得られる。
【0019】
請求項4の発明によれば、請求項1〜請求項3までのいずれかに係る前記効果とともに負荷の短絡等による過電流に対してスイッチング素子を保護することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、低コストで小型のインバータ保護回路を搭載した電気機器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の換気装置の構成図である。
【図2】 実施の形態1の換気装置のインバータ回路を示す回路図である。
【図3】 実施の形態2のインバータ回路を示す回路図である。
【図4】 従来のインバータ回路を示す回路図である。
【符号の説明】
1 インバータ回路、 3 モーター、 4 コンバータ部、 5 インバータ部、 7 スイッチング素子、 8 PTCサーミスタ、 9 出力線、 10 PTCサーミスタ、 11 ヒューズ、 12 ヒューズ。

Claims (5)

  1. 負荷に交流電圧を供給するために相アームを構成するスイッチング素子を備えたインバータ回路に対し、その相アームの各スイッチング素子と直列に、各スイッチング素子を過電流から保護する正特性サーミスタを接続したインバータ保護回路。
  2. 負荷に交流電圧を供給するために相アームを構成するスイッチング素子を備えたインバータ回路に対し、その相アームの各スイッチング素子と直列に、各スイッチング素子を過電流から保護する電流ヒューズ又はヒューズを接続したインバータ保護回路。
  3. 負荷に交流電圧を供給するために相アームを構成するスイッチング素子を備えたインバータ回路に対し、その相アームの各スイッチング素子と直列に、各スイッチング素子を過電流から保護する正特性サーミスタを接続し、この正特性サーミスタに直列に電流ヒューズ又はヒューズを接続したインバータ保護回路。
  4. 請求項1〜請求項3までのいずれかに記載のインバータ保護回路であって、インバータ回路の出力線に負荷と直列に正特性サーミスタを接続したインバータ保護回路。
  5. モーター等に交流電圧を供給するために相アームを構成するスイッチング素子を備え、その相アームの各スイッチング素子と直列に、各スイッチング素子を過電流から保護する正特性サーミスタを接続したインバータ保護回路を搭載した電機機器。
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