JP3820986B2 - 熱転写受容シート - Google Patents
熱転写受容シート Download PDFInfo
- Publication number
- JP3820986B2 JP3820986B2 JP2001400837A JP2001400837A JP3820986B2 JP 3820986 B2 JP3820986 B2 JP 3820986B2 JP 2001400837 A JP2001400837 A JP 2001400837A JP 2001400837 A JP2001400837 A JP 2001400837A JP 3820986 B2 JP3820986 B2 JP 3820986B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin
- polyester resin
- epoxy resin
- acid
- polyhydric alcohol
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱転写受容シート(以下、単に受容シートと記す)に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は記録画像の耐光性、耐脂性に優れた熱転写受容シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
染料熱転写プリンターは、染料インクシートに、受容シートの染料染着性樹脂を含む受容層を重ね合わせ、サーマルヘッドなどから供給される熱により、染料を受容層上に転写して画像を形成するものである。染料熱転写方式は高画質な画像記録が可能であることから銀塩写真との置き換えが進みつつある。
【0003】
熱転写受容シート上に高画質な画像を得るために、染料の転写速度と染着量が大きく、かつ保存性の良好な染料染着性樹脂が研究されている。従来、このような樹脂としては、各種のポリエステル樹脂が用いられていた。たとえば、特開昭57−107885号公報は、飽和ポリエステル樹脂を用いることを開示し、特開平4−290799号公報は、芳香族多塩基酸と2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオールからなるポリエステル樹脂を用いることを開示している。さらに、特開昭63−7971号公報にはフェニル基を含有するポリオールとジカルボン酸からなるポリエステル樹脂の使用が開示されている。しかしながら、従来のポリエステル樹脂を受容層に含む昇華型感熱転写記録方式の受容シートは一般に記録画像の保存安定性が不良で、日光や蛍光灯の光により退色、変色したり、あるいは高温多湿の条件で長期間保存すると退色、変色したり、画像がにじんだりするという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、従来技術の上記欠点を改良し、記録画像の耐光性、耐脂性に優れた熱転写受容シートを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱転写受容シートは、シート状支持体と、その少なくとも一面上に形成され、かつ染料染着性樹脂を主成分として含む受容層とを有し、前記受容層に含まれる、染料染着性樹脂が、エポキシ樹脂変性ポリエステル樹脂を含み、このエポキシ樹脂変性ポリエステル樹脂が(a)全多塩基酸成分に対し50〜100モル%の脂環式多価カルボン酸を含む多塩基酸成分と、(b)全多価アルコール成分に対し、3〜40モル%の芳香族多価アルコールを含む多価アルコール成分との重縮合反応により生成したポリエステルを主鎖として含み、かつ、このポリエステルの分子末端がビスフェノールAを主骨格として含むエポキシ樹脂により変性されているものであることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明熱転写受容シートは、シート状支持体の少なくとも一面上に、エポキシ樹脂変性ポリエステル樹脂を主成分として含む染料染着性受容層を有するものである。前記エポキシ樹脂変性ポリエステル樹脂において、その主鎖は(a)多塩基酸成分と、(b)多価アルコール成分との重縮合反応により生成したものであって、但し、前記多塩基酸成分(a)の全モル量の50〜100モル%は脂環族多価カルボン酸からなり、また前記多価アルコール成分(b)の全モル量の3〜40モル%は芳香族多価アルコールからなるものである。また、前記ポリエステル分子主鎖の末端は、ビスフェノールAを主骨格として含むエポキシ樹脂で変性されている。
【0007】
本発明に用いられる染料染着性樹脂用エポキシ樹脂変性ポリエステル樹脂は、前述のように多価カルボン酸成分(a)と、多価アルコール成分(b)を重縮合反応させ、さらに得られたポリエステル分子主鎖の末端官能基を、ビスフェノールAを主骨格として含むエポキシ樹脂(c)により変性することによって得られるものである。
【0008】
多塩基酸成分(a)の全モル量の50〜100モル%が脂環族多価カルボン酸であり、好ましくは60〜100モル%である。脂環式多価カルボン酸は、特定の化合物に限定されるものではないが、公知各種のもの、好ましくは8〜20個の、より好ましくは8〜12個の炭素原子を有する脂環式多価カルボン酸、例えばシクロヘキサンジカルボン酸類、及びデカヒドロナフタレンジカルボン酸類、並びにそれらの誘導体、例えばエステル、酸ハロゲン化物、及び酸無水物などから選ぶことができ、これらは1種単独で用いられてもよく、または2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。
【0009】
多塩基酸成分(a)に含まれる脂環式多価カルボン酸以外の多塩基酸成分には、格別の限定はなく、公知各種のもの、例えばコハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類;並びにテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類などを用いることができる。これらは1種単独で用いられてもよく、または2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。また、3官能以上の多塩基酸は、それが少量であれば併用されてもよい。3官能以上の多塩基酸としては、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸などの芳香族カルボン酸類、並びにブタンテトラカルボン酸などの脂肪族カルボン酸が挙げられる。
【0010】
多価アルコール成分(b)の全モル量の3〜40モル%が芳香族多価アルコールであり、好ましくは5〜30モル%、より好ましくは10〜28モル%である。この芳香族多価アルコールとしては、特に限定はなく、公知各種のもの、好ましくは8〜40個の、より好ましくは15〜27個の炭素原子を有する芳香族多価アルコールが用いられる。例えばビスフェノールA、並びにビスフェノールAのエチレンオキサイド、付加物、及びプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0011】
多価アルコール成分(b)に含まれる芳香族多価アルコール以外の多価アルコール成分としては、特に限定はなく、公知各種のもの、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの脂肪族グリコール類、並びに1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール類、が挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく、または2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。
【0012】
本発明で用いられるエポキシ樹脂変性ポリエステル樹脂は、そのポリエステル分子の末端官能基が、ビスフェノールAを主骨格として含むエポキシ樹脂(c)により変性されたものである。このエポキシ樹脂による変性方法には特に限定はないが、例えば、ポリエステル樹脂の末端官能基として含まれるカルボキシル基または酸無水物基と、エポキシ樹脂のエポキシ基とを反応させる方法が挙げられる。
【0013】
ビスフェノールAを主骨格として含むエポキシ樹脂としては、特に限定はないが、各種公知のもの、例えばビスフェノールAと、エピクロルヒドリンまたはβ−メチルエピクロルヒドリンなどのハロエポキシド類との反応生成物を用いることができる。
【0014】
また本発明で用いるポリエステル樹脂のエポキシ樹脂変性率についても、特に限定はなく、熱転写受容シートの要求性能に応じて適宜に設定することができる。このエポキシ樹脂変性率は、通常、5〜100質量%程度であることが好ましく、より好ましくは10〜50質量%である。また、エポキシ樹脂変性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、通常3000〜100000程度であることが好ましく、より好ましくは5000〜50000である。
【0015】
本発明に用いられるエポキシ樹脂変性ポリエステル樹脂の主鎖をなすポリエステル樹脂の製造は、多塩基酸成分(a)と多価アルコール成分(b)との通常のエステル化反応、すなわち重縮合反応によればよく、反応圧力は常圧、減圧のいずれであってもよい。また、得られるポリエステル樹脂の分子量は、反応時間をコントロールすることにより調整することができる。また、重縮合反応後に、得られたポリエステルに対して、さらに前記多価カルボン酸無水物、例えば無水フタル酸、無水トリメリット酸などによる付加反応工程を施してもよい。
【0016】
当該反応終了後、得られたポリエステル樹脂を溶剤に溶解し、ポリエステル溶液を調製する。この溶剤としては、ポリエステル樹脂を希釈できるものである限り特に限定はない。例えば、トルエン、キシレン、ソルベッソ#100(商標、エクソン社製)、ソルベッソ#150(商標、エクソン社製)などの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ぎ酸エチル、プロピオン酸ブチル、メトキシプロピルアセテートなどの脂肪族エステル類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、エチレングリコール、メトキシプロパノールなどの脂肪族アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの脂肪族ケトン類;ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの脂肪族及び脂環式エーテル類;セロソルブアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類などの各種溶剤を用いることができる。
【0017】
ポリエステル樹脂と、エポキシ樹脂との反応は、前記ポリエステルの末端カルボキシル基と前記エポキシ樹脂のエポキシ基との間でエステル化反応が進行するものであり、当該反応によって、エポキシ樹脂変性ポリエポキシ樹脂を製造することができる。このとき、触媒として、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、又はりん酸トリフェニルなどを用いてもよく、触媒の使用量は、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂の合計質量(固形分換算)に対し、0.01〜1質量%であることが好ましい。
【0018】
本発明の熱転写シートにおいて、前記染料染着性樹脂を含む受像層が形成される。受容層中には上記エポキシ樹脂変性ポリエステル樹脂の他に、例えば下記のような熱可塑性樹脂を併用してもよい。すなわち、併用樹脂として上記特定エポキシ樹脂変性ポリエステル樹脂とは異種のポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、BPA型エポキシ樹脂、水添BPA型エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアセタール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルホルマール、ポリスチレン、スチレン−アクリルニトリル共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリメチルメタクリレート、MMA−スチレン共重合体、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸セルロース、プロピルセルロース、酢酸−酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリカーボネート、フェノキシ、及びポリウレタン等を用いることができる。これらは単一種で用いてもよく、2種以上の混合物として用いられてもよい。
【0019】
受容層中には、染料染着性樹脂に加えて、受容層の耐光性を向上させるために、紫外線吸収剤(以下UVAと称する)、もしくはヒンダードアミン系光安定化剤(以下HALSと称する)を、単独に用いてもよく、もしくは2種以上を併用してもよい。UVAとしては、一般に、ベンゾトリアゾール系UVA、トリアジン系UVA、蓚酸アニリド系UVA、ベンゾフェノン系UVAを用いることができるが、とくにベンゾトリアゾール系UVAは、他種のUVAと比較し、吸収波長が広く、高波長側に極大吸収ピークを有し、また吸光度も大きいという特徴を有し、このため、これをHALSと併用したときに最も高い効果が得られるため、本発明において好ましく用いられる。UVAは、受容層中の樹脂成分の合計量100質量部に対して、1質量部〜70質量部の割合で配合されることが好ましく、特にUVA投入量と効果の兼合いから、1〜40質量部の配合がより好ましい。HALSは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を有する化合物であり、この骨格を有しているものであれば、その種類にとくに限定はない。HALSは、受容層中の樹脂成分の合計量100質量部に対して、1質量部〜70質量部の割合で配合されることが好ましく、特にHALS投入量と効果の兼合いから、1〜40質量部の配合がより好ましい。また、受容層中には、それに含まれる樹脂用架橋剤、及び/又は融着防止剤も配合でき、前記受容層用の樹脂は、前記架橋剤を介して架橋反応を起こすものであることが好ましい。
【0020】
受容層の塗工量は、好ましくは0.1〜20.0g/m2程度であり、より好ましくは3〜10g/m2の範囲内に調節される。受容層の塗工量が0.1g/m2未満では、受容層が基材表面を完全に覆うことができず、画質の低下をまねいたり、サーマルヘッドの加熱により受容層とインクシートが接着してしまう融着トラブルが発生することがある。また受容層の塗工量が20.0g/m2をこえると、効果が飽和し不経済であるばかりでなく、受容層の強度が不足したり、受容層の厚みが増し基材の断熱効果が十分に発揮されず、画像濃度が低下することがある。
【0021】
本発明の受容シートのシート状支持体としては、多層構造の基材が用いられることが好ましい。基材の積層に際し、基材の表層には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどを主成分とした延伸フィルムや、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂を主成分とする多層構造フィルムが用いられる。このような表層は、印画された画像の画質の均一性及び階調性を向上させるために有効なものである。
多層構造基材の芯材層としては、セルロースパルプを主成分とする紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、少なくとも一方の面上に熱可塑性樹脂層を設けたラミネート紙等、または、合成樹脂を主成分とするポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル等のフィルム、または、シートが用いられる。
【0022】
基材の積層方法としては、特に限定はないが、例えば、ウェットラミネート、エキストルージョンラミネート、ドライラミネート、ワックスラミネート等の公知の技術を用いることができ、一般にドライラミネート法が用いられる。ドライラミネート接着剤としてはポリエーテル系、ポリエステル系などの接着剤を用いることができる。また、本発明に使用されるシート状支持体は、20〜300μmの厚さを有することが好ましい。
【0023】
本発明の受容シートにおいて、シート状支持体の、受容層に対し反対の面(裏面)の上に背面被覆層が形成されていてもよい。この背面被覆層は、走行性向上、静電気の防止、受容シート相互の擦れによる受容層の損傷防止、さらにはプリントした受容シートを重ね置きしたとき、受容層からそれに接触隣接する受容シート裏面への染料移行の防止などに有効なものである。背面被覆層には接着成分としての樹脂と帯電防止処理のために各種の導電剤を添加することができる。この導電剤としては、カチオン系ポリマーを用いることが好ましい。カチオン系ポリマーとしては、一般的にポリエチレンイミン、カチオン性モノマーを含むアクリル系重合体、カチオン変性アクリルアミド系重合体およびカチオン澱粉等を用いることができる。背面被覆層の塗工量は、0.3〜10.0g/m2 の範囲内にあることが好ましい。
【0024】
本発明の受容シートの受容層及び背面被覆層は、バーコーター、グラビアコーター、カンマコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーターなどのコーターを用いて塗工、乾燥して形成することができる。
【0025】
【実施例】
本発明を下記実施例によりさらに詳細に説明するが、勿論本発明はこれらによって限定されるものではない。尚、実施例中の「部」および「%」は、特に断らない限り「質量部」および「質量%」を示す。
【0026】
「エポキシ樹脂変性ポリエステル樹脂の合成例」
合成例1
温度計、窒素導入管、還流脱水装置および攪拌装置を備えたフラスコ中に、1,4シクロヘキサンジカルボン酸848部(多塩基酸成分の100モル%)、エチレングリコール202部(多価アルコール成分の55モル%)、ネオペンチルグリコール123部(多価アルコール成分の20モル%)、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物510部(三洋化成(株)製、商標「ニューポールBPE−20」、多価アルコール成分の25モル%)およびチタンテトラブトキシド0.1部を仕込み、攪拌下に系内を170℃まで加熱した後、生成水を系外に留去しながら約6時間をかけて室内温度をさらに250℃まで昇温させた。この反応系を、5mmHg(0.7kPa)の減圧下、1時間30分の重縮合反応に供してポリエステル樹脂1400部を得た。この反応系を180℃に冷却して、これに無水トリメリット酸14部を仕込み、前記ポリエステル樹脂を酸変性した。この酸変性ポリエステル樹脂をトルエン1060部中に溶解した後、この溶液中にビスフェノールA型エポキシ樹脂(商標:エポトートYD−014、東都化成(株)製)283部を加えて均一に溶解し、さらにトリn−ブチルアミン1部を加え、この反応系を105℃において10時間攪拌した後、得られた反応系をメチルエチルケトン1060部で希釈した。それによって、不揮発分40%、酸価0.9、数平均分子量12000のポリエステル樹脂溶液(A)を得た。
【0027】
合成例2〜5
合成例2〜5の各々において、合成例1と同様にして、ポリエステル樹脂溶液(B)〜(E)を調製した。但し、ポリエステル樹脂の構成成分である多塩基酸成分の種類、その使用量、多価アルコール成分の種類、その使用量、エポキシ樹脂の種類、その使用量、無水トリメリット酸処理の有無、得られたエポキシ樹脂変性ポリエステル樹脂の酸化及び分子量を、表1に示すように変更した。
【0028】
比較合成例1
合成例1における無水トリメリット酸による変性前のポリエステル樹脂を溶剤で希釈し、ポリエステル樹脂溶液(F)を得た。当該樹脂溶液(F)は酸変性もエポキシ樹脂変性もされていないものである。
【0029】
比較合成例2
合成例1と同様のフラスコに、テレフタル酸ジメチル377部(多塩基酸成分の40モル%)、エチレングリコール217部(多価アルコール成分の60モル%)、ネオペンチルグリコール121部(多価アルコール成分の20モル%)、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物402部(多価アルコール成分の20モル%)およびチタンテトラブトキシド0.1部を仕込み、攪拌下に系内を170℃まで加熱した後、生成メタノールを系外に留去しながら、約4時間をかけて250℃までさらに昇温させた。この反応系に、イソフタル酸483部(多塩基酸成分の60モル%)を仕込み、攪拌下に170℃まで加熱した後、生成水を系外へ留去しながら250℃まで、4時間をかけてさらに昇温させた。次にこの反応系を5mmHgの減圧下1時間30分間の重縮合反応に供してポリエステル樹脂1400部を得た。この反応系を180℃に冷却し、得られたポリエステル樹脂をトルエン1060部中に溶解した後、これをメチルエチルケトン1060部で希釈して、不揮発分40%、酸価0.5、数平均分子量13400のポリエステル樹脂の溶液(G)を得た。
【0030】
比較合成例3
比較合成例2と同様にして、酸変性ポリエステル樹脂を調製した。この樹脂をトルエン1060部にて樹脂を溶解し、これにビスフェノールA型エポキシ樹脂283部を加えて均一に溶解し、これにトリn−ブチルアミン1部を加えて、105℃において10時間攪拌し、その後に、反応系をメチルエチルケトン1060部をもって希釈して、不揮発分40%、酸価0.9、数平均分子量12200のポリエステル樹脂溶液(H)を得た。
【0031】
【表1】
【0032】
表1の註
表1中の多塩基酸成分および多価アルコール成分の数字は、それぞれの成分の仕込みモル%を示し、またエポキシ樹脂成分の数字は、ポリエステル樹脂の合計質量に対する仕込み質量%を示す。
表1中の略語の意味は下記の通りである。
DMT:テレフタル酸ジメチル、
IPA:イソフタル酸、
TMAn:無水トリメリット酸、
1,4−CHDC:1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、
EG:エチレングリコール、
NPG:ネオペンチルグリコール、
CHDM:シクロヘキサンジメタノール、
BPE:ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、
エポキシ樹脂▲1▼:エポトートYD−014、
エポキシ樹脂▲2▼:エポトートYD−017
【0033】
「受容シートの作製」
実施例1
厚さ100μmの上質紙の両面に、2軸延伸されたポリプロピレンを主成分とする多層構造フィルム(商標:ユポFPG50、ユポ・コーポレーション)をドライラミネート方式で積層し、これをシート状支持体として用いた。この支持体の表面上に、下記組成の受容層用塗液を、固形分塗工量が5g/m2となるように塗工し、乾燥(120℃、1分間)して、受容層を形成した。さらにこれに、50℃で4日間の熱処理を施して、受容シートを作製した。
【0034】
実施例2〜5及び比較例1〜3
実施例2〜5及び比較例1〜3の各々において、実施例1と同様にして、受容シートを作製した。但し、受容層用塗液の配合において、表1のポリエステル樹脂(A)の代りに、実施例2においては、ポリエステル樹脂溶液(B)を用い、実施例3においてはポリエステル樹脂溶液(C)を用い、実施例4においてはポリエステル樹脂溶液(D)を用い、実施例5においてはポリエステル樹脂溶液(E)を用い、比較例1においてはポリエステル樹脂溶液(F)を用い、比較例2においてはポリエステル樹脂溶液(G)を用い、比較例3においてはポリエステル樹脂溶液(H)を使用した。
【0035】
評価
上記各実施例および比較例で得られた受容シートについてそれぞれプリントし、印画濃度、耐光性評価、および耐脂性の評価を行った。得られた結果を表に示す。
〔印画濃度試験〕
得られた受容シートを、熱転写ビデオプリンター(商標:XLS−8400、KODAK社製)を用い黒ベタを印画した。この印画物をマクベス濃度計(商標:RD−914、KOLLMORGEN CO.製)を使用し、印画濃度を測定した。
この試験において2.0以上の濃度であれば、実用上問題ない印画濃度レベルであると考える。
【0036】
〔耐光性試験〕
得られた受容シートを、熱転写ビデオプリンター(商標:XLS−8400、KODAK社製)を用い、印画濃度が1.0になるように印画エネルギーを調整して、黒ベタを印画した。
このプリント済みシートを、キセノン耐光性試験機(商標:CI35、ATLAS ELECTRIC DEVICES CO.製)にて72時間処理し、処理後の黒ベタ濃度を測定し、下記式に従い、画像の残存率を計算した。
この試験において残存率が60%以上であれば、実用上問題ない耐光性レベルと評価した。
画像残存率(%)=〔処理後印画濃度/処理前印画濃度〕×100
【0037】
〔耐脂性試験〕
このプリント済みシートにオレイン酸をスポイドにて0.1g滴下し、10分後ウエスでオレイン酸をふき取った。処理後の黒ベタ印画濃度を測定し、下記式に従い、画像の残存率を計算した。
この試験において残存率が60%以上であれば、実用上問題ない耐油性レベルと評価した。
画像残存率(%)=〔処理後印画濃度/処理前印画濃度〕×100
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】
本発明の染料熱転写受容シートは、その上に印画される、画像濃度が高く、画像の耐光性に優れ、かつ、耐脂性にも優れ、昇華熱転写方式を初めとする熱転写方式のフルカラープリンターに有用なものであって、産業上重要な技術的効果を有するものである。
Claims (1)
- シート状支持体と、その少なくとも一面上に形成され、かつ、染料染着性樹脂を主成分として含む受容層とを有し、
前記受容層に含まれる染料染着性樹脂がエポキシ樹脂変性ポリエステル樹脂を含み、このエポキシ変性ポリエステル樹脂が、(a)全多塩基酸成分に対し50〜100モル%の脂環式多価カルボン酸を含む多塩基酸成分と、(b)全多価アルコール成分に対し、3〜40モル%の芳香族多価アルコールを含む多価アルコール成分との重縮合反応により生成したポリエステルを主鎖として含み、かつこのポリエステルの分子末端が(c)ビスフェノールAを主骨格として含むエポキシ樹脂により変性されているものであることを特徴とする熱転写受容シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001400837A JP3820986B2 (ja) | 2001-12-28 | 2001-12-28 | 熱転写受容シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001400837A JP3820986B2 (ja) | 2001-12-28 | 2001-12-28 | 熱転写受容シート |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003200668A JP2003200668A (ja) | 2003-07-15 |
JP3820986B2 true JP3820986B2 (ja) | 2006-09-13 |
Family
ID=27639961
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001400837A Expired - Lifetime JP3820986B2 (ja) | 2001-12-28 | 2001-12-28 | 熱転写受容シート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3820986B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4990239B2 (ja) * | 2008-08-04 | 2012-08-01 | 花王株式会社 | 熱転写受像シート用ポリエステル |
-
2001
- 2001-12-28 JP JP2001400837A patent/JP3820986B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003200668A (ja) | 2003-07-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH0425973B2 (ja) | ||
US5446082A (en) | Water-dispersible polyester composition for image recording medium | |
JP3820986B2 (ja) | 熱転写受容シート | |
JPH07117371A (ja) | 印画紙 | |
JP3178554B2 (ja) | 画像記録媒体用水系ポリエステル樹脂組成物 | |
US5250494A (en) | Dye acceptor element for the thermal sublimation printing process | |
EP0526645B1 (en) | Dyeable resin for sublimation type transfer image receiver and image receiver using said resin | |
JP2001329054A (ja) | ポリエステル樹脂及びそれを用いた熱転写記録用受容シート | |
US5389493A (en) | Dye-receiving resin for sublimation transfer image receiving material and image receiving material comprising same | |
EP0564010B1 (en) | Dye-donor element for thermal dye sublimation transfer | |
JP2002019306A (ja) | 熱転写受容シート | |
JP2566133B2 (ja) | 昇華性色素を使用する感熱転写記録用受像体 | |
JP2001121828A (ja) | 熱転写受容シート | |
JP2930330B2 (ja) | 昇華性染料熱転写画像受容シート | |
JPH04338594A (ja) | 熱転写受像材料 | |
US5376149A (en) | Dye-receiving element for thermal dye sublimation | |
JP3219168B2 (ja) | 画像記録媒体用水分散樹脂組成物 | |
JP2998219B2 (ja) | 染料熱転写画像受容シート | |
JPH05201161A (ja) | 染料熱転写画像受容シート | |
JP3089771B2 (ja) | 染料熱転写画像受容シート | |
JPH05193279A (ja) | 染料熱転写画像受容シート | |
JP3209285B2 (ja) | 昇華転写受像体 | |
JP2904544B2 (ja) | 熱転写用画像受容シート | |
JPH11198549A (ja) | 昇華型感熱転写受像体用ポリエステル樹脂組成物 | |
JPH02252585A (ja) | 画像の保護方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040407 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20051207 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20051220 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060215 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060530 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060612 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090630 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100630 Year of fee payment: 4 |