JP3820791B2 - 誘電体バリア放電ランプ光源装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電ランプの一種で、誘電体バリア放電によってエキシマ分子を形成し、前記エキシマ分子から放射される光を利用する、いわゆる誘電体バリア放電ランプを含む光源装置に関する。
【0002】
【従来技術】
本発明に関連した技術としては、誘電体バリア放電ランプについては、例えば日本国公開特許公報平2−7353号があり、そこには、放電容器にエキシマ分子を形成する放電用ガスを充填し、誘電体バリア放電(別名オゾナイザ放電あるいは無声放電。電気学会発行改定新版「放電ハンドブック」平成1年6月再販7刷発行第263ページ参照)によってエキシマ分子を形成せしめ、前記エキシマ分子から放射される光を取り出す放射器が記載されている。
【0003】
図1に示すように、誘電体バリア放電ランプ(1)には、放電プラズマ空間(2)を挟んで電極(3,4)の間に、1枚または2枚の誘電体が存在する。
図1は、2枚の誘電体(5,6)が存在するランプを表している。因みに、図1ではランプ封体(9)が、誘電体(5,6)を兼ねている。
【0004】
誘電体バリア放電ランプ(1)を点灯させる際は、その両極の電極(3,4)に、例えば、10kHz〜200kHz、2kV〜10kVの高周波の交流電圧が印加される。ところが放電プラズマ空間(2)と電極(3,4)の間に介在する誘電体(5,6)のため、電極(3,4)から放電プラズマ空間(2)に直接に電流が流れるのではなく、誘電体(5,6)がコンデンサの働きをすることによって電流が流れる。すなわち、各誘電体(5,6)の放電プラズマ空間(2)側の面には、各電極(3,4)側の面と等量逆符号の電荷が誘電体の分極により誘起され、放電プラズマ空間(2)を挟んで対向する誘電体(5,6)の面の間で放電する。
【0005】
誘電体(5,6)の放電プラズマ空間(2)側の面に沿っては電流があまり流れないため、放電が生じた部分では、誘電体(5,6)の放電プラズマ空間(2)側の面に誘起された電荷は、放電により移動した電荷により中和され、放電プラズマ空間(2)の電界が減少するため、電極(3,4)への電圧印加が継続されていても、放電電流はやがて停止してしまう。
ただし、電極(3,4)への印加電圧がさらに上昇する場合は、放電電流は持続する。1度の放電が生じた後、放電が停止した部分は、電極(3,4)に印加される電圧の極性が反転するまで、再放電しない。
【0006】
例えば、キセノンガスを封入したランプの場合、キセノンガスは、放電によりイオンと電子に分離し、キセノンプラズマとなる。このプラズマ中で、特定のエネルギー準位に励起されたキセノンが結合し、エキシマ分子が形成される。キセノンエキシマは、ある寿命時間を経過すると解離してしまうが、このときに開放されるエネルギーが真空紫外波長の光子として放出される。
ランプが真空紫外光源として効率的に動作させるためには、このエキシマ分子形成を効率的にする必要がある。
【0007】
放電時に効率的なエキシマ分子形成を阻害する大きな要因は、放電プラズマをエキシマ分子形成に寄与しないエネルギー準位へ励起してしまうことである。放電開始直後の放電プラズマの電子運動は集団的であり、エネルギーは高いが温度は低い状態にある。この状態では、放電プラズマは、エキシマ分子を形成するために必要な共鳴状態に遷移する確率が高い。
【0008】
しかし、放電エネルギーが過大であったり、放電時間が長くなると、プラズマの電子運動は次第に熱的、すなわちマックスウェル−ボルツマン分布と呼ばれる熱平衡状態になり、プラズマ温度が上昇し、エキシマ分子を形成できないような、より高い励起状態に遷移する確率が上昇してしまう。
【0009】
さらに、エキシマ分子が形成された場合でも、寿命時間の経過を待って所期の光子を放出して自然に解離する前に、後続の放電により、エキシマ分子が破壊される場合もある。
実際、キセノンエキシマの例では、放電開始から真空紫外波長の光子放出まで、1μs程度の期間を要し、この期間内の後続の放電や再放電はエキシマ発光の効率を低下させる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで上記の課題を解決するために、この発明の誘電体バリア放電ランプ光源装置は、誘電体バリア放電によってエキシマ分子を生成する放電用ガスが充填された放電プラズマ空間(2)があって、前記放電用ガスに放電現象を誘起せしめるための両極の電極(3,4)のうちの少なくとも一方と前記放電用ガスの間に誘電体(5,6)が介在する構造を有するランプ(1)と、前記ランプの前記電極(3,4)に高電圧を印加するための、フライバックインバータと昇圧トランスを用いた給電装置(7)とを有して、前記フライバックインバータのスイッチ素子(10)が、前記放電ランプが放電していない状態においてオンになるときにも、前記放電ランプに有効な放電が生じるようにしたことを特徴とする。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、エキシマ分子形成を効率的にするために行われた発明として、特開平9−199285号がある。この発明は、エキシマ分子形成を効率的に実現する必要条件として、ランプ印加電圧のパルス幅を規定するものである。
【0012】
さらに、エキシマ分子形成を効率的にするために行われた発明として、特開平10−223384号がある。この発明は、エキシマ分子形成を効率的に実現する必要条件として、ランプ印加電圧の立上がり時間を規定するものである。これらの発明においては、高周波の交流電圧を生成するためのインバータとして、主としてフライバックインバータを用いた実施例を挙げて説明がなされている。
【0013】
図3に、フライバックインバータを用いた高周波の交流電圧発生回路の例を示す。また、これを用いた、従来のランプ印加電圧波形を図4に示す。フライバックインバータは、基本的にトランジスタやFET等のスイッチ素子を1個しか必要としないため、低コストであるという経済的利点がある。
【0014】
しかし、その反面、高電圧の発生が、スイッチ素子がオフになることにより発現されるため、動作が負荷インピーダンスの影響を受け易いという欠点がある。また、前記特開平10−223384号に規定された条件を満足させるためには、昇圧トランスのインダクタンス等の調整によって達成するしかなく、設計の自由度が低かった。
【0015】
誘電体バリア放電ランプは、放電プラズマ空間の電圧の極性が逆転することにより放電が生じるため、普通、ランプ印加電圧波形の1周期に、複数回の放電が発生する。前記特開平9−199285号や特開平10−223384号の発明の構成では、ランプ印加電圧波形の主たるピーク部分(Wm)の、前半部と後半部で生じる、計2回の放電においては、その立上がり時間、立下がり時間が短いため、前記の、一度放電が開始したならば、短い時間で、必要な電力をプラズマに投入して、できるだけ早く放電を終了させることという条件に概ね合致する。
しかし、それ以外の振動波形の部分(Ws)に関しては、従来の正弦波的な駆動との差異があまりなく、したがって、ランプ発光量の増加には寄与するが、エキシマ発光の効率はよくないものであった。
【0016】
【課題を解決するための手段】
そこで上記の課題を解決するために、この発明の誘電体バリア放電ランプ光源装置は、誘電体バリア放電によってエキシマ分子を生成する放電用ガスが充填された放電プラズマ空間(2)があって、前記放電用ガスに放電現象を誘起せしめるための両極の電極(3,4)のうちの少なくとも一方と前記放電用ガスの間に誘電体(5,6)が介在する構造を有するランプ(1)と、前記ランプの前記電極(3,4)に高電圧を印加するための、フライバックインバータと昇圧トランスを用いた給電装置(7)とを有して、前記フライバックインバータのスイッチ素子(10)がオンになるときにも、前記放電ランプに有効な放電が生じるようにしたことを特徴とする。
【0017】
【作用】
図3において、ゲート駆動回路(13)よりのゲート信号(G(t))は、FET等よりなるスイッチ素子(10)のゲート端子に供給される。ここでは、スイッチ素子(10)は、ゲート信号(G(t))がハイレベルのときにオン、ゲート信号(G(t))がローレベルのときにオフになるものとする。
【0018】
スイッチ素子(10)がオンになると、昇圧トランス(8)の1次側巻線(11)に電源(14)の電圧が印加され、1次側電流(Ip(t))が流れ始める。1次側電流(Ip(t))は、スイッチ素子(10)がオンである期間の長さに比例して増加し、昇圧トランス(8)のコアに磁気エネルギーを蓄積してゆく。
【0019】
スイッチ素子(10)がオフになると、1次側電流(Ip(t))が急激に切断されるため、1次側巻線(11)に逆極性の電圧が発生するが、これに対し、概ね1次側巻線に対する2次側巻線の巻き数比倍に増倍された電圧が、2次側電圧、すなわちランプ印加電圧(E(t))として発生する。ランプ印加電圧(E(t))は、2次側インダクタンスとランプの静電容量とで決まる共振の周波数に基づく早さで増大し、ランプ(1)の放電プラズマ空間(2)の電圧が、放電開始電圧に達すると、放電(F1)が開始される。放電開始後、ランプ印加電圧(E(t))がピークを迎えると、放電が停止する。この様子は、図4に示す通りである。ただし、放電電流(Id(t))は、放電プラズマ空間(2)内の電荷の流れを概念的に表したもので、2次側電流(Is(t))とは同じではなく、直接に測定することは不可能なものである。
【0020】
その後、前記共振の現象に従って、ランプ印加電圧(E(t))が0ボルトに近づくと、先の放電によって放電プラズマ空間(2)を移動して誘電体(5,6)に付着した電荷が形成する電界により、先の放電とは逆方向の放電(F2)が生じる。ここまでの主たるピーク部分(Wm)の2回の放電にて、ランプの電力投入の大部分を占めるが、通常は、前記共振の現象に従って、ランプ印加電圧(E(t))が振動するため、放電プラズマ空間(2)の電圧が、放電開始電圧に達する条件が成立し得る限り、放電の開始と停止を繰り返す。
【0021】
前記した、スイッチ素子(10)がオンの期間(τon)においても、1次側巻線に対する2次側巻線の巻き数比倍に増倍された電圧が、ランプ印加電圧(E(t))として発生しているが、従来の誘電体バリア放電ランプ光源装置においては、このときに発生する電圧によって、有効な放電が生じるようにしていなかった。
【0022】
しかし、スイッチ素子(10)がオンになるとき(ton)の1次側電圧(Vp(t))の遷移は、スイッチ素子(10)によって1次側巻線(11)が電源(14)に直結されることにより生じるため、非常に低いインピーダンスで駆動されることになる。従って、このときにランプ(1)から見た昇圧トランス(8)の2側巻線(12)のインピーダンスも非常に低い。ランプ(1)が出力インピーダンスの低い回路で強力に駆動されるため、ランプ印加電圧は急峻に変化し、しかも、その後は一定電圧を維持する、ステップ関数的波形であるため、このときに放電させれば、前記のエキシマ分子形成を効率的にするための、一度放電が開始したならば、短い時間で、必要な電力をプラズマに投入して、できるだけ早く放電を終了させることという条件に極めてうまく合致する。何となれば、誘電体バリア放電ランプにおいては、誘電体(5,6)がコンデンサの働きをすることによって電流が流れるため、ステップ関数的波形の電圧が急峻に変化するときにのみ電流が流れ、その後の平坦な期間においては、電流が流れず、そのため、放電は短期間に発生し、直ちに終了するからである。
【0023】
その上、いま述べたように、スイッチ素子(10)がオンになるとき(ton)およびそれ以降のスイッチ素子(10)がオンの期間(τon)において、給電装置の出力インピーダンスが低い状態が維持されるため、動作が負荷インピーダンスの影響を受けにくくなる利点も有する。例えば、ランプの温度変化や、昇圧トランス(8)の1次側または2次側の配線の長さや引き回しの変化があって、フライバックインバータから見た負荷インピーダンスが変動しても、スイッチ素子(10)がオンの期間(τon)の動作は、その変動の影響をほとんど受けない。
【0024】
なお、スイッチ素子(10)として、例えばパワーMOSFETを使用する場合、通常は、それ自体に内蔵ダイオード(15)が含まれている。これにより、1次側電流(Ip(t))は、逆方向にはほぼ自由に流れるため、主たるピーク部分(Wm)後のランプ印加電圧波形(E(t))に平坦部(Wf)が生じる。もし、スイッチ素子(10)に直列にダイオード(16)を挿入した場合は、前記内蔵ダイオード(15)の働きは阻止されるため、図5のように、前記ランプ印加電圧波形(E(t))の平坦部(Wf)は生じない。本発明においては、直列ダイオード(16)の有無は本質的な重要性をもたず、これにに関係なく機能する。
【0025】
【発明の実施の形態】
図6は、本発明の第1の実施例のランプ印加電圧波形(E(t))を示す。図6では、主たるピーク部分(Wm)とそれに続く振動波形の部分(Ws)の放電の後に、スイッチ素子(10)がオンになるとき(ton)の電圧遷移による放電を生じせしめている。これを実現するためには、スイッチ素子(10)がオンの期間(τon)の昇圧トランス(8)の電圧、すなわちランプ印加電圧(E(t))が放電開始電圧に達するように、電源(14)の電圧と、1次側巻線に対する2次側巻線の巻き数比を定めればよい。
【0026】
スイッチ素子(10)がオンになるとき(ton)に投入される電力は、当然主たるピーク部分(Wm)のそれより小さいこともあるが、それでも、前記のように、発光効率が非常に高いので、全体としてエキシマ分子形成を効率的にすることができる。また、前記のように、フライバックインバータから見た負荷インピーダンスが変動しても、スイッチ素子(10)がオンの期間(τon)の動作は、その変動の影響をほとんど受けないため、光量の安定性が高い。
【0027】
図7は、本発明の第2の実施例のランプ印加電圧波形(E(t))を示す。図7では、主たるピーク部分(Wm)を過ぎ、それに続く振動波形の部分(Ws)が終了していないうちに、スイッチ素子(10)がオンになるとき(ton)の電圧遷移による放電を生じせしめている。これを実現するためには、前記のように、スイッチ素子(10)がオンの期間(τon)の昇圧トランス(8)の電圧、すなわちランプ印加電圧(E(t))が放電開始電圧に達するように、電源(14)の電圧と、1次側巻線に対する2次側巻線の巻き数比を定めるとともに、所期のタイミングでスイッチ素子(10)がオンになるように、ゲート駆動回路(13)
の周期およびデューティサイクル比を定めればよい。
【0028】
スイッチ素子(10)がオンになるとき(ton)のタイミングとして、振動波形の部分(Ws)において、スイッチ素子(10)がオンの期間(τon)のランプ印加電圧(E(t))とは逆極性の絶対値の極大点のタイミング(t1)付近とすることが有利である。なぜなら、スイッチ素子(10)がオンになるとき(ton)の電圧の遷移量が大きいため、放電によって放電プラズマ空間(2)を移動して誘電体(5,6)に付着した電荷の存在量によらず、確実に鋭い放電を発生できるからである。また、絶対値の極大点のタイミング(t1)直前の放電によって放電プラズマ空間(2)を移動して誘電体(5,6)に付着した電荷が存在するときには、その電荷の影響を有利に利用することになるため、前記したこの放電の有利な特徴、すなわちエキシマ分子形成を効率的にする特徴が強調される。
【0029】
図9は、本発明の第2の実施例のランプ印加電圧波形(E(t))と2次側電流波形(Is(t))の実測データである。なお、この図は図6や図7と比べて、極性が逆になっているが、これは波形測定のための基準点の取り方の違いによるだけである。図10は、図9に概ね示す区間(Z)の部分を拡大測定したものである。図11は、図10の波形を計算機にて解析処理して放電電流波形(Id(t))を算出し、ランプ印加電圧波形(E(t))と2次側電流波形(Is(t))とともに示したものである。
【0030】
ここで、図11のように、ランプ印加電圧波形(E(t))と2次側電流波形(Is(t))から放電電流波形(Id(t))を算出する方法について説明する。図1の誘電体バリア放電ランプ(1)を、図2に示す等価回路に表すとき、放電プラズマ空間(2)の静電容量C1、誘電体(5,6)の静電容量C2、それにランプに並列的に存在する浮遊静電容量C3により決まる、次の2個の係数Cu=1+C1/C2 (式1)
Cv=C1+C3・Cu (式2)
を用いれば、放電電流(Id(t))は次式により求めることができる。
Id(t)=Cu・Is(t)−Cv・dE(t)/dt (式3)
ただし、誘電体が2枚の場合は、それぞれの静電容量を直列合成したものをC2とすればよい。この方法は、数値微分を使用するため、得られた結果の波形なかの電流値の小さい領域における精度はあまり良くないが、放電開始時は速い立上がりを示すため、これを見出す目的で使用する限り問題はない。
【0031】
図9、図10、図11の場合の解析条件、および実験条件は次の通りである。
C1:35pF
C2:220pF
C3:15pF
周波数:36kHz
トランス1次側インダクタンス:33μH
トランス2次側インダクタンス:6.1mH
トランス結合係数:0.9930
誘電体:石英ガラス−厚さ1mm
放電ガス:キセノン−圧力33kPa
放電ギャップ:4.3mm
【0032】
図11においては、放電電流波形(Id(t))は、時刻Td1および時刻Td2の2点において鋭く立ち上がっており、従って、スイッチ素子(10)がオンになるとき(ton)とスイッチ素子(10)がオフになるときにおいて主要な放電が発生していることがわかる。なお、放電電流波形(Id(t))をさらに注意して見ると、時刻Td3および時刻Td4においても、放電が発生していると判断できる。
【0033】
図8は、本発明の第3の実施例のランプ印加電圧波形(E(t))を示す。図8では、主たるピーク部分(Wm)の前半の放電完了後、それに続く主たるピーク部分(Wm)の後半の自発的な放電の前、もしくは同時、あるいは直後に、スイッチ素子(10)がオンになるとき(ton)の電圧遷移による放電を生じせしめている。これを実現するためには、前記のように、所期のタイミングでスイッチ素子(10)がオンになるように、ゲート駆動回路(13)の周期およびデューティサイクル比を定めればよい。ただし、スイッチ素子(10)がオンの期間(τon)のランプ印加電圧(E(t))は、前記第1の実施例およ第2の実施例の場合より小さくできる場合がある。なぜなら、主たるピーク部分(Wm)の前半の放電完了後には、前記のように、先の放電によって放電プラズマ空間(2)を移動して誘電体(5,6)に付着した電荷量が、前記第1の実施例およ第2の実施例の場合より多く、スイッチ素子(10)がオンになるとき(ton)に強い電界が形成されるからである。
【0034】
スイッチ素子(10)がオンになるとき(ton)のタイミングとしては、前記第2の実施例の場合のような、ランプ印加電圧波形(E(t))の主たるピーク部分(Wm)の絶対値の極大点付近にとることを避ける方がよい場合がある。何となれば、前記第2の実施例の場合のような、ランプ印加電圧波形(E(t))の主たるピーク部分(Wm)の絶対値の極大点付近でスイッチ素子(10)がオンになる場合は、その瞬間におけるフライバックインバータのスイッチ素子(10)に流れるパルス状の電流尖頭値が大きくなるからである。より有利には、主たるピーク部分(Wm)の絶対値の極大点付近を過ぎて0ボルトに近づき、かつ自発的な放電が開始する直前のタイミングを選ぶとよい。このとき、スイッチ素子(10)がオンになるとき(ton)の放電による発光量にはほとんど影響なく、スイッチ素子(10)に流れるパルス状の電流尖頭値がもっとも小さくなる。
【0035】
ここで挙げた回路構成等は、本発明の特徴を説明するための、簡略化された概念図であって、実際の設計時には、必要に応じて付加回路や保護回路等が付加されるべきものである。また、電源(14)やフライバックインバータのスイッチ素子(10)の極性、スイッチ素子(10)のゲート駆動の論理は、本発明の特徴には無関係で、素子の入手の都合や回路構成上の都合により変更してもよい。また、ランプ印加電圧波形(E(t))の極性を逆にしても、本発明の優れた特徴は良好に保持される。
【0036】
ここで挙げた回路動作や波形等は一例であって、それぞれの回路構成やランプの構造や大きさ、封入ガス成分等により微妙に変化するし、また、図7と図9とを比較すれば明らかなように、図6、図7、図8等の概念波形図に対して、実際の波形には、リンギングやノイズなどが重畳されるが、本発明の優れた利点は、これらの微妙な変化や重畳成分があっても、有効に発揮される。
【0037】
なお本発明は、封体(9)ガラスの内面や外面に蛍光体を塗布したランプにおいても良好に機能する。
【0038】
【効果】
フライバックインバータスイッチ素子(10)がオンになるとき(ton)にもランプ有効な放電が生じるようにすることにより、ランプ(1)が出力インピーダンスの低い回路で強力に駆動されるため、ランプ印加電圧は急峻に変化し、しかも、その後は一定電圧を維持する、ステップ関数的波形であるため、一度放電が開始したならば、短い時間で、必要な電力をプラズマに投入して、できるだけ早く放電を終了させることという条件に極めてうまく合致し、エキシマ分子形成を効率的にすることができ、結果的に高効率な誘電体バリア放電ランプ光源装置が実現できる。
【0039】
また、例えば、ランプの温度変化や、昇圧トランス(8)の1次側または2次側の配線の長さや引き回しの変化があって、フライバックインバータから見た負荷インピーダンスが変動しても、スイッチ素子(10)がオンの期間(τon)の動作は、その変動の影響をほとんど受けない、優れた誘電体バリア放電ランプ光源装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】誘電体バリア放電ランプを示す。
【図2】誘電体バリア放電ランプの等価回路を示す。
【図3】高周波交流電圧の発生回路を示す。
【図4】従来のランプ印加電圧波形を示す。
【図5】ランプ印加電圧波形を示す。
【図6】ランプ印加電圧波形を示す。
【図7】ランプ印加電圧波形を示す。
【図8】ランプ印加電圧波形を示す。
【図9】ランプ印加電圧波形と電流波形の実測値を示す。
【図10】図9の部分拡大図を示す。
【図11】図10の波形を計算機により解析処理をした図を示す。
【符号の説明】
1 放電ランプ
2 放電プラズマ空間
3 電極
4 電極
5 誘電体
6 誘電体
7 給電装置
8 昇圧トランス
10 スイッチ素子
Claims (1)
- 誘電体バリア放電によってエキシマ分子を生成する放電用ガスが充填された放電プラズマ空間(2)があって、この放電用ガスに放電現象を誘起せしめるための両極の電極(3,4)のうちの少なくとも一方と前記放電用ガスの間に誘電体(5,6)が介在する構造を有する放電ランプ(1)と、前記放電ランプの前記電極(3,4)に高電圧を印加するための、フライバックインバータと昇圧トランスを用いた給電装置(7)とを有する誘電体バリア放電ランプ光源装置において、
前記フライバックインバータのスイッチ素子(10)が、前記放電ランプが放電していない状態においてオンになるときにも、前記放電ランプが有効な放電を生じるようにしたことを特徴とする誘電体バリア放電ランプ光源装置。
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