JP3820754B2 - 液晶パネル評価装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置などで使用される液晶パネルの評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネルは2枚のガラス基板またはガラスと樹脂の間に液晶を封止したものである。各ガラス基板には酸化スズや酸化インジウム薄膜等による透明電極が設けられ、それらに電圧を印可して液晶の分子配列を制御し、液晶の光学特性を変化させて文字や画像を表示させる。なお、ガラス基板の一方は透明であるが、他方は透明である必要はない。
【0003】
また、タッチスイッチやタッチセンサ付きの液晶パネルでは、操作者が液晶パネル上のタッチセンサを指で押すことにより各種装置(AV機器やナビゲーション装置など)に種々の指示を入力することができる。そのため、このような装置では指で押された場合の信頼性等を事前に評価・確認しておくことが必要となる。液晶パネルの一画面には数十万もの画素が形成されており、そのうちのいくつかが故障すると、表示画面中に黒点の画素または白点の画素(白黒画面の場合)ができてしまう。そこで、出荷前には、液晶パネル中に予め定めた数以上の故障画素があった場合には不良品とする評価テストが行われる。また、同様の評価テストは新開発の液晶パネルに対しても行われている。
【0004】
このような検査では、検査員が指や治具を用いて液晶パネルの表面を押して離すという操作を行い、押す前と押した後の表示色の変化や、押している最中と離したときの表示色の変化などを目視で観察して液晶パネルの良・不良を判定している。このとき、液晶パネル上において画素配列の行方向および列方向にそれぞれ所定の間隔で複数の測定ポイントが格子状に設定され、各測定ポイントに関して押し離し操作による検査が行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、液晶パネル上の複数の測定ポイントを検査員が指や治具で一箇所ずつ検査しているため、一枚の液晶パネルの評価にかなりの時間を必要とする。また、液晶パネルを押す際の力にバラツキがあって不正確であったり、再現性が低いという欠点もあった。
【0006】
本発明の目的は、評価精度の向上および評価時間の短縮を図ることができる液晶パネル評価装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明の実施の形態を示す図5および6に対応付けて説明する。
(1)図5に対応付けて説明すると、請求項1の発明による液晶パネル評価装置は、液晶パネル2の表面を押すための治具110と、治具110を介して液晶パネル2に負荷を与える負荷機構1と、液晶パネル2上の負荷を与える位置を変更する変更手段102と、治具110を介して液晶パネル2に与えられる負荷が変更手段102で変更されたそれぞれの位置において所定の負荷パターンとなるように負荷機構1および変更手段102を制御する制御手段3とを備えて上述の目的を達成する。
(2)図5および6に対応付けて説明すると、請求項1に記載の液晶パネル評価装置において、液晶パネル2を撮像する撮像手段4と、撮像手段4で撮像された画像に基づいて、負荷除去後の液晶パネル2の色の時間変化を検出して液晶パネル2を評価する評価手段8,10とを備える。
【0008】
なお、本発明の構成を説明する上記課題を解決するための手段の項では、本発明を分かり易くするために発明の実施の形態の図を用いたが、これにより本発明が発明の実施の形態に限定されるものではない。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図8を参照して本発明の実施の形態を説明する。
−第1の実施の形態−
図1は本発明による評価装置の第1の実施の形態を示す図であり、評価装置全体の概略構成を示す。1は液晶パネル2に対する押し離し操作を行わせるための試験機本体であり、試験機本体1のテーブル101に搭載されたXYステージ102上に液晶パネル2がセットされる。試験機本体1のテーブル101上には上端にヨーク103を横架する一対のネジ棹104a,104bが立設され、そのネジ棹104a,104bにはクロスヘッド105が螺合している。
【0010】
テーブル101には負荷用のモータ106が設置され、モータ106の回転は変速機107を介して一対のネジ棹104a,104bに伝達される。ネジ棹104a,104bが同期して回転することにより、クロスヘッド105が昇降する。クロスヘッド105の変位は変位計108によって検出される。変位計108としては、例えばロータリーエンコーダが用いられ、ロータリーエンコーダによりモータ106や変速機107の回転を検出することによってクロスヘッド105の上下方向の変位が計測される。
【0011】
クロスヘッド105にはロードセル109を介して連結部材(不図示)が設けられており、この連結部材に液晶パネル2の押し離し操作を行うための押圧治具110が設けられる。押圧治具110の具体例としては、図2(a)に示すように矩形断面の金属棒110aの先端にゴムや布等の柔らかい部材を張り付けたものや、図2(b)に示すように矩形断面の押圧治具110の先端部分110cをゴムなどの弾性体で形成したものなどが用いられる。なお、ここでは断面形状(すなわち押圧部の形状)を矩形としたが、評価試験に応じた形状とすれば良い。ロードセル109および変位計108の検出データは制御装置3に送られ、制御装置3はそれらのデータおよび予め入力された試験条件(後述する測定ポイント(Px,Py),荷重保持時間Tho,初期設定荷重F1,荷重の変化率fv,荷重の増分ΔFなど)に基づいて、試験機本体1の動作を制御する。
【0012】
次に、検査方法について説明する。図3に示すように、液晶パネル2上には複数の測定ポイント(Px,Py)が格子状に設定され、各測定ポイント(Px,Py)について順に測定が行われる。負荷の与え方、すなわち、押圧治具110が取り付けられたクロスヘッド105の制御方法としては、クロスヘッド105を等速度で降下・上昇させる変位等速制御や、押圧治具110による荷重を変化させる際の単位時間当たりの荷重変化量を一定とする荷重等速制御などがある。いずれの場合にも、クロスヘッド105を降下から上昇に移行する際には、荷重保持時間Thoの間だけクロスヘッド105を停止させてその位置を一定に保つ。
【0013】
液晶パネル2の評価試験としては、前述したように出荷前の検査(抜き取り検査もしくは全品検査)や新開発の液晶パネルの評価試験等がある。図4は、新開発の液晶パネルの評価試験や出荷前の抜き取り検査等で行われる検査方法の一例を示したものであり、荷重等速制御で測定したときの荷重の時間変化を表したものである。
【0014】
まず、液晶パネル2に通電して、全体の表示色が特定の一色になるように表示させる。例えば、白黒表示の液晶パネルならば、白もしくは黒を表示させる。その後、クロスヘッド105を降下させ、押圧治具110により液晶パネル2の測定ポイント(Px,Py)に負荷を加える。このとき、荷重Fを一定の変化率fvで増加させる。荷重Fが初期設定荷重F1となったならばクロスヘッド105を停止させて、その状態を荷重保持時間Thoだけ保つ。次いで、荷重Fが一定の変化率(−fv)で減少するようにクロスヘッド105を上昇させる。そして、押圧治具110の先端が液晶パネル2から離れたならば、液晶の表示色の変化を目視で観察する。ここで、表示色が正常な表示色に戻った場合には、設定荷重を(F1+ΔF)と増やして2回目の測定を行う。設定荷重以外の条件は1回目と同様である。3回目以降も設定荷重をΔFずつ増やして各回毎に目視観察を行い、異常が発見されたり液晶パネル2のガラス基板が破損するまで測定を行う。なお、与えられる荷重は数kgf〜50kgf程度である。
【0015】
目視観察の際に異常が発見された場合、例えば、図4の符号Aで示す3回目の測定で所定観察時間内に表示色が正常に戻らなかった場合には、2回目の設定荷重F2を上限の荷重として記録する。また、荷重を加えている最中にパネルが破損した場合には、符号Bで示すように荷重の減少がロードセル109により観測される。この場合には、4回目の設定荷重F4を上限の荷重として記録する。一つの測定ポイントについての一連の測定が終了したら、XYステージ102を移動して液晶パネル2上の次の測定ポイントを押圧治具110に対向させる。この際、XYステージ102を作業者が手動で操作しても良いし、電動駆動しても良い。
【0016】
なお、出荷前の全品検査の場合には、設定荷重を図4のようにF1,F2,…と段階的に大きくして異常が発見されるまで測定を行うのではなく、例えば、所定の設定荷重F0で各測定ポイント毎に1回だけ測定し、表示色が所定時間内に正常に戻るか否かで良否を判定する。
【0017】
本実施の形態では、押圧治具110をロードセル109を介してクロスヘッド105に取り付け、液晶パネル2の押し離し操作を試験機本体1に行わせているため、常に一定の条件で荷重を加えることができ、信頼性の高い評価を行うことができる。また、検査員が手動で押し離し操作を行う従来に比べ、検査時間を短縮することができる。
【0018】
−第2の実施の形態−
図5は本発明による評価装置の第2の実施の形態を示す図であり、図6はそのブロック図である。なお、図5において図1と同一の部分には同一の符号を付した。4はXYステージ102に載置された液晶パネル2を撮像する撮像装置であり、CCDカメラ等が用いられる。撮像装置4は液晶パネル2との距離が一定となるように試験機本体1に取り付けられる。図6に示すように、制御装置3はCPU10、画像処理部8、メモリ12を備え、撮像装置4からの画像信号はCPU10に取り込まれ、画像処理部8で画像処理が行われる。6はコンピュータ5に試験条件等を入力するための入力装置(例えば、キーボード)である。
【0019】
図6に示すように、ロードセル109、変位計108、撮像装置4および入力装置6の信号はCPU10に入力され、それらに基づいてモータ106、XYステージ102の動作が制御される。なお、7はモータドライバである。画像処理部8で処理された画像信号はメモリ12に記憶され、その結果をモニタ9に出力したり、プリンタ11でプリントアウトしたりすることができる。上述した第1の実施の形態では、液晶パネル2を目視で観察してその異常を判定したが、本実施の形態の評価装置では、撮像装置4からの画像信号を画像処理し、そのデータに基づいてCPU10で自動的に異常判断を行うようにした。さらに、異常判断だけでなく、検査全体の制御もCPU10によって自動的に行われる。なお、押圧治具110による押圧は第1の実施の形態と同様の押圧パターン(図4)で行われる。
【0020】
次に、画像処理による判定の具体例について説明する。以下では、白黒表示の液晶パネルを例に説明する。まず、液晶パネル2に通電してパネル全体を白または黒表示する。図7(a)はそのような液晶パネル2を示しており、ここでは全体を黒く表示している。+印で示した点は測定ポイント(Px,Py)であり、測定ポイント(Px,Py)を含む領域201は押圧治具110で押圧される領域を示している。この領域201内には多数の表示画素が含まれる。
【0021】
図7(b)は、測定ポイント(Px,Py)を含む領域201の荷重を加える前の画像と、その画像を処理して得られるヒストグラムを示したものである。ヒストグラムの縦軸は画素数N、横軸は輝度Lである。荷重を加える前の領域201に含まれる各画素の輝度はほぼ等しいので、輝度L0に鋭いピークを有する分布となる。一方、図7(c)は押圧治具110による荷重を除荷した直後、すなわち押圧治具110が液晶パネル2のパネル面から離れた直後の画像とその画像を処理して得られるヒストグラムを示したものである。荷重を除荷した直後は、表示色は白っぽく変化しており、画素の輝度は輝度Lh(>L0)をピークとしてその周辺に分布している。
【0022】
測定ポイント(Px,Py)に押圧治具110で荷重を加え、除荷した後の表示色の変化から異常か否かを判定は次のように行う。図8(a)は荷重の時間変化を示す図であり、T10で荷重を加え始めT11で除荷する。そして、T11から所定時間(例えば、5秒)経過したならば、撮像装置4から画像を取り込み画像処理を行なってヒストグラムを得る。図7(b)に示すヒストグラムの分布D11は時刻T11における分布を表しており、図7(c)と同様に輝度Lhにピークがある。一方、分布D1は5秒経過後に得られるヒストグラムの例である。荷重を加えた領域201の表示色は、除荷直後は白っぽくなっているが、時間の経過と共に黒く変化して行く。そのため、ヒストグラムの分布のピークは低輝度方向(図示左方向)に移動する。
【0023】
ここで、5秒経過後に得られる分布D1のピークが図8(b)のように輝度L〜L+ΔLの範囲にある場合には正常と判定し、荷重をΔF増加して同様の測定を行う。一方、図8(b)の分布D2のように輝度L〜L+ΔLの範囲に無い場合には異常と判定し、そのときの設定荷重を上限の荷重としてメモリ12に記憶する。また、荷重を加えている最中にパネルが破損した場合には、前述したように図4の符号Bのように荷重の減少が観測されるので、第1の実施の形態の場合と同様に図3の設定荷重F4を上限の荷重として記憶し、XYステージ102を移動して次の測定ポイント(Px,Py)の検査を行う。
【0024】
(判定方法に関する他の例)
除荷直後、図8(a)のT11,T12,T13,T14のように所定の時間間隔で測定ポイント(Px,Py)の画像をサンプリングし、その都度、表示色のヒストグラムD(T11),D(T12),D(T13),D(T14)を求める。このとき、図8(b)の分布D1のように表示色の分布のピークが輝度L〜L+ΔLの範囲に入ったならば、サンプリングを終了して次の測定に移行する。このような判定方法では、上述したように除荷後5秒間待たなくとも次の測定に移行することができるので、試験時間の短縮を図ることができる。
【0025】
また、次のように判定しても良い。除荷直後、図8(a)のT11,T12,T13,T14のように所定の時間間隔で測定ポイント(Px,Py)の画像をサンプリングし、表示色のヒストグラムD(T11),D(T12),D(T13),D(T14)を求める。そして、分布のピークが低輝度方向に変化する速度VLを求め、例えば、予め正常なパネルの速度V0を求めておいて速度VLがV0以下となったならば異常と判断する。この場合も、所定時間待たなくても速度VLが得られた時点で判定が行って次の測定に進むことができ、試験時間の短縮を図ることができる。
【0026】
上述した第2の実施の形態の評価装置では、第1の実施の形態と同様に押圧治具110による押し離し操作を自動的に行うことにより、検査時間の短縮を図ることができる。さらに、押圧治具110で負荷を与えて除荷した後の液晶パネル2の色を撮像装置4で撮像し、その画像処理結果に基づいて正常か異常かを自動的に判断している。そのため、従来の目視検査のような評価の不正確さを防止することができるとともに、正常か異常かの評価時間を短縮することができる。
【0027】
以上説明した実施の形態と特許請求の範囲の要素との対応において、CPU10および画像処理部8は評価手段を、試験機本体1は負荷機構をそれぞれ構成する。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、負荷機構は治具を介して液晶パネルに負荷を与え、液晶パネルに与えられる負荷がそれぞれの位置において所定負荷パターンとなるように負荷機構および変更手段を制御しているので、設定通りに負荷を与えることができ、再現性の良い正確な液晶パネルの評価を行うことができる。また、液晶パネルに繰り返し与える負荷動作を負荷機構で行うことにより、検査時間の短縮を図ることができる。
特に、請求項2の発明では、液晶パネルを撮像手段で撮像し、撮像された画像に基づいて液晶パネルの色の時間変化を検出して評価しているため、従来の目視検査に比べて評価精度が格段に向上するとともに、評価時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による評価装置の第1の実施の形態を示す図。
【図2】押圧治具110の詳細図。
【図3】液晶パネル2の平面図。
【図4】負荷パターンを示す図。
【図5】本発明による評価装置の第2の実施の形態を示す図。
【図6】図4に示す評価装置のブロック図。
【図7】画像処理による判定方法を説明する図であり、(a)は液晶パネル2の平面図、(b)は荷重を加える前の画像およびヒストグラムを示し、(c)は除荷直後の画像およびヒストグラムを示す。
【図8】画像処理による判定方法を説明する図であり、(a)は荷重の時間変化を示す図、(b)ヒストグラムの時間的変化を示す図。
【符号の説明】
1 試験機本体
2 液晶パネル
3 制御装置
4 撮像装置
102 XYステージ
108 変位計
109 ロードセル
110 押圧治具
Claims (2)
- 液晶パネルの表面を押すための治具と、
前記治具を介して液晶パネルに負荷を与える負荷機構と、
前記液晶パネル上の負荷を与える位置を変更する変更手段と、
前記治具を介して前記液晶パネルに与えられる負荷が前記変更手段で変更されたそれぞれの位置において所定の負荷パターンとなるように前記負荷機構および前記変更手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする液晶パネル評価装置。 - 請求項1に記載の液晶パネル評価装置において、
前記液晶パネルを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段で撮像された画像に基づいて、負荷除去後の前記液晶パネルの色の時間変化を検出して前記液晶パネルを評価する評価手段とを備えることを特徴とする液晶パネル評価装置。
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JP19564698A Expired - Lifetime JP3820754B2 (ja) | 1998-07-10 | 1998-07-10 | 液晶パネル評価装置 |
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